7月1日(木)3日目

昨日と同様のスケジュールで、6時起床、荷物を出して朝食へ。
固めに焼いたパンがおいしく、チョコペーストをつけて食べる。あとバラのジャムとあんずのジャムが珍しかったのでお土産に持ち帰る。
皮のないソーセージみたいなのもおいしかった。豚は食べないから鶏だろうか?
ミックスジュースを飲んだら、喉に引っかかる甘さで、残す。たぶん人工甘味料の味だと思う。

テーブルで、昨日のFXのおじさんがあちこちで危険な目にあったという話をきく。北京でぼったくりにあって2人で16万取られたけど、地元の人に言ったら「それは良心的でよかったですね」と言われたとか。
けっこう旅慣れてるみたいだから団体旅行じゃなくてもよさそうなものなのに。

バスに乗る際、前から3列目を指定される。今日は一人席。
エイドレミットから南下し、ベルガマ近辺のトルコ石の店に連れて行かれる。
ツアーだからこういうショッピングの機会が計3回入ってくるのは仕方がない。

まず店員さんが、なかなか達者な日本語でトルコ石の本物と偽物はどうやって見分けるかとか(結局は割ってみないとだめらしい)、説明してくれる。
ふつうのつるっとしたトルコブルーのトルコ石だけじゃなく、アンティークトルコ石といって土っぽい色の石がまだらに入って複雑な模様になっているものを多く陳列してある。こっちは地球みたいできれい。かなり緑がかっていて、模様のせいでいかにも一点もの!って感じ。

でも、値段はタグの裏に書いてあるのでいちいち店員に聞かないといけない。
ひとつまみもないほどの石を4つクローバー型に連ねたネックレストップが7万くらいする。「もっと安いのがよければあっちには3万円からあります」と言われて、こりゃないなと思う。
店員がずーっとついてきて説明を続けようとするので、トイレを借りると言って店の外に出る。
まわりにはみごとになんにもない。幹線道路わきにぽつんと店だけあって、まわりは荒れ地。
ラベンダーみたいな花やキョウチクトウが咲いていて、強い日差しをよけつつそれらの写真を撮っていたら、2匹の子どもを連れた野良犬が道路を横断し、木の下で休んでいたのを見つけた。

しばらくするとFXのおじさんが出てきて、「奥さんにこのデザインを買って来いと厳命されていた」とのことで、小さいのが二列に連なったデザインの指輪を15万円で買ったという。
おまけでもらった、小さいトルコ石の粒がついた安全ピンを私にくれた。
奥さんに「旅行は面倒だから一人で行って来い」と言われた、という男の人がほかにも二人いた。まぁ「ダンナがいないあいだ羽が伸ばせるわー」的な気持ちもわからんでもない。

添乗員さんが12月生まれなので、トルコ石は誕生石。ちょうど30歳になったらしく、今回の旅行の記念にとペンダントを購入してさっそくつけていた。
私は確か30歳だからということで今のデジカメを買ったんじゃなかったかな。私にとっては、カメラは宝石よりずっと大事だし使いでがある。人それぞれ。

だんだん人が外にたまってきて、最後の人が買い物を済ませるのを待ってバスに戻り、エフェスの手前のオープンテラスのレストランで昼ごはん。

また団体旅行用の奥の部屋で、メニューは野菜のスープ、ビーツやニンジンを千切りにして盛り合わせたサラダ(オリーブオイルとレモンをかけて食べる)、ズッキーニとニンジンの入ったやわらかいオムレツ……というかキルシェっぽいもの(すごい薄味)、そしてシシカバブ。牛肉とタマネギとトマトが長い鉄串に刺さってて、下に固いナンがしいてあり、それに挽き割り小麦?のピラフとピリ辛のタマネギ、いためたポテトにヨーグルトソースをかけたポテトサラダが添えてある。デザートはチョコレートムースと丸くくりぬいたスイカ。
エルマチャイ(アップルティー)を3リラで注文。リンゴジュースを温かい紅茶に足したような感じで、薫り高くおいしい。

土産物屋がついてるので帰りに冷やかす。エフェスの娼館跡で発掘されたらしい巨根の人形の置物がいっぱい並んでる。

エフェスの遺跡に到着。上から下へ見て回る。
ここは古代ギリシャ人が建設した都市国家。
面積が広く、いろいろな建築物が残っていて見ごたえがある。その分観光客も多い。

公衆トイレだったという、穴がいっぱい並んでるところがあって(中央に噴水があって音消しになっている)、どれどれと穴に座ってたら「シャッター押しましょうか?」と言ってくれる人がいたので、ふんばってるポーズで(笑)撮ってもらう。

勝利の女神ニケのレリーフ前で、「ニケの翼がNIKEのロゴになった」という話を聞く。
セルスス図書館という、二階建ての建物の入り口部分が非常に大きくて立派。その下の日陰に観光客がびっしり座っている。
その手間に娼館の広告が彫ってあったらしいんだけど見逃した。

文字がいっぱい彫られた石壁の前にモデル立ちで腕を広げてカッコつけて立ち、みんなに写真を撮らせている白人の女の子がいた。謎。

奥へ進むとすごく大きなオデオン(議会にも使われる円形劇場)がある。今でもコンサートに使われていて、24000人収容できるらしい。
音響効果がすごくて、舞台に立って声を出すとうまく反響して、ずっと後ろのほうの席でもはっきりとよく聞こえる。

クレオパトラとシーザーも歩いたといわれるアルカディアン通りを歩く。本来はこの先は港だったが、今は土砂が堆積して平野が続いている。
脇に墓地跡があり、海を望んだ高台に半円を描いて棺が静かに並んでいる。FF9の黒魔道師の村の墓地みたいだなと思った。

エフェスからパムッカレまでの長い移動の最中、今度は革製品の店に寄る。
ツアー客を細長い部屋に入れてファッションショーを見せる。
冷たいリンゴジュースが配られる。
カッコいいお兄さんとお姉さんが、タグが付いたままの売り物のジャケットやコートを着たり脱いだりして歩いてみせる。
リバーシブルのジャケットが大変薄くて色がきれい。
デザイン的にはまぁまぁ。ベルトが後ろでクロスしたデザインの茶色の半コートがあって、あれはいいなーと思っていた。

すると今度はモデルさんが客席に降りてきて、4人つかまえてモデルに仕立てる。
2番目にイケメンのお兄さんにつかまえられてしまった。
舞台の奥には服がいっぱいかかったハンガーがあって、その中からお兄さんが、さっき私がいいなと思ったコートをさっと引っ張り出して着せてくれた。おお、運命!?
着てみるとやたら軽い。お兄さんと腕を組んで舞台に出、「ベルトをほどいて前を開けてポーズを取れ」と指示されたのでそのようにする。
最後は全員並んで手をつないでお辞儀。

そのあとショップに連れて行かれ、また店長がいろいろ説明する。
日本語がやはり達者で、「みなさんこんにちは。トルコ語でこんにちはは、メルハバ。私はご覧のとおり、L幅」とか、皮の見本を持って見せながら「これは羊の皮、こちらは最上級の子羊の皮、そして毛が生えてるのが私の皮です」とか、うまい。

さっき着せてもらったコートを探すと、1225ドルという値札がついている。高っ。
店員が来て「94000円くらいだけど、今はシーズンオフだから84000円まで下げます。店長に相談したら80000円になるかもしれない」と言われる。
ベージュもあったんだけど「茶色のほうが合わせやすい」と言われる。あと「ヨーロッパのトップブランドの革製品はなめしと縫製をトルコでやっているものが多い」のだそうで、「これにバーバリーの裏地がついたら40万円になる」とも。どこまで本当かわかったものじゃないけど。

高いとは思うのだが、今持ってるかなりすりきれたスエード風の上着や、裏地が破けてきたツイード風の茶色のジャケットの代わりとして、長年着られると思えば、これも一つの縁かなぁ……などと考える。
私は基本的に旅先で自分用のお土産をあまり買わないが、服や靴は今までもけっこう買っている。その場所のことを思い出すし、日本では売ってないと思うとちょっとうれしい。

8万よりは安くならないの?と言ってみたら、店長に相談して78000円と言われる。ここでさらに75000円なら買う、とか言ってみればよかったんだけど、それまでにもかなり長時間店員を拘束してしまったしなぁ……と弱気になってしまい、それで買うことに。
契約が成立すると店員さんたちが拍手でレジにご案内。

たぶん値段なんてあってないような商売だから、いくら物がいいとはいっても原価は2、3万円とかなんじゃないかなぁ。もっと頑張ればよかったとあとで後悔するものの、もともと欲しかったこちらの足元を見られてしまった。

とはいえ、ツアーのほかの人たちに「ショーで着せてもらったやつを買いました」と言ったら、みんなに「あれすごく似合ってた」と言われまくる。生涯でこんなに服を「似合う」と言われたことは今までないってくらい連呼されて、気を良くする。
秋になったら着よう。

店を出てしばらくすると幹線道路をそれて田舎道に入る。
荷台に村の女性たちをいっぱい乗せたピックアップが走っていたり、家の前に小さいテーブルを出してトルコ式麻雀やバックギャモンをやっている男たちがいたり、「ふれあい街歩き」的な世界になり、日常生活が見えてテンションあがる。

しかしその一帯を抜けると今度は温泉リゾート地になり、ホテル「ポラット・サーマル」に到着。温泉やプール・エステなどがあり敷地がだだっ広い。
部屋は全部1階で、渡り廊下を通っていく。素朴な感じの小さいベッド二つにキルティング風のふとんがかかっていて、窓からは超巨大パラボラアンテナが見える。テレビは小さくて古い。冷蔵庫は空っぽで霜が降りている。

ロビーに集合してレストランで晩ご飯。今回もビュッフェで、スイカ細工が飾ってある。
その場で作ったパスタを供しているのだが、具は一緒なのに作るたびにちょっとずつ味が違う。シェフの気まぐれパスタ? その場で揚げてシロップに漬けた焼き菓子もあった。
ズッキーニにライスを詰めてヨーグルトソースをかけた一種の前菜が、不思議な風味でおいしかった。鶏肉グリルはあまり味がない。マーボー茄子みたいな料理もあった。ちょっと赤いペーストみたいのを取ってみたら辛いサラダだったり、ヨーグルトときゅうりを和えたのとか、トルコ料理をいろいろ体験。

その後、部屋でいったん水着に着替え、水着で廊下を歩いて温泉へ。建物の中でタオルを借りる。
温泉はプールの横に別にあり、プールみたいな感じだけど中央に湯が噴き出る火山型の噴水があり、水は泥色に濁っている。
入るための階段がぬるぬるしていて、さらに床に足をつけると砂がいっぱい沈んでいて足指の間からニュルニュルする。斬新な感覚。でもあったかくて気持ちいい。
すでに日本人の男の人が二人入っていて、関西からJTB旅物語のツアーで来た人らしい。
関西人同士の会話はさすがおもしろいなぁ、と思いつつふよふよと泳いでみたりする。

しばらくしてのぼせたので部屋に帰ると、プールの上にきれいに星が出ている。部屋に眼鏡を取りに戻ってからもう一度、明りのない中庭に出て空を見上げると木々の間にいっぱい星が見える。
でも周りが暗すぎてちょっと怖い。

水着のままシャワー浴びて洗って干して、カメラの中にたまった写真をPCに移して充電もする。
23時過ぎに寝たが夜中に蚊がいたので、起きて叩き殺す。空港で買ったムヒが役立った。


6月30日(水)2日目

6時にモーニングコールの電話がかかってくる。返事して出るが、流れてくる声は録音。
シャワー浴びて服着て化粧してスーツケースを廊下に出して、6:30に朝食。
ビュッフェで、シリアルが何種類もあるだけでなく干し果物(アンズ、レーズン、イチジク)やナッツ(くるみ、アーモンド、ヘーゼルナッツ)にオリーブもいろいろとりそろえられ、ヨーグルトも3種類ある。ひゃーと嬉しくなって「このハムも取ろう」と、片手に持ったシリアルの皿を置いたところ、そのガラスがカーブしていて、ガッシャーンと床に飛び散るシリアル、二つに割れる皿、腕にかかる牛乳。これはひどい。近くに人がいなかったのが幸い。
謝って紙をもらってそのへんを拭き、何食わぬ顔でテーブルにつく。

グレープジュースかと思ってついだらまたチェリージュースだった。コーヒーはやたらうすいけど香ばしくて、ミルクいっぱい入れるとおいしい。

隣に座った一人客の男の人が、別の一人客の男の人に向かって、「昨日からすごい円高で、出がけにFXに補償金入れてこなかったら吹っ飛んでましたよ、ハッハッハ」的な話をしていた。

枕チップは2リラがマナーとの話だったが、ほとんど部屋きれいなままだしいいだろ、と思って1リラ置く。

7:30にバス集合。
昨日別のツアーに紛れ込んでたおじいさんが遅れてきて、さらに「カバン忘れた」と取りに行く。(あとで聞いたら、30分寝るつもりが1時間経っていたことに気づかず、食事に行こうと降りてきたら「早くバスに乗ってください!」と言われてあれ?という状態だったらしい)
20分遅れて出発。

席は前から4列までに座る人だけをローテーションで決めて、あとは自由席。
私は先に窓側に座ってたら、あとから一人客のおばさんが来ていろいろしゃべる。といっても私はあんまり他人に興味がないほうなので、聞かれたことに答えるのがメインで、あとはそのつど見たもの聞いたものに対して感想を言い合ったりする感じ。

出発が遅れたのでちょっと渋滞にはまる。
イスタンブールはなだらかな丘にびっしり集合住宅があって、どんなスラムにもモスクがある。
街を離れると畑になる。ひまわり畑が多いが今年は雨が多いらしくまだ咲いていないところも多い。あと小麦畑。

テキルダーという町のドライブイン(ガソリンスタンド+カフェ+土産屋)にトイレ休憩で止まり、ヘーゼルナッツのチョコバーを1.25リラで買う。
5リラ出したら、店員さんが日本語で「3.25」と言いながらおつりをくれた。また、干し果物を「これはアンズ、イチジク」とか日本語で説明してくれる。

ひたすらまっすぐな道をひた走る。
北海道みたいにゆるやかな起伏にパッチワーク状の黄色と緑の畑が続き、ところどころに木。
さっきのドライブインで添乗員さんが買ったらしく、ピスタチオのチョコバーを全員に配る。このあとも、毎日カントリーマァムとか味しらべとか、日本から持ってきたおやつを配ってくれたり、食事のたびにウェットティッシュを回してくれたりした。
あと、ツアーのおまけの、「ナザール・ボンジュウ」というトルコのお守りのごく小さいのを1つずつくれた。
これはお土産屋ならどこにでもある、青い目玉のお守りで、かつてトルコに黒髪黒目の民族しかいなかった時代、青い目の人種が入ってきたときに青い目を凶眼と恐れ、対抗するために青いガラスで目を模して子供に持たせたものらしい。

しばらく走ると、突然バツーン!!とすごい音がして、タイヤがパンク。めったにない事態らしい。
でもしばらくなんともなく走る。タイヤが6つあるから1つパンクしても大丈夫なのか。

昼ご飯を食べる町の手前のドライブインでチェックしたら「すぐに直したほうがいい、15分ですむから」と言われ、突如休憩となる。
このドライブインには小さい動物園が併設されているのだが、犬とかウサギとかニワトリとかが檻に入って展示されている。珍しいものではダチョウが2匹いた。

15分たってもタイヤ交換は終わらず、待ちながら客どうしでしゃべる。
私のカメラがでかいので、「写真の仕事してるの?」とかたくさん聞かれる。
また、私のよりは小さいがニコンの一眼レフを持ってる若い女の子がいて、カメラ話を少しする。その人はミラーレスの小さい一眼レフも持ってた。ソニーの新作か?パッと見ただけではわからない。旅行ならカメラは小さくて軽いほうがいい。まぁこういうバスツアーならそうでもないけど。

私のカメラがでかいといってもレンズがでかいのが大きくて、それは室内イベントでもフラッシュをたかずに撮れるようF値が低くて明るいことを重視したからなんだけど、今回のような屋外がメインの旅行写真のときはF値が小さい必要はなくて、それよりもっと望遠のレンズがあったほうがいい。
でも、ほこりっぽい屋外で急いでレンズ交換するなんて恐ろしいので、明るくなくていいからもっと広角から望遠まで幅広くおさえられるレンズがあったらいいなー、と思った。

アクシデントもあり、13時前にゲリボルという港町に着く。
レストラン手前の道で渋滞にはまる。フェリーに乗り込む車が詰まっているらしい。なんかアクシデントが多い。
バスを降りて歩く。大砲の弾を飾った軍事博物館があり、壁に窓と老婆の絵を描いた謎の建物があり、青魚を並べた魚屋のショーウィンドーがある。

レストラン2階の部屋に通される。なんか日本の団体旅行で通されるような雰囲気の場所。
メニューは細い麺入りチキンスープ(うまい)、切ってビニール袋に入れてある大きな丸いパン、ピクルスと野菜の酸っぱいサラダ、サバの塩焼き+ピラフ+チーズ春巻き、あとライスプディングが出たんだっけかな。
サバの塩焼きはレモンがきいてるけど日本ふうだった。しゅうゆと大根おろしがほしい感じ。フォークとナイフで食べるのは大変。

飲み物はそれぞれ別に注文し、レストランに個別に払う仕組みなんだけど、明らかに割高価格なので「頼まなくてもバレないんじゃね?」ということで頼まないでみる。たぶんマナーとしては全員頼むべきなんだろうけど、まぁ頼まなくても許してもらえるらしい。
このあとの食事でも、レストランによって飲み物の価格はまちまちなので、頼んだり頼まなかったりした。
毎日水のペットボトルを1本ずつくれるので、そんなに水分いらないんだよね。

14時のフェリーに乗るというので、急いで乗り場へ移動。乗る直前にピスタチオの屋台があってみんなに試食させていた。でも買う暇はない。

マルマラ海とエーゲ海をつなぐダーダネルス海峡を渡るフェリーに乗り込み、三々五々好きな場所で海を見る。
乗っている時間は30分。静かな海で全然揺れない。
カモメがずっと周囲を飛び回っていたので、撮りまくる。カモメと船と背景の街を入れたいのだけど、うまくおさまらない。

フェリーを降りるときはバスに乗り込んでおろしてもらう。
着いたのはラプセキという町で、アジア側の大陸。今まではヨーロッパ側だった。
アジア側になると景色がちょっと日本っぽくなる。畑が減って荒れ地に木が増える。

まっすぐ行けばギリシャへ続く道を左へ折れて南下し、トロイの遺跡に向かう。
トロイの歴史と神話について説明を聞く。
隣のおばさんに、「いまどきの新入社員はやる気がなくて海外転勤になるとすぐ辞めてしまう。そんなんじゃ日本の産業が発展するわけがない、中国や韓国に抜かれて当たり前だ」という話をされる。

左右に果樹園が増え、道端でダークチェリーやモモ、トマトなどを並べて売っている。
ガイドさんがそこでダークチェリーを10キロ買ってくれる。10キロで2500円らしい。佐藤錦だったら100グラム500円くらいするから……10キロ買ったら50万円!?

