ニューヨーク日記その1
2007年3月31日
ニューヨーク旅記録
母親のコンサートに付き合って3泊5日の2人旅。
■3月23日(金)
●空港
朝7:10に家を出て、日暮里経由京成特急で成田へ。
卒業旅行シーズンらしいが、空港はすいていた。
先送しておいたスーツケースを受け取り、おにぎりで腹ごしらえ。
100ml以上の液体が持ち込めないことを昨夜まで忘れていたので、化粧水をスーツケースに詰め直し、それ以外の化粧品をジップロックにしまう。
2階の土産物屋をぶらつくと、富士山よりも高い東京タワーに桜吹雪が舞うスノードームがあった。
風邪はだいたい治ったはずなんだけど、昨夜から鼻水がひどく、飛行機の窓際の席に乗り込んで飛び立つまでの間に、ティッシュを一袋使いきってしまった。
●飛行機
機内食の昼ご飯は、鱈の味噌焼きと高菜ご飯。
「ナイト・ミュージアム」を見る。旅行前に見に行こうと思っていたので、ちょうど良かった。
非常にゲーマー向けの映画だと思った。小さいことをわざわざ大げさに見せるのが面白い。
それからなんとなく「シャーロットのおくりもの」を見る。子豚かわいー、ダコタ・ファニングかわいー、羊かわいー、に終始する映画。クモに綴りができる理由が結局説明されないのは、まぁ絵本だからいいや。
あと、北京オリンピックに向けて建設中の建物についてのドキュメントが、意外と面白かった。こんなすごいのをいろいろ建てているとは知らなかった。
映画音楽名場面集みたいな番組もあり、ネバーエンディングストーリーのリマールのビデオを初めて見た。
夜になり、外には星がいっぱい出ていた。
ティッシュを節約するため、ご飯のときに出た紙ナプキンを使って鼻をかんでいた。一生でこんなに鼻をかんだことはない、というくらいかんだ。摂った水分が全部鼻から出てそう。鼻が垂れてきて目が覚めるので、あまりよく寝られなかった。
夜中に桜餅あんぱんが出て、朝ご飯はパンケーキとクレープ。
着陸時、鼻詰まりのせいでうまく空気抜きができない。普通の耳の奥ではなくて、首の上・耳の付け根や、眼窩のあたりが激しく痛い。右眉の裏側の激痛なんて、生まれて初めての経験だった。
揺れるというアナウンスがあったがそんなには揺れず、マンハッタン島の上を通り過ぎて現地時間23日11時に着陸。時差はサマータイム込みで13時間。飛行機に乗っていた時間が、まるまるキャンセルされたような感じか。
降りぎわにビジネスクラスの席を通ると、ふわっとした使い捨てスリッパがビニール袋に入ったまま放置されていた。ちょっと手を伸ばして持って帰りたいが、さすがにあさましいのでやめておく。使い捨てスリッパって、ホテルに泊まるときに便利なんだよね。
●ニューヨーク入り
入国審査の窓口に母親と2人で行くと、「ファミリー?」と訊かれ、「Yes」と返事したのに、「あんたたちどうやって知り合ったの?」という質問をされる。「How do you know each other?」って、そういう意味だよね?
外は意外と暖かい。といっても寒い日はすごく寒いらしく、まだところどころ雪が残っていた。
空港からホテルまでは送迎つき。長髪の日本人ガイドに連れられ、3家族くらい一緒にバンに乗り込む。
高速道路を走り、だだっ広い墓地の間を抜け、クイーンズボロウ・ブリッジを渡って中心街に入る。正面に現れた摩天楼の景色は、書き割りみたいだった。ビル、細長すぎ。
ビルの谷間を走っていくが、道路がやたらデコボコしていて揺れまくる。ライフラインがみんな地下に埋めてあるので、何か工事するたびに掘り返さなければならないらしい。それにしても、街並みや景観に力を入れるならもう少し道路も平らにすればいいのにと思う。慣れの問題か。
セントラル・パークの近くを通ると、たくさんの観光用馬車がずらっと客を待っている。そういった馬車や自転車も、車の間をすいすいと抜けていく。
雨が降ってきた。
ガイドからいろいろな注意事項をきく。
いわく、パスポートに貼ってある緑の紙は絶対失くすな。ホテルの電話は(フリーダイヤルですら)めちゃめちゃ高いので使うな。冷蔵庫はセンサーが敏感なので飲まないものには触るな、など。
●ホテル着
タイムズスクエアの西端あたりに位置するホテル、ウェスティン・ニューヨークにチェックイン。
ロビーで小さいミネラルウォーターのペットボトルを配っていたので、いそいそともらう。
部屋は29階。外観やロビーは非常にモダンで、新しいこともあって立派なのだが、廊下は妙に古くさい。
部屋はそこまで広くはないが、まぁまぁ。スタバのインスタントコーヒーとティーバッグがタダで飲める。
部屋に入るとすぐにフロントから電話があって「万事OKか」と聞かれたので、バスローブが1つしかないと伝えたが、結局滞在の最後まで追加のバスローブが届くことはなかった。まぁいいけど。
「ヘブンリー・ベッド」と宣伝されていたベッドで、とりあえず昼寝。やや固めのマットレスの沈み具合はいい感じだが、はたしてヘブンリー……なのか?
●街探索
15時に活動開始。雨は上がった。
ホテルの3階に公衆電話があるとガイドに言われたので、さっそくかけようとしたが、うまくかからない。まずもってコインの投入口がない。
タイムズスクエアに出て、ブロードウェイを歩き回る。
よくテレビで見るタイムズスクエアの光景が広がる。曲面だったり、窓があったりする壁面を平気で液晶画面にして、じゃんじゃん映像を流しまくっている。
人通りが多くて芸人や呼び込みもいて、雰囲気は新宿東口っぽい。道路のど真ん中に交番と軍隊の宣伝施設?がある。
都会はだいたいどこも一緒なので、そんなに東京と違う雰囲気ではない。五番街のブティックが立ち並ぶあたりなんて銀座と変わらないし。タイムズスクエアのネオン・液晶画面の洪水はすごいけど、やや散漫なのでインパクトでいったら渋谷ハチ公前交差点のほうがすごいと思った。
まずはマジェスティック劇場のボックスオフィスに行って、明日夜の「オペラ座の怪人」のチケットを買う。
土曜の夜なのでどうかなとは思ったが、余裕で2枚買えた。S席(こっちではオーケストラ席というらしい)1人110ドル+税金1.25ドル。1階の後ろのほうと、2階の真ん中らへんがあったが、「2階のほうがいいよ」と窓口のおじさんが勧めてくれた。
ブロードウェイ沿いに大きなHERSHEYSとM&Mの店があり、土産を物色。ここにも5ポンドのチョコレートバーがあった。あと板チョコ枕とか、でっかいキスチョコ(メタルスライムに似ている)とか。
クリーム入りチョコクッキーの4個入りパックがあったので買って食べたら、すごいミント味だった。私はミントがダメなので、「パッケージにミントって書いとけよ!」とキレたのだが、パッケージには「York」という青いロゴがついており、この「York」というのはどうもフリスクなどのようにミントの登録商標のようなので、アメリカの人なら誰でも見ればわかるということなのだろう。
M&Mはラスベガス同様、色別のチューブから好きな色を好きなだけ自分で袋に詰める計り売りをやっていた。
MTVショップがあって、Tシャツやタンクトップがかっこよくていいなと思ったんだけど、値段もそれなりなので結局買わなかった。こういうものは日本で手に入らないわけじゃないだろうとも思ったし。
日本で手に入らないものを捜すのは難しい。というか、日本で何が売ってるかをよく知らないだけなんだが。
私は日曜の夜も暇なので、「美女と野獣」でも見ようかと思い劇場に行ってみるが、日曜は15時からの公演しかない。オペラ座も日曜は休演だったし、日曜の夜はあんまり芝居を見る習慣がないのかも、と思ってやめる。
公衆電話からHISニューヨーク支店に電話して、明日の半日観光を申し込む。集合場所はヒルトンホテルのレセプションカウンター前だと言われたので、そこまで歩いて行ってみることに。
途中、やや古い雰囲気のデリに入る。
ガラスケースにさまざまなおかずが並べてあって、サンドイッチやパニーニの中身をいろいろ選べて、いろんなケーキやクッキーが飾ってあって、コンビニみたいに食べ物や飲み物、日用雑貨も置いてあるような店をデリと総称するようだ。
炭焼きチキン胸肉のホットサンドイッチとコーヒー、それに「クリスピークリーム」のラベルつきドーナツを売っていたので、それを1つつけて、全部で10ドルちょっと。
コーヒーを頼むときに「milk?」と聞かれて「Yes」と答えたら、最初からミルクが入った状態で出てきた。コーヒーの味が薄まるくらい大量のミルク。私にはちょうどいいが。
ドーナツは冷めていたのでいまいちだったが、サンドイッチはおいしかった。
そういえば、ニューヨークにはスタバが大量にあって、グランデサイズ(いや、もう一段階上か?)を持って歩いている人がいっぱいいる。カップを持ったままで店に入るのも普通。
あと、デニム率が高い。私が見たかぎり、8割の人がデニムを履いているような気がする。
●MoMA
ヒルトンに寄ってからさらに東進し、現代美術館MoMAへ。
いつもなら20ドルもかかるが、金曜日は16時から入場無料なのだ。
17時ごろ到着。混み合ってはいたが、そんなに並ばず入れた。やる気のないお姉さんがカウンターで無料チケットを投げ渡していた。
人込みの中、まずは上の階から見て回る。
ピカソの「アビニョンの娘たち」が、ガラスの保護もロープも何もなく壁にかけてあるのは、なんだか見ていて恐ろしい。
これがたとえば日本に来たとしたら、ものすごい厳重な警備がつくだろう。荷物検査もなく誰でも入れるこんなところに放置しておいて大丈夫なのか。世の中にはいろんな人がいるわけだから、唯一無二の芸術作品を破壊することで歴史に名を残そうと考える人だっているだろうに……と、これはルーブル美術館でも同じことを考えたな。
ゴッホの「星月夜」にはガラスがかかっていた。
その他、有名なものをいろいろ見て、絵に関してはまぁ理解できるのだが、階を下るとだんだん現代アートになってくる。
スープ缶やコミックの拡大はまぁいいとしよう。しかし、ただロープを上から吊るしただけとか、ただキャンパスを白く塗っただけ、ただ切り裂いただけ、古タイヤとゴミの寄せ集め……みたいになってくると、どこがどう芸術作品なんだか本当にわからない。
そんなものをもったいぶって飾って、客がうなりながらその前でオーディオコメンタリーを聞いたりしてるのが滑稽。まぁ、「いったい何が芸術なのか?」を提起することこそが、たぶん目的なんだろうけどね。
あと、何もないただの部屋があって、5秒ごとに電気が点いたり消えたりするというだけの芸術作品もあった。
こういうものを誰が最初に芸術として評価し、ここへ陳列するのだろうか? つまり、たとえば私が、「じゃあ5秒ごとに音が出たり消えたりします」という作品を作ったとして、それをMoMAに置いてくれるのか?ということなんだが。
といっても別にバカにしているわけではなくて、現代美術はかなり好き。
下の階には映像作品がいくつかあり、何気なく部屋に入ってみたら、Bill Violaの「Stations」があった。
真っ暗な中に大きなスクリーンが5つあって、水中で首だけ出して立ち泳ぎしている5人の人間を水中からさかさまに映した映像がスローモーションで流れ、スクリーンの足元に敷かれた黒御影石に映像が反射しているというもの。
言葉で説明してもよくわからないと思うんだけど、さすがにこれは実物を見ないと伝わらない。けっこう衝撃的だった。
●帰り道
いいかげん疲れたので出て、向かいのMoMA土産物屋を見る。役に立たない芸術的なものがいろいろある。抱き合う塩と胡椒の入れ物はちょっと気に入った。
歩いてホテルまで戻り、近くにあったヨーロッパ・カフェという店(ハードロックカフェの向かい)で晩ご飯を買う。
まず、サラダの菜っぱの種類を選ぶ。ミックスとロメインとほうれん草だったかな。サイズも2種類ある。
我々はミックスのSサイズをまず選ぶ。3.25ドル。
次に具を選ぶ。ガラスケースにいっぱい食材が並んでいて、指差して菜っぱに加えてもらう。具によって値段が違い、50セント〜2ドル。スモーク・ターキー2ドルと、モッツァレラチーズ75セント、ロースト・ウォールナッツ75セントを入れる。これで6.75ドル。
最後にドレッシングを選ぶ。これもいろいろ種類があって、バジル・バルサミコ・ビネガーを選ぶ。混ぜてもらって、できあがり。
これがさっぱりとしておいしい。分量も2人で分けて食べるのにちょうどいいし、何よりいろいろ選べるのが楽しい。
日本でもこのスタイルがはやればいいのにと思うが、日本人はアメリカ人と違ってあまり幅広い選択肢から選ぶのが好きではないかもしれない。日本に同じシステムのサラダバーがあったら、みんな悩んでカウンターの前に滞留してしまいそうな気がする。
それと、ヨーグルト・マーブルチョコ・ロフト?という、要はしっとりしたパウンドケーキと、白黒のチョコで半々に塗り分けられたクッキーと、アーモンドスティック?というアーモンド粉を三日月の形にして外側に糖皮をつけたややスパイシーな焼き菓子を買う。
ホテルで晩ご飯を食べつつ、テレビで「WHAT NOT TO WEAR」という番組を見ていた。
やや太めの素人の女の子が出演していて、お店で自分なりに似合うと思う服を探してくると、ファッションご意見番の男女タレント2人が、それに駄目出しをする番組……だと思われる。
ハンガーにかかっている数々の服を「これは駄目、これも駄目」と言いながらゴミ箱に突っ込んでいき、最後には1つも残らない、というような感じなのだが、どういう趣旨の番組なのかはいまいちよくわからなかった。
女の子がちょっとチャイナ襟みたいな感じの服を選んでくると、女性ご意見番が「まぁなんて素敵なゲイシャ・ファッションかしら」とバカにして言っていたので、あんまりたいした内容ではなかろうと思われる。
シャワーを浴びて、22時に寝る。
「ヘブンリー・シャワー」と宣伝されていて、シャワーヘッドが2つ縦に並んでついている。湯量が多いのが良い。
■3月24日(土)
●半日観光
朝4時ごろ目が覚めたので、テレビをつけてフィギュアを見る。ショートプログラムをやっていたが、日本人選手の番は終わっていた。
6時起床。昨日ホテル近くのデリで買っておいた、1本1ドルの高級バナナとオレンジを、朝ご飯として食べる。
7:50にヒルトンの集合場所に行き、日本人10組くらいと一緒に半日観光スタート。1人で参加している客が2人いて、1人はずっとビデオを撮ってた。
いそいそと大型バスの一番前に乗る。
南下し、グリニッジビレッジを通り、フラットアイアン・ビルと市庁舎のあたりとワシントン門で下車して写真を撮る。
図書館がゴーストバスターズの舞台だったり、「恋愛小説家」「MIB」「スパイダーマン」など、さまざまな映画の舞台となった場所を通り過ぎる。
ウォール街のあたりでは金色の雄牛像に触る。株式が上がるお守りだそうで、角に触ると金運アップらしい。
日本人ガイドはテンション高め。「吉野家でアメリカ牛の牛丼を月に1回ずつ食べてますが、今のところ異常は見られません。言語障害は出てますけど」と言っていた。
●自由の女神
9時ごろ、マンハッタン島南端のバッテリー・パークに到着。自由の女神行きフェリーを待つ、長い行列ができている。ガイドがさらっと「これくらいなら、10時の便には乗れるでしょう」と言う。この寒いのに1時間待ち!?
まぁしょうがないので待つ。そのへんの屋台で、お土産のチープなTシャツやプレッツェルを売っている。あと体中を銀色に塗りたくった人が一緒に写真を撮らせてチップを要求したり、行列の人を囃し立てながら歌う芸人なんかもいた。行列の客たちは大受けだったが、英語が聞き取れないのでさっぱりわからない。
飛行機に乗るときのような荷物チェックを受けて(ただし液体はOK)、フェリーに乗る。自由の女神が正面から見える、一番上のデッキの右側に陣取る。
朝方は曇っていたが晴れ上がり、すばらしい青空の下、自由の女神の松明が金色に輝き、摩天楼を背景に絵ハガキのような光景が広がる。
というか、船に乗ったときからずっと「アメリカ横断ウルトラクイズ」のテーマ曲が頭に流れっぱなしだった。
船上での決勝早押し、懐かしい……。しみじみ。
降りて島をぐるっと一回りする。冠のところまでは上れるらしいが、行列していた。
そんなに時間もなかったので、さくっとお土産屋に入り、キラキラ派手な絵はがきを買う。
自由の女神のゴム製お面が不気味。あとスポンジでできたヘアバンド状の冠を、アメリカの女子高生たちがこぞってつけて歩いていた。
ちなみに、正確にはあれは冠ではなくて後光らしい。7本のトゲは、七つの海と七つの大陸をあらわしているという。
帰りの船はエリス島に寄るが、ここはツアーに含まれてないので降りない。日本人が見てもあまりぴんと来なさそうだし。
●グラウンド・ゼロ
バッテリー・パークに戻り、バスに乗る前に「スフィア」の横を通る。これはワールド・トレード・センターの地下に置いてあった地球型のモニュメントで、9.11のあとに掘り返された。金属に穴が空いているものの形は留めており、原爆ドーム的な象徴としてここに飾ることになったらしい。
次はグラウンド・ゼロへ。
地下鉄の駅の上が観光客の訪れる場所になっている。全体が工事中で、柵で囲まれ掘り返されている。
正面向かいに小さな教会があり、9.11のときに連絡先がびっしり貼られたり花束を供えられたりしたあの黒い柵は、この教会の柵だった。
ああ、これがテレビにさんざん映っていた柵か、とちょっと感動。教会も消防隊の詰め所になっていたという。
9.11を偲ぶさまざまな写真が飾ってあり、死者の名前一覧と当日のタイムラインが掲げてあり、飛行機の離陸時間や市長の動向などが事務的に書いてある文字を追っていくと、だんだんつらくなってくる。
この跡地には、フリーダム・タワーというのを建てようとしているらしい。ツインタワーよりはるかに高いというのは、アメリカの気概を感じさせていかにもという感じだが、高さをフィートに直すと独立宣言にちなむ数字になるというトリビアは、なんというか、厨っぽい。
あと、フルートを吹いているおじさんがいた。自分の写真が載っている新聞を掲げていたので、たぶんあの時もここで吹いていたというアピールなんだろう。
●昼ご飯
サウスシーポートでバスを降りる。
ここで半日観光コースはおしまい。一日観光の人は昼食休憩をとり、このあとハーレムなどへ行く。
我々は地下鉄の駅へ向かいながら、シーフードレストランで昼ご飯にする。
サンフランシスコでの世界選手権のときに、毎晩のように食べていたカラマリのフライがあって、懐かしい。メニュー構成も似たような感じだった。
クラムチャウダーひと皿と、フォカッチャにはさんだ炭焼きチキンのサンドイッチ、あとツナサラダを頼んで、2人でシェアする。ツナサラダとはいうものの、出てきたのはマグロのたたきがどさどさ入った豪快なものだった。唇が乾燥で荒れまくっていたので、ドレッシングの酢がしみて激しく痛い。
サンドイッチについてるポテトがやたらとおいしかった。それに紅茶1杯つけて、全部で45ドルくらい。
レシートにチップも計上されていたので、税金の二倍をチップに、とかいう面倒な計算はいらなかった。
歩いてあちこち寄り道。
GAPに入ってみると、値段は日本と変わらない感じだが、なんだか服の丈が全部長いような気がする。裾がこんなに長いポロシャツは、日本じゃ売ってないような……。アメリカの人のほうが背が高いからか?
あと歯ブラシを忘れてきていたので(ホテルにはついてなかった)、スーパーで買った。ブラシ部分が巨大で、色とりどりにいろんな種類の毛が植え分けられたものばかり。
どうせだからと派手なものを3ドルくらいで買ったが、小回りがきかないので磨きにくいことこの上ない。一本ずつじゃなくて、何本もまとめて磨くのにはいいかもしれないけど。
(続きます)
母親のコンサートに付き合って3泊5日の2人旅。
■3月23日(金)
●空港
朝7:10に家を出て、日暮里経由京成特急で成田へ。
卒業旅行シーズンらしいが、空港はすいていた。
先送しておいたスーツケースを受け取り、おにぎりで腹ごしらえ。
100ml以上の液体が持ち込めないことを昨夜まで忘れていたので、化粧水をスーツケースに詰め直し、それ以外の化粧品をジップロックにしまう。
2階の土産物屋をぶらつくと、富士山よりも高い東京タワーに桜吹雪が舞うスノードームがあった。
風邪はだいたい治ったはずなんだけど、昨夜から鼻水がひどく、飛行機の窓際の席に乗り込んで飛び立つまでの間に、ティッシュを一袋使いきってしまった。
●飛行機
機内食の昼ご飯は、鱈の味噌焼きと高菜ご飯。
「ナイト・ミュージアム」を見る。旅行前に見に行こうと思っていたので、ちょうど良かった。
非常にゲーマー向けの映画だと思った。小さいことをわざわざ大げさに見せるのが面白い。
それからなんとなく「シャーロットのおくりもの」を見る。子豚かわいー、ダコタ・ファニングかわいー、羊かわいー、に終始する映画。クモに綴りができる理由が結局説明されないのは、まぁ絵本だからいいや。
あと、北京オリンピックに向けて建設中の建物についてのドキュメントが、意外と面白かった。こんなすごいのをいろいろ建てているとは知らなかった。
映画音楽名場面集みたいな番組もあり、ネバーエンディングストーリーのリマールのビデオを初めて見た。
夜になり、外には星がいっぱい出ていた。
ティッシュを節約するため、ご飯のときに出た紙ナプキンを使って鼻をかんでいた。一生でこんなに鼻をかんだことはない、というくらいかんだ。摂った水分が全部鼻から出てそう。鼻が垂れてきて目が覚めるので、あまりよく寝られなかった。
夜中に桜餅あんぱんが出て、朝ご飯はパンケーキとクレープ。
着陸時、鼻詰まりのせいでうまく空気抜きができない。普通の耳の奥ではなくて、首の上・耳の付け根や、眼窩のあたりが激しく痛い。右眉の裏側の激痛なんて、生まれて初めての経験だった。
揺れるというアナウンスがあったがそんなには揺れず、マンハッタン島の上を通り過ぎて現地時間23日11時に着陸。時差はサマータイム込みで13時間。飛行機に乗っていた時間が、まるまるキャンセルされたような感じか。
降りぎわにビジネスクラスの席を通ると、ふわっとした使い捨てスリッパがビニール袋に入ったまま放置されていた。ちょっと手を伸ばして持って帰りたいが、さすがにあさましいのでやめておく。使い捨てスリッパって、ホテルに泊まるときに便利なんだよね。
●ニューヨーク入り
入国審査の窓口に母親と2人で行くと、「ファミリー?」と訊かれ、「Yes」と返事したのに、「あんたたちどうやって知り合ったの?」という質問をされる。「How do you know each other?」って、そういう意味だよね?
外は意外と暖かい。といっても寒い日はすごく寒いらしく、まだところどころ雪が残っていた。
空港からホテルまでは送迎つき。長髪の日本人ガイドに連れられ、3家族くらい一緒にバンに乗り込む。
高速道路を走り、だだっ広い墓地の間を抜け、クイーンズボロウ・ブリッジを渡って中心街に入る。正面に現れた摩天楼の景色は、書き割りみたいだった。ビル、細長すぎ。
ビルの谷間を走っていくが、道路がやたらデコボコしていて揺れまくる。ライフラインがみんな地下に埋めてあるので、何か工事するたびに掘り返さなければならないらしい。それにしても、街並みや景観に力を入れるならもう少し道路も平らにすればいいのにと思う。慣れの問題か。
セントラル・パークの近くを通ると、たくさんの観光用馬車がずらっと客を待っている。そういった馬車や自転車も、車の間をすいすいと抜けていく。
雨が降ってきた。
ガイドからいろいろな注意事項をきく。
いわく、パスポートに貼ってある緑の紙は絶対失くすな。ホテルの電話は(フリーダイヤルですら)めちゃめちゃ高いので使うな。冷蔵庫はセンサーが敏感なので飲まないものには触るな、など。
●ホテル着
タイムズスクエアの西端あたりに位置するホテル、ウェスティン・ニューヨークにチェックイン。
ロビーで小さいミネラルウォーターのペットボトルを配っていたので、いそいそともらう。
部屋は29階。外観やロビーは非常にモダンで、新しいこともあって立派なのだが、廊下は妙に古くさい。
部屋はそこまで広くはないが、まぁまぁ。スタバのインスタントコーヒーとティーバッグがタダで飲める。
部屋に入るとすぐにフロントから電話があって「万事OKか」と聞かれたので、バスローブが1つしかないと伝えたが、結局滞在の最後まで追加のバスローブが届くことはなかった。まぁいいけど。
「ヘブンリー・ベッド」と宣伝されていたベッドで、とりあえず昼寝。やや固めのマットレスの沈み具合はいい感じだが、はたしてヘブンリー……なのか?
●街探索
15時に活動開始。雨は上がった。
ホテルの3階に公衆電話があるとガイドに言われたので、さっそくかけようとしたが、うまくかからない。まずもってコインの投入口がない。
タイムズスクエアに出て、ブロードウェイを歩き回る。
よくテレビで見るタイムズスクエアの光景が広がる。曲面だったり、窓があったりする壁面を平気で液晶画面にして、じゃんじゃん映像を流しまくっている。
人通りが多くて芸人や呼び込みもいて、雰囲気は新宿東口っぽい。道路のど真ん中に交番と軍隊の宣伝施設?がある。
都会はだいたいどこも一緒なので、そんなに東京と違う雰囲気ではない。五番街のブティックが立ち並ぶあたりなんて銀座と変わらないし。タイムズスクエアのネオン・液晶画面の洪水はすごいけど、やや散漫なのでインパクトでいったら渋谷ハチ公前交差点のほうがすごいと思った。
まずはマジェスティック劇場のボックスオフィスに行って、明日夜の「オペラ座の怪人」のチケットを買う。
土曜の夜なのでどうかなとは思ったが、余裕で2枚買えた。S席(こっちではオーケストラ席というらしい)1人110ドル+税金1.25ドル。1階の後ろのほうと、2階の真ん中らへんがあったが、「2階のほうがいいよ」と窓口のおじさんが勧めてくれた。
ブロードウェイ沿いに大きなHERSHEYSとM&Mの店があり、土産を物色。ここにも5ポンドのチョコレートバーがあった。あと板チョコ枕とか、でっかいキスチョコ(メタルスライムに似ている)とか。
クリーム入りチョコクッキーの4個入りパックがあったので買って食べたら、すごいミント味だった。私はミントがダメなので、「パッケージにミントって書いとけよ!」とキレたのだが、パッケージには「York」という青いロゴがついており、この「York」というのはどうもフリスクなどのようにミントの登録商標のようなので、アメリカの人なら誰でも見ればわかるということなのだろう。
M&Mはラスベガス同様、色別のチューブから好きな色を好きなだけ自分で袋に詰める計り売りをやっていた。
MTVショップがあって、Tシャツやタンクトップがかっこよくていいなと思ったんだけど、値段もそれなりなので結局買わなかった。こういうものは日本で手に入らないわけじゃないだろうとも思ったし。
日本で手に入らないものを捜すのは難しい。というか、日本で何が売ってるかをよく知らないだけなんだが。
私は日曜の夜も暇なので、「美女と野獣」でも見ようかと思い劇場に行ってみるが、日曜は15時からの公演しかない。オペラ座も日曜は休演だったし、日曜の夜はあんまり芝居を見る習慣がないのかも、と思ってやめる。
公衆電話からHISニューヨーク支店に電話して、明日の半日観光を申し込む。集合場所はヒルトンホテルのレセプションカウンター前だと言われたので、そこまで歩いて行ってみることに。
途中、やや古い雰囲気のデリに入る。
ガラスケースにさまざまなおかずが並べてあって、サンドイッチやパニーニの中身をいろいろ選べて、いろんなケーキやクッキーが飾ってあって、コンビニみたいに食べ物や飲み物、日用雑貨も置いてあるような店をデリと総称するようだ。
炭焼きチキン胸肉のホットサンドイッチとコーヒー、それに「クリスピークリーム」のラベルつきドーナツを売っていたので、それを1つつけて、全部で10ドルちょっと。
コーヒーを頼むときに「milk?」と聞かれて「Yes」と答えたら、最初からミルクが入った状態で出てきた。コーヒーの味が薄まるくらい大量のミルク。私にはちょうどいいが。
ドーナツは冷めていたのでいまいちだったが、サンドイッチはおいしかった。
そういえば、ニューヨークにはスタバが大量にあって、グランデサイズ(いや、もう一段階上か?)を持って歩いている人がいっぱいいる。カップを持ったままで店に入るのも普通。
あと、デニム率が高い。私が見たかぎり、8割の人がデニムを履いているような気がする。
●MoMA
ヒルトンに寄ってからさらに東進し、現代美術館MoMAへ。
いつもなら20ドルもかかるが、金曜日は16時から入場無料なのだ。
17時ごろ到着。混み合ってはいたが、そんなに並ばず入れた。やる気のないお姉さんがカウンターで無料チケットを投げ渡していた。
人込みの中、まずは上の階から見て回る。
ピカソの「アビニョンの娘たち」が、ガラスの保護もロープも何もなく壁にかけてあるのは、なんだか見ていて恐ろしい。
これがたとえば日本に来たとしたら、ものすごい厳重な警備がつくだろう。荷物検査もなく誰でも入れるこんなところに放置しておいて大丈夫なのか。世の中にはいろんな人がいるわけだから、唯一無二の芸術作品を破壊することで歴史に名を残そうと考える人だっているだろうに……と、これはルーブル美術館でも同じことを考えたな。
ゴッホの「星月夜」にはガラスがかかっていた。
その他、有名なものをいろいろ見て、絵に関してはまぁ理解できるのだが、階を下るとだんだん現代アートになってくる。
スープ缶やコミックの拡大はまぁいいとしよう。しかし、ただロープを上から吊るしただけとか、ただキャンパスを白く塗っただけ、ただ切り裂いただけ、古タイヤとゴミの寄せ集め……みたいになってくると、どこがどう芸術作品なんだか本当にわからない。
そんなものをもったいぶって飾って、客がうなりながらその前でオーディオコメンタリーを聞いたりしてるのが滑稽。まぁ、「いったい何が芸術なのか?」を提起することこそが、たぶん目的なんだろうけどね。
あと、何もないただの部屋があって、5秒ごとに電気が点いたり消えたりするというだけの芸術作品もあった。
こういうものを誰が最初に芸術として評価し、ここへ陳列するのだろうか? つまり、たとえば私が、「じゃあ5秒ごとに音が出たり消えたりします」という作品を作ったとして、それをMoMAに置いてくれるのか?ということなんだが。
といっても別にバカにしているわけではなくて、現代美術はかなり好き。
下の階には映像作品がいくつかあり、何気なく部屋に入ってみたら、Bill Violaの「Stations」があった。
真っ暗な中に大きなスクリーンが5つあって、水中で首だけ出して立ち泳ぎしている5人の人間を水中からさかさまに映した映像がスローモーションで流れ、スクリーンの足元に敷かれた黒御影石に映像が反射しているというもの。
言葉で説明してもよくわからないと思うんだけど、さすがにこれは実物を見ないと伝わらない。けっこう衝撃的だった。
●帰り道
いいかげん疲れたので出て、向かいのMoMA土産物屋を見る。役に立たない芸術的なものがいろいろある。抱き合う塩と胡椒の入れ物はちょっと気に入った。
歩いてホテルまで戻り、近くにあったヨーロッパ・カフェという店(ハードロックカフェの向かい)で晩ご飯を買う。
まず、サラダの菜っぱの種類を選ぶ。ミックスとロメインとほうれん草だったかな。サイズも2種類ある。
我々はミックスのSサイズをまず選ぶ。3.25ドル。
次に具を選ぶ。ガラスケースにいっぱい食材が並んでいて、指差して菜っぱに加えてもらう。具によって値段が違い、50セント〜2ドル。スモーク・ターキー2ドルと、モッツァレラチーズ75セント、ロースト・ウォールナッツ75セントを入れる。これで6.75ドル。
最後にドレッシングを選ぶ。これもいろいろ種類があって、バジル・バルサミコ・ビネガーを選ぶ。混ぜてもらって、できあがり。
これがさっぱりとしておいしい。分量も2人で分けて食べるのにちょうどいいし、何よりいろいろ選べるのが楽しい。
日本でもこのスタイルがはやればいいのにと思うが、日本人はアメリカ人と違ってあまり幅広い選択肢から選ぶのが好きではないかもしれない。日本に同じシステムのサラダバーがあったら、みんな悩んでカウンターの前に滞留してしまいそうな気がする。
それと、ヨーグルト・マーブルチョコ・ロフト?という、要はしっとりしたパウンドケーキと、白黒のチョコで半々に塗り分けられたクッキーと、アーモンドスティック?というアーモンド粉を三日月の形にして外側に糖皮をつけたややスパイシーな焼き菓子を買う。
ホテルで晩ご飯を食べつつ、テレビで「WHAT NOT TO WEAR」という番組を見ていた。
やや太めの素人の女の子が出演していて、お店で自分なりに似合うと思う服を探してくると、ファッションご意見番の男女タレント2人が、それに駄目出しをする番組……だと思われる。
ハンガーにかかっている数々の服を「これは駄目、これも駄目」と言いながらゴミ箱に突っ込んでいき、最後には1つも残らない、というような感じなのだが、どういう趣旨の番組なのかはいまいちよくわからなかった。
女の子がちょっとチャイナ襟みたいな感じの服を選んでくると、女性ご意見番が「まぁなんて素敵なゲイシャ・ファッションかしら」とバカにして言っていたので、あんまりたいした内容ではなかろうと思われる。
シャワーを浴びて、22時に寝る。
「ヘブンリー・シャワー」と宣伝されていて、シャワーヘッドが2つ縦に並んでついている。湯量が多いのが良い。
■3月24日(土)
●半日観光
朝4時ごろ目が覚めたので、テレビをつけてフィギュアを見る。ショートプログラムをやっていたが、日本人選手の番は終わっていた。
6時起床。昨日ホテル近くのデリで買っておいた、1本1ドルの高級バナナとオレンジを、朝ご飯として食べる。
7:50にヒルトンの集合場所に行き、日本人10組くらいと一緒に半日観光スタート。1人で参加している客が2人いて、1人はずっとビデオを撮ってた。
いそいそと大型バスの一番前に乗る。
南下し、グリニッジビレッジを通り、フラットアイアン・ビルと市庁舎のあたりとワシントン門で下車して写真を撮る。
図書館がゴーストバスターズの舞台だったり、「恋愛小説家」「MIB」「スパイダーマン」など、さまざまな映画の舞台となった場所を通り過ぎる。
ウォール街のあたりでは金色の雄牛像に触る。株式が上がるお守りだそうで、角に触ると金運アップらしい。
日本人ガイドはテンション高め。「吉野家でアメリカ牛の牛丼を月に1回ずつ食べてますが、今のところ異常は見られません。言語障害は出てますけど」と言っていた。
●自由の女神
9時ごろ、マンハッタン島南端のバッテリー・パークに到着。自由の女神行きフェリーを待つ、長い行列ができている。ガイドがさらっと「これくらいなら、10時の便には乗れるでしょう」と言う。この寒いのに1時間待ち!?
まぁしょうがないので待つ。そのへんの屋台で、お土産のチープなTシャツやプレッツェルを売っている。あと体中を銀色に塗りたくった人が一緒に写真を撮らせてチップを要求したり、行列の人を囃し立てながら歌う芸人なんかもいた。行列の客たちは大受けだったが、英語が聞き取れないのでさっぱりわからない。
飛行機に乗るときのような荷物チェックを受けて(ただし液体はOK)、フェリーに乗る。自由の女神が正面から見える、一番上のデッキの右側に陣取る。
朝方は曇っていたが晴れ上がり、すばらしい青空の下、自由の女神の松明が金色に輝き、摩天楼を背景に絵ハガキのような光景が広がる。
というか、船に乗ったときからずっと「アメリカ横断ウルトラクイズ」のテーマ曲が頭に流れっぱなしだった。
船上での決勝早押し、懐かしい……。しみじみ。
降りて島をぐるっと一回りする。冠のところまでは上れるらしいが、行列していた。
そんなに時間もなかったので、さくっとお土産屋に入り、キラキラ派手な絵はがきを買う。
自由の女神のゴム製お面が不気味。あとスポンジでできたヘアバンド状の冠を、アメリカの女子高生たちがこぞってつけて歩いていた。
ちなみに、正確にはあれは冠ではなくて後光らしい。7本のトゲは、七つの海と七つの大陸をあらわしているという。
帰りの船はエリス島に寄るが、ここはツアーに含まれてないので降りない。日本人が見てもあまりぴんと来なさそうだし。
●グラウンド・ゼロ
バッテリー・パークに戻り、バスに乗る前に「スフィア」の横を通る。これはワールド・トレード・センターの地下に置いてあった地球型のモニュメントで、9.11のあとに掘り返された。金属に穴が空いているものの形は留めており、原爆ドーム的な象徴としてここに飾ることになったらしい。
次はグラウンド・ゼロへ。
地下鉄の駅の上が観光客の訪れる場所になっている。全体が工事中で、柵で囲まれ掘り返されている。
正面向かいに小さな教会があり、9.11のときに連絡先がびっしり貼られたり花束を供えられたりしたあの黒い柵は、この教会の柵だった。
ああ、これがテレビにさんざん映っていた柵か、とちょっと感動。教会も消防隊の詰め所になっていたという。
9.11を偲ぶさまざまな写真が飾ってあり、死者の名前一覧と当日のタイムラインが掲げてあり、飛行機の離陸時間や市長の動向などが事務的に書いてある文字を追っていくと、だんだんつらくなってくる。
この跡地には、フリーダム・タワーというのを建てようとしているらしい。ツインタワーよりはるかに高いというのは、アメリカの気概を感じさせていかにもという感じだが、高さをフィートに直すと独立宣言にちなむ数字になるというトリビアは、なんというか、厨っぽい。
あと、フルートを吹いているおじさんがいた。自分の写真が載っている新聞を掲げていたので、たぶんあの時もここで吹いていたというアピールなんだろう。
●昼ご飯
サウスシーポートでバスを降りる。
ここで半日観光コースはおしまい。一日観光の人は昼食休憩をとり、このあとハーレムなどへ行く。
我々は地下鉄の駅へ向かいながら、シーフードレストランで昼ご飯にする。
サンフランシスコでの世界選手権のときに、毎晩のように食べていたカラマリのフライがあって、懐かしい。メニュー構成も似たような感じだった。
クラムチャウダーひと皿と、フォカッチャにはさんだ炭焼きチキンのサンドイッチ、あとツナサラダを頼んで、2人でシェアする。ツナサラダとはいうものの、出てきたのはマグロのたたきがどさどさ入った豪快なものだった。唇が乾燥で荒れまくっていたので、ドレッシングの酢がしみて激しく痛い。
サンドイッチについてるポテトがやたらとおいしかった。それに紅茶1杯つけて、全部で45ドルくらい。
レシートにチップも計上されていたので、税金の二倍をチップに、とかいう面倒な計算はいらなかった。
歩いてあちこち寄り道。
GAPに入ってみると、値段は日本と変わらない感じだが、なんだか服の丈が全部長いような気がする。裾がこんなに長いポロシャツは、日本じゃ売ってないような……。アメリカの人のほうが背が高いからか?
あと歯ブラシを忘れてきていたので(ホテルにはついてなかった)、スーパーで買った。ブラシ部分が巨大で、色とりどりにいろんな種類の毛が植え分けられたものばかり。
どうせだからと派手なものを3ドルくらいで買ったが、小回りがきかないので磨きにくいことこの上ない。一本ずつじゃなくて、何本もまとめて磨くのにはいいかもしれないけど。
(続きます)
2月28日の日記
2007年2月28日ストレイテナーのライブに行ってきた!
いやぁ良かった。
新木場のスタジオコーストという、川沿いの倉庫。
でも中にはシャンデリアが3つ。
行く途中の橋から、ベイブリッジ方面に富士山の
シルエットが美しい影絵になって見えた。
外は激寒だが、若者たちはコインロッカーに荷物を入れて
半袖一枚で待っている。ありえない。若いってすごい。
ちなみに、中にもコインロッカーはちゃんとあった。
作法に従いTシャツとタオルを買った。
前座がインストのバンドで、なんというかプログレ。
途中、ものすごくYESっぽい音のところがあった。
ただ、キーボードなしだと華やかさや優雅さは出ず、
リズムを壊したり音を消したりするところ以外での
緊張感を保ち続けるのはちょっと難しいかもと思った。
私はけっこう好き。でも売れはしないと思う。
最初、180cmくらいの男の人が前で壁になっていたが、
5曲目「PLAY THE STAR GUITAR」で会場が爆発し、
みんな一気に前に詰めながらジャンプしまくり、
すごい勢いで足を踏まれ踏み返しつつ、前中央へと
流されて行ったら、一気に目の前が女の子ゾーンになって
視界が開け、回りに飛び跳ねるスペースも確保された。
あの一瞬はものすごいカオスだったが、それを乗り越えた
あとは一気に楽になり、我を忘れてジャンプし、叫び、
腕を振り上げていた。こんなに跳んだのいつ以来だろう……。
BON JOVIくらいまでさかのぼらないとないかも(笑)
1時間半で17曲とけっこう短くて、まだまだ跳べる気は
していた。会場を出て電車に乗ったらどっと疲れが出たけど。
普段こんなに首を振ることはないので、首が痛い。
あと膝にもかなりダメージが来ている。
床が木だったから、まだマシなんだろうけど。
CDで聴くのとライブとでは全然感じが違う曲をいろいろと
発見できたり、おおむね満足したけどアンコールが
なかったのだけは残念。我々の声援が足りなかったのか、
それともそれどころではないほど調子が悪かったのか、
何にせよ心配になってしまう。
「ほりえー」
「しんぺー」
「ひなっちー」
と呼び声がかかるのが面白い。
なんでホリエさんは苗字呼び捨てなの?
中山さんはやっぱりカッコいいー。
あの細腕であんなに叩けるなんて信じられない。
神々しさすらおぼえる(笑)
そして日向さんの表情がすごい。ほぼトリップした状態で
あれだけ弾いちゃうのはヤバイとしか言いようがない。
終演後のクランベリージュースの美味しかったこと。
次は6/30幕張メッセ。
いやぁ良かった。
新木場のスタジオコーストという、川沿いの倉庫。
でも中にはシャンデリアが3つ。
行く途中の橋から、ベイブリッジ方面に富士山の
シルエットが美しい影絵になって見えた。
外は激寒だが、若者たちはコインロッカーに荷物を入れて
半袖一枚で待っている。ありえない。若いってすごい。
ちなみに、中にもコインロッカーはちゃんとあった。
作法に従いTシャツとタオルを買った。
前座がインストのバンドで、なんというかプログレ。
途中、ものすごくYESっぽい音のところがあった。
ただ、キーボードなしだと華やかさや優雅さは出ず、
リズムを壊したり音を消したりするところ以外での
緊張感を保ち続けるのはちょっと難しいかもと思った。
私はけっこう好き。でも売れはしないと思う。
最初、180cmくらいの男の人が前で壁になっていたが、
5曲目「PLAY THE STAR GUITAR」で会場が爆発し、
みんな一気に前に詰めながらジャンプしまくり、
すごい勢いで足を踏まれ踏み返しつつ、前中央へと
流されて行ったら、一気に目の前が女の子ゾーンになって
視界が開け、回りに飛び跳ねるスペースも確保された。
あの一瞬はものすごいカオスだったが、それを乗り越えた
あとは一気に楽になり、我を忘れてジャンプし、叫び、
腕を振り上げていた。こんなに跳んだのいつ以来だろう……。
BON JOVIくらいまでさかのぼらないとないかも(笑)
1時間半で17曲とけっこう短くて、まだまだ跳べる気は
していた。会場を出て電車に乗ったらどっと疲れが出たけど。
普段こんなに首を振ることはないので、首が痛い。
あと膝にもかなりダメージが来ている。
床が木だったから、まだマシなんだろうけど。
CDで聴くのとライブとでは全然感じが違う曲をいろいろと
発見できたり、おおむね満足したけどアンコールが
なかったのだけは残念。我々の声援が足りなかったのか、
それともそれどころではないほど調子が悪かったのか、
何にせよ心配になってしまう。
「ほりえー」
「しんぺー」
「ひなっちー」
と呼び声がかかるのが面白い。
なんでホリエさんは苗字呼び捨てなの?
