九州旅行記後半

2010年11月23日
九州旅行記後半
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九州旅行記後半
11/16(火) 熊本城とハウステンボス

3泊のうちこの日だけ朝食付きで、洋食ビュッフェと和食懐石が選べたけどビュッフェにする。
その場で焼いてくれるチーズオムレツが絶妙の焼き加減。一緒にあった牛肉の鉄板焼きも、コショウがよくきいてておいしかった。

朝8:30くらいに出発して、熊本城観光へ。
須戸口門から入ってコインロッカーに荷物を預け、最短距離で天守閣へ向かう。
お城は、ホテルの窓から見たときは屋根の色が目立って灰色っぽい印象だったが、下から見上げると壁が真っ白。よく晴れた青空に白いお城がきっぱりとよく映えていた。石垣も末広がりで重厚な迫力がある。

まず本丸御殿に入り、再現された台所(広々して高い天井の梁が美しい)、いかにも時代劇っぽい大広間、金ぴかの御座所、江戸城の松の廊下にあたる長い廊下などをめぐる。
それから天守閣に登る。6階まであり、各階ごとに時代を追って加藤清正やら西南戦争やらの展示がいろいろある。
一番上からは街が一望でき、下の広場では修学旅行生がいくつもの半円形を作って記念写真を撮っている。
階段を上るのはちょっと大変だったけど、見ごたえあった。

降りるとお城のふもとに鎧を着たガイドの人がいて、一緒に写真を撮ってもらったら、「姫、お守り致す」と言いながらなぎなたを構えてポーズをとってくれた。ただ、逆光だったのでシルエットになってしまった。

二重の石垣のほうを通って入り口まで戻る。
10:00にお城を出て、道路の真ん中を走る市電に乗って熊本駅まで行く。駅から10:25のバスに乗って熊本港へ行き、フェリーに乗らねばならないが、市電がなかなか来なくて駅に着くのがギリギリになってしまう。
港行きバス停自体は市電の降り場からすぐ近くなんだけど、道路を渡るためにちょっと戻って横断歩道を渡らねばならず、信号が変わるのを待っている間にバスが行ってしまった……。

仕方なくタクシーで港へ。田園地帯を抜けていき、けっこう遠かった。
11:10発のフェリーで熊本港から島原港へ渡る。
フェリー路線が2つあるが、片方は30分で800円、もう片方は60分で680円。今回は速いほうに乗る。
けっこう大きくてソファー席がいっぱいあり、なかなかきれいな船だった。

出航に合わせて甲板にカモメがいっぱい集まってきたので見に行くと、カモメの餌としてかっぱえびせんが売られており、客がそれを手に持って差し出すと、カモメが器用に取りに来る。
かなりのスピードで走る船と同じ速さで強風の中をほとんど動かずに飛び(ホバリングしてるみたい)、手に噛みついたりすることもなしにうまいことかっぱえびせんだけくわえ取る飛行技術がすごい。
女性グループや小さな子どもたちが、きゃーきゃー言いながらカモメに餌をあげるのを、私は後ろでカメラの連写機能をフル活用して撮る。
天気が良くて光が強く、1/4000秒シャッターだろうが1/8000秒だろうが余裕だし、必ず手に寄ってくるからカモメの動きもとらえやすいし、背景には海と島がいい感じにボケて入ってくるし、撮っていて大変楽しく、ここだけでやたらと枚数を稼いだ。

島原の雲仙・普賢岳と思われる、ごつごつした山が近付いてきて、すぐに島原港に到着。
フェリーターミナルの土産物屋はカステラがすごく多くて、長崎に来た!という感じ。

ここからハウステンボスまでは電車で行く。
乗り継ぎがよくなくて、11:40に入港してから島原外港駅まで歩き、12:30の電車を待たなければならない。
フェリーには徒歩の客がけっこう乗っていたのに、船を降りて駅まで歩いて行く人は全然見当たらない。
また、駅に着いてみたら「廃線!?」っていうくらいさびれきっていたので、たぶんこれはフェリーターミナルからバスで島原市内行きとかがあるんだろうな……。調査不足。

この島原外港駅は島原鉄道の終点なんだけど、もとはさらに西まで線路が続いていたようで、途中で線路が断ち切れている。
駅舎とかはなく、道路からそのままホームにつながっている。11月頭に火事で待合室が焼けてしまったとかで、仮小屋が建っている。
踏切を渡ったところに「町のケーキ屋さん」的な小さいお店があったので、そこでブッセっぽい「島原銘菓」を買う。
細かい金額は忘れたけど、87円のを2個買ったら175円、みたいなことをレジのお姉さんに言われる。「古いレジなので繰り上がりなんです」と言われるが、1つずつ別々に買ったことにすれば174円だよね? ってか普通消費税の端数って切り下げるよね? 別に1円ケチってるわけじゃないけど、あまりに当たり前のように言われたので「これが田舎ってことなのか!?」と思った。

駅のホームのベンチでそのお菓子を食べる。ゆず風味でなかなかおいしかった。
こういうとこに来る電車だから絶対1両ワンマンだろうと思っていたら2両だった。
乗ると車掌さんが切符を売りに来たが、普通の切符ではなくて、開いたおみくじくらいの大きさの紙に、駅名と料金と日付などがずらっと全部書き込んであって、該当するところにパンチ穴を開けるという仕組みの見慣れない切符だった。
電車は空いていたので、一番後ろから海沿いに走る景色を眺めていた。

諫早で降りてJRに乗り換え、快速シーサイドライナーでハウステンボスに14:30に着く。
こっちの電車はけっこう混んでいたが、ハウステンボスで降りる人はあまりいなかった。
駅は舞浜みたいな感じできれいなんだけど、小さくてあまり人がいないところを見ると、電車でハウステンボスに来る人はあまりいないのかも。

大きな橋を渡り、全日空の立派なホテル(時計塔に、大時計と並んで風向計がついている)の横を通り過ぎ、入り口へ。
コインロッカーに荷物を入れて、海沿いで寒いので着れるだけ服を着込む。

まずは入り口からキンデルダイクというゾーンに入って風車と花畑を見る。
ここから一番奥のパレスを目指して長い道のりを歩き始める。
園内右のほうに馬に乗れる牧場っぽいところがあって、看板にひかれて入るが人っ子ひとりいなくて、馬はいるけど乗る場所は不明。
そのまま出るとバラ庭園があって、来週くらいから始まるライトアップのための工事中だったんだけど、入れはするようになっていたので、電球や工事道具をよけて歩く。
テーマに沿ってさまざまなバラを集めていてかなり見事だが、残念ながら花の盛りは終わったあとだった。
これからライトアップ本番が始まるというところなので、シーズン的には谷間だったかも。

バラ庭園を抜けるとフリーゾーンに出る。いかにも秋っぽい、落ち葉の舞う並木道を通ってひと気のないパレスに着くが、わざわざ見るほどでもないかも……ということで結局入らない。
戻って、寒いしどこか入ってお茶しようということで、ビネンスタッドという中央エリアに行き、カフェを探す。
アレキサンダー広場周辺にはさまざまな雑貨屋や服屋が立ち並んでいるが、ちょうどいいカフェが見つからず、地図を見てストロープワッフルカフェという店へ。
紅茶とカステラのセットを頼み、薄いカリカリのオランダ風ワッフルも1枚食べてみる。このスタイルのワッフルは初めて食べたけど、トロッとしたシロップがはさんであって、サイズの割に高いだけのことはある凝縮された甘さ。

全体的にハウステンボスは道路が秩序的でないというか、方向がばらばらで規則性がなく、全体に広いので地図を見て歩かないと行きたいところに行きにくい。トイレを探すのも難しい。ディズニーランドのほうがこじんまりとまとまってる。

広場でゴスペルショーをやっていたのでちらっと見て(まわりに焼き鳥の屋台とかがあって無国籍な感じ)、ニュースタッドというエンタメ系施設が多いゾーンへ移動し、「ホライゾン・アドベンチャー・プラス」というシアターに入る。
ステージが本物の水をたたえた池になっていて、周囲に中世オランダのミニチュアの村が作ってある。
「水を大事にしないと水の女神が怒って大洪水を起こす」という映像が流れるとともに、池に洪水を現す噴水が現れ、村を飲み込んで滝のように流れ、最後は上からもどばっと水が落ちてきて(全部で800トンらしい)そこらじゅう水しぶきがかかる。座席も突然ガ

タガタ揺れてびっくりする。
映像がヨーロッパ大規模ロケみたいな作りですごいなと思ったが、オランダにもハウステンボス同様の施設があって、そこで作ったのを翻訳して流してるということなんだろうか?

そのあと「ミステリアス・エッシャー」というシアターに行きたいと思ったんだけど、時間が合わない。
また、これから夜のパレードが始まるらしく、スタートはこの近辺だという。チョコレートショップの店員さんにどこを通るのか聞いたら、目の前の道路を通るとのこと。チョコレートショップ併設の無料休憩所で寒さをしのぎながら待つが、なかなか通らない。
ちょっと様子を見に行ったら、スタート地点とおぼしき裏路地に光る山車が並んで準備中だった。
エレクトリカル・パレードのかなり小さい版っぽい。

夕景などを撮りつつしばらく待つと、パレードがやってくる。光る山車に乗った天使の衣装のお姉さんがいろいろな宣伝アナウンスをしつつ、シャボン玉を後ろになびかせて通り過ぎて行き、キラキラした衣装を着たダンサーが何人か脇を歩きつつ飴を配る。その後ろを客がぞろぞろとくっついて歩く。
パレードが橋などにさしかかると、掛け声とともにその辺り一帯のライトアップに灯が入り、とてもきれい。

パレードを見るために両脇に場所取りをする必要など全くないくらい人がいなくて、後ろをついて歩くのもせいぜい十数人。
こんなに入場者がいないのに、こんなにライトアップして電気を消費してたらつぶれちゃうよ!と心配になる。

しばらく歩いてスリラー・ファンタジー・ミュージアムというゾーンまでやってくると、中央の広場でダンスが披露される。
そのあとパレードは先へ進んでいくが、「このあとこの広場で音と光のショーが始まります!」とアナウンスがあり、どっちに行っていいのか迷う。
この少ない客をわざわざ分散させることに何の意味があるのか……。

迷っているうち音楽が流れてショーが始まったので、そこに立ち止まって見る。
広場を取り囲む建物にちりばめられたネオンが、音楽に合わせて点滅したり色が変わったりと、いろいろな照明効果を駆使したショーで、雰囲気はラスベガスのベラージオ前噴水に近い。
ただ、広場中央にある雪だるまがずっと光っていてちょっと邪魔。

それが終わり、パレードの進んだ方向へ行ってみると、アレキサンダー広場のほうも派手にライトアップがされている。
今までにも思っていたことだけど、九州のライトアップは全体的に派手な気がする。
恵比寿ガーデンプレイスや六本木ヒルズだったらもっとシンプルに統一感をもたせてまとめるところを、九州だといろんな色を付けたり、光っているものをさらに足元から照らしたりする。
北欧ではシンプルな雑貨が生まれ、ハワイではアロハを着るみたいなもので、やっぱり南の風土のほうが派手になりやすいのか?