トロイ遺跡に着き、一周する。
入り口に新しく作られた木馬以外は何もないところだと思っていたが、観光客がいるわりにはけっこう静かで、古い石垣やギリシャ文字の刻まれた柱のかけらなどの間を歩いて高台に風が吹き抜けていくと、聖地のおもむきでなかなか良い。あくまで何層にも重なった古い町であって聖地ではないんだけど、沖縄のウタキに行った時のような雰囲気があった。

しかし日差しが非常に強くて、サングラスがないと目を開けていられないほど。今回、見た目は悪いけど眼鏡の上からかけられるサングラスというのを買っておいてよかった。
長袖カーディガンに帽子をかぶり、首にストールを巻いてなおかつ日傘もさしていた。

最後に木馬に入って上の窓からのぞいてみるが、蒸し暑くて眺めはいまいち。
下では添乗員さんが「シャッター押しますよー」と言っていてみんな木馬と写真に収まっている。
私はいまいち自分のカメラを人に預ける勇気がないので撮らない。
例の日本代表ユニの男の人が添乗員さんを長時間占有して写真を撮らせている。

さっき買ったチェリーを洗ってくれたとのことで、トロイを見終わってバスに乗る前に食べる。大味だけどやわらかくておいしい。あまったのでバスに乗ってからも全員に配られ、結局20粒くらい食べた。

エーゲ海に沿って進む。
見渡す限りオリーブの木がびっしりの斜面もあるが、くねくねした登山道には針葉樹が生えていて日本とあまり変わらない。合歓の木に花が満開。
曇り空の下、海と空の境界線がなくなり、波もなく平ら。

18:30、海沿いのリゾート地、エイドレミットに到着。ギュレ・サルハンというホテルに泊まる。
ロビーが金ぴかで吹き抜けが豪華だが、よく見ると噴水にカエルやアヒルの置物を節操なく置いてあるのがちょっと成金趣味。
部屋も金ぴかの装飾で、小さいベッドが2つ。タオルを貝殻のような形に広げて置いてある。バスタブにはシャワーカーテンの代わりにカーブした半透明のドアがついていて、密閉できるようになっている。
あとホテルの軒下にツバメがびっしり巣をつくっていた。

19:00にホテルのレストランで夕食。
ディナー用にちょっときれいな服に着替えてきた人もいる。
ビュッフェで、なんだかよくわからないヨーグルトペースト的なものが多い。
ビーフの煮込みと味のないフライドチキンみたいなものを配ってくれる。チーズマカロニグラタンみたいのはおいしかった。
生野菜は水道水で洗って万一当たるといやだから取らなかった。
パンは大きいのから自分で好きなだけ切り取る。

トルココーヒーを4リラで注文。カップの底に1センチくらい粉がたまってて、なんか損した気分に。
デザートのスイカで水分補給。
また、ハチミツ漬けのだ円形の焼き菓子が、ただ甘いだけじゃなくちょっと懐かしい味でおいしかった。
調子に乗ってほかのシロップ漬けのお菓子も食べたら、それはただ甘いだけでココアの味とか消えていた。気合いで食べるしかない。

一人客×4のテーブルで、私のほかは女性2人とおじいさん1人。「今までの旅行でなんか危ない目にあったことある?」という話で「バリで行った初エステのマッサージ担当が黒人男性でびびった」などと盛り上がっていたら、「前情報は調べていかなかったの?」とややズレた反応を示したり、さっきの話を蒸し返したりするおじいさんだった。

食事の後、すぐ近くの海辺に散歩に行く。
なんか夜になっても異常に明るいなと思っていたら、サマータイムが導入されていたかららしい。
20時前だけどようやく日が沈もうかというところ。

道路を渡るための地下道もあったけど、そっちのほうが恐そうだったので車が走り抜ける広い通りを横断して、海辺の遊歩道へ。
スカーフを髪に巻いたイスラムスタイルの女性と子供がいっぱいいる。

ちなみにここ十年くらいでトルコにはスカーフやブルカの女性が一気に増えたらしい。もともと宗教には寛容なお国柄だったんだけど、今の与党が厳格なのだそうだ。
ガイドさんが言うには「スカーフをしている女性たちのうち半分くらいは、本当はしたくないと思っているけど、みんながしているから仕方なくしている」。
まぁ暑そうではあるが、髪型に凝る代わりにスカーフでおしゃれをしたり、服と合わせたりしている人もいるので、これはこれで。

「ジャポーン!」って声をかけられて、子どもが手を振っていたので振り返したら、しばらくして近寄ってきた。
ウェンディ・ジョン・マイケルくらいの年頃の三きょうだいで、水着姿で、三人とも超美形。
でもついさっきホテルを出るときに、自転車に乗った子どもに「マネーマネー!」と叫んで近寄ってこられてちょっとびっくりしたので、警戒心が先に立つ。
子どもがかわいいからと写真撮ったりしてると、どっかに親が隠れてて金をせびられたりするんじゃないの?みたいな。
何を言ってるかわからない、という顔をしてたら行ってしまった。実際言葉がわからなかったんだけど。

その後も15分くらいの間に3、4回は呼びかけられた。大人も含めて。遭難したトルコの船を日本人が助けた「エルトゥールル号」の話はトルコでは有名だというし、親日派が多いとはよく言われるので、実際はただの善意なのかもしれない。そうだとすると貴重なチャンスをふいにしたかもしれないけど、旅先ではいつも警戒心を忘れないようにしないと。

海岸にはオープンカフェがいっぱい並んでいて、焼きトウモロコシの屋台、バレーボールをする子どもたち(女の子はちゃんとスカーフして長そで長ズボン)、簡易シャワー、草屋根のパラソル、砂浜はなくて砂利っぽい波打ち際。桟橋が海にのびていて、そこから海に飛び込んだり釣りをしたりするようだ。
しずかで吸い込まれそうな海面で、夕陽に光る雲と照り返しがきれい。

20時には道路に戻って、薪を積み上げたパン屋や浮き輪の店を過ぎ、ホテルに戻って風呂。
深さはないが幅のあるバスタブで気持ちいい。
トルコポップスのPV(けっこうエロチック)が流れるテレビをBGMに、23時前に寝る。

枕チップは2リラ。

トルコ旅行記 完全版

※自分用に、あとで振り返って順序どおり思い出すために、あったことを一通り書きます。冗長で面白くないところも多いので、なるべく下にあるダイジェスト版をご覧になるほうをお勧めします。

阪急トラピックスの8日間のツアー。
文中、1リラは約60円。

6月29日(火)1日目

朝8時起き。
最短1時間半で空港には着くけど、最初から遅刻なんかすると団体旅行で印象最悪なので、たっぷり余裕を持って家を出る。
船橋で京成線に乗り換えるのは、エレベーターがあって楽だった。京成特急を使えばスカイライナーや成田エクスプレスやリムジンバスよりずっと安く、1000円くらいですむし、そこまで大幅に時間が違うわけでもない。

9:10に出て11:05に到着。
無印のショップにあった、東京の地図を描いたハンカチがいいなと思う。
普段使わないので腕時計の電池が切れており、交換できる店を探す(あったけど結局交換はしてない)。
11:35の集合時間に団体カウンターに行って並び、荷物を預けるのに並び、売店で虫さされの薬を買う。

36人のツアー客が集合する。今回は一人客の追加料金が半額になるという日程だったので、一人客が多い。女性と男性の割合は2:1くらい。
大学生くらいの女の子から、かなりのお年寄りまでいる。

中に入って本屋でジャンプを立ち読み。
ANA提携のトルコ航空直行便13:35発に乗り込む。
椅子の並びが3-3-3で、私は中の通路側。隣はツアーの夫婦客。
機内が広々していて、椅子の頭部分がしっかりしていて上下に動き便利。また、乗りこむときにスリッパをくれるし、毛布もちゃんと袋詰めされている。
さらにポーチに入ったアメニティグッズを配ってくれる。中身は全部深緑色で統一されていて、アイマスク・靴下・リップクリーム・耳栓・歯ブラシと歯みがき粉。
ポーチもしっかりしてて、金のある航空会社は違うなぁと思った。
イヤホンは耳のスポンジ部分が別になっているものを配ってくれる。私は自前のノイズキャンセルヘッドホンを使うけど、モノラルになってしまう。

さっそくビジュエルド(mixiアプリにもあるやつで、昔海外旅行のときに機内でやってハマった)のエンドレスモードを遊ぶ。いつまでもやり続けられるが、目が乾いてきたころにロースト・ヘーゼルナッツが配られる。ドリンクはサワーチェリージュースを頼む。

CDもいっぱい聞けるので、まず「トルコのロック」というジャンルから適当にジャケットがかっこいいのを聞いてみる。トルコ語だが曲はわりと普通に聞きなれた感じで、ちょっと古くさい。
次の「トルコのポップス」のほうがいかにもな曲が並んでいる。くねくねとアラビアンな感じで、みなやたらと声がいい。
「伝統的なトルコの歌」というジャンルになると瞑想用の曲とかいうのも入ってきて、いかにもあやしげだがだんだんどれも一緒に聞こえてくる。
結局最後は「80年代の名曲」ジャンルから、ピーター・ゲイブリエルの「Red Rain」はすごいいいわーとか、ポリスの聞いたことないアルバムがあったんでそれをかけたりしていた。
あと「ワールドミュージック」ってジャンルの中に宇多田ヒカルがあった。

最初の機内食。パスタが切れて魚しかなかった。
タラは固くて味がなかったがサフランリゾットはおいしい。あと小エビのサラダにオリーブオイルとレモンをかけて食べるのと、ニンジンとネギのオリーブオイル漬け(冷たい)。チーズケーキはうまかった。
うすくて「これはもしかして濃く淹れたウーロン茶じゃないか?」と思ってしまうほどのコーヒーがけっこううまい。

途中のおやつとしてサンドイッチかフルーツケーキか梅おにぎりが出て、おにぎりを選ぶ。冷え切っててお米がポロポロしてるけど、名残惜しい味。

行きで読む用のグイン・サーガ1冊をさっさと読み終えてしまい、サッカーの名選手を紹介するテレビ番組でロナウジーニョの名プレイ傑作選とか、アフリカのピューマの狩りドキュメントとかを(トルコ語で)見る。あとトルコ名所案内みたいな番組を見たら、CGで建物をぐるぐる映しているだけで謎だった。
映画はいろいろあったけど、英語とトルコ語ばかりだった。

最後の食事はチキンブレストのグリルで、ポテトグラタンとラタトゥイユもついてておいしい! 黄の実入りパンとサラダ、あとチェリーケーキもうまい。
オレンジジュースが切れててまたチェリージュースを飲む。あとはジュースだとトマトしかない。
もうそろそろ日本対パラグアイ戦は終わっているはずだけどどうだったのかなぁと思いつつ食べる。
今の世の中、日本戦の結果を知ろうとして知ることができない人ってあんまりいないだろうなぁ。

12時間かかってトルコのイスタンブールに着く。
時差は日本より6時間遅れで、現地時刻19:40。
窓から見える限り、空港はやたらと家並みに近い。

降りたところでツアー客集合。別の日本人のツアーに紛れ込んでいるおじいさんがいた。
入国審査のいち早い列を選んで抜け、すいている両替窓口を見つけて1万円を165リラと4.57リラのコインに替えると、再集合まで20分くらい余裕ができた。このへん、何回か海外に行ってると感覚がつかめてくるよなぁ、などと一人で得意げ。

スーツケースを回収しようと待っていたが、添乗員さんがポーターに指示して全部まとめて運んでくれてる! ツアーってスーツケースを自分で運ばなくてもいいのか! すげー!!
積み上げられたスーツケースの山をちょっと撮りたかったが、そういう空気じゃなかったのでやめる。

集合してまだ両替してる人を待ち、出て変な脇道からバスへ。自由席で座るように言われ、一人で窓際を確保。
私の前列に若い女の子が一人で座っていたら、黒い日本代表ユニ(しかも10番で素人臭さ満開)を着てグラサンをかけた男の人がその隣に座っていろいろ話しかけていて、ちょっとイヤな感じだなーと思う。

もう20時なのに空が明るくて広い。
バスは空港からイスタンブール郊外を走る。イスラム教国なのでそこらじゅうにモスクのミナレット(鉛筆のような尖塔で、その上からお祈りの時間を知らせるアザーンが流れる)が建っていて、テンションあがる。
さっそく窓からモスクを撮ろうと試みるが、スピードが速くて難しい。
トルコ人ガイドのラナさんが一緒に乗って、トルコには紀元前7000年から人類が住んでいたとか、アジアとヨーロッパの架け橋としてさまざまな戦争の舞台になったとかいう話をする。
今の季節、ほとんど雨は降らないのに昨日まで雨ばかりだったらしい。明日からの天気予報も雨続きだが、「私は晴れ女だから大丈夫です」。
実際一度も雨は降らなかった。

添乗員さんが「サッカーの結果がわかったんですけど、知りたくない人いますか?」と聞いて結果を教えてくれる。車内は特に反応がない。みんなサッカー興味ないのかな?

今夜のホテル「シェラトン・イスタンブール・マスラック」に着く。
このとき左足の痛さがマックスだった。出発前にもちょっと痛かったんだけど、飛行機の中であまり動けない状態でいたら一気に悪化したのか、膝がかなり痛い。このままだとキツイ。

ルームキーが配られ、部屋に入る前にロビーに無料PCがあったのでmixiにログインしようとする。
だが、トルコのキーボードは普通のキーボードと違うので、「@」が出せない。
トルコ語は「C」や「S」の下にニョロッと尻尾が生えたようなのや「i」の上の点がないものなど、アルファベットが多いので配列が違い、「@」は「Q」のキーの右下に書いてあるんだけど、シフト押しても出ない。

すると、私の前にもこのPCからmixiにログインした人がいたらしく、アカウントのところにメールアドレスのクッキー(?)が残っていたので、その「@」をコピペしてなんとかログインする。
普通の「i」のあるところには点なしの「i」が割り当てられているため書きづらい。

部屋に上がるとすぐにスーツケースが届けられた。
部屋は五つ星なのでとても広く、ベッドはキングサイズに枕がいっぱい、バスタブには大理石が使ってある。洗面台わきの拡大鏡には笑顔の口が描いてある。
ペットボトル2本の水をサービスでくれる。ティーバッグとかも置いてあるが、明日の準備してすぐ寝てしまう。

テレビだけはなんか映りがモワモワしている。ポルトガル対スペインが21:30キックオフで、なんとか前半まではぼんやり見てたが、後半は意識がなかった。

ベッドに入っても左足が痛くて、痛くない姿勢が一つしかなかったが、寝ているうちに治った。

7月5日(月)7日目 イスタンブール→グランドバザール
 
いつもよりのんびり起き、朝食は、前ひっくり返したシリアルを今度は気をつけて運ぶ。

8時にチェックアウトして、フロントで「ここから一番近い地下鉄の駅はどれですか?」と言いながらガイドブックの路線図を見せる。
ここからタクシーで5分くらいのところに地下鉄の駅があって、街に出られるという話を昨日聞いていたので。
すると、「道を渡ったすぐのところ」と言われる。持っていたガイドブックがちょっと古くて、今はもっと路線が伸びていた。ガイドブックの路線図に「今ここ」と書きこんでくれる。

確かに、ホテルを出ると道路の向かいに赤と青のそれらしい看板が見える。
なんとか工科大学前、という地下鉄の駅に降りて、自販機で1.5リラのトークンを買う。プラスチックの青いコインみたいなもので、これを切符がわりに自動改札に通す仕組み。

あと何分何秒で次の電車が来るかが電光掲示板に表示されていて便利。
タクシム行きが来て乗り込むと、座席がツルッとしたトルコブルー色で、車内も広いし新しくてきれい。
車内では音楽を聴いている人はいるが、本を読んでいる人や携帯をいじっている人は一人もいない。寝るわけでもなく、みんなじっとしてる。

タクシム駅に着き、地下ケーブルに乗り換える。
これも1.5リラのトークンが必要。
トークンを1個買って、さっきのと同じものなのを確認。このあともう一回電車に乗るので、もう一個買っておけばいいんじゃね?と気付く。

地下ケーブルはよく山にあるケーブルカーがトンネルの中に収まってる感じで、やや下っている。駅に巨大なケーブル巻き上げ機がある。
3分くらいで着き、今度はトラム(路面電車)に乗り換える。
地上の観光地周辺をずっと行き、オープンテラスでお茶飲んでる人の目の前とか、ほんとに店の軒先すぐを通るのでおもしろい。

グランドバザールの駅で降りて(駅名忘れた)、人波の行くほうへ流されていくと、すぐに門があり、中はアーケード。
アーケードは格子状にずっと広がっていて、道幅がけっこう広い。
金や宝石(アクセサリーもあれば塊や粒になった地金もある)、ぴかぴかの銀器、アンティーク道具(六分儀、カメラ、ランプ、懐中時計、剣、水差しなどなど宝の山)、絵皿と鍋敷き、色とりどりのモザイクランプ、螺鈿細工の飾り箱やバックギャモン&チェス

盤(表裏で両方遊べる。小さい箱になっていて中にコマが入っているものもある)、絨毯、革の服、あやしげなお土産用Tシャツ、明らかに偽物くさいブランドのカバンやコート、お菓子とティーバッグ……といった、おもに観光客向けの小さい店がびっしりと並ん

でいる。地元民はあまり来なさそう。
ところどころにカフェがある。

片隅に、チャイのコップをせっせと洗ったり並べたりしている狭いスペースがあった。ここからそこらのお店にチャイを配達するのだろう。
配達のおぼんを担ぎ、料理なんかも載せてる男の子を見かけた。

折りたたみのチェス箱がかわいくていいなと思ったが、30リラとか40リラとかするので買えない。この辺の小さな店ではクレジットカードも使えないし。
あと、青い目玉が表紙の皮から飛び出ているような作りの手帳があって、ネクロノミコンっぽくていい!いやがらせのプレゼントとかにもうってつけ!と思ったが、やはり40リラとかする。手づくりの一品モノなので高いらしい。

グランドバザールの外に出て歩いていたら、さっきの目玉がついた手帳を店の前に出しているところを発見。しかもお店のドアにはクレジットカードが使えるシールが貼ってある。
これなら買える!と思い、交渉する。
45リラのアルバムに今回の旅行の写真をまとめて入れたらすごくいい!と思った。
「30リラなら買うよ」「40じゃないと売れない」「35リラはどう?」「5リラの差はたいした額じゃないけど、それが僕のプロフィットになるんだ、40じゃないとだめ」などと話すが、なんとクレジットカードが使えないと言われる。
「向こうに銀行があるからATMでおろしてきて」と言われるが、「account balance not enough」と表示が出て、意味がわからない(ちなみに残高不足という意味だった)。
よく考えてみたら、もしかしてクレジットカード作るときにキャッシング枠を作らなかったのかもしれない。そんなことってあるのかな……全然覚えてないけど。
結局あきらめる。
まぁ表紙はかっこよかったけどアルバム自体の作りはすごい安っぽかったし、mixiのアルバムで写真公開したほうがみんなに簡単に見てもらえていいよね、と前向きに考える。

鍋敷きが欲しかったので絵皿の店を見て歩く。だいたいはチューリップとかタイルの絵柄なんだけど、珍しくアラビア文字でアラーの名前が書いてあるのがあって、印刷はチープなんだけど、神様の名前を鍋敷きにしちゃうってのが逆にありがたいというか、鍋が

おいしくなりそうだなと思った。

6リラだと言われたが、財布を開けて「もうこれしかない」と言いながら小銭入れに入っていた4.5リラのコインを出したら、「日本人だからOK」と言われる。
丁稚みたいな若い男の子が新聞紙に包んでくれたので「テシェッケルエデリム」(ありがとう)と言ったら、「なんで感謝するの?」みたいな返事をされた。新聞紙で包むのは当たり前でしょってことか。

ちなみにトルコ語でしゃべれるようになったのはメルハバ(こんにちは)とギュナイドゥン(おはよう)とテシェッケルエデリム(ありがとう)だけだった。どこに行っても日本語が通じるからトルコ語をしゃべる必要がなく、しゃべらないから覚えない。

ぼちぼち時間なので集合場所のヌルオスマニエ門に行く。
修復中のモスクがあり、白と青の、王子様のような衣装を着て杓?ロッド?を持った男の子が、親(こっちは普通の服)に連れられて中に入っていくのを見かけた。七五三みたいなものか?と思ったがあとで調べたら割礼式の前のお祈りらしい。文化の違いを感じ

る。

最終的に財布の残金は2リラ10クルシュ。わずかに126円。

オプショナルツアーに行っていた人とも合流し、バスに乗って昼ご飯。海沿いのレストランへ。
メニューはくだいたレンズ豆のスープ、野菜入りの春巻、そしてドネルケバブ。最後の食事でついに来た。日本でもよく見かける、筒状につるした肉をこそげとる奴。マッシュポテトとピラフつき。おしかったが、けっこうみんな残してて、残すくらいなら欲しか

った。チャイは4リラでお金が足りなかった。

そこからすぐ空港につき、ガイドさんとお別れ。
みんながそれぞれここでチップをあげる決まりだとすると、私2リラしか持ってないから困るなと思ったが、そういうことはなかった。
ただ、みんなが飛行機に持って入れない水のペットボトル(トルコでもらったやつじゃなくて日本からわざわざ持ってきたやつ)をあげていた。

中に入り、搭乗時間まで2時間余裕があるので1時間かけてお土産屋と免税店めぐり。
カフェやスタバがあり、トルコ物価なら何か飲めるかな?と思ったが、カフェラテのショートが6リラと、普通に日本と同等の値段。
待合所に座って日記メモを手帳に小さい字でちまちま書いていたら、隣に座ったトルコ人のおじさんに、「それってあとで読めるの?」と聞かれ、「メイビー(笑)」と答える。
手荷物チェックしてさらに中の待合室に移ると水のペットボトルの自販機があって、ちょうど2リラだったので1本買う。

帰りの飛行機はトルコブルーの椅子で、足置きがあるのがすごくよかった。ゲームはちょっと少なくて、マインスイーパがあったけどコントローラーだとやりづらい。
逆に映画とCDは多い。のだめの映画があった。
エルトン・ジョンのベスト盤を聴きながら夜ご飯。

チキンかパスタが選べて、パスタにしたらトマトとナスのペンネで、ペロリと全部たいらげる。キドニー豆の煮込みと、トマト・キュウリ・チーズにオリーブオイルとレモンをかけるやつ、くるみと洋ナシのケーキはおいしかった。
食後に「ティー」をもらったら緑茶だった。
そのあと朝ごはんまで寝たり起きたり。

7月6日(火)8日目

朝ごはんはフィル・コリンズのベスト盤を聴きながらスクランブルエッグ、焼きトマトとソーセージ入りのホットサンド、オリーブとチーズの盛り合わせ、ベリーヨーグルト。これが最後のチェリージュースを飲む。チェリージュースだけは人工甘味料の味がしな

い。

トルコ時間の18:30に出発して、トルコ時間朝4:00、日本時間10:00ごろに到着。13:00には帰宅。
気温はそんなに変わらないが、湿度がまるで違うので日本のほうがはるかに暑苦しく感じる。

まとめ

・トルコは物価が安く、ごはんがおいしく、治安があまり悪くないので暮らしやすい。
・観光客の行くところばかりに行ったというのもあるが、日本語の通じる割合はハワイ並み。
・今回の旅のハイライトは、夜行列車の中でリンゴかじってるところだった。
・リュステム・パシャ・ジャーミイもよかった。エフェスのでっかいオデオンと、トロイ遺跡の寂れた雰囲気も良かった。
・カッパドキアは洞窟の中に入れなかったのが残念だった。また機会があったら洞窟ホテルに泊まったりしたい。10日間のツアーだったら泊まれたな。
・今回ほとんど前情報なしに出かけたので、「テレビでよく見るあれがココかー」というような、確認するだけにならなくてよかった。
・「他人と当たり障りのない世間話をする」というスキルがもともとほぼゼロなので(趣味が共通してればその話はできる)、今回の旅でそのスキルは上がった。といっても、レベル99まであるうちの4~5レベルくらいだけど。
英会話教室でのフリートークみたいに、相手の話す内容からどんどん糸口をつかんで話を広げていかないと会話が続かないんだけど、もともと他人に興味がないので続かない。別にあなたの家族のこととかどうでもいいしー、みたいな。かといって自分のことばか

りべらべらしゃべってもやはり話がおもしろくないという自覚はあるので、結局話が続かない。
・添乗員さんが「何度ツアーに行ってもやはり一期一会の縁」みたいな挨拶をしていて思ったけど、私は物との縁はけっこう大切にするけど、人との縁はあまり大切にしてないなと。というか、無意識的に縁を切りたがってるフシすらある。もう二度と会うことの