中山さんはやっぱりカッコいいー。
あの細腕であんなに叩けるなんて信じられない。
神々しさすらおぼえる(笑)
そして日向さんの表情がすごい。ほぼトリップした状態で
あれだけ弾いちゃうのはヤバイとしか言いようがない。
終演後のクランベリージュースの美味しかったこと。
次は6/30幕張メッセ。
パリ旅行記7日目
2006年12月13日■12月4日(月)
7:10起床。
荷物をまとめて、8時にチェックアウト。
一泊120ユーロ、金土だけ150ユーロで、計6泊780ユーロ。
あと1日だけ朝ご飯を食べたので、プラス12ユーロ。
792ユーロをカードで一括払い。
朝マックに行く。
今日はベーコンの入ってないパンケーキ2枚にしてみる。
写真を見て、チョコレートがかかっているのかと思った
けど、それは焦げ色で、イチゴジャムがついてきた。
コーヒーはやめて紅茶にする。ティーバッグの味は安心。
なんだか同じ歌をよく聞くなあ、と思う。
マクドナルドでかかっていた曲を、ホテルのテレビでも
昨日の夜のカフェでも聞いた。
食べているうちに、雨が降ってきた。
あまり傘をさしている人はいないが、けっこう大粒。
カメラをコートの内側に入れて、地下の逆さピラミッドの
広場まで急ぐ。
中国人観光客が、逆さピラミッドに抱きついたりして
はしゃいで写真を撮っているのを眺めながら、9時に
ルーブル美術館が開くのを待つ。
列に並ぶ日本人観光客が中国人たちを見て、「ああいう
人がスラれるのよねー」と言っていた。
パリはスリやひったくりが多いとガイドブックに書いて
あったので、私もけっこう警戒していたんだけど、道端で
立ち止まって地図を広げたり、ウエストポーチみたいな
バッグを平気でつけている観光客はいっぱいいた。
観光のため木曜まで延泊するという中修さんと、
9時すぎに待ち合わせてルーブル美術館へ。
郵便局で切手を買おうと思ったが、オープンは9:30から。
なかなか絵ハガキが出せない……。
中修さんは折り畳みではない大きな傘を持っていた。
「知らないうちにホテルの部屋に転がっていた」とのこと。
しかし入り口で「傘はクロークに預けなさい」と言われる。
クロークは混み合っているし、面倒だからと近くのゴミ箱に
捨てようとしたら、「違う違う!」とすごい剣幕で
止められた。しかたないので裏に回って、公衆電話の
横にそーっと「置き忘れて」きた。
先日見られなかったところを見て回ろうということで、
まずは「ナポレオン三世の居室」へ。全然客がいない。
あと前は行かなかった彫刻の反対側の吹き抜けとか、
古代エジプトコーナーとか、中世の堀にも行った。
墓標の彫像で、横たわる人の足元には犬やライオンを
配置するのが決まりらしいのだが、足蹴にしているように
見えてしかたがない。
有名な「ナポレオンの戴冠」の絵の前のソファに座ると、
中修さんが「教皇の足元に猫がいる」と言い出す。
えっ、猫なんてどこにもいないよ……?
近寄って見たら、マントの裾だった。
古代ローマの皇帝の彫像が並ぶところで、中修さんが
「この皇帝はこんな人で、こういう死に方をした」とか
詳しい解説をつけてくれるのが面白かった。
しかし途中でかなり足が痛くなってしまい、ルーブル
完全制覇はならず。
今回の旅においていくつか失敗をしたが、中でも大きいのは
爪切りを持ってこなかったこと。手の爪を切らないから
要らないと思っていたんだけど、足は切るじゃん!
歩くのがしんどかったのは、足の爪が伸びていたせい。
ほかのところに比べて、アポロンギャラリーやミロの
ヴィーナスのあたりの人の多さは段違いだった。
団体観光客が、あちこちで説明を受けている。
最後にラ・トゥールをもう一回見に行き、13時前に
ルーブルを出て、タクシーでフォションに行く
ことにする。タクシー乗り場が見つからず、
少しうろついているうちちょうど降車しているところに
出くわしたので、「乗れますか?」と訊いたらOK。
コンコルド広場を見つつ、マドレーヌ寺院へ。
フォションの大きな店が2つ並んでいるところに到着。
レストランがあるとガイドブックに書いてあるんだけど、
見つからない。
片方の店は土産屋で、もう片方ではケーキや惣菜を
売っている。土産屋の地下はワインショップ、2階は
倉庫のようになっていた。どうやらこの2階がレストラン
だったらしいのだが、閉店してしまったようだ……。
しかたないので、とにかくお土産だけ買い込む。
手当たりしだいかごに入れていくような感じで。
カリソンという葉っぱ型の練り物系お菓子があって、
パリによく行く日本人が書いた本に、「とてもおいしいん
だけど、あまり理解が得られない」と書いてあった。
試しにどんなものか買ってみることにした。
しかもフォション120周年記念ということで、特別に金銀の
コーティングがしてあるもの。(まだ食べてない)
あと、マドレーヌ寺院の形の缶に入ったマドレーヌとか、
紅茶だけじゃなくお菓子がいろいろあった。
レジの長い行列に並んでいたら別のところで袋詰め
してくれ、伝票だけ持たされてレジで会計した。
ガイドブックを見て、フォションの代わりに甘いものが
食べられそうな「アンジェリーナ」に行こうと決める。
ここはさっきタクシーでル・ムーリスの横を通ったときに
見たから、そのまま歩けば行ける。
どうせ帰り道でもあるので、けっこう遠かったが歩く。
ぎっしりテーブルが並ぶ店内に入り、メニューを見ると
「ケーキ(2なんとか)5.7ユーロ」と書いてある。
2なんとかのところはフランス語なのでわからないが、
もしかしてケーキを2つ選ばせてくれるってことかな、
と夢を見る。
ウェイトレスさんにケーキを注文したら、「何がいいの?
モンブラン? それともミルフィーユ?」とぞんざいに
訊かれる。ガイドブックには、「各種ケーキをテーブルに
並べて運んできて、選ばせてくれる」って写真つきで
載ってたのに!
まごまごしてたら「そこにあるから選んでよ」と言われ、
ガラスケースに並んだ実物の中から、モンブランを選ぶ。
一応アンジェリーナはモンブランが有名らしいし。
ケーキセットのようなものはなく、飲み物は別に頼む。
せっかくだからと欲をかいて、クリスマス・スペシャル
のホットチョコレートを頼む。
銀のポットに入っていて、どろっとしたのをカップに
注ぎ、生クリームを溶かして飲む。
覚悟はしていたが、死ぬほど甘い。
モンブランもこってりした味で、一番下にメレンゲ、
その上に生クリームを置き、外にマロンクリームを
かぶせた形になっている。スポンジ部分は存在しない。
当たり前だけど、これもすっごく甘い。
一週間分の糖分をまとめて摂取した感じ。
食べていると、隣のテーブルに、銀のお盆に各種ケーキを
並べたものが運ばれてきて、その中から選んでいた。
おいおい、日本人だから差別されたってことなのか?
プンスカしてチップを払わずに出る。
14:30にホテルに戻り、フロントに預けておいた荷物を
受け取って、空港行きのバス停目指しオペラ座前まで歩く。
タクシーに乗るほどの距離ではないと思ったんだけど、
道を間違え、さらにバス停の位置もよくわからなくて
焦ったが、なんとかたどりつけた。
チケットの自販機があったがよくわからなかったので、
乗り込んで直接運転手さんにお金を払う。
二両連結のバスで、狭い通路で苦労して荷物を運ぶ。
15:30にバスが出て、モンマルトル墓地の脇を通り、
来るときに見たマンション屋上の社名ネオンをまた横目に
見て、16:10くらいに空港に着く。
空港で最初に停まったバス停「ターミナル2A」で降りる。
私の乗る飛行機はターミナル2だということは確認して
あったので、やれやれと降りたら、ほかに降りる人が
全然いない……。
空港の中もなんだかがらーんとしている。
どうしよう、と思いつつゲートっぽいところに行くと、
「パスポートと搭乗券!」とぶっきらぼうに言われる。
搭乗券といってもeチケットの紙しかないので、それを
出したら「違う」と言われる。
確かに、ゲートの上には「スイス」って書いてあった。
今度はお姉さんのいるチケットカウンターのような
ところに行き、「このチケットを手に入れられますか?」
と言ってみる。すると「向こうに表示板があるから、
それを見てあなたの便がどこか確認しなさい」と返事。
表示板を見ると、私の便はF52と書いてある。
Fって……? ここ、Aじゃなかったっけ?
慌てて空港の地図を見る。すると、確かにAから順に
ターミナルビルがあって、Fはここから一番遠いところ。
これはどうしたものか、と地図の前でしばし考えていたら、
「タクシー?」と言いながらお兄さんが近づいて来た。
警戒しつつ、「Fに行きたい」と行ってみたら、「それなら
シャトルバスに乗ればいいんだよ。ついておいで」と
言われ、外に出て「あそこのバス停だよ」と教えてくれる。
親切だった。警戒してゴメン。
バスがなかなか来なくて焦るが、なんとか16:40くらいに
Fフロアに到着。しかし発券カウンターはさらに一番端の
13カウンターなのだった。
はるばる、という感じでやっと搭乗券にありつく。
カウンターのお姉さんに「メルシー」と言ったら、
「あなたフランス語できるの?」と(英語で)訊かれる。
「いえ、メルシーとボンジュールだけです」(実際には
あとシルヴプレとボンソワールも言ったけど)と
答えたら、「それでもナイスよ」と褒められた。
絵ハガキをまだ送っていないことを今さら思い出し、
そのお姉さんに「切手はどこで買えますか?」と
訊いたら、「この先に新聞と切手を売っている店がある」
と、店名わざわざ書いてくれた。
そこまで行ってレジに2枚の絵ハガキを見せ、「切手を
2枚下さい」と言ったら、「2枚ずつ貼らなきゃいけない
から、4枚必要だ」と言われる。
0.6ユーロの切手しか置いてないらしく、それを2枚ずつ
貼る。日本までのハガキはこないだの郵便局の自販機
では0.85ユーロだったから、切手だとちょっと損だ。
荷物検査ではネックレスとベルトを外し、靴を脱がされる。
日本のときとは段違いに厳しい。
トイレに入ったら、やたら便器に水がいっぱい溜まって
いて、不吉な予感がして水を流すボタンを押してみたら、
どっと水が溢れてきた。悪夢だ。
幸いほかに誰もいなかったので、黙って逃げ出した。
ゲートの中に入ると、鞄とか高級品の免税店しかない。
帰りの飛行機も窓際で、通路側には日本人の女性。
真ん中の座席はまた空いていて、ラッキー。
機内食をしっかり食べ、久々に栄養を取り込んだ気分。
しばらく寝てから、「ワールド・トレード・センター」
を見る。
本当は行きの飛行機で見逃した「パイレーツ・オブ・
カリビアン2」を見たかったんだけど、月が11月から
12月になったので映画のプログラムが入れ替わっていた。
帰りの便ではあまり見たい映画がなく、残念。
そういえば、「ターミナル」はマジックプレイヤーの
悲哀が感じられる映画だというのでちょっと見てみたい。
知らない土地へやってきて言葉は通じない、外には
出られない、俺こんなとこまで来て何やってんだろう……
みたいな。
「ワールド・トレード・センター」って、予告編を見た
だけだとニコラス・ケイジが救助隊員として大活躍して
感動の生還! みたいな内容に見えるんだけど、実際は
非常に抑制された地味な映画だった。画面が暗すぎて
なんだかよくわからないところもあったほど。
一番印象強いのは「これからこの国では兵士が必要に
なる、復讐のために」と言う男のまっすぐなまなざし。
成田から、荷物も多いし会社に直行しちゃおうという
ことで、贅沢して新宿行きリムジンバスに乗る。3000円。
寝ているだけで着くのはありがたいし、かなり早かった。
700通くらい来ていた会社のメール(といってもほとんど
迷惑メールだが)を整理して、お土産を置いて帰宅。
次の朝会社に行ったら、もうお土産はなくなっていた。
フォションのお菓子3種、私1個も食べてなかったのに!
みんなが「おいしかったよ」しか言わなくて悔しかった。
この日の支出:
朝マック2ユーロ
ルーブル入館料8.5ユーロ
タクシー5.5ユーロ
フォションお土産52ユーロ
ロワシーバス8.4ユーロ
切手2.4ユーロ
■蛇足
世界各国のグランプリを、隔週とかで旅して回る
生活に強い憧れを抱く。
理想は日本に戻らず、旅先から旅先へと向かうこと。
観光して、大会に出て、勝ったり負けたりして、
写真を撮って……。なんて素晴らしい生活だろう。
まあ、マジックが強ければ、ね。
私は計算できないしウッカリ型だし思い込みは激しいし
物事はすぐに忘れるし、てんでマジックに向いてない。
何より負けたときに「悔しい!」と思って次につなげる
気持ちが足りない。負けず嫌いは負けず嫌いなんだけど、
負けるのが嫌いだから初めから勝負しないのだ。
「どうせ下手だし」とか「別に詳しくないし」とか、
自分にも他人にも言い訳を用意している。
たとえば、「お稽古事」としてマジックを習うのは
どうだろう?とふと考えてみた。
マジックは究極的には運や勘も重要になるけれど、
ある程度のレベルまでは技術と練習が最重要だから。
たとえば、ちょっと見当つきにくいけど、半年後には
GP1日目で勝ち越すとか、1年後にはPTQベスト8とか、
そういう目標を立てて、誰かに師事する。
毎週、時間を決めてデュエルスペースに行き、徹底的に
見てもらい、教えてもらう。
手札を公開した状態でデュエルすれば、プレイングの
まずいところを教えてもらえるだろうし、ドラフトを
後ろで見ていてもらってもいいと思う。
師匠は必ずしも一人でなくてもいいんだけど、教える
ほうにも責任を持ってもらうため、教わる時間を決めて
ちゃんと代金を払う。
相場はよくわからないけど……トロンボーンのときは
確か2時間のレッスンで8千円だったかな。
ちゃんと教わろう、教えようという気持ちになるには
やっぱりそれくらい必要なのかもしれない。
まぁ家庭教師のバイトみたいなものと考えて、
自給2〜3千円ですめば習うほうとしてはありがたいけど。
そういうシステムってはたして成立するのかな?
そうやって「お稽古事」として続けてみて、それでも
上達しないんだったら本当に自分には向いてないんだろう。
7:10起床。
荷物をまとめて、8時にチェックアウト。
一泊120ユーロ、金土だけ150ユーロで、計6泊780ユーロ。
あと1日だけ朝ご飯を食べたので、プラス12ユーロ。
792ユーロをカードで一括払い。
朝マックに行く。
今日はベーコンの入ってないパンケーキ2枚にしてみる。
写真を見て、チョコレートがかかっているのかと思った
けど、それは焦げ色で、イチゴジャムがついてきた。
コーヒーはやめて紅茶にする。ティーバッグの味は安心。
なんだか同じ歌をよく聞くなあ、と思う。
マクドナルドでかかっていた曲を、ホテルのテレビでも
昨日の夜のカフェでも聞いた。
食べているうちに、雨が降ってきた。
あまり傘をさしている人はいないが、けっこう大粒。
カメラをコートの内側に入れて、地下の逆さピラミッドの
広場まで急ぐ。
中国人観光客が、逆さピラミッドに抱きついたりして
はしゃいで写真を撮っているのを眺めながら、9時に
ルーブル美術館が開くのを待つ。
列に並ぶ日本人観光客が中国人たちを見て、「ああいう
人がスラれるのよねー」と言っていた。
パリはスリやひったくりが多いとガイドブックに書いて
あったので、私もけっこう警戒していたんだけど、道端で
立ち止まって地図を広げたり、ウエストポーチみたいな
バッグを平気でつけている観光客はいっぱいいた。
観光のため木曜まで延泊するという中修さんと、
9時すぎに待ち合わせてルーブル美術館へ。
郵便局で切手を買おうと思ったが、オープンは9:30から。
なかなか絵ハガキが出せない……。
中修さんは折り畳みではない大きな傘を持っていた。
「知らないうちにホテルの部屋に転がっていた」とのこと。
しかし入り口で「傘はクロークに預けなさい」と言われる。
クロークは混み合っているし、面倒だからと近くのゴミ箱に
捨てようとしたら、「違う違う!」とすごい剣幕で
止められた。しかたないので裏に回って、公衆電話の
横にそーっと「置き忘れて」きた。
先日見られなかったところを見て回ろうということで、
まずは「ナポレオン三世の居室」へ。全然客がいない。
あと前は行かなかった彫刻の反対側の吹き抜けとか、
古代エジプトコーナーとか、中世の堀にも行った。
墓標の彫像で、横たわる人の足元には犬やライオンを
配置するのが決まりらしいのだが、足蹴にしているように
見えてしかたがない。
有名な「ナポレオンの戴冠」の絵の前のソファに座ると、
中修さんが「教皇の足元に猫がいる」と言い出す。
えっ、猫なんてどこにもいないよ……?
近寄って見たら、マントの裾だった。
古代ローマの皇帝の彫像が並ぶところで、中修さんが
「この皇帝はこんな人で、こういう死に方をした」とか
詳しい解説をつけてくれるのが面白かった。
しかし途中でかなり足が痛くなってしまい、ルーブル
完全制覇はならず。
今回の旅においていくつか失敗をしたが、中でも大きいのは
爪切りを持ってこなかったこと。手の爪を切らないから
要らないと思っていたんだけど、足は切るじゃん!
歩くのがしんどかったのは、足の爪が伸びていたせい。
ほかのところに比べて、アポロンギャラリーやミロの
ヴィーナスのあたりの人の多さは段違いだった。
団体観光客が、あちこちで説明を受けている。
最後にラ・トゥールをもう一回見に行き、13時前に
ルーブルを出て、タクシーでフォションに行く
ことにする。タクシー乗り場が見つからず、
少しうろついているうちちょうど降車しているところに
出くわしたので、「乗れますか?」と訊いたらOK。
コンコルド広場を見つつ、マドレーヌ寺院へ。
フォションの大きな店が2つ並んでいるところに到着。
レストランがあるとガイドブックに書いてあるんだけど、
見つからない。
片方の店は土産屋で、もう片方ではケーキや惣菜を
売っている。土産屋の地下はワインショップ、2階は
倉庫のようになっていた。どうやらこの2階がレストラン
だったらしいのだが、閉店してしまったようだ……。
しかたないので、とにかくお土産だけ買い込む。
手当たりしだいかごに入れていくような感じで。
カリソンという葉っぱ型の練り物系お菓子があって、
パリによく行く日本人が書いた本に、「とてもおいしいん
だけど、あまり理解が得られない」と書いてあった。
試しにどんなものか買ってみることにした。
しかもフォション120周年記念ということで、特別に金銀の
コーティングがしてあるもの。(まだ食べてない)
あと、マドレーヌ寺院の形の缶に入ったマドレーヌとか、
紅茶だけじゃなくお菓子がいろいろあった。
レジの長い行列に並んでいたら別のところで袋詰め
してくれ、伝票だけ持たされてレジで会計した。
ガイドブックを見て、フォションの代わりに甘いものが
食べられそうな「アンジェリーナ」に行こうと決める。
ここはさっきタクシーでル・ムーリスの横を通ったときに
見たから、そのまま歩けば行ける。
どうせ帰り道でもあるので、けっこう遠かったが歩く。
ぎっしりテーブルが並ぶ店内に入り、メニューを見ると
「ケーキ(2なんとか)5.7ユーロ」と書いてある。
2なんとかのところはフランス語なのでわからないが、
もしかしてケーキを2つ選ばせてくれるってことかな、
と夢を見る。
ウェイトレスさんにケーキを注文したら、「何がいいの?
モンブラン? それともミルフィーユ?」とぞんざいに
訊かれる。ガイドブックには、「各種ケーキをテーブルに
並べて運んできて、選ばせてくれる」って写真つきで
載ってたのに!
まごまごしてたら「そこにあるから選んでよ」と言われ、
ガラスケースに並んだ実物の中から、モンブランを選ぶ。
一応アンジェリーナはモンブランが有名らしいし。
ケーキセットのようなものはなく、飲み物は別に頼む。
せっかくだからと欲をかいて、クリスマス・スペシャル
のホットチョコレートを頼む。
銀のポットに入っていて、どろっとしたのをカップに
注ぎ、生クリームを溶かして飲む。
覚悟はしていたが、死ぬほど甘い。
モンブランもこってりした味で、一番下にメレンゲ、
その上に生クリームを置き、外にマロンクリームを
かぶせた形になっている。スポンジ部分は存在しない。
当たり前だけど、これもすっごく甘い。
一週間分の糖分をまとめて摂取した感じ。
食べていると、隣のテーブルに、銀のお盆に各種ケーキを
並べたものが運ばれてきて、その中から選んでいた。
おいおい、日本人だから差別されたってことなのか?
プンスカしてチップを払わずに出る。
14:30にホテルに戻り、フロントに預けておいた荷物を
受け取って、空港行きのバス停目指しオペラ座前まで歩く。
タクシーに乗るほどの距離ではないと思ったんだけど、
道を間違え、さらにバス停の位置もよくわからなくて
焦ったが、なんとかたどりつけた。
チケットの自販機があったがよくわからなかったので、
乗り込んで直接運転手さんにお金を払う。
二両連結のバスで、狭い通路で苦労して荷物を運ぶ。
15:30にバスが出て、モンマルトル墓地の脇を通り、
来るときに見たマンション屋上の社名ネオンをまた横目に
見て、16:10くらいに空港に着く。
空港で最初に停まったバス停「ターミナル2A」で降りる。
私の乗る飛行機はターミナル2だということは確認して
あったので、やれやれと降りたら、ほかに降りる人が
全然いない……。
空港の中もなんだかがらーんとしている。
どうしよう、と思いつつゲートっぽいところに行くと、
「パスポートと搭乗券!」とぶっきらぼうに言われる。
搭乗券といってもeチケットの紙しかないので、それを
出したら「違う」と言われる。
確かに、ゲートの上には「スイス」って書いてあった。
今度はお姉さんのいるチケットカウンターのような
ところに行き、「このチケットを手に入れられますか?」
と言ってみる。すると「向こうに表示板があるから、
それを見てあなたの便がどこか確認しなさい」と返事。
表示板を見ると、私の便はF52と書いてある。
Fって……? ここ、Aじゃなかったっけ?
慌てて空港の地図を見る。すると、確かにAから順に
ターミナルビルがあって、Fはここから一番遠いところ。
これはどうしたものか、と地図の前でしばし考えていたら、
「タクシー?」と言いながらお兄さんが近づいて来た。
警戒しつつ、「Fに行きたい」と行ってみたら、「それなら
シャトルバスに乗ればいいんだよ。ついておいで」と
言われ、外に出て「あそこのバス停だよ」と教えてくれる。
親切だった。警戒してゴメン。
バスがなかなか来なくて焦るが、なんとか16:40くらいに
Fフロアに到着。しかし発券カウンターはさらに一番端の
13カウンターなのだった。
はるばる、という感じでやっと搭乗券にありつく。
カウンターのお姉さんに「メルシー」と言ったら、
「あなたフランス語できるの?」と(英語で)訊かれる。
「いえ、メルシーとボンジュールだけです」(実際には
あとシルヴプレとボンソワールも言ったけど)と
答えたら、「それでもナイスよ」と褒められた。
絵ハガキをまだ送っていないことを今さら思い出し、
そのお姉さんに「切手はどこで買えますか?」と
訊いたら、「この先に新聞と切手を売っている店がある」
と、店名わざわざ書いてくれた。
そこまで行ってレジに2枚の絵ハガキを見せ、「切手を
2枚下さい」と言ったら、「2枚ずつ貼らなきゃいけない
から、4枚必要だ」と言われる。
0.6ユーロの切手しか置いてないらしく、それを2枚ずつ
貼る。日本までのハガキはこないだの郵便局の自販機
では0.85ユーロだったから、切手だとちょっと損だ。
荷物検査ではネックレスとベルトを外し、靴を脱がされる。
日本のときとは段違いに厳しい。
トイレに入ったら、やたら便器に水がいっぱい溜まって
いて、不吉な予感がして水を流すボタンを押してみたら、
どっと水が溢れてきた。悪夢だ。
幸いほかに誰もいなかったので、黙って逃げ出した。
ゲートの中に入ると、鞄とか高級品の免税店しかない。
帰りの飛行機も窓際で、通路側には日本人の女性。
真ん中の座席はまた空いていて、ラッキー。
機内食をしっかり食べ、久々に栄養を取り込んだ気分。
しばらく寝てから、「ワールド・トレード・センター」
を見る。
本当は行きの飛行機で見逃した「パイレーツ・オブ・
カリビアン2」を見たかったんだけど、月が11月から
12月になったので映画のプログラムが入れ替わっていた。
帰りの便ではあまり見たい映画がなく、残念。
そういえば、「ターミナル」はマジックプレイヤーの
悲哀が感じられる映画だというのでちょっと見てみたい。
知らない土地へやってきて言葉は通じない、外には
出られない、俺こんなとこまで来て何やってんだろう……
みたいな。
「ワールド・トレード・センター」って、予告編を見た
だけだとニコラス・ケイジが救助隊員として大活躍して
感動の生還! みたいな内容に見えるんだけど、実際は
非常に抑制された地味な映画だった。画面が暗すぎて
なんだかよくわからないところもあったほど。
一番印象強いのは「これからこの国では兵士が必要に
なる、復讐のために」と言う男のまっすぐなまなざし。
成田から、荷物も多いし会社に直行しちゃおうという
ことで、贅沢して新宿行きリムジンバスに乗る。3000円。
寝ているだけで着くのはありがたいし、かなり早かった。
700通くらい来ていた会社のメール(といってもほとんど
迷惑メールだが)を整理して、お土産を置いて帰宅。
次の朝会社に行ったら、もうお土産はなくなっていた。
フォションのお菓子3種、私1個も食べてなかったのに!
みんなが「おいしかったよ」しか言わなくて悔しかった。
この日の支出:
朝マック2ユーロ
ルーブル入館料8.5ユーロ
タクシー5.5ユーロ
フォションお土産52ユーロ
ロワシーバス8.4ユーロ
切手2.4ユーロ
■蛇足
世界各国のグランプリを、隔週とかで旅して回る
生活に強い憧れを抱く。
理想は日本に戻らず、旅先から旅先へと向かうこと。
観光して、大会に出て、勝ったり負けたりして、
写真を撮って……。なんて素晴らしい生活だろう。
まあ、マジックが強ければ、ね。
私は計算できないしウッカリ型だし思い込みは激しいし
物事はすぐに忘れるし、てんでマジックに向いてない。
何より負けたときに「悔しい!」と思って次につなげる
気持ちが足りない。負けず嫌いは負けず嫌いなんだけど、
負けるのが嫌いだから初めから勝負しないのだ。
「どうせ下手だし」とか「別に詳しくないし」とか、
自分にも他人にも言い訳を用意している。
たとえば、「お稽古事」としてマジックを習うのは
どうだろう?とふと考えてみた。
マジックは究極的には運や勘も重要になるけれど、
ある程度のレベルまでは技術と練習が最重要だから。
たとえば、ちょっと見当つきにくいけど、半年後には
GP1日目で勝ち越すとか、1年後にはPTQベスト8とか、
そういう目標を立てて、誰かに師事する。
毎週、時間を決めてデュエルスペースに行き、徹底的に
見てもらい、教えてもらう。
手札を公開した状態でデュエルすれば、プレイングの
まずいところを教えてもらえるだろうし、ドラフトを
後ろで見ていてもらってもいいと思う。
師匠は必ずしも一人でなくてもいいんだけど、教える
ほうにも責任を持ってもらうため、教わる時間を決めて
ちゃんと代金を払う。
相場はよくわからないけど……トロンボーンのときは
確か2時間のレッスンで8千円だったかな。
ちゃんと教わろう、教えようという気持ちになるには
やっぱりそれくらい必要なのかもしれない。
まぁ家庭教師のバイトみたいなものと考えて、
自給2〜3千円ですめば習うほうとしてはありがたいけど。
そういうシステムってはたして成立するのかな?
そうやって「お稽古事」として続けてみて、それでも
上達しないんだったら本当に自分には向いてないんだろう。
パリ旅行記6日目
2006年12月13日■12月3日(日)大会5日目 決勝
7時半起床。朝ご飯なし。
決勝の会場はカフェ風の作りになっている。
本物のカフェでも使われている緑の籐椅子を並べ、
お店の名前は「ロータス・ノワール・カフェ」。
「黒蓮カフェ」と訳すとかなり非合法っぽい香りだ。
カフェの店先のガラス窓の中には、マナ・シンボルを
あしらったアクセサリー(会場売店で売ってたけど、
けっこう高かったので買わなかった)が飾られている。
外の観戦スペースにも、スクリーンの前にカフェふうの
わりと狭い空間が作ってあるが、そこだとスクリーンに
近すぎるのか、もっと部屋の後ろのほうで見ている人も
多かった。
日本人たちが三原さんの5ゲーム目を観戦していた。
例の場面。
「やった、引いた」という感じで《炎の儀式》をプレイし、
もう1枚プレイしようとして、サッと引っ込めた。
みんな頭の上にハテナマークを一瞬出しつつ、
「……マナ足りなくない?」と気づく。
8マナしかないのに、うっかり1枚目を唱えてしまった。
画面の中で固まっている三原さんに向かって、
「数えてからやれよ!」と誰かの突っ込み。
かなり長い時間悩んでいて、みんな次のターンのことを
計算し始める。ライフ1はギリギリ残りそう。
苦し紛れに《撤廃》でドロー。
次なる《炎の儀式》をトップデッキ。
「え? 引いてる?」「引いてるよ!」「あいつ何者!?」
と観客席は大盛り上がり。
「落ち着け! 落ち着けよ!」と届かぬ声をかけられ
ながら、三原さんがミラクル勝利。
このまま次のターンを迎えていれば普通に勝っていたのに、
わざわざトップデッキでなければ勝てないような状況に
自分を追い込んでトップデッキする、そういう演出か!
詳しくは、公式カバレッジが面白いので読んでください。
三原さんは、さっきのトップデッキ場面が中継されて
いたと聞いていたく恥ずかしがり、観客席の近くを通り
過ぎるときに、ペコペコ頭を下げていた。
準々決勝の最後の対戦はナシフ対ティアゴ・チャン。
いまだに長々とやっているが、しばらく終わりそうに
ないので、そのわきで小倉さんの準決勝が始まる。
観戦スペースで、プレイの解説を聞きながら見物。
「これはもう何をやっても勝ちだね」とか。
ティアゴ・チャンがもし優勝すると八十岡さんのPoYが
まくられるので、ナシフを応援しているらしい。
ナシフ対ティアゴ・チャンの対戦にカメラが回ると、
ナシフのライフ表記が88になっている。
指差して笑う人々。
そのままライフが増え続けていく。
ティアゴの場にも組み立て作業員トークンが10個以上
出ているのだが……回復速度に追いつかない。
ナシフ、よくこんなデッキで1日目のスタンダードを
勝ってきたなぁ(5-0-1)。普通もっと引き分けるだろ。
みるみるライフが増えていき、最後は340くらいになった。
ティアゴ、ライブラリーを数えてさすがに投了。
今回、ポッドキャストは英語だけでなくフランス語もあり、
コメンタリーブースにはアントワン・ルーエルとラファエル・
レヴィに挟まれてジェフリー・シロン(ベルギー)がいた。
アントワンが、ゲーム後のティアゴに「おつかれー」と
いう感じで肩を叩きに来て、その背中がびっしょりと
汗で濡れているのに驚いていた。
決勝卓はスポットがめちゃめちゃ暑いけど、汗は
そのせいだけではないだろう。
ティアゴは「あのデッキ相手に3-2だよ、よく頑張ったよ」
というようなことを言っていた。
三原さんの対ナシフ戦は、さすがにサイド後の
デッキ相性が悪いからまぁ無理だろう、という雰囲気。
1ゲーム目を負けて、ますます「早くランチにならない
カナー」というムードが立ち込めたが、2ゲーム目で
三原さんが先手4ターン目ドラゴンストームを発動。
さらに、3ゲーム目もナシフの引きがしょぼいところに
普通に殴り勝った。
しかし、最後のほうはライブ中継が休憩に入り、
照明も消されてしまい、みんなランチを食べ始めた。
まだ準決勝が続いてるのに、ひどい扱いだ(笑)
4ゲーム目の手札チェックまですませたところで止め、
三原さんたちもランチ休憩になった。
しかし、そんな宙ぶらりん状態で、よくパクパクご飯
食べられるなぁ。
ランチは美味しかった。
金箔の載ったチョコレートムースとか、お菓子も充実。
格さんが間違えて炭酸入りの水をグラスに注いでしまい、
私が代わりのエビアンの瓶を開けようとしていたときに、
小倉さんが「爪が割れますよ?」と心配してくれた。
私、生まれてこのかたそんな心配をしてもらったのは
初めて。まぁ、生まれてこのかた爪が長かったことは
2回しかないんだけど(笑)
でも、自分がこれから世界選手権の決勝だという時に
他人の爪のことにまで気が遣えるなんて、と感動した。
人となりを垣間見た感じ。
休憩中の三原さんに、モリカツがいろいろと軽快に
突っ込みを入れていて、「今の俺なら勝ってたね」と言う。
朝方は風邪ですごく調子が悪かったらしい。
確かに顔色も良くなかったし、おとなしかった。
「12枚も土地が並んでてトロンが揃ってないなんて
モリカツじゃない」と言われていた。
三原さんの準決勝4ゲーム目が再開。
その裏でチーム戦のドラフトをすることになった。
しかし片山さんがタバコ休憩に行ってしまい、
どこにいるかわからなかったのでしばらく待つ。
準決勝4ゲーム目のほうは、ナシフが首をかしげながら
プレイしているので、また負けるのか?と思った。
「こっちは12点ずつ回復するけど、そっちは11点ずつ
しか入らないよね。まだ続ける?」と言ってナシフ勝利。
ナシフが勝ってるところを珍しく目撃できたかも!
そして5ゲーム目。30くらいあったナシフのライフを
ヘルカイトで削り、最後に「引いたー!」と言いながら
トップデッキしてドラゴンストーム。
その瞬間、フランスのブースがしーんとなった……。
まさかこのデッキ相性で負けるとは思っていなかった
だろうなあ。フランス希望の星が負け、一瞬にして
会場のテンションが下がったのが感じられた。
しかしまたもトップデッキで勝負を決めるとは、
今日の三原さんは相当ヤバイようだ。
ビジネスクラスをツモるだけのことはある。
チーム戦の対戦が始まる。
片山さんと山本さんが両脇から手札を見せ、
モリカツの指示をあおぐゲーム風景。
モリカツははやばやと指示係に徹し、片山さんの
ゲームを途中で止めて、山本さんのゲームに集中。
後がなくなった山本さんのフルアタックに、オランダ
チームは3人で頭を寄せ合ってブロックを割り振る。
この間、モリカツはエリアの外に出て小倉さんと
話をしていたので、もうエリア内と会話はできなくなる。
フルアタックの時点で無理っぽかったんだけど、
相手がさらに除去も持っていたので「You win」と言う。
しかし右手を差し出すまで通じていなかった。
個人戦の決勝が始まる。きらびやかに照らされた
テーブルの上に日本の小旗が2つ立っている光景は
かなり感慨深いものがあるが、観戦スペースは
閑散としてしまっている。デュエルしてる人もいるし。
私が座ってスクリーンを見ていたら、突然「日本人の
サインを集めています」と言う人(英語喋ってたけど
母語ではなさそうだった)がやってきて、日本語版の
《空虚自身》を差し出してきた。見ると、いろんな
プレイヤーたちの名前がぎっしり書き込まれている。
「私、プレイヤーじゃないですよ?」と言ったが
「それでも全然かまわない」と言うので、漢字で書いた。
変わった人だなあ。
決勝はご存知の通り、ラミハルさんの3タテ。
終わると、すぐさま表彰式。
「トロフィーは両手で台座をしっかり持つように」と
受賞者に指示が出る。どうも壊れたのを修理したらしい。
実際に小倉さんのトロフィーが、表彰式の終了直後
3つぐらいに派手に分解した。
三原さんは表彰式の直後、BDMにインタビュー
されていたが、プレイヤーとしての成長の履歴をかなり
詳しく聞かれていたような感じ。出来上がった記事は
「一介のプレイヤーが、いかにして世界チャンピオン
までのぼりつめたか」という感じになっているのでは
ないだろうか(読みこなせないからわかんないけど)。
確かに海外ではあまり知られてないプレイヤーだしね。
進藤さんいわく「日本が誇るシークレットテク」。
CALについて語る会も開催していた。
PoY八十岡さんもインタビューされていた。
ちっとも嬉しそうじゃないのを指摘されると、「PoYには
実益がないから」と答えていた。確かに、せいぜい
ホテルの部屋がスイートになるくらいで、あとの利益は
全部レベル6でも得られる。
とはいえ、そのスイートを取るために、かなりのPoY
予算が組まれているという話だけどね……。
三原さんの写真を外のピラミッドの前で撮るというので、
ついていく。寒い!
池の縁で、トロフィーを持ってポーズを取っている隣を
観光客の群れがひっきりなしに通る。その晒されっぷりは
いまだかつてないものだった。いろんな人が「ヘイ、
チャンピオン?」という感じで声をかけていく。
「何のチャンピオンなのか」とたびたび聞かれ、
「カルテ(カード)」と答えると納得していたが、
たぶんポーカーか何かだと思っているだろうな。
これでプレイヤーカードになることが確定して、
「もう格さんに間違えられない」と喜んでいた。昨日
格さんのカードにサインを求めに来た人がいたらしい。
そんなわけで大会は終了。仕事もおしまい。
絵ハガキに貼る切手を買わねばならないので、ルーブル
美術館の入り口付近にある郵便局に行ってみる。
18:00すぎだったが、もう閉まっていた。
その近くの土産屋を見る。チープな小物はあまりなく、
美術書と高価な置物ばかりだった。しかし、エジプトの
翡翠のカバを模したぬいぐるみがあって、そのすごく
変な顔に惹かれた。
19時になり、土産屋が閉店して追い出される。
まだ開いていたショッピングモールをぶらぶらする。
お菓子の量り売りのお店に行ったら、片山さんと
鉢合わせした。
最後、ジュリアンとの対戦を途中で止められたまま、
山本さんの負けでチーム戦全体が終わってしまったので、
「せっかくだからあの晴れ舞台でもう一戦やりたかった
ですよね」と言う。
「相手マリガンしてて、こっちブン回りの手札だったんで、
やったら勝ってたのに」と残念そうだった。「0-2だと
圧敗っぽいけど、1-2だったら頑張った感じになるし」
あと「決勝ラウンドはすごい雰囲気で、昼ご飯の味が
あまりわからなかった。正直今回は他人の草鞋だったけど、
いつか自分の力でまたあの場に行きたい」と言っていた。
フランスカラーのねじり棒飴と、マキシムのお菓子を
大量に買い込んでいた。
星の王子様グッズをたくさん扱っている店があった。
キツネと王子様のミニチュアが繋がっているキーホルダー
がすごく欲しいと思ったんだけど、キーホルダーって
使わないんだよね……。ぬいぐるみとか文房具とかも
きれいなのがたくさんあったが、こういうものはたぶん
日本でも手に入るだろうと思って買わなかった。
ホラーなプラスチック製ミニチュア(DDMよりは一回り
大きい)が詰め合わせになった玩具があって、DM-SKM
さんにあげたら台座をつけて変なモンスターとして
セッションに登場させてくれそうだなと思った。
ただ、5個くらいしか入っていないのに18ユーロもする
のは、この質ではちょっと高すぎる。
どこかでばら売りをしているかもと思って買わず。
しかし、「これは絶対に日本では買えないだろう」と
いうお土産を探すのは難しいね。
20時くらいに会場を出る。
フードコートで晩ご飯を食べると寂しくなってしまう
ので、今日はカフェに行くことにする。
大会1日目の朝に行った、ホテルのすぐそばのカフェへ。
すごく気障な東洋系のウェイターさんが担当だった。
BGMを鼻歌で歌っている。日本だったら何だコイツと
思うところだけど、フランスではなんだか似合ってしまう。
いろいろメニューがあるが、「昔ながらのスタイル」
というコーナーに、「チーズ、オールドスタイルの
ハム、パン、グリーンサラダ……」などと書いてある
ものがあり、いろいろ盛り合わせになったプレートなの
だろうと予想する。
ウェイターさんに「ワンプレート?」と訊いたら、
「Very big one」と言われる。恐れをなしつつ注文。
すると出てきたのは、直径80センチくらいの木の大きな
お盆の上に、ざっくり切ったサラミやパテ、生ハムを
載せたライ麦パン、ピクルス、キュウリ、トマトを
散らした巨大なサラダが、こんもり山になって盛られて
いる、というものだった。その一番上に、大きな三角に
切ったチーズがでんとかぶせてある。
予想していたものと全然違ってびっくりした。
こういうサプライズがあるから、言葉や文化の違う
国は面白いよねぇ。
サラミはちょっと噛み切れなかったんだけど、パテが
とても美味しかった。
すごい大きさだったけど、主な成分はレタスで嵩が
あるので、意外と食べられた。
一緒にオレンジジュースを頼んだが、4.7ユーロも
払って小さい瓶とコップとストローが出てきただけ。
コップ1杯注いだらなくなってしまう量しかない。
生絞りっぽくて、味はおいしかったけど……。
窓際に、何かを読むでもなく煙草を吸うでもなく、
じっと窓の外を見つめ続けている美女がいた。
ホテルに戻って荷造り。23時就寝。
この日の支出:
ルーブルお土産11ユーロ
晩ご飯18.2ユーロ
7時半起床。朝ご飯なし。
決勝の会場はカフェ風の作りになっている。
本物のカフェでも使われている緑の籐椅子を並べ、
お店の名前は「ロータス・ノワール・カフェ」。
「黒蓮カフェ」と訳すとかなり非合法っぽい香りだ。
カフェの店先のガラス窓の中には、マナ・シンボルを
あしらったアクセサリー(会場売店で売ってたけど、
けっこう高かったので買わなかった)が飾られている。
外の観戦スペースにも、スクリーンの前にカフェふうの
わりと狭い空間が作ってあるが、そこだとスクリーンに
近すぎるのか、もっと部屋の後ろのほうで見ている人も
多かった。
日本人たちが三原さんの5ゲーム目を観戦していた。
例の場面。
「やった、引いた」という感じで《炎の儀式》をプレイし、
もう1枚プレイしようとして、サッと引っ込めた。
みんな頭の上にハテナマークを一瞬出しつつ、
「……マナ足りなくない?」と気づく。
8マナしかないのに、うっかり1枚目を唱えてしまった。
画面の中で固まっている三原さんに向かって、
「数えてからやれよ!」と誰かの突っ込み。
かなり長い時間悩んでいて、みんな次のターンのことを
計算し始める。ライフ1はギリギリ残りそう。
苦し紛れに《撤廃》でドロー。
次なる《炎の儀式》をトップデッキ。
「え? 引いてる?」「引いてるよ!」「あいつ何者!?」
と観客席は大盛り上がり。
「落ち着け! 落ち着けよ!」と届かぬ声をかけられ
ながら、三原さんがミラクル勝利。
このまま次のターンを迎えていれば普通に勝っていたのに、
わざわざトップデッキでなければ勝てないような状況に
自分を追い込んでトップデッキする、そういう演出か!