このあと1時間ほどのブランクを置いて、アレキサンダー広場でいくつかショーをやるらしい。
それが終わると閉園時間なので、たぶんこの1時間のブランクのあいだに晩ご飯を食べて、そのあとショーを見て最後まで滞在してくださいという意図なのだろう。

我々は最後まではいないが、今晩ご飯を食べることにしてユトレヒトというレストラン街へ。
園内一番人気という、長崎ちゃんぽんの店に行く。
ちゃんぽんって今までこのかた食べたことがなかったんだけど、予想以上においしかった。野菜たっぷりでラーメンよりヘルシーな感じだし、揚げ麺っぽい麺がおいしい。

このあとエッシャーのショーを見て帰る予定で、急いでシアターまで移動する。
噴水横を通ろうとしたら何かの撮影をしていて、足止めされた。

「ミステリアス・エッシャー」は3Dシアターなんだけど、入口を入ってからスクリーンまでの間に、エッシャーの絵がいっぱい展示してあって、メビウスの輪を歩くイモムシ「カール・アップ」を立体化した像や、上下さかさまになった部屋があったりして楽しい。

映像は、女の子が飼い犬を助けるために永遠に流れる滝を目指すという物語で、ところどころにエッシャーの絵がモチーフになった映像が入る。
3D化なんて無理だろ、と思っていた「永遠に流れる滝」のシーンは、なんか階段が奥にあるのか手前にあるのかちかちかしてよくわからない、という感じで濁されていた。
エッシャー好きとしてはかなりおもしろかったけど、もっといろいろな絵を出してくれたらもっとよかった。

電車の時間が近く、それを逃すともう1時間近く電車がないので、急いで駅に戻る。
入り口と出口が違う場所にあるので、入るときに荷物を預けたコインロッカーがどこだかわからなくなり(暗くなって景色も全然違うし)、コンビニで焦って助けを求めた。
大急ぎで戻ったら、かなり早く着いた。

長崎へ戻る電車の中で、今朝もらった熊本日日新聞を読む。
さすが地方紙だと思うのは、地方面の細かさ。「幼稚園でイベントがありました」「小学生がいも掘りをしました」みたいな記事がある。
あと、死亡者のリストがある。一応掲載許可のある人だけということだけど、名前・住所・年齢が全部書いてあるってのは、この個人情報保護社会においてすごい。

21:30に長崎駅に着き、コンビニで明日の朝ご飯のヨーグルトとおにぎり、あと今夜のおやつにハッピーターン200%を買う。
市電に乗って大波止(おおはと)まで行き、APAホテル長崎駅南に泊まる。
本当はハウステンボスのホテルに泊まろうと思っていたんだけど、そうすると明日の朝長崎港まで来るのが大変なので、港に近いここのホテルに変更した。

ここはごく普通のビジネスホテルっぽい感じ。
部屋においてあったホテル誌みたいのを読んだら「日本のマスコミは朝日新聞に牛耳られ、自虐史観を垂れ流しているのである!」みたいな論調でへぇーと思ったんだけど、ロビーにはタダでもらえる朝日新聞が置いてあったのはなぜなんだろう。
23時就寝。

11/17(水) 軍艦島

7時に起きて朝ご飯を食べ、ホテルに荷物を預けて長崎港ターミナルへ。
後方に黄色い巨大な球体(最初ガスタンクかと思ったがそうではなく飾りだった)がそびえ、フェリーターミナルの建物自体も寝かせてつぶした円柱のような未来っぽい形をしていて、よく目立つ。

予約してあったチケットを受け取り、軍艦島クルーズへ。マルベージャ号という船に乗り、9時出航。
満席で、200人くらい乗っていたらしい。団体が多かった。
2階のデッキ席に上がると、「進行方向右側がいいですよ」と船員さんにお勧めされた。

港を出てしばらく、巨大な造船所の光景が広がる。
修理点検中の海上自衛隊の船が3隻あったり。

船上は風が冷たいが、左右の景色について細かくアナウンスしてくれる。
すごく高くて大きな女神大橋をくぐって、振り返ると長崎の街は山の上まで家がびっしり。坂が多くて大変そう……。
自由の女神みたいに岬に立つ四朗ヶ島のマリア像、天主堂のある伊王島や、風車があって釣りのメッカになっている高島を過ぎると、ついに軍艦島こと端島が見えてくる。

ほとんど外海なのでけっこう揺れるが、がんばって全景写真を撮る。
遠くから、一番高い丘に建つ管理職用のアパートと、その近くにある神社の小さく白いやしろがよく見える。

ドルフィン桟橋というところに降り立つ。
団体客には色分けされた首にかける用の札を配っており、個人客にも配っていたが、なぜか我々はもらえなかった。
札の色ごとに二手に分かれて見学する。我々は黄色+青組に振り分けられた。
海沿いに島の南から西にかけて、観光客が通れる道が整備してあり、その途中3か所に見学ポイントがある。それぞれに説明係の人がいて、写真を見せつつ解説してくれる。

ここの遺跡の存在感や印象については、なかなか言葉で語ることができない。
写真や映像で見てもじゅうぶんすごいけど、実際に見るとまた違う。
閉山から36年でこんなに崩れてしまうのに驚く。築30年40年の家なんて世の中普通にあるけど、人が住まなくなって風雨にさらされるとこんなになってしまうのか。
これだけ崩れているってことは、20年後とかにもう一回来たらずっかり様子が変わっているのでは?今見ておいてよかったかも。
空がすさまじく青くて、廃墟にかなり草が生えているので、ラピュタっぽいなとも思った。

我々は1つ目のドルフィン桟橋前からスタート。
石炭を積み上げておく貯炭場で、奥へ伸びるベルトコンベアーの柱部分だけが残っていて、規則正しく並ぶ柱の様子がローマ遺跡みたいだった。

その奥には小中学校があり、さらにその隣にはアパートの上に幼稚園があり、どれも高層ビル。
当時の人口密度は東京の9倍。島が一つの家族のような一体感があり、町ぐるみで子どもを育てたというような話も聞く。

続いて2番目のポイント、総合事務所前へ。
レンガの建物の前面壁だけが残っているほか、炭坑に降りていくための入り口と、そこへ入るための階段がある。
炭鉱は海の下にあり、「あの階段はこれから潜る人の緊張と、無事に出てきた人の安堵が交錯する場所でした」というような解説が趣深い。

炭坑から出てきた人は、服のまま海水の風呂につかり、そのあと服を脱いで海水の風呂につかり、最後に真水の風呂につかってさっぱりしたとか。
島では真水が出ないので、隣の陸地から海底トンネルで運んできていたらしく、そのトンネルや島の上方の貯水タンクにつながるパイプが残っている。

あと、真新しい白い灯台がある。閉山前は24時間稼働していたこの島に灯台は必要なかったが、閉山後に建てたこの灯台は太陽電池で動かしている。

それから3つ目のポイントへ。
25メートルプールの跡がある。
ぽつんと1つ建っている建物は、地下炭坑用に工具を改造した場所らしい。
向こうには日本初の鉄筋コンクリートのアパートと、防波堤を兼ねたアパートなどがある。
島の中に病院や留置所や寺社や映画館や遊郭など、お墓以外はなんでもそろっていたという。火葬場とお墓だけは隣の中ノ島にあったらしい。

ここから見える防波堤に、釣り人が3人ほどいた。観光客は通路しか歩いちゃだめだけど、自前の船でやってくる地元の釣り人は好きに入っていいものなのか?
釣りあげると客から拍手が起きていた。

船に戻り、西側の建物がわりとしっかり残ってるほうをぐるっとまわって見物。
木造だったお寺だけは崩れてあとかたもない。
こっちはさらに波があって揺れるうえ、船に戻ってきたのが遅かったので二階のデッキに空いてる席がなく、手すりにしがみついて写真を撮る。さすがに手ブレしまくってた。

帰りの船内では軍艦島のビデオが放映され、ぎゅう詰めに座って見る。前の人の頭でよく見えなかったけど、来る前はろくに知らなかった軍艦島について、帰る頃にはすっかり詳しくなっていた。
今ならB’zのPV見てどこに立ってるか言いあてられる。

12時ごろ長崎港に戻る。
近くの夢彩都というショッピングセンターに入り、おいしそうなふりかけを買う。地下のスーパーをぶらつくと、焼きそばの麺などと並んでちゃんぽん麺がいっぱい売ってる。
ここのレストラン街に行き、定番のちゃんぽん店「みろくや」で皿うどんを頼む。パリパリの細麺があまり好きではないので太麺にした。
中の具が、昨日はイカで今日はタコ、ちくわの代わりにかまぼこが入っているなど多少違うけど、皿うどんもおいしかった。しかし熊本ラーメン、ちゃんぽん、皿うどんと麺類ばかり食べている。

食べ終わると13時ごろ。これから飛行機で帰るまでの2時間を長崎市内観光にあてる。
大波止から市電に乗って築町で乗り継ぎ、天主堂前で降りてグラバー園を目指す。

市電の中も、降りてからの道も修学旅行生と観光客でいっぱい。名護中と書いてある鞄が見えたのと、関西弁の学生を多く見た。
天主堂駅からグラバー園までの上り坂は、修学旅行生向けの土産物屋が立ち並び、清水寺に行く途中の坂みたいな、いかにもな観光地。

グラバー園は、丘の上に昔の洋館がいくつも残っているところで、港が見下ろせて見晴らしがよく、草花もきれい。
洋館は大変立派で、当時の調度なども残されている。テラスで海を見ながらのんびりしたり温室で花の世話をしたりする優雅な暮らしがうかがえる。

修学旅行生はハート型の敷石(触ると恋愛運が上がるお約束スポット)に夢中。
あと「○○発祥の地」という石碑がやたらあって、ボーリング発祥とかアスファルト発祥とか、洋風のものはすべて長崎発祥という勢いだった。

グラバー邸、リンガー邸、オルト邸と回って、入ってきたのと反対側の第2ゲートから出る。
第2ゲートが園内で一番高いところにあるので、こっちから入ってきていればずっと階段を下りるだけで楽だった。

第2ゲートを出ると、スカイロードというエレベーターをつないだ道があり、一気に降りることができる。
すごい高低差なので、これがなかったらこんなところまで絶対来られない。
斜行エレベーターで一番下まで行くと、入れ違いに修学旅行生が乗ってきて、その中の男子一人が果敢にも階段を登ってエレベーター組と競争を始めたが、かなりの無理ゲーだと思う。
急坂だらけのこの街では自転車はまったく発展しないだろう。

市電の石橋駅までは、さっきの天主堂前とはうってかわって地元の細い道になっていて、八百屋さんの野菜がめちゃくちゃ安いのにびっくりした。
市電で大波止まで戻り、ホテルに預けていた荷物を受け取って、長崎空港行きのバスを待つ。
帰り道はやたら乗り継ぎがスムーズで、予定より20分早いバスに乗れた。

30分ほどぐっすり寝ているうち、16時に長崎空港に着く。
飛行機は満席で、3人席の真ん中でばらばらにしか席が取れなかった。

JALのカードを持っているので、10%引きになるJALのショップを探すが見つからない。
聞いてみるとなんとゲートの中にあるという。最低限カステラはあるだろうから、それだけは中で買うとしてあとのものを外で探す。
かまぼこ屋でさんざん試食。みんなおいしいが、ちゃんぽん天はやや微妙。
皇太子さまも召し上がったという高級びわゼリーと、好きな角煮まんを買う。
結局中のJALショップは小さくてあまり品ぞろえもなかったので、外で買っておいてよかった。

17:10の飛行機で19時前に羽田空港に着き、昔よく行っていたロイヤル・デリで軽く晩ご飯を食べようと行ったら、昔みたいに少しずついろいろ選べる形式ではなくプレートメニューがいくつかあるだけになっていたので、パン屋でホットドッグとクラムチャウダーに変更。
20:30に帰宅。

まとめ
・パックツアーは時間に追われる印象だけど、自分で計画してもやっぱり時間には追われる。
・予定してたようにいかないトラブルもあったけど、国内旅行はわからないことがあったらすぐ人に聞けばいいから、簡単。
・ハウステンボスは人がいなさすぎ。長崎市内は修学旅行生だらけなのに……。
・軍艦島が今回のハイライトだった。行ってよかった。
・今回は九州の北側しか行けなかったので、次は南側にも行ってみたい。

九州旅行記前半

2010年11月23日
九州旅行記前半
九州旅行記前半
母親と2人で3泊4日の九州旅行に行ってきた。
パックツアーだったら安く上がったろうけど、行きたいところにだけ行き、食べたいものを食べるということで自分でプランを組んだ。
プランを考え始めたのは9月ごろなんだけど、その時点で長崎の軍艦島ツアー予約が2か月先でもほとんど満席になっており、その予約がとれる日程を優先してほかを固めていった。
ついでに全8ページの「旅のしおり」をインデザインで作った。

11/14(日)別府地獄めぐり

早起きして7:20くらいに家を出、8:30に羽田空港に着く。
超早割でチケットを予約したときに席を確保してなかったので、窓際が取れなかった。
中で食べるために豆パンをそれぞれ買って、端っこのターミナルから9:20の飛行機に乗る。
海外旅行で乗る国内線みたいな小さい機体で、反対側の非常口席が空いてたので母親はそっちに移り、寝不足だった私はずっと寝ていた。

11:35に大分空港に着き、そのままバスに乗って、ファミレスやショッピングセンターの並ぶ国道沿いにある、別府北浜バスターミナルで12:00ごろ下車。
海辺に昔からの温泉ホテルが並んでいるが、全体にかなり古びていて、阿寒湖温泉と同じ雰囲気を感じる。

13:00から別府地獄めぐり観光バスに乗る予定なので、1時間の余裕がある。
まず今夜泊まる花菱ホテルに荷物を預けて、近くの竹瓦温泉を見に行く。
ここは有名な古い公衆浴場で、建物がとても立派。窓が開いてて、中の男湯脱衣所が見える……。
砂湯もあるが、今は工事中だった。

周囲のややさびれたスナック街を歩くと、波止場神社というのがあって、まるで放棄されたようにがらんとして何もないが、格子組みの天井にはかつて立派だったろう絵がたくさん描いてあった。
バスターミナルの向かいにトキハという大きいスーパーがあったので、その地下で昼ご飯を調達する。
小さいいなりずしとからあげを買い、バスターミナルに併設されているホテルのロビーで食べる。

13:00発の、別府地獄めぐり定期観光バスに乗る。
バスガイドのお姉さんの滑舌がかなり悪く、台詞が圧縮されたように詰まっていて聞き取りにくい。まぁそんなに人材がいるわけでもないだろうし、若い女の子なら誰でもいいって感じなんだろうな。
お客の中に、ガイドさんのどんな説明にもいちいち大声で相槌をうつ子どもがいて、お姉さんが大ウケだった。
「昔からの伝統である七五調でのアナウンス」というのが名物らしく、時おり短歌の読み上げみたいに甲高い声で言葉尻を伸ばして歌うように文句を唱えるが、いまいち七五調には聞こえなかった。