ないであろう人と仲良くしてもあんま意味ない、みたいに思っちゃうんだけど、本来それも旅のだいご味の一つだよね。いわんや日常においてをや。

おわり
7月3日(土)5日目 コンヤ→カッパドキア→アンカラ

朝食ビュッフェで巣に入ったままのハチミツを切り取って食べる。蜜蝋の部分がやわらかくて食べやすく、味も濃厚。
皮つきリンゴなどを刻んだフルーツにベリーヨーグルトをかけて食べるとうまい。干しナツメも予想外においしく気に入った。

バスでコンヤを出てカッパドキアへ。
地平線まで続く原野で、たまに羊の群れがいる。

ドライブインで刺繍入りの手帳7リラとトルコ音楽のCD15リラを買った。
「どんなCDがいいのか」と聞かれたので「トラディショナル、ボーカル、フィーメイル・アンド・メイル」と言ったら「これが有名だ」とお勧めされた、怪しげな絵の描いてあるコンピレーションCD。
帰って聞いたらいかにもなトルコ音楽がいっぱい入っていて、そんなに面白いものではないが聞くだけでトルコの空気を思い出すものだった。
かわいい織物のCD袋に入れてくれた。

カッパドキアの街を見渡す高台の上でまず降りて、写真を撮る。
トルコの有名な伸びるアイスを売っている。「ドンドゥルマ」というのは単に「アイス」の意味で、あの伸びるアイスはマーラシュという土地の名産品なので、正しくは「マーラシュ・ドンドゥルマ」と呼ぶべきらしい。
私はもともとそんなにアイス好きってわけでもないし、どうせ食べるなら伸びるアイスより普通のアイスのほうがいいので、買わなかった。
そしたら初日にバスで隣だったおばさんが一口くれた。みっちり固く詰まった食感。

次に大きな岩のふもとへ。三角形の岩にたくさん穴があって、かつてキリスト教徒たちが隠れ住んでいた。昔から住んでいた人は今でもここに住めるらしい。
一緒に写真を撮るとお金を取られるラクダがいる。
ここの土産物屋ではストールにみんなが群がる。カシミヤの最上級素材であるパシュミナ100%のストールがいっぱいあって、日本で買ったら何万円もするのにここでは1枚1000円! 安いわ! ということでみんなして買う。
まぁパシュミナ100%とは書いてあるけど……。
でも実際手触りはいいし軽くてあったかい。昔持ってた毛糸の黒いひざかけの代わりに1枚あってもいいなと思い、17リラで購入。

次に「スリー・シスターズ」と呼ばれる三つの岩の展望台へ行く。
肩を寄せ合う三つの塔のような岩があって、白い坂道を歩いて行くとダイナミックに景色が変わる。

昼ご飯は洞窟風ホテルのレストラン。
古びた建物の間の階段をのぼるとおもむきのある建物に入り、眺めのいい2階に案内される。
木の重厚な建物で、エアコンがないので窓を開けると風が吹きぬける。眼下に町が一望できる。
ここのレストランはピアノの生演奏つきで、若者がそこまで上手ではないが得意げな顔で「さくらさくら」など弾いていた。
メニューは野菜スープ、いんげんとタマネギとトマトの煮物、メインがマスの塩焼きにピラフと焼きトマト添え。デザートはスイカ。テーブルに魚醤としょうゆと思われるものが用意してあった。

トルコ絨毯の店に連れて行かれる。
手織りや蚕の繭から絹糸を作る説明ののち、広い部屋に行き、壁沿いにあるベンチに座ってリンゴジュースをふるまわれる。
ここも日本語が達者な店長がいて、中央の広いスペースにたくさんの絨毯を広げ、いろいろ解説してくれる。
「トルコリラ、円、ドル、ユーロ、なんでもOKです。現金、クレジットカード、トラベラーズチェック、なんでも使えます。クレジットカードはVISA、マスター、JCB、アメックス、なんでも使えます。でも、suicaだけはだめなんです」と言うので大ウケ。関西か

ら来た客だったらicocaに変えるのかしら。
靴を脱いで絨毯の上を歩いたり座ったりしていいとのことなので、座ったりなでさすったりする。こんな機会でもないとできない。

説明が終わると店員総出ですごい売り込みをかけてくるが、私のところには一人も来ず、放置。
絶対買わなそうな夫婦のところに、95万円もする高級キリムを売ろうとしている店員がいて、相手にしてないのに必死に値段を下げて最後は「78万円でもダメですか!?」となっていた。そりゃ無理だろ。
けっこう買っている人がいて、1万円くらいの玄関マットくらいのものから、25万円の大きなものまで(よほど大きい家なんだろうな)。

トルコの首都、アンカラの駅に到着。駅ホームにあるレストランに入って晩ご飯。
メニューはトマトのスープと、トマト風味のケバブ(羊)とポテト、デザートにくるみパイのシロップ漬け。
いつも思うけど、シロップに漬けるのをやめたらそれぞれけっこうおいしいお菓子だと思うのに、全部シロップ漬けにするから味が「甘さ」だけに均一化してしまってもったいない。

アンカラ・エクスプレスに乗りこむ。夜行列車は初めてで、テンションあがる。
部屋は二段ベッドのある二人用の一等寝台だが、一人で使うには十分広い。
入って右手脇に洗面台があって、ちゃんとお湯も出る。左手に座席(降ろすとベッドになる)、正面に窓、右手に冷蔵庫とハンガーと物置台。
冷蔵庫の中には水とアンズジュースの紙パックとチョコバーとクラッカーが入っていて、これはサービス。
ほかにウェットティッシュと、電車マニアにはたまらない感じをかもしだす使い捨てスリッパもついていた。
廊下はせまく、車両の両脇にトイレがある。

乗ってしばらくすると車掌さんがそれぞれの部屋の座席をベッドにしに来て、2リラのチップを払う。
ベッドは狭くて落っこちそう。赤い可愛い毛布がかかっている。

明かりを非常灯だけにしてカーテンを開け、窓によりかかって外の景色を眺めながら、朝のビュッフェでくすねてきたリンゴにかぶりつく。
この瞬間ほど「私、いま旅してる!!」と思ったことはない。今回の旅行のハイライトと言ってもいい。
でもリンゴはスカスカして見た目ほどおいしくなかった……。

普通の電車(そこそこ客が乗っている)を追い越したり、照明もなく真っ暗な駅のホームに待っている人がいてびっくりしたり、モスクをライトアップしていたり、街灯ひとつなくどこまでいっても真っ暗闇の道路を、ヘッドライトだけで疾走する一台の自動車と

しばらく併走したりした。
あの道路の真っ暗さにはかなり命の危険を感じる。

23:30には電気を全部消して寝る。かなり揺れるし、どこからの音だかわからないガタガタという音もするんだけど、その揺れがいい感じに眠気を誘い、よく寝た。

7月6日(日)6日目 イスタンブール→ブルーモスク・トプカプ宮殿・イスティクラー通り

5:30に車掌が「モーニング・ノック」、朝ごはんは6時から食堂車にて。ちょうど日が昇り、海が視界に入ってきたあたりだった。
皿にチーズやオリーブ、トマトやジャムが盛り合わせてあり、テーブルにパンと熱々のゆで卵が山積みになっている。
チャイは二杯まで、コーヒーは一杯までついてくる。

イスタンブールのハイダルパシャ駅に降りたつ。
バスは海沿いに走り、今までずっと旅してきたアジア側の大陸からボスポラス大橋を渡ってヨーロッパ側の大陸へ。

まずはブルーモスク近くの競技場跡へ行く。
エジプトから持ってきて、大きすぎたので下を切り落として立てたオベリスクと、それを真似て昔の人が小さい石を積み上げて作ったらしいオベリスクもどきの塔、そしてギリシャがマケドニアとの戦争に勝った時に敵の武器などを溶かして作った「蛇の塔」があ

る。
オベリスクは建てる技術がなくて、持ってきてから長年寝かされたままだったらしい。さすが古代エジプトの技術は世界一。

今までのトルコ各地では野良犬がずいぶん多く、観光地では耳にタグがつけられた犬がゴロゴロしていたけど、イスタンブールに入ると一気に猫だらけになる。どこにでもいる。野良猫に優しい国らしい。

8時にブルーモスクの中に入る。
とても広く、天井も壁もどこもかしこも装飾びっしりで大変美しいのはおなじみの通り。
ミフラーブの前で祈っている人がいた。

集合時間に社長のドラ息子が遅刻。今までもしょっちゅう一人でたばこ吸いにどっか関係ないところにフラフラ行ってしまい、添乗員さんが駆け回って探すということが多く、ツアーとしてはかなり迷惑。というかその人がいるせいで、「私もちょっと遅れても大

丈夫でしょ」という気分が蔓延しやすく、全体的に集合時間が遅れやすいツアーだった。
まぁ、必ず5分前集合で、時間通りに帰ってきたのに全員に「この人遅いわね」みたいな顔で見られるよりはマシだけど。
とはいえ、36人のツアーで5分遅刻するということは、35人×5分で175分の他人の時間を奪っているのだということを……こういう人は言ってもわかんないんだろうなぁ。
さすがにガイドさんに「今度は置いていきますよ」と言われてた。

アヤ・ソフィアはツアーに入ってないので残念ながら通りすぎて、トプカプ宮殿へ。
ここまでくると観光客だらけ。
集合時間と場所を決めて解散。

まだ朝なので、すいているうちに宝物庫を見ておけと勧められる。
超巨大なエメラルドやルビーがゴロゴロついている金ぴかの水差しとかアクセサリー、鎧や矢筒に剣、スプーン屋のダイヤは86カラットあるんだけど、全体的に宝石は大きすぎてもはやただのガラス玉にしか見えない。もうエメラルドとルビーはいいよ、って気分

になる。
しかし世界から集めたすさまじい宝の山なんだなということはわかった。

宝物庫から海を望むバルコニーに出ると、とてもさわやかで景色がきれい。
次にイスラムの聖なる遺物をおさめた宝物庫へ行く。
ここは大変面白かった。カアバ(メッカの中心にある黒い四角い建物)の聖なる鍵がいろいろ、モーゼの杖(ほんとか?)、ムハンマドのひげ、そして洗礼者ヨハネの頭蓋骨と手(豪華に装飾された箱に穴が開いていて中にミイラ風のものが見える)、などなど。

また、眼鏡のおじさんが生でコーランを読んでいて、その声が朗々と建物中に流れている。いかにもありがたい感じで、しばらく拝聴させていただいた。
お経は聞いてても眠くなるだけなんだけど、コーランは聞いてると癒される。あとアザーンもテンションあがるし、アラビア文字も大好き。きっと前世はイスラム教徒だったと思う。
さらに図書館や謁見室、土産物屋などに入って集合。

昼ご飯の前に、リュステム・パシャ・ジャーミイに行く。
エジプシャン・バザール近くの、道端に靴を並べて売っているあやしげな露店が並ぶ界隈を入り、薄暗い階段を上ってモスクに入る。
ここはかなり穴場らしく、観光客が全然いないが、ブルーモスクも設計した有名建築家ミマール・スィナンが作ったところで、イズニック・タイルが非常に美しいことで知られる。
実際、ブルーモスクは一部にしかタイルを使っていないが、ここはほぼ全面が青いタイルに彩られ、こじんまりとして端正な建物。

クムカプという場所へ移動して昼ご飯。港からすぐ近くの魚を扱うレストランだけがずらっと並んだ地帯で、排水口の蓋に魚の絵が描いてある。

魚のスープ(おいしい)、前菜はポテトとホウレンソウをやわらかく煮たのと豆の煮込みがテーブルごとに出てくる。メインはサバをトマトとチーズで煮た鍋……みたいな感じで、私はあまり好きではなかった。
デザートは甘いプディングで、全粒粉なのか、クスクスっぽさもある。
食べていると野良猫がやってきて、隣にいた猫大好きなおばあさんの足元に座りこみ、ずーっと待っている。パンは食べない。サバをちょっと落としてあげたら喜んで食べていた。二匹いた。

帰りに、トルコアイスの屋台があって、日本のテレビにも出たことがあるという有名なおじさんが売り子をやっている。3リラで買って食べる。
カメラを向けると隣にある絵看板と同じポーズをとってくれる。
アイスはすごく固いので、手にマメができている。
ガイドさんが「このおじさんはずっと昔からここに店を出していて、冬でも休まない」云々と宣伝して、一つサービスされていた。

次に新市街のイスティクラー通りというところで自由時間。
歩行者天国で左右に服屋やファーストフード店が並び、人がいっぱいいて竹下通りみたいな感じだと思った。あれよりは道幅広いし真中を路面電車が走ってるけど。

バーゲン時期らしく、どの服屋もみんな50%オフになっている。
見てみると確かにすごく安かったりするが、デザインはそこそこで、別に今ここで買わなくてもいいかなという感じ。ちょっといいなと思ったキャミソールは5000円もしてセールじゃなかった。

本とCDとおもちゃをまとめて扱う店に2軒入る。
マジックは7版のスターターの箱があって「トルコ語の説明書入り」的なことが書いてあった。
これを見る限りプロツアー・イスタンブールとかが開かれることはなさそうだ。あったら絶対行くんだけどなぁ。
あと、ジグソーパズルがけっこう盛んなようで、いろいろ置いてあったが、絵が微妙なのと、ピースが大きくて場所ふさぎなのが残念。
PCやPS3のゲームソフトはみんな英語のままで、あまりメジャーではなさそう。

ファーストフードは、今まで田舎だとバーガーキングを見かけたことがあるだけだったけど、ここまで来るとマックもケンタもスタバもある。ケバブのサンドイッチとかおいしそうなんで食べたかったけどお腹すいてない。

集合してバスに拾われ、ホテルへ。
最初の日に泊まったのと同じシェラトンで、あの時はよくわからなかったけど、今になってみると市内からすごく遠いところに位置しているということがわかる。

16時前にホテルに入り、ロビーのPCを使う。
「@」の出し方がやっとわかった。左シフトと右シフトで違う字が出る仕様になってる。
ネットでさっそくマジック日本選手権の結果をチェック。ツイッターも見てたら一気に日常生活気分がよみがえる。

夜ご飯はバスに乗ってタクシン広場近くのレストランに行く。
メニューは挽割小麦?のスープ、千切り野菜のサラダ、おからみたいなチーズとひき肉が入った春巻、キョフテ(チキン系でやわらかい、串にさして焼いた細長いハンバーグのトマト煮込み)にピラフとフライドポテト添え。デザートはナッツがついたシロップ漬けケーキで、ちょっと和菓子っぽい風味も。

帰り道で、「ベリーダンスと民族舞踊のショー」というオプショナルツアーを取っている人を途中で下ろして、ホテルに戻る。
民族舞踊に興味はあったけど、8000円は高い。

ホテルで、添乗員さんと明日の自由時間について相談。
明日の午前中はやはりオプショナルツアーで「ボスポラス海峡のフェリークルーズ」というのがあるのだが、それを取ってない人は昼にホテルの入り口に集合することになっている。それだと、午前中の自由時間にどこかへ行きたいと思っても、一度ホテルに戻ってこなければならない。
ただ、そのあとグランドバザールにみんなで行くので、グランドバザールにいればバスに拾ってもらうことができるそうだ。

財布を見ると、枕チップを2リラ置いたらもう残りが25リラしかない。
もうだいたいお土産は買ったからいいけど。

つづく
7月1日(木)3日目 エイドレミット→トルコ石の店→エフェス遺跡→革製品の店→パムッカレ

昨日と同様のスケジュールで朝食ビュッフェ。
バラのジャムとあんずのジャムが珍しかったのでお土産に持ち帰る。皮のないソーセージみたいなのもおいしかった。豚は食べないから鶏だろうか?
ミックスジュースが喉に引っかかる甘さで、残す。たぶん人工甘味料の味だと思う。

バスに乗る際、前から3列目を指定される。今日は一人席。
エイドレミットから南下し、ベルガマ近辺のトルコ石の店に連れて行かれる。
ツアーだから、こういうショッピングの機会が計3回入ってくるのは仕方がない。

ふつうのつるっとしたトルコブルーのトルコ石だけじゃなく、アンティークトルコ石といって土っぽい色の石がまだらに入って複雑な模様になっているものが多い。こっちは地球みたいできれい。かなり緑がかっていて、模様のせいでいかにも一点もの!って感じ。
でも、値段はいちいち店員に聞かないといけなくて、ひとつまみもないほどの石を4つクローバー型に連ねたネックレストップが7万くらいする。「もっと安いのがよければあっちには3万円からあります」と言われて、こりゃないなと思う。
店員がずーっとついてきて説明を続けようとするので、トイレを借りると言って店の外に出る。
しばらくするとFXのおじさんが出てきて、「奥さんにこのデザインを買って来いと厳命されていた」とのことで、小さいのが二列に連なったデザインの指輪を15万円で買ったという。
そのおまけでもらった、小さいトルコ石の粒がついた安全ピンを私にくれた。

添乗員さんが12月生まれなので、トルコ石は誕生石。ちょうど30歳になったとのことで、今回の旅行の記念にとペンダントを購入してさっそくつけていた。
私は確か30歳だからってことで今のデジカメを買ったんじゃなかったかな。私にとっては、カメラは宝石よりずっと大事だし使いでがある。人それぞれ。

エフェスの手前のレストランで昼ごはん。
メニューは野菜スープ、ビーツやニンジンを千切りにして盛り合わせたサラダ(オリーブオイルとレモンをかけて食べる)、ズッキーニとニンジンの入ったやわらかいオムレツ……というかキルシェっぽいもの(すごい薄味)、そしてシシカバブ。牛肉とタマネギとトマトが長い鉄串に刺さってて、下に固いナンがしいてあり、それに挽き割り小麦?のピラフとピリ辛のタマネギ、いためたポテトにヨーグルトソースをかけたポテトサラダが添えてある。デザートはチョコレートムースと丸くくりぬいたスイカ。
エルマチャイ(アップルティー)を3リラで注文。リンゴジュースを温かい紅茶に足したような感じで、薫り高くおいしい。

エフェス遺跡に到着。
ここは古代ギリシャ人が建設した都市国家で、面積が広く、いろいろな建築物が残っていて見ごたえがある。その分観光客も多い。

公衆トイレだったという、穴がいっぱい並んでるところがあって、どれどれと穴に座ってたら「シャッター押しましょうか?」と言ってくれる人がいたのでなんかふんばってるポーズ(笑)で撮ってもらう。
セルスス図書館という、二階建ての建物の入り口部分が非常に大きくて立派。その下の日陰に観光客がびっしり座っている。
文字がいっぱい彫られた石壁の前にモデル立ちで腕を広げてカッコつけて立ち、みんなに写真を撮らせている白人の女の子がいた。謎。

奥へ進むとすごく大きなオデオン(議会にも使われる円形劇場)がある。今でもコンサートなどに使われていて、24000人収容できるらしい。
音響効果がすごくて、舞台に立って声を出すとうまく反響して、すごい後ろのほうの席でもはっきりとよく聞こえる。
クレオパトラとシーザーも歩いたといわれるアルカディアン通りを歩く。本来はこの先は港だったが、今は土砂が堆積して平野が続いている。

エフェスからパムッカレまでの長い移動の最中、今度は革製品の店に寄る。
ツアー客を細長い部屋に入れて冷たいリンゴジュースを配り、ファッションショーを見せる。
カッコいいお兄さんとお姉さんが、タグが付いたままの売り物のジャケットやコートを着たり脱いだりして歩いてみせる。
リバーシブルのジャケットが大変薄くて色がきれい。デザイン的にはまぁまぁ。ベルトが後ろでクロスしたデザインの茶色の半コートがあって、あれはいいなーと思っていた。

すると今度はモデルさんが客席に降りてきて、4人つかまえてモデルに仕立てる。
2番目にイケメンのお兄さんにつかまえられてしまった。
舞台の奥には服がいっぱいかかったハンガーがあって、その中からお兄さんが、さっき私がいいなと思ったコートをさっと引っ張り出して着せてくれた。おお、運命!?
着てみるとやたら軽い。お兄さんと腕を組んで舞台に出、「ベルトをほどいて前を開けてポーズを取れ」と指示されたのでそのようにする。
最後は全員並んで手をつないでお辞儀。

そのあとショップに連れて行かれ、また店長がいろいろ説明する。
日本語が達者で、「みなさんこんにちは。トルコ語で“こんにちは”は、メルハバ。私はご覧のとおり、L幅」とか、皮の見本を持って見せながら「これは羊の皮、こちらは最上級の子羊の皮、そして毛が生えてるのが私の皮です」とか、うまい。

さっき着せてもらったコートを探すと、1225ドルという値札がついている。高っ。
店員が来て「94000円くらいだけど、今はシーズンオフだから84000円まで下げます。店長に相談したら80000円になるかもしれない」と言われる。
ベージュもあったんだけど「茶色のほうが合わせやすい」と言われる。あと「ヨーロッパのトップブランドの革製品はなめしと縫製をトルコでやっているものが多い」のだそうで、「これにバーバリーの裏地がつくと40万円になる」とも。どこまで本当かわかったものじゃないけど。

高いとは思うのだが、今持ってるかなりすりきれたスエード風の上着や、裏地が破けてきたツイード風の茶色のジャケットの代わりとして、長年着られると思えば、これも一つの縁かなぁ……などと考える。
私は基本的に旅先で自分用のお土産をあまり買わないが、服や靴は今までもけっこう買っている。その場所のことを思い出すし、日本では売ってないと思うとちょっとうれしい。

8万よりは安くならないの?と言ってみたら、店長と相談して78000円と言われる。ここでさらに75000円なら買う、とか言ってみればよかったんだけど、それまでにもかなり長時間店員を拘束してしまったしなぁ……と弱気になってしまい、それで買うことに。
契約が成立すると店員さんたちが拍手でレジにご案内。