詳しくは、公式カバレッジが面白いので読んでください。
三原さんは、さっきのトップデッキ場面が中継されて
いたと聞いていたく恥ずかしがり、観客席の近くを通り
過ぎるときに、ペコペコ頭を下げていた。
準々決勝の最後の対戦はナシフ対ティアゴ・チャン。
いまだに長々とやっているが、しばらく終わりそうに
ないので、そのわきで小倉さんの準決勝が始まる。
観戦スペースで、プレイの解説を聞きながら見物。
「これはもう何をやっても勝ちだね」とか。
ティアゴ・チャンがもし優勝すると八十岡さんのPoYが
まくられるので、ナシフを応援しているらしい。
ナシフ対ティアゴ・チャンの対戦にカメラが回ると、
ナシフのライフ表記が88になっている。
指差して笑う人々。
そのままライフが増え続けていく。
ティアゴの場にも組み立て作業員トークンが10個以上
出ているのだが……回復速度に追いつかない。
ナシフ、よくこんなデッキで1日目のスタンダードを
勝ってきたなぁ(5-0-1)。普通もっと引き分けるだろ。
みるみるライフが増えていき、最後は340くらいになった。
ティアゴ、ライブラリーを数えてさすがに投了。
今回、ポッドキャストは英語だけでなくフランス語もあり、
コメンタリーブースにはアントワン・ルーエルとラファエル・
レヴィに挟まれてジェフリー・シロン(ベルギー)がいた。
アントワンが、ゲーム後のティアゴに「おつかれー」と
いう感じで肩を叩きに来て、その背中がびっしょりと
汗で濡れているのに驚いていた。
決勝卓はスポットがめちゃめちゃ暑いけど、汗は
そのせいだけではないだろう。
ティアゴは「あのデッキ相手に3-2だよ、よく頑張ったよ」
というようなことを言っていた。
三原さんの対ナシフ戦は、さすがにサイド後の
デッキ相性が悪いからまぁ無理だろう、という雰囲気。
1ゲーム目を負けて、ますます「早くランチにならない
カナー」というムードが立ち込めたが、2ゲーム目で
三原さんが先手4ターン目ドラゴンストームを発動。
さらに、3ゲーム目もナシフの引きがしょぼいところに
普通に殴り勝った。
しかし、最後のほうはライブ中継が休憩に入り、
照明も消されてしまい、みんなランチを食べ始めた。
まだ準決勝が続いてるのに、ひどい扱いだ(笑)
4ゲーム目の手札チェックまですませたところで止め、
三原さんたちもランチ休憩になった。
しかし、そんな宙ぶらりん状態で、よくパクパクご飯
食べられるなぁ。
ランチは美味しかった。
金箔の載ったチョコレートムースとか、お菓子も充実。
格さんが間違えて炭酸入りの水をグラスに注いでしまい、
私が代わりのエビアンの瓶を開けようとしていたときに、
小倉さんが「爪が割れますよ?」と心配してくれた。
私、生まれてこのかたそんな心配をしてもらったのは
初めて。まぁ、生まれてこのかた爪が長かったことは
2回しかないんだけど(笑)
でも、自分がこれから世界選手権の決勝だという時に
他人の爪のことにまで気が遣えるなんて、と感動した。
人となりを垣間見た感じ。
休憩中の三原さんに、モリカツがいろいろと軽快に
突っ込みを入れていて、「今の俺なら勝ってたね」と言う。
朝方は風邪ですごく調子が悪かったらしい。
確かに顔色も良くなかったし、おとなしかった。
「12枚も土地が並んでてトロンが揃ってないなんて
モリカツじゃない」と言われていた。
三原さんの準決勝4ゲーム目が再開。
その裏でチーム戦のドラフトをすることになった。
しかし片山さんがタバコ休憩に行ってしまい、
どこにいるかわからなかったのでしばらく待つ。
準決勝4ゲーム目のほうは、ナシフが首をかしげながら
プレイしているので、また負けるのか?と思った。
「こっちは12点ずつ回復するけど、そっちは11点ずつ
しか入らないよね。まだ続ける?」と言ってナシフ勝利。
ナシフが勝ってるところを珍しく目撃できたかも!
そして5ゲーム目。30くらいあったナシフのライフを
ヘルカイトで削り、最後に「引いたー!」と言いながら
トップデッキしてドラゴンストーム。
その瞬間、フランスのブースがしーんとなった……。
まさかこのデッキ相性で負けるとは思っていなかった
だろうなあ。フランス希望の星が負け、一瞬にして
会場のテンションが下がったのが感じられた。
しかしまたもトップデッキで勝負を決めるとは、
今日の三原さんは相当ヤバイようだ。
ビジネスクラスをツモるだけのことはある。
チーム戦の対戦が始まる。
片山さんと山本さんが両脇から手札を見せ、
モリカツの指示をあおぐゲーム風景。
モリカツははやばやと指示係に徹し、片山さんの
ゲームを途中で止めて、山本さんのゲームに集中。
後がなくなった山本さんのフルアタックに、オランダ
チームは3人で頭を寄せ合ってブロックを割り振る。
この間、モリカツはエリアの外に出て小倉さんと
話をしていたので、もうエリア内と会話はできなくなる。
フルアタックの時点で無理っぽかったんだけど、
相手がさらに除去も持っていたので「You win」と言う。
しかし右手を差し出すまで通じていなかった。
個人戦の決勝が始まる。きらびやかに照らされた
テーブルの上に日本の小旗が2つ立っている光景は
かなり感慨深いものがあるが、観戦スペースは
閑散としてしまっている。デュエルしてる人もいるし。
私が座ってスクリーンを見ていたら、突然「日本人の
サインを集めています」と言う人(英語喋ってたけど
母語ではなさそうだった)がやってきて、日本語版の
《空虚自身》を差し出してきた。見ると、いろんな
プレイヤーたちの名前がぎっしり書き込まれている。
「私、プレイヤーじゃないですよ?」と言ったが
「それでも全然かまわない」と言うので、漢字で書いた。
変わった人だなあ。
決勝はご存知の通り、ラミハルさんの3タテ。
終わると、すぐさま表彰式。
「トロフィーは両手で台座をしっかり持つように」と
受賞者に指示が出る。どうも壊れたのを修理したらしい。
実際に小倉さんのトロフィーが、表彰式の終了直後
3つぐらいに派手に分解した。
三原さんは表彰式の直後、BDMにインタビュー
されていたが、プレイヤーとしての成長の履歴をかなり
詳しく聞かれていたような感じ。出来上がった記事は
「一介のプレイヤーが、いかにして世界チャンピオン
までのぼりつめたか」という感じになっているのでは
ないだろうか(読みこなせないからわかんないけど)。
確かに海外ではあまり知られてないプレイヤーだしね。
進藤さんいわく「日本が誇るシークレットテク」。
CALについて語る会も開催していた。
PoY八十岡さんもインタビューされていた。
ちっとも嬉しそうじゃないのを指摘されると、「PoYには
実益がないから」と答えていた。確かに、せいぜい
ホテルの部屋がスイートになるくらいで、あとの利益は
全部レベル6でも得られる。
とはいえ、そのスイートを取るために、かなりのPoY
予算が組まれているという話だけどね……。
三原さんの写真を外のピラミッドの前で撮るというので、
ついていく。寒い!
池の縁で、トロフィーを持ってポーズを取っている隣を
観光客の群れがひっきりなしに通る。その晒されっぷりは
いまだかつてないものだった。いろんな人が「ヘイ、
チャンピオン?」という感じで声をかけていく。
「何のチャンピオンなのか」とたびたび聞かれ、
「カルテ(カード)」と答えると納得していたが、
たぶんポーカーか何かだと思っているだろうな。
これでプレイヤーカードになることが確定して、
「もう格さんに間違えられない」と喜んでいた。昨日
格さんのカードにサインを求めに来た人がいたらしい。
そんなわけで大会は終了。仕事もおしまい。
絵ハガキに貼る切手を買わねばならないので、ルーブル
美術館の入り口付近にある郵便局に行ってみる。
18:00すぎだったが、もう閉まっていた。
その近くの土産屋を見る。チープな小物はあまりなく、
美術書と高価な置物ばかりだった。しかし、エジプトの
翡翠のカバを模したぬいぐるみがあって、そのすごく
変な顔に惹かれた。
19時になり、土産屋が閉店して追い出される。
まだ開いていたショッピングモールをぶらぶらする。
お菓子の量り売りのお店に行ったら、片山さんと
鉢合わせした。
最後、ジュリアンとの対戦を途中で止められたまま、
山本さんの負けでチーム戦全体が終わってしまったので、
「せっかくだからあの晴れ舞台でもう一戦やりたかった
ですよね」と言う。
「相手マリガンしてて、こっちブン回りの手札だったんで、
やったら勝ってたのに」と残念そうだった。「0-2だと
圧敗っぽいけど、1-2だったら頑張った感じになるし」
あと「決勝ラウンドはすごい雰囲気で、昼ご飯の味が
あまりわからなかった。正直今回は他人の草鞋だったけど、
いつか自分の力でまたあの場に行きたい」と言っていた。
フランスカラーのねじり棒飴と、マキシムのお菓子を
大量に買い込んでいた。
星の王子様グッズをたくさん扱っている店があった。
キツネと王子様のミニチュアが繋がっているキーホルダー
がすごく欲しいと思ったんだけど、キーホルダーって
使わないんだよね……。ぬいぐるみとか文房具とかも
きれいなのがたくさんあったが、こういうものはたぶん
日本でも手に入るだろうと思って買わなかった。
ホラーなプラスチック製ミニチュア(DDMよりは一回り
大きい)が詰め合わせになった玩具があって、DM-SKM
さんにあげたら台座をつけて変なモンスターとして
セッションに登場させてくれそうだなと思った。
ただ、5個くらいしか入っていないのに18ユーロもする
のは、この質ではちょっと高すぎる。
どこかでばら売りをしているかもと思って買わず。
しかし、「これは絶対に日本では買えないだろう」と
いうお土産を探すのは難しいね。
20時くらいに会場を出る。
フードコートで晩ご飯を食べると寂しくなってしまう
ので、今日はカフェに行くことにする。
大会1日目の朝に行った、ホテルのすぐそばのカフェへ。
すごく気障な東洋系のウェイターさんが担当だった。
BGMを鼻歌で歌っている。日本だったら何だコイツと
思うところだけど、フランスではなんだか似合ってしまう。
いろいろメニューがあるが、「昔ながらのスタイル」
というコーナーに、「チーズ、オールドスタイルの
ハム、パン、グリーンサラダ……」などと書いてある
ものがあり、いろいろ盛り合わせになったプレートなの
だろうと予想する。
ウェイターさんに「ワンプレート?」と訊いたら、
「Very big one」と言われる。恐れをなしつつ注文。
すると出てきたのは、直径80センチくらいの木の大きな
お盆の上に、ざっくり切ったサラミやパテ、生ハムを
載せたライ麦パン、ピクルス、キュウリ、トマトを
散らした巨大なサラダが、こんもり山になって盛られて
いる、というものだった。その一番上に、大きな三角に
切ったチーズがでんとかぶせてある。
予想していたものと全然違ってびっくりした。
こういうサプライズがあるから、言葉や文化の違う
国は面白いよねぇ。
サラミはちょっと噛み切れなかったんだけど、パテが
とても美味しかった。
すごい大きさだったけど、主な成分はレタスで嵩が
あるので、意外と食べられた。
一緒にオレンジジュースを頼んだが、4.7ユーロも
払って小さい瓶とコップとストローが出てきただけ。
コップ1杯注いだらなくなってしまう量しかない。
生絞りっぽくて、味はおいしかったけど……。
窓際に、何かを読むでもなく煙草を吸うでもなく、
じっと窓の外を見つめ続けている美女がいた。
ホテルに戻って荷造り。23時就寝。
この日の支出:
ルーブルお土産11ユーロ
晩ご飯18.2ユーロ
パリ旅行記5日目
2006年12月13日■12月2日(土)大会4日目 国別団体戦
7:40起床、8時過ぎにホテルの朝食バイキングへ。
いろんな種類のパンと、いろんな種類のヨーグルトと、
いろんな種類のチーズがある。また、皮付きのオレンジ・
ブドウ・リンゴ・バナナなどの果物と、小瓶に入ったジャム。
しかしおかず的なものは全然なく、申し訳程度に一種類の
ハムとゆで卵作り器があるのみ。
お湯の中に、小型お玉に載せた卵を各自浸けておく仕組み
だったが、どれくらい入れておけばいいのかとか詳細が
不明だったのであきらめた。
飲み物はコーヒーはもちろん、ティーバッグがいろいろ。
コーヒーメーカーの、黒っぽいカップの絵と白っぽいカップの
絵が描いてあるボタンのうち、白っぽいほうをミルク入りかと
思って押したら、カップ半量のエスプレッソだった。
黒いほうのボタンはダブルのエスプレッソなのだろう。
フロマージュブランと書いてあるヨーグルトを食べたら
いかにも無糖無脂肪という味だったので、缶詰のフルーツ
ポンチにかけてみたらちょうどよかった。
朝食の部屋にどんどん人がやって来て、最終的には
大混雑になったが、全員白人だった。
このホテルが日本のガイドブックに載っていないからか。
9時に食事を終え、日焼け止めを厚めに化粧して、10時に
ホテルを出る。今日は外歩きで観光の日と決めてある。
まずルーブルの北側から東端まで歩いて、セーヌ川に出る。
途中で、古びた立派な教会を見つける。
ガイドブックによるとサン・ジェルマン・ローセロワ
教会というところらしいが、観光地っぽくはなかった。
もしかして開いてるかな、と恐る恐るドアを押したら
開いていた。中はほぼ真っ暗、人もほとんどいない。
とても静かで、足音が響き、荘厳な雰囲気。
1ユーロで蝋燭を買い、火を灯そうとする。
ほかに1本だけついている蝋燭があったので、そこから
火を移そうとしたら、失敗して消えてしまった……。
するとそこへ観光客とおぼしき白人の老婦人が2人。
「火をお持ちですか」と聞いたら、ハンドバッグから
探し当てたマッチで火をつけてくれた。
古い祭壇やステンドグラスをひとわたり見て、真ん中の
椅子にしばらく静かに座ってもみた。
10時の鐘が鳴っていた。いい時間だった。
一部工事中のポン・ヌフを渡り、シテ島に入る。
セーヌ川は泥の色をしていて、寒々しかった。
なんとなく人の多いほうへぶらついていく。
真ん中に大きな建物(最高裁判所だった)があって、
それをぐるっと回ると地下鉄の駅。広場に植木市がある。
さまざまな庭の飾り物やクリスマスオーナメントを見る。
アメリカっぽくない、美人な妖精の置物がいろいろあって
気に入ったんだけど、持って帰ったら絶対壊れるだろう。
第一の目的地、ノートルダム大聖堂に到着。
入り口の前に巨大なクリスマスツリーが立っている。
さすがに人だらけで、いかにも観光地ふう。
入り口の列に並ぶと、「中では飲食やフラッシュ撮影禁止」
といった注意書きが貼り出してあるのだが、そこに各国語で
「Welcome」と書いてある。日本語は「よこそう」。
「ようこそ」と正されている掲示も1か所だけあったが、
あとはみんな「よこそう」だった。
中はたいへん広いが、人が多くバシャバシャフラッシュを
たきまくっているし、ツアー客に解説をしているガイドも
いるしで、気になって仕方がない。
ちょっと祈りの場所という雰囲気ではなかった。
でもバラ窓は素晴らしかった。
残念ながらコーヒーと腹痛との因果関係が見られ、少し
お腹が痛かったのでしばらく座って休む。
「宝物庫」という表示があったので、入場料3ユーロを
払って入ってみる。たいへん豪華な杖やら儀式道具、
聖人の骨などを収めた豪華な箱、見事な装丁の本などなど。
ぼろぼろの手袋を、たいへん立派なガラスの箱に収めた
ものもあったが、きっと由緒正しい手袋なのだろう。
大聖堂を出て、裏側に回る。ゴシックの聖堂って夜に
見たら相当不気味だろうなあ。
サン・ルイ島へ渡る橋の上で、ジャズの演奏に
人だかりができていた。
公園で日本人修学旅行生の群れとすれ違った。
11:45に鐘が鳴り、12時にも鳴った。
アルシュヴェシェ橋を渡って反対の岸へ。
河岸に緑の箱が並び、古本と絵ハガキと絵を売っている。
ブキニスト、というらしい。
絵ハガキを少し買い、ガーゴイルの置物がちょっと
ほしくなるが、値段を見てあきらめる。
あと、ここではやたらヌードの絵ハガキを売っていた。
道路の反対側には、カフェや謎の工芸品を陳列した
画廊のような店が建ち並ぶ。
いろんな形の鍵かけをずらっと展示した文房具屋があって
面白いなと思って通り過ぎたが、あとで調べたら有名な
お店だったようだ。
あと、池澤夏樹が書いていた、本の装丁屋とおぼしき
店も見つけた。自分で、好きな本のページ部分だけを
持ち込み、好みの革や模様を選んで、自分だけの本に
装丁してもらい、コレクションするというもの。
そういう高尚な趣味に憧れる。
建物の角を過ぎるといきなり金ぴかの建物が現れたり
(フランス学士院)、すばらしく絵になるトンネルがあったり、
安っぽいアパートの裏手にボードレールの像があったりした。
かなり長いこと川沿いを歩き続ける。足が疲れてもう
歩きたくない、でもどこかに入って何か食べたいというわけ
じゃないし、どうしようか……と悩みながらだらだら歩く
うちに、はるか遠くにガラスの立派な建物が見えてくる。
あれがオルセー美術館か、遠いなあ……と途方にくれつつ
なおも歩いていたら、13時前ごろ、ひょっこり左側に
「オルセー美術館」の看板が出現。
外装工事をやっていたせいで、この建物がオルセーだとは
気づかずに歩いていた。
勘違いしたガラスの建物はグラン・パレ国立ギャラリー。
外で少し並び、中でもチケットを買う列に並ぶ。
13:15ごろ入り、歩き疲れているため途中で何度も
座って休みながら、中央の吹き抜けを通って上へ向かう。
オペラ座の断面やミニチュアの町並みも良かったが、
ここではアール・ヌーボーの部屋が一番面白かった。
少し前に国立博物館を見ていたから、なるほど磁器や
細工物の手法は同じだけれど、明らかにこちらのほうが
デザインに華があるなあとか、日本のものがフランスに
わたってどんなふうに変化したかわかるのが面白い。
シロクマは良い熊だと思った。
ロダンの門はかなり不気味だった。
スーラの絵は、サーカスのやつ以外小さいのに驚いた。
モネの睡蓮の絵が三枚並んだところの椅子で20分くらい
ぼーっと座って通り過ぎる人を眺めていた。
最上階に近いあたりにレストランがあり、行列ができていた。
さらにその上に「ファーストフードショップ」があり、
各自サンドイッチなどをトレイに取ってそのへんの
カウンターで立ち食いする仕組みだった。
あまり変わりばえのしないサンドイッチばかりで、
食べたいものがなかったので、エスカレーターを
降り始めたら、豪華な内装のレストランがあった。
ここにはあまり人が並んでいなかった。
メニューもそんなに高くなさそうだったので、即並ぶ。
こうして昼ご飯にありついたのは15時ごろ。
いろいろなメニューの中で、少し安い「今日のスペシャル」
を訊ねたらサーモンだというので、それにする。
あとコーヒーは鬼門なのでアイスティを頼む。
しかしこのアイスティは「薄……すっぱ……苦」という
感じで、あまりいただけなかった。
サーモンのムニエルはたいへん柔らかく、ポテトと葱の
ような野菜をソテーした付け合わせがとっても美味しい。
フランスに来て今までで一番美味しかったのが、この
野菜といっても過言ではない。
パンは固くてむしるのが大変だった。
会計を頼んだが、カードを出して待っていてもなかなか
取りに来てくれないので、しかたなく現金をテーブルの
上に放置して帰った。
食べながら、「一緒に『おいしいね』とか『きれいだね』
とか言い合える相手がほしいなあ」と思ってしまう。
昨日の夜、みんなでルーブルを回ったのがやたらと
楽しかったんだよね。突っ込み入れたり自分では気づか
ないことを指摘してもらったり、感想を言い合うことが。
もちろん、他人と一緒に行動すると自分はもっと見たい
のに先へ進まないといけないとか、そういうデメリットは
あるけど、でもやっぱり楽しい。
今まで、自分はどこへでもひとりで行くしひとりで
気ままにふるまうし、一人旅をこよなく楽しめる人間
だという自負があったのだが、なんというか「私も
ヤキが回ったな……」という気分になった。
沢木耕太郎が言うように、「旅をすることは何かを
得ると同時に何かを失うことでもある」のだ。
さて、帰りがけにお土産を買い、ソルフェリーノ橋を
渡ってチュイルリー公園の真ん中を歩き、世界選手権の
会場に16時ごろ到着。
ちょうどフィーチャー席で日本チームが戦っている。
スタンディングを見てみると、今が3回戦目で、
日本が点差をつけてトップに立っているようだ。
テーブルの上に国旗の小さい旗が立っているのだが、
私はそれを見て対戦相手をフランスチームだと思った。
赤青白が縦に並んでいるとフランス国旗だから。
しかし中央でモリカツと対戦しているのはカミール・
コーネリッセン。フランスの人だったっけ……?
そして手前にはジュリアン・ヌイテンが。あれ、2年前
ワールドチャンプになったときはオランダ人だったよね?
いつの間にフランスに移住したんだろう?と思う。
私「ジュリアンって2年前はオランダ人でしたよね?」
格さん「……今もオランダ人ですよ?」
簡単なことで、オランダの旗は赤青白の横縞である。
小旗の布がくたっと垂れて縦縞に見えたというだけのこと。
でも格さんもあとで縦縞になってる旗を見て「なんで
フランスの旗が立ってるんだろう」とおっしゃってた
くらいなので、オランダの旗ってわかりにくいと思う。
今回はウェールズの旗なんてレアなものもよく見たな。
ここまでの日本の試合は、1回戦目でブラジルに勝ち、
2回戦目でポルトガルに勝った。ちなみにポルトガルは
かなりチームロチェのルールがあやしかったらしい。
まあ、ここ以外でやることのないフォーマットだから、
生まれて初めてやるプレイヤーも多いだろうし、
折り返し点がごちゃごちゃになったりするのもわかるが。
日本人は今日みんな観光に行ったとのことで、対戦を見て
いる人はほとんどいなかったんだけど、格さんはずっと観戦
していたという。「唯一チーム戦を見られる機会ですからね」
いわゆる「死んだフォーマット」なので、やり方とか
コツを詳しくレポートに書いてもしょうがない、といえば
確かにしょうがないのかもしれないけど、見ている分には
駆け引きや会話がとても面白いフォーマットだと思う。
日本の強さの理由は、全然チームロチェをやってない
国に比べて、モリカツが過去に練習してきた経験の蓄積が
ものを言っているのだろう。
この日、18時からiPodカラー争奪双頭巨人戦のサイド
イベントがあって、17時から受付をしていた。
出たいなと思っていたんだけど、こっちに来て結局
相方探しを一切しておらず、受付を見に行ったら
すごい大行列。30分ほどで締め切ってしまった。
最終的に120チーム、7回戦になったという。
18時から始まって終わるのが夜中の1時ってこと?
それは出なくて正解だったかも。
さて、日本対オランダ戦に戻ろう。
山本さんが勝ってて、片山さんが《センギアの吸血魔》で
次のターンには勝つ、という場面。モリカツも
勝ちそうなところで、カミール・コーネリッセンが
たまらずIDを申し出てきて、モリカツは承諾。
4回戦目。
日本はさっきのIDですでに決勝進出を決めており、
オランダとポルトガルの対戦で勝ったほうが相手になる。
日本の相手はフィンランド。
ドラフトを見ていた格さんによると、日本側のカードの
出が良く、相手はかなり暗い顔になっていたらしい。
そこで日本チームは、フィンランドに勝ちを譲った。
これで相手の賞金はけっこう上がったはず。
日本にとっては何の得も損もないので、どうせなら
「恩を売っとこう」ということらしい。
「負けたらかっこ悪いけど、コンシードならカッコイイ」
オランダ対ポルトガルのフィーチャーマッチを見る。
カミールとジュリアンが勝ったが、もう1つの対戦は
途中でヘッドジャッジにポルトガルのプレイヤーが
呼び出され、そのままいつまでも帰ってこない。
オランダ勝利という決着がついたあとでようやく戻って
きたが、そのままカードを片付けていなくなってしまった。
あとで、そのポルトガルのプレイヤーがチートでDQPに
なったと知る。ホント多いな、今回は。
ともあれ、これで明日の決勝は日本対オランダとなる。
オランダは大会前から本命と言われていたので、
相手に不足はない。
このフィーチャーを見ているときに日本人プレイヤーが
ぞろぞろと観光から帰ってきた。凱旋門を見に行ったが、
すごく並んでいて上にはのぼらなかったという話をきく。
あとこの日、正式にレベル3のポイントが20から18に
引き下げられるという発表があり、大勢が喜んでいた。
今夜も晩ご飯を食べに行けそうな相手が見つからない。
20時すぎ、フードコートに行き「マラケシュ」という
エスニック料理の店で、サラダ4種類の盛り合わせと
エビアンのペットボトルのセット、10.5ユーロと
いうメニューを頼む。
トマトとキュウリのサラダ、トマトと玉ねぎのサラダ、
ツナとコーンとタケノコみたいな野菜のサラダ、
ニンジンのカレー風煮の4種類を選ぶ。
どれにもオリーブがたっぷり入っている。
パリに来てからあまり野菜を採れていなかったが、
ここで一気に補充した。
食べながら、昨夜ルーブルの帰りにみんなと別れた
ところが分かれ道だったのかなあ、などと考える。
なんとなく、子どものころから自分に常について回る
「結局どこにも所属できない」この感覚。
ポルトガルのカルバルホが同じく1人で晩ご飯を食べて
いるのを見て、明日個人戦決勝に出るのに調整相手とか
いないのかな、と少し哀れを誘った。
食べていたらジャッジの金澤さんが向こうの中華屋で
買い物をしているのを見かけた。やった、一緒にご飯
食べる人がいたと思い、トレイを持ってそっちに移ろうと
したら、そこにはジャッジの人たちが4人くらいいて、
椅子のないカウンターにぎっしり埋まって食べていた。
なんだか面白くなってしまうくらいの疎外感。
この旅の中で、この瞬間が一番メランコリックだった。
かといって、それがイヤだったわけではない。
旅に出ると、普段の暮らしの中ではあまり感じない
感情の浮き沈みが激しくて、「自分はこんなことも
思うのか」みたいな面が、すごく面白い。
しんどかったり悲しかったりするのも、それはそれで
旅の醍醐味。
サラダを食べていたらやたら寒くなってきてしまう。
店もどんどん閉まっていく。
21時すぎに帰る。
絵ハガキを書いて、写真を整理して、23時半就寝。
この日の支出:
蝋燭1ユーロ
ノートルダム宝物庫見学料3ユーロ
オルセー入館料7.5ユーロ
昼ご飯13ユーロ+アイスティ不明、チップ込み18ユーロ?
(ここだけレシートがない……)
オルセーお土産35ユーロ
夜ご飯11.5ユーロ
7:40起床、8時過ぎにホテルの朝食バイキングへ。
いろんな種類のパンと、いろんな種類のヨーグルトと、
いろんな種類のチーズがある。また、皮付きのオレンジ・
ブドウ・リンゴ・バナナなどの果物と、小瓶に入ったジャム。
しかしおかず的なものは全然なく、申し訳程度に一種類の
ハムとゆで卵作り器があるのみ。
お湯の中に、小型お玉に載せた卵を各自浸けておく仕組み
だったが、どれくらい入れておけばいいのかとか詳細が
不明だったのであきらめた。
飲み物はコーヒーはもちろん、ティーバッグがいろいろ。
コーヒーメーカーの、黒っぽいカップの絵と白っぽいカップの
絵が描いてあるボタンのうち、白っぽいほうをミルク入りかと
思って押したら、カップ半量のエスプレッソだった。
黒いほうのボタンはダブルのエスプレッソなのだろう。
フロマージュブランと書いてあるヨーグルトを食べたら
いかにも無糖無脂肪という味だったので、缶詰のフルーツ
ポンチにかけてみたらちょうどよかった。
朝食の部屋にどんどん人がやって来て、最終的には
大混雑になったが、全員白人だった。
このホテルが日本のガイドブックに載っていないからか。
9時に食事を終え、日焼け止めを厚めに化粧して、10時に
ホテルを出る。今日は外歩きで観光の日と決めてある。
まずルーブルの北側から東端まで歩いて、セーヌ川に出る。
途中で、古びた立派な教会を見つける。
ガイドブックによるとサン・ジェルマン・ローセロワ
教会というところらしいが、観光地っぽくはなかった。
もしかして開いてるかな、と恐る恐るドアを押したら
開いていた。中はほぼ真っ暗、人もほとんどいない。
とても静かで、足音が響き、荘厳な雰囲気。
1ユーロで蝋燭を買い、火を灯そうとする。
ほかに1本だけついている蝋燭があったので、そこから
火を移そうとしたら、失敗して消えてしまった……。
するとそこへ観光客とおぼしき白人の老婦人が2人。
「火をお持ちですか」と聞いたら、ハンドバッグから
探し当てたマッチで火をつけてくれた。
古い祭壇やステンドグラスをひとわたり見て、真ん中の
椅子にしばらく静かに座ってもみた。
10時の鐘が鳴っていた。いい時間だった。
一部工事中のポン・ヌフを渡り、シテ島に入る。
セーヌ川は泥の色をしていて、寒々しかった。
なんとなく人の多いほうへぶらついていく。
真ん中に大きな建物(最高裁判所だった)があって、
それをぐるっと回ると地下鉄の駅。広場に植木市がある。
さまざまな庭の飾り物やクリスマスオーナメントを見る。
アメリカっぽくない、美人な妖精の置物がいろいろあって
気に入ったんだけど、持って帰ったら絶対壊れるだろう。
第一の目的地、ノートルダム大聖堂に到着。
入り口の前に巨大なクリスマスツリーが立っている。
さすがに人だらけで、いかにも観光地ふう。
入り口の列に並ぶと、「中では飲食やフラッシュ撮影禁止」
といった注意書きが貼り出してあるのだが、そこに各国語で
「Welcome」と書いてある。日本語は「よこそう」。
「ようこそ」と正されている掲示も1か所だけあったが、
あとはみんな「よこそう」だった。
中はたいへん広いが、人が多くバシャバシャフラッシュを
たきまくっているし、ツアー客に解説をしているガイドも
いるしで、気になって仕方がない。
ちょっと祈りの場所という雰囲気ではなかった。
でもバラ窓は素晴らしかった。
残念ながらコーヒーと腹痛との因果関係が見られ、少し
お腹が痛かったのでしばらく座って休む。
「宝物庫」という表示があったので、入場料3ユーロを
払って入ってみる。たいへん豪華な杖やら儀式道具、
聖人の骨などを収めた豪華な箱、見事な装丁の本などなど。
ぼろぼろの手袋を、たいへん立派なガラスの箱に収めた
ものもあったが、きっと由緒正しい手袋なのだろう。
大聖堂を出て、裏側に回る。ゴシックの聖堂って夜に
見たら相当不気味だろうなあ。
サン・ルイ島へ渡る橋の上で、ジャズの演奏に
人だかりができていた。
公園で日本人修学旅行生の群れとすれ違った。
11:45に鐘が鳴り、12時にも鳴った。
アルシュヴェシェ橋を渡って反対の岸へ。
河岸に緑の箱が並び、古本と絵ハガキと絵を売っている。
ブキニスト、というらしい。
絵ハガキを少し買い、ガーゴイルの置物がちょっと
ほしくなるが、値段を見てあきらめる。
あと、ここではやたらヌードの絵ハガキを売っていた。
道路の反対側には、カフェや謎の工芸品を陳列した
画廊のような店が建ち並ぶ。
いろんな形の鍵かけをずらっと展示した文房具屋があって
面白いなと思って通り過ぎたが、あとで調べたら有名な
お店だったようだ。
あと、池澤夏樹が書いていた、本の装丁屋とおぼしき
店も見つけた。自分で、好きな本のページ部分だけを
持ち込み、好みの革や模様を選んで、自分だけの本に
装丁してもらい、コレクションするというもの。
そういう高尚な趣味に憧れる。
建物の角を過ぎるといきなり金ぴかの建物が現れたり
(フランス学士院)、すばらしく絵になるトンネルがあったり、
安っぽいアパートの裏手にボードレールの像があったりした。
かなり長いこと川沿いを歩き続ける。足が疲れてもう
歩きたくない、でもどこかに入って何か食べたいというわけ
じゃないし、どうしようか……と悩みながらだらだら歩く
うちに、はるか遠くにガラスの立派な建物が見えてくる。
あれがオルセー美術館か、遠いなあ……と途方にくれつつ
なおも歩いていたら、13時前ごろ、ひょっこり左側に
「オルセー美術館」の看板が出現。
外装工事をやっていたせいで、この建物がオルセーだとは
気づかずに歩いていた。
勘違いしたガラスの建物はグラン・パレ国立ギャラリー。
外で少し並び、中でもチケットを買う列に並ぶ。
13:15ごろ入り、歩き疲れているため途中で何度も
座って休みながら、中央の吹き抜けを通って上へ向かう。
オペラ座の断面やミニチュアの町並みも良かったが、
ここではアール・ヌーボーの部屋が一番面白かった。
少し前に国立博物館を見ていたから、なるほど磁器や
細工物の手法は同じだけれど、明らかにこちらのほうが
デザインに華があるなあとか、日本のものがフランスに
わたってどんなふうに変化したかわかるのが面白い。
シロクマは良い熊だと思った。
ロダンの門はかなり不気味だった。
スーラの絵は、サーカスのやつ以外小さいのに驚いた。
モネの睡蓮の絵が三枚並んだところの椅子で20分くらい
ぼーっと座って通り過ぎる人を眺めていた。
最上階に近いあたりにレストランがあり、行列ができていた。
さらにその上に「ファーストフードショップ」があり、
各自サンドイッチなどをトレイに取ってそのへんの
カウンターで立ち食いする仕組みだった。
あまり変わりばえのしないサンドイッチばかりで、
食べたいものがなかったので、エスカレーターを
降り始めたら、豪華な内装のレストランがあった。
ここにはあまり人が並んでいなかった。
メニューもそんなに高くなさそうだったので、即並ぶ。
こうして昼ご飯にありついたのは15時ごろ。
いろいろなメニューの中で、少し安い「今日のスペシャル」
を訊ねたらサーモンだというので、それにする。
あとコーヒーは鬼門なのでアイスティを頼む。
しかしこのアイスティは「薄……すっぱ……苦」という
感じで、あまりいただけなかった。
サーモンのムニエルはたいへん柔らかく、ポテトと葱の
ような野菜をソテーした付け合わせがとっても美味しい。
フランスに来て今までで一番美味しかったのが、この
野菜といっても過言ではない。
パンは固くてむしるのが大変だった。
会計を頼んだが、カードを出して待っていてもなかなか
取りに来てくれないので、しかたなく現金をテーブルの
上に放置して帰った。
食べながら、「一緒に『おいしいね』とか『きれいだね』
とか言い合える相手がほしいなあ」と思ってしまう。
昨日の夜、みんなでルーブルを回ったのがやたらと
楽しかったんだよね。突っ込み入れたり自分では気づか
ないことを指摘してもらったり、感想を言い合うことが。
もちろん、他人と一緒に行動すると自分はもっと見たい
のに先へ進まないといけないとか、そういうデメリットは
あるけど、でもやっぱり楽しい。
今まで、自分はどこへでもひとりで行くしひとりで
気ままにふるまうし、一人旅をこよなく楽しめる人間
だという自負があったのだが、なんというか「私も
ヤキが回ったな……」という気分になった。
沢木耕太郎が言うように、「旅をすることは何かを
得ると同時に何かを失うことでもある」のだ。
さて、帰りがけにお土産を買い、ソルフェリーノ橋を
渡ってチュイルリー公園の真ん中を歩き、世界選手権の
会場に16時ごろ到着。
ちょうどフィーチャー席で日本チームが戦っている。
スタンディングを見てみると、今が3回戦目で、
日本が点差をつけてトップに立っているようだ。
テーブルの上に国旗の小さい旗が立っているのだが、
私はそれを見て対戦相手をフランスチームだと思った。
赤青白が縦に並んでいるとフランス国旗だから。
しかし中央でモリカツと対戦しているのはカミール・
コーネリッセン。フランスの人だったっけ……?
そして手前にはジュリアン・ヌイテンが。あれ、2年前
ワールドチャンプになったときはオランダ人だったよね?
いつの間にフランスに移住したんだろう?と思う。
私「ジュリアンって2年前はオランダ人でしたよね?」
格さん「……今もオランダ人ですよ?」
簡単なことで、オランダの旗は赤青白の横縞である。
小旗の布がくたっと垂れて縦縞に見えたというだけのこと。
でも格さんもあとで縦縞になってる旗を見て「なんで
フランスの旗が立ってるんだろう」とおっしゃってた
くらいなので、オランダの旗ってわかりにくいと思う。
今回はウェールズの旗なんてレアなものもよく見たな。
ここまでの日本の試合は、1回戦目でブラジルに勝ち、
2回戦目でポルトガルに勝った。ちなみにポルトガルは
かなりチームロチェのルールがあやしかったらしい。
まあ、ここ以外でやることのないフォーマットだから、
生まれて初めてやるプレイヤーも多いだろうし、
折り返し点がごちゃごちゃになったりするのもわかるが。
日本人は今日みんな観光に行ったとのことで、対戦を見て
いる人はほとんどいなかったんだけど、格さんはずっと観戦
していたという。「唯一チーム戦を見られる機会ですからね」
いわゆる「死んだフォーマット」なので、やり方とか
コツを詳しくレポートに書いてもしょうがない、といえば
確かにしょうがないのかもしれないけど、見ている分には
駆け引きや会話がとても面白いフォーマットだと思う。
日本の強さの理由は、全然チームロチェをやってない
国に比べて、モリカツが過去に練習してきた経験の蓄積が
ものを言っているのだろう。
この日、18時からiPodカラー争奪双頭巨人戦のサイド
イベントがあって、17時から受付をしていた。
出たいなと思っていたんだけど、こっちに来て結局
相方探しを一切しておらず、受付を見に行ったら
すごい大行列。30分ほどで締め切ってしまった。
最終的に120チーム、7回戦になったという。
18時から始まって終わるのが夜中の1時ってこと?
それは出なくて正解だったかも。
さて、日本対オランダ戦に戻ろう。
山本さんが勝ってて、片山さんが《センギアの吸血魔》で
次のターンには勝つ、という場面。モリカツも
勝ちそうなところで、カミール・コーネリッセンが
たまらずIDを申し出てきて、モリカツは承諾。
4回戦目。
日本はさっきのIDですでに決勝進出を決めており、
オランダとポルトガルの対戦で勝ったほうが相手になる。
日本の相手はフィンランド。
ドラフトを見ていた格さんによると、日本側のカードの
出が良く、相手はかなり暗い顔になっていたらしい。
そこで日本チームは、フィンランドに勝ちを譲った。
これで相手の賞金はけっこう上がったはず。
日本にとっては何の得も損もないので、どうせなら
「恩を売っとこう」ということらしい。
「負けたらかっこ悪いけど、コンシードならカッコイイ」
オランダ対ポルトガルのフィーチャーマッチを見る。
カミールとジュリアンが勝ったが、もう1つの対戦は
途中でヘッドジャッジにポルトガルのプレイヤーが
呼び出され、そのままいつまでも帰ってこない。
オランダ勝利という決着がついたあとでようやく戻って
きたが、そのままカードを片付けていなくなってしまった。
あとで、そのポルトガルのプレイヤーがチートでDQPに
なったと知る。ホント多いな、今回は。
ともあれ、これで明日の決勝は日本対オランダとなる。
オランダは大会前から本命と言われていたので、
相手に不足はない。
このフィーチャーを見ているときに日本人プレイヤーが
ぞろぞろと観光から帰ってきた。凱旋門を見に行ったが、
すごく並んでいて上にはのぼらなかったという話をきく。
あとこの日、正式にレベル3のポイントが20から18に
引き下げられるという発表があり、大勢が喜んでいた。
今夜も晩ご飯を食べに行けそうな相手が見つからない。
20時すぎ、フードコートに行き「マラケシュ」という
エスニック料理の店で、サラダ4種類の盛り合わせと
エビアンのペットボトルのセット、10.5ユーロと
いうメニューを頼む。
トマトとキュウリのサラダ、トマトと玉ねぎのサラダ、
ツナとコーンとタケノコみたいな野菜のサラダ、
ニンジンのカレー風煮の4種類を選ぶ。
どれにもオリーブがたっぷり入っている。
パリに来てからあまり野菜を採れていなかったが、
ここで一気に補充した。
食べながら、昨夜ルーブルの帰りにみんなと別れた
ところが分かれ道だったのかなあ、などと考える。
なんとなく、子どものころから自分に常について回る
「結局どこにも所属できない」この感覚。
ポルトガルのカルバルホが同じく1人で晩ご飯を食べて
いるのを見て、明日個人戦決勝に出るのに調整相手とか
いないのかな、と少し哀れを誘った。
食べていたらジャッジの金澤さんが向こうの中華屋で
買い物をしているのを見かけた。やった、一緒にご飯
食べる人がいたと思い、トレイを持ってそっちに移ろうと
したら、そこにはジャッジの人たちが4人くらいいて、
椅子のないカウンターにぎっしり埋まって食べていた。
なんだか面白くなってしまうくらいの疎外感。
この旅の中で、この瞬間が一番メランコリックだった。
かといって、それがイヤだったわけではない。
旅に出ると、普段の暮らしの中ではあまり感じない
感情の浮き沈みが激しくて、「自分はこんなことも
思うのか」みたいな面が、すごく面白い。
しんどかったり悲しかったりするのも、それはそれで
旅の醍醐味。
サラダを食べていたらやたら寒くなってきてしまう。
店もどんどん閉まっていく。
21時すぎに帰る。
絵ハガキを書いて、写真を整理して、23時半就寝。
この日の支出:
蝋燭1ユーロ
ノートルダム宝物庫見学料3ユーロ
オルセー入館料7.5ユーロ
昼ご飯13ユーロ+アイスティ不明、チップ込み18ユーロ?
(ここだけレシートがない……)
オルセーお土産35ユーロ
夜ご飯11.5ユーロ
パリ旅行記4日目
2006年12月13日■12月1日(金)大会3日目 エクステンデッド
7:30起床。
一昨日買った絵ハガキを放置していたので、朝に書く。
この時、外の駐車場で、一時駐車中の邪魔な車のせいで
自分の車が出せず、ブザーを鳴らしまくり怒りまくって
いる女の人がいた。
朝方少しお腹が痛かった。コーヒーの飲みすぎか?
それとも硬水ばかり飲んでいるからだろうか。
9時にホテルを出る。郵便局を探してオペラ座方面へ。
地図が正しいとすればこのあたりにあるはずだ、と目星を
つけた通りがやたら細くて薄暗い雰囲気だったので不安に
なり、もう一本向こうの通りへ進んだら道に迷った。
ぐるっとあたりを一周して、元のところに戻ってきた。
オペラ座界隈は日本食の店が非常に多く、焼肉・うどん・
お好み焼きなど、なんでもある。「京子」という名の
食材店には見慣れたお菓子なども並んでいた。
ちなみにフランスにもグリコのポッキーがあるのだが、
名前は「Mikado」に変わっている。
郵便局は子どもが道に並んで待っている学校の隣にあり、
中はがらんとしたコンクリ打ちっぱなしで、いかにも
「お役所」という雰囲気。
切手は自販機で買えると本に書いてあったので、そうする。
「切手を買う」と「郵便を送る」のボタンがあったので、
後者を選ぶ。すると「上の秤に手紙を載せよ」と出る。
ハガキをぱらっと置いて、行き先を設定すると、料金
0.85ユーロと出る。小銭のコインをちまちま入れると、
0.85ユーロと印刷したシールが1枚ぺろんと出てきた。
ただ、でかくてハガキに貼るのに苦労した。
次は切手を買ったほうがいいだろう、と思う。
というか、まだ追加で絵ハガキを書く予定があったので
その時買っておけばよかったんだけど、小銭がなかった。
自販機ではお札は使えないっぽい。
大通りに戻り、モノプリ(スーパー)から一本通りを
はさんで向かいにあるカフェに入る。
朝ご飯代わりにタルトタタンとカフェ・クレームを注文。
カードで払おうとしたら「現金はないの?」と言われたが、
意味がわからないフリをしてカードで払った。
ちなみにタルトタタンというのはアップルタルトの逆さ版。
パイ皮を敷いた上にリンゴを載せて焼くのではなく、
リンゴを敷き、パイ皮を載せて焼いたものをひっくり返す。
キャラメルの焼き味がついていて、とても美味しい。
超甘いので、コーヒーがないととても食べられないけど。
窓際の席がけっこうスースーするので、すぐ冷めてしまう。
フランス人は猫舌だからちょうどいいのかも。
外を眺めていると、すごく素敵なコートを着た女性が
よく通る。ロングコートって温かい東京ではなかなか
着ないからな。
そういえばジャッジの金澤さんが、「パリでは、若い
女性がきれいなのは当然として、ある程度の歳の女性も
迫力があってとてもカッコいい」と感心していた。
しかし、パリの街並みは本当にすごい。
なんでもないような路地に素晴らしい銅像があったり、
美しい重厚な門の後ろに趣のある中庭が見えたり……
これがヨーロッパの歴史ある街というものなのか。
これに比べると日本の街並みは本当に乱雑で汚いよなと
思いつつ、いや、生け垣の向こうに苔むした庭石や鯉の
いる池が見えたり、ふとした道の脇に供え物の置かれた
お地蔵様があったりするのが、日本ならではの情緒ある
街角というものではないかと思い直す。
価値観の問題だ。
オペラ・ガルニエの前まで歩く。
「オペラ座の怪人」が住んでいた立派な建物だが、正面が
工事中で見栄えが悪かった。中の見学料は7ユーロ。
7ユーロ払えばオペラの一番安い当日券が買えてしまう
ので、少し入るだけなのに7ユーロはもったいなあと思う。
オペラ座には入らず、帰り道にモノプリに行く。
お土産用の歯磨き粉を探す。
素敵なカジュアル服や下着やマフラーなども売っていて
興味はあったが、とにかく高い。これなら日本で探した
ほうが断然安いので、無視。
食料品売り場などを回って、お昼ご飯にパスタサラダと
カレー風味のトルティーヤを買う。
レジでは、自分の物を置いてから「次の人はここから」
という仕切り板を置く、と本で読んだとおりだった。
レジのおばさんがとても悠長に小銭の追加をしていて、
しばらく待たされた。
買い物袋を提げて会場に到着したのが11:30ごろ。
フランスのJonathan Rispalとポルトガルの
ティアゴ・チャンのフィーチャーを見る。
みんなニヤニヤして見ているRispalのデッキは、《卵》を
初めとしたアーティファクトを出しまくりドローしまくり、
《水蓮の花》からマナを出し、《作り直し》で《第二の
日の出》を取ってきてアーティファクトを全部戻し、
《妖術師のガラクタ》で《第二の日の出》をライブラリー
に戻し、1人で10分以上ぐるぐると回し続けたあげく
最後はストームで勝つというもの。
見ていて面白いし、こういうデッキがデザインされるのは
すごいことだと思うんだけど、彼はこういうデッキを使う
わりには迷いすぎ、間違えすぎでちょっとイライラする。
もっと使い慣れて来てほしい……。
プレイマットの一番手前にある色マナのシンボルが、
もっとも有効に活用されている場面だった。出た色の
マナに合わせて、シンボルの上にグラスカウンターを置き、
《卵》でマナの色が変わるたびにスイスイと動かしていく。
延長ターンに入ってからも1人で15分くらい回し続けている。
一度ディスカードをし忘れ、続いてライブラリートップを
床に落っことして、警告を2つもらった。
ティアゴも何やらブツクサ言ってる。
途中で、「ライブラリー全部を引ききらせるだけの
カードが俺の手札に揃ってるよ」と言うが、ティアゴは無視。
あまりに時間がかかるのでついにヘッドジャッジも来た。
もう1、2サイクル繰り返してやっと片がつく。
勝った瞬間、ものすごく可愛い巻き毛の美少年(プロツアー
神戸の時にも見かけた)がぴゃーっと走ってきてRispalの
首っ玉に抱きついた。か、カワイイ。
このとき、突然「マジック(手品のほう)に興味ありませんか?」
と言いながら私の目の前に男の人が現れ、見事な手つきで
トランプをシャッフルして見せた。手品に気をとられている
スキに相棒がスリを働くか、でなくともチップをせびられる!