別府地獄というのは、全部で8か所あり、6つはほぼ隣り合っていてあと2つはちょっと離れている。それぞれが温泉の源泉で、噴き出す様子が観光名所になっている。
1つずつ入るとそれぞれ400円前後の入場料をとられるが、8つ全部の共通券は2000円。バスツアーの料金は3600円なので、往復バスとガイドさんの分が1600円ということになる。

そこらじゅうの家並み(瓦屋根ばかり)からもくもくと白い煙があがっている、いかにも別府らしい景色を見ながら山を登り、鉄輪温泉へ。
バスを降り、ガイドさんに連れられて歩く。

1つ目は海地獄。
入り口には鮮やかなピンクや紫に咲く熱帯スイレンと、体重20キロまでの子どもが乗れるサイズにまで成長するオオオニバスの池があり、その奥にもうもうと煙をあげる源泉がある。煙の晴れ間からきれいなトルコブルーの水面が見える。
温泉卵を作るための籠が温泉に漬けてあった。

2つ目は坊主地獄。
泥からボコボコと硫黄くさいガスが湧いていて、丸く膨らむ様子から坊主の名がついたらしい。
阿寒湖の「ボッコ」もこれと同じだった。
湧きあがってブハッと崩れるところを写真に撮ろうとするが、カメラを向けるとなんだかおとなしくなってしまう。

3つ目は山地獄。
ここは岩がごろごろしている崖からもうもうと煙が噴出しているだけだが、動物園が併設されている。
巨大なカバが池にじっと沈んでいて、客が買って投げ込める餌として柵の横にニンジンがいっぱい置いてあるが、子どもが投げつけてもびくともしない。「またニンジンかよ!」と思ってそう。
あと、やたら木の杭を舐めまくっているラマや、温泉の煙を浴びて暮らす猿、餌が欲しそうにこっちを見ている象などもいて、けっこうな規模だった。
こないだの井の頭公園で見た限り、象って一日に相当な量な餌を食べるはずなんだけどちゃんと養えているのか?

4つ目はかまど地獄。
ここはいろんなタイプの源泉をとりそろえ、「地獄の一丁目」から六丁目まである。ここにあった赤い泥がボコボコ湧いてる池が、全部の中で一番地獄っぽい見た目だった。

5つ目は鬼山地獄。
ここは温水で大量のワニを飼っており、ちょうど14:30の餌やりの時間だった。
係のお兄さんが骨付きの生鶏肉を素手で持って柵の上から差し出すと、池に密集したワニたちがすごい大ジャンプをしてそれに跳びつく。
集まった客はワニがジャンプするたびに「キャー!!」と大喜び。これだけキャーキャー言われればワニも頑張る甲斐があるというものだ。
しかしあのお兄さんは、いつかワニに指を食いちぎられないか心配。

6つ目は白池地獄。
ここは乳白色の広い温泉のほか、温水でピラニアやピラルクなどの熱帯魚を飼っている。
水槽のある一帯が暗くて非常に時代がかった看板がかかっており、昭和レトロな雰囲気。
ここの別府地獄自体は昭和初期から続く観光地らしいので、昔は着物を着た客が「はー、これがアマゾンのピラニアというものかー」と感心していたのだろう。

ここで地獄ゆで卵を2つ買い、いったんバスに戻って移動する。
乗り場の向かいに「秘宝館」が建っていて、ますます昭和レトロな雰囲気。

7つ目は血の池地獄。
煙もうっすらと赤く染まった赤い温泉で、かつて爆発を起こしたときの写真を見せながら温泉軟膏の販売をやっていた。
次に行く龍巻地獄は間歇泉なんだけど、噴出予定時間がちょっと遅れているとのことで、時間にゆとりができたので足湯につかった。かなり熱くて、足がじんじんしてサッパリした。

最後の8つ目は龍巻地獄。
30分起きに噴きあがる間歇泉で、時間に合わせて行く。
円形劇場みたいな観客席に座ってしばらく待っていると、ボコボコ言ってから噴水のように激しく噴きあがってきたが、噴水の真上に岩で天井を作ってあるのでそこにぶつかり、途中で断ち切られてしまう。完全に上まで噴き上がると隣の建物がびしょぬれになるからだと思うが、もったいない。

噴出間隔が30分と短いのが世界的に特殊らしいが、1回の噴き上がっている時間も15分くらいあって珍しく長いと思う。
といっても、一度噴きだしたらあとは何も様子に変化がないので、じっと見てても飽きる。

全部観終わってバスに戻り、うとうとしながらバスターミナルまで戻って16時。
このあと、「別府海浜砂湯」まで行く予定になっている。
路線バスないし電車で行けるが、どっちも本数が少なそうだし、17時の閉園まであまり時間がないので、タクシーに乗る。

16:15ごろ海辺の砂浜にある砂湯に到着。
しかし、17時終了だと思っていたら「16時受付終了」の文字が!! きいてないよー!
受付で「せっかくタクシーで来たのに! なんとかなりませんか?」とゴネてみるが、「冬は砂の温度が下がるのが早く、今日は客も多くてたくさん掘り返したからもう冷えている」と言われ、入れなかった。無念。

もともと観光バスは15:30に戻ってくる予定で、それなら間に合っていたんだけど、龍巻地獄の時間がちょっと遅れていたのがまずかった。
さらに、観光バスがバスターミナルまで戻ってくる途中に砂湯の横を通り過ぎていたので、16時で閉まるとわかっていれば途中で降ろしてもらうんだった。
竹瓦温泉ならもっと遅い時間まで開いてるが、運悪く今は砂湯が工事中。
リサーチ不足を悔やむ。

仕方ないので、近くにあった海辺の足湯につかる。
横のほうを見ると最後の受付に間に合った人が砂湯で埋まっているのが見える。

海を見ながらしばらく足湯であたたまり、路線バスに乗ってホテルまで戻ったら17時ごろ。
部屋は港の見える8畳和室で、1人3360円(食事なし)という激安価格だが、備品とかもちゃんとしてる。
テレビはアナログで、NHK以外3つしか入らないけど。
あと、部屋が新館なんだけど、本館を通らないと外に出られなくて遠いのがちょっと不便。

部屋にあった「かぼすゴーフレット」を食べてお茶を飲み、18時ごろ晩ご飯を食べに出かける。
さっきのトキハの上にレストラン街があり、地元料理のお店に入って大分名物「鳥天とだんご汁定食」を頼む。
鳥天はからあげよりあっさりしててジューシー。だんご汁に入っているのはだんごというよりうどんで、ほうとうっぽい感じだった。
時間が早いとはいえ、日曜の夜なのに客が全然いなくて静かだった。

トキハの地下で大分土産をいろいろ見るが、荷物を増やしたくないので「鱚の浜焼き」だけ買った。
明日の朝ご飯用に、コンビニでパンとヨーグルトを買ってホテルに戻る。
トキハとホテルの間の交差点には信号がなく、地下道を渡らなければならないのだけど、短い別府滞在中になんだかんだで7、8回くらい渡った。

本館7階の展望風呂+うたせ湯につかる。熱いのとぬるいのと二種類あるのがありがたい。夜なので景色は何も見えず。
テレビを見つつ22:00には寝る。早寝早起き。

11/15(月)阿蘇

7:00起床。
新館屋上の露天風呂に行く。
上空が開いてるほか、湯船につかると視線のあたりに窓がきってあり、そこから港が見える。
露天風呂って普通は洗い場がないけど、ここにはちゃんとシャワーとかも備わっていて、真面目にそこで髪を洗ってる人もいたが、風が吹きつけててめちゃくちゃ寒そう。

昨日買っておいたパンとヨーグルトで軽く朝ご飯をすませ、お茶を入れて水筒に詰める。
近くにロイヤルホストがあったので、めったに食べられないモーニングというのもアリかと思っていたんだけど、9:00オープンだったので間に合わなかった。

9:00に阿蘇経由熊本行きの高速バス「あそ号」に乗車。
バス停がわからなくてバス会社に電話した。

車内でさまざまな観光案内や地域に伝わる民話、民謡などがかかる。
最初すごく空いていたが、昨日の鉄輪温泉を通り過ぎ、湯布院まで行くとそこそこ人が乗ってきた。
ただ、大分から熊本まで全部乗るのではなく、途中ちょっとだけ乗る人もけっこういた。

紅葉が始まった山道をバスはうねうね曲がりながらひたすら進む。木がなくススキだけが一面にびっしり生えた丘がどこまでも連なっているところは、フワフワしていて日本むかしばなし的な不思議な情景だった。
牧ノ戸峠を越える時は雲の中に入って、一面すごい霧だった。
2回くらいトイレ休憩で止まったけど、たいして土産物屋を見る時間もなく、阿蘇カルデラに入る。
大観峰はいつの間にか通り過ぎていた。街を見下ろす景色のいいところを通ったけど、あそこだったのかな?

草千里では観光客が馬に乗っていたが、写真で見るような緑色ではなくて一面すっかり枯れ草の色だった。
春に野焼きをしてから牛馬の放牧をするので、このへんの山肌にはまったく木がない。スキーにはうってつけだと思うけど、このへん雪降るのか?

かわいい形の米塚を通り過ぎ、阿蘇西駅で下車。
このバスは昼食つきなので、レストランで「高菜飯と団子汁定食」を食べる。
昼食とロープウェーでの火口観光を含めて90分あるという話だったが、霧のためかバスが遅れていて75分しかない。
大急ぎで食べる。高菜飯は大変おいしく、その他のおかずもなかなかだった。こういう食堂であてがわれるご飯としてはずいぶんレベルが高い。

それからお金を払ってロープウェーに乗る。
一面赤い岩だらけで何もなく、荒涼とした山肌および放棄されて崩れた歩道を見下ろす。乗っている時間はあまり長くないが、中でスザンヌの観光案内が流れた。

そんなに上昇したというほどでもないのに、火口の気温は7度。風がびゅうびゅう吹いていてめちゃくちゃ寒い。
ロープウェーから降りた客たちをガイドのおじいさんが集め、火口まで連れて行って説明してくれる。

あたりには低い円柱の形をした防空壕(っていうのか?)がいくつも建っていて、万一噴火したときはこの中に入ってしのぐらしい。でも、落石は防げても溶岩とか来たらやばくないか?
ガイドさんに連れられてその中に入って風をよけつつ、以前の噴火時の写真を見せてもらったりする。火口への飛び込み自殺が絶えないらしい。
ボランティアなのかなと思っていると、最後にガイドさんお手製?のお守りを売り始める。かわいそうだけど誰も買ってなかった。

火口をのぞくと、深いところの薄青い水面からもくもくと煙が出ていて、蔵王のお釜よりはるかに荒々しい感じ。
ただ強風と寒すぎるのとで、じっと立っていられない。
火口より右方面はガスが濃くて立ち入り禁止になっていたので、左方面の展望台に行くが、上っても街が展望できるだけで火口は見えなかった。
ガスの濃さは四段階のうち上から2つ目だったので、けっこう濃かったらしい。確かにロープウェーを降りた瞬間かなり硫黄の匂いがしたけど、すぐ慣れた。

お土産に黒糖ドーナツ棒を買い、阿蘇を離れて熊本へ。
熊本駅まで行かずに熊本城の近くで降りて、17時ごろ泊まるホテル日航熊本に到着。
繁華街の大通りに面していて、向かいはツルヤという九州ローカルっぽいデパート。「クマモン」という、うつろな目をしたクマのイメージキャラがでかでかと貼ってある。
昨日のホテルと段違いの豪華なロビーには暖炉が燃え、大きなクリスマスツリーもある。
まぁ値段が、朝食付きとはいえ倍くらいするから。

チェックインするときに「お好みの朝刊をサービスでお部屋にお届けします」と言われる。家で朝日新聞を取ってるので、「朝日以外なら何でもいいです」と答えながら、「すごい右寄りの人だと思われてるだろうな」と思った。結果、地方紙の熊本日日新聞というのにしてくれた。
部屋は窓の正面に熊本城が見える。バスタブ・シャワーとトイレが別なのはいいんだけど、トイレは洗面所と一緒なので、できればそこも分けてほしかった。

熊本城はもう閉まってしまうので明朝行くことにして、適当に晩ご飯を探しつつ散歩に出かける。
ホテル隣の上町アーケード入り口で熊本物産展をやっており、いろいろおいしそうなお菓子や野菜や漬物を見る。安くておいしそうだけど、かといって野菜やホールケーキを買うわけにもいかない。残念。

アーケードを上がってから一本裏にある「上乃裏通り」に入る。
古い町屋を小洒落た飲み屋や雑貨屋に改造した店が並び、裏原宿みたいな雰囲気の狭い道。
途中にある普通のお寺にふらっと入ったら、上のほうで断ち切れた幹から細い幹が何本も上に伸びているという、不思議な再生のしかたをした木があった。