たぶん値段なんてあってないような商売だから、いくら物がいいとはいっても原価は2、3万円とかなんじゃないかなぁ。もっと頑張ればよかったと後悔するものの、もともと欲しかったこちらの足元を見られてしまった。
とはいえ、ツアーのほかの人たちに「ショーで着せてもらったやつを買いました」と言ったら、みんなに「あれすごく似合ってた」と言われまくる。生涯でこんなに服を「似合う」と言われたことは今までないってくらい連呼されて、気を良くする。

夕方、温泉リゾート地パムッカレのホテル「ポラット・サーマル」に到着。温泉やプール・エステなどがあり敷地がだだっ広い。
部屋は素朴な感じの小さいベッド二つにキルティング風のふとんがかかっている。

ホテルのレストランで晩ご飯。今回もビュッフェ。
その場で作ったパスタを供しているのだが、具は一緒なのに作るたびちょっとずつ味が違う。シェフの気まぐれパスタ?
ズッキーニにライスを詰めてヨーグルトソースをかけた一種の前菜が、不思議な風味でおいしかった。鶏肉グリルはあまり味がない。マーボー茄子みたいな料理もあった。

その後、部屋でいったん水着に着替え、温泉へ。プールみたいな感じだけど中央に湯が噴き出る火山型の噴水があり、水は泥色に濁っている。
入るための階段がぬるぬるしていて、さらに床に足をつけると砂がいっぱい沈んでいて足指の間からニュルニュルと斬新な感覚。でもあったかくて気持ちいい。
しばらくしてのぼせたので部屋に帰ると、プールの上にきれいに星が出ていた。部屋に眼鏡を取りに戻ってからもう一度、明かりのない中庭に出て空を見上げると木々の間にいっぱい星が見える。でも周りが暗すぎてちょっと怖い。

23時過ぎに寝たが夜中に蚊がいたので、起きて叩き殺す。

7月2日(金) 4日目 パムッカレ→コンヤ(メヴラーナ博物館)

朝ご飯のビュッフェは、フレンチトーストが甘くなかったり、またジュースが人工甘味料の味だったりというのはあったが、コーンフレークにレーズンのジャムを入れたり、パンにあんずジャム(出来合いのじゃなくてちゃんと煮て作ったやつ)をつけてチャイを飲み、満足。

近くのパムッカレ(ギリシャ時代の温泉保養地)へ向かう。山の斜面の一部が真っ白になっていて、遠目に見るとスキー場みたい。
ヒエラポリス遺跡を抜けて、温泉が流れる白い段々畑みたいな石灰棚のところへ。温泉開発によってここには水があまり出なくなり、一部の場所に流しているだけらしい。
そこらじゅうに野良犬がごろごろしていて、暑いので地面でグッタリ死んだようになっているのだが、みんな耳にタグがつけてある。

お湯につかれる場所でいったん解散。
白い段々畑の間にお湯が流れる水路があり、日本人は裸足になってそこに座って足湯。白人たちは水着で寝そべったり、もっと奥の水につかったりと、リゾートを堪能している。日本人はみんな厚着で日傘をさしている。
水路はちょっとぬるっとしているがあったかくて水流が強く気持ちいい。段々畑のほうにたまった青色の水は冷たい。石灰岩のギザギザが一面にあって、裸足で歩くとけっこう痛い。しかも、万一段々畑から転がり落ちたら相当下まで落下すること必至。一応警備員がいて、あまりフチに近づくと笛をピピーと鳴らしている。

足を水たまりで洗って乾かして靴を履いたら、とても気持ちよかった。
集合場所の建物の中に「アンティーク・プール」というのがあり、これはギリシャ時代の本物の遺跡が中に沈んでいるプール。入場料を25リラ(1500円)も取る観光客仕様で、むっちりと肥った白人たちがいっぱい入っていた。
そのまわりに売店があり、ここで飲むヨーグルトの「アイラン」を2リラで買う。まったく甘くなくてスッキリした味。

集合を待ちながらカメラ女子と話す。かわいいストラップですねと言ったら、自分で企画したものらしい。
今朝がたからの写真を見せると(昨日までのはPCに移してしまってもうない)、「レンズが明るいから光って見えますね、いい意味で」と言われる。うーん、そうなのか? よくわからない。
また、彼女はレンズフードを持ってこなかったので、こういうまぶしいくらいの日には持ってくるべきだったと言っていた。それは確かにそうかも。

パムッカレを出て、古都コンヤまで長い道のり。
昼ご飯はレストランの大きな円形ホールにて。
メニューは、よく出てくる千切りにした野菜のサラダ(オリーブオイルとレモン)、いんげんとニンジンのオリーブ煮(味がないので塩をかけて食べる)、そして羊ミンチ肉のケバブ(串からは抜いてある)に焼きトマト。
このケバブがおいしくて、「これこれ、この味をトルコ料理に求めていたんだよ! もっと早くこれを出してくれよ!」と思った。
それから、薄い生地にひき肉を乗せたトルコ風ピザ(トルコ語だとピデ)もおいしい。
デザートはビュッフェで、山積みにしたダークチェリーをたくさん食べた。あとはプディングとか甘いのばかり。

ひたすらバスで寝ていたら大きな町に入った。やたらと新しくて道路幅が広くて路面電車が走りカラフルな集合住宅が整然と並んでいて、ここはどこだろう?と思っていたらもうコンヤの街だった。
メヴラーナ博物館に行く。
白い服を着てグルグル回り続ける「セマー」(俗に回教とも言う)の開祖である、メヴラーナのお墓がここにある。

入り口の上には美しいアラビア文字の額がかかっている。
今までのツアーではギリシャ遺跡ばかり見てきたので、いよいよイスラム文化が始まりテンションあがる。
中に入るときにちょうど、一日五回のお祈りの時間になり、朗々とアザーンが響く。素晴らしい。

中は写真撮影禁止とのことなので、必死に目を凝らす。
小さい字を連ねて大きい字を書いたり、文字の芸術作品がたくさんある。木でメッカの風景を浮き彫りにしたものや、とても古くて価値がつけられないほど立派なお祈り用の絨毯もある。
メヴラーナ本人と、父親と息子の大きなお墓があり、豪華な布で棺が覆われ、ターバンがついている。ほかにも棺はいっぱいあるが、ターバンの色や形で生前の職業などがわかるらしい。
メヴラーナが着ていた服や当時の楽器も展示されている。バイオリンにそっくりの弦楽器があるが、指板や弦を巻くところなど、つまりバイオリンなら黒くなっている部分がみんな象牙細工でできていて、さらに「f」型の共鳴板の穴がアラビア文字のような不思議な形の切りこみになっている。美しい。

ミフラーブ(メッカの方角を示す簡素な祭壇)の隣には、もっとも価値のある古いじゅうたんがかけられ、ムハンマドのあごひげ一本をおさめた黄金の箱が安置されている。
「ムハンマドのあごひげはバラの香りがする」と言われ、箱を入れたガラスケースには空気穴が開けてあり、みんなそこに鼻をくっつけて匂いを嗅ぐ。
私も嗅いでみたら、箱の下に敷いてある織物に炊きしめてあるとおぼしき、お香の香りがした。

それから手書きの古いクルアーン(コーラン)の本がいっぱいある。
金銀色とりどりで緻密に飾り立てた豪華本に、人差し指と親指をくっつけて作った丸くらいの大きさしかない八角形の豆本もあれば、両手でやっと抱えられるかどうかという巨大な本もあるし、ページ全体がぜんぶ金で塗られ、その上に羽根と花の装飾をちりばめたもの、黒地に金で文字を書いたものなどなど。

今日のホテル、「デデマン・コンヤ」にかなり早い時間にチェックイン。
洗練された高級ホテルで、プールに入るのに25リラもとる。
部屋の窓から広場に立つ大きなトルコ国旗が見える。今まで書き忘れてたけど、トルコにはあちこちに巨大な国旗がはためいている。街中にも未開の地にもどこにでもあり、色あせないあざやかな赤色で、風が強いのでよくはためいている。

テレビをつけたらちょうどオランダ対ポルトガル戦が終わろうというところだったので、最後まで見る。
その後、晩ご飯まで時間があるので、ホテルの向かいにある大きなスーパーへ行く。
目立つところにはお試し、というかプロモーション商品のお菓子や飲み物が積み上げてあって、べらぼうに安い。
よくイベント会場に設置してある、タンクに入った水が1つ60円だったり、スイカが1キロあたり30円だったりする。

お湯を注いで作るトルコ風のスープを2つ買った。あとヘーゼルナッツペーストの小瓶が3個セットになってるやつも。
ハリボーのグミの、日本だと300円くらいするピーチの袋が1リラだったのでカッとなって買う。
あとお土産のガム、歯みがき粉、ビスケットなど、小さくて軽いものを探す。
ピクルスを買おうかなと思ったけど、万一瓶が割れたりしたら目も当てられないからやめる。
合計20.57リラをレジで払う。
トルコではウェイトレスという職業がないようで、飲食店のウェイターや店の売り子は全員男性なんだけど、レジ打ち係は女性だった。

20時からホテルのレストランで晩ご飯。
今回はビュッフェじゃない。高級ホテルだけあって飲み物の単価がだいぶ高かったので、頼まなかった。
まずマッシュルームのスープ(うまい)が出てきて、次にペンネアラビアータ、それからローストビーフ。肉が赤くなくて大味。マッシュポテトはおいしい。でもこれってトルコ料理じゃない……。

同卓の夫婦の旦那さんが、仕事で台湾の行きつけのホテルで、「日本人が立てこもって包丁持って暴れてるから何とかしてよ」と支配人に言われ、「同じ日本人なんだしここはひとつ」などとよくわからない説得をさせられて生きた心地がしなかったとか、北京発イラン行きの飛行機がオイル漏れを起こしてスチュワーデスがお祈りを始め、もうだめかと思ったがウルムチに不時着し、北朝鮮から積んでいたミサイルの可能性もある謎の荷物を積み替えるまで36時間ホテルに缶詰めにされたとか、面白い話を聞かせてくれた。

部屋に戻り、ウルグアイ対ガーナ戦をテレビで流しつつ風呂に入る。バスルームのスピーカーからテレビの音声が流れる仕様になっていた。
全体的にこの日はやや中休みっぽい日だった。ちょっと疲れがたまってきたころだったのでちょうどよかった。

つづく
トルコ旅行記 ダイジェスト版

※完全版もあとでアップする予定ですが、そちらはあったことを逐一書くので、基本的にはダイジェスト版をご覧になることをお勧めします。

阪急トラピックスの8日間のツアー。
文中、1リラは約60円。

6月29日(火)1日目 成田空港→イスタンブール

京成特急を使い、安価で成田空港へ。
36人のツアー客が集合する。今回は一人客の追加料金が半額になるという日程だったので一人客が多い。

トルコ航空直行便に乗り込む。
椅子の並びが3-3-3で、機内が広々していて、椅子の頭部分がしっかりしていて上下に動き便利。また、乗りこむときにスリッパをくれるし、毛布もちゃんと袋詰めされている。イヤホンは耳のスポンジ部分が別になっているものを配る。
さらにポーチに入ったアメニティグッズをくれる。中身は全部深緑色で統一されていて、アイマスク・靴下・リップクリーム・耳栓・歯ブラシと歯みがき粉。
ポーチもしっかりしてて、金のある航空会社は違うなぁと思った。

さっそくゲームの中からビジュエルド(mixiアプリにもあるやつで、昔海外旅行のときに機内でやってハマった)を遊ぶ。
目が乾いてきたころにロースト・ヘーゼルナッツが配られる。ドリンクはサワーチェリージュースを頼む。

CDもいっぱい聞けるので、まず「トルコのロック」というジャンルから適当にジャケットがかっこいいのを聞いてみる。トルコ語だがメロディはわりと普通に聞きなれた感じで、ちょっと古くさい。
次の「トルコのポップス」のほうが、いかにもくねくねとアラビアンな感じで、みなやたらと声がいい。
「伝統的なトルコの歌」というジャンルになると瞑想用の曲とかいうのも入ってきて、いかにもあやしげだがだんだんどれも一緒に聞こえてくる。
結局最後は「80年代の名曲」ジャンルからピーター・ゲイブリエルとかポリスをかけていた。
あと「ワールドミュージック」ってジャンルの中に、宇多田ヒカルがあった。

最初の機内食。パスタが切れて魚しかなかった。
タラは固くて味がなかったがサフランリゾットはおいしい。あと小エビのサラダにオリーブオイルとレモンをかけて食べるのと、ニンジンとネギのオリーブオイル漬け(冷たい)、チーズケーキ。
うすいコーヒーがけっこううまい。

途中のおやつとしてサンドイッチかフルーツケーキかおにぎりが選べて、梅おにぎりを食べる。冷え切っててお米がポロポロしてるけど、名残惜しい味。

最後の食事はチキンブレストのグリルで、ポテトグラタンとラタトゥイユもついてておいしい! 木の実入りパンとサラダ、あとチェリーケーキもうまい。
オレンジジュースが切れててまたチェリージュースを飲む。
もうそろそろW杯の日本対パラグアイ戦は終わっているはずだけど、どうだったのかなぁと思いつつ食べる。今の世の中、日本戦の結果を知ろうとして知ることができない人ってあんまりいないだろうなぁ。

12時間かかってトルコのイスタンブールに着く。
時差は日本より6時間遅れで、現地時刻19:40。

降りたところでツアー客集合。別の日本人のツアーに紛れ込んでいるおじいさんがいた。
両替窓口で1万円を165リラと4.57リラのコインに替えたのち、スーツケースを回収しようと待っていたが、添乗員さんがポーターに指示して全部まとめて運んでくれてる! ツアーってスーツケースを自分で運ばなくてもいいのか! すげー!!

バスに乗ってホテルへ向かう。自由に座るように言われ、一人で窓際を確保。
私の前列に若い女の子が一人で座っていたら、黒い日本代表ユニ(しかも10番で素人臭さ満開)を着てグラサンをかけた男の人がその隣に座っていろいろ話しかけていて、ちょっとイヤな感じだなーと思う。

もう20時なのに空が明るい。
バスはイスタンブール郊外を走る。イスラム教国なのでそこらじゅうにモスクのミナレット(鉛筆のような尖塔で、その上からお祈りの時間を知らせるアザーンが流れる)が建っていて、テンションあがる。
トルコ人のガイドさんが一緒に乗って、トルコには紀元前7000年から人類が住んでいたとか、アジアとヨーロッパの架け橋としてさまざまな戦争の舞台になったとかいう話をする。
添乗員さんが「サッカーの結果がわかったんですけど、知りたくない人いますか?」と聞いて結果を教えてくれる。車内は特に反応がない。みんなサッカー興味ないのかな?

今夜のホテル「シェラトン・イスタンブール・マスラック」に着く。
ロビーに無料PCがあったのでmixiにログインしようとする。
だが、トルコのキーボードは普通のキーボードと違うので、「@」が出せない。トルコ語は「C」や「S」の下にニョロッと尻尾が生えたようなのや「i」の上の点がないものなど、アルファベットが多いので配列が違い、「@」は「Q」のキーの右下に書いてあるんだけど、シフト押しても出ない。
すると、私の前にもこのPCからmixiにログインした人がいたらしく、アカウントのところにメールアドレスのクッキー(?)が残っていたので、その「@」をコピペしてなんとかログインする。

部屋は五つ星なのでとても広く、ベッドはキングサイズに枕がいっぱい、バスタブには大理石が使ってある。ペットボトル2本の水をサービスでくれる。
ポルトガル対スペインが21:30キックオフで、なんとか前半まではぼんやり見てたが、後半は意識がなかった。

6月30日(水)2日目 イスタンブール→ゲリボルで昼食→ダーダネルス海峡をフェリーで渡る→トロイ遺跡→エイドレミッド泊

6:30の朝食はビュッフェで、シリアルが何種類もあるだけでなく干し果物(アンズ、レーズン、イチジク)やナッツ(くるみ、アーモンド、ヘーゼルナッツ)にオリーブもいろいろとりそろえられ、ヨーグルトも3種類ある。ひゃーと嬉しくなって「このハムも取ろう」と、片手に持ったシリアルの皿を置いたところ、そのガラスがカーブしていて、ガッシャーンと床に飛び散るシリアル、二つに割れる皿、腕にかかる牛乳。これはひどい。近くに人がいなかったのが幸い。
謝って紙をもらってそのへんを拭き、何食わぬ顔でテーブルにつく。
グレープジュースかと思ってついだらまたチェリージュースだった。コーヒーはやたらうすいけど香ばしくてミルクいっぱい入れるとおいしい。

隣に座った一人客の男の人が、別の一人客の男の人に向かって、「昨日からすごい円高で、出がけにFXに補償金入れてこなかったら吹っ飛んでましたよ、ハッハッハ」的な話をしていた。

7:30にバス集合。
昨日別のツアーに紛れ込んでたおじいさんが遅れてきて、さらに「カバン忘れた」と取りに行く。20分遅れて出発。
席は前から4列までに座る人だけをローテーションで決めて、あとは自由席。
私は先に窓側に座ってたら、あとから一人客のおばさんが来ていろいろしゃべる。

イスタンブールはなだらかな丘にびっしり集合住宅があって、どんなスラムにもモスクがある。
街を離れると畑になる。北海道みたいにゆるやかな起伏にパッチワーク状のひまわり畑と小麦畑が黄色と緑に広がり、ところどころに木。

ドライブインで添乗員さんが買ったピスタチオのチョコバーを全員に配ってくれる。
あとツアーのおまけの、「ナザール・ボンジュウ」というトルコのお守りのごく小さいのを1つずつ。
これはお土産屋ならどこにでもある、青い目玉のお守り。かつてトルコには黒髪黒目の民族しかいなかったが、青い目の人種が入ってきたときにその青い目を凶眼と恐れ、対抗するために青いガラスで目を模して子供に持たせたらしい。

しばらく走ると、突然バツーン!!とすごい音がして、タイヤがパンク。めったにない事態らしい。
ドライブインでチェックしたら「すぐに直したほうがいい、15分ですむから」と言われ、突如休憩となる。
15分たってもタイヤ交換は終わらず、待ちながら客どうしでしゃべる。私のカメラがでかいので、「写真の仕事してるの?」とかたくさん聞かれる。
また、私のよりは小さいがニコンの一眼レフを持ってる若い女の子がいて、カメラ話を少しする。その人はミラーレスの小さい一眼レフも持ってた。旅行ならカメラは小さくて軽いほうがいいよね。

ゲリボルという港町に着き、昼ご飯。
メニューは細い麺入りチキンスープ(うまい)、切ってビニール袋に入れてある大きな丸いパン、ピクルスと野菜の酸っぱいサラダ、サバの塩焼き+ピラフ+チーズ春巻き、ライスプディング。
サバの塩焼きはレモンがきいてるけど日本ふうだった。しゅうゆと大根おろしがほしい感じ。フォークとナイフで食べるのは大変。

飲み物はそれぞれ別に注文し、個別にウェイターに払う仕組みなんだけど、明らかに割高価格なので「頼まなくてもバレないんじゃね?」ということで頼まないでみる。たぶんマナーとしては全員頼むべきなんだろうけど、まぁ頼まなくても許してもらえるらしい。
このあとの食事でも、レストランによって飲み物の価格はまちまちなので、頼んだり頼まなかったりした。
毎日水のペットボトルを1本ずつくれるので、そんなに水分いらないんだよね。

マルマラ海とエーゲ海をつなぐダーダネルス海峡を渡るフェリーに乗り込み、三々五々好きな場所で海を見る。
乗っている時間は30分。静かな海で全然揺れない。
カモメがずっと周囲を飛び回っていたので、撮りまくる。カモメと船と背景の街を入れたいのだけど、うまくおさまらない。

着いたのはラプセキという町で、アジア側の大陸。今まではヨーロッパ側だった。
アジア側になると畑が減って荒れ地に木が増え、景色がちょっと日本っぽくなる。
左右に果樹園が増えてきて、道端でダークチェリーやモモ、トマトなどを並べて売っている。
ガイドさんがそこでダークチェリーを10キロ買ってくれる。10キロで2500円らしい。佐藤錦だったら100グラム500円くらいするから……10キロ買ったら50万円!?