とバリバリ警戒して、「いえ、今仕事中なんで」と断る。
そしたら、そのあとフランスの取材の人が手品に付き合っていて、
そんなにヤバイ人というわけでもなかったようだ。
まあ警戒しておくにこしたことはないよね。
14ラウンド目の、ローリーさんとRispalのフィーチャー
マッチはけっこうしっかり見ていた。
カバレッジ、というほど読みやすくはまとめられない
けれど、試合の経過を書き出してみよう。
藤田のデッキは青入りのボロス、Rispalは「Sunny Side up」。
藤田先攻。
相手はコンボデッキ、という認識があったようで
「コンボデッキなんだよね?」と話しかける。
「でも日本製のコンボデッキじゃないんだよ!」と
熱心に主張していた。
1ゲーム目
1ターン目
藤田、《真髄の針/Pithing Needle》で《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》を禁止。
Rispal、《ダークウォーターの卵/Darkwater Egg》を設置。
2ターン目
藤田、《サルタリーの僧侶/Soltari Priest》を召喚。
Rispal、《彩色の宝球/Chromatic Sphere》を追加。
3ターン目
藤田、《僧侶》で攻撃→Rispalライフ18
Rispalのアップキープに《氷/Ice》で《島》をタップ。
4ターン目
藤田、《僧侶》で攻撃→Rispalライフ16
さらに《針》を追加で2つ設置する。指定はすべて《呪文爆弾》。
5ターン目
藤田、《僧侶》で攻撃→Rispalライフ14
《粗石の魔道士/Trinket Mage》で赤のアーティファクト土地を持って来る。
Rispalはここまで土地を置くのみ。
6ターン目
藤田、《稲妻の天使/Lightning Angel》を召喚し、フルアタック→Rispalライフ7
このままなら次のターンに勝利する。
ここでRispalが動き始める。
ライブラリーから《睡蓮の花/Lotus Bloom》を《作り直し/Reshape》で取ってくる。
《彩色の宝球》でドローし、2つ目の《睡蓮の花》を取ってくる。
《睡蓮の花》からマナを出し、《ダークウォーターの卵》を生け贄に捧げてドロー。
《第二の日の出/Second Sunrise》を撃つところまでたどりつき、《睡蓮の花》が並ぶ。
「おもしろい」とつぶやく藤田はすっかり見物モード。
《妖術師のガラクタ》で《第二の日の出》をライブラリーに戻し、墓地がたまってきたら《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》でドロー。
Rispalはライフ記録用紙に何かいくつも棒を引いている。指差す藤田に向かって、「ストームの数だよ」と言う。
そういうことか、とライブラリーを数え始める藤田。そして興味を失ったかのように、隣で対戦している大磯正嗣のゲームを眺め出す。
しばらくして十分な数のストームがたまったことを確認すると、藤田は「きっついなコレ……」と言いながらカードを片付け始めた。
藤田0-1Rispal
藤田はサイドボードをしながら、「《針》で禁止するのは、《呪文爆弾》じゃなくて《妖術師のガラクタ》か《セファリッドの競技場》だった」とRispalに話しかける。
2ゲーム目
藤田が、サイドインした《紅蓮光電の柱/Pyrostatic Pillar》を2ターン目に張ると、Rispalはちょっといい顔になる。
次いで3ターン目には《翻弄する魔道士/Meddling Mage》で《第二の日の出》を禁止し、さらに《真髄の針》で《呪文爆弾》を禁止する。
しかし返しでRispalは《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》をX=2で設置。渋い表情の藤田。
4ターン目
藤田、《翻弄する魔道士》で攻撃→Rispalライフ12
Rispal、《爆薬》を起動して《翻弄する魔道士》と《紅蓮光電の柱》を流す。
5ターン目
藤田、《粗石の魔道士》で《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》を持ってくる。
6ターン目
藤田、《粗石の魔道士》で攻撃→Rispalライフ10
さらに《翻弄する魔道士》、《銀騎士/Silver Knight》を召喚。
7ターン目
藤田、3体で攻撃→Rispalライフ4
また次のターンで勝利できるところまで来た。
返しでRispalは《セファリッドの円形競技場》を取ってくるが、まだスレッショルドしていない。
マナ基盤を整えるのにしばらく時間とカードを使い、墓地がたまったところで3枚ドロー。藤田には手出しができない。
ドローした手札を見ながらしばらく計算しているRispalだが、サイクルをスタートするにはカードが足りず、投了。
藤田1-1Rispal
3ゲーム目
Rispalは1ターン目に《睡蓮の花》を待機する幸先の良いスタート。
しかし藤田も2ターン目に《銀騎士》、3ターン目に《粗石の魔道士》から《トーモッドの墓所》。
4ターン目
藤田、2体で攻撃→Rispalライフ14
さらに《真髄の針》で《円形競技場》を禁止。
しかし返しにX=0の《仕組まれた爆薬》で《トーモッドの墓所》が流れる。
5ターン目
藤田、追加した《銀騎士》とともに攻撃→Rispalライフ8
6ターン目
Rispal、《睡蓮の花》を《作り直し》で取ってきて《第二の日の出》……最初はわずかなマナしか出ないが、徐々に増えていく。
しばらくして藤田の《真髄の針》が《古えの遺恨/Ancient Grudge》で破壊されてしまう。
しかし《第二の日の出》でRispalのアーティファクト群が場に出るのに合わせて、藤田の墓地からも《真髄の針》が場に戻ってきた!
Rispalは一瞬固まり、両手で顔を覆うが、めげずにドローサイクルを繰り返す。
《妖術師のガラクタ》は何も指定しなくても大丈夫なのか、ということを確認するため、ジャッジのPDAを覗き込んだりも。
Rispalはジャッジにしきりに「早くプレイしろ」と急かされながらついに時間いっぱいを迎える。
《古えの遺恨》のフラッシュバックも使い、延長に入ったターンでなんとか回しきった。
藤田1-2Rispal
いつの間にかもう16時すぎ。やっと昼ご飯を食べる。
スモークサーモンのパスタサラダで、おいしかった。
三原さんのCALの回しっぷりはたいへん堂に入っている。
流れるような手さばき。
やっぱり自分のデッキはこれくらい使いこなせるように
ならなくちゃなぁ、と思う。
最終結果を決める18ラウンド目を迎える。
モリカツは無事IDできて、ベスト8進出決定。
今日全勝の小倉さんは、勝てば目がある。
三原さんはIDすれば確定、対戦相手はIDだとワンチャンス
落ちる可能性がある。
対戦相手のアメリカ人とさんざん計算したり
「あっちはガチってるよ」という情報を得たりしつつ、
最終的に向こうがIDを申し出て受けた。
ローリーさんは残念ながら目がなくなったが、フィーチャーで
勝ってレベル3になれたらしい。
小倉さんはさくっと2連勝。これで8位か9位のどちらか確定。
日本選手権とThe Finalsで9位を取ったことがあるので、
9位コレクターになっちゃうかも、という話をしていた。
18時に終わり、ルーブルの夜間拝観に便乗させてもらう。
ルーブルは水曜と金曜は21:45まで空いていて、18時から
入れば、いつもは8.5ユーロのところ6ユーロですむのだ。
ただ、その前に順位の結果発表をみんなで待つ。
その間に、以前大阪にしばらく滞在していたことがある
というイギリス人プレイヤーと話す。眼鏡をかけ、イギリス
というより少しラテンっぽい雰囲気のある優男ふう。
けっこう日本語ができる。半年くらい日本のあちこちを旅して
いたそうで、「九州はきれいだった」と言っていた。
あと、近くで日本人たちが遊びで対戦している様子を見て
彼「日本人は《けちな贈り物》が好きですね〜」
私「ドロー大好き、ブルー大好きですからね」
彼「そういえば、藤田(剛史)さんが最後のフィーチャー
マッチで、ボロスデッキなのに《マナ漏出》を撃ったときは
盛り上がりました」という話をする。
ベスト8の発表で、「そして8位は……またもやFrom Japan!」
というアナウンス。オポ0.2%差で滑り込み成功!
ローリーさんのナイスアシスト、という説もあり。
ベスト8のデッキリストが出て、ナシフは「モリカツが
優勝する」と断言したらしい。「僕のデッキは彼以外には
勝てるけど、モリカツ相手では無理だろう」とのこと。
ジョン・フィンケルのように、団体戦と個人戦をともに
優勝するという勇姿が見られるかも、と期待がかかる。
いよいよ18:30、ルーブルへ出発。メンバーは計6名。
会場を出て、逆さピラミッドの広場を横断すると、まさに
すぐそこが美術館の入り口。荷物を金属検知器に通し、
6ユーロの券を自販機で買うのにひと悶着。
天井を見上げるとガラスのピラミッドを通してライト
アップされた建物が見え、たいへん美しい。
射場本さんがだいたいの見学コースを決めてくれて、
リシュリュー翼から彫刻コーナーに入る。
ひとしきり、「黒い彫刻はチョコレートのお菓子に見える」
とか「なんで兜かぶってるのに裸なの?」という素朴な
疑問とか、いろいろと突っ込みを入れながら回る。
ペルシャ彫刻だったかな、みぞおちで両手を重ね、首が
落とされた等身大の石像がたくさんあるコーナーで、
首だけ出して写真におさまる人々が非常にいい絵だった。
あと、中世ファンタジー的な剣やキリスト教美術が
興味深く、中でも一番気に入ったのはクリスタルと宝石を
ふんだんに使って作られたモノトーンのチェスセット。
素晴らしく綺麗だった。欲しいー!!
エスカレーターを上がって、ルーベンスの大広間に出る。
ルーベンスの巨大な絵が四方に巡らされた明るい部屋で、
一気に広がる視界にすごく感動した。
「パトラッシュ、僕はもう疲れたよ」と言ってネロ少年が
死ぬ場面で教会にかかっていたのはルーベンスの絵だと
いう薀蓄を聞き、ソファーで寝転がって見る。
そこからどんどん絵の間を進み、途中はぐれたりしつつ、
ラ・トゥールを目指す。
時代的にものすごく色の暗い絵ばかり続くところもあり、
様式化されているものばかりで退屈なあたりもある。
ラ・トゥールまでの道のりはたいへん長く、みんな歩き
疲れて「正直もう何の感動もない」とか失礼な発言を
しつつ、ひたすら進む。それにしても広い……。
そしてついにラ・トゥールの部屋にたどりつく。
「いかさま師」という、ドラフトを横目で覗き込んでいる
ような絵をみんな見たい見たいと望んでいたのだ。
「大工の聖ヨセフ」も「悔悛するマグダラのマリア」も
あるが、「いかさま師」は見当たらない……。
そしてなんか、壁にやたら広い空白がある……。
というわけで目当ての「いかさま師」は貸し出し中だった。
※ところで今調べたら、ラ・トゥールの「聖トマス」を
国立西洋美術館が所蔵している。
そこから今度は人通りの多いドゥノン翼に進み、
アポロン・ギャラリーを通る。天井画、壁画、陳列物の
すべてが豪華絢爛極まりなく、情報量が多すぎてどこを
見ていいかわからない。薄暗いライトアップもたいへん
趣があって、昔の蝋燭しかなかった宮殿の栄光をしのばせる。
昼だと外光が明るく入るからこういう趣は出ないだろう、
夜間拝観で来て良かった、と思う。
奥には、ダイヤモンドを2500個とか、ガラス玉にしか
見えないほどの巨大な宝石を散りばめた王冠やアクセサリー
があって、これらもすごかった。
ミロのビーナスは一緒に記念写真を撮ったが、あまり感動
しなかった。部屋が広すぎてオーラが薄れるのか?
よく見知っているだけに、「ふーんこれが本物か」という
だけの気分になってしまうのか?
大礒さんがビーナスの背中を写真に撮っているのを見て、
名案だと私も写した。確かに背中から見ることは普通ない。
背中にもしっかり筋肉がついていた。
エジプトではツタンカーメンの仮面の裏側を撮ったっけ。
ミロのビーナスは感動うすかったが、階段を降りて
サモトラケのニケがある踊り場に出たときはすごく感動した。
メチャメチャかっこいい。大きいし、風を感じる。
これは手足や顔があろうがなかろうが関係ない、と思った。
鍛冶さんが「今まで見てきた物の中でこれが一番すごい」と
言っていて、わが意を得たりと嬉しくなった。
そこから「写真撮影禁止ゾーン」に入る。
ダ・ヴィンチ・コードに出てきた寄せ木細工の床を踏み、
「岩窟の聖母」を経て、「モナ・リザ」の部屋へ。
ガラスで覆われ、木とロープの二重の柵が張られていた。
こっちもなるほど、とは思えどそんなにオーラは感じなかった。
モナ・リザは複製を展示してあるという噂があるけど、
ミロのビーナスも複製だったんじゃないの?
やっぱり何かあったときのことを考えたら、黙って複製を
展示しておいたほうが安心だよね……。
ほかに見た中で面白かったのは、背景に変なスペースが
空きすぎている地味なカメレオンの絵とか、手を描く
練習でもしていたと思われる手だらけの絵とか。こんな
ものも天下のルーブルにあるのか、という感じで面白い。
すっかり歩き疲れて21時に退出。
みんなはスタバにでも行って休もうと行っていたが、
私は会場に戻ってマローのクイズショーへ。
2年前のサンフランシスコで見たのと同様、3人でチームを
組み、マローの出すけっこう難しいクイズに答える形式。
2チームで解答用紙を交換して採点し、勝ち負けを決める。
AからZまで、それぞれのアルファベットで始まるタイム
シフトカードの名前を羅列せよとか、これから言うカードの
クリーチャー・タイプを全部書けとか、そういう問題。
問題を聞きながら、今日一日の歩き疲れが出て居眠りする。
目が覚めたらもう日本人も誰もいない。もう22時で、
フードコートも開いていない。
ホテル・ド・ルーブルの隣のラーメン屋「ひぐま」は
開いていてけっこう客が入ってたけど、わざわざパリまで
来て7ユーロもするラーメンを食べるのはさすがにないと
思い、明日の朝ご飯をしっかり食べることに決めて寝る。
23時すぎ、すきっ腹を抱えて就寝。
この日の支出:
タルトタタンとカフェ・クレーム11ユーロ
絵ハガキの送料:1.7ユーロ
モノプリで買い物:13.14ユーロ
うちパスタサラダは3.65ユーロ
ルーブル入館料6ユーロ
7:30起床。
一昨日買った絵ハガキを放置していたので、朝に書く。
この時、外の駐車場で、一時駐車中の邪魔な車のせいで
自分の車が出せず、ブザーを鳴らしまくり怒りまくって
いる女の人がいた。
朝方少しお腹が痛かった。コーヒーの飲みすぎか?
それとも硬水ばかり飲んでいるからだろうか。
9時にホテルを出る。郵便局を探してオペラ座方面へ。
地図が正しいとすればこのあたりにあるはずだ、と目星を
つけた通りがやたら細くて薄暗い雰囲気だったので不安に
なり、もう一本向こうの通りへ進んだら道に迷った。
ぐるっとあたりを一周して、元のところに戻ってきた。
オペラ座界隈は日本食の店が非常に多く、焼肉・うどん・
お好み焼きなど、なんでもある。「京子」という名の
食材店には見慣れたお菓子なども並んでいた。
ちなみにフランスにもグリコのポッキーがあるのだが、
名前は「Mikado」に変わっている。
郵便局は子どもが道に並んで待っている学校の隣にあり、
中はがらんとしたコンクリ打ちっぱなしで、いかにも
「お役所」という雰囲気。
切手は自販機で買えると本に書いてあったので、そうする。
「切手を買う」と「郵便を送る」のボタンがあったので、
後者を選ぶ。すると「上の秤に手紙を載せよ」と出る。
ハガキをぱらっと置いて、行き先を設定すると、料金
0.85ユーロと出る。小銭のコインをちまちま入れると、
0.85ユーロと印刷したシールが1枚ぺろんと出てきた。
ただ、でかくてハガキに貼るのに苦労した。
次は切手を買ったほうがいいだろう、と思う。
というか、まだ追加で絵ハガキを書く予定があったので
その時買っておけばよかったんだけど、小銭がなかった。
自販機ではお札は使えないっぽい。
大通りに戻り、モノプリ(スーパー)から一本通りを
はさんで向かいにあるカフェに入る。
朝ご飯代わりにタルトタタンとカフェ・クレームを注文。
カードで払おうとしたら「現金はないの?」と言われたが、
意味がわからないフリをしてカードで払った。
ちなみにタルトタタンというのはアップルタルトの逆さ版。
パイ皮を敷いた上にリンゴを載せて焼くのではなく、
リンゴを敷き、パイ皮を載せて焼いたものをひっくり返す。
キャラメルの焼き味がついていて、とても美味しい。
超甘いので、コーヒーがないととても食べられないけど。
窓際の席がけっこうスースーするので、すぐ冷めてしまう。
フランス人は猫舌だからちょうどいいのかも。
外を眺めていると、すごく素敵なコートを着た女性が
よく通る。ロングコートって温かい東京ではなかなか
着ないからな。
そういえばジャッジの金澤さんが、「パリでは、若い
女性がきれいなのは当然として、ある程度の歳の女性も
迫力があってとてもカッコいい」と感心していた。
しかし、パリの街並みは本当にすごい。
なんでもないような路地に素晴らしい銅像があったり、
美しい重厚な門の後ろに趣のある中庭が見えたり……
これがヨーロッパの歴史ある街というものなのか。
これに比べると日本の街並みは本当に乱雑で汚いよなと
思いつつ、いや、生け垣の向こうに苔むした庭石や鯉の
いる池が見えたり、ふとした道の脇に供え物の置かれた
お地蔵様があったりするのが、日本ならではの情緒ある
街角というものではないかと思い直す。
価値観の問題だ。
オペラ・ガルニエの前まで歩く。
「オペラ座の怪人」が住んでいた立派な建物だが、正面が
工事中で見栄えが悪かった。中の見学料は7ユーロ。
7ユーロ払えばオペラの一番安い当日券が買えてしまう
ので、少し入るだけなのに7ユーロはもったいなあと思う。
オペラ座には入らず、帰り道にモノプリに行く。
お土産用の歯磨き粉を探す。
素敵なカジュアル服や下着やマフラーなども売っていて
興味はあったが、とにかく高い。これなら日本で探した
ほうが断然安いので、無視。
食料品売り場などを回って、お昼ご飯にパスタサラダと
カレー風味のトルティーヤを買う。
レジでは、自分の物を置いてから「次の人はここから」
という仕切り板を置く、と本で読んだとおりだった。
レジのおばさんがとても悠長に小銭の追加をしていて、
しばらく待たされた。
買い物袋を提げて会場に到着したのが11:30ごろ。
フランスのJonathan Rispalとポルトガルの
ティアゴ・チャンのフィーチャーを見る。
みんなニヤニヤして見ているRispalのデッキは、《卵》を
初めとしたアーティファクトを出しまくりドローしまくり、
《水蓮の花》からマナを出し、《作り直し》で《第二の
日の出》を取ってきてアーティファクトを全部戻し、
《妖術師のガラクタ》で《第二の日の出》をライブラリー
に戻し、1人で10分以上ぐるぐると回し続けたあげく
最後はストームで勝つというもの。
見ていて面白いし、こういうデッキがデザインされるのは
すごいことだと思うんだけど、彼はこういうデッキを使う
わりには迷いすぎ、間違えすぎでちょっとイライラする。
もっと使い慣れて来てほしい……。
プレイマットの一番手前にある色マナのシンボルが、
もっとも有効に活用されている場面だった。出た色の
マナに合わせて、シンボルの上にグラスカウンターを置き、
《卵》でマナの色が変わるたびにスイスイと動かしていく。
延長ターンに入ってからも1人で15分くらい回し続けている。
一度ディスカードをし忘れ、続いてライブラリートップを
床に落っことして、警告を2つもらった。
ティアゴも何やらブツクサ言ってる。
途中で、「ライブラリー全部を引ききらせるだけの
カードが俺の手札に揃ってるよ」と言うが、ティアゴは無視。
あまりに時間がかかるのでついにヘッドジャッジも来た。
もう1、2サイクル繰り返してやっと片がつく。
勝った瞬間、ものすごく可愛い巻き毛の美少年(プロツアー
神戸の時にも見かけた)がぴゃーっと走ってきてRispalの
首っ玉に抱きついた。か、カワイイ。
このとき、突然「マジック(手品のほう)に興味ありませんか?」
と言いながら私の目の前に男の人が現れ、見事な手つきで
トランプをシャッフルして見せた。手品に気をとられている
スキに相棒がスリを働くか、でなくともチップをせびられる!
とバリバリ警戒して、「いえ、今仕事中なんで」と断る。
そしたら、そのあとフランスの取材の人が手品に付き合っていて、
そんなにヤバイ人というわけでもなかったようだ。
まあ警戒しておくにこしたことはないよね。
14ラウンド目の、ローリーさんとRispalのフィーチャー
マッチはけっこうしっかり見ていた。
カバレッジ、というほど読みやすくはまとめられない
けれど、試合の経過を書き出してみよう。
藤田のデッキは青入りのボロス、Rispalは「Sunny Side up」。
藤田先攻。
相手はコンボデッキ、という認識があったようで
「コンボデッキなんだよね?」と話しかける。
「でも日本製のコンボデッキじゃないんだよ!」と
熱心に主張していた。
1ゲーム目
1ターン目
藤田、《真髄の針/Pithing Needle》で《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》を禁止。
Rispal、《ダークウォーターの卵/Darkwater Egg》を設置。
2ターン目
藤田、《サルタリーの僧侶/Soltari Priest》を召喚。
Rispal、《彩色の宝球/Chromatic Sphere》を追加。
3ターン目
藤田、《僧侶》で攻撃→Rispalライフ18
Rispalのアップキープに《氷/Ice》で《島》をタップ。
4ターン目
藤田、《僧侶》で攻撃→Rispalライフ16
さらに《針》を追加で2つ設置する。指定はすべて《呪文爆弾》。
5ターン目
藤田、《僧侶》で攻撃→Rispalライフ14
《粗石の魔道士/Trinket Mage》で赤のアーティファクト土地を持って来る。
Rispalはここまで土地を置くのみ。
6ターン目
藤田、《稲妻の天使/Lightning Angel》を召喚し、フルアタック→Rispalライフ7
このままなら次のターンに勝利する。
ここでRispalが動き始める。
ライブラリーから《睡蓮の花/Lotus Bloom》を《作り直し/Reshape》で取ってくる。
《彩色の宝球》でドローし、2つ目の《睡蓮の花》を取ってくる。
《睡蓮の花》からマナを出し、《ダークウォーターの卵》を生け贄に捧げてドロー。
《第二の日の出/Second Sunrise》を撃つところまでたどりつき、《睡蓮の花》が並ぶ。
「おもしろい」とつぶやく藤田はすっかり見物モード。
《妖術師のガラクタ》で《第二の日の出》をライブラリーに戻し、墓地がたまってきたら《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》でドロー。
Rispalはライフ記録用紙に何かいくつも棒を引いている。指差す藤田に向かって、「ストームの数だよ」と言う。
そういうことか、とライブラリーを数え始める藤田。そして興味を失ったかのように、隣で対戦している大磯正嗣のゲームを眺め出す。
しばらくして十分な数のストームがたまったことを確認すると、藤田は「きっついなコレ……」と言いながらカードを片付け始めた。
藤田0-1Rispal
藤田はサイドボードをしながら、「《針》で禁止するのは、《呪文爆弾》じゃなくて《妖術師のガラクタ》か《セファリッドの競技場》だった」とRispalに話しかける。
2ゲーム目
藤田が、サイドインした《紅蓮光電の柱/Pyrostatic Pillar》を2ターン目に張ると、Rispalはちょっといい顔になる。
次いで3ターン目には《翻弄する魔道士/Meddling Mage》で《第二の日の出》を禁止し、さらに《真髄の針》で《呪文爆弾》を禁止する。
しかし返しでRispalは《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》をX=2で設置。渋い表情の藤田。
4ターン目
藤田、《翻弄する魔道士》で攻撃→Rispalライフ12
Rispal、《爆薬》を起動して《翻弄する魔道士》と《紅蓮光電の柱》を流す。
5ターン目
藤田、《粗石の魔道士》で《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》を持ってくる。
6ターン目
藤田、《粗石の魔道士》で攻撃→Rispalライフ10
さらに《翻弄する魔道士》、《銀騎士/Silver Knight》を召喚。
7ターン目
藤田、3体で攻撃→Rispalライフ4
また次のターンで勝利できるところまで来た。
返しでRispalは《セファリッドの円形競技場》を取ってくるが、まだスレッショルドしていない。
マナ基盤を整えるのにしばらく時間とカードを使い、墓地がたまったところで3枚ドロー。藤田には手出しができない。
ドローした手札を見ながらしばらく計算しているRispalだが、サイクルをスタートするにはカードが足りず、投了。
藤田1-1Rispal
3ゲーム目
Rispalは1ターン目に《睡蓮の花》を待機する幸先の良いスタート。
しかし藤田も2ターン目に《銀騎士》、3ターン目に《粗石の魔道士》から《トーモッドの墓所》。
4ターン目
藤田、2体で攻撃→Rispalライフ14
さらに《真髄の針》で《円形競技場》を禁止。
しかし返しにX=0の《仕組まれた爆薬》で《トーモッドの墓所》が流れる。
5ターン目
藤田、追加した《銀騎士》とともに攻撃→Rispalライフ8
6ターン目
Rispal、《睡蓮の花》を《作り直し》で取ってきて《第二の日の出》……最初はわずかなマナしか出ないが、徐々に増えていく。
しばらくして藤田の《真髄の針》が《古えの遺恨/Ancient Grudge》で破壊されてしまう。
しかし《第二の日の出》でRispalのアーティファクト群が場に出るのに合わせて、藤田の墓地からも《真髄の針》が場に戻ってきた!
Rispalは一瞬固まり、両手で顔を覆うが、めげずにドローサイクルを繰り返す。
《妖術師のガラクタ》は何も指定しなくても大丈夫なのか、ということを確認するため、ジャッジのPDAを覗き込んだりも。
Rispalはジャッジにしきりに「早くプレイしろ」と急かされながらついに時間いっぱいを迎える。
《古えの遺恨》のフラッシュバックも使い、延長に入ったターンでなんとか回しきった。
藤田1-2Rispal
いつの間にかもう16時すぎ。やっと昼ご飯を食べる。
スモークサーモンのパスタサラダで、おいしかった。
三原さんのCALの回しっぷりはたいへん堂に入っている。
流れるような手さばき。
やっぱり自分のデッキはこれくらい使いこなせるように
ならなくちゃなぁ、と思う。
最終結果を決める18ラウンド目を迎える。
モリカツは無事IDできて、ベスト8進出決定。
今日全勝の小倉さんは、勝てば目がある。
三原さんはIDすれば確定、対戦相手はIDだとワンチャンス
落ちる可能性がある。
対戦相手のアメリカ人とさんざん計算したり
「あっちはガチってるよ」という情報を得たりしつつ、
最終的に向こうがIDを申し出て受けた。
ローリーさんは残念ながら目がなくなったが、フィーチャーで
勝ってレベル3になれたらしい。
小倉さんはさくっと2連勝。これで8位か9位のどちらか確定。
日本選手権とThe Finalsで9位を取ったことがあるので、
9位コレクターになっちゃうかも、という話をしていた。
18時に終わり、ルーブルの夜間拝観に便乗させてもらう。
ルーブルは水曜と金曜は21:45まで空いていて、18時から
入れば、いつもは8.5ユーロのところ6ユーロですむのだ。
ただ、その前に順位の結果発表をみんなで待つ。
その間に、以前大阪にしばらく滞在していたことがある
というイギリス人プレイヤーと話す。眼鏡をかけ、イギリス
というより少しラテンっぽい雰囲気のある優男ふう。
けっこう日本語ができる。半年くらい日本のあちこちを旅して
いたそうで、「九州はきれいだった」と言っていた。
あと、近くで日本人たちが遊びで対戦している様子を見て
彼「日本人は《けちな贈り物》が好きですね〜」
私「ドロー大好き、ブルー大好きですからね」
彼「そういえば、藤田(剛史)さんが最後のフィーチャー
マッチで、ボロスデッキなのに《マナ漏出》を撃ったときは
盛り上がりました」という話をする。
ベスト8の発表で、「そして8位は……またもやFrom Japan!」
というアナウンス。オポ0.2%差で滑り込み成功!
ローリーさんのナイスアシスト、という説もあり。
ベスト8のデッキリストが出て、ナシフは「モリカツが
優勝する」と断言したらしい。「僕のデッキは彼以外には
勝てるけど、モリカツ相手では無理だろう」とのこと。
ジョン・フィンケルのように、団体戦と個人戦をともに
優勝するという勇姿が見られるかも、と期待がかかる。
いよいよ18:30、ルーブルへ出発。メンバーは計6名。
会場を出て、逆さピラミッドの広場を横断すると、まさに
すぐそこが美術館の入り口。荷物を金属検知器に通し、
6ユーロの券を自販機で買うのにひと悶着。
天井を見上げるとガラスのピラミッドを通してライト
アップされた建物が見え、たいへん美しい。
射場本さんがだいたいの見学コースを決めてくれて、
リシュリュー翼から彫刻コーナーに入る。
ひとしきり、「黒い彫刻はチョコレートのお菓子に見える」
とか「なんで兜かぶってるのに裸なの?」という素朴な
疑問とか、いろいろと突っ込みを入れながら回る。
ペルシャ彫刻だったかな、みぞおちで両手を重ね、首が
落とされた等身大の石像がたくさんあるコーナーで、
首だけ出して写真におさまる人々が非常にいい絵だった。
あと、中世ファンタジー的な剣やキリスト教美術が
興味深く、中でも一番気に入ったのはクリスタルと宝石を
ふんだんに使って作られたモノトーンのチェスセット。
素晴らしく綺麗だった。欲しいー!!
エスカレーターを上がって、ルーベンスの大広間に出る。
ルーベンスの巨大な絵が四方に巡らされた明るい部屋で、
一気に広がる視界にすごく感動した。
「パトラッシュ、僕はもう疲れたよ」と言ってネロ少年が
死ぬ場面で教会にかかっていたのはルーベンスの絵だと
いう薀蓄を聞き、ソファーで寝転がって見る。
そこからどんどん絵の間を進み、途中はぐれたりしつつ、
ラ・トゥールを目指す。
時代的にものすごく色の暗い絵ばかり続くところもあり、
様式化されているものばかりで退屈なあたりもある。
ラ・トゥールまでの道のりはたいへん長く、みんな歩き
疲れて「正直もう何の感動もない」とか失礼な発言を
しつつ、ひたすら進む。それにしても広い……。
そしてついにラ・トゥールの部屋にたどりつく。
「いかさま師」という、ドラフトを横目で覗き込んでいる
ような絵をみんな見たい見たいと望んでいたのだ。
「大工の聖ヨセフ」も「悔悛するマグダラのマリア」も
あるが、「いかさま師」は見当たらない……。
そしてなんか、壁にやたら広い空白がある……。
というわけで目当ての「いかさま師」は貸し出し中だった。
※ところで今調べたら、ラ・トゥールの「聖トマス」を
国立西洋美術館が所蔵している。
そこから今度は人通りの多いドゥノン翼に進み、
アポロン・ギャラリーを通る。天井画、壁画、陳列物の
すべてが豪華絢爛極まりなく、情報量が多すぎてどこを
見ていいかわからない。薄暗いライトアップもたいへん
趣があって、昔の蝋燭しかなかった宮殿の栄光をしのばせる。
昼だと外光が明るく入るからこういう趣は出ないだろう、
夜間拝観で来て良かった、と思う。
奥には、ダイヤモンドを2500個とか、ガラス玉にしか
見えないほどの巨大な宝石を散りばめた王冠やアクセサリー
があって、これらもすごかった。
ミロのビーナスは一緒に記念写真を撮ったが、あまり感動
しなかった。部屋が広すぎてオーラが薄れるのか?
よく見知っているだけに、「ふーんこれが本物か」という
だけの気分になってしまうのか?
大礒さんがビーナスの背中を写真に撮っているのを見て、
名案だと私も写した。確かに背中から見ることは普通ない。
背中にもしっかり筋肉がついていた。
エジプトではツタンカーメンの仮面の裏側を撮ったっけ。
ミロのビーナスは感動うすかったが、階段を降りて
サモトラケのニケがある踊り場に出たときはすごく感動した。
メチャメチャかっこいい。大きいし、風を感じる。
これは手足や顔があろうがなかろうが関係ない、と思った。
鍛冶さんが「今まで見てきた物の中でこれが一番すごい」と
言っていて、わが意を得たりと嬉しくなった。
そこから「写真撮影禁止ゾーン」に入る。
ダ・ヴィンチ・コードに出てきた寄せ木細工の床を踏み、
「岩窟の聖母」を経て、「モナ・リザ」の部屋へ。
ガラスで覆われ、木とロープの二重の柵が張られていた。
こっちもなるほど、とは思えどそんなにオーラは感じなかった。
モナ・リザは複製を展示してあるという噂があるけど、
ミロのビーナスも複製だったんじゃないの?
やっぱり何かあったときのことを考えたら、黙って複製を
展示しておいたほうが安心だよね……。
ほかに見た中で面白かったのは、背景に変なスペースが
空きすぎている地味なカメレオンの絵とか、手を描く
練習でもしていたと思われる手だらけの絵とか。こんな
ものも天下のルーブルにあるのか、という感じで面白い。
すっかり歩き疲れて21時に退出。
みんなはスタバにでも行って休もうと行っていたが、
私は会場に戻ってマローのクイズショーへ。
2年前のサンフランシスコで見たのと同様、3人でチームを
組み、マローの出すけっこう難しいクイズに答える形式。
2チームで解答用紙を交換して採点し、勝ち負けを決める。
AからZまで、それぞれのアルファベットで始まるタイム
シフトカードの名前を羅列せよとか、これから言うカードの
クリーチャー・タイプを全部書けとか、そういう問題。
問題を聞きながら、今日一日の歩き疲れが出て居眠りする。
目が覚めたらもう日本人も誰もいない。もう22時で、
フードコートも開いていない。
ホテル・ド・ルーブルの隣のラーメン屋「ひぐま」は
開いていてけっこう客が入ってたけど、わざわざパリまで
来て7ユーロもするラーメンを食べるのはさすがにないと
思い、明日の朝ご飯をしっかり食べることに決めて寝る。
23時すぎ、すきっ腹を抱えて就寝。
この日の支出:
タルトタタンとカフェ・クレーム11ユーロ
絵ハガキの送料:1.7ユーロ
モノプリで買い物:13.14ユーロ
うちパスタサラダは3.65ユーロ
ルーブル入館料6ユーロ
パリ旅行記3日目
2006年12月13日■11月30日(木)大会2日目 ブースタードラフト
7時起床。
8時にホテルを出て、昨日見つけたマクドナルドに行く。
カフェの朝食セットはどこも高いので。
朝マックを食べる。普通のエッグマフィンもあるけど、
フランスらしくパンケーキやデニッシュなどが選べて、
コーヒーとセットで2ユーロ。それに0.95ユーロ足すと
ヨーグルトなんかもつけられる仕組み。
ベーコン入りパンケーキとコーヒーを頼む。
パンケーキは手のひらサイズで、小さかった……。
ちょっと油っぽいけど、味はまあまあ。
コーヒークリームには4か国語でクリームと書いて
あるけれど、オランダ・フランス・ポルトガル・
スペイン語で、英語はない。
数少ない客は、誰もトレイを下げようとしない。
マクドナルド専用ラジオ番組みたいのが流れて
いるんだけど、ジングルの「マクドナルド」が
フランス語発音では「メンドール」と聞こえる。
あとかかってる歌の中で「トレビアン」とか「トワエモア」
と言ってるのが聞き取れた。テレビでも「オスクール」
だけわかった(助けて、の意味)。
しかし、いつでもどこでも、掃除してる人って必ず黒人だ。
フランスでは黒人をよく見かけるけれど、みんな移住者、
出稼ぎ労働者なのか?
会場で黒人のプレイヤーはまったく見なかった。
一瞬だけ2人通ったけど、プレイヤーかどうかは謎。
髪を複雑な編みこみにしたお洒落な2人だった。
9時前に会場に行き、ドラフトを見る。
ドラフト用のパックは、カード15枚を束ねて紙のリボンで
留めたものを3つセットにして、さらに全部を上から紙の
リボンでまとめた形になっている。ドラフト開始時に、
3つのカード束をまとめた紙をはずそうとして、それぞれの
束の紙も一緒に取れてしまい、結果として45枚のカードが
全部ひとかたまりになってしまった人が大勢いた。
おかげでジャッジコール連発。
「上から15枚数えて使え!」と言われていた。
ローリーさんのデッキが強いというので見に行く。
ガブリエル・ナシフとのフィーチャーマッチで、
1本取られているところから見始めた。
2本目、《硫黄破》が見事にハマって(ナシフがうひゃー
って顔をしていた)取り返し、3本目は《突然の俗化》
2枚がずさーっとハマって勝った。
ナシフが「それ、レアだよね?」という感じで何度も
確認していた。
PT神戸の決勝で黒田さんに負けたときのように、静かに
微笑みながら首を振る負けモードを存分に披露していた。
私がナシフのゲームを直接見ているときって、ほとんど
必ず負けている。勝っているのをこの目で見たことが
ほぼない。私から見たら「この人強いの?」って感じ(笑)
ローリーさんに「素晴らしいデッキですね」と声を
かけたら、「ノースキル!」という返事だった。
射場本さんの3戦目延長3分を見ていたが、追加5ターンに
入ったところで《アーボーグの吸魂者》と《心霊破》を
トップデッキし、5ターン目にちょうど相手のライフを
0にして勝っていた。お見事。
格さんと、ヤマショーこと山本さんの試合を見ていて、
山本さんが大学サークルの後輩SS氏にすごく動きが似て
いることに気づく。これで実は軍事オタだったりすると
完璧なのだが……。
山本さんは団体戦の日に日本チームの小旗を持って
歩いているところが、そこらへんの観光客みたいで
とても似合うと言われていた(笑) パスポートを
無造作に胸ポケットに入れているし。
8ラウンド目のフィーチャーを見に行ったら、
ゲイリー・ワイズのテーブルが0-0のままからっぽ。
アメリカのサイドボードの人たちが「またもやDQ!
今度は日本のスズキだってさ」と教えてくれた。
朝に韓国のプレイヤーが4人目のDQPになっているから、
これで5人目。このままの勢いで増え続けるのか……?
9ラウンド目のフィーチャーマッチは、唯一のここまで
全勝であるローリーさんとブラジル人の対戦。
別名「デッキ強い対決」ともいうが、ローリーさんが事故。
「1ゲーム目のラストは、もう少し粘れたよね?」と
サイドボードライターに言われて気づくという場面があった。
さすが元PTチャンプのライターさんである。
中修さんとラファエル・レヴィのフィーチャーも
大変面白かった。
2ゲーム目に、《疫病スリヴァー》をチャンププロックして、
こちらの《吸血スリヴァー》の能力で+1/+1カウンターを
載せてやるという屈辱を受けながら、なぜかそのあと
いつの間にか勝っていた。3ゲーム目は相手の手札が
強すぎて《ベラドンナの暗殺者》が何度も戻ってくるので
さすがにこれは無理だと思ったが、そこから頑張る。
復活させた《エンドレク・サール》を除去され、
二段攻撃の《憤怒スリヴァー》でなんとか生き延びたかに
見えたが、《アーボーグの吸魂者》を出されて終了風味。
しかしそこで《結核》をトップデッキして倒す。
そして、《死胞子のサリッド》がある状態で《サーペイ
ディア諸帝国史》をドロー。ライフは残り2。
出された《マナを間引くもの》を苗木トークンで除去。
レヴィは《奈落を守る者》で墓地から《奈落を守る者》
と《ベラドンナの暗殺者》を戻すが、それもこちらの
《ベラドンナ》で除去と、息もつかせぬ試合展開。
《コー追われの物あさり》が出てまた危なくなるが
これを排除し、ついに反撃を始めるに至る。
しかし《疫病スリヴァー》が出てしまい、残りライフ1に。
《レンの蝋燭》のため残りライブラリーもわずか5枚ほど。
こちらのスリヴァーをサクって《エンドレク・サール》
をフラッシュバックで《戦慄の復活》するが……
レヴィがカードを1枚、ひらりと投げて寄越す。
それをそっとめくってみて、除去だとわかって投了。
サイドイベントの部屋は狭すぎ、人多すぎ。
あと本戦トップ卓のあたりは照明が暗すぎ。
ドラフトの2回目。
今度はコールジャッジが「まず最初に、3つの束をまとめて
いる紙を、とーっても慎重に外してください」と言っていた。
しかしそれでも「ジャッジー」と呼ぶ人がいて笑える。
11ラウンド目、ゲイリー・ワイズが《精神撹乱》を
待機して《拷問台》を張り、楽しそうだった。
とある試合を見ていた時、その奥にいたプレイヤーの尻が
気になってしかたがなかった。
ズボンがズリ落ちた状態で椅子に座っており、
半ケツ状態。こっそり写真も撮ってある(笑)
12ラウンド目の前、モリカツが「ここまで相当苦しい
相手に勝ち続けてきた」という話をしていて、次は
ジュリアン・ヌイテンだという。
「次勝ったら俺絶対ワールドチャンプだよ!」
モリカツ対ジュリアン戦はデッキチェックが入り、
その間に「写真を撮るから腕相撲でもして」と言われる。
モリカツが楽勝。
横の成績表示板を「1-0にしてよ」と主張する。
2日間終わったところで、モリカツ・ローリーさん・
射場本さんが2敗で日本勢トップとなった。
モリカツは《コー追われの物あさり》を《アトランティス
の王》で強化して殴っていた。
ローリーさんは相当押されていた場面から《イクシドロン》
と《大いなるガルガドン》で逆転。
射場本さんは格さんに勝ったあと、明日最低でも3-2-1
必要だが、デッキをどうするかという相談をしていた。
この日、途中から会場内の通路をついたてで仕切っており、
何かなあと思っていたら、ぞろぞろと正装した人々が
やってきた。男性は蝶ネクタイで、女性はきらびやかな
イブニングドレス。高級感あふれるパーティのムードと
世界のオタク大集合といったこちらの世界はあまりにも
かけ離れている。しかしついたて1枚で仕切られ、2階から
向こうが覗き込めてしまうのが面白い。
お互いに怪訝な顔をしてすれ違いながら、20時すぎに撤収。
みんなで晩ご飯を食べに行くというのでついていく。
大所帯になって、メンバーは計8名。
ヴェロ=ドダというレストランへ、20ユーロのコースを
食べに行こうという話が決まっていた。
昨日も行こうとしたのだが、道に迷ったという。
ギャラリー・ヴェロ=ドダというパッサージュ(ガラス
天井のアーケードのようなところ)の中にあるというので、
地図を見ながらそちらへ向かう。
しかし、パッサージュ内の店は全部閉まっていた。
ヴェロ=ドダの前で、メニューと暗い店内を物欲しそうな
顔で覗き込んでいたら、奥からお店の人がいぶかしげな
表情で出てきた。
「わざわざ来たのか、じゃあ特別に開けてやるよ」と
なったら面白かったのになあ。
突き当たりにピザ屋の看板が見え、みんな「正直面倒
だからもうどこでもいい」と言い出し、パッサージュの
入り口にあったカフェに入る。
友晴さんのコミュニケーション能力により、ほとんど
英語の通じないウェイターに「あなたのお勧めを選んで
ください」と伝えることに成功。
黒板に手書したメニューを見せてくれ、「ここからここまでは
オードブル。お勧めはここからここまでのプレート。
私のお勧めはこの肉。あと、これは胃袋。これは脳みそ」
といった感じで説明してくれる。
しかしなかなか要領を得ない。
※このとき、生の肉の実物を見せてくれ、「フランスで
生肉なんか食べるのか?」と首をひねったのだが、後日
別のレストランで、生ひき肉に生卵をのせ、ぐちゃぐちゃに
混ぜて食べるというメニューを見かけた。
英語のメニューを持って来てくれ、と言ったらすぐ出てきた
ので、「あるのかよ! 最初から出せよ!」と突っ込みを
入れたが、そのメニューには軽食しか載っていなかった。
ビニールのカバーをめくったら、裏から別の紙が出てきて
裏メニューがあるのかと思った。
しばらくするうちに、隣のテーブルにステーキとフレンチ
フライの盛り合わせが運ばれてきたので、「あれでいいよ」
とみんな言い出す。
結局、そのステーキを選んだ人が半分。ウェイター
お勧めのメニューを選んだ人が半分。
私は後者。「何かのソテーと、パプリカと、ペンネ」と
メニューには書いてあったような気がする。
あと、ヴィッテルの1リットルを2本頼む。
パンがひと籠運ばれてきて、「食べ放題じゃなかったら
どうしよう」と恐れつつ、遠慮がちに手を出す一同。
そんな中で2つ、3つと食べる中修さんはさすが。
パンはややしょっぱく、賛否両論だった。
私のところにやってきた料理は、ペンネの上にクリームで
柔らかく煮込んだ牛バラ肉が載った感じのもの。
おいしかったが、量がかなりあったので食べ切れなかった。
ステーキのほうは、みんな「ミディアムレア」と言ったのに、
肉がかなり焦げていて、固かったらしい。
フランスの肉は全般に固いという話もある。
食べている人たちの顔を見るかぎりでは、外れっぽかった。
しかし鍛冶さんが全部きれいに食べきっていてすごかった。
食後に「甘いものは別腹」と中修さんが言い出し、
1人リンゴのタルトを頼む。甘くないクリームチーズを
添えて食べる。おいしいけど7ユーロはどうかな、という
感想だった模様。
フランスではやっぱり普通のリンゴのタルトじゃなくて、
タルトタタン(後述)を食べなくちゃ!