今度は下町アーケードを歩き、そろそろお腹がすいてきたのでスナック街を抜けて熊本ラーメンの店を探す。
桂花の本店を発見したけど、桂花は東京にもあるからということで結局るるぶに載っている「元祖熊本ラーメン こだいこ」という店に行った。

店内に色紙がいっぱい貼ってあった。
とんこつラーメンだけど、豚骨以外何も入ってない純粋とんこつで、独特の匂いはあるが食べるとあっさりしている。
麺は卵入りで太くてやわらかめ、ちぢれてない。「麺とスープのバランスが崩れるから替え玉をしない」ことにこだわりがあるらしい。
具は福岡のラーメンと一緒だけど、トッピングとして黒くなるまで焼いた刻みニンニクを入れる。
おいしくないわけではないけど、とんこつオンリーだと味がちょっと平面的な感じがするのと、麺があまり好きなタイプではなく、これなら一蘭行くな、って感じだった。やっぱ博多ラーメンが最強かも。

帰りに、ホテルの1階にあるパンとケーキの店でロールケーキを買う。大変おいしかった。
クイズ番組を見て(3泊のうちここだけ地デジだった)、お風呂に入ってたら蚊がいて、フロントに「蚊取り線香ありますか」と聞いたら、「それなら部屋を替えます、デラックスツインがありますので」と言われる。ラッキー。
メイクアップルームみたいなのが増えた角部屋で、トイレも別になっていたが、方角が変わったのでお城は見えなくなった。
22時就寝。

11月7日の日記

2010年11月7日
●井の頭自然文化園

井の頭公園の中にある小さい動物園。
大きい動物はあまりいなくて、水鳥とかが多いけどすごく
身近な感じの動物園。

目玉は御年63歳のアジアゾウのはな子さん。
鼻で床に落ちてる葉っぱを一枚一枚拾い上げて食べていた。
餌の青葉に混じった落ち葉をたまに拾い上げてしまうと、
鼻でブーッと吹き飛ばしていた。

モルモットにさわれるコーナーがあって、子どもだらけ
だったけど混じって抱っこしてきた。
思ってたよりずっと大きい。
抱き上げると暴れるけど、膝に乗せるとフワフワして、
じっとしてて、ときどきプルプルふるえて、やたら手の平を
ペロペロなめる。
膝の上で垂れ流さないかちょっと不安だったんだけど
そんなこともなく、臭いも全然しなかった。
いいなあ。ペット飼いたいなぁ……。

あと、リスがそこいらを走り回ってるコーナーもあって、
毛皮が好きらしく、ファーブーツを履いてる人の足に
飛びついてきて履き口から中に潜り込もうとしていた。

天気もよくて暖かい行楽日和で、カップルもベビーカーも
家族連れも満載で、「平和な日常」を絵に描いたような
風景だった。
行き帰りの道もかわいい雑貨屋やお洒落な食べ物屋が多く、
さすが「住みたい街」ナンバーワンなだけのことはある、
と思った。

---

井の頭公園をもって「ぐるっとパス」終了。
普段なら行かなかったところや一生見なかっただろうものが
見られて、たった2000円でこれだけ堪能できるのは素晴らしい。
東京観光にもなるし、PCの動物写真フォルダも充実したし、
この2か月だけでずいぶん東京の過去に詳しくなった。
来年の春もゴールデンウィーク明けあたりにまた使いたい。
そしてこれを活用できるという現在の自分の環境にも感謝。


●「ぐるっとパス2010」でこの2か月間に行ったところと
通常ならそこで払うはずだった料金のリスト

上野

下町風俗資料館 入館料300円
国立西洋美術館 常設展420円
上野動物園 入園料600円
国立科学博物館 常設展600円

王子

紙の博物館 入館料300円
北区飛鳥山博物館 入館料300円

皇居周辺

科学技術館 入館料600円
東京国立近代美術館 常設展420円
三井記念美術館 特別展「円山応挙」1200円
ブリヂストン美術館 特別展「セーヌの流れに沿って」1000円

六本木

大倉集古館 特別展「マイセン」1000円

目黒

国立科学博物館附属自然教育園 入園料300円
東京都庭園美術館 特別展「香水瓶の世界」1000円

新宿

新宿歴史博物館 入館料300円
秩父宮記念スポーツ博物館 入館料300円

池袋

古代オリエント博物館 特別展「オルメカ文明展」1400円

両国

江戸東京博物館 入館料600円
東京都現代美術館 常設展 500円 特別展 100円引き

お台場

葛西臨海水族園 入園料700円
日本科学未来館 入館料600円
船の科学館 入館料700円

吉祥寺

井の頭自然文化園 入園料400円

計14,340円
JRと東京メトロと都営地下鉄にかなり払ったとはいえ、
12,340円もお得だったのはすごい。

●行こうと思えば簡単に行けたが、当時の展覧会内容に
興味がなかったので行かなかった

東京都写真美術館
目黒区美術館
文化学園服飾博物館

●行きたかったが、時間がなかったり遠かったりしたので
次回のチャンスをねらいたい

泉屋博古館
神代植物公園
多摩六都科学館
多摩動物公園

11月5日の日記

2010年11月5日
たぶんこの次で終わりの「ぐるっとパス」観光記。

●秩父宮記念スポーツ博物館

国立競技場の下にある施設。
ついでに、国立競技場の客席に入って見学ができた。
ここが嵐ファンでぎっしり埋まるかと思うと胸熱。

オリンピック関係のものが多く、東京オリンピック関連とかの
貴重なモノクロ動画がたくさん見られるのはいいと思う。
ただ、いかんせん時代が古すぎて全然実感がない(もうちょっと
最近のオリンピックの話もあれば多少わかるのに)のと、
私にスポーツの知識がないので全体的に「へー」と通り過ぎて
終わってしまった。

客は一人もいなかった。
最近、第一回近代オリンピックの金メダルがここから盗まれたらしい。
確かにこれだけ人目がないと、悪意があったらなんでもできそう。

●国立西洋美術館

常設展に行ったら、たまたま文化の日で無料開放日だった。
イコンから始まる宗教画がたくさんあって、知らない画家たちの
似たような薄暗い雰囲気の絵がずらっと並ぶのを見ていると、
ルーブルで「もう数多すぎるしこのへんどうでもいいよ」と
言いながら通り過ぎた区画のことを思い出す。

時代が下って、印象派のあたりにさしかかると展示室自体の
照明も一気に明るくなって生き生きしてくる。

そこそこ有名な画家のもあるけど、絵自体の知名度や魅力で言ったら
こないだのブリヂストン美術館のほうが上で、ここはとりあえず
時代を網羅して数を集めたことに意味があるんだと思う。
モネの部屋も、オルセーのモネ部屋がよかったのと比べてしまうので
思ったほどではなかった。

あと、ここは順路が非常にわかりにくい。
次の場所をぐるぐる探したり、大きく戻ったりしてしまった。

●江戸東京博物館

やたら建物が立派で、でかい。
ミュージアムショップが面白くて見入っていたら、シアターで
映像をやるのにたまたま行きあったので「隅田川の橋」を見る。
かいつまむと「昔の橋はよかった!最近の橋は駄目だ!」みたいな
内容だった。

常設展がすごく広くて、最初から念入りに見ていたら2時間では
全然時間が足りなかった。
文明開化以降からさらに面白そうだったのに全然見てないので、
近いうちまた行かなくては。

町を再現した巨大なジオラマがいくつかあって、双眼鏡で
細かく眺めると面白いんだけど、照明が暗くて見づらかった。
あと、展示の手前にある説明文と、展示と、展示の後ろかかって
いる壁パネルの内容が、微妙に噛み合ってるんだかどうだか
微妙なのも気になったけど、順路はわかりやすいし、見るものは
いっぱいあるし、実物大とか実物と同じ重さとか、体感的でいい。

一階のお茶屋にも行きたかったし、お土産の人形焼きも買いたかった
けど、閉館ギリギリまでいたので行けなかった。

11月2日の日記

2010年11月2日
そろそろ終わりが近づいてきた「ぐるっとパス」観光記。
一仕事片付いたので今日は銀座・六本木をメトロで周遊。

●ブリヂストン美術館「セーヌの流れに沿って」

セーヌ川のほとりを描いた絵をいっぱい集めた展覧会。
ノートルダム尽くしコーナーとか、エトルタの崖尽くしコーナーとか、
同じ場所をまったく違った作風の画家が描いた絵を見比べるのが
やたらと面白いことがわかった。
崖のほうは、風景全体がうねっているような風の強い感じが
伝わってくる、最後のマティスが気にいった。

パリだけは行ったことがあるので、冬のパリってほんとこんな
感じだよねー、空がどんより重くて冷たそうな石材と硬質な空気と
うねうねした木の枝があってねー、と思いながら見ていた。
出品数が多く、見ごたえがある。

常設展のほうも、ピカソ・モネ・ルノアールと錚々たる有名作品が
並んでいてさすがだと感心。
これは入場料1000円払って見ても惜しくない展覧会だと思った。

美術館が京橋のほうにあるんだけど、先日新聞に載っていた
金物屋の西勘があったので、日本刀のようなマーブル模様の
光っている高級包丁をためつすがめつ見物した。
今使ってる料理バサミが全然切れないので、いいやつ欲しいなと
思ったけど、7000円の値段に尻込みして買わず。

●大倉集古館「マイセン」

ホテルオークラの立派な建物に囲まれるようにあり、
妙に中華風の建物や庭がかなり不思議感をかもしだしている。
狛犬みたいな、怖い顔した亀の像が一対あった。

マイセンができたばかりの頃の食器を多数そろえた展覧会。
昔は日本や中国の磁器を真似してばかりいたのが、突然
どっからどう見てもマイセン、という色柄・装飾が混じりこんで
きたりして、そのブレ方がおもしろい。
わりと似たようなタイプの食器が多く、人形があまりなくて残念。
全体がびっしりと立体的な花で覆われた食器類は、壊しそうで
おちおちお茶を飲んでいられないと思った。

あと、展示の合間に常設展示の観音像とかが混ざっているのも
なんだか不思議な眺め。

いかにも高級そうな空気の漂う泉ガーデンを通って帰ってきた。

●神保町ブックフェア

ぐるっとパスとは関係ないけど、先週末にやっていたので行った。
土曜日が台風だったため日曜に人出が集中したこともあってか、
たいへん混み合っていた。
ジャズ演奏や食べ物の屋台もいろいろあってにぎやか。

博物館に置いてもよさそうなくらいの古書もあれば、
こんな売れなさそうな本ばっかり出してる出版社が世の中に
あったのかと思うような専門書ブースも並び、歩いているだけで
教養が高まりそうな気分になる場所だった。

江戸・明治・現代の地図を重ね合わせて見ることができる
CD-Rのソフトが面白そうで、最近の興味分野にぴったりで
いいなーと思ったけど9000円もした。
古本屋だけでなく、大手出版社も傷アリ本とかを半額で売っていた。
でも女性誌の付録のポーチとかを2個100円で売ってるのは
いい商売だと思った。

ラーメンが食べたくなって大通り沿いの「風龍」という店に
入った。クセがなくて食べやすいとんこつだった。
おもむきのある喫茶店が多いのと、おいしいという餃子屋を
教えてもらったので、古書街にはまた行きたい。

10月26日の日記

2010年10月26日
「ぐるっとパス」観光記、上野再び編。
あと西洋美術館が残ってるのであと1回行くはず。

●国立科学博物館

ここの常設展示はなんだかしょっちゅう行ってて、
たぶんここ数年の間に6回くらいは行ってる。
だいぶお気に入りとかできてきて、マニアな感じ。
ちなみに一番は地下3階の霧箱、次が1階の系統広場。

まずはシアター360に行って宇宙137億年の歴史に涙したのち、
久々に日本館を一通り見る。
館内あちこちに解説ボランティアの人がいて、活用すれば
相当詳しくなれそうだと思いつつ、人見知りなので
私は一人でこっそり見て回る。

鉱石展示の中に辰砂を見つけて、これがFF14のあれかーと驚く。
私が小さいころはミイラがトラウマになるくらい怖かったんだけど、
最近の子供は平気なんだなーと思ったり。

「田んぼから見る生物多様性」という特別展示をやっていて、
身近な食卓から、食料自給率や生物多様性やアジアの稲作などに
話を広げているなかなかの良展示。
出がけに「香り米」というのをくれた。恋ほのかという品種で、
ご飯に混ぜて炊くとポップコーンの香りがするらしい。

そういえば、日本では昔4000あった米の品種が今では44種類しか
栽培されていないらしいが、全然見たことない銘柄ばかりだった。
いかにコシヒカリとあきたこまちしか食べてないかということだな。

●下町資料館

明治・大正・昭和の、下町の建物を再現して当時の人々の
暮らしに思いを馳せる博物館。
びっくりするほど外国人観光客(ただしアジア系ではない)が
来ていて、10人中9人は外国人。

彼らが畳にあがり、ちゃぶ台の前でお茶を飲むポーズをとって
記念写真を撮っているのは、我々がベルサイユ宮殿に行って
マリー・アントワネットごっこをするみたいなものか?