トロイ遺跡に着き、一周する。
入り口に新しく作られた木馬以外は何もないところだと思っていたが、観光客がいるわりにはけっこう静かで、古い石垣やギリシャ文字の刻まれた柱のかけらなどの間を歩いて高台に風が吹き抜けていくと、聖地のおもむきでなかなか良い。あくまで何層にも重なった古い町であって聖地ではないんだけど、沖縄のウタキに行った時のような雰囲気があった。
最後に木馬に入ってみるが、眺めはいまいち。添乗員さんが「シャッター押しますよー」と言って、みんな木馬と写真に収まっている。
例の日本代表ユニの男の人が添乗員さんを長時間占有して写真を撮らせている。

さっき買ったチェリーを洗ってくれたとのことで、バスに乗る前にみんなで食べる。大味だけどやわらかくておいしい。結局20粒くらい食べた。

エーゲ海に沿って進み、夕方に海沿いのリゾート地、エイドレミットに到着。ギュレ・サルハンというホテルに泊まる。
ロビーが金ぴかで吹き抜けが豪華だが、よく見ると噴水にカエルやアヒルの置物を節操なく置いてあるのがちょっと成金趣味。
部屋も金ぴかの装飾で、小さいベッドが2つ。タオルを貝殻のような形に広げて置いてある。

ホテルのレストランで夕食。
ビュッフェで、なんだかよくわからないヨーグルトペースト的なものが多い。
ビーフの煮込みと味のないフライドチキンみたいなものを配ってくれる。チーズマカロニグラタンみたいのはおいしかった。
生野菜は水道水で洗ってあるから、万一当たるとよくないので取らなかった。
パンは大きいかたまりから自分で好きなだけ切り取る。

トルココーヒーを4リラで注文。カップの底に1センチくらい粉がたまってて、なんか損した気分に。
ハチミツ漬けのだ円形の焼き菓子が、ただ甘いだけじゃなくちょっと懐かしい味でおいしかった。
調子に乗ってほかのシロップ漬けのお菓子も食べたら、それはただ甘いだけでココアの味とか消えていた。気合いで食べるしかない。

食事の後、すぐ近くの海辺の遊歩道を散歩。
なんか夜になっても異常に明るいなと思っていたら、サマータイムが導入されていたかららしい。
20時前だけどようやく日が沈もうかというところ。

スカーフを髪に巻いたイスラムスタイルの女性と子供がいっぱいいる。
ちなみにここ十年くらいでトルコにはスカーフやブルカの女性が一気に増えたらしい。もともと宗教には寛容なお国柄だったんだけど、今の与党が厳格なのだそうだ。
ガイドさんが言うには「スカーフをしている女性たちのうち半分くらいは、本当はしたくないと思っているけど、みんながしているから仕方なくしている」。
まぁ暑そうではあるが、髪型に凝る代わりにスカーフでおしゃれをしたり、服と合わせたりしている人もいるので、これはこれで。

「ジャポーン!」って声をかけられて、子どもが手を振っていたので振り返したら、しばらくして近寄ってきた。
ウェンディ・ジョン・マイケルくらいの年頃の三きょうだいで、水着姿で、三人とも超美形。
でもついさっきホテルを出るときに、自転車に乗った子どもに「マネーマネー!」と叫んで近寄ってこられてちょっとびっくりしたので、警戒心が先に立つ。
子どもがかわいいからと写真撮ったりしてると、どっかに親が隠れてて金をせびられたりするんじゃないの?みたいな。
何を言ってるかわからない、という顔をしてたら行ってしまった。実際言葉がわからなかったんだけど。

その後も15分くらいの間に3、4回は呼びかけられた。大人も含めて。遭難したトルコの船を日本人が助けた「エルトゥールル号」の話はトルコでは有名だというし、親日派が多いとはよく言われるので、実際はただの善意なのかもしれない。そうだとすると貴重なチャンスをふいにしたかもしれないけど、旅先ではいつも警戒心を忘れないようにしないと。

ホテルに戻ってトルコポップスのPVが流れるテレビをBGMに、23時前に寝る。

つづく
いよいよ少年社中「ネバーランド」(青山円形劇場)について書く。
見たあとしばらく放心状態になるほどの傑作だった。
しかしあまりに書きたいことが多く、ごちゃごちゃしていて
とてもまとまる気がしない……。
人に伝わるようにうまく書くのはあきらめる。自分用覚書。
ちなみにもう公演終わってるのでネタばれ全開ですが、
見てない人にはまったく意味わからないと思います。

計3回行った。
初日と千秋楽を予約していて、間の金曜マチネは追加で当日券。

初日の感想。
・席は通路わきで少し張り出していて、見やすい。横を役者がどんどん駆け抜け、迫力があった。うっかり足をひっかけたりしないかハラハラした。衣装も間近で見られた。
・M0のカッコいい照明、見えないドラマが舞台上で動いてる!と思った。
・客がかなり笑っていた。最後の拍手もずっと続いたが、カーテンコールはなし。
・出てきた瞬間から唐橋さんに目がくぎづけ。オープニングで海賊たちにかつがれて進むところは、あまりのカッコよさに思わず声が出るほど。
・カーテン地でできているとおぼしき唐橋さんの衣装の、きれいな裾のひるがえりかた、レイピアを勢いよく構えてヒュッと風を切る音、そして渋い大人なのに時々子どものようになり、クールさと色気と可愛さを兼ね備えた演技、あまりに華のある立ち居振る舞い……久々に舞台で見て圧倒された。やっぱ素敵。
・物語がすごくわかりやすいのに、ところどころの台詞がすごく深い。「いいのよ、子どものまま、大人になれば」とか。大人の覚悟とか、この年になったからこそ書けた作品なんだなと思う。
・また、社中作品には今まで、女性に対する根本的な不信感・恐怖感がにじみ出ているものが多かった気がするんだけど、最近そうでもなくなってきて、今回は母親として包み込んでくれる優しい女性だった。ついにここまでたどりついたんだなぁと思う(偉そう)。
・ナイトウィザードの矢薙さんが出ていることには最後まで気づかなかった。声優の演技っていかにも声優だなって気づくことも多いけど、この人のはそうじゃなかったので。
・廿浦さんの身体がとても同年代とは思えない若々しさだった。ジョンはいいお父さんだ。
・初日とは思えないくらい完成度が高かった。出ハケのタイミング、大勢で同時に言う台詞の揃いかた、間の取り方など。
・舞台の向こう側を向いてしゃべる時の台詞だけがマイクで増幅されて聞こえるという仕様に感動した。これはありがたい。
・最後の挨拶のときにはフック船長の衣装を井俣さんが着ているので、唐橋さんは黒いコートを羽織って黒い帽子をかぶっているんだが、これがまた美しいのなんのって……。

2回目の感想。
・席は1回目より少し後ろで少し横。
・M0の照明が、光の柱に囲まれた森の宮殿に見えた。
・今まで、芝居を何回か見るときというのは、1回目はストーリーのつじつまとか聞き取れない台詞とか細かいところが気になって完全にはのめりこめず、2回目はストーリーを理解した上で安心してのめりこんで見る、というパターンだった。だが、今回は1回目にあまりにストンと腑に落ちたので、2回目のほうが細かいところが気になった。
・たとえば、ジョンが迷子たちに名刺を出すのが片手、とか。子どもだからと軽く見ているにしてはお辞儀してるし……。まぁ別にいいんだけど。
・フック船長が「負けるつもりはない」と宣言しておきながら、ピーターパンに手加減して途中から過去の再現劇を始めるのはなぜだろう?とか。
・レイピアで手は斬れないのでは、とか。でもディズニーのフック船長も曲刀ではなくレイピア持ってるんだな。

・客席にカメラが入っていたのでDVD用だと思うが、何人かで同時に言うセリフがずれたところがちょこちょこあってもったいなかった。
・でも、ラストの飛んだ瞬間に暗転、の飛び方の美しさはこの回が最高だった。ほんとにそのまま夜空に舞いあがる感じで、光が落ちた瞬間に嗚咽がこみあげた。
・2回めが一番泣けた。円形劇場なので、向い側の客がみんなしてハンカチ握りしめているのが見えて、他人が泣いてると冷めるって人もいるだろうけど、私はまわりが泣いてるとつられるほうなので、それもあって号泣モードに。
・フック船長のキャラ作りはジャック・スパロウなんだと遅ればせながら気付いた。正直ジョニデより唐橋フックのほうがカッコいいと思います!
・1回目は「なんかうまいこと言ってるな」って感じでスルーしていたマイケルの「自分にしかできないことをすればいいんじゃないかな」が突然グサッと来た。自分にしかできないことって探せばいっぱいあるのに気付かなくてやらないよね……。

3回目の感想。
・席は1、2回目の反対側、最前列。近い!
・見る位置が変わるとまた受ける印象が全然違う。こっち側はジュニアがはしゃいでた。
・唐橋さんが「怖い」と泣くシーンが目の前だった。後ろにウェンディの声を聞きながら、泣きやんで顔をあげ、空を見上げるところがすっごい綺麗だった。
・3回目にしてやっと、唐橋さんが出ているときにほかの役者さんをちゃんと見る余裕ができたw「コーケコッコー!」と誰も言わないときに、ジョンの子どもたちが言いたそうにするんだけど誰も言わないから言えない、という動きを細かくやっていたりしてよかった。
・3回目はさあ泣くぞ泣くぞと思いすぎていたせいか、たいして泣かなかった。でも「あなたの思う通りにすればいいのよ」のところは何度見てもいい。
・客電がついて退場アナウンスも入った後でカーテンコールが入った!主役二人だけだったけど。たぶん初めて?

・毎回、あまりによすぎてツイッターとかブログとかで他の人の感想を探したけど、みんなべた褒めだった。「見に行ってつまらなかったら私がお金を返します!」とか。私、昔はよく人に芝居を勧めてたけど、やっぱ好き好きだから難しいなと思って(映画ほど安くないし)最近はなかなか誘えない。しかしこれはもっと宣伝してもよかったかもしれないな……2回目は平日昼で席あいてたし。

音楽について。
・今回は金管楽器も入ってだいぶオーケストラっぽくなっていた。
・相変わらず、ただのBGMではなくて印象的な音楽で、オープニングのダンスでけっこう動きが激しいのにゆったりめな音楽なのとか、面白い。
・ハッピーバースデイトゥーユーの音楽が、一般的な節と違うオリジナルだったので最初けっこう違和感があった。なんか複雑な節まわしで音とれないし。でも最後には聞きなれて歌えるくらいになっていた。

まとめ。
アンケートにも書いたけど……。
・社中の好きな作品第一位は光之帝国(初演)で、これは天高くそびえるテントの作りもすごかったし思い出補整もかかっていて、一生これを超える芝居を見ることはないだろうと思っているんだけど、「ネバーランド」が第二位に躍り出た。これを超えるのは「ネバーランド」(再演)しかないはず。
役者さんたちは同年代で「オジサン」「オバサン」と呼ばれても文句は言えない年齢だけど、舞台の上の彼らはあまりに若々しくエネルギーに満ちあふれていてとてもそんな年には見えない。社中結成20周年くらいのときに、もうちょっとだけお腹がまるくなった井俣さんやもうちょっとだけ化粧のノリが悪くなった大竹さんたちの、この名作の再演が見られたら嬉しいと思う。
その頃私は何してんのかなあ。しかしこういうのを見ると、「子どもにお話を聞かせてあげる」とか、あこがれてしまうね。

うーんまだ何か書き足りないけど……。
生きてて良かった。

5月4日の日記

2010年5月4日
5月3日、中日のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに行った。
これは国際フォーラムで開かれるクラシックのフェスみたいなもの。
去年のシューベルトはパスしてるけど、初回からベートーベン、
モーツァルト、チャイコフスキーと参加。今年のテーマはショパン。
毎年のようにこれを見に来られるということがとてもありがたい。

ただ相変わらずチケットが取れなくて、先行発売初日でも100席クラスの
小さい会場は全然ダメで、256席のがぎりぎり取れたくらい。
チケットの値段も上がってきたし、敷居が高くなってきた感じがする。

夜からの2公演だけだったので、その前に銀座に行った。
歩行者天国で観光客がいっぱい。
伊東屋でカードと美しいポチ袋と、きれいなペットボトルのフタを買う。

銀座から国際フォーラムまでが近すぎてびっくりする。
まずは屋台を端から端まで見比べて、食べたことのなかった
横手焼きそばを選ぶ。500円。麺がもちっとして変わってるけど、
味はまぁ普通に焼きそばだった。

それからミュージアムショップをじっくり見て、地下の広場に降りる。
プランタン銀座のパンが、350円のが200円になってたので食べつつ、
座って休憩していたらピアノ3台による連弾が始まって、素敵な
BGMだった。合唱のリハもやっていた。

20時にB5ホールに入って、4人のピアニストによるコンサート。
ジョルジュ・サンドと出会った時代の作品集。
最初に石丸幹二の朗読がつく。いい男すぎる。

席は後方だけど狭いホールだから十分近い。ちょっと左寄りで、
顔も手も見えるいい場所だった。
あんまり真面目にピアノを聞くことってないもので、ピアノって
こんなにまで人柄が出るものかーと感心した。
ピアニストは確かに手で呼吸している。

最初のフィリップ・ジュジアーノはおとなしくメランコリックな感じで癖がない。
2番目の児玉桃が今回一番良くて、激しく気力に満ちあふれた強い女性の
イメージ。曲が「スケルツォ第2番」と個性的な良曲だったというのもある。
3番目のイド・バル=シャイは全然合わなかった。
自分の世界にどっぷり没入するタイプで、自分の好きなように
細かいテンポを変えてしまうので聞きづらい。
「4つのマズルカ」30と33、どっちも曲としては好きそうな感じだったけど
聞いてて眠かった……。「軍隊」はパワーがあって良かった。
4番目のジャン=フレデリック・ヌーブルジェが、4人の中で一番
性格が良さそうだと感じた(笑)
優しいけど自分の考えはしっかりはっきりしてて真面目な人そう。

ホール自体にブルボンの後援が入っていて、ベリー飲料の試飲と
お菓子を配っているサロンがあり、ありがたかった。

次に22:15から5000人入るホールAでベルリオーズ「幻想交響曲」。
遅い時間ということもあってか、席が全然埋まっていなかった。
2000人くらいかも。オーケストラも「人いねー!」みたいな顔してた。
前方の席で、弦の音ばっかり聞こえるんだけど、細かいところが
見えるので楽しかった。
ドミトリー・リスは背中にびっしょり汗をかいていた。
ウラル・フィルは木管がよくて金管はパワーだけで持っていく感じ。
全体にパワー型の演奏だった。4楽章は大変良かった。
外で吹いてたオーボエがちょこちょこ戻ってきたのが面白かった。
首が落ちるピチカートを楽しみにしてたがちょっとバラけてて残念。

来年はマーラーという話なので楽しみ。

4月1日の日記

2010年3月31日
今日武道館に行っていた知り合いもたくさんいたみたいだけど
3/31は「オーケストラの日」らしく、私はNHKホールにいた。

たまたま見かけた広告が「展覧会の絵」と「1812年」という
私のためのプログラムで、チケットが安かったので飛びついた
のだけど、さすがにS席は売り切れていて2階横のほうのA席。
でも2,000円は激安!

首都圏の11のプロ・オーケストラから団員が集まった今日だけの
特別オーケストラによる演奏会で、指揮は小林研一郎。

5:30の開演に合わせて入場。
N響みたいに、開場後ロビーで室内楽のサービスがあるので。

最初がフルートとハープの二重奏。最初のは「間奏曲」としか
名前が出ず、作曲者もわからないのだけどエスニックな
雰囲気もあってすごくかっこよかった。ハープが全体的に
とても雄弁で、「春の海」もいい雰囲気だった。

次がクラリネット二重奏。「だんだん小さく」という意味の曲で
すごいロングトーン吹きながら客席まで歩いていって握手して
回ったり、クラリネットを分解してどんどん小さくしていき、最後は
リード部分だけになったりするのが観客に大ウケ。

最後がバイオリン×3とコントラバスによる「パッヘルベルのカノン」。
弾いてるところをまともに見たのは初めてで、同じフレーズを
受け渡していく様子は見ているとはっきりわかっておもしろく、
これを作曲するのはちょっと数学みたいだと感心した。
ただ、ラスト何小節かで突然ぐしゃってハラハラした。

席に着くと、隣は中学生と小学生くらいの姉妹で、保護者は見あたらない。
2人とも「のだめ」ファンのようだ。のだめのおかげで日本のオケは
だいぶうるおったんだろうか?

音大生によるファンファーレで幕を開け、演奏会1曲目は
本命の「展覧会の絵」。生で聞くのは久々で、やはりすばらしい。
全部で116人いるとのことで、弦楽器がすごく厚い。
その分木管がちょっと苦しそう。特にフルート……こんなに
1拍目にアクセントついてたっけ?と思うトリルがあってあやしい。

隣の女の子は、ビドロのスネアにテンションが上がって真似してた。
サミュエル~からカタコンベまではかなり飽きてた。
カタコンベの良さがわからぬとは、まだまだ子どもよのう。ふふふ。

休憩時、ロビーで各楽団が自分のところのCDやグッズを売って
いるのを見に行く。読売日響の、パターゴルフでプレゼントが
もらえるというキャンペーンが大人気で、企画の勝利。

2曲目はチャイコフスキーの弦楽セレナーデ。
これ、どんな曲だか思い出せないで行ったんだけど、聞いたとたん
思い出した。これ、昔アンコールで2楽章だけやった(やったというか
聞いてた)。1stバイオリンの人がすごく楽しそうだったのを覚えてる。
さっきも書いたけど弦が大人数で厚みも幅もあり、その見事さゆえか
1楽章終了後に万雷の拍手が。

コンサートとかで音楽を聞いているとき、なぜかすっかり忘れてた
仕事の失敗とか嫌な出来事をふと思い出すことが多いのは
なぜだろう?とか考えていた。何か脳を刺激するのだろうか。

3曲目が1812年。
最後には客席上方左右のテラスに追加の金管隊も出てきて、
すさまじいお祭り騒ぎになる。ただ、乱打される鐘(ちゃんと大きな
ベルの形をしているのがすごい)がスピーカーにつながっていて、
それが私の席のほうを直撃する向きだったのか、キーンと響くのが
やかましくて金管の苦しみに感動しているどころではなかった。
しかしあのバスドラムは一度でいいからやってみたい。楽しそう。
「太鼓の達人」に入れてくれたらいいんじゃないだろうか。
両手でバチを握り締めてひたすらドカーンドカーンとぶちのめす。

アンコールにユーモレスクをやって、これも美しかった。
あと1曲くらい管楽器入りのアンコールがあるかなと期待したけど
なかった。まぁ弦のほうが明らかに練度高かったからしかたない。
オーケストラが退場するときに、みんな周囲の人たちと握手して
いたのがあんまり見ない光景で、よかった。

いっぱいチラシをもらってきたけど、クラシックのコンサートはほんと
どれも高くてなかなか気軽には行けそうにない。
とりあえずラ・フォル・ジュルネ2日目を先行で確保したけど、
計6000円ならまぁ許すか、という気持ち。

2月15日の日記

2010年2月15日
すごいどうでもいい話。

たまたま図書館に「チーム・バチスタの栄光」があって
読み始め、「ナイチンゲールの沈黙」「ジェネラル・
ルージュの凱旋」まで来た。
「ナイチンゲール」はかなり典型的な「受賞作家が
急いで二巻目を出さなきゃいけなかった」感じで、
余分な要素が多いと思ったけど、「ジェネラル・
ルージュ」まででひとまとまりしたからまぁいいか。

で、「ナイチンゲール」に、視覚情報を伴う音楽と
いう話が出てきて、幼児とかには時おりこういう聴覚と
視覚が混ざるなどの「共感覚」があるが、成長するにつれ
普通は失われると書いてあった。実際「ラの音は赤い」とか、
数字に色がついてるとか言う人はいるし。

その話で思い出したのが、中学~高校生くらいの時期に
私は音楽を聴きながら同時に映像を思い浮かべるのを
しきりにやっていたということで、今でもブラームス
交響曲第一番四楽章のメインのフレーズを聞くと、
金色と茶色に光り輝く大河のさざ波が思い出される。
歌詞があると引きずられてダメなのでクラシックがメインで、
クラシックの演奏会のときにプログラムの裏に小さい字で
びっしりと見える光景をメモったり、図書館の視聴覚
ブースで「展覧会の絵」のさまざまな演奏者のものを
借りては思い浮かぶ映像を絵に描いたりしていた。
基本的に音楽に合わせて動くとりとめのないモチーフだけど、
ただ単に何もなしで頭の中で想像するよりもずっと
素晴らしい映像が導き出されてくることも多い。
ディズニーの「ファンタジア」からストーリー性を
抜いたような感じか。

自分がそういうことをやっていたというのを、この本を
読むまですっかり忘れていたので、やはり年を取ると
失われる感覚なんだろうか?
大学の時にその集大成として、音楽をそのまま文章に
して本で見せる試みというのを考えていたんだけど、
結局うまくいかなかった、なんてことも思い出した。

せっかく思い出したので、こないだアイリッシュ
ミュージックを聞きながら映像を思い浮かべてみたら、
アイリッシュらしく夜の嵐の中の古城に滴る血だとか、
村の祭りで草原を走る競馬だとか、戦いを前に天幕で
休む中世の兵隊だとか、いろいろ出てきて面白かった。

真剣に音楽だけを聴いてるわけではないので、ある意味
聴き方としては邪道かとも思うけど、まぁ聴き方は自由。
音だけより視覚イメージもあったほうがあとに残る感じ。

というどうでもいい話でした。

10月28日の日記

2009年10月28日
●少年社中「ファンタズマゴリア」座・高円寺
※ネタバレあり感想です

昔間違って2本買ってしまったDVDを返却してきた。
かつて私が公演ビデオを手に入れたくて入れられなくて
あんなに苦労したことを思うと、誰かほかの人の手に渡って
ほしいものだ。

2列目中央と、久々の良席。
予定がなかなか決まらなくていつもギリギリで申し込むから、
最近は良い席がとれない。どんなにいい劇場でも、やっぱり
後ろのほうでは臨場感がないし、一歩引いて見てしまってよくない。
今回はめちゃめちゃ近かったのでのめりこめた。

そしてあまりにもなつかしかった。
初演は大学卒業前で、その後パルテノン多摩でのコンクールで
一度だけ特別バージョンが再演されたのを見に行った。
パル多摩のときは就職したばかりで、新人研修を終えて池袋から
多摩センターまですごい勢いで走ってたどり着いて、とても焦った
のを覚えている。

未来をテーマにしたこの作品、1900年の時の未来と、2000年の時の
未来とが語られているんだけど、初演を見たときに自分の未来が
こんなふうに、今みたいになるとは思っていなかった。
当時の自分を思うと、ひたすらに感慨深い。

私でさえそうなのだから、当時の社中メンバーならなおさらだろう。
大竹さんが自由自在に涙を流せることに感心したのや、井俣さんの
声なき絶叫の聞こえるエンディングがカッコよくてしびれたのがなつかしい。

岩田ホームズは当たり役。あのカツラはなんだったんだろう。
音楽はすごい洗練されていて、逆に依田さんの曲じゃないのかと
思ったくらい。いつもの依田節というか、癖がなかった。
初演の時って立体写真銃が撃たれたときに「大きな古時計」が
鳴らなかったっけ? あれはあれでよかったかも。