料金はチップ込みで1人20ユーロずつ。
その後、帰りになぜかハーゲンダッツに行くことになる。
「寒いときこそアイス!」ということらしい。
5人で、2.8ユーロのカップアイスでだべる。
私はシトロンソルベ(レモンシャーベット)。
「マーサラのフィズ」?なるメニューがあり、訊ねたら
イチジクに似た謎の果物のアイスだった。
スプーンにひとすくい、味見させてくれた。プチプチ
していて、不思議な味だった。
この中で、明日のエクテンで一番負けた人が「わんこ
ダッツ」をやろうという企画が持ち上がる。
私だけかやの外で安心なので、「一番負けそうな人」に
賭けて一蓮托生になったらどう?という案も出るが、
「誰だって『負けそう』だなんて言われるのやだよ」
ということでナシになる。結局やらないのかなぁ。
23:30まで、かなり長い時間だべったのち、みんな
エクテンのデッキを組みに帰った。
24時就寝。
この日の支出:
朝マック2ユーロ
昼サンドイッチ5ユーロ
夜20ユーロ
アイス2.8ユーロ
7時起床。
8時にホテルを出て、昨日見つけたマクドナルドに行く。
カフェの朝食セットはどこも高いので。
朝マックを食べる。普通のエッグマフィンもあるけど、
フランスらしくパンケーキやデニッシュなどが選べて、
コーヒーとセットで2ユーロ。それに0.95ユーロ足すと
ヨーグルトなんかもつけられる仕組み。
ベーコン入りパンケーキとコーヒーを頼む。
パンケーキは手のひらサイズで、小さかった……。
ちょっと油っぽいけど、味はまあまあ。
コーヒークリームには4か国語でクリームと書いて
あるけれど、オランダ・フランス・ポルトガル・
スペイン語で、英語はない。
数少ない客は、誰もトレイを下げようとしない。
マクドナルド専用ラジオ番組みたいのが流れて
いるんだけど、ジングルの「マクドナルド」が
フランス語発音では「メンドール」と聞こえる。
あとかかってる歌の中で「トレビアン」とか「トワエモア」
と言ってるのが聞き取れた。テレビでも「オスクール」
だけわかった(助けて、の意味)。
しかし、いつでもどこでも、掃除してる人って必ず黒人だ。
フランスでは黒人をよく見かけるけれど、みんな移住者、
出稼ぎ労働者なのか?
会場で黒人のプレイヤーはまったく見なかった。
一瞬だけ2人通ったけど、プレイヤーかどうかは謎。
髪を複雑な編みこみにしたお洒落な2人だった。
9時前に会場に行き、ドラフトを見る。
ドラフト用のパックは、カード15枚を束ねて紙のリボンで
留めたものを3つセットにして、さらに全部を上から紙の
リボンでまとめた形になっている。ドラフト開始時に、
3つのカード束をまとめた紙をはずそうとして、それぞれの
束の紙も一緒に取れてしまい、結果として45枚のカードが
全部ひとかたまりになってしまった人が大勢いた。
おかげでジャッジコール連発。
「上から15枚数えて使え!」と言われていた。
ローリーさんのデッキが強いというので見に行く。
ガブリエル・ナシフとのフィーチャーマッチで、
1本取られているところから見始めた。
2本目、《硫黄破》が見事にハマって(ナシフがうひゃー
って顔をしていた)取り返し、3本目は《突然の俗化》
2枚がずさーっとハマって勝った。
ナシフが「それ、レアだよね?」という感じで何度も
確認していた。
PT神戸の決勝で黒田さんに負けたときのように、静かに
微笑みながら首を振る負けモードを存分に披露していた。
私がナシフのゲームを直接見ているときって、ほとんど
必ず負けている。勝っているのをこの目で見たことが
ほぼない。私から見たら「この人強いの?」って感じ(笑)
ローリーさんに「素晴らしいデッキですね」と声を
かけたら、「ノースキル!」という返事だった。
射場本さんの3戦目延長3分を見ていたが、追加5ターンに
入ったところで《アーボーグの吸魂者》と《心霊破》を
トップデッキし、5ターン目にちょうど相手のライフを
0にして勝っていた。お見事。
格さんと、ヤマショーこと山本さんの試合を見ていて、
山本さんが大学サークルの後輩SS氏にすごく動きが似て
いることに気づく。これで実は軍事オタだったりすると
完璧なのだが……。
山本さんは団体戦の日に日本チームの小旗を持って
歩いているところが、そこらへんの観光客みたいで
とても似合うと言われていた(笑) パスポートを
無造作に胸ポケットに入れているし。
8ラウンド目のフィーチャーを見に行ったら、
ゲイリー・ワイズのテーブルが0-0のままからっぽ。
アメリカのサイドボードの人たちが「またもやDQ!
今度は日本のスズキだってさ」と教えてくれた。
朝に韓国のプレイヤーが4人目のDQPになっているから、
これで5人目。このままの勢いで増え続けるのか……?
9ラウンド目のフィーチャーマッチは、唯一のここまで
全勝であるローリーさんとブラジル人の対戦。
別名「デッキ強い対決」ともいうが、ローリーさんが事故。
「1ゲーム目のラストは、もう少し粘れたよね?」と
サイドボードライターに言われて気づくという場面があった。
さすが元PTチャンプのライターさんである。
中修さんとラファエル・レヴィのフィーチャーも
大変面白かった。
2ゲーム目に、《疫病スリヴァー》をチャンププロックして、
こちらの《吸血スリヴァー》の能力で+1/+1カウンターを
載せてやるという屈辱を受けながら、なぜかそのあと
いつの間にか勝っていた。3ゲーム目は相手の手札が
強すぎて《ベラドンナの暗殺者》が何度も戻ってくるので
さすがにこれは無理だと思ったが、そこから頑張る。
復活させた《エンドレク・サール》を除去され、
二段攻撃の《憤怒スリヴァー》でなんとか生き延びたかに
見えたが、《アーボーグの吸魂者》を出されて終了風味。
しかしそこで《結核》をトップデッキして倒す。
そして、《死胞子のサリッド》がある状態で《サーペイ
ディア諸帝国史》をドロー。ライフは残り2。
出された《マナを間引くもの》を苗木トークンで除去。
レヴィは《奈落を守る者》で墓地から《奈落を守る者》
と《ベラドンナの暗殺者》を戻すが、それもこちらの
《ベラドンナ》で除去と、息もつかせぬ試合展開。
《コー追われの物あさり》が出てまた危なくなるが
これを排除し、ついに反撃を始めるに至る。
しかし《疫病スリヴァー》が出てしまい、残りライフ1に。
《レンの蝋燭》のため残りライブラリーもわずか5枚ほど。
こちらのスリヴァーをサクって《エンドレク・サール》
をフラッシュバックで《戦慄の復活》するが……
レヴィがカードを1枚、ひらりと投げて寄越す。
それをそっとめくってみて、除去だとわかって投了。
サイドイベントの部屋は狭すぎ、人多すぎ。
あと本戦トップ卓のあたりは照明が暗すぎ。
ドラフトの2回目。
今度はコールジャッジが「まず最初に、3つの束をまとめて
いる紙を、とーっても慎重に外してください」と言っていた。
しかしそれでも「ジャッジー」と呼ぶ人がいて笑える。
11ラウンド目、ゲイリー・ワイズが《精神撹乱》を
待機して《拷問台》を張り、楽しそうだった。
とある試合を見ていた時、その奥にいたプレイヤーの尻が
気になってしかたがなかった。
ズボンがズリ落ちた状態で椅子に座っており、
半ケツ状態。こっそり写真も撮ってある(笑)
12ラウンド目の前、モリカツが「ここまで相当苦しい
相手に勝ち続けてきた」という話をしていて、次は
ジュリアン・ヌイテンだという。
「次勝ったら俺絶対ワールドチャンプだよ!」
モリカツ対ジュリアン戦はデッキチェックが入り、
その間に「写真を撮るから腕相撲でもして」と言われる。
モリカツが楽勝。
横の成績表示板を「1-0にしてよ」と主張する。
2日間終わったところで、モリカツ・ローリーさん・
射場本さんが2敗で日本勢トップとなった。
モリカツは《コー追われの物あさり》を《アトランティス
の王》で強化して殴っていた。
ローリーさんは相当押されていた場面から《イクシドロン》
と《大いなるガルガドン》で逆転。
射場本さんは格さんに勝ったあと、明日最低でも3-2-1
必要だが、デッキをどうするかという相談をしていた。
この日、途中から会場内の通路をついたてで仕切っており、
何かなあと思っていたら、ぞろぞろと正装した人々が
やってきた。男性は蝶ネクタイで、女性はきらびやかな
イブニングドレス。高級感あふれるパーティのムードと
世界のオタク大集合といったこちらの世界はあまりにも
かけ離れている。しかしついたて1枚で仕切られ、2階から
向こうが覗き込めてしまうのが面白い。
お互いに怪訝な顔をしてすれ違いながら、20時すぎに撤収。
みんなで晩ご飯を食べに行くというのでついていく。
大所帯になって、メンバーは計8名。
ヴェロ=ドダというレストランへ、20ユーロのコースを
食べに行こうという話が決まっていた。
昨日も行こうとしたのだが、道に迷ったという。
ギャラリー・ヴェロ=ドダというパッサージュ(ガラス
天井のアーケードのようなところ)の中にあるというので、
地図を見ながらそちらへ向かう。
しかし、パッサージュ内の店は全部閉まっていた。
ヴェロ=ドダの前で、メニューと暗い店内を物欲しそうな
顔で覗き込んでいたら、奥からお店の人がいぶかしげな
表情で出てきた。
「わざわざ来たのか、じゃあ特別に開けてやるよ」と
なったら面白かったのになあ。
突き当たりにピザ屋の看板が見え、みんな「正直面倒
だからもうどこでもいい」と言い出し、パッサージュの
入り口にあったカフェに入る。
友晴さんのコミュニケーション能力により、ほとんど
英語の通じないウェイターに「あなたのお勧めを選んで
ください」と伝えることに成功。
黒板に手書したメニューを見せてくれ、「ここからここまでは
オードブル。お勧めはここからここまでのプレート。
私のお勧めはこの肉。あと、これは胃袋。これは脳みそ」
といった感じで説明してくれる。
しかしなかなか要領を得ない。
※このとき、生の肉の実物を見せてくれ、「フランスで
生肉なんか食べるのか?」と首をひねったのだが、後日
別のレストランで、生ひき肉に生卵をのせ、ぐちゃぐちゃに
混ぜて食べるというメニューを見かけた。
英語のメニューを持って来てくれ、と言ったらすぐ出てきた
ので、「あるのかよ! 最初から出せよ!」と突っ込みを
入れたが、そのメニューには軽食しか載っていなかった。
ビニールのカバーをめくったら、裏から別の紙が出てきて
裏メニューがあるのかと思った。
しばらくするうちに、隣のテーブルにステーキとフレンチ
フライの盛り合わせが運ばれてきたので、「あれでいいよ」
とみんな言い出す。
結局、そのステーキを選んだ人が半分。ウェイター
お勧めのメニューを選んだ人が半分。
私は後者。「何かのソテーと、パプリカと、ペンネ」と
メニューには書いてあったような気がする。
あと、ヴィッテルの1リットルを2本頼む。
パンがひと籠運ばれてきて、「食べ放題じゃなかったら
どうしよう」と恐れつつ、遠慮がちに手を出す一同。
そんな中で2つ、3つと食べる中修さんはさすが。
パンはややしょっぱく、賛否両論だった。
私のところにやってきた料理は、ペンネの上にクリームで
柔らかく煮込んだ牛バラ肉が載った感じのもの。
おいしかったが、量がかなりあったので食べ切れなかった。
ステーキのほうは、みんな「ミディアムレア」と言ったのに、
肉がかなり焦げていて、固かったらしい。
フランスの肉は全般に固いという話もある。
食べている人たちの顔を見るかぎりでは、外れっぽかった。
しかし鍛冶さんが全部きれいに食べきっていてすごかった。
食後に「甘いものは別腹」と中修さんが言い出し、
1人リンゴのタルトを頼む。甘くないクリームチーズを
添えて食べる。おいしいけど7ユーロはどうかな、という
感想だった模様。
フランスではやっぱり普通のリンゴのタルトじゃなくて、
タルトタタン(後述)を食べなくちゃ!
料金はチップ込みで1人20ユーロずつ。
その後、帰りになぜかハーゲンダッツに行くことになる。
「寒いときこそアイス!」ということらしい。
5人で、2.8ユーロのカップアイスでだべる。
私はシトロンソルベ(レモンシャーベット)。
「マーサラのフィズ」?なるメニューがあり、訊ねたら
イチジクに似た謎の果物のアイスだった。
スプーンにひとすくい、味見させてくれた。プチプチ
していて、不思議な味だった。
この中で、明日のエクテンで一番負けた人が「わんこ
ダッツ」をやろうという企画が持ち上がる。
私だけかやの外で安心なので、「一番負けそうな人」に
賭けて一蓮托生になったらどう?という案も出るが、
「誰だって『負けそう』だなんて言われるのやだよ」
ということでナシになる。結局やらないのかなぁ。
23:30まで、かなり長い時間だべったのち、みんな
エクテンのデッキを組みに帰った。
24時就寝。
この日の支出:
朝マック2ユーロ
昼サンドイッチ5ユーロ
夜20ユーロ
アイス2.8ユーロ
パリ旅行記2日目
2006年12月13日■11月29日(水)大会1日目 スタンダード
夜中の2時(日本では朝10時)に目を覚ましたりしつつ、
7時起床。昨日の飛行機でもらったパンをもそもそと
食べながら、テレビをつける。チャンネルは15くらい。
子供用のアニメチャンネルが2つほどある。
フランス語では何を言っても優雅な感じがするもので、
CMで「プレイステーション・ポータブル」って
フランス語で発音しているだけでなんかエロイ(笑)
あとWiiのCMもある。ボーリングやってたらお父さんが
帰ってきて……というやつは、家族がフランス人である
こと以外、作りは一切同じだった。
忍者学校を舞台にした、「忍たま乱太郎」みたいな
雰囲気のアニメをやっていたんだけど、忍者学校の
グラウンドなのにバスケのゴールがある。シュリケン
とかセンセイとかいう単語だけが聞き取れる。
しかし、すごくよく動くアニメだ。
それが終わったら次は「チームギャラクシー」という
日本っぽい顔つき(でもやっぱり明らかに違う)の
番組が始まった。
8:40にホテルを出て、角にあるカフェに入り朝ご飯。
ガイドブックに書いてあるとおり、ウェイターは
席に案内してくれないので、適当に座って注文を
取りに来るのを待つ。
オレンジジュースとカフェ・クレーム(泡立てたミルク
入りコーヒーのこと)とクロワッサンと縦に切ったバター
付きバゲット+イチゴジャムのセットで、8ユーロ。
これからクロワッサンを抜いて卵とベーコンをつけると
10ユーロになったはず。
1ユーロ150円強だから(私が両替した時のレートは
155.57円)、1200円以上。パリは物価が高い……。
クロワッサンはかなり大きくてずっしりしていて、
ややしょっぱい。お菓子ではなくご飯、という感じ。
コーヒーはやっぱり美味しい。
隣にウィザーズのシャツを着てフランス語を喋る
集団がいた。
カウンターには次から次へとコーヒーを飲む客が
やってくる。足元の床に砂糖の袋と吸殻がいっぱい
投げ捨ててある。
ウェイターは2人しかいないんだけど手際がいい。
9時半ごろにルーブル美術館へ。
ガラスのピラミッド前にすごい行列ができていたので、
また昨日の入り口へ回る。
逆さピラミッドの上にフードコートがあるのを発見。
エスニックやイタリアンなどいろいろあって、自分で
注文したものをトレイに載せてその場で食べる式。
会場はすごい人出。昨日は閉まっていた大きな部屋を
2つ使って、片方で本戦、片方でサイドイベントを
やるのだが、そのサイドイベントの行列がはるか
通路まで延びている。
10時になる。開会式が始まる予定の時刻だが、
フラッグ・セレモニーで行進する各国の代表が揃わない。
ボリビア、オーストラリア、コロンビア、サウスコリア、
そしてフランス(笑)……が場内アナウンスで呼ばれる。
結局来なかった国の旗はジャッジに持たせて、行進開始。
大勢の客がこの部屋に集まっているので、最後に開催国
フランスが登場しときに「うおーっ」という歓声が湧き
起こったのが、オリンピックの開会式みたいでよかった。
今まで3回見た中では一番良いフラッグセレモニーだった。
その後、Hall of Fameの受賞式。
地元のラファエル・レヴィはさすがに大人気。
ドハティの黒いシャツ&スーツ姿がカッコよかった。
ボブ・メイヤーが連れてきていた子どもは双子かな?
お揃いの靴を履き、「お父さんは誰?」Tシャツを着ている。
名前を聞いたら片方はエイニーちゃんだとわかった。
1回戦はHall of Fameの5人と、カイ・ブッディの卓が
フィーチャーマッチ。6卓もあるのはうれしい。
2階から覗き込んで見るのがけっこういい感じ。
ここでフィーチャーに呼ばれた小倉さんが、いつもの
タペストリーを背中にしょったら、通る人がみんな
ぎょっとしてまじまじと見ていくのがすごく面白い。
あとフィーチャー卓には金属製のボードが立っていて、
そこにプレイヤー名と国を印刷したマグネットシートを
貼り付ける仕組みになっている。
このシートがものすごく大量にあって(権利持ち全員の
名前がある)、しかもあまり整理されていないので、
毎回ジャッジがこの中から名前を探し出して貼るまでに
すごく時間がかかり、苦労していた。
非効率的……。
フードコートエビアンのペットボトルを買う。
500mlペットボトルは、日本だとたかだか150円ですむのに、
フードコート価格では2.3ユーロもする。高っ。
ちなみに世界選手権会場では同じものが3ユーロ。
モノプリというスーパーが底値で2.13ユーロだった。
なんにしろ300〜450円はするわけで、日本よりずっと高い。
あと会場の売店でミニ・ハンバーガーというのを売って
いたんだけど、小さいの2つで3.5ユーロもする。
最初に見たとき、マカロン?と思ったら5cmくらいの
ハンバーガーだった。
ラウンドとラウンドの合間にかなりゆとりがあって、
非常にのんびり進行する。1日6ラウンドしかないしね。
3ラウンド目が始まるまでの空き時間に、塩津さんや
射場本さんとだべる。最初は「今の生活において欲しい
ドラえもん道具はどこでもドアと翻訳コンニャク」と
いう話から始まり、塩津さんが「タイムマシンがあったら、
ドラフトのパックを覚えておく」という地味な使い方を
言い出して、それだったら時間を1分戻せるスタンド能力が
あればマジック最強じゃん、という話に行き着く。
ミスったら1分戻し、カウンターされたら1分戻し……
しかし相手がいずれ「こいつ、1分戻してやがる」という
ことに気がつき、1分待ってから次の一手をプレイする
ようになる(笑)
っていうか「ジャッジー! 相手が時間戻してます!!」
って言われるね! そしたら言われる前に時間を戻せば
いいんだよ!「ふっ、時間を戻せるのがお主ひとりだけ
だと思うな」とか言ってお互い時間を戻し続けると、
世界の歴史が一歩も前に進まない(笑)
そんなくだらない話の中で、マジックプレイヤーが今後
けっこう就職して減っていくらしいという話を聞く。
3ラウンド目は鍛冶さんのフィーチャーマッチを見ていた。
何度も追い込まれつつ、ライフ残り1から華麗に
盛り返す戦いぶりがたいへん面白いデッキだった。
おやつを食べようと思い、再びフードコートへ。
ミニマフィン10個入りで2.5ユーロ。
ついでにコーンのアイスも食べる。
黒白茶色のチョコが渾然一体となった「トリプル
チョコレート」2.5ユーロ。美味しい。
しかし、コーヒーは1.3ユーロで飲めるので、
ペットボトルはその2倍以上するということか……。
ただのコーヒーなら安いんだけど、ミルク入りにすると
一気に値段が3〜4ユーロに跳ね上がるのも厳しい。
4ラウンド目に帰ってきたら、浅原さんがドラゴンストームで
4連勝していた。ゴロゾスがすごい横のほうから勝ちに
行っているところが愛らしいデッキ。
このへんでカメラの蓋をなくしたことに気づく。
アイスを食べてたあたりまではあったんだけど……。
そのあと、ルーブルの外へ散歩に出かける。
チュイルリー公園のほうの、迷路じみた生垣の庭で子どもが
遊んでいるところを眺めていたら、突然フランス語で話し
かけてくる中年の男の人がいた。金の無心かナンパか!?
と警戒して、人の多いほうへ逃げる。
リヴォリ通りに立ち並ぶ土産物屋を見て回る。
チープでセンスのないお土産はパリにもちゃんとあるのだな。
エッフェル塔の置物と、パリの文字が入ったTシャツが多い。
絵はがきを見ていたら、私と同じタイミングで行動している
男の人がいたので、また話しかけられたら嫌だなとバリバリ
警戒していたが、その人は単純に私と同じように絵はがきを
探していただけだったようだ。
観光地の風景にヘンテコなコラージュを施した絵はがきが
面白かった。英語で書き添えてあるニュアンスは「パリが
こんな風景であっても別にいいよね?」という感じだと
思うのだが、日本語でつけられた訳は「なぜいけないのか」。
しかも縦書きで。
5ラウンド目の終わるタイミングで会場に戻り、のんびりと
6ラウンド目が始まるのを待つ。
アミール・テネンバウムがDQになっていると知り残念。
ガンスリンガーで対戦し、スタンプを集めて応募すると、
抽選でカイ・ブッディら有名人とチームを組んで
双頭巨人戦トーナメントに出られる権利が当たる、
という企画をやっていた。すごいなあ。
カイ・ブッディもよく引き受けるなあ。
6ラウンド目はローリーさんと格さんが6連勝。
タイムシフトな流れで素晴らしい。
フレンチ・テクに出てくる《ドラルヌ》のオラクルを
たびたび要求されると進藤さんが言っていた。
来ないだろうと思っていた諸藤さんが来ていたので、
「よくおいでになれましたね」と声をかけたら、
「ええ、突然のお越しで……」と返事がかえってきた。
「でも、ドラゴンストームってデッキ選択は駄目
でしたね。引きの細さを証明しちゃいました」とのこと。
1-5だったらしい。三原さんに全部吸い取られたか。
フィーチャーされていたドイツのマクシミリアン・
ラチェットを見物する。
変なデッキで、《昨日の首飾り》を並べ、ライブラリーを
引ききって《ガイアの祝福》とタイムウォークで無限
ターンを獲得し、相手に4枚ずつドローさせて勝つ。
ギャラリーも大注目。
相手はオルゾフウィニーっぽい。律儀に最後まで付き合い、
ライブラリーを全部引ききるところまでプレイしていた。
残り時間が数分しかなくなって3戦目に突入するが、
マクシミリアンがやたら入念にシャッフルをし、
トリプルマリガンまで行って時間を使う。
相手が速いデッキだから、引き分け狙いなのだろうか。
だったら相手もさっきのゲームで最後までライブラリー
アウトに付き合わないで、途中で切り上げて3ゲーム目に
進めばよかったのに……などという素人考え。
手は(のんびりだけど)動かしているので、ジャッジに
怒られたりはしていなかったけれども、明らかに雰囲気は
時間稼ぎで、残り時間を何度もジャッジに聞いていた。
引き分けになったあと、ヘッドジャッジに呼ばれていて、
その後最終的にDQPになったのは周知の通り。
今日1日で3人DQが出て、うち2人がドイツチームだった。
そのあと写真をPCに移して、21時に会場を出る。
フードコートで晩ご飯を探すが、どの店も片付けモード。
イタリアンの店に、フライドチキンとパスタのセットで
7.7ユーロというのがあり、なんとなくパスタが食べたかった
のでそれにする。しかしパスタには何の味もついていない。
これならエスニック料理屋のクスクスでも食べていた方が
健康的ではあったが……まあいいや。
テレビでチェルシー対ボルトンを流していた。
サイン会に出ていたフランス人アーティストも一人で
ご飯を食べていた。
朝、津村君と「Pesetが坊主頭になるとものすごい
威圧感があるよねぇ」と話していたのが遠い過去の
ような気分。といっても12時間前のことなんだけど。
ちなみにPesetはあの笑顔でゲバ棒持って暴動に参加
してたとしてもおかしくない雰囲気を醸し出していた。
22:30就寝。
この日の支出:
朝ご飯8ユーロ
エビアン2.3ユーロ
マフィン2.5ユーロ
アイス2.5ユーロ
絵はがき1.5ユーロ
晩ご飯7.7ユーロ
夜中の2時(日本では朝10時)に目を覚ましたりしつつ、
7時起床。昨日の飛行機でもらったパンをもそもそと
食べながら、テレビをつける。チャンネルは15くらい。
子供用のアニメチャンネルが2つほどある。
フランス語では何を言っても優雅な感じがするもので、
CMで「プレイステーション・ポータブル」って
フランス語で発音しているだけでなんかエロイ(笑)
あとWiiのCMもある。ボーリングやってたらお父さんが
帰ってきて……というやつは、家族がフランス人である
こと以外、作りは一切同じだった。
忍者学校を舞台にした、「忍たま乱太郎」みたいな
雰囲気のアニメをやっていたんだけど、忍者学校の
グラウンドなのにバスケのゴールがある。シュリケン
とかセンセイとかいう単語だけが聞き取れる。
しかし、すごくよく動くアニメだ。
それが終わったら次は「チームギャラクシー」という
日本っぽい顔つき(でもやっぱり明らかに違う)の
番組が始まった。
8:40にホテルを出て、角にあるカフェに入り朝ご飯。
ガイドブックに書いてあるとおり、ウェイターは
席に案内してくれないので、適当に座って注文を
取りに来るのを待つ。
オレンジジュースとカフェ・クレーム(泡立てたミルク
入りコーヒーのこと)とクロワッサンと縦に切ったバター
付きバゲット+イチゴジャムのセットで、8ユーロ。
これからクロワッサンを抜いて卵とベーコンをつけると
10ユーロになったはず。
1ユーロ150円強だから(私が両替した時のレートは
155.57円)、1200円以上。パリは物価が高い……。
クロワッサンはかなり大きくてずっしりしていて、
ややしょっぱい。お菓子ではなくご飯、という感じ。
コーヒーはやっぱり美味しい。
隣にウィザーズのシャツを着てフランス語を喋る
集団がいた。
カウンターには次から次へとコーヒーを飲む客が
やってくる。足元の床に砂糖の袋と吸殻がいっぱい
投げ捨ててある。
ウェイターは2人しかいないんだけど手際がいい。
9時半ごろにルーブル美術館へ。
ガラスのピラミッド前にすごい行列ができていたので、
また昨日の入り口へ回る。
逆さピラミッドの上にフードコートがあるのを発見。
エスニックやイタリアンなどいろいろあって、自分で
注文したものをトレイに載せてその場で食べる式。
会場はすごい人出。昨日は閉まっていた大きな部屋を
2つ使って、片方で本戦、片方でサイドイベントを
やるのだが、そのサイドイベントの行列がはるか
通路まで延びている。
10時になる。開会式が始まる予定の時刻だが、
フラッグ・セレモニーで行進する各国の代表が揃わない。
ボリビア、オーストラリア、コロンビア、サウスコリア、
そしてフランス(笑)……が場内アナウンスで呼ばれる。
結局来なかった国の旗はジャッジに持たせて、行進開始。
大勢の客がこの部屋に集まっているので、最後に開催国
フランスが登場しときに「うおーっ」という歓声が湧き
起こったのが、オリンピックの開会式みたいでよかった。
今まで3回見た中では一番良いフラッグセレモニーだった。
その後、Hall of Fameの受賞式。
地元のラファエル・レヴィはさすがに大人気。
ドハティの黒いシャツ&スーツ姿がカッコよかった。
ボブ・メイヤーが連れてきていた子どもは双子かな?
お揃いの靴を履き、「お父さんは誰?」Tシャツを着ている。
名前を聞いたら片方はエイニーちゃんだとわかった。
1回戦はHall of Fameの5人と、カイ・ブッディの卓が
フィーチャーマッチ。6卓もあるのはうれしい。
2階から覗き込んで見るのがけっこういい感じ。
ここでフィーチャーに呼ばれた小倉さんが、いつもの
タペストリーを背中にしょったら、通る人がみんな
ぎょっとしてまじまじと見ていくのがすごく面白い。
あとフィーチャー卓には金属製のボードが立っていて、
そこにプレイヤー名と国を印刷したマグネットシートを
貼り付ける仕組みになっている。
このシートがものすごく大量にあって(権利持ち全員の
名前がある)、しかもあまり整理されていないので、
毎回ジャッジがこの中から名前を探し出して貼るまでに
すごく時間がかかり、苦労していた。
非効率的……。
フードコートエビアンのペットボトルを買う。
500mlペットボトルは、日本だとたかだか150円ですむのに、
フードコート価格では2.3ユーロもする。高っ。
ちなみに世界選手権会場では同じものが3ユーロ。
モノプリというスーパーが底値で2.13ユーロだった。
なんにしろ300〜450円はするわけで、日本よりずっと高い。
あと会場の売店でミニ・ハンバーガーというのを売って
いたんだけど、小さいの2つで3.5ユーロもする。
最初に見たとき、マカロン?と思ったら5cmくらいの
ハンバーガーだった。
ラウンドとラウンドの合間にかなりゆとりがあって、
非常にのんびり進行する。1日6ラウンドしかないしね。
3ラウンド目が始まるまでの空き時間に、塩津さんや
射場本さんとだべる。最初は「今の生活において欲しい
ドラえもん道具はどこでもドアと翻訳コンニャク」と
いう話から始まり、塩津さんが「タイムマシンがあったら、
ドラフトのパックを覚えておく」という地味な使い方を
言い出して、それだったら時間を1分戻せるスタンド能力が
あればマジック最強じゃん、という話に行き着く。
ミスったら1分戻し、カウンターされたら1分戻し……
しかし相手がいずれ「こいつ、1分戻してやがる」という
ことに気がつき、1分待ってから次の一手をプレイする
ようになる(笑)
っていうか「ジャッジー! 相手が時間戻してます!!」
って言われるね! そしたら言われる前に時間を戻せば
いいんだよ!「ふっ、時間を戻せるのがお主ひとりだけ
だと思うな」とか言ってお互い時間を戻し続けると、
世界の歴史が一歩も前に進まない(笑)
そんなくだらない話の中で、マジックプレイヤーが今後
けっこう就職して減っていくらしいという話を聞く。
3ラウンド目は鍛冶さんのフィーチャーマッチを見ていた。
何度も追い込まれつつ、ライフ残り1から華麗に
盛り返す戦いぶりがたいへん面白いデッキだった。
おやつを食べようと思い、再びフードコートへ。
ミニマフィン10個入りで2.5ユーロ。
ついでにコーンのアイスも食べる。
黒白茶色のチョコが渾然一体となった「トリプル
チョコレート」2.5ユーロ。美味しい。
しかし、コーヒーは1.3ユーロで飲めるので、
ペットボトルはその2倍以上するということか……。
ただのコーヒーなら安いんだけど、ミルク入りにすると
一気に値段が3〜4ユーロに跳ね上がるのも厳しい。
4ラウンド目に帰ってきたら、浅原さんがドラゴンストームで
4連勝していた。ゴロゾスがすごい横のほうから勝ちに
行っているところが愛らしいデッキ。
このへんでカメラの蓋をなくしたことに気づく。
アイスを食べてたあたりまではあったんだけど……。
そのあと、ルーブルの外へ散歩に出かける。
チュイルリー公園のほうの、迷路じみた生垣の庭で子どもが
遊んでいるところを眺めていたら、突然フランス語で話し
かけてくる中年の男の人がいた。金の無心かナンパか!?
と警戒して、人の多いほうへ逃げる。
リヴォリ通りに立ち並ぶ土産物屋を見て回る。
チープでセンスのないお土産はパリにもちゃんとあるのだな。
エッフェル塔の置物と、パリの文字が入ったTシャツが多い。
絵はがきを見ていたら、私と同じタイミングで行動している
男の人がいたので、また話しかけられたら嫌だなとバリバリ
警戒していたが、その人は単純に私と同じように絵はがきを
探していただけだったようだ。
観光地の風景にヘンテコなコラージュを施した絵はがきが
面白かった。英語で書き添えてあるニュアンスは「パリが
こんな風景であっても別にいいよね?」という感じだと
思うのだが、日本語でつけられた訳は「なぜいけないのか」。
しかも縦書きで。
5ラウンド目の終わるタイミングで会場に戻り、のんびりと
6ラウンド目が始まるのを待つ。
アミール・テネンバウムがDQになっていると知り残念。
ガンスリンガーで対戦し、スタンプを集めて応募すると、
抽選でカイ・ブッディら有名人とチームを組んで
双頭巨人戦トーナメントに出られる権利が当たる、
という企画をやっていた。すごいなあ。
カイ・ブッディもよく引き受けるなあ。
6ラウンド目はローリーさんと格さんが6連勝。
タイムシフトな流れで素晴らしい。
フレンチ・テクに出てくる《ドラルヌ》のオラクルを
たびたび要求されると進藤さんが言っていた。
来ないだろうと思っていた諸藤さんが来ていたので、
「よくおいでになれましたね」と声をかけたら、
「ええ、突然のお越しで……」と返事がかえってきた。
「でも、ドラゴンストームってデッキ選択は駄目
でしたね。引きの細さを証明しちゃいました」とのこと。
1-5だったらしい。三原さんに全部吸い取られたか。
フィーチャーされていたドイツのマクシミリアン・
ラチェットを見物する。
変なデッキで、《昨日の首飾り》を並べ、ライブラリーを
引ききって《ガイアの祝福》とタイムウォークで無限
ターンを獲得し、相手に4枚ずつドローさせて勝つ。
ギャラリーも大注目。
相手はオルゾフウィニーっぽい。律儀に最後まで付き合い、
ライブラリーを全部引ききるところまでプレイしていた。
残り時間が数分しかなくなって3戦目に突入するが、
マクシミリアンがやたら入念にシャッフルをし、
トリプルマリガンまで行って時間を使う。
相手が速いデッキだから、引き分け狙いなのだろうか。
だったら相手もさっきのゲームで最後までライブラリー
アウトに付き合わないで、途中で切り上げて3ゲーム目に
進めばよかったのに……などという素人考え。
手は(のんびりだけど)動かしているので、ジャッジに
怒られたりはしていなかったけれども、明らかに雰囲気は
時間稼ぎで、残り時間を何度もジャッジに聞いていた。
引き分けになったあと、ヘッドジャッジに呼ばれていて、
その後最終的にDQPになったのは周知の通り。
今日1日で3人DQが出て、うち2人がドイツチームだった。
そのあと写真をPCに移して、21時に会場を出る。
フードコートで晩ご飯を探すが、どの店も片付けモード。
イタリアンの店に、フライドチキンとパスタのセットで
7.7ユーロというのがあり、なんとなくパスタが食べたかった
のでそれにする。しかしパスタには何の味もついていない。
これならエスニック料理屋のクスクスでも食べていた方が
健康的ではあったが……まあいいや。
テレビでチェルシー対ボルトンを流していた。
サイン会に出ていたフランス人アーティストも一人で
ご飯を食べていた。
朝、津村君と「Pesetが坊主頭になるとものすごい
威圧感があるよねぇ」と話していたのが遠い過去の
ような気分。といっても12時間前のことなんだけど。
ちなみにPesetはあの笑顔でゲバ棒持って暴動に参加
してたとしてもおかしくない雰囲気を醸し出していた。
22:30就寝。
この日の支出:
朝ご飯8ユーロ
エビアン2.3ユーロ
マフィン2.5ユーロ
アイス2.5ユーロ
絵はがき1.5ユーロ
晩ご飯7.7ユーロ
パリ旅行記1日目
2006年12月13日■11月28日(火) 大会前日
6:20起床、温かい牛乳を飲んで家を出る。
父親から餞別に90ユーロもらう。
自分で前もって両替しておいた分と合わせて
現金は計200ユーロとなる。
雨が降っていたので、地下道の入り口まで母親が傘を
差して送ってくれる。スーツケースとPCケースとカメラ
バッグがうまく持ちきれなくて、駅まで苦労して歩く。
日暮里乗換え京成特急で9時に成田第2ターミナル着。
eチケットを機械でさくっと操作してチェックイン。
JALカードの磁気が読み取れず、手でマイル登録する。
空港はガラ空きで、荷物検査も出国手続きも楽々。
本屋で立ち読みして待つ。免税店には用がないが、
最近は液体を買っても別送便で現地に届けてくれるらしい。
私の席は翼の上の左窓際。三人がけの中央が空いていた。
通路側の客は機内でずーーーっとゲームをやっていた。
久しぶりに飛行機に乗り、機内食のメニューや映画の
リストを見てテンションが上がる。JALなので日本語で
映画が見られるのがとてもいい。
ただ、自分の好きなときにビデオをつけ消しできる
システムではなく、同時に何本も流れているビデオを
自分でタイミングを合わせて見なきゃならない。
飛行機が飛び立ってすぐ、「プラダを着た悪魔」を見る。
何かと誇張されてる部分があるとはいえ、仕事のために
家族と友達を犠牲にしているあたり身につまされる。
そこまでしてやる仕事っていったい何なの、とかね。
しかし、これを見ているといい女たるものピンヒールで
全力疾走くらいできなければいけないんだなと思う。
今回、どうせしないだろうと思いつつマスカラを
持って来たが、やっぱりそれくらい頑張って毎日
しないとだめだなとも思う。
映画を見ている最中に昼ご飯が来る。
照り焼きチキンと米、蕎麦など。
じっと画面を見つめているうちにすっかり頭が痛く
なってしまい、ひと眠りしようとするがどうも動悸が
ひどくて眠れない。どうせ病院に行っても「こういう
歳の女性にはありがちなことですよ」とか、せいぜい
「自律神経の関係でしょう」とか言われるのは目に
見えているが、時々心臓飛び出そうになるから心配。
なおかつ病院で何科にかかればいいのかわからない。
続いて、半分くらい寝ながら「日本沈没」を見る。
予想していたほどトンデモ映画ではなく、要所要所が
「滅びの美学」という感じなのは良い。
さあ泣け!と言わんばかりのシーンでウルウルして
しまうのが悔しい。
明和電機の社長がかなりおいしい出方をしていたのが
面白かった。アンノとトミノはどこにいたんだろう?
総理が実は生きていて「エアフォース・ワン」ばりの
活躍をすると思ったのに。
相棒は死にフラグ立てすぎ。歌が流れるシーン長すぎ。
ここまでベタな展開にするなら最後は「落とし胤」では
ないのだろうか。
「結局最後に頼りになるのは自衛隊なんだよ」風味の
演出は叩かれていそうだなと思った。
わだつみで降りてくシーンは心中で敬礼だろうし。
しかし一番言いたいのは、「これ原作と全然違う話に
なっちゃってるじゃん!」ということだ。
「日本沈没」を見ていると思っていたのに、実際は
「アルマゲドン」だった。原作けっこう好きなのに……。
これを見終わってもまだ眠れない。あと5時間で到着。
見たい映画があと「パイレーツ・オブ・カリビアン」2と
「THE 有頂天ホテル」とあり、前者は始まるタイミングを
逃したので、二度目の昼ご飯を食べながら後者を見る。
ペンネアラビアータ。
飛行機が西へ飛ぶから、ずっと昼が続く。
「THE 有頂天ホテル」は笑えるが、感情の動きや台詞は
ちょっと唐突かなあと思うところもあり。先の読める
展開を少しハズすのがうまい。しかしラストだけ
時間切れになってしまい見られず、16時に着陸。
着陸間際、農園風景の中に一瞬、お城のように立派な
石造りの建物が見え、さすがヨーロッパ!と感動する。
空港でスーツケースが出てくるのを待ちながら、一緒の
便にたまたま乗っていたプレイヤーさんたちに声をかけて
ホテルまで一緒にタクシーで行くことにする。
フランスのタクシーは助手席には乗れないシステム
なので、3人ずつ分かれて乗る。
ワゴン車だったので料金が高いかもしれないと警戒し、
乗る前に「ルーブルまでいくら?」と聞いたら
ガイドブックに書いてある通りの目安額だった。
高速道路のわきに建っている高層マンション?のような
ビルの屋上に、ナショナルとかパナソニックとかサムソン
とか企業ロゴのネオンが1つのビルに1つずつついている
のが気になる。オフィスビルではないと思うのだが。
凱旋門の西側から市内に入り、その眺めに感動の声を
あげてしまう。エッフェル塔もちかちか点滅していた。
月並みな感想だけど、映画の中のような風景だった。
シャンゼリゼ通りを東へ走る途中、両脇の街路樹の
イルミネーションが一瞬だけ点いて、すぐに消えた。
点灯は12月からのはずだから、お試しか?