おばあちゃんの家にまだある足踏みミシン、うちでも昔使ってた
鰹節削り器、子どもの頃買った覚えのある駄菓子などを懐かしむ。
戦時中の「ラバウルの勇士にならって野菜を育てよう」という
チラシとか、疎開した子どもが書き送った手紙とか、昭和初期の
冷蔵庫の広告なんかも興味深い。

一番面白かったのは関東大震災後の東京一円の地図で、
今と比べると原宿のキャットストリートって渋谷川だったのか!
とか、代々木公園って練兵場だったのかとか、最近知ったばかりの
郷土史?につながることが多くて、見入ってしまった。

あと昔のおもちゃが自由に遊べるようになっていて、ひもを両手の
中指にかけてブンブン回す竹の羽根車みたいなやつ(名前わからん)を
20年以上ぶりにやったら、感覚を思いだしてきてちゃんと回せた。

ここは面白かった。こういう民俗学的なもの、生活用具とか
昔ながらの知恵とか、全般的に大好きなので面白くないわけがない。

帰りに駅でますのすしを買い、一気に一人で半分むさぼり食った。

10月24日の日記

2010年10月24日
またまた「ぐるっとパス」観光記。
これ、パス自体は2000円なので入場料分はとっくに元を取ってるけど、
JR東日本と東京メトロと都営地下鉄にかなりお金をつぎこんでる……。

●三井記念美術館「丸山応挙展」

正直丸山応挙にそんなに興味はないんだけど、ここは普通に
行ったら入場料1000円くらい取られるので、せっかくだから
という貧乏人根性で行ってみた。

地下鉄三越前駅直結。
建物が、丸の内の三菱一号館みたいな感じで昔を再現しており、
とても立派できれい。狭いけど。

巨大な襖絵や屏風を遠目に見ると、力強くも整った構図や
日本らしい余白の美はさすがに見事。

地域再開発中で、まわりになにもないのがつまらない……。
1階の千疋屋総本店で高級果物を見物するくらいしか。

●古代オリエント美術館「オルメカ文明展」

池袋サンシャインの奥にこんな場所があるって知らなかった。

大きな石頭像から小さい土偶まで、3000年の昔のものにしては
造形のレベルは高いし表情も独特で、謎めいた雰囲気たっぷりで
興味深いが、いかんせん狭くて、通常料金1400円にはびびった。
私ならこれに払えるのは600円くらいという感覚。
っていうかこの展覧会1つだけでぐるっとパスの7割分って!

あと、吉井徹さんのイラストのルーツを感じた。

10月21日の日記

2010年10月21日
次々と「ぐるっとパス」観光記。

●船の科学館

何年ぶりかでゆりかもめに乗り、お台場の景色を楽しんだ。

この「船の科学館」、お台場になーんにもなくて、無辺の
荒野をゆりかもめだけが走っていたころから存在していた
だけのことはあって、かなり古びた展示が多い。

船の模型がずらっといっぱいあって、特に軍艦コーナーなんか
好きな人はそうとう好きだろうと思う。
「未来の船」コーナーがやたらレトロフューチャーな一方で、
尖閣諸島や竹島などについて解説した、最近改装されたらしい
コーナーもある。

タービンとか水の抵抗とか内部構造についてのコーナーは
何を言ってるのかさっぱりわからない。
船マニアと鉄道マニアは、かなり近いところにいると思った。
船にも鉄道と似たロマンがあるが、鉄道より少し非日常寄り。
私も三本マストの帆船や潜水艦は好きだ。

売店にはさまざまな船の模型や、ロープワークの本がいっぱい。

外に南極探検船の「宗谷」と、青函連絡船の「羊蹄丸」が
展示してあり、羊蹄丸のほうに入ってみた。
昔の青森の街並みや駅を実物大で再現したコーナーが面白かった。
古い煙草や雑誌が並ぶ当時の売店や、古いレジのある洋食屋がいい。

ざわざわした雑踏の物音とやや棒読みのなまった話し声が
スピーカーから流れていて人の気配が感じられるのに、
いるのは全部蝋人形で、なぜか開いたり閉まったりしている
ドアがあったりして、なんとも不思議な雰囲気。

華やかなりしころの青函連絡船の映像が流れていて、
最後の連絡船が出航するときの光景にちょっと泣きそうになった。
私も2回くらいは乗ってるはず。

人がいなさすぎてちょっと怖いくらいだったので、夏場の土日
とかに行ったほうがよかったかも。
上にバイキングのレストランがあったんだけど、稼働可能なのか?

●日本科学未来館

ここはプラネタリウムが有名で、以前すごい並んで見たことがある。
投影される星の数が多すぎて全体的にボワーッと明るく見え、
高性能で星が多けりゃいいってもんじゃないんだなと思った。

今はプラネタリウムはお休みで、「これしかやってないんですよ」
みたいな感じで案内された、3Dで世界遺産を映すという番組を見た。
ニュージーランドのテカポ村、エジプトのピラミッド、それから
伊勢神宮と原爆ドームをメインに映し、それに各地の世界遺産を
宇宙から「だいち」が撮影した写真が入る。

3D映像は暗いし白い部分が赤と緑にチカチカして見えるので
正直まだまだ見づらいけど、いずれ技術が進歩して肉眼くらい
きれいに見えるようになったら、もはや観光に出かける必要は
なくなるんじゃないか?と思った。
空撮もすごいけど、普通なら絶対行けないところ(伊勢神宮の
大鳥居を船でくぐるとか、原爆ドームの中とか)を3Dで体験
できるのが面白い。

展示のほうは、宇宙ステーション「きぼう」の中を再現した
コーナーがリアルでよかった。個人スペースは半畳くらいしか
なくて、パソコンとCDケースが壁にひっついてる。

さっきの「船の科学館」とは雲泥の差の、新しくておしゃれな
展示なんだけど、どうもそれぞれが散発的というか、全体を通じて
何が言いたいのかよくわからない展示が多い感じがする。
説明文も難解なものが多いし。

韓国の若者が団体で来ていたのと、ほかにも外国人がやたら
多くて、見た感じ7割くらいの客が日本人ではなかった。
たまたまかもしれないけど。

カフェで380円のホットドッグを食べた。
あとで知ったが、ロッテリアが併設されていたのでそっちに
行けばもっと安上がりだったけど、こっちはブックカフェ仕様に
なっていたので、「パワーズ・オブ・テン」を読みながら食べた。
はるかな宇宙から原子のクオークに至るまで、ひたすら
10倍ずつ拡大していくのを見るのはとても神秘的で楽しい。

●紙の博物館

下記の芝居を見に行くついでに王子へ行った。

さすがに仕事柄知識のある分野の展示なので、興味深い。
日本の紙の古紙利用率が60%以上あるって知らなかった。
あと透かしのうち濃淡のある白黒透かしは民間で作ることを
禁じられているってのも知らなかった。

新聞用紙の、160キロだかあるロールが置いてあって、
伸ばすと王子から有楽町まで届いて、東京ドームに敷きつめられる
くらいの広さらしいんだけど、それでも4000部しか刷れないという。
新聞スゲー。

革を模した立体的な紙の細工「金唐革紙」がすごかった。
なぜか美術展をやっており、けっこう有名な作家の地味~な
小品がいろいろあって、マニア垂涎って感じだった。

子どもたちが紙に関する質問を書くコーナーがあり、
どんな質問があるのかひと通り見てみたが、そんなの
館内に答えがあるでしょ!的な質問がほとんど。
ほかには「紙を発明した人は誰ですか?」と「紙って何種類
あるんですか?」という質問が多かった。

●北区飛鳥山博物館

芝居のついでの紙の博物館の、さらについでで見に行ったけど、
予想外に良い博物館だった。

そんなに広くないけど、展示室は広々していて見やすく、
よくできた動画もいろいろあり、工夫されていて楽しい。
説明文がわかりやすく、散発的でないのもありがたい。
石器の作り方とか、飛鳥山での花見弁当の再現とかが良かった。

コンセプトとしては、以前行った新宿歴史博物館同様、
このあたりの歴史を縄文時代から今に至るまで追うもので、
貝塚のはぎとり標本とか、土偶とか、新宿よりも見事。
江戸時代にはこのあたりは一面鷹場だったらしい。

かなり質のいい博物館なので、お近くの方はお勧めです。
あまりに空いてて学芸員の人が気の毒なので……。

帰りに飛鳥山公園を歩き、王子駅に降りるところで
「アスカルゴ」というミニ・モノレールに乗った。無料。
観覧車のカゴみたいな乗り物がゆっくり山を昇り降りする。
ほとんど客がいなさそうなのに、ちゃんと上と下に一人ずつ
係員がいて、北区すごいなと思った。


今まで歴史と名のつくものにはまったく興味がなく、
郷土史なんかいったい何が面白いの?って感じだったけど、
最近こういう博物館を見たりして急に身近になってきた。


●観劇 チャリT企画「ザ・コーブ」

芝居の稽古風景をそのまま舞台で見せるオープニングで、
演劇ならではの、「今の、何か違うでしょ! 何が足りないか
わかる? 言ってみて!」というような、すぐに観念的な
精神論を語りだすウザさがすごい伝わってきた。

熊野さんは髪が伸びてやたらイケメン風になっており、
美声とあいまって、学生服で伏し目で哀しそうな表情をしていると
まるで少女マンガのように美しい。
不良が自白するシーンでうっすら浮かべた微笑みが、耽美というか、
不健全なオーラを放っていてたまらない。

ストーリーは「イルカやクジラは食べていいけど犬はダメか?」とか
「やってなくても罪を認めてかぶったほうがカッコいいか?」とか
そういう話をしつつもグダグダっと笑える感じで、いつも通り。
ラストで食べ物を投げ合うところもあり、あー今日もチャリTは
通常営業だなーって感じだった。

10月19日の日記

2010年10月19日
「ぐるっとパス」観光記。

●葛西臨海公園

また下手なおにぎり作って出かけた。
京葉線の乗り継ぎが悪くてけっこう時間がかかった。
平日なのであまり人がいなくて、若いカップルばかりだった。

じっくり見て回って、マグロの餌やり、ペンギンの餌やり、
ホタルイカの発光実験、海鳥の餌やりと見られるイベントは
結局ひととおり回ってしまった。
あとガイドツアーもあったんだけど、もしほかに全然参加者が
いないと気づまりだしなーと遠慮して行かなかった。
あとでガイドツアーの内容を小耳にはさんだら、けっこう
面白い豆知識がいっぱいあったようなので参加してもよかった。

ペンギンは水槽清掃が入って今朝は餌をもらっておらず、これが
今日一度きりの食事とのことで、テンションが上がっていた。
100匹くらいいるんじゃないかと思われる大量のペンギンが、
餌やり人の姿を見るなりすごいテンションになって全員で
反時計回りにグルグル急回転して泳ぎ始めた。すごかった。
そしてそこに餌を投げ入れると、半狂乱状態。

フンボルトペンギンたちは水中をすごい速さで泳ぎ、
トビウオかイルカのようにスイスイと跳ねて見せたりもするが、
そのままの勢いで上陸したとたんにヨロヨロ、ポテポテと
なるのが可愛くてたまらない。

海鳥のコーナーにはウミガラスとエトピリカがいっぱいいて、
ペンギンとは違って空もちゃんと飛べる翼を持った鳥が
翼をすぼめてすごいスピードで水中を泳ぐさまは大変美しかった。
航跡に小さい泡がキラキラ輝くのも素晴らしい。
エトピリカは好きなんだけど、始めてこんなに動いているところを
見られて、うれしくてずっと見ていた。

水槽を上から見られる通路もちゃんと展示を工夫してあったり、
なかなかいい水族館だった。

●横浜美術館

ぐるっとパスとは関係ないけど、チケットがあったので
「ドガ展」に行ってきた。
横浜美術館は初めて行ったが、ちょっとオルセーっぽい
ロビーになっていてとても金がかかっている感じだった。

会期が12月くらいまである展覧会だし、平日だしそんなに人は
いないだろうと思ったら、かなり混んでいてびっくりした。
「エトワール」くらいしか知ってる絵がなかったけど、とにかく
控室のバレリーナと、浴女と、馬という好きなものだけをひたすら
描いていたんだなということはわかった。

あと、常設展示室の品ぞろえがレベル高かった。
あんなサイズのダリ、買うのにいくらかかったんだろう。
下村観山の屏風も、目のさめるような色合いと遠近感がすごかった。

ミュージアムショップに、ドガが使っていたのと同じ店の同じ
パステルが売っていたけど、小さいの3本で10,500円だった。
ちょっと線を引いたら100円くらいかかる!