初演をそんなによく覚えてないんだけど、今回のほうが演出が
かなりわかりやすく説明的になっていた気がする。
その分、第三部(初演のときはハッキリ三部構成だったよね)で
謎解きのラストに役者が全員出てきて「私が幽霊だったのね」って
ときにピシャーン!と全部のピースがはまる感じは、少し弱く
なっていたのは残念。
ただ、一度見ただけでわかりやすいってことも大事だと思うし。

小道具にちょっと慣れてない感じがあって戸惑ったりしてる場面は
散見されたけど、公演の間が二ヶ月しか空いてないとはとても
思えない出来だった。

しかし本当に、昔の目線に立って今を眺めると、夢見た未来に
向かって実際に進んできているんだなとしみじみ思った。
今やっている仕事は20年前から見たら夢そのものだし、
今の仕事場の環境だって少し前には考えられなかったくらい
恵まれていて夢のようだ。
これからさらに叶えたい未来に向かって着実に進んで行けている。
叶えたくて叶えられそうな未来の夢もまだたくさん抱えているし、
100人が100人笑うだろう壮大な夢もまだ持ってる。

久々に大きく心揺さぶられる夜だった。
こういう日がたまにあると本当にいい。

8月24日の日記

2009年8月23日
リトルジャックオーケストラの演奏会に行ってきた。
みなとみらいホールで、パイプオルガン入り「妖星乱舞」ほかFF6づくし。

オケを横からのぞきこむ席で、パーカッションがよく見えて面白かった。
くるくると持ち場を入れ替わり立ち代わり、忙しそうだった。
指揮者の顔も見える席で、演奏者側に感情移入してしまってハラハラした。
街の音楽のテンポを矯正していく過程が手にとるようにわかった。
チューバの音が直撃する席で、音響はいまいちだったけど、
パイプオルガンも近くてよく見えて、すごくよかった。

パイプオルガンで始まるFF6オープニングからアンコールの3曲目まで、
大変素晴らしい演奏だった。1年半前の前回からすごくうまくなっていて、
さすが練習を積んできただけのことはある。
音数の少ないところはまだハラハラするけど、戦闘曲とか全員で
バリバリ吹いて盛り上がるところなんかは本当に素晴らしい。
血が滾ってとてもじっとして聴いていることができない。

「妖星乱舞」のパイプオルガンソロは本当にカッコよかった。
本物の音は大気を震わせて体にひびく。
前の席に座っている人のところへは風が吹いてくるらしい。
パイプオルガンの譜めくりはたまに足も手伝っていることを知った。

アンコールでやった「水辺」もよかったし、ゴルベーザ四天王もカッコいい。
Roaming Sheepの知名度が意外と低くて驚いたが、予想外のアレンジに
なっているのが面白いと思った。

FFの中では6が一番好きなので、何周もやったからエンディングの
メロディを聞きながら絵が浮かぶし、6の音楽は名曲ぞろいと再認識。
植松さんも挨拶で言ってたけど、うまいオーケストラはいっぱいある。
でも、ほんとに好きな音楽を、長いこと練習して思いのたけをこめて
一期一会の演奏をするときにしか生まれない感動がある。

演奏中、パイプオルガンが素晴らしかったりティナのテーマが
美しかったり、FF6のストーリーも思い出していろいろ相乗効果で
何度もぶわーと涙が出てきて、ときおり洟をすすっていた。
こんなに泣けるコンサートはそうはない。

これこそスタンディングオベーションにふさわしい演奏会だと思ったが
意外と立ってなかった。立って拍手する客層ではなかったのかも。
終演後のロビーの人だかりがむちゃくちゃなことになっていて、
みんなしてDQ9のすれちがいをやっていた。
この演奏会だけで100人くらいはすれ違ったと思う。

これで1200円は安すぎる。
ほんとにオーケストラの皆さん演奏してくれてありがとう!
横浜でやってくれてありがとう!
チケットを取ってくださったFさんありがとう!
こんな名曲を世に送り出してくれた植松さんもありがとう!

6月21日の日記

2009年6月21日
MR.BIG再結成武道館行って来た。
多忙が祟ったか胃腸をやられてしまい、何も食べられない状態でずっと寝込んでいたんだけど、薬で熱を下げてフラフラしながらも行った。

武道館の入り口に四人の名前が並べて書いてあるだけで感動した。

席は二階正面最後方ブロックから一つ壁を越えて向かって左。かなり遠いとはいえ全体が見渡せた。客の年齢層は高そうだと思っていたが、意外と高校生くらいの若者もいた。私の隣は両方とも私より年上の女性だった。

幕が上がるまでの間に、待ちきれない拍手がしきりに起きていた。
いきなりドリルソングで始まって、「ほんとに四人いるよー!」とすごい泣けた。
体力がもたなそうだからできれば座って見たいと思ってたんだけど、まず前の人が立ったら立たないと見えないし、とても座ってられるテンションではなかった。
やばかった。
ほんとにまたこの四人を見られるときが来るとは思ってなかった。

ギターキッズたちがよだれを流しそうな熱演や、四人の多芸なところがたくさん見られ、サービス満載の二時間半だった。
ずっとエリックうめー、ポールすげー、ビリーうめー、パットすげー、と感嘆していた。
さすがにエリック高音でなくなったなー、と思っていたんだけど、出そうと思えば出るらしい。To Be With Youの一番高いところだけ残念だった。
エリックは常にぴょこぴょこちょこまかしていて、かわいすぎた。なんだあいつおかしいだろ。ビリーの服で顔拭いて、ついでにパットの服でも顔拭いて、とか。髪伸びてちょっと昔っぽくなってたし。
あとパットのタフさと歌のうまさに惚れ直した。かっこいいわー。

Hold Your Head UpはCDだとかなり微妙な曲だと思っていたんだけど、ライブで聴くと相当カッコいい。しかしノリにくい。

Stay Togetherも、発売当時は「なんだこのキャッチーで媚びた曲は」と思ってたけど、今こうして聞くといい曲だ。

あと始めて聴いた「It’s for you」(Three Dog Night)にびっくりした。スゲー。さすが4人とも歌えるバンド。

アコースティックのあとあたりから体力がつきかけていて、すごくつらかったんだけど、曲が始まると完全に我を忘れてうおーっとなり、曲が終わった途端に超グッタリする。
Colorad Bulldogに完全に体力をしぼりとられた。すごい好きなんだよねこの曲。

さらに楽器持ち替えDEEP PURPLEとI Love You Japanでもうおなかいっぱいの大満足。
ビリーが「もう1曲やろうぜ」って言い出したときはうれしいけど正直もう無理って気分だった。
終わってから椅子で休み、飲み物を買って道端で何度も座り込んで休み、時間をかけて家までたどりついた。

ビリーとエリックが肩組んで帰っていったのにほろりときた。
どんなにうまくいかなくても、時が解決してくれることってあるよね。
つくづく「最強の四人」だと思った夜だった。

沖縄旅日記4日目

2009年4月15日
●4月6日(月)備瀬のフクギ並木の日

8:00起床、カーテンを開けると曇り空の下に広い庭とプールが見える。別に今の1階でも海は見えるのに、マリンビューのために追加で2,000円取ろうとはふてぇ野郎だ。

バイキングにはシリアルが2種類しかなかったけど、クロワッサンを焼いてポテトとフルーツヨーグルト、パインジュース。さらにご飯と煮物を追加。島豆腐の味噌汁を飲み忘れた。
沖縄にいると必然的に野菜の多いご飯になる気がする。
パッションフルーツがあったので珍しいと思って食べてみたが、暴力的にすっぱい! こんなの食べられるの?

ロビーの隅で沖縄タイムスを読む(書き忘れてたけど昨日も読んでた)。
有名な死亡広告欄では、「104歳で天寿を全う」などとあると「やっぱり沖縄の人は長生きなんだなー」と思うけど、「21歳で脳梗塞のため」などとあると、並ぶ親族の名前を見ていてるだけで悲しい気持ちになる。
やはり「生まれたときから死が始まる」のだ。

地方紙なので、国や世界のニュースより地元の子どもの活躍とかのほうが扱いが多い(でも昨日の恩納の駅伝の記事は見つからなかった)。特にこのときは石垣島に来た軍艦の話題が大きく取り上げられていた。あと、闘牛の戦いの模様を詳しく伝える欄が面白い。
大新聞ふうにこなれてはいない、無難な定型文でまとめない文章の行間に、地元の感覚がにじみ出ている。

また、ネットもあったのでふらふらと見ていたら、こないだ作った本に関しての批判意見を見つけ、一気に仕事気分に引き戻されて鬱になる。「働きマン」の、南の島で結婚式に出てリフレッシュしていたら連載小説の原稿が落ちたというトラウマ・エピソードを思い出す。あれほど恐ろしくはないけど、なんというか、「遊んでいるわけにはいかない」という気持ち。

天気も悪いし今日はあまり急ぐこともないので、10:15にチェックアウト。荷物を預けて、備瀬のフクギ並木を目指す。
大きな亀甲墓が左右に並ぶ車道を、水族館から離れる方角にしばらく歩いていくと、集落案内図がある。お勧め順路に従うなら、ここから左に曲がるのかな?と思ったがなんだかよくわからなかったので、そのまま車道を進んでいった(結果的にそれで問題なかった)。
水牛車用の牛(※写真33)とポニーがいる厩舎があったが、人はいない(乗りたいときは電話するらしい)。

フクギ並木入口の道しるべがあったので、そこから入る。
厚い葉を持つフクギの木によってアーケード状になった狭い道がくねくねと続いていて、民家の間を迷路のように縫っている(※写真34)。
濃く茂った木の奥に、四つ辻に差し込む明るい光が見え、「あそこまで行ったら何があるんだろう?」という冒険心を誘う。
また、フクギのアーチの先に海が見えるとさらにきれい。

貝殻を連ねたカーテンを下げた雑貨屋がいい雰囲気だった。好きなモノだけに囲まれて、海のそばの涼しい木蔭でのんびり暮らすというのは、絵に描いたように素晴らしい生活だが、実際問題それだけじゃ食べていけないよな……などと余計な気を回す。

フクギ並木が生垣のような感じで、区画ごとに民家があるが、すっかり廃屋になっているものもあるし、遺跡のようになっている場所もある(※写真35)。
あまりにぎっしり生い茂っているので昼なお暗い曲がり角には蛍光灯が1つついていた。昼間はいいけど、夜になったらこのあたりは一切歩けないだろうな。

長いこと歩いて岬の突き当たりまで行くと、海に出る(※写真36)。削れた岩の岸に、びっしりと明るい緑色のコケ(アーサか?)。
突端のほうへ行くと、急に深くなる水の中に青く光る魚がいる。自分の足元のすぐ先に熱帯魚が泳いでるのがすごい(※写真37)。

目の前までは来ないが、向こうからどんどん押し寄せてくる波を見ていると、「海が満ちて帰れなくなる」という根源的な恐怖感に襲われる。私は「海が満ちてくる夢」というのをよく見るんだけど、前世で何かあったんだろうか。
ここに限らず、沖縄では天気や自然の変化が激しく、広い自然に包まれている感じが強い。そのため、世界のニュースとかはやりものの情報などは遠く、宗教的なものがずっと近く感じられる。

帰りは海岸沿いの道を通る。別荘の壊れたテーブルや、ちぎれたハンモックの痕跡。
また、砂浜に信じられないくらいの巻き貝がたまっている吹きだまりの場所があった。波打ち際で「わーい、きれいな貝があった」なんて探すのがバカバカしい、気持ち悪いくらい、何千個もの貝また貝。(※写真38)。

海はそのまま海洋博公園のエメラルドビーチにつながっているけど、海岸沿いに入れないように仕切ってある。
元来た道を歩いて戻って荷物を引き揚げたところで12:00。

さてこれからどうしようか。飛行機に間に合うようにするだけなら、14時すぎにここを出ればいいから、それまで海洋博公園で時間をつぶしてもいい。
でも、名護バスターミナルで戻る途中に、有名な沖縄そば屋の並ぶ国道58号線を通るんだから、途中下車して昼ご飯を食べよう!と思い立つ。今から行けば2時間くらい余裕がある。

昨日名護バスターミナルでもらった時刻表を見ると、12:23に海洋博公園前を出るバスがあるようだ。
石川入口を通るのは12:22くらいかなと思ってバス停の時刻表を見ると、そんなバスは書いてない。海洋博公園前まで歩く。すると名護行き側車線にバス停そのものがない。通り過ぎて次の西原バス停まで歩く。歩道があまりいいアスファルトでなく(歩く人がほとんどいないんだから当然か)、荷物を引いて歩くのがけっこう大変だった。
西原バス停の時刻表にも、12:23のバスなんてものはない。おかしいなーと、さっきの時刻表の紙をよく見ると、「海洋博公園前のバス停は反対側から乗る」と書いてある! つまり名護から来て、水族館の前を通り過ぎて、一周して名護に戻るってことか。それならということで、反対側の西原バス停へ。

このへんの記述、すごくわかりづらいと思うんだけど……沖縄のバス路線が難しすぎると思うんだ。

目指す沖縄そば食堂に行くには、渡辺地というバス停で降りたい。来たバスには「渡辺地廻り名護バスターミナル行き」と書いてある。それなら大丈夫だろうと思って乗る。
今思えばここで「このバスは渡辺地に行きますか?」と聞くべきだったんだけど、「渡辺地」が何て読むのかわからなかったので恥ずかしくて聞けなかった。

しかし、バスは備瀬を通り越し、このへんで右に曲がるはず……と思っているところを曲がらずにまっすぐ走る。あれ?と思ってガイドブックを取り出し、車窓のバス停と突き合わせると、なんと国道58号線には行かず、ぐるっと今帰仁の方向へ行っている!しまったー!
頭の中に思い描いていた、湯気を立てる沖縄そばのおいしそうな幻影がすごい勢いで遠ざかっていく。
今帰仁方面には途中下車して見たいものはないんだよ……城跡には興味がないし……。ショックを受けている間にもバスはどんどん進んでいく。沖縄そばの昼ご飯はあきらめ、寝る。

13:20に名護バスターミナルに着く。910円。記念公園前駅から乗っていれば860円ですんだはずなのに、注意書きを見落としていたために無駄に歩いたうえ、50円も余分に払うって意味がわからない。

来る時には入らなかった向かいの「やんばる食堂」で昼ご飯。好きなおかずの小鉢をセルフサービスで取って、最後にご飯を付け足す形式だった。
麩チャンプルー、ポーク卵、紅芋のゴマ団子とご飯小サイズを取り、560円(※写真39)。
麩チャンプルーは昨日の夕食のものとはだいぶ趣が違い、もやし、キャベツ、ニンジンと麩を卵でとじた形。麩をちくわに替えたらうちでよく食べてるおかずと一緒だ。ポーク卵は、スパムを薄切りにして炒めたの2枚と、卵焼き2個。紅芋は予想外に甘くなかった。
安いし、白米がすごくおいしかったし、余ったら持って帰れるようなサービスがあるのも好印象。なかなかいい店で、名護バスターミナルに来たら寄るのがお勧め(というかほかに店がないわけだが)。

14:00の高速バスで那覇空港へ向かう。来た時と違って高速道路を走るので、基地も那覇市内も見えず、ジャングルのようにみっちりと茂った山ばかり。時間をかけて路線バスを使ったことにも意味はあった。
時々インターチェンジを降りて、瓦屋根のバス停に止まりつつ、15:45に空港に着く。2,130円。

飛行機は19:50発なので、なんとあと4時間もある(笑)
毎日歩いてばかりでかなり足にガタが来ていたので、「ひざ下とフットマッサージ」を受けたいなーと思ったが、30分4,000円という値段でやめる。ケチって歩いて、そのせいで高いマッサージ受けてたらアホすぎる。

お土産をじっくり見て回るが、JALのお店で使える2,000円のクーポン券(ツアーについてきた)があったので結局JALショップでまとめ買いする。2,000円引いたうえで、さらにJALカードで払うと10%オフで、計2,410円。買った物をキャリーカートの中に全部詰め込む。

あと、JALの店にはなかったじゅーしーの素(レトルト)を買う。420円。
いいなと思ったけど買うほどでもないのは、琉球ガラスのアクセサリーと、アメリカナイズされたお菓子。

狭い本屋のレジ前で沖縄本を長時間立ち読みする。迷惑な客でごめんなさい。今回のでは、どうせ本はあっても読まないと思ったので持ってこなかった。実際、本を読むタイミングはほとんどなかったんだけど、それでも手元にないと何か読みたくなる。

18時すぎにレストラン街へ。天龍という、芸能人のサインだらけの店に入り、沖縄そばのセットを頼む。じゅーしーと、もずく酢と、ニンジン(+ツナと卵少し)の炒め物と、キムチがついて790円。

荷物は、行きは預けたけど帰りは早く家に帰りたいから機内持ち込みにする。
食べたいなと思いつつ食べるチャンスがなかったブルーシールのアイスを食べる。シークワーサーのシャーベットは味の予想がつくから、謎の「サトウキビ味」を選んだが、なんのことはない、黒砂糖味だった。300円。

長年飛行機に乗っているが、初めて2階だった。窓際で、窓と椅子の間に隙間があって荷物入れになっている。
外はずっと真っ暗で星も何も見えなかったが、降りるときだけ夜景がすごかった。
寝ようと思ったんだけど、なんか犬の番組と、マッスルミュージカルのダイジェスト番組が放映されてて、意外と面白かったので全部見てしまった。技の難易度でいえばシルク・ド・ソレイユより高いのもあって見ごたえあるんだけど、音楽や衣装など、美術面がいまいちなんだよな。

22:00に羽田につき、22:16の京急に乗り遅れて10分ロス。それでも23:15ごろ帰宅。

●その他
書き忘れてた雑事。

バスターミナルに「酒気帯びでの出社は言語道断です」という張り紙がしてあった。わざわざ書いてあるってことは、酒気帯び出社する人がいるってことだよね? あと、バスの中の「運転手何カ条」みたいなのの中に、「その1・服装をきちんとします」というの項目があったりも。

「アイスクリン」食べたかった。路線バスで移動中にたまに見かけたが、うわさ通り売り子が美少女ばかりだった。

肩の日焼けはその後盛大に皮がむけた。

撮ってきた写真を現像に出したら、けっこう色味が変わったものもあった。両親に旅行のことを説明しながら見せたが、「カメラのわりにたいしたことない」「発色が悪い」などさんざんだった。それは腕前の問題です……。

沖縄旅日記3日目

2009年4月12日
●4月5日(日)美ら海水族館の日

7:30起床。朝食バイキングで昨日とほとんど同じメニューを選んでしまう。ソーセージとパパイヤの部分が、ベーコンと炒り卵に替わって、ご飯に鰆の塩焼きを足したくらい。

今日は水族館まで大移動をしなければならない。
フロントで訊いたら那覇バスターミナルから乗るのが一番近いとのことだったので、荷物をまとめて昨日と同様に歩いて出かける。

9:30発の名護ターミナル行きバスに乗り込む。ヘッドホンで音楽を聴きながらの長い旅が始まる。
ずっと続く基地の横を通ったり、看板が英語の店が増えたり、リゾートホテルが並んでいたり、見ていて思うのは、実際沖縄は「豊かな土地」ではないということ。
といっても、「豊かさ」って何?というのが問題なんだけど、たとえば「貧しさ」というのが、失業率が高いとか、シャッターを下ろしている店ばかりだとか、最低賃金が安いとか、そういうことだったら確かにそうだ。でもじゃあ「豊かさ」というのはどういうことか? 想像力が貧困で申し訳ないけど、私が思いつくのは海外旅行に行ってブランド品を買うとか、週末にレディースプランで高級ホテルに泊まってエステ三昧とか、百万円もする携帯電話を持つとか、そんなこと?
ヘンテコな理想論を言う気はないんだけど、「お金がなくても幸せ」なら豊かだと言えるよね。でも、きれいごとでなくお金がない生活は本当に幸せになれるか?

なんか自分でも何言ってるかよくわからなくなってきたけど、結局のところ、経済が無限に発展していく、毎年常にプラス成長する、なんてのはおかしな話で、今みたいに不況の時に、みんなちょっと足元を見直したほうがいいと思うんだよね。自給自足の生き方ってどういうものだったかとか、原始的な狩猟と農耕についてとか、まぁやろうとしてそうそうできることじゃないんだけど、地球から搾り取るだけじゃない生き方。パーマカルチャーはその道筋になりうるか?