シャンゼリゼ通りは表参道みたいだ、と逆転した
感想を覚えてしまう。フーケッツには行きたかった。
途中の広場からトンネルに入り、セーヌ川沿いに出て
ルーブルの南側を回り、ガラスのピラミッドの正面を
抜けて(別に遠回りしたんじゃなくてルーブル北側の
通りは一方通行なのだった)ホテル・ド・ルーブルに
到着。44.4ユーロ。カードは使えずお金で払うが、
チップを渡し忘れた。
さっそくホテルの中に荷物が運び込まれてしまうが、
私のホテルはここではないので慌てて取り返す。
自分のホテルはそこからパレ・ド・ロワイヤルを
左手に見て一つ角を曲がったところにある。
初めての国、初めての街でちゃんと思ったとおりの
道を通って一直線にホテルに辿り着ける自分を褒めたい。
2つ星で、わりとモダンな内装のホテル。
受付では英語が通じた。名前を伝えたらちゃんと
予約はできていたが、PC操作にしばらく待たされる。
渡されたカードキーは穴あきパンチ式。
「外出するときは鍵を預けてね。24時間空いてるけど
夜中は入り口が閉まるから横のブザーを鳴らすこと。
朝ご飯はビュッフェで12ユーロ。部屋で食べることも
できるけど、その場合は前日のうちに申し出てね」
と言われる。英語が母語でない人の英語は聞き取れる。
102号室だが、0階、E階とあって1階は日本で言う3階。
建物は7階建てだった。
部屋は二人用とおぼしく、ダブルベッドにアメニティが
2つずつある。しかし冷蔵庫もセーフティボックスも
なく、シャワーだけでバスタブがない。あとコップが
プラスチックカップしかなく、せっかく携帯湯沸しと
ティーバッグをいろいろ持って来たのに使えない。
テレビは部屋の上の隅っこにある。
荷物を広げる前に、部屋の中の写真を撮る。
窓の外を見ると、人のいないカフェがあり、学校の
ような建物が見えるが、カーテンで室内を隠すという
感覚があまりないのか、こうこうと明るく丸見え。
さすがにこの部屋にはちゃんとカーテンが2枚あるが。
あと、思ったよりずっと気温が高い。14度くらい。
荷物をばらし、少し寝て、19時前にルーブルに向かう。
会場がルーブル美術館の地下ということなので、
とりあえずガラスのピラミッドの正面入り口に行くが、
「今日は休みだよ」と言われてしまう。
「カルーセル・ド・ルーブルに行きたいんですが」と
言うと、「リヴォリ通りから入れ」と言われる。
指差されたほうへ行き、間違えてメトロの入り口の
階段を降りてしまったりしつつ、カルーセルと書いて
ある入り口にたどりつく。するとおばさんのすごい
大行列ができている。氷川きよしのコンサートか?
入り口にいる係の人に「ウィザーズ社のイベントに
行きたいのですが……」と言うがなかなか通じず、
面倒くさくなったのか「もういいから通れ」となる。
地下にはアクセサリーや画材や服を扱う商店街があり、
例のダ・ヴィンチ・コードで有名な逆さピラミッドの
ホールはピンクに照明されてジャズの生演奏中だった。
奥にはヴァージン・メガストアがあり、本も多く
扱っていた。SFファンタジーのコーナーにグイン・
サーガの翻訳本があった。2巻だけ。タイトルは
たぶん「砂漠の王者」。表紙は天野絵だった。
また、日本の翻訳コミック単行本が大量にあった。
有名なのはだいたい手に入りそうな感じ。立ち読み
している人がいた。
しばらくすると光る羽飾りをつけたコンパニオンの
お姉さんが商店街フロアのあちこちで飲み物を配り
始め、さっきの行列の人たちがいっぱい入ってきた。
どうも19時からこの商店街で時間限定のバーゲンを
やるらしく、店頭に「50%オフ」の張り紙がされていた。
これは明日になったらもうはがされていたが、ピンクの
飾りつけはずっとやっていた。クリスマス用か?
世界選手権の受付に行くと、プレイヤーのすごい行列。
おばさまたちと入り混じってわけがわからない状態。
入り口で1人ずつゆっくりチェックしているので、
中に入るまでがすごく大変なようだ。
入り口ででっかいセラ天の像がお出迎え。
これを組み立てるところを早回しのビデオでやって
いたが、足元を一本の棒だけで支えているのがすごい。
細長い通路がマジックの装飾で覆われ、奥にはサイン会
アーティストの額装イラストが画廊ふうに並んでいる。
Hall of FameのメンバーがTシャツとジーンズになって
陳列してある。
台にある食べ物はパンとチーズとすっぱい野菜と
すっぱい米サラダ……味は正直イマイチ口に合わない。
ジャガイモとコンビーフはまあまあだったけど、
山盛りに盛られてしまい食べるのに苦労した。
立食パーティ式なので、いろんな人が来たりいなく
なったりしながら、デッキの話などをしていた。
津村君がずっとあとから来て、聞いたら「行列を
ずっと待っていた」と言う。PoYなんだから顔パスだろ!
とも思うんだけど、「そういうのは感じ悪いと思って
じっと待ってた」というのが偉い。
22時ごろ就寝。
この日の支出:
タクシー代15ユーロ
6:20起床、温かい牛乳を飲んで家を出る。
父親から餞別に90ユーロもらう。
自分で前もって両替しておいた分と合わせて
現金は計200ユーロとなる。
雨が降っていたので、地下道の入り口まで母親が傘を
差して送ってくれる。スーツケースとPCケースとカメラ
バッグがうまく持ちきれなくて、駅まで苦労して歩く。
日暮里乗換え京成特急で9時に成田第2ターミナル着。
eチケットを機械でさくっと操作してチェックイン。
JALカードの磁気が読み取れず、手でマイル登録する。
空港はガラ空きで、荷物検査も出国手続きも楽々。
本屋で立ち読みして待つ。免税店には用がないが、
最近は液体を買っても別送便で現地に届けてくれるらしい。
私の席は翼の上の左窓際。三人がけの中央が空いていた。
通路側の客は機内でずーーーっとゲームをやっていた。
久しぶりに飛行機に乗り、機内食のメニューや映画の
リストを見てテンションが上がる。JALなので日本語で
映画が見られるのがとてもいい。
ただ、自分の好きなときにビデオをつけ消しできる
システムではなく、同時に何本も流れているビデオを
自分でタイミングを合わせて見なきゃならない。
飛行機が飛び立ってすぐ、「プラダを着た悪魔」を見る。
何かと誇張されてる部分があるとはいえ、仕事のために
家族と友達を犠牲にしているあたり身につまされる。
そこまでしてやる仕事っていったい何なの、とかね。
しかし、これを見ているといい女たるものピンヒールで
全力疾走くらいできなければいけないんだなと思う。
今回、どうせしないだろうと思いつつマスカラを
持って来たが、やっぱりそれくらい頑張って毎日
しないとだめだなとも思う。
映画を見ている最中に昼ご飯が来る。
照り焼きチキンと米、蕎麦など。
じっと画面を見つめているうちにすっかり頭が痛く
なってしまい、ひと眠りしようとするがどうも動悸が
ひどくて眠れない。どうせ病院に行っても「こういう
歳の女性にはありがちなことですよ」とか、せいぜい
「自律神経の関係でしょう」とか言われるのは目に
見えているが、時々心臓飛び出そうになるから心配。
なおかつ病院で何科にかかればいいのかわからない。
続いて、半分くらい寝ながら「日本沈没」を見る。
予想していたほどトンデモ映画ではなく、要所要所が
「滅びの美学」という感じなのは良い。
さあ泣け!と言わんばかりのシーンでウルウルして
しまうのが悔しい。
明和電機の社長がかなりおいしい出方をしていたのが
面白かった。アンノとトミノはどこにいたんだろう?
総理が実は生きていて「エアフォース・ワン」ばりの
活躍をすると思ったのに。
相棒は死にフラグ立てすぎ。歌が流れるシーン長すぎ。
ここまでベタな展開にするなら最後は「落とし胤」では
ないのだろうか。
「結局最後に頼りになるのは自衛隊なんだよ」風味の
演出は叩かれていそうだなと思った。
わだつみで降りてくシーンは心中で敬礼だろうし。
しかし一番言いたいのは、「これ原作と全然違う話に
なっちゃってるじゃん!」ということだ。
「日本沈没」を見ていると思っていたのに、実際は
「アルマゲドン」だった。原作けっこう好きなのに……。
これを見終わってもまだ眠れない。あと5時間で到着。
見たい映画があと「パイレーツ・オブ・カリビアン」2と
「THE 有頂天ホテル」とあり、前者は始まるタイミングを
逃したので、二度目の昼ご飯を食べながら後者を見る。
ペンネアラビアータ。
飛行機が西へ飛ぶから、ずっと昼が続く。
「THE 有頂天ホテル」は笑えるが、感情の動きや台詞は
ちょっと唐突かなあと思うところもあり。先の読める
展開を少しハズすのがうまい。しかしラストだけ
時間切れになってしまい見られず、16時に着陸。
着陸間際、農園風景の中に一瞬、お城のように立派な
石造りの建物が見え、さすがヨーロッパ!と感動する。
空港でスーツケースが出てくるのを待ちながら、一緒の
便にたまたま乗っていたプレイヤーさんたちに声をかけて
ホテルまで一緒にタクシーで行くことにする。
フランスのタクシーは助手席には乗れないシステム
なので、3人ずつ分かれて乗る。
ワゴン車だったので料金が高いかもしれないと警戒し、
乗る前に「ルーブルまでいくら?」と聞いたら
ガイドブックに書いてある通りの目安額だった。
高速道路のわきに建っている高層マンション?のような
ビルの屋上に、ナショナルとかパナソニックとかサムソン
とか企業ロゴのネオンが1つのビルに1つずつついている
のが気になる。オフィスビルではないと思うのだが。
凱旋門の西側から市内に入り、その眺めに感動の声を
あげてしまう。エッフェル塔もちかちか点滅していた。
月並みな感想だけど、映画の中のような風景だった。
シャンゼリゼ通りを東へ走る途中、両脇の街路樹の
イルミネーションが一瞬だけ点いて、すぐに消えた。
点灯は12月からのはずだから、お試しか?
シャンゼリゼ通りは表参道みたいだ、と逆転した
感想を覚えてしまう。フーケッツには行きたかった。
途中の広場からトンネルに入り、セーヌ川沿いに出て
ルーブルの南側を回り、ガラスのピラミッドの正面を
抜けて(別に遠回りしたんじゃなくてルーブル北側の
通りは一方通行なのだった)ホテル・ド・ルーブルに
到着。44.4ユーロ。カードは使えずお金で払うが、
チップを渡し忘れた。
さっそくホテルの中に荷物が運び込まれてしまうが、
私のホテルはここではないので慌てて取り返す。
自分のホテルはそこからパレ・ド・ロワイヤルを
左手に見て一つ角を曲がったところにある。
初めての国、初めての街でちゃんと思ったとおりの
道を通って一直線にホテルに辿り着ける自分を褒めたい。
2つ星で、わりとモダンな内装のホテル。
受付では英語が通じた。名前を伝えたらちゃんと
予約はできていたが、PC操作にしばらく待たされる。
渡されたカードキーは穴あきパンチ式。
「外出するときは鍵を預けてね。24時間空いてるけど
夜中は入り口が閉まるから横のブザーを鳴らすこと。
朝ご飯はビュッフェで12ユーロ。部屋で食べることも
できるけど、その場合は前日のうちに申し出てね」
と言われる。英語が母語でない人の英語は聞き取れる。
102号室だが、0階、E階とあって1階は日本で言う3階。
建物は7階建てだった。
部屋は二人用とおぼしく、ダブルベッドにアメニティが
2つずつある。しかし冷蔵庫もセーフティボックスも
なく、シャワーだけでバスタブがない。あとコップが
プラスチックカップしかなく、せっかく携帯湯沸しと
ティーバッグをいろいろ持って来たのに使えない。
テレビは部屋の上の隅っこにある。
荷物を広げる前に、部屋の中の写真を撮る。
窓の外を見ると、人のいないカフェがあり、学校の
ような建物が見えるが、カーテンで室内を隠すという
感覚があまりないのか、こうこうと明るく丸見え。
さすがにこの部屋にはちゃんとカーテンが2枚あるが。
あと、思ったよりずっと気温が高い。14度くらい。
荷物をばらし、少し寝て、19時前にルーブルに向かう。
会場がルーブル美術館の地下ということなので、
とりあえずガラスのピラミッドの正面入り口に行くが、
「今日は休みだよ」と言われてしまう。
「カルーセル・ド・ルーブルに行きたいんですが」と
言うと、「リヴォリ通りから入れ」と言われる。
指差されたほうへ行き、間違えてメトロの入り口の
階段を降りてしまったりしつつ、カルーセルと書いて
ある入り口にたどりつく。するとおばさんのすごい
大行列ができている。氷川きよしのコンサートか?
入り口にいる係の人に「ウィザーズ社のイベントに
行きたいのですが……」と言うがなかなか通じず、
面倒くさくなったのか「もういいから通れ」となる。
地下にはアクセサリーや画材や服を扱う商店街があり、
例のダ・ヴィンチ・コードで有名な逆さピラミッドの
ホールはピンクに照明されてジャズの生演奏中だった。
奥にはヴァージン・メガストアがあり、本も多く
扱っていた。SFファンタジーのコーナーにグイン・
サーガの翻訳本があった。2巻だけ。タイトルは
たぶん「砂漠の王者」。表紙は天野絵だった。
また、日本の翻訳コミック単行本が大量にあった。
有名なのはだいたい手に入りそうな感じ。立ち読み
している人がいた。
しばらくすると光る羽飾りをつけたコンパニオンの
お姉さんが商店街フロアのあちこちで飲み物を配り
始め、さっきの行列の人たちがいっぱい入ってきた。
どうも19時からこの商店街で時間限定のバーゲンを
やるらしく、店頭に「50%オフ」の張り紙がされていた。
これは明日になったらもうはがされていたが、ピンクの
飾りつけはずっとやっていた。クリスマス用か?
世界選手権の受付に行くと、プレイヤーのすごい行列。
おばさまたちと入り混じってわけがわからない状態。
入り口で1人ずつゆっくりチェックしているので、
中に入るまでがすごく大変なようだ。
入り口ででっかいセラ天の像がお出迎え。
これを組み立てるところを早回しのビデオでやって
いたが、足元を一本の棒だけで支えているのがすごい。
細長い通路がマジックの装飾で覆われ、奥にはサイン会
アーティストの額装イラストが画廊ふうに並んでいる。
Hall of FameのメンバーがTシャツとジーンズになって
陳列してある。
台にある食べ物はパンとチーズとすっぱい野菜と
すっぱい米サラダ……味は正直イマイチ口に合わない。
ジャガイモとコンビーフはまあまあだったけど、
山盛りに盛られてしまい食べるのに苦労した。
立食パーティ式なので、いろんな人が来たりいなく
なったりしながら、デッキの話などをしていた。
津村君がずっとあとから来て、聞いたら「行列を
ずっと待っていた」と言う。PoYなんだから顔パスだろ!
とも思うんだけど、「そういうのは感じ悪いと思って
じっと待ってた」というのが偉い。
22時ごろ就寝。
この日の支出:
タクシー代15ユーロ
11月2日の日記
2006年11月2日PT神戸カバレッジ、なんとか一通り読み終わった。
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgevent/ptkob06ja/welcome
この質量はやばい。充実しすぎ。
他分野の「実況記事」でここまでのものが思いつかない。
ここ最近、ぐんぐんと質が上がってきたカバレッジの、
今回がまさに集大成と言ってもいいように思う。
あらゆるテクニックとアイディアを盛り込んだ、この質
この量の記事群を、一ヵ月後の誌面ではなく24時間
以内に読めることの凄さ。ホントありえないって!
あと初めて見たんだけど、ドラフトビューアも凄い。
これは見てて飽きないわ。
■神戸カバレッジ・アニマ的BEST5■
私の勝手な好みで決めたベスト記事。
第一位
Feature: 「時のらせん」ドラフトの基礎
〜プロツアーチャンプが語るコモンピックオーダー〜
→ものすごく役に立つ上、八十岡さんコメント面白すぎ。
第二位
準々決勝: 鈴木 貴大(東京) vs. Willy Edel(ブラジル)
→切り分けられた冒頭の文章の積み重ねなど、
全体を通じて川崎節の真骨頂という感じで、すごい好き。
第三位
Feature: 歩み行く者たち
→まとめの二段落がうますぎる。私には絶対書けない。
第四位
Photo Essay: Craig 天才写真館
→ビジュアルの力は本当に偉い。どのイベントでも
もっと写真をたくさん載せてほしいものだ。
第五位
Round 15: 津村 健志(広島) vs. Thomas Gundersen(ノルウェー)
→純粋に名勝負というのもあるが、1人ずつ津村君が
切ってきたプレイヤーの重みに触れているのが良い。
その他
Draft Report: 決勝ドラフト―齋藤 友晴
→読者に要求されるレベルは少し高めながら、背伸び
できる良い内容だと思う。
逆に「それぞれの勝負駆け」は私には難しかった。
Draft Report: 第5ドラフト―八十岡 翔太(神奈川)
→ただ八十岡コメントが面白いだけという説もあるが……。
Round 15: 齋藤 友晴(東京) vs. Andre Coimbra(ポルトガル)
→弾むテンポというか、ラストが決まった短い音楽のような。
GP山形には行けないのでまたカバレッジを楽しみにしようっと。
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgevent/ptkob06ja/welcome
この質量はやばい。充実しすぎ。
他分野の「実況記事」でここまでのものが思いつかない。
ここ最近、ぐんぐんと質が上がってきたカバレッジの、
今回がまさに集大成と言ってもいいように思う。
あらゆるテクニックとアイディアを盛り込んだ、この質
この量の記事群を、一ヵ月後の誌面ではなく24時間
以内に読めることの凄さ。ホントありえないって!
あと初めて見たんだけど、ドラフトビューアも凄い。
これは見てて飽きないわ。
■神戸カバレッジ・アニマ的BEST5■
私の勝手な好みで決めたベスト記事。
第一位
Feature: 「時のらせん」ドラフトの基礎
〜プロツアーチャンプが語るコモンピックオーダー〜
→ものすごく役に立つ上、八十岡さんコメント面白すぎ。
第二位
準々決勝: 鈴木 貴大(東京) vs. Willy Edel(ブラジル)
→切り分けられた冒頭の文章の積み重ねなど、
全体を通じて川崎節の真骨頂という感じで、すごい好き。
第三位
Feature: 歩み行く者たち
→まとめの二段落がうますぎる。私には絶対書けない。
第四位
Photo Essay: Craig 天才写真館
→ビジュアルの力は本当に偉い。どのイベントでも
もっと写真をたくさん載せてほしいものだ。
第五位
Round 15: 津村 健志(広島) vs. Thomas Gundersen(ノルウェー)
→純粋に名勝負というのもあるが、1人ずつ津村君が
切ってきたプレイヤーの重みに触れているのが良い。
その他
Draft Report: 決勝ドラフト―齋藤 友晴
→読者に要求されるレベルは少し高めながら、背伸び
できる良い内容だと思う。
逆に「それぞれの勝負駆け」は私には難しかった。
Draft Report: 第5ドラフト―八十岡 翔太(神奈川)
→ただ八十岡コメントが面白いだけという説もあるが……。
Round 15: 齋藤 友晴(東京) vs. Andre Coimbra(ポルトガル)
→弾むテンポというか、ラストが決まった短い音楽のような。
GP山形には行けないのでまたカバレッジを楽しみにしようっと。
PT神戸日記4
2006年10月28日●プロツアー飯
何かをじゅうじゅう焼いていたのが見えて、「肉だー!」
と喜んだら、お好み焼きだった。
あと野菜の天ぷら(シイタケだらけのサリッドデッキ)、
点心盛り合わせと、果物とケーキがあった。
ドラフトの話をし、「縦のシナジー」と「横のシナジー」
という言葉を学んだ。《雑種犬》と《ワームの咆哮》の
ように積み重ねるシナジーと、全体とつながる《火花鍛冶》
のようなシナジーのこと。
この環境のドラフトは、横のシナジーを作りながら
どれだけ縦のシナジーを作れるかが勝負を分けるという。
ご飯を食べながら、鈴木君がテーブルにデッキを広げて
いた。U-18トーナメントに出るためだという。
その後出場しているところを見に行ったら、容赦なく
勝ちに行っていて、大人気ないと大評判だった。
自分を追う若者の芽をつぶしておこうというのか。
あるいは獅子は千尋の谷に子を突き落とすのか。
●その後
観光に行こうかなとも思うが、会場を離れるのも面倒
なので準決勝と決勝を大画面で観戦する。
イヤホンはないので、スピーカーのそばの席につく。
解説が本当に面白い。
ノスリのチャンプアタックはネタにされすぎ(笑)
私の前の席に、ずっと2chのプレミアイベントスレに
書き込みをしている、コテハン「現地」の人が
いたんだけど、自分しか知らない情報を伝えて
みんなから反応があるというのはすごく楽しいこと
なのだろうなと思う。まさにレポーターの幸福。
小腹がすいたので近くのコンビニに行く。200円。
二年半前、このコンビニへの道をジャッジの大橋さんと
津村君と、あともう1人か2人広島のプレイヤーを連れて
みんなで歩いたことを思い出して、しみじみする。
あの頃はまだ、津村君はそんなに有名じゃなかった。
決勝が終わり表彰式も終わり、Mさんが8ドラを
やっているのを見学する。さすがに私は、外国の人が
たくさんいる中で初めてのTSドラフトをやる勇気はない。
できたのは赤緑のけっこう強そうなデッキだった。
「これは横のシナジーのデッキですか」と聞いたら、
「分かったような口をきくな」と言われた(笑)
実際には、待機してゴブリントークンを出して
オーバーランするので、縦のシナジーデッキだった。
決勝まで進み、相手の新幹線の時間によりスプリット。
その後、別のドラフトで3勝したときのデッキという
のを貸してもらって、対戦した。白青のレベルデッキ。
難しいが、レベルは強い。
●SBJ合流
今日もSBJの人々が仕事を終えるのを待たせてもらう。
なんとか全部の作業を終え、そこらへんのゴミを捨て、
残っている飲食物をかき集める。
PTQがまだ細々と行なわれている会場を出て、
22時ごろホテルに戻る。
さすが、ポートピアホテルの部屋は広くてきれい。
バルコニーもあって、夜景と下のプールが見える。
4人でドラフト開始。私はこれが初めてのドラフトで、
黒白はいけないとわかっていながらも結局黒白に
なってしまい、しかも重いカードばかり。
1,2ターン目に待機できるカードはすごく重要だ。
《マーフォークの暗殺者》+《軍用船》の
タイムシフト・コンボを決められて負けた。
そのあとKさんがやってきて、5人でドラフト。
今度は赤白のスリヴァーデッキができた。
《巻物の大魔道師》も入っている(これが出たときの
パックはすごく充実していて13手目くらいまで強かった)。
Kさんとの対戦で、土地4枚で4/2赤スリヴァーを出し、
次のターンに土地5枚6/2赤スリヴァー追加、次のターンに
土地6枚になって全員ダブルストライクでどかーん、
みたいなことをやって気分爽快に勝った。最高。
全然カードも覚えてないし、弱いし、しかも眠いから
てんで相手にもならなかったかもしれないけど、
たくさん遊んでもらって本当に楽しかった。
TSドラフトのこともちょっとわかってきた。
今マジックがやりたくて仕方がない。
シールドデッキを2つ作ってひとりで対戦するくらい、
マジックがやりたい。
スタンダードをやりたいと思ったのは何年ぶりだろう。
とにかく《合同勝利》が撃ちたい!
さすがに都道府県選手権は近すぎて無理だけど……。
3時半ごろに辞し、微妙に帰り道がよくわからなかったので
すぐそばだけどタクシーに乗ってパールシティに帰る。
660円。そのままベッドに倒れ、4時就寝。
◆10月23日(月)
かれかのシールドのときに、ボールペンを忘れて
Nさんに借りていたのだが、荷造りをしている時に
それをクローゼットの隙間に落っことした。
ホテルを取り壊すときでもなければ、もう出てこない。
ごめんなさい。
帰りの新幹線の時間は決まっていなかったのだけど、
なんとなく、9時半にホテルを出ようと決めてチェック
アウトしたら、ちょうど入り口にシャトルバスが
止まっていて、三宮を経由して新神戸に行くという。
乗ったら即発車して、乗り換えの手間と440円が省けた。
ラッキー。
会社と家にお土産を買い(2,360円)、お昼にロースト
ビーフの駅弁とお茶のペットボトルを買う(1,350円)。
10:25のひかり号自由席に乗り、弁当を食べて寝る。
オニオンフライを散りばめたキノコピラフ(といっても
しめじ3切れくらいしか入ってなかった)の上にロースト
ビーフが乗ってて、塩と胡椒をふって食べる。
14時に会社に戻り、夜まで必死に働き、
・雨
・寒い
・日が変わる時刻
・旅行の大荷物
という四連コンボにより、贅沢してタクシーで帰宅。
そしてようやくカバレッジを読み始めることができた。
※かなり自分より年下だということがわかっている人は
「君」付けになっていますが、他意はありません。
※本戦で活躍していた方は実名になっていたりしますが、
こちらも他意はありません。
何かをじゅうじゅう焼いていたのが見えて、「肉だー!」
と喜んだら、お好み焼きだった。
あと野菜の天ぷら(シイタケだらけのサリッドデッキ)、
点心盛り合わせと、果物とケーキがあった。
ドラフトの話をし、「縦のシナジー」と「横のシナジー」
という言葉を学んだ。《雑種犬》と《ワームの咆哮》の
ように積み重ねるシナジーと、全体とつながる《火花鍛冶》
のようなシナジーのこと。
この環境のドラフトは、横のシナジーを作りながら
どれだけ縦のシナジーを作れるかが勝負を分けるという。
ご飯を食べながら、鈴木君がテーブルにデッキを広げて
いた。U-18トーナメントに出るためだという。
その後出場しているところを見に行ったら、容赦なく
勝ちに行っていて、大人気ないと大評判だった。
自分を追う若者の芽をつぶしておこうというのか。
あるいは獅子は千尋の谷に子を突き落とすのか。
●その後
観光に行こうかなとも思うが、会場を離れるのも面倒
なので準決勝と決勝を大画面で観戦する。
イヤホンはないので、スピーカーのそばの席につく。
解説が本当に面白い。
ノスリのチャンプアタックはネタにされすぎ(笑)
私の前の席に、ずっと2chのプレミアイベントスレに
書き込みをしている、コテハン「現地」の人が
いたんだけど、自分しか知らない情報を伝えて
みんなから反応があるというのはすごく楽しいこと
なのだろうなと思う。まさにレポーターの幸福。
小腹がすいたので近くのコンビニに行く。200円。
二年半前、このコンビニへの道をジャッジの大橋さんと
津村君と、あともう1人か2人広島のプレイヤーを連れて
みんなで歩いたことを思い出して、しみじみする。
あの頃はまだ、津村君はそんなに有名じゃなかった。
決勝が終わり表彰式も終わり、Mさんが8ドラを
やっているのを見学する。さすがに私は、外国の人が
たくさんいる中で初めてのTSドラフトをやる勇気はない。
できたのは赤緑のけっこう強そうなデッキだった。
「これは横のシナジーのデッキですか」と聞いたら、
「分かったような口をきくな」と言われた(笑)
実際には、待機してゴブリントークンを出して
オーバーランするので、縦のシナジーデッキだった。
決勝まで進み、相手の新幹線の時間によりスプリット。
その後、別のドラフトで3勝したときのデッキという
のを貸してもらって、対戦した。白青のレベルデッキ。
難しいが、レベルは強い。
●SBJ合流
今日もSBJの人々が仕事を終えるのを待たせてもらう。
なんとか全部の作業を終え、そこらへんのゴミを捨て、
残っている飲食物をかき集める。
PTQがまだ細々と行なわれている会場を出て、
22時ごろホテルに戻る。
さすが、ポートピアホテルの部屋は広くてきれい。
バルコニーもあって、夜景と下のプールが見える。
4人でドラフト開始。私はこれが初めてのドラフトで、
黒白はいけないとわかっていながらも結局黒白に
なってしまい、しかも重いカードばかり。
1,2ターン目に待機できるカードはすごく重要だ。
《マーフォークの暗殺者》+《軍用船》の
タイムシフト・コンボを決められて負けた。
そのあとKさんがやってきて、5人でドラフト。
今度は赤白のスリヴァーデッキができた。
《巻物の大魔道師》も入っている(これが出たときの
パックはすごく充実していて13手目くらいまで強かった)。
Kさんとの対戦で、土地4枚で4/2赤スリヴァーを出し、
次のターンに土地5枚6/2赤スリヴァー追加、次のターンに
土地6枚になって全員ダブルストライクでどかーん、
みたいなことをやって気分爽快に勝った。最高。
全然カードも覚えてないし、弱いし、しかも眠いから
てんで相手にもならなかったかもしれないけど、
たくさん遊んでもらって本当に楽しかった。
TSドラフトのこともちょっとわかってきた。
今マジックがやりたくて仕方がない。
シールドデッキを2つ作ってひとりで対戦するくらい、
マジックがやりたい。
スタンダードをやりたいと思ったのは何年ぶりだろう。
とにかく《合同勝利》が撃ちたい!
さすがに都道府県選手権は近すぎて無理だけど……。
3時半ごろに辞し、微妙に帰り道がよくわからなかったので
すぐそばだけどタクシーに乗ってパールシティに帰る。
660円。そのままベッドに倒れ、4時就寝。
◆10月23日(月)
かれかのシールドのときに、ボールペンを忘れて
Nさんに借りていたのだが、荷造りをしている時に
それをクローゼットの隙間に落っことした。
ホテルを取り壊すときでもなければ、もう出てこない。
ごめんなさい。
帰りの新幹線の時間は決まっていなかったのだけど、
なんとなく、9時半にホテルを出ようと決めてチェック
アウトしたら、ちょうど入り口にシャトルバスが
止まっていて、三宮を経由して新神戸に行くという。
乗ったら即発車して、乗り換えの手間と440円が省けた。
ラッキー。
会社と家にお土産を買い(2,360円)、お昼にロースト
ビーフの駅弁とお茶のペットボトルを買う(1,350円)。
10:25のひかり号自由席に乗り、弁当を食べて寝る。
オニオンフライを散りばめたキノコピラフ(といっても
しめじ3切れくらいしか入ってなかった)の上にロースト
ビーフが乗ってて、塩と胡椒をふって食べる。
14時に会社に戻り、夜まで必死に働き、
・雨
・寒い
・日が変わる時刻
・旅行の大荷物
という四連コンボにより、贅沢してタクシーで帰宅。
そしてようやくカバレッジを読み始めることができた。
※かなり自分より年下だということがわかっている人は
「君」付けになっていますが、他意はありません。
※本戦で活躍していた方は実名になっていたりしますが、
こちらも他意はありません。
PT神戸日記3
2006年10月28日●かれかのシールドまとめ
双頭巨人戦は面白い。
1対1とは違うカードが意外な強さを発揮するのがいい。
相談するからゲーム全体での会話が増えて楽しい。
また、相方のフォローがすごくありがたくて新鮮。
私なんか、別に自分でプレイしてるわけでもないのに、
自分の場のクリーチャーに飛んできた除去をNさんが
カウンターしてくれると、理屈抜きでまず「なんて
いい人なんだ!」と感動する(笑)。
2人の実力が違えば違ったで、すごくためになる。
実際、私なら手拍子でこうプレイするのに、と思って
いてもNさんのプレイングは全然違って、それが
あとあと生きてくることがわかるし、刹那で何か
されると嫌だから、胞子カウンターがたまったら先に
苗木トークンは出しておく、なんて確かにその通りだ。
そして上手い人と私の違いは、なんといっても「気づくか
気づかないか」というところが、唯一最大。
私のミスするところは全部「あ、それは気づいてなかった」
というところ。すべてに気づき、なおかつその気づきが
異次元レベルで速いこと、それが上手さだと思った。
ただ、それでもプレイングに正解はないので、
迷うところは私にも相談してもらって決めたり、
私ならこうしますねとか話すことができると、
自分1人でやっているよりずっといろいろ覚えられる。
結論としては、どうもありがとうございました。
また何かの機会があればよろしくお願いします。
●本戦終了後
さっきの5ラウンド目の最中に、本戦のベスト8が決まって
アナウンスされていたが、遠くてよく聞こえなかった。
ラストの1人が「フロムジャパン!」というところだけ
聞こえて、うれしかった。
15ラウンド目の津村君のフィーチャーを途中だけ見て、
相手にオーバーランを撃たれ絶体絶命、というところで
自分の試合が始まってしまったので、その後どうなった
のかずっと気になっていた。しばらく経ってそのテーブル
から拍手が起こったんだけど、観客の表情からだけでは
津村君が勝ったのかどうかわからなくて、2人して
ずっとやきもきしていた。
NさんがKJさんのプレイヤーカードにサインを
もらっていた。裏の写真ばかり褒められるらしい。
タカラのサイトの記事がすごく面白いので、あのキャラで
今後もがんばってくださいと伝えた。
プレイヤーカードがなかなか集まらないんだよねと
いう話になり、会場のバイヤーが旧バージョンのコンプ
セットを売っていたことを、私が思い出す。
さっそくみんなでそのお店を見に行く。
昼は3セットくらいあったんだけど、もう1セットしか
残っていなかった。
お2人に譲ってもらって、私が買った。200円。超お得。
会場ですることがなくなったので、SBJの方々を待つ。
裏のスペースに入れていただき、カバレッジのトップの
文章を最後のまとめとして書いているところを見学した。
真剣な共同作業に感動。
というか、私が彼らのようにいつも文章と真剣に向き合って
いるかどうか、自問させられる。
●夜ご飯
SBJの方々の仕事が終わり、ホテルに荷物を置いて
お揃いの黒いシャツを私服に着替えるのを待つ。
その後、タクシー2台に分乗して三宮へ。
サウナのそばの「なきぼくろ」という創作料理屋に
行ってコースを頼み、追加でお肉とか海老とか食べる。
どれもすごく美味しかった。
慶太さんが着ていた鮮やかなオレンジのパーカー、
バーバリーなのかな? チェックにファーのついた
フードがめちゃめちゃ可愛かった。
津村君や友晴君のような、自制と自省、向上心と恒常心
(そんな言葉はないか)をもつ若者が勝ち残ったことは
とても素晴らしい、とみんなで言い合っていた。
彼らは取材慣れしてきて、感覚だけではなく「なぜ
こうなのか」という理由を話してくれるし、聞きたい
ことをわかってくれていて、とても取材しやすいらしい。
「ランダムガイ」という用語があるらしい。
「誰でも一緒」的な雑魚プレイヤーという意味らしいが、
さらにその下があって、「A Guy」というそうだ。
なんだか水陸両用っぽくて強そうだ。
なんかいろいろ面白い話が聞けたんだけど、眠くて
あまり覚えていない。ああもったいない。
タクシーで帰り、途中でパールシティホテルに私だけ
ドロップしてもらい、シャワー浴びて2時半ごろ就寝。
ちなみにSBJの人たちはこのあとドラフトをしたらしい。
◆10月22日(日)
●決勝ドラフト
10時起床、10:45会場入り。
フィーチャーエリアが世界選手権のときのように
完全隔離されていたら嫌だなと思っていたんだけど、
そんなことはなかった。
しかし、遠すぎてドラフトは全然見えない。
もちろん、中継の大画面で、真木さんと格さんの解説を
聞きながら見ればいいんだけど、それって家でネット
見てるのと同じ感覚なんだよね。
やっぱり、よく見えなくてもいいから、その場にいたい。
ドラフト円卓の周りにいるのは、プレイヤー8人、
読み上げジャッジ1人、ピック書き留めジャッジ4人、
ピック書き留めライター4人、SBJ4人、TVカメラ2台
(それぞれにカメラマンとアシスタント)、
日米のカメラマン2人。ぎっしり。
ドラフト終了後、津村君は「うはーやっちゃったー」
というような顔をしている。
BDMに「デッキはA,B,Cのどれ?」と聞かれて「D!」
と答えていた。
ちなみに友晴君は「Bかな?」と言っていた。
●決勝ラウンド
準々決勝がスタートするが、SBJは席がなく、手書きで
立って取材しないといけないのがちょっと気の毒だった。
アメリカのライターさんも、低い椅子にPCを置いて、
膝くらいの高さで打っているのでちょっと大変そう。
決勝ラウンドはカメラ映りがもっとも重視されるから
しかたないんだけど。
それにしては、スリーブ全部かけっぱなしだったな。
マジック公式スリーブだったらかまわないのか?
フィーチャーエリアの外側で試合が始まるのを待って
いたら、アメリカのライターさんが私の牛柄肩掛け
鞄を見て、「So cool!」と褒めてくれた。
準決勝まで残ったブラジルのプレイヤーは、袖に
「イタリア」と書いてある服を着ているのが気になった。
準々決勝で津村君を破ったフランスのプレイヤーは
お洒落だよね。私の好みではないけど。
ゲームの内容については、カバレッジなりビデオなりを
見てもらえばいいので特に書かない。
友晴戦の、3戦目でトリスケラバスを叩き付けた
瞬間と、対戦相手が頬を叩いたシーンは良かったな。
津村君は《天界の十字軍》で流れを引き寄せたように
見えたが結局力及ばず、鈴木君も負けてしまい、
すべてが友晴君の5戦目にかかったときは、このまま
この逆境を乗り越えて優勝まで突き進むストーリーが
見えたんだけど、駄目だった。しょんぼり。
帰る時間を気にしながら決勝ラウンドを見るのが
嫌だったから、月曜の朝に帰るプランにしたのに、
このあと見るものがなくなっちゃったよ!
とこぼしていたら、津村君に謝られた(笑)
双頭巨人戦は面白い。
1対1とは違うカードが意外な強さを発揮するのがいい。
相談するからゲーム全体での会話が増えて楽しい。
また、相方のフォローがすごくありがたくて新鮮。
私なんか、別に自分でプレイしてるわけでもないのに、
自分の場のクリーチャーに飛んできた除去をNさんが
カウンターしてくれると、理屈抜きでまず「なんて
いい人なんだ!」と感動する(笑)。
2人の実力が違えば違ったで、すごくためになる。
実際、私なら手拍子でこうプレイするのに、と思って
いてもNさんのプレイングは全然違って、それが
あとあと生きてくることがわかるし、刹那で何か
されると嫌だから、胞子カウンターがたまったら先に
苗木トークンは出しておく、なんて確かにその通りだ。
そして上手い人と私の違いは、なんといっても「気づくか
気づかないか」というところが、唯一最大。
私のミスするところは全部「あ、それは気づいてなかった」
というところ。すべてに気づき、なおかつその気づきが
異次元レベルで速いこと、それが上手さだと思った。
ただ、それでもプレイングに正解はないので、
迷うところは私にも相談してもらって決めたり、
私ならこうしますねとか話すことができると、
自分1人でやっているよりずっといろいろ覚えられる。
結論としては、どうもありがとうございました。
また何かの機会があればよろしくお願いします。
●本戦終了後
さっきの5ラウンド目の最中に、本戦のベスト8が決まって
アナウンスされていたが、遠くてよく聞こえなかった。
ラストの1人が「フロムジャパン!」というところだけ
聞こえて、うれしかった。
15ラウンド目の津村君のフィーチャーを途中だけ見て、
相手にオーバーランを撃たれ絶体絶命、というところで
自分の試合が始まってしまったので、その後どうなった
のかずっと気になっていた。しばらく経ってそのテーブル
から拍手が起こったんだけど、観客の表情からだけでは
津村君が勝ったのかどうかわからなくて、2人して
ずっとやきもきしていた。
NさんがKJさんのプレイヤーカードにサインを
もらっていた。裏の写真ばかり褒められるらしい。
タカラのサイトの記事がすごく面白いので、あのキャラで
今後もがんばってくださいと伝えた。
プレイヤーカードがなかなか集まらないんだよねと
いう話になり、会場のバイヤーが旧バージョンのコンプ
セットを売っていたことを、私が思い出す。
さっそくみんなでそのお店を見に行く。
昼は3セットくらいあったんだけど、もう1セットしか
残っていなかった。
お2人に譲ってもらって、私が買った。200円。超お得。
会場ですることがなくなったので、SBJの方々を待つ。
裏のスペースに入れていただき、カバレッジのトップの
文章を最後のまとめとして書いているところを見学した。
真剣な共同作業に感動。
というか、私が彼らのようにいつも文章と真剣に向き合って
いるかどうか、自問させられる。
●夜ご飯
SBJの方々の仕事が終わり、ホテルに荷物を置いて
お揃いの黒いシャツを私服に着替えるのを待つ。
その後、タクシー2台に分乗して三宮へ。
サウナのそばの「なきぼくろ」という創作料理屋に
行ってコースを頼み、追加でお肉とか海老とか食べる。
どれもすごく美味しかった。
慶太さんが着ていた鮮やかなオレンジのパーカー、
バーバリーなのかな? チェックにファーのついた
フードがめちゃめちゃ可愛かった。
津村君や友晴君のような、自制と自省、向上心と恒常心
(そんな言葉はないか)をもつ若者が勝ち残ったことは
とても素晴らしい、とみんなで言い合っていた。
彼らは取材慣れしてきて、感覚だけではなく「なぜ
こうなのか」という理由を話してくれるし、聞きたい
ことをわかってくれていて、とても取材しやすいらしい。
「ランダムガイ」という用語があるらしい。
「誰でも一緒」的な雑魚プレイヤーという意味らしいが、
さらにその下があって、「A Guy」というそうだ。
なんだか水陸両用っぽくて強そうだ。
なんかいろいろ面白い話が聞けたんだけど、眠くて
あまり覚えていない。ああもったいない。
タクシーで帰り、途中でパールシティホテルに私だけ
ドロップしてもらい、シャワー浴びて2時半ごろ就寝。
ちなみにSBJの人たちはこのあとドラフトをしたらしい。
◆10月22日(日)
●決勝ドラフト
10時起床、10:45会場入り。
フィーチャーエリアが世界選手権のときのように
完全隔離されていたら嫌だなと思っていたんだけど、
そんなことはなかった。
しかし、遠すぎてドラフトは全然見えない。
もちろん、中継の大画面で、真木さんと格さんの解説を
聞きながら見ればいいんだけど、それって家でネット
見てるのと同じ感覚なんだよね。
やっぱり、よく見えなくてもいいから、その場にいたい。
ドラフト円卓の周りにいるのは、プレイヤー8人、
読み上げジャッジ1人、ピック書き留めジャッジ4人、
ピック書き留めライター4人、SBJ4人、TVカメラ2台
(それぞれにカメラマンとアシスタント)、
日米のカメラマン2人。ぎっしり。
ドラフト終了後、津村君は「うはーやっちゃったー」
というような顔をしている。
BDMに「デッキはA,B,Cのどれ?」と聞かれて「D!」
と答えていた。
ちなみに友晴君は「Bかな?」と言っていた。
●決勝ラウンド
準々決勝がスタートするが、SBJは席がなく、手書きで
立って取材しないといけないのがちょっと気の毒だった。
アメリカのライターさんも、低い椅子にPCを置いて、
膝くらいの高さで打っているのでちょっと大変そう。
決勝ラウンドはカメラ映りがもっとも重視されるから
しかたないんだけど。
それにしては、スリーブ全部かけっぱなしだったな。
マジック公式スリーブだったらかまわないのか?
フィーチャーエリアの外側で試合が始まるのを待って
いたら、アメリカのライターさんが私の牛柄肩掛け
鞄を見て、「So cool!」と褒めてくれた。
準決勝まで残ったブラジルのプレイヤーは、袖に
「イタリア」と書いてある服を着ているのが気になった。
準々決勝で津村君を破ったフランスのプレイヤーは
お洒落だよね。私の好みではないけど。
ゲームの内容については、カバレッジなりビデオなりを
見てもらえばいいので特に書かない。
友晴戦の、3戦目でトリスケラバスを叩き付けた
瞬間と、対戦相手が頬を叩いたシーンは良かったな。
津村君は《天界の十字軍》で流れを引き寄せたように
見えたが結局力及ばず、鈴木君も負けてしまい、
すべてが友晴君の5戦目にかかったときは、このまま
この逆境を乗り越えて優勝まで突き進むストーリーが
見えたんだけど、駄目だった。しょんぼり。
帰る時間を気にしながら決勝ラウンドを見るのが
嫌だったから、月曜の朝に帰るプランにしたのに、
このあと見るものがなくなっちゃったよ!
とこぼしていたら、津村君に謝られた(笑)
PT神戸日記2
2006年10月28日●メインイベント
さて、いよいよ今日の目的である男女ペア双頭巨人戦、
通称「かれかのシールド」の受付時間になる。
最初、Mさんに声をかけていたんだけど、PTQで勝って
いるというので、そのへんで暇そうにしていたレベル6
魔法使いをリクルートしてみる。
いつも思うけど、このレベル6魔法使い(Nさん)は
ウィザーズにお金をもらって世界各地のイベントに行き、
あちこち観光をしているのが本当にうらやましい。
アテネではアクロポリスなどの遺跡を回ったという。
チーム数は意外と多く、15チームも集まった。
確か女性限定トーナメントだと最大でも12人くらいだった。
まずパックチェックがあり、デッキ構築して、5回戦。
その後トップ4チームがシングルエリミネーション2回戦
という長丁場のスケジュールを聞いてびっくりする。
おいおい、そんなに本格的にやるのか!