そのあと、めったに行く機会がない中華街を観光。
「あかいくつバス」というのに乗って行ったら、すごく混んでた。
中華街で品数いっぱいちょっとずつというランチを食べ、
ゴマ団子を買い食いし、有名店(だと思われる)であんまんを
お土産に買い、安いウェイパーとオイスターソースと春雨を
買い込んで帰ってきた。

焼き栗売りがやたら絡んでくるのとか、あやしい雑貨屋とか、
全体に外国っぽい雰囲気で、横浜は観光地のバラエティが豊富で
面白いなと思った。

10月6日の日記

2010年10月6日
10月6日の日記
「東京周辺ヒルトップ散歩」という本を見ていて、埼玉の
加治丘陵というところに、「ムーミン谷」と呼ばれる公園が
あると知り、そこへハイキングに行ってきた。

朝、下手くそなおにぎり2つと卵焼きと肉団子の弁当をこしらえ、
ペットボトルに詰めた麦茶とチョコレート、ネットで検索して
プリントした地図2枚、日焼け止めと虫さされの薬、日よけ帽子と
文庫本を肩掛けカバンに入れる。
池袋から西武池袋線の急行に乗って、40分で元加治駅に着く。

11時半ごろ、地図を握りしめて歩き始める。
入間川沿いを歩くルートもあってこれもなかなかよさそう
だったけど、ムーミン谷が優先なので山道のほうにする。
橋を渡りつつ入間川を見下ろすと、巨大な鯉?が何匹も流れの
中にじっと固まって泳いでいた。

じきに人家の間の道が突然途切れて、地図によればそのまま
まっすぐなのに「道どこ?」と思ったら、いきなり山道だった。
スニーカーじゃなくて登山靴で来るべきだったか?と後悔する
ほどの、細い山道でやや滑りやすい土で急な上り坂。
誰も先に歩いた人がいないのか、何度か道を横切るクモの糸が
顔に引っかかって閉口した。

湿気が多くてキノコが生え、足の長いクモが歩く腐葉土の道を
汗をかきかき登ると、尾根の上に出た。
相当登ってきたので、両側がすごい崖になって落ち込んでいる。
足を滑らせて落ちたらひとたまりもなさそうな急崖。
しばらく行くと地図に「眼下にムーミン谷」と書いてある
地点に来るが、木を透かして見てもよくわからない。
さらに奥のグラウンドや、そこにいる芥子粒のような人は見えた。

尾根道を登り終えると、古いサイクリングコースにぶつかり、
その交差点に「見晴らし台ベンチ」という地点があったが、
森に囲まれていて別に見晴らしは良くない。
ただ、ちょうど12時ごろだったし広い場所なのでそこに座って
弁当を食べた。
寄ってくる虫を帽子で払いながら、「卵焼きうめー!」。

そこからは、サイクリングコースを下っていく。
アスファルトで舗装されたやや細い道で、歩きやすい。
ここにはほかにも歩いている人がいた。
ムーミン谷まで行くには、持ってきた地図に従うならぐるっと
グラウンドのほうまで大回りしないといけないなぁ……と
思いながら歩いていたら、「公園こちら」の看板を発見。
持ってきた地図には書いてない道だが、そっちへ進む。

あの崖の高さからすると、相当な距離を下らなければ
ならないはずだがと思いながらしばらく行くと、すごく
急な長い階段が現れる。
運よく、ちょうどそこを登ってきた人がいたので「ここを
降りれば公園ですか?」と聞いたら合ってた。
「すごい急だから、下るのも大変ですよ」と言われるが、
ムーミン谷に行くのが今回の目的なので嫌も応もなく下る。

ちょっと足ガクガクになりかけつつ降りると、子どもたちの
大騒ぎが聞こえてくる。
遠足の小学生が公園でお弁当を食べて遊んでいるらしい。
正しい名前は「あけぼの子どもの森公園」というその谷には、
不思議なオブジェのような橋やベンチがあり、池のほとりに
「ムーミンの水浴び小屋」があり、よくスナフキンが
釣りをしているあの橋のミニチュア版もある。

「ムーミン屋敷」は、雰囲気はファンタジーっぽいけど
実際のムーミンの家と全然違う……。
子どもに混じって中に入ると、暖炉や長持や螺旋階段など
とてもメルヘンチックで、きれいな造りの小部屋がいっぱい。
子どもがかくれんぼをして家じゅう走り回っていたので
蒸し暑かった。
隠れるところがいっぱいある家なんだけど、子どもを見てると
本当にうまく隠れられそうなところには隠れない。
それよりも「ほかの子はどこに隠れるのかなー?」とお互い
様子を見てはちょろちょろと場所を変えてばかりいる。
そうこうするうちに鬼がやってくると「早いよ!まだなのに!」
とケンカになるというパターン。

あと「森の家」という建物があり、ここはムーミンに関連する
本をたくさん集めてある展示館なので、子どもに不人気。
木の階段がワックスでぴかぴか。
ここでちょっと休憩し、13時すぎに出発。

さっき下りてきた急な階段を、気合いを入れてまた上る。
呼吸を整え、足を出すテンポを一定に保つよう心掛けて、
でも途中しばし休みながら上ったら意外と楽だった。

そこからサイクリングロードの分岐まで戻り、桜山展望台へ。
地図にある「近道の看板」ってのがどれのことかわからなくて
道を間違えそうになったが、なんとかたどりつけた。

ここにも遠足の子どもがいっぱいいた。
立派な展望台に上って景色を見ると、かなり木が邪魔とはいえ
茶畑や遠くまで伸びる高架線、山脈が360度方向に見える。
もっと天気がよくて空気が澄んでたら、池袋や新宿や
スカイツリーまで見えることもあるようだ。

子どもたちの出発と時間をずらすため、ここでしばし読書。
それから森の中の旧サイクリングロードを行く。
さっきより道幅も広く、舗装されていて虫もいないし、
これならスニーカーじゃなくてハイヒールでも十分歩ける。
100メートルごとに標識があってわかりやすいし、
高低差もあまりないので、トレイルランニングにうってつけ
だと思ったけど、荷物が邪魔で走れなかった。

サイクリングロードが尽きると、最後は車道を歩いて駅まで。
武蔵野音大の横を歩き、フルートや歌声が聞こえてくる。
二車線の広い車道なんだけどほとんど使われていないようで、
ここも楽だった。

仏子駅に戻るところでちょっと道を間違えたが、無事戻って
電車でぐっすり寝ながら帰ってきた。
狙ったわけではないのに自宅に着く寸前で持ってきた文庫を
ちょうど読み終わったのがうれしかった。

帰りに池袋でちょっと寄り道したけど、帰宅したのが4時くらい
だったかな?
コース自体はたぶん5、6キロくらいで、実質歩いていた時間は
そんなにない軽いハイキングだったけど、最初はクモの糸に
ぶつかるたびに「うひゃあひゃあ」ってなってたのに、最後は
どうでもよくなってたのが、人間の順応性ってすごいと思った。
でも、服の上から何箇所か蚊に刺されたのはうざい……。

よく歩いていい汗かいた、秋の一日。

10月4日の日記

2010年10月4日
長年の念願であった「ZED」を見に行った。
これはディズニーランドの特設シアターでやっている
シルク・ド・ソレイユのサーカスショー。

あまり前すぎると全体が見づらいという話を聞き、
中央から少し後ろ側の、やや右寄りの席を取った。
ランク的には2番目の席で、12,500円。

時間を忘れ、あっという間の90分だった。
言語化できない感動で、最後の全員出てきておもちゃ箱を
ひっくり返したみたいになるところで号泣。

ラスベガスで3つ見ているのでこれで4つ目だけど、
やっぱり素晴らしい。機会があったらまた見たい。

覚書
女性ひとりの、リボンで宙に吊られるやつと、
ハンド・トゥ・ハンドって言うのか?男女のゆっくりした
動きですさまじく筋力のいるポーズを見せるやつが
特に気に入った。「人間の力」って感じ。
綱渡りが一番怖くて「うひゃっ」「うひゃっ」言ってた。
バク宙以外は命綱がついてなかったように見えた。
バトントワリングと、ロープを円形に回すやつは、レベルが
高いのだろうと想像はつくけど伝わりにくいと思った。

終演後、イクスピアリのアンジェリーナでロールケーキ。

10月3日の日記

2010年10月3日
●上野動物園

ぽかぽかの日差しに風は涼しく青空は高く、あまりに素晴らしい
天候につられて出かけた。
土曜だったので混んでたけど、あまりに人がいない観光地ってのも
寂しいから多少混んでるくらいでいい。それにどんなに混んでも
旭山動物園ほどじゃないし。

狭いので檻が集中してて見やすいのと、客と檻との距離も近い。
オオアリクイがボトルの中に舌を伸ばしてどろどろした餌を
しきりに舐めとるのと、アイアイが細長いとがった指を
チューブに突っ込んで虫をほじくり出しているのを、時間を
合わせて見に行き、あとはカバとかサルなんかが面白かった。

そのへんの木にヤマアラシが寝ていたりとか、普通に歩く
道ばたの柵の裏の死角に水鳥がびっしりいるのとか、妙な所に
人工物と一緒に動物がいるのが、いかにも都会の動物園な感じ。
巨大蓮がびっしり覆い尽くした池の向こうにスカイツリーが見えた。

家族連れとカップルと、まれにカメラ持ったおじさんしか
いなかったけどとても満喫した。
帰りに、広場でアジア料理屋台村みたいのをやっていて、
閉店時間で料理を投げ売りしていた。焼きそば100円とか。
フェスとかだったら400円はするだろう大きなタンドリー
チキンの串が200円だったので、買った。凝縮された味付けが
「うめぇーーー!」って感じだった。

上野はさらに西洋美術館と国立博物館と下町博物館に行かねば!

9月21日の日記

2010年9月21日
前述のぐるっとパスによる博物館・美術館巡りのつづき。
この一週間久々に忙しかったので2つだけ。

●国立科学博物館附属自然教育園

目黒の街中に突如出現する森。
うっそうとジャングルのように木や草が茂っている中、
「スズメバチが出現しているので注意してください」という
張り紙と、あちこちに巣を張っている巨大蜘蛛に恐怖しつつ、
薄暗い森の中を歩いてさまざまな植物や巨木を見る。
池にはいろんなカメがいて、人を見かけると必死に
泳いで近づいてくるのがかわいい。
朝だったがずいぶん人がいて意外だった。

●東京都庭園美術館

自然教育園の隣にある美術館。
「香水瓶の世界」という展示をやっており、混雑していた。
香水なんて全然興味のない私でも、とても小さいのに精緻な
飾りが施されて人形遊びの道具みたいで、豪華でカッコいい
形の香水瓶の数々を見ていると思わずため息をついてしまう。
女性ならみんなウットリすると思うのでお勧め。

9月15日の日記

2010年9月15日
都現代美術館に行ったときに、「ぐるっとパス」を買った。
これは、2か月間都内のあちこちの美術館や博物館に入れるように
なる2000円のパスポート。ただし、入場料1300円とかするような
人気のある展覧会は、100円割引くらいにしかならない。
入場料600円くらいまでならタダになる。
なので、2か月間なるべくあちこち行ってみようと思う。

手始めに、竹橋にある東京国立近代博物館、同じく科学技術館、
四ツ谷にある新宿歴史博物館に行った。

●東京国立近代博物館

企画展は上村松園だが、そっちは別料金で入らず。
常設展は主に明治時代くらいからの近代日本芸術のダイジェストで、
そのあたりの絵って全然知識がないので、画家の名前は知っていても
見たことのない絵ばかりだった。

まさかクレーが2枚も置いてあるとは思わなかった。
その隣に「これ、クレーの真似じゃん」と思うような日本の作品が2つ。
ほかにも「これ、シャガールじゃん」とか「これ、ドガじゃん」とか
あるけど、そういう外国との融合みたいのを見よってことなのか。

現代美術に関しては、数は少ないが説明が丁寧で、「これを見て
こういうふうに考えなさい」という筋道が示してあるので、
素人の考え方が固定化するという一面はあるかもしれないが、
それ以前に「何これ?わかんないからいいや」と拒否されることも
少なくなるだろうからいいと思う。

それにしても、具象画じゃなくなったとたんに「私こういうの
わかんない」と言い放つ年配の人が多いなぁと思った。
客はずいぶん入ってたけど、時代が進むほど減っていく。

結局一番気に入ったのが川合玉堂と東山魁夷という普通さ。

●科学技術館

皇居と武道館の間の北の丸公園の中にある。
最初は遠足っぽい小学生たちがいてにぎやかだったが、
彼らがいなくなると一気にひと気がなくなってうら寂しくなる。

自転車の歴史(実物展示)、オーロラ(ひたすら夜空の映像が
流れる)、目の錯覚実例(傾いた部屋とか)、ロボット(会話
できるコンパニオンが、こっちの言うことが聞き取れないと
「その話は置いといて」って言うのがおもしろい)なんかの
ゾーンがおもしろかった。
鉄、原子力、石炭、自動車、子ども用の体験施設などは無視。
かなり古い建物のようで、古い展示と新しい展示が入り混じり、
玉石混交の内容だった。

ドライブシミュレーターがあったんだけど、超難しくて、
角を曲がれなくてゲームオーバーを繰り返した。
ウィンカーの出し方すらわからないし、アクセルをちょっと
踏み続けるとすぐに制限速度をオーバーしてしまう。
こりゃ私は絶対免許取れないな。