あと、自分をいつも一個人としてではなく、たまに人類という動物の一種として考えてみるといいんじゃないかとか、そんなことをグルグルと考えていた。

恩納では駅伝を開催しており、バスの隣を若者たちが走っていた。1人ずつ後ろに軽トラックと応援人員を従えている。最初のランナーから最後尾まで、ものすごい距離が離れていたが、同時にスタートしたんじゃないのかな?
さらに琉球村などを通り過ぎ、11:50に名護バスターミナルに到着。1,850円もかかった。「バスはピンチです!」と率直な広告がついているバスがあったけど、4人家族とかだったら絶対に車で来たほうが安いので、どうしようもなさそう。私のような一人旅だとバスだけが頼りなのでがんばってほしいけど。

営業所の中で、空港行き高速バスの時刻表と、水族館行き路線バスの時刻表をゲットする。また、水族館の割引券1,620円も買う。次の水族館行きバスは12:30に出るとのこと。

お昼ご飯でも食べて待とうと思うが、周りに何もなくて、道路を渡ったところに唯一「やんばる食堂」というのがある。チャンプルーとご飯とみそ汁で650円のセットなどがあるようだが、そこまでお腹がすいてない。
なので、向かいのコンビニ「Coco」で塩むすびとチーズ蒸しパン(どちらも地元製、210円)を買って、バス停で食べる。

12:30のバスに乗り、行列のできている沖縄そば屋の横やジャングルめいた山道などを通る。途中、「クカルビ」などのバス停の前が焼き肉屋のメニューみたいだと思う。そういえば昨日、バスでぼーっとしてたら「つぎは海の入り口です」というアナウンスが聞こえ、なんてファンタジックなバス停なんだ!と感動したら、実際は「海野」という地名があるらしい。とはいえ、土地に入口と出口があるというのは面白いと思う。

石川入口のバス停で降りる。860円。そこから今日泊まるチサンリゾート美ら海ホテルまでは歩いてすぐ。まだチェックインの時間ではないので、荷物だけ預ける。
追加2,000円で、上の階のマリンビューの部屋に移れると言われたが、今日明日と天気が悪いはずだし、2,000円もかけて海を見てもしょうがないので断る。

ホテルを出て水族館へ歩き出したところで雨が降り出したので、いったん戻って荷物から折り畳み傘を出す。
海洋博公園に入ると、正面に広がる海と手入れされた草木に噴水。天気が良かったらさぞかしきれいて気持ちがいいだろうが、今は雨雲垂れこめ、どんよりした雰囲気(※写真23)。

インフォメーションセンターで案内を見ると、この公園の中には水族館のほかに熱帯植物園や海洋博物館があるらしい。海洋博物館はおもしろそうだと思ってまずはそっちへ行く。

入場料170円を払って入ると、ちょうど「14時からプラネタリウムを放映します」とのアナウンスがあったので行く。
子どもにやさしい内容で、「星のかくれんぼ」みたいな説明のしかたで春の大曲線について紹介した後、獅子座とヘラクレスの神話についてのアニメが始まったが、そのへんからぐっすり寝ていた……。
20分後に終わって、展示をめぐるガイドツアーがあるとのことだったが、プラネタリウムから出てきた人たちがそのままなだれ込む雰囲気だったので、敬遠して一人で博物館の中へ。

もともと、海洋博での展示物をおさめるために作ったもののようで、写真のパネルとかがやや色あせている。
南の島をミクロネシア、ポリネシアなどの文化圏に分けてさまざまな民族の船や生活道具類を展示してある。

ここにしかない昔の儀式用の船とか、巨大な石貨とか、石と枝を組み合わせて作った海の地図とかはなかなか面白い(※写真24、25)けど、とにかく客がいないこともあり、呪術系の展示が怖い。「このお面のついた大きなかぶり物をかぶって踊ると、人々の目にはそれぞれ死んだ親族の顔に見えます」とか、怖いんですけど。貝殻のぎょろっと白い目がはまった人形とか、なんで南方系の人形ってコワイ顔なんだろう……。

あと、道具類を見るのは面白いけど、それらをどんなふうに使っていたか、という人との関わり方があまりないのが剤年だった。展示の板の前を通るたびに音声解説が始まるのも、丁寧なんだけどちょっとうざい。

1時間ほど見て、外に出ると大雨になっている。待っても弱くなる気配がまったくないので、頑張って風雨を横切り、水族館へ移動したのが15:20ごろ。
16:00以降に入場すると料金が割引になり、差額360円が返ってくる仕組みらしいのだが、レストランに入って待とうかと思ったら、16時まではバイキングランチをやっていて、そのあとアラカルトと書いてある。バイキングも困るので、中に入る。

最初の「イノーの海」こと「さわれるプール」でヒトデやナマコに触る。小樽水族館ではナマコに手が出なかったが、今回はちょっと指でつついてみた。ヒトデは硬くてごつごつしているが、ナマコはふにゃっとやわらかく、つかむともにょもにょしている。

次が「サンゴの海」で、昨日グラスボートで見たような風景が広がっている。スイミーみたいな小さな魚の群れと、ウミガメも1匹。
ちょうど餌やりの時間帯で、カゴから振りまかれる小エビのかけらに魚が群がったり群がらなかったり(※写真26)。

さまざまな水槽が並ぶ中、コブシメの前でかなりの時間を費やす。食べることもできるイカの一種で、眠そうな不思議な顔にひかれたんだけど(※写真27)、こいつはびっくりすると一瞬で体の色が変わる。ガラスの前で手をぱぱっと開いたり閉じたりすると、一瞬で色が黒くなり、口のあたりの垂れていたヒゲ触手みたいなのがくわっ!と広がって「キシャー」って怒り顔になり、体からトゲトゲが出てくる。しばらくするとまた元に戻る。この変化っぷりがあまりに激しい。
面白がって子どもがガラスをバンバン叩いたりするのは、見ていてかわいそうになるが、よく観察していると、特に驚かされなくてもちょこちょこ色が変わっていて、体の色を近くの岩と同じに合わせている。また、まるでネオンサインのようにすごいスピードで体の端から端まで、縞のラインがすばやく移動していったりもする。水面からの光の波紋が、海底に光の縞模様を作るけど、あれを再現しているのだろうか? 
ほんとにこいつは見ていて飽きない。

なんとかコブシメの前を離れて、毒を持つヒトデや魚の並ぶ恐ろしい展示を通り過ぎ、次はここの一番の見もの「黒潮の海」(※写真28)。ギネス記録の超特大1枚ガラスの向こうに、超巨大水槽があり、全長8メートルものジンベエザメが3匹泳いでいる。ほかにも巨大マンタやウミガメ、小さい魚もたくさん。ジンベエザメにはコバンザメがさかさまにくっついている。
水槽の前にいる人影が全部シルエットになるので、写真ばえする。

ここもちょうどエサやりのタイミングで、人がぎっしりいた。ジンベエザメがぶつかり合わないように1匹ずつ別の場所におびき寄せてからエサを与えると、立ち泳ぎしながら体の幅と同じくらいの大きな口をがばぁと開けて、何十リットルもの水ごとまとめて飲み込む。その後、水だけエラから放出するらしい。
ただ、上のほうから見ていたので口のあたりまではあまりよく見えなかった。

水槽の隣にカフェがあり、魚のすぐ隣でご飯を食べられるようになっている(※写真29)。ただ、フードメニューがパスタとタコライスくらいしかない。暗くて手元がよく見えないからか。
「コンビーフとゴーヤのサンドイッチ」を頼む。400円。期待とは違って、コンビーフが少しだけ混ざった卵がメインで、全体にケチャップ味だった。

横の「サメ博士の部屋」という展示室でサメについての知識を学ぶ。実際には、好んで人間を襲うサメなど存在しないとか。
メガロドンの口を再現した骨の中に入って写真を撮りたいなと思ったけど、家族連れがひっきりなしに入っていたのでやめた。
適当な家族連れを見つけて、「よろしければ撮りましょうか?」と声をかけ、そのあとで「私も撮ってもらっていいですか?」と言えばいいだけなんだけど、その間自分のカメラを完全に人に預けることになり、万一何かあったらどうするのか、と考えたのもある。

18時から外でオキゴンドウイルカのショーが始まるという案内があったので、後半の展示を全部素通りして外に出る。
座席が全部雨にぬれているので、傘をお尻の下に敷いて無理やり座っている人などもいたが、私は一番後ろで立ち見。まだ雨交じりの強風で寒くて、震えながら見た。
品川の水族館みたいに1つ1つの芸をじらさず、どんどん繰り出すが、そこまで複雑なことをするわけでもない。みんな片手に傘を持っていることもあり、ほとんど拍手が起きなくて寂しい。高いジャンプにはさすがに「おー」という声が上がる。

近くのウミガメ館は、昔まだ水族館がなかったころにもここにあって、見に来たことを覚えている。
いつだったか忘れたけど、家族でパックツアーで沖縄に来たことがあり、玉泉洞でハブとマングースのショーを見たり、ひめゆり記念館と戦争記念公園に行った。

そろそろレストランに行ってみるか、と思ったら、バイキング終了後はドリンクとデザートしかないらしい。近くにほかに店はないので、晩ご飯はホテルで食べるしかなさそうだ。
水族館の中に戻る。再入場になるのでまた入り口から入りなおすが、さっきのショーを最後にほとんどの客が帰ってしまったようで、さっきとは段違いにすいている。

最初のさわれるプールでもう一度じっくりナマコとたわむれる。ヒトデをひっくり返すと、体の形を少しずつ変えて元に戻れるらしいので、ためしにひっくり返してみた。星型の裏の切れ目から、吸盤状の赤い触手が伸びる。
しばらくしてからまた戻ってきて確かめようと思ったんだけど、出口から入り口までは遠いので結局確かめられなかったのが残念。

これこそ「頭が良くなる育て方」なのだな、と思う家族連れを見かけた。なんというか、子どもの好奇心に対して、係員のお姉さんに問いかけをして正しい答えを導き出し、さらなる興味につなげていくというような。
逆に、「ねーあの魚今ウンコしたでー」「そんなことどうでもいいでしょ、早く行くわよ」みたいな会話も水族館内でたびたび耳にしたが、これはまったくもって「頭が良くならない育て方」という気がする。

黒潮の海に、水槽下側に張り出したサンルームみたいな形のスペースがあり、「アクアルーム」といって水槽を下から見られるようになっている。ここに座ってぼーっと上を見ていると、なんともいえない浮遊感があり、最高に気持ちがいい。水面から差し込む光がゆらめき、真上を大きなマンタがゆっくり横切っていく(※写真30)。前からよく言ってるけど、生まれ変わったらマンタになってふわふわ泳いでいたい。D&D3版に、マンタ・レイに変身できるクロークがあったのが懐かしい。

こんな景色が見られるんだったら、一度ダイビングをやってみたいなぁ……と思うが、もしかしたらここにいるだけでも十分かも。
しばらくアクアルームでぼーっとする。ここも人が少なくてすごくよかった。

あとは、最後らへんに光る深海魚のコーナーがあって、蛍みたいに点滅しているのがすごくきれいだった。
どうでもいいけど、高校生くらいのオタカップルがいて、女の子のほうが「かわいいお魚なー?」というふうに常に語尾に「なー?」がつく。よつばの真似か?と思ったが、現実に聞くとうざいな……。

出口に土産物のコーナー。ステンドグラス風の折りたたみミラーがすごくきれいでいいなと思ったけど、手鏡は持ってるし……あげる人もいないし……(※写真31)

一気に人がいなくなってきたのでちょっと寂しくなって、19:30に外に出る。もう真っ暗。公園を出るとひと気はゼロ。徒歩5分でタクシーに乗るわけにもいかないが、相変わらず街灯が1つもなくてドキドキの車道を走ってホテルまで戻る。

ホテルの部屋に案内してもらう。ツインに加えてソファベッドもある。さすがにお風呂も広め。あとテレビがデジタルなのがよかった。
レストランが和洋2つあるのだが、メニューを見てその値段の高さにびっくり。ルームサービスかよってくらい高い。
おすすめコースが3,500円。アグー(沖縄豚)ステーキも食べたいけど4,000円かぁ……。自販機で売ってるペットボトルも200円と、さすがのリゾート価格。

結局、麩チャンプルー1,000円に、ご飯・香の物・あさりとアーサのお吸い物400円をつける。あと、ウェルカムドリンクサービスのシークワーサージュースも。和食レストランが貸切だったので、洋食レストランのほうで和食メニューも供された。
麩チャンプルーは麩・小松菜・ベーコン・細切りのニンジンだけからなり、大変おいしい! 米は微妙だったが、この麩チャンプルーは非常によかった。さすが1,000円。

21時に部屋に戻ってテレビをつけたら、N響アワーでチャイ5をやってたので、ノリノリで聴く。クラシックのコンサートって体を揺するとマナー違反なんだけど、カッコいい曲聴いてると指揮者のように腕を振り回したり、足を踏み鳴らしたり、拳を上げたりしたくてムズムズしてたまらない。1人のときに思う存分暴れる。

その後風呂に入って、机の中から出てきたるるぶのクーポン本を読んで23:30に寝る。

沖縄旅日記2日目

2009年4月10日
●4月4日(土)斎場御嶽と海の日

※この日から写真あり。mixiのフォトアルバムにあげてあります。

7:30起床。
朝食はバイキング。食べたいものだけ取っていたら、ソーセージ以外は菜食メニューっぽくなる。シリアルが5種類、ヨーグルト(苺ソース)、パパイヤのチャンプルー、パイン、シークワーサージュース。沖縄名物もいろいろあったが、もずくはいつも食べてるしな……。油味噌があったのでご飯を少し食べる。鯛味噌をより脂っぽくした感じでおいしい!

日焼け止めをよく塗って長袖に帽子をかぶり(※写真1)、8:45にホテルを出る。旭橋駅の那覇バスターミナルまで歩く。
複雑なバス路線図を見ると、斎場御嶽に行くには38番の志喜屋線に乗ればいいらしい。次に乗り場へ行って時刻表を見ると、9:11のバスが今行ったところで、次は10:38。1時間以上来ない。
もう一度バス路線図のあるところまで戻って(歩道橋渡らなきゃいけなくてけっこう遠い。途中に小さい神社があって、ちゃんとお供え物がしてあった。※写真2と3)よく見ると、馬天営業所というところまで行けば、138番の向陽高校行きというのが38番と同じ路線を走っているらしい。春休み中とはいえ高校に行く生徒はいるだろうから、この路線を使えば1時間待たなくてもすむんじゃないか?と予想する。
馬天営業所まで行くバスなら、9:37に来る。

バス停に戻ると、地元のお婆ちゃんと孫娘、さらに福岡から来たという母親と娘、という組み合わせがいて、みな38番を待っている模様。「1時間来ないんだよね」と言い合っている。ここで「馬天営業所まで行けば138番というのがあるみたいですよ」と伝えるかどうか迷ったが、言わなかった。というのも、行ってみて本当にそのバスが運行されているかどうか、私は確認したわけじゃない。単なる憶測にすぎないので、それに他人を巻き込んでも責任はとれない。だが、あとで考えてみると、自分の持っている情報だけを提示して、「その上でどうするかはあなたが選んでください」と言うほうが正しかったのかもしれない。

9:37のバスが来たので「これで馬天営業所まで行けますか?」と確認したうえで乗り込む。
景色を見ていると個性的な建物が多くて、時々びっくりするようなカッコいい建物があったりする。シーサーと石敢當(いしがんとう)もいろいろあって面白い。

590円で馬天営業所に到着。10:20ごろ。
営業所の人に138番について聞くと、「今は走ってない」とのこと。もう高校が存在しないのか、今は休みなのかはわからないが。新開のバス停から11:17の38番に乗るしかないとのことで、これはさっきの那覇を1時間後に出るバスのことだ。
まぁ、あそこのバスターミナルでボーッと1時間待つより、ここで1時間あったほうがまだいい。「時間もあるし、新開のバス停まで歩いて行きます」と言ったら、道を教えてくれた。農道をまっすぐ行けばすぐらしい。
自販機でさんぴん茶のペットボトルを買おうとしたら、間違って隣の爽健美茶のボタンを押してしまう。140円。
サトウキビやパパイヤの木などが生えている畑と、その脇の農業用水に沿ってぶらぶら歩く。(※写真4)

言われたとおりすぐにバス停が見つかるが、さらにその先の住宅街まで足をのばし、きれいな花が咲き乱れている家に見とれる。沖縄の街はほんとに花が多く、特にハイビスカスはそこらじゅうで咲きまくっている。あと、朝顔(なぜか青いものばかり)がまるで雑草のように生えているんだけど、上につるを伸ばすための棒なんかないから、地面を這って伸びたり、ほかの草に巻きついて伸びたりしている。(※写真5と6)

やや足も疲れたのでバス停の隣にあるコンビニに入り、「沖縄のマナー」なるムックを立ち読みする。具体的な生活密着情報があるかと期待したけど、ごく普通のマナー本の内容に、少しだけ沖縄ならではの行事などについて書き足したものだった。
11:17に少し遅れてやってきたバスに乗る。那覇のバスターミナルにいた4人が一番後ろの席にいて、久高島に行く港で降りて行った。久高島へ何しに行くんだろう?

斎場御嶽前のバス停で私1人だけが下車。金額は忘れた。交通標識のピクトグラムが、拝んでいるお婆さんの絵になっている(※写真7)。ファミマがあり、「ファミリーマート セーファウタキ店」と書いてあるのがちょっと面白いと思った。

斎場御嶽まで400メートルほど道を入る。鳥の鳴き声がうるさいほどよく聞こえる。池澤夏樹「マシアス・ギリの失脚」の冒頭は、鳥の鳴き声がうるさくて目を覚ます朝の情景だったけど、南の島ではほんとによく鳥が鳴いている。

斎場御嶽の駐車場まで行くとやや観光客が増える。子ども連れも多いけど、こんな岩しかないような遺跡、子どもにとって面白いのかなぁ。
入口に情報センターのようなところがあり、入場料200円を支払う。ここでちょうど12:00。
昔の儀式についての説明を読む。かいつまんでいえば、首里城に王がいたころ、王妃が神格にのぼるための儀式を行なう場所がこの聖地であり、今でも礼拝所となっている。
王妃(聞得大君)は首里城から籠を仕立ててやってきて、首里城の部屋と同じ名前がつけられているいくつかの拝所で、真夜中に儀式を行なうらしい。

入るとすぐ右側にウローカー(泉)への分かれ道があるのだが、そちらは完全にジャングルに覆われ、閉ざされている。
侵食によって穴だらけになった岩の石畳は滑りやすいので、杖の貸し出しを行なっていた。
階段の隅にある、風化してただの岩のように見える香炉に、「聖なるものなので手を触れないように」と注意書きがされている。

巨大な岩に気根でへばりつく大きな木の様子は、屋久島の雰囲気に近いと思った(※写真8)。天気が曇り時々晴れだったので、うっそうとした森の奥にさっと太陽光が差し込んで来ると神聖な感じがする。
途中、戦争の時に着弾してえぐれた地面にできた「砲弾池」というのがあり、のぞいてみるとおたまじゃくしがびっしりいた。

一番奥に、大きな岩の断層によって三角の門ができている三庫裏(さんぐーい)という場所があり(※写真9)、ここをくぐると木の葉でできた窓の中に聖なる島、久高島が望める(※写真10)。
ただ、この三角の門をきれいに写真におさめられる場所は、広場の一番端っこのごく狭い立ち位置しかない。大きな三脚を持ったプロカメラマンらしき女性と、編集者らしき女性がそこで写真を撮っていた。旅行ライターってのもいいな……とちょっと思ったけど、気の向くまま好きなところに行くわけにはいかないし、短い日程にさまざまなスケジュールを詰め込んだりするのはいやだな。

かなり位の高い聖地のはずなんだけど、人が多いとあまりそういう雰囲気にならないな、と思いつつ戻る。人がいなさすぎても怖くなるから、難しいけど。
このあと、タクシーで玉泉洞まで行ってもいいのだが、バスで来る途中に見かけた知念マリンレジャーセンターというところに行ってみることに決め、その途中に「ポランのひろば」というカフェがあるはずなので、寄り道することに。
車道沿いにあるのかと思ったが、道しるべに従うと車道を離れてどんどん海のほうに降りて行き、思ったより遠い。暑いし足も疲れてぐったりしてきたころ、到着。

「ポランの広場」はペンションになっている建物で、外に張り出した広いテラスを抜けて入る。中の席はいっぱいだが外には誰もいなかったので、テラスの8人くらい座れそうなテーブルを1人で占領する。
海に面した高台で、さわやかな風が吹き、ずっしりした木のテーブルと椅子、屋根からは浮き玉が吊られている(※写真11)。
お冷のコースターはシーサーが描かれた赤瓦製(※写真12)。

メニューには宮沢賢治にちなんだ菜食ご飯やカレーなどがあったが、もっともこの場所にふさわしくファンタジックなイメージで、つぼやきシチューのセットを頼む。ビーフシチューの上にビール酵母入りパンで蓋をし、海ぶどうが乗っかったサラダと、クルミと紅いも入りチョコケーキと、コーヒーつきで1,000円(※写真13、14、15)。
シチューのカップの取っ手を持つための小さいなべつかみがついてきて、かわいい布のパッチワークでできているんだけど、よくよく見るとそこに「EYE of the BEHOLDER」と書いてある……。このメルヘンななべつかみからは180度離れたこれはいったいなんなのか……。気になる。(※写真16)

海からの風に吹かれて、のんびり昼ごはん。海ぶどうを実は生まれて初めて食べたが、ちょっと塩味でプチプチで中はとろっとしていて、なかなか旨い。
食べ終えたサラダのドレッシングの中に小さい虫が飛びこんできて溺れ死んだり、向こうを飛んでいる蜂がこっちに来ませんようにと見張ったりするようなのはあるけど、暑くもなく寒くもなく、この開放感はなかなか得がたい。
この瞬間は今回の旅のハイライトと言ってもいいだろう。

今回は時計を持たない旅でもある。バスの時間だけはどうしても確認しないといけないので、カメラの内臓時計を使うんだけど……。
仕事場の風景、30分刻みのスケジュール表、メールと電話で確認・報告・催促、雨が降ってるかどうかもいったん外に出てみないとわからない座席、といったもろもろのことがらがすごく遠く感じられた。

しばらくぼーっとしてリフレッシュし、13:45くらいに出る。
このまま海まで下ったら海岸沿いに知念マリンレジャーセンターまで行けないかと思って店の人に聞いてみたが、「地元の中学生とかなら、道なき道をよじ登って行けるかも」という返事だったので、冒険はやめて上の車道まで戻り、暑い道を歩く。

知念マリンレジャーセンターに到着。やはりここにもほとんど人がいない。
ダイビングとかはまだやっていないので、グラスボートに乗ろうとするが、1人でボートを貸切状態にすると2,000円かかるとのこと。誰かほかの客が来るのを待つことにする。
海ぶどうの養殖を見物し、試食。

しばらく誰も来そうになかったので、少し先の「あさまさんさんビーチ」に行って、エメラルドブルーの海と透明な波を眺める(※写真17)。ここの海岸はもう海開きしているんだけど、あまり人はいない。
波打ち際できれいな貝殻を拾い集めて写真におさめる(※写真18)。よく見ると町並みのような模様が浮き出ているきれいな貝があったので、それだけ財布に入れて持ち帰る。