デッキチェックは二人がかりでさくっとすませ、
デッキ構築。まず弱い白を切り、赤は火力は多いけど
それ以外はいまいち。緑と黒が強く、茸デッキが
組めそうだったのでそれを私が引き受け、茸で守って
渡りクリーチャーで削る、というデッキを作る。
Nさんは青をメインに赤を加えたコントロールデッキ。
爆発的なカードはないが、除去が多くけっこう強そう。
構築の際、向かいにいたチームがI夫妻で、それぞれ
ハロウィーンの仮装をしていた。特にTさんの
マニキュアはクモやコウモリなど、たいへん凝っていた。
構築もさくっと終わったので(ツーヘッドのデッキ構築
時間って1時間くらいあるよね?)、本戦を見に戻る。
本戦の動向もすごく気になるんだけど、サイドイベントに
出ているとなかなか状況がわからないのがつらい。
ツーヘッドで注意すべきこと
・先攻はAプレイヤーのドローがない。
先攻の有利さがあまりないので後攻のほうが良さそう?
・各プレイヤーを対象にするカードは効果が2倍。
ライフ2点吸うスペルシェイパーはメチャメチャ強い。
逆に《鏡の大魔道師》は弱くなる、はず。
・時間切れ後、追加ターンは3ターンしかない。
これを知らなくてすごく焦った。
・筆記でのコミュニケーションは禁止。
日本語で相談していても海外のプレイヤーには理解
できないが、相手の英語の相談は聞き取れるので、
日本人には有利なフォーマットだ。
・気を抜くと引き分ける。
ライフ40点を削りきらないといけないし、相談も
お互いするので絶対に長びく。意識的に速くプレイ
する必要がある。
●1ラウンド目 勝ち
基本的にプレイングはNさんに任せ、私はドローして
土地だけ置くけど、呪文を使う際は「これでいいですか」
と確認して使ったり、あるいは「これを出してエンド
してください」と言われその通りやるだけの操り人形。
もともとそのつもりでリクルートしたので。
相手のマナがないスキにこちらのクリーチャーに
《新緑の抱擁》がついて、量産される苗木トークンを
黒サリッドで投げまくって勝ち。これはひどい。
●2ラウンド目 負け
相手のデッキがなかなか強く、ヤヤ・バラードやらに
対処するので精一杯という感じだった。
また、1/3をぶどう弾で殺すために蜘蛛で攻撃に行った
返しに5点くらったことと、3/1の渡りをみすみす
ノスリと相撃ちにしたことの2つを、ミスだったと
あとでNさんが言っていた。
そういわれればそんなものかなという気もするが、
私はそのときはそれでいいと信じ込んでいた。
●3ラウンド目 勝ち
楽しくゲームを始めるが、こちらが容赦なく6/6海蛇で
殴り続けるので、相手がだんだん無口になっていった。
相手「よし、プランAでいこう」
私「プランBやプランCもあるんですか」
N「そのプランも知りたい」
私「どれがいいかこちらからご提案しますよ」
●4ラウンド目 負け
《緑探し》を互いに出し合い、こちらには除去があったので
相手のほうだけ除去する。そのとき、Nさんが「あいつの
ことをどう思います?」と訊いてきて、私は全然これを
使ったことがなかったので、「別に好きでも嫌いでも
ないです」と答えたが、こいつは生かしておくと良くない。
私のほうの《緑探し》は毎ターンライブラリーを圧縮し、
最終的にライブラリーの土地がなくなるところまでいった。
しかし、そこまで圧縮しても除去を全然引けず、
ライフを吸う黒のスペルシェイパーに負けた。
ただ、ここでスタンディングとペアリングを見てみたら、
勝てばまだベスト4の目があるということなので
5ラウンド目まで頑張る。
●5ラウンド目
向こうのBプレイヤーさんが初手4枚から
スタートしたが、私のほうも土地事故ってモタモタ。
土地2枚と、色の違う軽いスペルがある手札のとき
私もNさんもけっこう始めてしまうほうで、だいたい
最初のドローで色の違う土地を引くのがパターン
なのだが、今回はうまくいかなかった。
あと、Aプレイヤーどうしが話しているときに、
Bプレイヤーさんから私の4/4ファンガスに除去が
飛んできて、そのまま死んでいたことがあったんだけど、
Nさんがそれに気づいてなく、「助けられたのに!」
と焦るも、巻き戻せなかったということがあった。
戦力が拮抗していて、時間切れになってしまう。
追加3ターンと言われてびっくりする我々。
当たり前のように5ターンだと思っていて、それなら
削りきれるのだが、3ターンだとあと1回しか殴れない。
どんなにがんばっても1点足りない!
これじゃベスト4は無理だーと残念がっていたら
(わりと2人とも本気で賞品を狙っていたらしい)、
「さっきの巻き戻しの件もありますし、譲りますよ」
と言っていただく。かたじけない。
しかし、最終的に3-2では足りず、5位。3-1-1だったら
ベスト4確定だった。賞品6パックをもらったが、私は
今カードを集めていないので全部あげて、デッキも
渡して、身軽になった。
決勝はツーヘッドドラフトらしい、という噂があったが
さすがに時間がないので普通にそのままシールド戦。
さて、いよいよ今日の目的である男女ペア双頭巨人戦、
通称「かれかのシールド」の受付時間になる。
最初、Mさんに声をかけていたんだけど、PTQで勝って
いるというので、そのへんで暇そうにしていたレベル6
魔法使いをリクルートしてみる。
いつも思うけど、このレベル6魔法使い(Nさん)は
ウィザーズにお金をもらって世界各地のイベントに行き、
あちこち観光をしているのが本当にうらやましい。
アテネではアクロポリスなどの遺跡を回ったという。
チーム数は意外と多く、15チームも集まった。
確か女性限定トーナメントだと最大でも12人くらいだった。
まずパックチェックがあり、デッキ構築して、5回戦。
その後トップ4チームがシングルエリミネーション2回戦
という長丁場のスケジュールを聞いてびっくりする。
おいおい、そんなに本格的にやるのか!
デッキチェックは二人がかりでさくっとすませ、
デッキ構築。まず弱い白を切り、赤は火力は多いけど
それ以外はいまいち。緑と黒が強く、茸デッキが
組めそうだったのでそれを私が引き受け、茸で守って
渡りクリーチャーで削る、というデッキを作る。
Nさんは青をメインに赤を加えたコントロールデッキ。
爆発的なカードはないが、除去が多くけっこう強そう。
構築の際、向かいにいたチームがI夫妻で、それぞれ
ハロウィーンの仮装をしていた。特にTさんの
マニキュアはクモやコウモリなど、たいへん凝っていた。
構築もさくっと終わったので(ツーヘッドのデッキ構築
時間って1時間くらいあるよね?)、本戦を見に戻る。
本戦の動向もすごく気になるんだけど、サイドイベントに
出ているとなかなか状況がわからないのがつらい。
ツーヘッドで注意すべきこと
・先攻はAプレイヤーのドローがない。
先攻の有利さがあまりないので後攻のほうが良さそう?
・各プレイヤーを対象にするカードは効果が2倍。
ライフ2点吸うスペルシェイパーはメチャメチャ強い。
逆に《鏡の大魔道師》は弱くなる、はず。
・時間切れ後、追加ターンは3ターンしかない。
これを知らなくてすごく焦った。
・筆記でのコミュニケーションは禁止。
日本語で相談していても海外のプレイヤーには理解
できないが、相手の英語の相談は聞き取れるので、
日本人には有利なフォーマットだ。
・気を抜くと引き分ける。
ライフ40点を削りきらないといけないし、相談も
お互いするので絶対に長びく。意識的に速くプレイ
する必要がある。
●1ラウンド目 勝ち
基本的にプレイングはNさんに任せ、私はドローして
土地だけ置くけど、呪文を使う際は「これでいいですか」
と確認して使ったり、あるいは「これを出してエンド
してください」と言われその通りやるだけの操り人形。
もともとそのつもりでリクルートしたので。
相手のマナがないスキにこちらのクリーチャーに
《新緑の抱擁》がついて、量産される苗木トークンを
黒サリッドで投げまくって勝ち。これはひどい。
●2ラウンド目 負け
相手のデッキがなかなか強く、ヤヤ・バラードやらに
対処するので精一杯という感じだった。
また、1/3をぶどう弾で殺すために蜘蛛で攻撃に行った
返しに5点くらったことと、3/1の渡りをみすみす
ノスリと相撃ちにしたことの2つを、ミスだったと
あとでNさんが言っていた。
そういわれればそんなものかなという気もするが、
私はそのときはそれでいいと信じ込んでいた。
●3ラウンド目 勝ち
楽しくゲームを始めるが、こちらが容赦なく6/6海蛇で
殴り続けるので、相手がだんだん無口になっていった。
相手「よし、プランAでいこう」
私「プランBやプランCもあるんですか」
N「そのプランも知りたい」
私「どれがいいかこちらからご提案しますよ」
●4ラウンド目 負け
《緑探し》を互いに出し合い、こちらには除去があったので
相手のほうだけ除去する。そのとき、Nさんが「あいつの
ことをどう思います?」と訊いてきて、私は全然これを
使ったことがなかったので、「別に好きでも嫌いでも
ないです」と答えたが、こいつは生かしておくと良くない。
私のほうの《緑探し》は毎ターンライブラリーを圧縮し、
最終的にライブラリーの土地がなくなるところまでいった。
しかし、そこまで圧縮しても除去を全然引けず、
ライフを吸う黒のスペルシェイパーに負けた。
ただ、ここでスタンディングとペアリングを見てみたら、
勝てばまだベスト4の目があるということなので
5ラウンド目まで頑張る。
●5ラウンド目
向こうのBプレイヤーさんが初手4枚から
スタートしたが、私のほうも土地事故ってモタモタ。
土地2枚と、色の違う軽いスペルがある手札のとき
私もNさんもけっこう始めてしまうほうで、だいたい
最初のドローで色の違う土地を引くのがパターン
なのだが、今回はうまくいかなかった。
あと、Aプレイヤーどうしが話しているときに、
Bプレイヤーさんから私の4/4ファンガスに除去が
飛んできて、そのまま死んでいたことがあったんだけど、
Nさんがそれに気づいてなく、「助けられたのに!」
と焦るも、巻き戻せなかったということがあった。
戦力が拮抗していて、時間切れになってしまう。
追加3ターンと言われてびっくりする我々。
当たり前のように5ターンだと思っていて、それなら
削りきれるのだが、3ターンだとあと1回しか殴れない。
どんなにがんばっても1点足りない!
これじゃベスト4は無理だーと残念がっていたら
(わりと2人とも本気で賞品を狙っていたらしい)、
「さっきの巻き戻しの件もありますし、譲りますよ」
と言っていただく。かたじけない。
しかし、最終的に3-2では足りず、5位。3-1-1だったら
ベスト4確定だった。賞品6パックをもらったが、私は
今カードを集めていないので全部あげて、デッキも
渡して、身軽になった。
決勝はツーヘッドドラフトらしい、という噂があったが
さすがに時間がないので普通にそのままシールド戦。
PT神戸日記1
2006年10月28日■プロツアー神戸日記(抜粋版)■
◆10月20日(金)
●東京発神戸行
仕事を片付けて東京駅に出、夜ご飯用に笹寿司の詰め
合わせと爽健美茶のペットボトルを買う。650円。
16:36発のひかり号岡山行、指定席。
15番ホームに行き、15号車と勘違いしてホームの端まで
ひたすら歩くが、切符を確認したら7号車で、また戻る。
行き先表示板に並ぶ駅名の、「新神戸」という文字を
見ただけでやたらと感動した。旅に出るのだ!と。
窓際の席で暮れかけた東京を眺めつつ、清涼院流水
「19ボックス」を読み、時々寝て、笹寿司を食べる。
通り過ぎる夜景を見ていると頭が空っぽになる。
座席はどんどん空いていく。20時に新神戸に着く。
新幹線の改札を出て、地下鉄に向かう途中の景色で
思い出した。二年半前のプロツアー神戸のときに、
この地下鉄に降りるエスカレーターのところで、
ジャッジのすずけんさんに会い、その後三宮から
ポートライナーに乗り換えたらジャッジの若月さんが
いて、3人で降りて夜の遊歩道をホテルに向かった
記憶が甦る。
今回はその行程を1人でホテルへ。計440円。
前は会場そばのポートピアホテルだったけど、高いので
今回はそこから3分くらい離れたもう少しリーズナブルな
パールシティというホテルにした。
前はポートライナーはぐるっと一回りするだけだった
けれど、あれから神戸空港ができて、ポートライナーの
行き先が枝分かれするようになっていた。
乗ったのが空港行きだったので、プロツアー会場のある
市民広場駅で降りて別方向の電車を待っていると、
マジックプレイヤーがホームに現れて、ああ、そばまで
来たんだなと実感した。
会場に顔を出しても良かったんだけど、もう21時近い
から試合は終わっているだろうし、今日はホテルで
のんびりすることに決める。実際は、まだその時間には
7ラウンド目をやっていたらしいが。
●ホテルにて
チェックインするが、PCを持ってきていないので
今日のカバレッジが読めない。
ホテルの案内を見ると「ライブラリー」という場所で
インターネットが無料で使えると書いてあった。
22時までオープンなので、さっそく行ってみる。
しかしそこにはネット接続用のケーブルしかなく、
自分でPCを持ってきてつなぐための場所だった。
がっかりするのもつかの間。ライブラリーには
けっこうな量の本があって、漫画や雑誌もあった。
「日出処の天子」をひとしきり読み返したあと、
吉本ばななの「TUGUMI」を借り出す。
受験のとき、断片的に現国の教材やテストで読んで
面白そうだと思っていたんだけど、なぜか今まで
ちゃんと通して読んだことがなかったので。
ホテルの向かいにあるセブンイレブンに行き、
夜食のサラダと明日の朝ご飯を買う。540円。
熱い風呂に入りながらTUGUMIを読む。
出てみたらなぜか風呂場の床が水浸しになっていた。
水でひたひたになってずっしりと重い足拭きマットを
渾身の力で絞り、床を拭く。
TUGUMIを読みながら12時すぎには寝る。
BGMをつけたらブラームスの交響曲第1番がかかっていた。
ホテルに修学旅行生がいっぱい泊まっていて、上の
部屋がその子たちなのか、どしんどしんと賑やかだった。
あとこの部屋、ベッドの枕の横にクローゼットがあり、
その扉が全身鏡になっているので、枕から横を向くと
自分の寝顔が見えるんだけど……どうなのそれ?
◆21日(土)
●プロツアー会場
会場まで道案内してもらおうと、同じホテルに木曜から
泊まっていたMさんと10時にロビーで待ち合わせる。
しかしホテルの目覚ましが鳴らなかったとのことで、
15分遅刻。新聞を読んで待つ。
私はホテルの目覚ましは信用していないので、必ず
PHSの目覚ましで起きるようにしている。
なつかしい駅の広場を通り抜けて会場へ。
前のプロツアーのときは会場は向かいの2号館だったと
思い出す。今日そこではバーゲンをやっていて、
大行列ができていた。
プロツアー会場でも、入ってすぐのインフォメーション
ブースに行列ができていた。エターナルドラゴンの
プロモカードを配っている。私も並んでもらった。
さっそくフィーチャーエリアを見に行く。
今回の会場は青がテーマカラーで、すべて白と青が
基調になっているのがとてもきれい。特に椅子がお洒落。
知り合いに挨拶しつつ、本戦の様子を追う。
射場本さんが半年ぶりにマジックやったらなんだか
調子がいいとか、プレイヤーもタイムシフトした感じ。
今回ジャッジの面子はほとんど知っている方ばかりで、
本当はもっといろいろとお話ができたらよかったの
ですが、皆さんたいへん忙しそうで残念でした。
●駄文
会場で見かけたカッコいいプレイヤーの話。
まずは「天然さん」ことアミール・テネンバウム。
フランス人だけど、今は父親の仕事の都合でドイツに
住んでいて、たまたまマジック仲間を見つけたので
ドイツ選手権に出て2位になり、復帰したという。
相変わらず美形。
そして彼と時々一緒に行動してた少年。黒い野球帽を
かぶり、すごく顔が小さくて、ふわふわの金髪巻き毛を
肩口まで伸ばした細身の美少年。ドイツ人かな?
途中で本戦をドロップしていたので名前もわからず。
あと、サラサラのアッシュ・ブロンドを横分けにして
前髪をぱらりとたらした、少女漫画の王子様みたいな
プレイヤーもいたな。
3人とも眼鏡はかけてないけどね。
●サイドあちこち
ドラフトのテーブルがすごく遠くて全然見えないので、
サイドイベントのエクステンデッドを見る。
懐かしい顔もたくさんいるし、インベイジョン以降だから
カードの内容が全部わかる。これはいいな。
今では《サイカトグ》も《野生の雑種犬》も、《突然の
ショック》で一撃だから怖くない。
トロンの《精神隷属器》だけは本当に駄目だと思うけど。
今ならエクステンデッドもやれそうだな。
あと、神戸牛争奪双頭巨人戦にもすごい数のチームが
集まっていた。ツーヘッドもずいぶん浸透したな。
というかそんなに牛が食べたいのか。
プロツアー10周年を記念して、巨大なケーキが会場に
ふるまわれた。70キロ。神戸の料理学校?で作って
もらったものらしい。運ぶのもたいへんだったろう。
配り始めたら一気に大行列ができたので、一瞬で
なくなっちゃうかなと思ったけれど、1人100グラムずつ
配って700人分あるので、私もちゃんと食べられた。
こんなイベント用だから、ぱさぱさしてあまりおいしく
なくても納得するんだけど、食べてみたらぎっしりと
レーズンが入りクリームたっぷりで、とても美味しかった。
でも甘い。何個も食べるのは無理。
食べた人たちはどっと給水器に群がっていた。
あと、入り口にお店を出していたケンタッキーの
クリスピーチキン×2(280円)で昼ごはん。
◆10月20日(金)
●東京発神戸行
仕事を片付けて東京駅に出、夜ご飯用に笹寿司の詰め
合わせと爽健美茶のペットボトルを買う。650円。
16:36発のひかり号岡山行、指定席。
15番ホームに行き、15号車と勘違いしてホームの端まで
ひたすら歩くが、切符を確認したら7号車で、また戻る。
行き先表示板に並ぶ駅名の、「新神戸」という文字を
見ただけでやたらと感動した。旅に出るのだ!と。
窓際の席で暮れかけた東京を眺めつつ、清涼院流水
「19ボックス」を読み、時々寝て、笹寿司を食べる。
通り過ぎる夜景を見ていると頭が空っぽになる。
座席はどんどん空いていく。20時に新神戸に着く。
新幹線の改札を出て、地下鉄に向かう途中の景色で
思い出した。二年半前のプロツアー神戸のときに、
この地下鉄に降りるエスカレーターのところで、
ジャッジのすずけんさんに会い、その後三宮から
ポートライナーに乗り換えたらジャッジの若月さんが
いて、3人で降りて夜の遊歩道をホテルに向かった
記憶が甦る。
今回はその行程を1人でホテルへ。計440円。
前は会場そばのポートピアホテルだったけど、高いので
今回はそこから3分くらい離れたもう少しリーズナブルな
パールシティというホテルにした。
前はポートライナーはぐるっと一回りするだけだった
けれど、あれから神戸空港ができて、ポートライナーの
行き先が枝分かれするようになっていた。
乗ったのが空港行きだったので、プロツアー会場のある
市民広場駅で降りて別方向の電車を待っていると、
マジックプレイヤーがホームに現れて、ああ、そばまで
来たんだなと実感した。
会場に顔を出しても良かったんだけど、もう21時近い
から試合は終わっているだろうし、今日はホテルで
のんびりすることに決める。実際は、まだその時間には
7ラウンド目をやっていたらしいが。
●ホテルにて
チェックインするが、PCを持ってきていないので
今日のカバレッジが読めない。
ホテルの案内を見ると「ライブラリー」という場所で
インターネットが無料で使えると書いてあった。
22時までオープンなので、さっそく行ってみる。
しかしそこにはネット接続用のケーブルしかなく、
自分でPCを持ってきてつなぐための場所だった。
がっかりするのもつかの間。ライブラリーには
けっこうな量の本があって、漫画や雑誌もあった。
「日出処の天子」をひとしきり読み返したあと、
吉本ばななの「TUGUMI」を借り出す。
受験のとき、断片的に現国の教材やテストで読んで
面白そうだと思っていたんだけど、なぜか今まで
ちゃんと通して読んだことがなかったので。
ホテルの向かいにあるセブンイレブンに行き、
夜食のサラダと明日の朝ご飯を買う。540円。
熱い風呂に入りながらTUGUMIを読む。
出てみたらなぜか風呂場の床が水浸しになっていた。
水でひたひたになってずっしりと重い足拭きマットを
渾身の力で絞り、床を拭く。
TUGUMIを読みながら12時すぎには寝る。
BGMをつけたらブラームスの交響曲第1番がかかっていた。
ホテルに修学旅行生がいっぱい泊まっていて、上の
部屋がその子たちなのか、どしんどしんと賑やかだった。
あとこの部屋、ベッドの枕の横にクローゼットがあり、
その扉が全身鏡になっているので、枕から横を向くと
自分の寝顔が見えるんだけど……どうなのそれ?
◆21日(土)
●プロツアー会場
会場まで道案内してもらおうと、同じホテルに木曜から
泊まっていたMさんと10時にロビーで待ち合わせる。
しかしホテルの目覚ましが鳴らなかったとのことで、
15分遅刻。新聞を読んで待つ。
私はホテルの目覚ましは信用していないので、必ず
PHSの目覚ましで起きるようにしている。
なつかしい駅の広場を通り抜けて会場へ。
前のプロツアーのときは会場は向かいの2号館だったと
思い出す。今日そこではバーゲンをやっていて、
大行列ができていた。
プロツアー会場でも、入ってすぐのインフォメーション
ブースに行列ができていた。エターナルドラゴンの
プロモカードを配っている。私も並んでもらった。
さっそくフィーチャーエリアを見に行く。
今回の会場は青がテーマカラーで、すべて白と青が
基調になっているのがとてもきれい。特に椅子がお洒落。
知り合いに挨拶しつつ、本戦の様子を追う。
射場本さんが半年ぶりにマジックやったらなんだか
調子がいいとか、プレイヤーもタイムシフトした感じ。
今回ジャッジの面子はほとんど知っている方ばかりで、
本当はもっといろいろとお話ができたらよかったの
ですが、皆さんたいへん忙しそうで残念でした。
●駄文
会場で見かけたカッコいいプレイヤーの話。
まずは「天然さん」ことアミール・テネンバウム。
フランス人だけど、今は父親の仕事の都合でドイツに
住んでいて、たまたまマジック仲間を見つけたので
ドイツ選手権に出て2位になり、復帰したという。
相変わらず美形。
そして彼と時々一緒に行動してた少年。黒い野球帽を
かぶり、すごく顔が小さくて、ふわふわの金髪巻き毛を
肩口まで伸ばした細身の美少年。ドイツ人かな?
途中で本戦をドロップしていたので名前もわからず。
あと、サラサラのアッシュ・ブロンドを横分けにして
前髪をぱらりとたらした、少女漫画の王子様みたいな
プレイヤーもいたな。
3人とも眼鏡はかけてないけどね。
●サイドあちこち
ドラフトのテーブルがすごく遠くて全然見えないので、
サイドイベントのエクステンデッドを見る。
懐かしい顔もたくさんいるし、インベイジョン以降だから
カードの内容が全部わかる。これはいいな。
今では《サイカトグ》も《野生の雑種犬》も、《突然の
ショック》で一撃だから怖くない。
トロンの《精神隷属器》だけは本当に駄目だと思うけど。
今ならエクステンデッドもやれそうだな。
あと、神戸牛争奪双頭巨人戦にもすごい数のチームが
集まっていた。ツーヘッドもずいぶん浸透したな。
というかそんなに牛が食べたいのか。
プロツアー10周年を記念して、巨大なケーキが会場に
ふるまわれた。70キロ。神戸の料理学校?で作って
もらったものらしい。運ぶのもたいへんだったろう。
配り始めたら一気に大行列ができたので、一瞬で
なくなっちゃうかなと思ったけれど、1人100グラムずつ
配って700人分あるので、私もちゃんと食べられた。
こんなイベント用だから、ぱさぱさしてあまりおいしく
なくても納得するんだけど、食べてみたらぎっしりと
レーズンが入りクリームたっぷりで、とても美味しかった。
でも甘い。何個も食べるのは無理。
食べた人たちはどっと給水器に群がっていた。
あと、入り口にお店を出していたケンタッキーの
クリスピーチキン×2(280円)で昼ごはん。
8月19日の日記
2006年8月19日●浅沼晋太郎脚本作品の思い出を語る会
浅沼さんが声優として活躍するのもいいけど、やっぱり
この人には脚本を書き続けてほしいと強く願うから、
市井の一ファンとして声援を送りつつ、過去の私が見た
作品について思いつくまま書く。
PASS IT CREW
(Toon Bullets!前身の劇団)
「ネバーランド☆A GO! GO!」
社中の大竹さんがアリエル役で出ていたので見に行った。
新宿シアターモリエールだった。
昼公演だったが、開演に遅れてオープニングを見そこね、
立ち見で右隅から見ていたが、2時間立ちっぱなしなことを
完全に忘れるほどのめりこみ、息を呑んで見つめていた。
あまりに衝撃を受け、その日の夜に当日券でもう一度行き
最初から見直した。
怖いのに笑える、すごい脚本家ですごい劇団だと思った。
浅沼さんはドーピーで観客の心をわしづかみに。
企画公演
「聖の夜」
ごく短い企画公演で、劇場もアイピット目白と狭かった。
話はあまりおぼえてないが、主人公の漫画家と、隣に住む
漫才コンビと、いろんな人々の群像劇でドタバタコメディ。
やっぱりうまいなぁ、こんな少しの客しか見られないなんて
もったいないなぁと思った。
浅沼さんは漫才コンビの片割れで、「つまらない漫才」を
面白く見せるのがすごい。
Toon Bullets! 1st Shot
「ジッパー!」
私はこれがToon Bullets!の最高傑作だと思う。
(PASS IT CREW時にもやったことがあるらしいが)
盛りだくさんにシナリオを破綻なく詰め込み、容赦なく
笑わせ、カッコよさもたっぷり、泣ける台詞も。
ビデオで見て初めて、日替わりゲストのシーンもかなり
作りこんであったことを知ってさらに驚く。
浅沼さんは私のもっとも好きな役、七色の声を持つナナミ君。
Toon Bullets! 2nd Shot
「ジップアップ!」
「ジッパー!」の続編。前作を見た人へのサービスのため
詰め込みすぎになったきらいはあったが、やっぱりとても
おもしろかった。これを最高傑作にしないのは、初日が
ちょっとぐだぐだだったから。
しかし終演後に福田さんのお姉さんの結婚式用に客席を
巻き込んでビデオ撮影をしたときの、一体となった幸せ
ムードは忘れられない。
個人的に一番驚いたのは、ナナミ君のブラック声をほかにも
出せる人(村上ヨウさん)がいたこと。
浅沼さんが初めてスーツアクターの仕事を披露した。
Toon Bullets! 3rd Shot
「ネバーランド☆A GO! GO!」(再演)
あまりに印象強かった初演ととにかく比較してしまうが、
アリエルのイメージ違い、凶器の変化などに違和感を
おぼえつつも、シナリオが整理されてよくできていた。
初演とラストを変えたためにドーピーの名シーンの
意味が損なわれてしまったのが、初演より落ちる。
とはいえ、アヴェ・マリアのシーンはアニマ演劇史上
1、2を争う名場面。
Toon Bullets! 4th Shot
「シーサイド・スーサイド」
この前に浅沼さんにとって重大な転機?があったらしい。
近しい人が亡くなるようなことがあったのかもしれない。
そんな何かを感じさせる、重い作品。もっとも泣ける。
このあたりから豪華ゲスト役者陣を呼ぶようになるが、
ゲストの得意技を生かすために脚本・演出を曲げるような
雰囲気が感じられるようになってきた。
浅沼さんは新宿ホスト系天使、ツバサ役。声質はキョウに
一番似ていた。
Toon Bullets! 5th Shot
「ネバーランド☆A GO! GO! 2」
「ネバーランド☆A GO! GO!」の続編ということだが、
怖さや種明かしが1よりスケールダウンしていてあまり
好きではない。やっぱあの話に続編があっちゃ駄目だろ。
あと美人なだけの女優に意味不明のフランス語を
言わせるのとかもどうにも……。
浅沼さんは最強の殺し屋。
Toon Bullets! 6th Shot
「不如帰」
得意の歴史物で、織田信長の話。
劇場が大きく、意気込みはあったが、手品のために
シナリオが変になっているようなのが気になった。
声優さんやStudio Lifeの人が出ていて客も多かったが、
浅沼作品の面白さを伝えられなかっただろうと思うと残念。
浅沼さんはアルビノの忍者として派手な殺陣を繰り広げ、
おいしいところを持っていった。
Toon Bullets! 7th Shot
「ドラゴンボウル」
ボーリング場でのシチューエーションコメディ。
初心に返ったきっちりした作りで、良作。
浅沼さんははっちゃけたニューハーフ役だった。
Playing Unit 4989
「池田屋チェックイン」(初演/再演)
演出は違う人。
初演は麻布die pratze、再演はシアタートラム。
新撰組を扱い、重たいテーマを非常に前向きにまとめた
良作……オチがちょっと余計かもと思うのは好き好きか。
初演、再演とも浅沼さんの沖田総司は反則なまでに魅力的。
この作品がビデオ化されてないのは本当に惜しい。
ここかしこの風
「ハイカラ」
浅沼さんは脚本のみ。アイピット目白で劇団立ち上げ
公演とかなり地味だけど、隠れた名作。
文豪たちを鮮やかに絡ませ、魅力的に見せた。
妙に堅苦しいオチが唐突で余計に見えたのが残念。
30-DELUX
「BIRDS」
浅沼さんが脚本で、演出は違う人だったはず。
30-DELUX流に大げさにされてしまったので、浅沼さんの
脚本のコミカルさが生きず、不本意な作品だった。
バードマンのスーツもイマイチ。
小林さんのキャラなど、ところどころに良さはあったけど。
浅沼さんが声優として活躍するのもいいけど、やっぱり
この人には脚本を書き続けてほしいと強く願うから、
市井の一ファンとして声援を送りつつ、過去の私が見た
作品について思いつくまま書く。
PASS IT CREW
(Toon Bullets!前身の劇団)
「ネバーランド☆A GO! GO!」
社中の大竹さんがアリエル役で出ていたので見に行った。
新宿シアターモリエールだった。
昼公演だったが、開演に遅れてオープニングを見そこね、
立ち見で右隅から見ていたが、2時間立ちっぱなしなことを
完全に忘れるほどのめりこみ、息を呑んで見つめていた。
あまりに衝撃を受け、その日の夜に当日券でもう一度行き
最初から見直した。
怖いのに笑える、すごい脚本家ですごい劇団だと思った。
浅沼さんはドーピーで観客の心をわしづかみに。
企画公演
「聖の夜」
ごく短い企画公演で、劇場もアイピット目白と狭かった。
話はあまりおぼえてないが、主人公の漫画家と、隣に住む
漫才コンビと、いろんな人々の群像劇でドタバタコメディ。
やっぱりうまいなぁ、こんな少しの客しか見られないなんて
もったいないなぁと思った。
浅沼さんは漫才コンビの片割れで、「つまらない漫才」を
面白く見せるのがすごい。
Toon Bullets! 1st Shot
「ジッパー!」
私はこれがToon Bullets!の最高傑作だと思う。
(PASS IT CREW時にもやったことがあるらしいが)
盛りだくさんにシナリオを破綻なく詰め込み、容赦なく
笑わせ、カッコよさもたっぷり、泣ける台詞も。
ビデオで見て初めて、日替わりゲストのシーンもかなり
作りこんであったことを知ってさらに驚く。
浅沼さんは私のもっとも好きな役、七色の声を持つナナミ君。
Toon Bullets! 2nd Shot
「ジップアップ!」
「ジッパー!」の続編。前作を見た人へのサービスのため
詰め込みすぎになったきらいはあったが、やっぱりとても
おもしろかった。これを最高傑作にしないのは、初日が
ちょっとぐだぐだだったから。
しかし終演後に福田さんのお姉さんの結婚式用に客席を
巻き込んでビデオ撮影をしたときの、一体となった幸せ
ムードは忘れられない。
個人的に一番驚いたのは、ナナミ君のブラック声をほかにも
出せる人(村上ヨウさん)がいたこと。
浅沼さんが初めてスーツアクターの仕事を披露した。
Toon Bullets! 3rd Shot
「ネバーランド☆A GO! GO!」(再演)
あまりに印象強かった初演ととにかく比較してしまうが、
アリエルのイメージ違い、凶器の変化などに違和感を
おぼえつつも、シナリオが整理されてよくできていた。
初演とラストを変えたためにドーピーの名シーンの
意味が損なわれてしまったのが、初演より落ちる。
とはいえ、アヴェ・マリアのシーンはアニマ演劇史上
1、2を争う名場面。
Toon Bullets! 4th Shot
「シーサイド・スーサイド」
この前に浅沼さんにとって重大な転機?があったらしい。
近しい人が亡くなるようなことがあったのかもしれない。
そんな何かを感じさせる、重い作品。もっとも泣ける。
このあたりから豪華ゲスト役者陣を呼ぶようになるが、
ゲストの得意技を生かすために脚本・演出を曲げるような
雰囲気が感じられるようになってきた。
浅沼さんは新宿ホスト系天使、ツバサ役。声質はキョウに
一番似ていた。
Toon Bullets! 5th Shot
「ネバーランド☆A GO! GO! 2」
「ネバーランド☆A GO! GO!」の続編ということだが、
怖さや種明かしが1よりスケールダウンしていてあまり
好きではない。やっぱあの話に続編があっちゃ駄目だろ。
あと美人なだけの女優に意味不明のフランス語を
言わせるのとかもどうにも……。
浅沼さんは最強の殺し屋。
Toon Bullets! 6th Shot
「不如帰」
得意の歴史物で、織田信長の話。
劇場が大きく、意気込みはあったが、手品のために
シナリオが変になっているようなのが気になった。
声優さんやStudio Lifeの人が出ていて客も多かったが、
浅沼作品の面白さを伝えられなかっただろうと思うと残念。
浅沼さんはアルビノの忍者として派手な殺陣を繰り広げ、
おいしいところを持っていった。
Toon Bullets! 7th Shot
「ドラゴンボウル」
ボーリング場でのシチューエーションコメディ。
初心に返ったきっちりした作りで、良作。
浅沼さんははっちゃけたニューハーフ役だった。
Playing Unit 4989
「池田屋チェックイン」(初演/再演)
演出は違う人。
初演は麻布die pratze、再演はシアタートラム。
新撰組を扱い、重たいテーマを非常に前向きにまとめた
良作……オチがちょっと余計かもと思うのは好き好きか。
初演、再演とも浅沼さんの沖田総司は反則なまでに魅力的。
この作品がビデオ化されてないのは本当に惜しい。
ここかしこの風
「ハイカラ」
浅沼さんは脚本のみ。アイピット目白で劇団立ち上げ
公演とかなり地味だけど、隠れた名作。
文豪たちを鮮やかに絡ませ、魅力的に見せた。
妙に堅苦しいオチが唐突で余計に見えたのが残念。
30-DELUX
「BIRDS」
浅沼さんが脚本で、演出は違う人だったはず。
30-DELUX流に大げさにされてしまったので、浅沼さんの
脚本のコミカルさが生きず、不本意な作品だった。
バードマンのスーツもイマイチ。
小林さんのキャラなど、ところどころに良さはあったけど。
8月12日の日記
2006年8月12日※思考垂れ流しなのですごく読みづらいです。
仕事の合間を使い、「今見たいものリスト」第2位の
星野道夫展「星のような物語」に行く。松屋銀座にて。
何度も読んだり見たりしている経験がしみこんで、徐々に
私自身の考え方、ものの見方が池澤夏樹と星野道夫に
似てきた……ような気がしないでもない。
ただ、明らかに違うのは、池澤さんは日本やアメリカの
工業的食品をまずいまずいと言うけれど、私は
そういうのもけっこう好きだということ。
かなり混んでいた。あまり詳しくなさそうな人もいて、
「この人が撮ってるの?」という声が耳に入ってきた。
あと、「助手とか連れて行ってるはずだよね、じゃないと
こんなの撮れないもんね」という会話も。セルフタイマー
ですよ。たまにブッシュ・パイロットと一緒にいるくらい。
散文的にいろいろな写真と文章を集めて1つの画面を
作り出すこの展覧会は、「星のような」というより
「星空のような物語」かなと思った。
写真は大きいサイズにするとやはり大変良い。
今までの私の印象は、自然写真家としては星野道夫より
もっと優れた人がたくさんいる、彼の場合はアラスカに
深く根ざした生き方と文章とに価値がある、というもの
だったのだけど、写真自体もまったくもって素晴らしい。
特に奥行きの広いものや、こちらを向いた動物と向き合う
ものなど。
ハイビジョンのビデオでは動物たちの動きを見られたのが
面白かった。熊は時々ひどく人間みたいな動きをするのが
人気の秘密なのかな。あとカリブーとムースの差がやっと
ハッキリした。
ただ、「うわ、カワイー」という反応が聞こえるのは
ちょっと違うんじゃないかと思う。子連れの熊はたいへん
愛らしく見えるけれど、実際のその危険性を知らないと。
あと単なるエトピリカの群れに「カワイー」って言うのも
変な気がする。なんというか、たとえば牛の群れに向かって
「カワイー」とか言わないわけだし。
実感するのは、とにかく私は北の自然が好きだという
ことで、ウルドラになって生きられたらよかった。
(注:ウルドラとはD&Dの環境サプリ「フロストバーン」
に出てくる種族。妖精の一種で寒さに強く、体は小さい。
動物を愛し、自然を愛する活発な種族)
冬のまぶしい雪の上を、遮光レンズをかけて跳ね回り、
吹雪が来たらねぐらにこもり、必要なときには狩をし、
生態バランスを崩すような悪の生き物が来たら討伐し、
たくさんいる動物の種類の中の1つになってひっそりと
暮らし、短い夏には暑さにぐったりしつつ水浴びばかり
して過ごし、ベリーやシチューをたらふく食べて、
一番好きな動物一匹と友達になって、一緒に森のあちら
こちらを探検し、形の美しい岩や雨上がりの虹を崇め、
今日も食べ物と寝る場所が得られたことに感謝する。
そんなウルドラのドルイドだったらよかった。
この考えは今やっているキャラクターに生かせると思った。
ドルイドはただの、動物ユニットを連れた信仰呪文使い
なんかじゃない。ぜったいに。
今、「世界で一番大きなダンジョン」という、ドルイドと
まったく縁遠い場所に来て頑張っているオーロラという
キャラクター。彼女が、狼のダイヤを失った時どうするか。
ただ、ドルイドにもいろいろいるし、冒険に出るドルイドは
相当な変わり者であることに間違いないし、ドルイドが
一般的にこうする、ということは決められない。
殺戮を好むドルイドも、森を枯らすドルイドもいる。
私の使っているドルイドのキャラクターはどんな考えを
持っているか、というのを考えることが大事だ。
オーロラは動物をすごく大事にしているけれど、それは
動物が可愛いからではない。自分と共に戦う仲間だからで、
その意味ではパーティの仲間の命ももっと大事に考えて
いないといけないはずだ。
また、鶏を飼育することに反対しているのはなぜか。
このダンジョン内に閉じ込められているダイア・ウルフ
などの動物たちについて、どう行動するのか。
まずもってこの不自然なダンジョンについてどう考えるのか。
命のサイクルというものを実感できる、極寒の大地に
生きているウルドラの立場から見れば、自分の命も動物の
命も一過性のものでしかなく、もっと大きな繋がりがある。
だから、1つ1つの死についてそこまで嘆くことはしない。
それでもダイヤについてどうするのがオーロラらしいのか。
ダイヤの死体は残らなかったけれど、背に乗っていつも
右手で振るっていたクラブを左手に持ち、右手にはダガーを
持ってダイヤの姿を掘り込もう。そして大事にしまっておこう。
いつかこの巨大なダンジョンを脱出したとき(オーロラは
この中に閉じ込められて一生終わるなんて考えていない)、
その木彫りを故郷のフォーゴトン・レルム北方の森に
持って帰って、大地に返そう。
もしオーロラが志半ばでダンジョンに斃れるようなことが
あったら、オーロラの遺品(髪とか?)を誰かに持って
返ってもらって、北方の大地に朽ちるまま放ってくれると
うれしいのだけど、そんなことを誰かに頼めるだろうか。
誰かに頼んだら死にフラグで死んじゃいそうな気がするし、
自分より確実に生き残りそうな相手がいるかというと難しい。
冒険者としての生き延びる賢さでいえばジェームズかと
思うけど、この罠だらけの中ではいつ死んでもおかしく
ないし、前線の仲間も同様。後ろにいるカリンやクトレ
ならけっこう安心かな?
故郷に持って帰ることで、ダイヤの息吹が北の風の中に
感じられるとか、オーロラの遺品を大地に撒くことで
どこかで生まれ変わるとか、そう思っているわけでもない。
生と死は裏返しの隣りあわせで、死はありふれたこと。
でも、ダイヤは故郷を遠く離れてこんなダンジョンの
中にまで連れてこられて、いろいろな活躍をして、ほかの
故郷の狼たちとは違う特別な一匹になった。
オーロラも、綿々と続くウルドラの歴史の中で、特別な
存在になった。そう思いたい。
リインカーネイトについても考え方がちょっと変わる。
これは生き返りの呪文ではなく、あくまで転生。
同じ記憶を持って新たに生まれ変わった別の存在だと思う。
なんか考えがまとまらなくなってきた。
とにかく私のドルイド愛だけ感じてください(笑)
あと、今日はそのあとカフェ・モーツァルトでザッハ
トルテを食べて仕事へ。三越の喫茶店は混んでいた。
仕事の合間を使い、「今見たいものリスト」第2位の
星野道夫展「星のような物語」に行く。松屋銀座にて。
何度も読んだり見たりしている経験がしみこんで、徐々に
私自身の考え方、ものの見方が池澤夏樹と星野道夫に
似てきた……ような気がしないでもない。
ただ、明らかに違うのは、池澤さんは日本やアメリカの
工業的食品をまずいまずいと言うけれど、私は
そういうのもけっこう好きだということ。
かなり混んでいた。あまり詳しくなさそうな人もいて、
「この人が撮ってるの?」という声が耳に入ってきた。
あと、「助手とか連れて行ってるはずだよね、じゃないと
こんなの撮れないもんね」という会話も。セルフタイマー
ですよ。たまにブッシュ・パイロットと一緒にいるくらい。
散文的にいろいろな写真と文章を集めて1つの画面を
作り出すこの展覧会は、「星のような」というより
「星空のような物語」かなと思った。
写真は大きいサイズにするとやはり大変良い。
今までの私の印象は、自然写真家としては星野道夫より
もっと優れた人がたくさんいる、彼の場合はアラスカに
深く根ざした生き方と文章とに価値がある、というもの
だったのだけど、写真自体もまったくもって素晴らしい。
特に奥行きの広いものや、こちらを向いた動物と向き合う
ものなど。
ハイビジョンのビデオでは動物たちの動きを見られたのが
面白かった。熊は時々ひどく人間みたいな動きをするのが
人気の秘密なのかな。あとカリブーとムースの差がやっと
ハッキリした。
ただ、「うわ、カワイー」という反応が聞こえるのは
ちょっと違うんじゃないかと思う。子連れの熊はたいへん
愛らしく見えるけれど、実際のその危険性を知らないと。
あと単なるエトピリカの群れに「カワイー」って言うのも
変な気がする。なんというか、たとえば牛の群れに向かって
「カワイー」とか言わないわけだし。
実感するのは、とにかく私は北の自然が好きだという
ことで、ウルドラになって生きられたらよかった。
(注:ウルドラとはD&Dの環境サプリ「フロストバーン」
に出てくる種族。妖精の一種で寒さに強く、体は小さい。
動物を愛し、自然を愛する活発な種族)
冬のまぶしい雪の上を、遮光レンズをかけて跳ね回り、
吹雪が来たらねぐらにこもり、必要なときには狩をし、
生態バランスを崩すような悪の生き物が来たら討伐し、
たくさんいる動物の種類の中の1つになってひっそりと
暮らし、短い夏には暑さにぐったりしつつ水浴びばかり
して過ごし、ベリーやシチューをたらふく食べて、
一番好きな動物一匹と友達になって、一緒に森のあちら
こちらを探検し、形の美しい岩や雨上がりの虹を崇め、
今日も食べ物と寝る場所が得られたことに感謝する。
そんなウルドラのドルイドだったらよかった。
この考えは今やっているキャラクターに生かせると思った。
ドルイドはただの、動物ユニットを連れた信仰呪文使い
なんかじゃない。ぜったいに。
今、「世界で一番大きなダンジョン」という、ドルイドと
まったく縁遠い場所に来て頑張っているオーロラという
キャラクター。彼女が、狼のダイヤを失った時どうするか。
ただ、ドルイドにもいろいろいるし、冒険に出るドルイドは
相当な変わり者であることに間違いないし、ドルイドが
一般的にこうする、ということは決められない。
殺戮を好むドルイドも、森を枯らすドルイドもいる。
私の使っているドルイドのキャラクターはどんな考えを
持っているか、というのを考えることが大事だ。
オーロラは動物をすごく大事にしているけれど、それは
動物が可愛いからではない。自分と共に戦う仲間だからで、
その意味ではパーティの仲間の命ももっと大事に考えて
いないといけないはずだ。
また、鶏を飼育することに反対しているのはなぜか。
このダンジョン内に閉じ込められているダイア・ウルフ
などの動物たちについて、どう行動するのか。
まずもってこの不自然なダンジョンについてどう考えるのか。
命のサイクルというものを実感できる、極寒の大地に
生きているウルドラの立場から見れば、自分の命も動物の
命も一過性のものでしかなく、もっと大きな繋がりがある。
だから、1つ1つの死についてそこまで嘆くことはしない。
それでもダイヤについてどうするのがオーロラらしいのか。
ダイヤの死体は残らなかったけれど、背に乗っていつも
右手で振るっていたクラブを左手に持ち、右手にはダガーを
持ってダイヤの姿を掘り込もう。そして大事にしまっておこう。
いつかこの巨大なダンジョンを脱出したとき(オーロラは
この中に閉じ込められて一生終わるなんて考えていない)、
その木彫りを故郷のフォーゴトン・レルム北方の森に
持って帰って、大地に返そう。
もしオーロラが志半ばでダンジョンに斃れるようなことが
あったら、オーロラの遺品(髪とか?)を誰かに持って
返ってもらって、北方の大地に朽ちるまま放ってくれると
うれしいのだけど、そんなことを誰かに頼めるだろうか。
誰かに頼んだら死にフラグで死んじゃいそうな気がするし、
自分より確実に生き残りそうな相手がいるかというと難しい。
冒険者としての生き延びる賢さでいえばジェームズかと
思うけど、この罠だらけの中ではいつ死んでもおかしく
ないし、前線の仲間も同様。後ろにいるカリンやクトレ
ならけっこう安心かな?