目の錯覚系は好きなんだけど、だいぶ感覚が鈍っていて
錯覚しづらくなっていたのが悲しい。

●新宿歴史博物館

新宿区の歴史を旧石器時代からたどる内容。
客がほとんどいなくて、ボランティア解説員がいろいろ
説明してくれる。

江戸時代、もともと日本橋からスタートした甲州街道の
最初の宿場が高井戸だったんだけど、間が長すぎるから
新しい宿を作ることにし、今は新宿御苑になっている
内藤さんという大名の屋敷の敷地を一部使ったので
「内藤新宿」という名前にしたらしい。
それが四ツ谷の大木戸門から今の新宿駅のあたりまで、
新宿通り沿い。知っている場所と歴史が重なるのは面白い。

あと、戦後の大発展時代の新宿東口のあたりも、写真と
地図を取り交ぜて、今の景色と重ね合わせると面白い。
高野と中村屋は昔からあの場所にあった。
アルタは以前「二幸」というデパートだった。
東口から大通りを市電が走っていて、伊勢丹の隣に
大きなターミナルがあった。
中村屋のカレーと並ぶ人気メニューとして、マカロニを
煮込んでカルピスで味付けした「カルピスマカロ」という
料理があったらしい。

この秋は美術館・博物館めぐり。

9月9日の日記

2010年9月9日
下の日記に引き続き。
都現代美術館でやっている「アリエッティ」の展覧会に行った。
正確には、アリエッティの美術監督である種田陽平の展覧会。

自分がアリエッティと同じサイズになった目線で、
小人の家が再現してある。20倍に拡大された巨大な目玉クリップとか
郵便切手とか草花とか、動くゴキブリ(とても怖い)まである。
映画ではっきり見て取れなかった、「スプーン掛けにプルトップを
使っている」とか「壁紙に高島屋の包装紙」とか「缶を加工して
箪笥を作っている」とか、細かいところを逐一観察できて楽しい。
たまに縮尺変なのもあるけど(特に野球ボール)。

あと、種田陽平の手がけた各種映画のイメージボードとかも。
確かにスワロウテイルは良かった……。
ディテール愛に満ちた素晴らしい展示だった。

そのあと、常設展の「入口はこちら……なにがみえる?」を見た。
アリエッティをきっかけに初めて現代美術館に来るお客さんのための
「現代美術入門」というテーマなのではないかと思う。
が、それならもっと面白くて「現代美術も意外と面白いね!」と
なるようなものがほかにもあるだろう、と思った。
観客参加型とか、子供に受けそうなやつをもっと入れるべきでは。
説明も理屈っぽいし、「やっぱり現代美術って裏を読みとらなきゃ
いけないみたいで、よくわかんない」と思われるだけな気がする。
今まで見た現代美術の展覧会の中では、展示数も少なかったし
一番微妙だと思った。絵が多いとなんかパワーが足りない。
泉太郎のビデオ作品が一番良かった。

8月4日の日記

2010年8月4日
ちょっと前に発表された、serial TV dramaからボーカルの
伊藤さんが脱退したというニュース。

フジファブリックと違って伊藤さんはきっとどこかよそで歌声を
聴けると思うから、まだダメージは少ないけれど、それでも
好きなバンドがあったら「いつかそのうち」じゃなくて今聴いて
おかないといけないんだということをまたしても思った。
技巧にすぐれて滅茶苦茶変な展開を見せるギターと、パワフルな
ドラムに乗せて、あのメランコリックでビブラートがきれいな
美しいボーカルが響くところが、シリアルの一番の良さなのに……。

しかしボーカルとバンドの方向性が噛み合ってないと言われれば
ここ最近は確かに納得せざるをえないのもまた事実。
最新の「オオカミ」なんかはかなりロックっぽく声をひずませて
いたので、こういう幅も出せるならこのままパワー寄りになっても
大丈夫かなと思っていたけど、本人のやりたいこととは違って
いってたのかもしれない。

まぁ私自身はシリアルファンというより伊藤ファンなので、
続報に期待。
7月5日(月)7日目
 
いつもよりのんびりで7時起き。ゆっくり寝た。
枕チップは1リラにした。
朝食は、前ひっくり返したシリアルを今度は気をつけて運ぶ。
スパイスをきかせたフライドポテトがおいしかった。アップルジュースはやはり人工甘味料の味がした。

8時にホテルを出る。
チェックアウトしてフロントで「ここから一番近い地下鉄の駅はどれですか?」と言いながらガイドブックの路線図を見せる。
ここからタクシーで5分くらいのところに地下鉄の駅があって街に出られるという話を昨日聞いていたので。
すると、「道を渡ったすぐのところ」と言われる。持っていたガイドブックがちょっと古くて、今はもっと路線が伸びていた。ガイドブックの路線図に「今ここ」と書きこんでくれる。

確かに、ホテルを出ると道路の向かいに赤と青のそれらしい看板が見える。
しかし、道路の車線がかなり広くて、中央分離帯にしっかりしたフェンスが立っていて渡れない。左右を見渡しても、横断歩道も歩道橋も見当たらない。
しかたなく左手にしばらく歩いて、けっこう歩いてやっと横断歩道で渡れた。
駅に着くまで20分くらいかかってしまった。
他の人の様子を見ていたら、フェンスの壊れたところをくぐって渡っていた。ああすればよかったのか。

なんとか工科大学前、という地下鉄の駅に降りて、自販機で1.5リラのトークンを買う。プラスチックの青いコインみたいなもので、これを切符がわりに自動改札に通す仕組み。

あと何分何秒で次の電車が来るかが電光掲示板に表示されていて便利。
タクシム行きが来て乗り込むと、座席がツルッとしたトルコブルー色で、車内も広いし新しくてきれい。
ドアの上に駅名表示が出ているんだけど、矢印のつき方が日本の地下鉄とかのと逆で、反対方向行きに乗ってしまったのかと焦った。

車内では音楽を聴いている人はいるが、本を読んでいる人や携帯をいじっている人は一人もいない。寝るわけでもなく、みんなじっとしてる。

タクシム駅に着き、フニッキュラーとかなんとかいう(てきとう)地下ケーブルに乗り換える。
これも1.5リラのトークンが必要。
トークンを1個買って、さっきのと同じものなのを確認。このあともう一回電車に乗るので、もう一個買っておけばいいんじゃね?と気付く。

地下ケーブルはよく山にあるケーブルカーがトンネルの中に収まってる感じで、やや下っている。駅に巨大なケーブル巻き上げ機がある。
乗って市内路線図を眺めているうちに3分くらいでカバラシュに着き、今度はトラム(路面電車)に乗り換える。
地上の観光地周辺をずっと行き、オープンテラスでお茶飲んでる人の目の前とか、ほんとに店の軒先すぐを通るのでおもしろい。

だんだん観光客が乗ってきて混んでくる。
途中で降りてガラタ塔に行くのもアリだと思ったけど、あまり予定を詰め込みすぎると疲れちゃうし焦ってよくないので、今日はグランドバザールに行くだけにしようと決める。

グランドバザールの駅で降りて(駅名忘れた)、人波の行くほうへ流されていくと、すぐに門があり、中はアーケード。
宝石を扱う広い通りが南端にあって東西に伸びており、今いるのはその西の端。この通りを東の端まで行けばヌルオスマニエ門がある。

アーケードは格子状にずっと広がっていて、道幅がけっこう広い。エジプトで行ったバザールのほうが狭かった。
金や宝石(アクセサリーもあれば塊や粒になった地金もある)、ぴかぴかの銀器、アンティーク道具(六分儀、カメラ、ランプ、懐中時計、剣、水差し、などなど宝の山)、絵皿と鍋敷き、色とりどりのモザイクランプ、螺鈿細工の飾り箱やバックギャモン&チェス盤(表裏で両方遊べる。小さい箱になっていて中にコマが入っているものもある)、絨毯、革の服、あやしげなお土産用Tシャツ、明らかに偽物くさいブランドのカバンやコート、お菓子とティーバッグ……といった、おもに観光客向けの小さい店がびっしりと並んでいる。地元民はあまり来なさそう。
ところどころにカフェがある。

片隅に、チャイのコップをせっせと洗ったり並べたりしている狭いスペースがあった。ここからそこらのお店にチャイを配達するのだろう。
配達のおぼんを担ぎ、料理なんかも載せてる男の子を見かけた。

タイルが貼られた水道もあった。
香水の店でテレビ局が撮影をやっていた。子どもを連れて喋ってる人がガラビアを着ていたので、たぶんドバイあたりのテレビ。でかい噴霧器で撮影スタッフにも香水を噴きかけまくっていた。

うろうろして、まず3リラのターキッシュ・デライトと5リラのエルマチャイのティーバッグを、「合わせて6リラなら買う」と言ってみたら、7リラになった。

折りたたみのチェス箱がかわいくていいなと思ったが、30リラとか40リラとかするので買えない。
この辺の小さな店ではクレジットカードも使えないし。
あと、青い目玉が表紙の皮から飛び出ているような作りの手帳があって、ネクロノミコンっぽくていい!いやがらせのプレゼントとかにもうってつけ!と思ったが、やはり40リラとかする。手づくりの一品モノなので高いらしい。

財布の残りは14.5リラ。
グランドバザールの外に出てトラムの通りを少し戻ってみる。
道端にお墓があったので入って日差しをよけ、ちょっと広めの通り沿いに歩いていたら、さっきの目玉がついた手帳を店の前に出しているところを発見。しかもお店のドアにはクレジットカードが使えるシールが貼ってある。
これなら買える!と思い、交渉する。
45リラのアルバムが欲しい。これに今回の旅行の写真をまとめて入れたらすごくいい!と思った。
「30リラなら買うよ」「40じゃないと売れない」「35リラは?」「5リラの差はたいした額じゃないけど、それが僕のプロフィットになるんだ、40じゃないとだめ」などと話すが、なんとクレジットカードが使えないと言われる。
「向こうに銀行があるからATMでおろしてきて」と言われる。

ATMにクレジットカードを入れ、今14リラ持ってるから26リラおろそうとする。すると「最低50リラです」みたいな表示が出たので、50リラおろそうとすると、今度は「account balance not enough」と言われ、意味がわからない(ちなみに残高不足という意味だった)。

なんか小さい都市銀行みたいなやつだからダメなのかな?と思い、別の大きい銀行の、行列ができているATMに並んだけど、やっぱり同じことだった。
よく考えてみたら、もしかしてクレジットカード作るときにキャッシング枠を作らなかったのかもしれない。そんなことってあるのかな……全然覚えてないけど。

あとはグランドバザールの中に両替所があるんだけど、日本円を万札しか持ってないし、それ以前に日本円はスーツケースの中だった。
そんなわけで結局あきらめる。
まぁ表紙はかっこよかったけどアルバム自体の作りはすごい安っぽかったし、mixiのアルバムで写真公開したほうがみんなに簡単に見てもらえていいよね、と前向きに考える。

鍋敷きが欲しかったので絵皿の店を見て歩く。だいたいはチューリップとかタイルの絵柄なんだけど、珍しくアラビア文字でアラーの名前が書いてあるのがあって、印刷はチープだけど、神様の名前を鍋敷きにしちゃうってのが逆にありがたいというか、鍋がおいしくなりそうだなと思った。

6リラだと言われたが、財布を開けて「もうこれしかない」と言いながら小銭入れに入っていた4.5リラのコインを出したら、「日本人だからOK」と言われる。
あとごく小さいお土産用の絵皿もかわいかったけど、こっちは手書きだから1枚4リラと言われ、買わなかった。

丁稚みたいな若い男の子が新聞紙に包んでくれたので「テシェッケルエデリム」(ありがとう)と言ったら、「なんで感謝するの?」みたいな返事をされた。新聞紙で包むのは当たり前でしょってことか。

ちなみにトルコ語でしゃべれるようになったのはメルハバ(こんにちは)とギュナイドゥン(おはよう)とテシェッケルエデリム(ありがとう)だけだった。どこに行っても日本語が通じるからトルコ語をしゃべる必要がなく、しゃべらないから覚えない。

ぼちぼち時間なので集合場所に行く。
ヌルオスマニエ門の前には修復中のモスクがある。
白と青の、王子様のような衣装を着て杓?ロッド?を持った男の子が、親(こっちは普通の服)に連れられて中に入っていくのを見かけた。七五三みたいなものか?と思ったがあとで調べたら割礼式の前のお祈りらしい。文化の違いを感じる。

しばらくするとオプショナルツアーに行っていた人とも合流。ツアー全体としての集合場所は、そこからすぐのお店の前。
日本語の案内が出ている店で、表には「からすみあります」と書いてある。
干しナツメやハチミツと迷ったが、お土産にバラのジャム4リラ×2個を買って、残金は2リラ10クルシュ。わずかに126円。

バスに乗って昼ご飯。海沿いのレストランへ。
瓶入りのさまざまなピクルス?が壁や台にいっぱい並べてある。ショーに使われるらしいステージもある。

メニューはくだいたレンズ豆のスープ、野菜入りの春巻、そしてドネルケバブ。最後の食事でついに来た。日本でもよく見かける、筒状につるした肉をこそげとる奴。マッシュポテトとピラフつき。おしかったが、けっこうみんな残してて、残すくらいなら欲しかった。チャイは4リラでお金が足りなかった。

食べたあと時間があったので、レストランの前の道路を渡り、中央分離帯の柵をまたぎ越えて海沿いの遊歩道に出て写真を撮っていたら、あとからドラ息子もやってきて、シャッター押してあげたりしていると、ガイドさんが出てきて「あぶない! そっちへ行くのは禁止です!」と怒られる。
柵を渡って戻る。確かに車のスピードが速いけど、最初は左だけ見て渡って、真ん中まで行ってから今度は右だけ見て渡ればいいから、そこまで危険じゃないと思う。
「こないだここでドイツ人のお客さんが二人ひかれて死んだ」と言われたが、ほんとか?