そうこうしているうちに客が来たらしいのだが、私が見当たらなかったので船を出してしまったとのこと。それはまったくもって仕方がない。近くで釣りをしている人を眺めていたら(透明度がすごく高いから、足元にすぐ魚が見える)また新たな客が来て、父・母・娘という3人家族とともにグラスボートに乗り込む。1割引のクーポンを使い、1,260円。

操縦の人はがんがんボートを飛ばして、魚のいるポイントまで来ると止めて説明してくれる仕組み。ガラス窓の下を青や黄色の魚の群れが通り、水族館みたいで感動する(※写真19)。また、別の場所ではヒトデや巨大なシャコ貝(ここまで育つのに40年くらいかかるという)も見える(※写真20)。そういうスポットはサンゴが大樹のようにそびえていて、木を中心にした街みたいなんだけど、それ以外の平地はずっと白化したサンゴの死骸のかけらで埋め尽くされている。

途中、「いつもここには寄らないんですけど、今たまたま魚が集まってるから」と寄り道してくれた場所があり、「魚がここに集まっている、っていうのはどうやって見つけるんですか?」と訊いたら、客を乗せないときにも時々海の見回りをして探しておくらしい。

ボートをとばすとけっこう揺れるので、ちょっと酔った。同乗していた家族の母親は完全に酔っていた。
展望台で少し涼んでから車道に戻り、バス停へ向かう。
道中、左手に「ウローカー入り口」という看板がある。斎場御嶽で道が閉ざされていた泉だ。薄暗い森の奥へと道が伸びており、せっかくなので行ってみる。花から花へ飛ぶ蝶を写真におさめようとするがうまくいかない(※写真21)。
ウローカーには水がなく、侘しい雰囲気になっていた。当然人っ子一人いない。

バス停に着いて時刻表を見ると、30分待ち。
立って日記メモを書きながら待っていると、タクシーが目の前に止まり、「どこまで行くの?」と声をかけてくる。
「那覇市内ですけど、バスに乗りますので」と言ったら「バス乗っても800円だよ。2000円でいいよ」と言われたが、たとえばオススメの沖縄そば屋に連れてってもらうとかのオプションをつけても、追加で1,200円払うメリットが感じられないので断る。

16:30のバスに乗って17:30ごろバスターミナルに戻ってくる。810円。
また国際通りまで行き、真ん中へんからちょっと左に入ったところにある「てぃだ」という店に18:00ごろ入る。やや観光客向けの沖縄料理店なんだけど、なかなか古めかしい店構え。沖縄そば、じゅーしー、クーブイリチー、もずく酢、ゴーヤつきのソーキ、あと何かもちっとした豆腐?みたいなの(※写真22)。以上のセットで1,000円。
ひじきの炊き込みご飯に脂を加えた感じのじゅーしーは、初めて食べたけどすごくおいしい。これだけでおかずいらないくらい、どんどん食べられる。ソーキは軟骨がコリコリしている。クーブイリチーは家でよく食べてるのと似た健康食。

帰り道にまたわしたショップに行き、食べつくしてしまった携帯黒砂糖をもう1個買い、油味噌の小さいパックを買い、あと「七つの島の黒砂糖食べ比べセット」を悩んだ末自分用に買う。合計1,840円。クーポンを使ったら謎の豆菓子がついてきた。
水族館の割引チケットとポークおにぎりを買いたいので、帰り道にローソンがあったら行こうと思っていたのだが見つからず、そのままホテルに帰りつく。

首にストールを巻いて日焼け止めも塗ってたんだけど、服の襟ぐりとの間に隙間ができて、そこだけがすごい日焼けしてしまった。
そのうち見るテレビもなくなり、シャワー浴びて22:30には寝る。

沖縄旅日記1日目

2009年4月9日
東京が桜満開だった先週末、朝顔が咲き乱れる沖縄に行ってきた旅の日記。たぶんものすごく長くなるうえ、役に立つ情報とかは全然ないので、ごく暇な人向けの内容です。

●準備編

4月頭、これを逃すとまたいつ来るかわからない仕事の谷間ができたので、3泊4日で飛行機とホテル(朝食付き)だけのツアーを申し込む。
とりあえず、斎場御嶽(せーふぁうたき)と美ら海水族館だけ行ければいいと決めて、2泊は那覇のワシントンホテル(本当は牧志駅直結の南西ホテルにしたかったけどあいてなかった)で安くあげ、1泊はチサンリゾート美ら海でややぜいたくに。
計51,800円。

また、旅行前日、ついに「自分へのごほうび」としてデジタル一眼を購入。CANON EOS50DにF2.8の純正ズームレンズをつけて、中古で157,500円。
今までに一眼レフを4台買っているけれど、たぶん全部中野のフジヤカメラで買った。新宿のマップカメラは品揃えは多いけど少し高くて、中野までひと駅ぶん足を伸ばす手間によって15,000円浮かせられた。
だが、このときコンパクトフラッシュを一緒に買っておくのを忘れたため、あとで大変なのだった……。

●4月3日(金)那覇散策の日

8:30起床、9:20にいつものsuicaキャリーバッグを引っ張って家を出る。PCが入ってないし服も少ないので荷物が軽い。
目黒駅まで行くと、なんと人身事故で8:00からずっと山手線が止まっているとのアナウンス。人だかりの中、私が到着したちょうどのタイミングで運転再開した。ラッキー。

10:20に羽田空港到着。チェックインしてから、買い忘れたコンパクトフラッシュを探す。成田空港だったら絶対あるだろうからそのイメージでうろうろしたが、羽田には全然そういう店がない。仕方ないので沖縄まで行って買うことにする。
こないだ申し込んだゴールドのクレジットカードを使うと空港ラウンジに入れるとのことだったので、行ってみる。
狭っ! 体感10畳くらいのスペースに椅子がいっぱい並んでいて、座って新聞とか雑誌とかが読めるようになっている。あとドリンクバーがある。カフェラテを飲んで日経WOMANを読む。
次に荷物を預けておむすび弁当750円を買い、荷物検査の行列で時間ギリギリになりつつも飛行機に乗りこむ。
このとき、荷物検査のあとの待合室にもラウンジがあることを発見。こっちは広いのかな?

11:30出発、機内でお茶サービスに合わせて弁当を食べ、機内放送を聞く。ノイズキャンセルヘッドホン様様。
沖縄線のみの特別番組として、スチュワーデス(って今は言わないんだっけ? フライトアテンダント?)がエイサーを習うというビデオをやっていたのでまじめに見てしまったが、会話が全部棒読みだった。

機内で割引クーポンつきの沖縄ガイドマップが配られる。サイズが小さいので持ち運ぶのに便利で重宝した。地図も最新だったし(後述)。

14:00に那覇空港着。湿度が高いが、そんなに暖かいというほどでもない。
ゆいレールというモノレール(沖縄唯一の鉄道)に乗って県庁前駅まで、230円。そこからワシントンホテルへ向かう。
福寿園という中国の庭のふちを通る。かっこいい門があったり、住宅街にある瓦屋根の家とシーサーがきれいだったり(レオパレス21のアパートにさえ、入口にシーサーがついてる)、さっそく見どころが多いが、カメラにコンパクトフラッシュが入っていないので写真が撮れない。ただの重い箱と化している。

ホテルにチェックインして荷物を置き、カメラと財布だけ持って観光に出かける。さっきと別の道を通ってぶらぶらと県庁前駅に戻り、国際通りを目指す。
角の広場で、交通安全キャンペーンと思しきイベントに人が集まっており、幼稚園児たちが獅子舞のような踊りを披露しているところにたまたま行き合わせた。猿の格好をした先生が振る鈴?に合わせて獅子舞がごろんと横転するところで、後ろ脚担当の女の子が何度も布からはみ出てしまい、一生懸命かぶり直す様子が大変微笑ましく、見ている婦警さん?たちからも笑いがもれていた。なごむ。

西の端から国際通りに入る。店の前に大きな青いオウムがいる「鍵石」に入って、琉球ガラスのアクセサリー類にしばし見とれる。
あちこちで売っている手作りの小さなシーサーも可愛い。邪気をはらうお守りにしたらよさそうだけど、自宅の雰囲気には合わなさすぎる。また、民族雑貨を扱う店が閉店セールをやっていたのでそこでも時間を費やす。
デザインのすぐれたTシャツが多いと思った。北海道で売ってるような、ネタ系のも多いが。でもTシャツって普段ほとんど着る機会がないから、買ってももったいないんだよね……。
ひたすら続くお土産と雑貨を見て歩くが、だんだん似たようなものばかりになってくる。わしたショップで携帯用黒砂糖(ジッパーで封ができるやつ、70g入り)を100円で買い、食べながら歩く。旨い。

えんえんと行くが、コンパクトフラッシュを売ってそうな店はまったくない。途中に三越があったがそこもダメ。その先は店があまりなさそうなので、ここで南に折れて市場本通りに入る。
その前に若者向けのオーパというビルがあって、アイス食べて一休みしようかと悩むが、結局もう少し頑張ることに。
市場へ向かうアーケードを進むと、土産物屋しかなかったのがだんだん普通の商店街みたいになってくる。
菓子の出店でナントゥーンスを100円で買う。味噌味の平たいお餅に月桃の葉がくっついているもの。もともとは正月用の菓子だったはず。食べた感じはなんだろう、ちょっとしょっぱいすあまみたい? ヒバーツの風味はよくわからず。黒光りするイラブーが吊ってある市場の入口を、歩きながら食べる。

牧志公設市場に入る。入口すぐの魚屋で、「好きな魚を選んで、2階で調理して食べる」というシステムについて説明してもらう。1人だったらグルクンの唐揚げと海老の組み合わせがいいとか、あるいは大きめの魚1匹を買って半分は刺身、もう半分は味噌汁にするといいとか。
といってもまだ5時半くらいだったのでちょっと早いと思い、市場をさらにうろつく。豚の顔とか山盛りのティビチとか、ぎっしり並んだ珍しいフルーツとか、写真でよく見るマチグワーの風景そのまま。島らっきょうの試食を勧められたが断ってしまった。食べてみればよかった。
けっこう狭いのですぐひと回りし、2階に上がってみる。食堂がいくつか並んでいて、それぞれに沖縄料理のメニューを居酒屋のように掲げている。観光客か地元の人かわからないがけっこう食べている人がいる。

結局、客引きの美少女につられて正面の食堂の椅子に座ることに。グルクンのから揚げはメニューに時価と書いてあるが、600円とのこと。それと、沖縄そば小(これってどれくらいの量ですかと聞いたら「わんこそば2つ分くらい」)、400円を頼む。

隣の家族連れがいろんなメニューを取り分けて食べていたが、ナーベーラーチャンプルーが運ばれてきた時に「ナーベーラーって何?」と店員に聞いていた。え、それって普通は注文する前に聞いておくことじゃない? なんだか知らずに注文したのか? 店員の返事は「ナスです」。
いや、ナーベーラーってヘチマなんだけど……

※理由を考えた
1.店員は「ナーベーラーはナーベーラーだろ。標準語でなんて言うんだっけ? えーと、ナスだったかな?」と思った
2.店員は「内地の人はヘチマを食べないらしいから、ナスって言っておいたほうが無難だろう」と思った
3.店員は「ナーベーラー知らないのかよ! ナスって言ってちょっとだましてやろうかな」と思った
4.沖縄ではナスもヘチマも似たような扱いである

グルクンのから揚げは、三枚おろしのなりかけみたいな状態でからっと揚げてあり、骨も食べられるらしい。しかし私は小骨が苦手なので1本ずつ取りながらちまちま食べていたら、店員さんがティッシュの箱を持ってきてくれた。その際「頭も食べられるからね」と言われたが、ちょっと無理だった。風味は、前に屋久島で食べたトビウオのから揚げみたいだと思った。
そばの味も満足したが、この値段は高い。やっぱり観光地価格なので地元の人の来るところではないのかも。
食べているときに、風変わりなパンクっぽい格好をしたお爺さんが三線を弾きながらうろうろしていた。
あと、店員さんに「このへんにカメラ屋はありませんか」と聞いたら、ないと言われた。

18時に食堂を出て、市場本通りの奥から平和通りへ抜ける。薄暗く売り物も少ない市場の中に、突然屋根のない広場が現われてパラソルが並んでいるところとか、すごくアジアっぽかった。
平和通りで「海想」のカッコいいTシャツやロープワークの額に見とれたあと、通りすがりにきれいな花柄のTシャツを見つけて「Croton」という店にフラフラと入る。
お店のお姉さんがわざわざ姿見を持ってきてくれたり、親切に接客してくれたこともあって、藍染風の白いTシャツを1枚買う。3,200円。2枚目から安くなるらしい。
会計しながら「このへんにカメラ屋か、電気店か何かありませんか?」と訊く。このへんは土産物屋ばかりなので、よく本屋の場所も訊かれたりするらしい。ゆいレールおもろまち駅の近くにショッピングセンターがあって、そこに大きい電気店が入っているとのこと。ガイドブックではまったくわからない情報だった。
1人旅ですかとか沖縄は初めてですかとか何泊するんですかとかいろいろ訊かれてしゃべる。日本語が通じる場所での1人旅はやはり良い……。

おもろまち駅までゆいレールに乗ろうと、牧志駅目指して東進するが、地図を見ると歩いても行けそう。
牧志駅の手前で北に折れ、公園を通り過ぎて(何だかわからないが警察がたくさん集まっていた)橋を渡り、新しくて広いバイパス道を北上する。できたばかりの道らしく、車は多いが道路脇に何もない。歩行者もいない(沖縄の人はそのへんのコンビニに行くにも車に乗るそうで、もともとあまり歩かないらしいが)。
また、この道は飛行機でもらったマップには載っていたが、それ以外のガイドブックなどには載っていなかったので、そっちを見ていたらゆいレールに乗るしかなかっただろう。

あたりが暗くなるころ、ショッピングモールに到着。広々した敷地にいろんな服のブランドやレストランが入っており、奥にデオデオがある。
コンパクトフラッシュを探すと、なんと2Gのものが5,980円とある(しかもバッファローのやつ1種類しかないし)。ヨドバシで買ったら3,000円もしないくらいなのに!(価格.comで見たら最安値は988円だった)ほかの家電も全体的に高かったので、たぶん価格競争がないために高くなるんだろう。離島運賃もかかるしな。
さすがに2倍の値段はばからしいので、1Gで3,980円のものを買う。保証書をつけてくれたが、二度とこの店に来ることはないであろう。
これでついに、カメラがただの重い箱ではなくなった! 今日の市場とか、かなり写真映えする場所だったので撮れずに残念。ただ、一般の人がいるところを撮るのはまだ度胸がないので、そこまで惜しくもないか。

帰り際にミスドを見つけ、ドーナツを2つデザートに買う。220円。観光客用巨大免税店DFSの脇を通り、おもろまち駅へ向かう。やはり歩いている人は全然いないし、広い道路の街灯が1つおきにしかついていないので、全体的に暗い。

県庁前駅まで200円。再びワシントンホテルまでの道を歩く。福寿園わきの道は狭くて暗いので、もう少し広い道を遠回りしてホテルに帰る。住宅街に街灯は1つも存在せず、明かりは家の窓や店の看板のみ。
途中でファミマに寄る。沖縄にはファミマとローソンしかない(あとCocoという地元チェーンみたいなコンビニがある)。セブンイレブンは1軒もない(調べたら四国にも1軒もないらしい)。
ポーク(スパムのことね)を使った沖縄限定のおにぎりがいくつかあり、夜食としてポーク卵ツナマヨとヨーグルトを買う。290円。

ホテルに戻り、ツアー予約者向けのウェルカムドリンクサービス券をもらっていたので、1階レストランでシークワーサージュースを飲みつつ、日記メモをつける(あとでこうやって清書するための備忘メモ)。ディナーバイキングをやっていたが、客は少なかった。

20:30くらいに部屋に戻るが、TVの配線が外れててつかず、フロントを呼んで直してもらう。TVはNHKとNHK教育とBSが2つと、あと民放が2つか3つ。
買ってきたドーナツとおにぎり(スパムとご飯のマッチ度合いは異常)を食べ、部屋に置いてあった粉のさんぴん茶を飲む。
風呂に入ってのんびりデジカメの説明書を読む。
上がって22:20。「美の壺」と「芸術劇場」を見て23時には寝る。

2月3日の日記

2009年2月3日
一眼デジタルレフを買いたいと思い、つれづれ考える。

CANON EOS40D+トキナー AT-X165 PRO DX=160,600円
というのにとりあえず目をつけていたんだけど、今日
EOS40Dはライブビューでのオートフォーカスができないという
衝撃の事実を知る。いったんライブビューを切ってピント合わせ
してからまたライブビューに戻してシャッターを切る。
これは完全にありえない。

EOS50Dならライブビューでオートフォーカスができるが、
「少し時間がかかることがある」らしい。
どれくらいなのかは実機で試してないのでわからない。

ライブビューを重視するなら、ソニーα350が圧倒的に
ピント合わせが早く、モニタも動くし良い。ただ、ボタンや
表示回りが古くさく、無骨でいまいちカッコ悪い……と思う。
デザインでカメラ買うんじゃないけどさ。

***

トキナー AT-X165 PRO DX(16-50mm F2.8)が好きでたまらない。
しかし、ここのところずっとトキナーのレンズを使っていなくて
すっかり忘れていたことがあって、これをつけていると内臓の
ストロボがケラレて使えないのだった。
イベントとかだとどうしたってストロボをたかないといけない
場面というのはあって、そんなときに外付けストロボをいちいち
くっつけたりはできない。ますます重くなるし。

F2.8で内臓ストロボが使える純正ズームレンズはあるのか?
あってもものすごい高そうだけど。

→今調べたらEF-S17-55mm F2.8 IS USMというのがあり、
(内蔵ストロボが使えるかどうかは書いてないが)
定価143,000、価格コムの最安値が93,000。
D50の本体が12万くらいとして、合わせて20万超えか……。

***

ミラーレスのカメラはパナソニックのLUMIX G1。
とことん女性用をうたってる広告はちょっと引くけど、ほんとに
小さくて軽くてデザインも良い。ハイビジョンの技術を使っている
とかいうファインダーは、とても大きくてきれいで、ひかれる。

ミラーがないと何が変わるのか店員さんに聞いたところ、
「ピントが合うのと、シャッターが切れるのが少し遅い」とのこと。
確かにちょっともたつく。昔のデジカメがこんな感覚だった。
スポーツや演劇スチール写真なんかには使えない。

あと、レンズが専用のものしか存在せず、基本のレンズは2本だけ。
コンバータを使えばあと6本増やせるけど、F2.8は単焦点のみ。
このカメラは、コンバータで昔のフィルム用レンズをつけて
楽しむという、マニアックな使われ方が今は多いのだという。

知識があれば無理やりF2.8のズームレンズくっつけたりできる
のかもしれないけど、私には無理だ。

***

調べて考えれば考えるほど悩ましい。
何もかも完璧なカメラはないんだから、自分にとってどの要素が
優先順位が高いのかをよく考えて、それで値段とよく見比べて
決めるしかない。

順位高
・F2.8のズームレンズ
・ライブビューでオートフォーカス
・内臓ストロボ使用可能
・軽さ

順位中
・操作感の慣れ(CANONに対する)
・動作音の小ささ

順位低
・手ぶれ補正
・デザイン
・多機能
・マクロ

……挙げてはみたけど、これ全部なんとかしようと思ったら
やっぱりものすごくお金がかかる。次はどの要素ならあきらめても
いいかを、よく考えなければ……。

ライブビューは、眼鏡でファインダーをのぞきづらかったり
上から撮るときに便利。でもなくてもなんとかなる。
明るいレンズは、イベント会場や夜など暗いときに便利。
なければないで、フラッシュたくかISOを上げる。
内蔵ストロボが使えなければ、やっぱりISOを上げる。
F2.8ならなくてもそこそこ頑張れるかも。
軽さは、長時間持ち歩くのに必要。重いカメラは結局持って
歩かなくなり、決定的な瞬間を逃したりもするし、いつも
持っていないと写真の経験値は上がらない。

うーむ……
決まらない……

そしてカメラ買ったらPCも買わないといけなさそうな気がひしひしと……。

***

そういや
昔使ってたEOS100は静かで軽くていいカメラだったなぁ……
視線でピント合わせできるEOS5も好きだったなぁ……
今は視線入力という文化はなくなってしまったのかな?

10月4日の日記

2008年10月4日
先日やっていたボキャブラ天国の特別番組を見た。
ボキャブラは一番最初の放映の二回目ぐらいから全部ずっと
見ていて、すごく好きな番組だった。
10年以上前のことが懐かしいだけじゃなく、お笑い芸人たちの
盛衰がすごくて、ここにも出ない消えてった人たちのことを考える。
10年だもんなー。

当時私が好きだった芸人と言えば、底抜けAIR-LINE小島、アンジャッシュ
渡部、U-turn対馬だったんだけど、対馬さんの顔すら映されなかった
のが気になってちょっと芸人さんたちの去就を調べた。
底抜け小島さんは何のゲームを作ってるんだろう?
金谷ヒデユキって今は声優になってるのか。

フォークダンスDE成子坂は、小島よしおが所属してた大学のお笑い
サークルが開いたイベントにゲストとして来てて、詳しい流れは
忘れたけどなぜだか客席にいた私がステージに上げられて二人に
いじられたことがある。
村田さんが亡くなってしまい、もう二人を見ることはできない。

お笑いの前の読者投稿時代も懐かしくてあさってみたり。
今見るとビデオの出来がすごい。短いネタをビジュアル的に面白く
するために相当手が込んでいる。こんな番組、よく毎週放送してたな。
「兄は夜更けすぎに」とか「中央ブリーフ連盟」とかの名作は
もう15年以上前か……。

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