故郷に持って帰ることで、ダイヤの息吹が北の風の中に
感じられるとか、オーロラの遺品を大地に撒くことで
どこかで生まれ変わるとか、そう思っているわけでもない。
生と死は裏返しの隣りあわせで、死はありふれたこと。
でも、ダイヤは故郷を遠く離れてこんなダンジョンの
中にまで連れてこられて、いろいろな活躍をして、ほかの
故郷の狼たちとは違う特別な一匹になった。
オーロラも、綿々と続くウルドラの歴史の中で、特別な
存在になった。そう思いたい。
リインカーネイトについても考え方がちょっと変わる。
これは生き返りの呪文ではなく、あくまで転生。
同じ記憶を持って新たに生まれ変わった別の存在だと思う。
なんか考えがまとまらなくなってきた。
とにかく私のドルイド愛だけ感じてください(笑)
あと、今日はそのあとカフェ・モーツァルトでザッハ
トルテを食べて仕事へ。三越の喫茶店は混んでいた。
4月17日の日記
2006年4月17日YESのヴォーカリスト、ジョン・アンダーソンのコンサートに
行って来ました。国際フォーラムホールC、8,500円。
YESのコンサートのときはホールAで、「世の中にはこんなに
YESファンがいるのか!」と驚愕したものですが、今日も
「ジョン・アンダーソン個人でも世の中にはこんなにファンが
いるのか!」と感動しました。ちなみにホールCは1,500席。
DVDかCDを買うとサイン会、というので長蛇の列でした。
ワンマンショーで、ギター一本の弾き語りで1時間半くらい。
なんともまったりしたアットホームなコンサートでした。
ジョン君の家に遊びに行って、「ねえねえ最近MIDIギター
っていうの買ったんだよ。ほらほら、いろんな音が出て
面白いでしょ? あとそのへんに僕のスピリチュアルな
コレクションがあるから見てってよ。そういえばアイツと
初めて会ったときのこと覚えてる? 面白かったよねー。
懐かしいなー。一緒に昔の歌うたおうよ」と言われてる
ような感じでした。α波出まくりで眠くなりました。
MIDIギターというのは、エレクトーンで左手で和音を押すと
伴奏が勝手につけられるのに似て、ギターで和音を弾くと
いろんなパターンの伴奏がつくというもので、ペダルを
踏みかえることによっていろいろな伴奏パターンを操作します。
リズムとかコーラスとかを1人でどうやってこなしているかは
わからないので、さすがに裏にオペレーターがいるのだろうと
思いますが、舞台上では1人でギターを弾いてるだけです。
自分でマイクの移動もやってるのが可愛かったです。
「普段はもっとプロフェッショナルなんだよ」と言ってました。
そのほかピアノをぽろぽろ弾きながらメドレーをやったり、
アコギ1本でYESの曲をいくつかやったりもしました。
特にロンリーハートのアンプラグド・バージョンは予想を
はるかに上回るカッコ良さでした。
あとは「不思議なお話を」とかが聴けて満足です。
「みんなで歌おう」と言われ、会場がささやくような小声で
歌っていましたが、よくみんなあんなに歌詞覚えてるなあ。
ベルを鳴らして通訳を入れるのがありがたかったのですが、
同時通訳ではなくて原稿を読むだけだったので、ジョンが
アドリブで喋る内容は聞き取れたり聞き取れなかったり。
でもヴァンゲリスと初めて会ったときヒゲにカフタンを
着て弓を持ち、コワモテだったとか、ジャマイカで夢を見て
ソンブレロをかぶったパイナップルに「レゲエを書け!」と
言われたとか、面白かったです。
曼荼羅万華鏡みたいなスピリチュアル映像にも癒されました。
でも席が1階の一番後ろだったのでよく見えなかったんだけど、
部屋着のトレーナーとジャージみたいな格好だったのは
どうよと思いました。サテンの僧服みたいの着ればいいのに。
行って来ました。国際フォーラムホールC、8,500円。
YESのコンサートのときはホールAで、「世の中にはこんなに
YESファンがいるのか!」と驚愕したものですが、今日も
「ジョン・アンダーソン個人でも世の中にはこんなにファンが
いるのか!」と感動しました。ちなみにホールCは1,500席。
DVDかCDを買うとサイン会、というので長蛇の列でした。
ワンマンショーで、ギター一本の弾き語りで1時間半くらい。
なんともまったりしたアットホームなコンサートでした。
ジョン君の家に遊びに行って、「ねえねえ最近MIDIギター
っていうの買ったんだよ。ほらほら、いろんな音が出て
面白いでしょ? あとそのへんに僕のスピリチュアルな
コレクションがあるから見てってよ。そういえばアイツと
初めて会ったときのこと覚えてる? 面白かったよねー。
懐かしいなー。一緒に昔の歌うたおうよ」と言われてる
ような感じでした。α波出まくりで眠くなりました。
MIDIギターというのは、エレクトーンで左手で和音を押すと
伴奏が勝手につけられるのに似て、ギターで和音を弾くと
いろんなパターンの伴奏がつくというもので、ペダルを
踏みかえることによっていろいろな伴奏パターンを操作します。
リズムとかコーラスとかを1人でどうやってこなしているかは
わからないので、さすがに裏にオペレーターがいるのだろうと
思いますが、舞台上では1人でギターを弾いてるだけです。
自分でマイクの移動もやってるのが可愛かったです。
「普段はもっとプロフェッショナルなんだよ」と言ってました。
そのほかピアノをぽろぽろ弾きながらメドレーをやったり、
アコギ1本でYESの曲をいくつかやったりもしました。
特にロンリーハートのアンプラグド・バージョンは予想を
はるかに上回るカッコ良さでした。
あとは「不思議なお話を」とかが聴けて満足です。
「みんなで歌おう」と言われ、会場がささやくような小声で
歌っていましたが、よくみんなあんなに歌詞覚えてるなあ。
ベルを鳴らして通訳を入れるのがありがたかったのですが、
同時通訳ではなくて原稿を読むだけだったので、ジョンが
アドリブで喋る内容は聞き取れたり聞き取れなかったり。
でもヴァンゲリスと初めて会ったときヒゲにカフタンを
着て弓を持ち、コワモテだったとか、ジャマイカで夢を見て
ソンブレロをかぶったパイナップルに「レゲエを書け!」と
言われたとか、面白かったです。
曼荼羅万華鏡みたいなスピリチュアル映像にも癒されました。
でも席が1階の一番後ろだったのでよく見えなかったんだけど、
部屋着のトレーナーとジャージみたいな格好だったのは
どうよと思いました。サテンの僧服みたいの着ればいいのに。
アラスカ旅行記その6
2006年1月4日コメント (2)
(下から続いてます)
ベスト10くらいから決勝まで、かなり長い時間がかかったが
なぜか食い入るようにずっと見てしまった。
普段正月にテレビなんて見ないのに……。
明日早いので早くベッドに入るが、今まで3日間夜中起きる生活
だったのでなかなか寝つけない。
●アラスカ旅行記5、6日目(1/2、1/3)
朝3時起床、昨日買ったジンジャークッキーなどで腹ごしらえ。
4時すぎにロビーに集合してアンカレジ空港へ向かう。
ここでも例のごとく手荷物検査があったんだけど、
フィルムの手検査を頼んだら開けずに返してくれた。
私の前の人が同様に大量のフィルムを持ち込んでいて、
全部いちいち開けて調べるのが面倒になったとみえる。
フィルム、36枚撮り10本も持ってくるんじゃなかった……。
オーロラを撮るにはいくらあっても足りないだろうと
思ったのになあ。
朝6時ごろに出る飛行機で、シアトルに着くまでほとんど寝ていた。
来るときと同様に朝マックみたいな朝食が出た。
機内で具合が悪くなった人がいたらしく、スチュワーデスが
しきりに面倒を見ていた。日本人たちに「英語できますか?」と
聞いて回って通訳を探していたが、病人はどうも日本人では
なく先住民ではないかと思われた。
微妙な顔の違いだからはっきりとはわからないけど……。
そこまでひどい状態でもなかったらしく、空港についたら
出迎えがきて自分で歩いて降りていった。
シアトルの空港で成田行きに乗り継ぎ。
土産屋でミニッツメイドのクランベリージュースと、ゴディバの
チョコバーを買う。日本では見たことがない。
「うどんバー」という店があって、メニューにはチキンと海老が
書いてあったが、どんなものが出てくるのかは謎。
ただ、ここで突然かつおだしが恋しくなってしまい、
日本に帰ってきた後もずっとうどんうどんと思っていた
(1/4に食べて満足した。おしるこも食べてさらに満足)。
ハドソン・ニュースという本屋はどこにでもある。
ここでニュータイプの米国版とコンシューマゲーム誌を購入。
ニュータイプはガンダムシードデスティニーが表紙。
これからDVDが発売されるのでプレビュー記事のようだ。
黒田洋介のコラムなんかもちゃんと翻訳されている。
アメリカの本屋には「ターザン」みたいな、マッチョに
なるための雑誌みたいのがやたら大量に置いてあったり
するんだけど、そんな国でもやっぱり「すきしょ」(いわゆる
ボーイズラブの王道)が人気っぽいのとかは面白い。
あとアニメショップの広告のキャッチコピーが
「Hayaku Otaku!」
って書いてあった。韻を踏んでるらしい……。
そういやテレビでナルトやってたな。
「Sensei, Behind of you!」とか言ってた。噴き出す
血が白い水のように描かれていたけど、米国仕様?
日本のアニメや漫画はもう何でも翻訳で手に入るようだ。
アクエとか、新海誠とか、ひぐらしとか。
ガッシュベルは「Zatch Bell」になっていた。
よつばとは「Yotsuba&」になっていた。
オー!マイキー!は「The Fuccons」だった。
マイキーの苗字がそんなだなんて知らなかった。
ゲーム誌のほうは表紙に「PS3」の文字が躍っていたので
買ってみた。わりと歯に衣着せぬゲーム評価が面白く、
FF12がなぜこんなに遅れているかという予想をしっかり
書いてあったりする。
セールスランキングがNFL、NBA、WWEなど軒並みスポーツ
だらけだったり、やたら評価の高いゲームが「HALF-LIFE2」
というリアルなガンシューだったり、日本との文化の
違いが伝わってくる。
あとD&Dベーシックゲームの広告が出てた。
それらを読みつつ、シアトルから成田へ。
シアトルの時間で1/2の12時半に出て、日本時間で1/3の
16時半くらいに着く。
今度は「モンスターズ・インク」を日本語版で見た。
これも面白かった。特に最後のNG集。
あとやっぱりとりつかれたようにゲームやってた。
ディナーにはチキンの蒸し焼きと海老が出て、
朝食にはチーズオムレツかポークチャーハンを選べた。
行きの黒いべたべたケーキの代わりに、クッキーで
はさんだアイスが出た。ネスレのカーネーションという
商品で、とてもおいしかった。日本で見たことないけど。
成田に日本時間の16時半ごろ着いて、スーツケースを
送って、はるばる京成線で帰った。
空港から家までが遠かった。
ベスト10くらいから決勝まで、かなり長い時間がかかったが
なぜか食い入るようにずっと見てしまった。
普段正月にテレビなんて見ないのに……。
明日早いので早くベッドに入るが、今まで3日間夜中起きる生活
だったのでなかなか寝つけない。
●アラスカ旅行記5、6日目(1/2、1/3)
朝3時起床、昨日買ったジンジャークッキーなどで腹ごしらえ。
4時すぎにロビーに集合してアンカレジ空港へ向かう。
ここでも例のごとく手荷物検査があったんだけど、
フィルムの手検査を頼んだら開けずに返してくれた。
私の前の人が同様に大量のフィルムを持ち込んでいて、
全部いちいち開けて調べるのが面倒になったとみえる。
フィルム、36枚撮り10本も持ってくるんじゃなかった……。
オーロラを撮るにはいくらあっても足りないだろうと
思ったのになあ。
朝6時ごろに出る飛行機で、シアトルに着くまでほとんど寝ていた。
来るときと同様に朝マックみたいな朝食が出た。
機内で具合が悪くなった人がいたらしく、スチュワーデスが
しきりに面倒を見ていた。日本人たちに「英語できますか?」と
聞いて回って通訳を探していたが、病人はどうも日本人では
なく先住民ではないかと思われた。
微妙な顔の違いだからはっきりとはわからないけど……。
そこまでひどい状態でもなかったらしく、空港についたら
出迎えがきて自分で歩いて降りていった。
シアトルの空港で成田行きに乗り継ぎ。
土産屋でミニッツメイドのクランベリージュースと、ゴディバの
チョコバーを買う。日本では見たことがない。
「うどんバー」という店があって、メニューにはチキンと海老が
書いてあったが、どんなものが出てくるのかは謎。
ただ、ここで突然かつおだしが恋しくなってしまい、
日本に帰ってきた後もずっとうどんうどんと思っていた
(1/4に食べて満足した。おしるこも食べてさらに満足)。
ハドソン・ニュースという本屋はどこにでもある。
ここでニュータイプの米国版とコンシューマゲーム誌を購入。
ニュータイプはガンダムシードデスティニーが表紙。
これからDVDが発売されるのでプレビュー記事のようだ。
黒田洋介のコラムなんかもちゃんと翻訳されている。
アメリカの本屋には「ターザン」みたいな、マッチョに
なるための雑誌みたいのがやたら大量に置いてあったり
するんだけど、そんな国でもやっぱり「すきしょ」(いわゆる
ボーイズラブの王道)が人気っぽいのとかは面白い。
あとアニメショップの広告のキャッチコピーが
「Hayaku Otaku!」
って書いてあった。韻を踏んでるらしい……。
そういやテレビでナルトやってたな。
「Sensei, Behind of you!」とか言ってた。噴き出す
血が白い水のように描かれていたけど、米国仕様?
日本のアニメや漫画はもう何でも翻訳で手に入るようだ。
アクエとか、新海誠とか、ひぐらしとか。
ガッシュベルは「Zatch Bell」になっていた。
よつばとは「Yotsuba&」になっていた。
オー!マイキー!は「The Fuccons」だった。
マイキーの苗字がそんなだなんて知らなかった。
ゲーム誌のほうは表紙に「PS3」の文字が躍っていたので
買ってみた。わりと歯に衣着せぬゲーム評価が面白く、
FF12がなぜこんなに遅れているかという予想をしっかり
書いてあったりする。
セールスランキングがNFL、NBA、WWEなど軒並みスポーツ
だらけだったり、やたら評価の高いゲームが「HALF-LIFE2」
というリアルなガンシューだったり、日本との文化の
違いが伝わってくる。
あとD&Dベーシックゲームの広告が出てた。
それらを読みつつ、シアトルから成田へ。
シアトルの時間で1/2の12時半に出て、日本時間で1/3の
16時半くらいに着く。
今度は「モンスターズ・インク」を日本語版で見た。
これも面白かった。特に最後のNG集。
あとやっぱりとりつかれたようにゲームやってた。
ディナーにはチキンの蒸し焼きと海老が出て、
朝食にはチーズオムレツかポークチャーハンを選べた。
行きの黒いべたべたケーキの代わりに、クッキーで
はさんだアイスが出た。ネスレのカーネーションという
商品で、とてもおいしかった。日本で見たことないけど。
成田に日本時間の16時半ごろ着いて、スーツケースを
送って、はるばる京成線で帰った。
空港から家までが遠かった。
アラスカ旅行記その5
2006年1月4日
(下から続いてます)
●アラスカ旅行4日目(1/1)
5時半に寝てすぐ9時に起き、アンカレジに移動するため
空港へ向かう。しかし着いてみるとエンジントラブルで
出発が1時間遅れるとのアナウンス。
おじさんが1人で切り盛りしているダイナーで朝食をとる。
チーズとハムのオムレツ(ハッシュポテトとパン2枚つき)、
サワードウのパンケーキ(サワードウというのはアラスカ
名物のパンケーキ粉らしい)を厨房で作ってもらう。
1ドルのコーヒーは勝手にカップを取って自分でつぐ。
大きなパンケーキも全然ふんわりしてないオムレツも
いかにもアメリカだなあという感じでおいしかった。
食べている最中に日が昇ってきて、10時半ごろに
初日の出を拝むことができた。
その後、土産を調達。
鮭缶とかオーロラのカレンダーとか、D&Dに使えそうな
熊のミニチュアとか。
飛行機の席はまた窓際で、デナリ国立公園を越えていく。
黒い平原に白い線でまっすぐな道が一本引いてある
情景がかっこよかった。
アンカレジ空港は雪だった。
バスに乗り込みダウンタウンのホテルまで15分。
ここも碁盤の目状になっているので道がわかりやすいが、
だだっ広い土地に空き地や空き家が目立ち、寂しい雰囲気。
街の背景にすばらしいチュガチ山脈が見える一方、
振り返るとすぐ海があって景色はいい。
気温はマイナス2度くらい。道が少し凍っている。
ホテルに荷物をおいてすぐに街中へ出る。
J.C.ペニーという名前のデパートと5番街モールを通り、
アラスカ博物館を目指す。
デパートは1階が鞄と子供服、2階が女性服、3階が男性服。
食料品売り場などはない。
とにかく物量がすごくて、フロアに服がぎっちり詰まっている。
服のデザインとかはなんとなくオーストラリアっぽい。
鞄はけっこういいのがあったけど、持って帰るのが
面倒なので買わなかった。
新年のバーゲンをやっていたが、客はあまりいなかった。
5番街モールは服や土産物などいろんな店が入っており、
ゲームショップが混んでいた。
ワイルドベリーショップで残りのお土産を買った。
40種類のジェリービーンズの詰め合わせとか、いろんな
ベリーのチョコレートがけとか。
エジプトのミイラ入れそっくりのキャビネットとか、
兵馬俑とかを売っているミュージアムショップが面白かった。
古今東西の有名人をかたどった手作り布製の指人形があって、
「こんな顔なの?」というような人物がいろいろ並んでいた。
ざっと覚えているだけでも、プラトン、モーツァルト、
シェイクスピア、ジェームズ・ジョイス、キュリー夫人、
ブッダ、ガンジー、ネルソン・マンデラ、ニュートン、ダリ、
ゴッホ、ジャンヌ・ダルク、パブロフの犬とシュレディンガーの
猫までいた。知らない人のもあった。
そこを抜けて博物館へ。冬場は月曜と火曜は定休で、
日曜は17時までしか開いてないが、1月1日はやってると
ガイドブックに書いてあったので行ってみたら、入り口に
「今日は臨時休業です」と張り紙があった。残念……。
ここで先住民文化の展示を見るのが楽しみだったのに。
しかたなく土産屋などを見ながらホテルに戻る。
ただ個人商店は元旦なのでほとんどが閉まっていた。
日本人のやっている店があって、親戚の結婚式のために
アンカレジに来たという客の話が耳に入ってきた。
結婚式は博物館のレストランでやったらしい。
スタバでCDとともに水のペットボトルとジンジャークッキー、
ナッツケーキを買う。
4番街にある日本料理屋の熊五郎を越えた先は飲み屋が多く
夜になったらあまり行かないほうがいいと言われていたが、
熊五郎の前あたりを通っていたら道の脇に止まっていた
車の中から二人組の男が「ヘイ、ガールズ!」と声をかけて
きてびっくりした。あっけにとられ無視して通り過ぎた。
ホテルで昼寝してから17時すぎに「サイモン&シーフォーツ」
というわりと有名なシーフードのレストランに行く。
ここはツアーの同行者がガイドさんに「今日は元旦ですが
開いてるでしょうか」と訊ね、「開いてますが混んでるので
予約したほうがいいかもしれません」と言っていたので、
それなら良い店に違いないと思って行ってみた次第。
予約はしなかったが、さすがに17時ならあいてるだろうと
思って行ってみたら、すでに大賑わいでほぼ満席だった。
家族連れが多かったが、男だけの8人グループとかもいた。
20ドルのお勧めコースがあったのでそれにする。
チャウダーかサラダを選び、メインを選び、デザートを
シャーベットにするかサンデーにするか選び、飲み物がつく。
私はチャウダーとサーモンソテーとサンデーにした。
ホットティーはやはりティーバッグで出てきたが、ハーブティー
だったのでちょっと口に合わなかった。
サーモンはわりと大味でしょうゆが欲しい感じだったが、
付け合せの皮付きマッシュポテトと野菜のソテーがたいへん
おいしかった。母親の食べていた海老も美味。
サンデーも濃厚なチョコレートがけアイスだった。
さすがにこれなら繁盛もするというものだ。
ただ、コースでないメニューはかなり高かった。
アンカレジにはブランドショップとかが全然なくて、着る物は
実用一点張りという感じなので、その分みんな食べ物には
お金を使うということなんだろうか?
清算のときにちょっと迷ったけど無事払って、出がけにツアーで
質問していた人たちとすれ違い、我々の食べたコースを薦める。
ホテルに帰って、風呂に入って荷造りをしながらテレビを見る。
ポーカーの「ワールドシリーズ」をやっていた。
しばらく見ているうちになんとなくルールがわかってきた。
・まず手元に2枚配られて、それを見て張るか張らないか決める。
・ディーラーが3枚めくって公開する。これは全員共通の手札として扱う。
・以上の計5枚で役ができそうかどうか見る。
・ここで賭け金を吊り上げたり、勝負を降りることができる。
・プレイヤーはみんなベテランなので、ここでさまざまな
かけひきがなされる。挑発したり、いろいろ。
・ディーラーがあと2枚めくる。役を見るときには計7枚で見る。
・勝敗を決する。
・賭け金がなくなった人から脱落。
ポーカーテーブルのまわりは選手の親族らが取り囲んでいて
大騒ぎ。手元の2枚はテレビに表示されるが、周りの客には
見えないようになっている。
手元の2枚だけでペアができていたり、エースや絵札など
強いカードがあればもちろん有利だけど、あと5枚
めくられるので最終的にどうなるかはわからない。
カードがめくられていくたびに、プレイヤーごとの勝率が
表示されるのでわかりやすい。
2枚の手札がエースのペアという人と、キングのペアという
人がいて、ディーラーが4枚目までめくり終えたところで
エースもキングも出ていなければ、もちろん前者の勝つ率は
かなり高いわけだけど、最後の最後でディーラーがめくった
カードがキングで、後者が逆転勝利することもある。
あとCMの前後にプレイヤー紹介が入って、家族のこととか
ポーカーにかける思いを語ったりするのがいかにもカッコいい。
マジックのプレミアイベントも、ウィザーズ社は究極的には
こういう見せ方をしたいんだろうなと思った。
雰囲気が近い。動く金は桁が違いすぎるけど。
予選の様子も映っていて、つかみあいしたり床を転げまわったり
している選手がいた。あとさとう玉緒?が着物着て出てた。
(続きます)
●アラスカ旅行4日目(1/1)
5時半に寝てすぐ9時に起き、アンカレジに移動するため
空港へ向かう。しかし着いてみるとエンジントラブルで
出発が1時間遅れるとのアナウンス。
おじさんが1人で切り盛りしているダイナーで朝食をとる。
チーズとハムのオムレツ(ハッシュポテトとパン2枚つき)、
サワードウのパンケーキ(サワードウというのはアラスカ
名物のパンケーキ粉らしい)を厨房で作ってもらう。
1ドルのコーヒーは勝手にカップを取って自分でつぐ。
大きなパンケーキも全然ふんわりしてないオムレツも
いかにもアメリカだなあという感じでおいしかった。
食べている最中に日が昇ってきて、10時半ごろに
初日の出を拝むことができた。
その後、土産を調達。
鮭缶とかオーロラのカレンダーとか、D&Dに使えそうな
熊のミニチュアとか。
飛行機の席はまた窓際で、デナリ国立公園を越えていく。
黒い平原に白い線でまっすぐな道が一本引いてある
情景がかっこよかった。
アンカレジ空港は雪だった。
バスに乗り込みダウンタウンのホテルまで15分。
ここも碁盤の目状になっているので道がわかりやすいが、
だだっ広い土地に空き地や空き家が目立ち、寂しい雰囲気。
街の背景にすばらしいチュガチ山脈が見える一方、
振り返るとすぐ海があって景色はいい。
気温はマイナス2度くらい。道が少し凍っている。
ホテルに荷物をおいてすぐに街中へ出る。
J.C.ペニーという名前のデパートと5番街モールを通り、
アラスカ博物館を目指す。
デパートは1階が鞄と子供服、2階が女性服、3階が男性服。
食料品売り場などはない。
とにかく物量がすごくて、フロアに服がぎっちり詰まっている。
服のデザインとかはなんとなくオーストラリアっぽい。
鞄はけっこういいのがあったけど、持って帰るのが
面倒なので買わなかった。
新年のバーゲンをやっていたが、客はあまりいなかった。
5番街モールは服や土産物などいろんな店が入っており、
ゲームショップが混んでいた。
ワイルドベリーショップで残りのお土産を買った。
40種類のジェリービーンズの詰め合わせとか、いろんな
ベリーのチョコレートがけとか。
エジプトのミイラ入れそっくりのキャビネットとか、
兵馬俑とかを売っているミュージアムショップが面白かった。
古今東西の有名人をかたどった手作り布製の指人形があって、
「こんな顔なの?」というような人物がいろいろ並んでいた。
ざっと覚えているだけでも、プラトン、モーツァルト、
シェイクスピア、ジェームズ・ジョイス、キュリー夫人、
ブッダ、ガンジー、ネルソン・マンデラ、ニュートン、ダリ、
ゴッホ、ジャンヌ・ダルク、パブロフの犬とシュレディンガーの
猫までいた。知らない人のもあった。
そこを抜けて博物館へ。冬場は月曜と火曜は定休で、
日曜は17時までしか開いてないが、1月1日はやってると
ガイドブックに書いてあったので行ってみたら、入り口に
「今日は臨時休業です」と張り紙があった。残念……。
ここで先住民文化の展示を見るのが楽しみだったのに。
しかたなく土産屋などを見ながらホテルに戻る。
ただ個人商店は元旦なのでほとんどが閉まっていた。
日本人のやっている店があって、親戚の結婚式のために
アンカレジに来たという客の話が耳に入ってきた。
結婚式は博物館のレストランでやったらしい。
スタバでCDとともに水のペットボトルとジンジャークッキー、
ナッツケーキを買う。
4番街にある日本料理屋の熊五郎を越えた先は飲み屋が多く
夜になったらあまり行かないほうがいいと言われていたが、
熊五郎の前あたりを通っていたら道の脇に止まっていた
車の中から二人組の男が「ヘイ、ガールズ!」と声をかけて
きてびっくりした。あっけにとられ無視して通り過ぎた。
ホテルで昼寝してから17時すぎに「サイモン&シーフォーツ」
というわりと有名なシーフードのレストランに行く。
ここはツアーの同行者がガイドさんに「今日は元旦ですが
開いてるでしょうか」と訊ね、「開いてますが混んでるので
予約したほうがいいかもしれません」と言っていたので、
それなら良い店に違いないと思って行ってみた次第。
予約はしなかったが、さすがに17時ならあいてるだろうと
思って行ってみたら、すでに大賑わいでほぼ満席だった。
家族連れが多かったが、男だけの8人グループとかもいた。
20ドルのお勧めコースがあったのでそれにする。
チャウダーかサラダを選び、メインを選び、デザートを
シャーベットにするかサンデーにするか選び、飲み物がつく。
私はチャウダーとサーモンソテーとサンデーにした。
ホットティーはやはりティーバッグで出てきたが、ハーブティー
だったのでちょっと口に合わなかった。
サーモンはわりと大味でしょうゆが欲しい感じだったが、
付け合せの皮付きマッシュポテトと野菜のソテーがたいへん
おいしかった。母親の食べていた海老も美味。
サンデーも濃厚なチョコレートがけアイスだった。
さすがにこれなら繁盛もするというものだ。
ただ、コースでないメニューはかなり高かった。
アンカレジにはブランドショップとかが全然なくて、着る物は
実用一点張りという感じなので、その分みんな食べ物には
お金を使うということなんだろうか?
清算のときにちょっと迷ったけど無事払って、出がけにツアーで
質問していた人たちとすれ違い、我々の食べたコースを薦める。
ホテルに帰って、風呂に入って荷造りをしながらテレビを見る。
ポーカーの「ワールドシリーズ」をやっていた。
しばらく見ているうちになんとなくルールがわかってきた。
・まず手元に2枚配られて、それを見て張るか張らないか決める。
・ディーラーが3枚めくって公開する。これは全員共通の手札として扱う。
・以上の計5枚で役ができそうかどうか見る。
・ここで賭け金を吊り上げたり、勝負を降りることができる。
・プレイヤーはみんなベテランなので、ここでさまざまな
かけひきがなされる。挑発したり、いろいろ。
・ディーラーがあと2枚めくる。役を見るときには計7枚で見る。
・勝敗を決する。
・賭け金がなくなった人から脱落。
ポーカーテーブルのまわりは選手の親族らが取り囲んでいて
大騒ぎ。手元の2枚はテレビに表示されるが、周りの客には
見えないようになっている。
手元の2枚だけでペアができていたり、エースや絵札など
強いカードがあればもちろん有利だけど、あと5枚
めくられるので最終的にどうなるかはわからない。
カードがめくられていくたびに、プレイヤーごとの勝率が
表示されるのでわかりやすい。
2枚の手札がエースのペアという人と、キングのペアという
人がいて、ディーラーが4枚目までめくり終えたところで
エースもキングも出ていなければ、もちろん前者の勝つ率は
かなり高いわけだけど、最後の最後でディーラーがめくった
カードがキングで、後者が逆転勝利することもある。
あとCMの前後にプレイヤー紹介が入って、家族のこととか
ポーカーにかける思いを語ったりするのがいかにもカッコいい。
マジックのプレミアイベントも、ウィザーズ社は究極的には
こういう見せ方をしたいんだろうなと思った。
雰囲気が近い。動く金は桁が違いすぎるけど。
予選の様子も映っていて、つかみあいしたり床を転げまわったり
している選手がいた。あとさとう玉緒?が着物着て出てた。
(続きます)
アラスカ旅行記その4
2006年1月4日
(下から続いてます)
●アラスカ旅行記3日目(12/31)
目覚ましをかけて昼12時半に起きる。
向かいの小さいホテルに付属しているアメリカ料理の
レストラン「アイリス」がおいしいとガイドさんに
聞いたので、昼食を食べに行く。
外から見たら全然客がいなかったが、中は広くて
見えないところにいっぱい客が入っていた。
アラスカの店は総じて外から中がよく見えず、
中が広い作りになっているようだ。寒いからか?
「1/2ポンドハンバーガー」というのを1つとパンケーキを
1つ取ってシェアしようと考えるが、注文の際にうまく
通じなかったらしく、ハンバーガーが2つ来てしまう。
パンにしっかり焼き目のついた肉が乗って、トマトと
レタスは別になっていて、好きなようにマスタードや
ケチャップをつけてはさむようになっている。
きゅうり丸一本ぶんのピクルスが脇についている。
あとサイドメニューでサラダとフライドポテトがあり、
この油っこくてカリカリのポテトがすごくおいしかった。
あと1ドル50でホットティーを頼んだら、お湯のポットと
さまざまな種類のティーバッグのバスケットが出てきた。
あとでわかったことだが、ここではハーブティーが
ポピュラーらしい。ベリー系やミント、カモミールなど
いろいろあるが、シナモン入りは匂いがきつすぎて駄目。
ハンバーガーでお腹いっぱいになったのでパンケーキは
キャンセル。続いて日があるうちに土産物屋を回る。
金細工の店のショーウィンドーで見た、犬ぞりがずっと
連なったブレスレット(650ドルくらい)が素敵だった。
繊細な焼き目をつけた革細工の小箱などはきれいだが、
軽石なのかなんなのかよくわからないボチボチ模様の
岩でできた人形などはかなり不気味だった。
エスキモーの岩仮面に羽飾りをつけたものなども
ポピュラーなようだが、正直顔がすごく怖い。
あと、なぜか宗教の絵柄のマトリョーシカがあった。
ムースの糞をかたどったジョーク・グッズがあちこちで
扱われていたり、アラスカのナンバープレートを模した
名前入りのキーホルダーもよく見た。
そのほかクリスマス飾りがたくさん売っていたが、
総じてろくなものがなく、何も買わなかった。
散歩の途中でトイレに行きたくなり、近くのマリオット
ホテルのロビーに入ったが、宿泊用のキーカードを
入れないと使えない仕組みになっていた。
そういえばウェストマークのエレベーターもキーカードを
入れないと動かないようになっていたな。
この日が3日のうち一番寒く、マイナス20度くらいあった。
帰って風呂に入って17時ごろ昼寝。
20時ごろ起きて、昨日買ったクラッカーなどで腹ごしらえ。
CNNでアメリカ中のニューイヤーコンサートの中継をやって
いたのが面白かった。国内でかなりの時差があるアメリカでは
「ゆく年くる年」をやることはできないわけだ。
ニューヨークのタイムズスクエアではもう年が明けたが、
ニューオーリンズではあともう少し、アラスカに新年がやって
くるのは一番最後、という感じ。順番に新年がやってくる。
フロリダは時差が45分刻みらしい。ややこしい。
タイムズスクエアでアナウンサーが、集った群集(すごい
ハイテンション。新年の何がそんなにハッピーなのか?)に
マイクを向けて「今年の抱負は?」などとやっているが、
いきなりヤバイことを言い始める人とかいないんだろうか?
それともアメリカの生中継は全部5秒遅れなのか?
あとコマーシャルで「何曜日の何時から、この番組を見てね」
とか言うけど、時差があるのにどうしてるんだろう?
国内共通時間みたいのがあるんだろうか?
CNNの「2005年を振り返る」みたいな映像がかっこよかった。
もちろんアメリカのニュースを中心に振り返るので、政治の
話題とか全然わからないんだけど、とにかく災害だらけと
いうことだけはよく伝わってきた。
この年末、カリフォルニアとかナバ・バレーのあたりで
洪水と山火事が同時に起きていて大変そうだったんだけど、
日本に帰ってきて新聞を見たら全然載っていなかった。
3回目のオーロラツアーに出発。今日も人が多い。
アラスカ大学の予報は「ふつう」だった。
年越しということで、ロッジでシャンパンを配り、みんなで声を
そろえてカウントダウンをして、花火を打ち上げる。
大量の花火をバンバン打ち上げ、手持ちの花火もみんなに
配って夏の気分を味わう。雪上に火薬の匂いがたちこめる。
しかし、オーロラは出ない。
昨日、一昨日と見えた方角に目を凝らすと、網膜に映るか
映らないかというくらいのかすかなぼんやり感が感じられるが、
これは二日間夜空に目を凝らし続けていたからわかることで、
今日が初めてだったら「あそこに出てるよ」と言われても
絶対わからなかっただろう。
オーロラ観光には、目が良いことは必須だと思う。
眼鏡が曇ってそのまま凍ったり、まつげが凍ってくっついたり
するから眼鏡の上からゴーグルをするといいと聞いていたが、
ゴーグルをするとかすかな光が見えなくなってしまうので
結局しなかった。
することもないのでそっちの方角の暗い空を見つめながら、
ガイドさんを囲んで話を聞く会になっていた。
アラスカ旅行に来ていた奥さんとのなれそめとか。
先住民がいかに貧しい暮らしを強いられているかとか。
あとムースの料理法の話が興味深かった。
心臓を酢で洗ってピリ辛に漬けたのは酒のつまみに最適とか、
脳を卵とじのように野菜スープに入れるとおいしいとか、
タンを薄切りにしてよく煮込むとか、鼻の毛をバーナーで
焼いて煮込んで軟骨部分を四つ切にして食べるとか。
自然を取り入れつつ、熊や狼への畏怖を抱いて生きのび
ようとする、北ならではの考え方というのは素晴らしい。
暑くても命の危険は感じないけど、寒いと本当に生命の
危機を感じるし、ここでは人間が最強の生物ではない。
D&Dのドルイドっぽい。サプリのフロストバーンっぽい。
やっぱり寒いところはいいよ。
狼が増えているので州で定期的に殺しているんだけど、
「狼教団」のような狂信的な人たちがいて、「殺した狼
1匹につきお前の親類縁者を1人ずつ殺す」と州知事を
脅しているらしい。
でも食物連鎖のバランスって大事だしね。
(続きます)
●アラスカ旅行記3日目(12/31)
目覚ましをかけて昼12時半に起きる。
向かいの小さいホテルに付属しているアメリカ料理の
レストラン「アイリス」がおいしいとガイドさんに
聞いたので、昼食を食べに行く。
外から見たら全然客がいなかったが、中は広くて
見えないところにいっぱい客が入っていた。
アラスカの店は総じて外から中がよく見えず、
中が広い作りになっているようだ。寒いからか?
「1/2ポンドハンバーガー」というのを1つとパンケーキを
1つ取ってシェアしようと考えるが、注文の際にうまく
通じなかったらしく、ハンバーガーが2つ来てしまう。
パンにしっかり焼き目のついた肉が乗って、トマトと
レタスは別になっていて、好きなようにマスタードや
ケチャップをつけてはさむようになっている。
きゅうり丸一本ぶんのピクルスが脇についている。
あとサイドメニューでサラダとフライドポテトがあり、
この油っこくてカリカリのポテトがすごくおいしかった。
あと1ドル50でホットティーを頼んだら、お湯のポットと
さまざまな種類のティーバッグのバスケットが出てきた。
あとでわかったことだが、ここではハーブティーが
ポピュラーらしい。ベリー系やミント、カモミールなど
いろいろあるが、シナモン入りは匂いがきつすぎて駄目。
ハンバーガーでお腹いっぱいになったのでパンケーキは
キャンセル。続いて日があるうちに土産物屋を回る。
金細工の店のショーウィンドーで見た、犬ぞりがずっと
連なったブレスレット(650ドルくらい)が素敵だった。
繊細な焼き目をつけた革細工の小箱などはきれいだが、
軽石なのかなんなのかよくわからないボチボチ模様の
岩でできた人形などはかなり不気味だった。
エスキモーの岩仮面に羽飾りをつけたものなども
ポピュラーなようだが、正直顔がすごく怖い。
あと、なぜか宗教の絵柄のマトリョーシカがあった。
ムースの糞をかたどったジョーク・グッズがあちこちで
扱われていたり、アラスカのナンバープレートを模した
名前入りのキーホルダーもよく見た。
そのほかクリスマス飾りがたくさん売っていたが、
総じてろくなものがなく、何も買わなかった。
散歩の途中でトイレに行きたくなり、近くのマリオット
ホテルのロビーに入ったが、宿泊用のキーカードを
入れないと使えない仕組みになっていた。
そういえばウェストマークのエレベーターもキーカードを
入れないと動かないようになっていたな。
この日が3日のうち一番寒く、マイナス20度くらいあった。
帰って風呂に入って17時ごろ昼寝。
20時ごろ起きて、昨日買ったクラッカーなどで腹ごしらえ。
CNNでアメリカ中のニューイヤーコンサートの中継をやって
いたのが面白かった。国内でかなりの時差があるアメリカでは
「ゆく年くる年」をやることはできないわけだ。
ニューヨークのタイムズスクエアではもう年が明けたが、
ニューオーリンズではあともう少し、アラスカに新年がやって
くるのは一番最後、という感じ。順番に新年がやってくる。
フロリダは時差が45分刻みらしい。ややこしい。
タイムズスクエアでアナウンサーが、集った群集(すごい
ハイテンション。新年の何がそんなにハッピーなのか?)に
マイクを向けて「今年の抱負は?」などとやっているが、
いきなりヤバイことを言い始める人とかいないんだろうか?
それともアメリカの生中継は全部5秒遅れなのか?
あとコマーシャルで「何曜日の何時から、この番組を見てね」
とか言うけど、時差があるのにどうしてるんだろう?
国内共通時間みたいのがあるんだろうか?
CNNの「2005年を振り返る」みたいな映像がかっこよかった。
もちろんアメリカのニュースを中心に振り返るので、政治の
話題とか全然わからないんだけど、とにかく災害だらけと
いうことだけはよく伝わってきた。
この年末、カリフォルニアとかナバ・バレーのあたりで
洪水と山火事が同時に起きていて大変そうだったんだけど、
日本に帰ってきて新聞を見たら全然載っていなかった。
3回目のオーロラツアーに出発。今日も人が多い。
アラスカ大学の予報は「ふつう」だった。
年越しということで、ロッジでシャンパンを配り、みんなで声を
そろえてカウントダウンをして、花火を打ち上げる。
大量の花火をバンバン打ち上げ、手持ちの花火もみんなに
配って夏の気分を味わう。雪上に火薬の匂いがたちこめる。
しかし、オーロラは出ない。
昨日、一昨日と見えた方角に目を凝らすと、網膜に映るか
映らないかというくらいのかすかなぼんやり感が感じられるが、
これは二日間夜空に目を凝らし続けていたからわかることで、
今日が初めてだったら「あそこに出てるよ」と言われても
絶対わからなかっただろう。
オーロラ観光には、目が良いことは必須だと思う。
眼鏡が曇ってそのまま凍ったり、まつげが凍ってくっついたり
するから眼鏡の上からゴーグルをするといいと聞いていたが、
ゴーグルをするとかすかな光が見えなくなってしまうので
結局しなかった。
することもないのでそっちの方角の暗い空を見つめながら、
ガイドさんを囲んで話を聞く会になっていた。
アラスカ旅行に来ていた奥さんとのなれそめとか。
先住民がいかに貧しい暮らしを強いられているかとか。
あとムースの料理法の話が興味深かった。
心臓を酢で洗ってピリ辛に漬けたのは酒のつまみに最適とか、
脳を卵とじのように野菜スープに入れるとおいしいとか、
タンを薄切りにしてよく煮込むとか、鼻の毛をバーナーで
焼いて煮込んで軟骨部分を四つ切にして食べるとか。
自然を取り入れつつ、熊や狼への畏怖を抱いて生きのび
ようとする、北ならではの考え方というのは素晴らしい。
暑くても命の危険は感じないけど、寒いと本当に生命の
危機を感じるし、ここでは人間が最強の生物ではない。
D&Dのドルイドっぽい。サプリのフロストバーンっぽい。
やっぱり寒いところはいいよ。
狼が増えているので州で定期的に殺しているんだけど、
「狼教団」のような狂信的な人たちがいて、「殺した狼
1匹につきお前の親類縁者を1人ずつ殺す」と州知事を
脅しているらしい。
でも食物連鎖のバランスって大事だしね。
(続きます)