そこからすぐ空港につく。
空港に入るときにスーツケースのX線検査があって、8人に1人の割合でスーツケースを開けさせられる。ランダムだと思うけど、「荷物がぐちゃぐちゃだから選ばれたのかしら」といやがっていた。

革製品と絨毯を買った人だけ免税手続きっぽいものがある。
スーツケースから革ジャケットを出して、TAXオフィスで何か書類にサインする。といっても私が払ったお金が戻ってくるわけではなくて、お店のための手続きらしい。

スーツケースにまた戻して、機内用に作ってあった荷物に入れ替え、ガイドさんとお別れ。
みんながそれぞれここでチップをあげる決まりだとすると、私2リラしか持ってないから困るなと思ったが、そういうことはなかった。
ただ、みんなが飛行機に持って入れない水のペットボトル(トルコでもらったやつじゃなくて日本からわざわざ持ってきたやつ)をあげていた。
ここでドラ息子は盛大に水をこぼし、「あらあら最後まで問題起こして……」という顔をされていた。

中に入り、搭乗時間まで2時間余裕がある。
1時間かけてお土産屋と免税店めぐり。
オリーブオイルの200ミリリットル缶入り3.5ユーロというのを買うかどうか悩んで買わない。
キットカットのアニーバーサリーボックス3.5ユーロをカードで買う。

残った2リラの使い道がない。
カフェやスタバがあり、トルコ物価なら何か飲めるかな?と思ったが、カフェラテのショートが6リラと、普通に日本と同等の値段。トルコアイスも5リラする。「のびーる」と言いながらパフォーマンスしているのを、無反応でぼーっと見てる日本人観光客二人がいた。

待合所に座って日記メモを手帳に小さい字でちまちま書いていたら、隣に座ったトルコ人のおじさんに、「それってあとで読めるの?」と聞かれ、「メイビー(笑)」と答える。
あとツアーのアンケート用紙が配られたので、ここで書いて添乗員さんに渡す。

時間が来て、手荷物チェックしてさらに中の待合室に移る。
そこに水のペットボトルの自販機があって、ちょうど2リラだったので1本買う。
1リラコインが何度入れても吐き出されてきてしまって、係員さんが取り替えてくれた。

帰りの飛行機はトルコブルーの椅子で、足置きがあるのがすごくよかった。ゲームはちょっと少なくて、マインスイーパがあったけどコントローラーだとやりづらい。左右両クリックもできないし。ただ、残機が3機あるシステムだったので簡単にクリアできる。
逆に映画とCDは多い。のだめの映画があった。
エルトン・ジョンのベスト盤を聴きながら夜ご飯。

チキンかパスタが選べて、パスタにしたらトマトとナスのペンネで、ペロリと全部たいらげる。キドニー豆の煮込みと、トマト・キュウリ・チーズにオリーブオイルとレモンをかけるやつ、くるみと洋ナシのケーキはおいしかった。
食後に「ティー」をもらったら緑茶だった。
そのあと朝ごはんまで寝たり起きたり。

7月6日(火)8日目

朝ごはんはフィル・コリンズのベスト盤を聴きながらスクランブルエッグ、焼きトマトとソーセージ入りのホットサンド、オリーブとチーズの盛り合わせ、ベリーヨーグルト。これが最後のチェリージュースを飲む。チェリージュースだけは人工甘味料の味がしない。

トルコ時間18:30に出発して、トルコ時間朝4:00、日本時間10:00ごろに到着。
すごいスムーズにスーツケースが出てきたので、さくっと添乗員さんにお礼を言って、10:15には京成線のホームに来たんだけど、10:30まで電車がなかった。
13:00には帰宅。
気温はそんなに変わらないが、湿度がまるで違うので日本のほうがはるかに暑苦しく感じる。


まとめ

・トルコは物価が安く、ごはんがおいしく、治安があまり悪くないので暮らしやすい。
・観光客の行くところばかりに行ったというのもあるが、日本語の通じる割合はハワイ並み。
・今回の旅のハイライトは、夜行列車の中でリンゴかじってるところだった。
・リュステム・パシャ・ジャーミイもよかった。エフェスのでっかいオデオンと、トロイ遺跡の寂れた雰囲気も良かった。
・カッパドキアは洞窟の中に入れなかったのが残念だった。また機会があったら洞窟ホテルに泊まったりしたい。10日間のツアーだったら泊まれたな。
・今回ほとんど前情報なしに出かけたので、「テレビでよく見るあれがココかー」というような、確認するだけにならなくてよかった。
・「他人と当たり障りのない世間話をする」というスキルがもともとほぼゼロなので(趣味が共通してればその話はできる)、今回の旅でそのスキルは上がった。といっても、レベル99まであるうちの4~5レベルくらいだけど。
英会話教室でのフリートークみたいに、相手の話す内容からどんどん糸口をつかんで話を広げていかないと会話が続かないんだけど、もともと他人に興味がないので続かない。別にあなたの家族のこととかどうでもいいしー、みたいな。かといって自分のことばかりべらべらしゃべってもやはり話がおもしろくないという自覚はあるので、結局話が続かない。
・添乗員さんが「何度ツアーに行ってもやはり一期一会の縁」みたいな挨拶をしていて思ったけど、私は物との縁はけっこう大切にするけど、人との縁はあまり大切にしてないなと。というか、無意識的に縁を切りたがってるフシすらある。もう二度と会うことのないであろう人と仲良くしてもあんま意味ない、みたいに思っちゃうんだけど、本来それも旅のだいご味の一つだよね。いわんや日常においてをや。
7月6日(日)6日目

5:30に車掌が「モーニング・ノック」をしに来る前に目覚ましで起きる。
朝ごはんは6時から食堂車にて。いくつか団体が乗っているので、それぞれの添乗員がくじ引きをし、5:00~5:30の組、5:30~6:00の組……と割り当てていくらしい。
ちょうど日が昇り、海が視界に入ってきたあたりだった。めんどくさいのですっぴんで行く。
朝ごはんのメニューは、皿にチーズやオリーブ、トマトやジャムが盛り合わせてあり、テーブルにパンと熱々のゆで卵が山積みになっている。
チャイは二杯まで、コーヒーは一杯までついてくるので、チャイをもらう。
海景色を見ながらの朝ごはんは素晴らしいが、30分なのでややあわただしい。

6:30に部屋に戻り、到着は8時とのことだったのでもうひと眠りしようかと思ったら、さっさと車掌が来てベッドを座席に戻してしまう。
まぁしょうがないから椅子で7:30くらいまで寝るか、と思ったら、6:55に添乗員さんがやってきて「7:10に到着するそうです」と言う。
大慌てで化粧して荷物を詰め、イスタンブールのハイダルパシャ駅に降りたつ。
昔は8:00着だったのが、ダイヤ改正で7:10着に変更になっていたらしい。また、普段はだいたい30分やそこら遅れるものなのだが、今日に限って珍しく定刻に着いたそうだ。
スーツケースは車両からホームへは降ろしてくれるけど、そのあとは自分で持ってバスまで行く。

バスに乗り、今日は校長先生みたいなおじいさんの隣。
海沿いに走り、今までずっと旅してきたアジア側の大陸からボスポラス大橋を渡ってヨーロッパ側の大陸へ。

まずはブルーモスク近くの競技場跡へ行く。
エジプトから持ってきて、大きすぎたので下を切り落として立てたオベリスクと、それを真似て昔の人が小さい石を積み上げて作ったらしいオベリスクもどきの塔、そしてギリシャがマケドニアとの戦争に勝った時に敵の武器などを溶かして作った「蛇の塔」がある。
オベリスクは建てる技術がなくて持ってきてから長年寝かされたままだったらしい。さすが古代エジプトの技術は世界一。

ブルーモスクに入る。
7:30オープンのはずがまだ開いてなかったので、しばらく中庭で時間をつぶす。
きれいなドアを撮ったり、ミナレットを見上げたりしていると、猫がやってくる。
今までのトルコ各地では野良犬がずいぶん多く、観光地では耳にタグがつけられた犬がゴロゴロしていたけど、イスタンブールに入ると一気に猫だらけになる。どこにでもいる。野良猫に優しい国らしい。

8時に中に入る。前方は祈りのスペースなので観光客は後ろ半分だけ。
とても広く、天井も壁もどこもかしこも装飾びっしりで大変美しいのはおなじみの通り。
ミフラーブの前で祈っている人がいた。

集合時間に社長のドラ息子が遅刻。今までもしょっちゅう一人でたばこ吸いにどっか関係ないところにフラフラ行ってしまい、添乗員さんが駆け回って探すということが多く、ツアーとしてはかなり迷惑。というかその人がいるせいで、「私もちょっと遅れても大丈夫でしょ」という気分が蔓延しやすく、全体的に集合時間が遅れやすいツアーだった。
まぁ、毎回必ず5分前集合で、時間通りに帰ってきたのに全員に「この人遅いわね」みたいな顔で見られるよりはマシだけど。
とはいえ、36人のツアーで5分遅刻するということは、35人×5分で175分の他人の時間を奪っているのだということを……こういう人は言ってもわかんないんだろうなぁ。
さすがにガイドさんに「今度は置いていきますよ」と言われてた。

アヤ・ソフィアはツアーに入ってないので残念ながら通りすぎて、トプカプ宮殿へ。
アジサイや、杉の木の幹の中からイチジクの木が生えているという不思議な木のある中庭を通り抜け、門をくぐって建物に入る。
ここまでくると観光客だらけ。
集合時間と場所を決めて解散。

まだ朝なので、すいているうちに宝物庫を見ておけと勧められる。
ここは写真が撮れなかった。
超巨大なエメラルドやルビーがゴロゴロついている金ぴかの水差しとかアクセサリー、鎧や矢筒に剣、スプーン屋のダイヤは86カラットあるんだけど、全体的に宝石は大きすぎてもはやただの下品なガラス玉にしか見えない。もうエメラルドとルビーはいいよ、って気分になる。
しかし世界から集めたすさまじい宝の山なんだなということはわかった。

宝物庫から海を望むバルコニーに出ると、とてもさわやかで景色がきれい。
ここでも写真を撮ってもらう。
カメラ女子の人と交代で撮ったんだけど、なんかお互い遠慮し合って気持ち悪い。「安いカメラですみませんけど……」って言いながら渡され、「いえいえ、私下手なんで大丈夫かなぁ……」と言いながら受け取る。
年代も近そうだし、少なくとも旅行とカメラが趣味という二つの大きな点が共通するわけだから、社交的な人だったら友達になりましょうよって言いだせそうな気がするけど、私はなんだか反発心を持ってしまう。知らない同年代の女性とはいつもうまく話せない。

そんなことはともかく、次にイスラムの聖なる遺物をおさめた宝物庫へ行く。
ここは大変面白かった。最初はカアバ(メッカの中心にある黒い四角い建物)の聖なる鍵がいろいろ、モーゼの杖(ほんとか?)、ムハンマドのひげ、そして洗礼者ヨハネの頭蓋骨と手(豪華に装飾された箱に穴が開いていて中にミイラ風のものが見える)、などなど。
ただ、見ている最中に後ろからどっと客が詰め掛けてきて押すな押すな状態になってしまった。

また、眼鏡のおじさんが生でコーランを読んでいて、その声が朗々と建物中に流れている。いかにもありがたい感じで、しばらく拝聴させていただいた。
お経は聞いてても眠くなるだけなんだけど、コーランは聞いてると癒される。あとアザーンもテンションあがるし、アラビア文字も大好き。きっと前世はイスラム教徒だったと思う。

さらに図書館や謁見室、土産物屋などに入って集合。
ハレムは別料金で入れなかった。日本の古美術の展覧会も開かれていたらしいが、そこも行ってない。衣装の展示室はどこにあるかよくわからなかった。

どこにでも飾ってある、独特な形をした飾り文字はなんて書いてあるのかとガイドさんに聞いたら、王様のサインなのだそうで、同じように見えてもちょっとずつ違うとわかった。

昼ご飯の前に、リュステム・パシャ・ジャーミイに行く。昼ご飯の後になると閉まってしまうらしい。
エジプシャン・バザール近くの、道端に靴を並べて売っているあやしげな露店が並ぶ界隈を入り、薄暗い階段を上ってモスクに入る。
ここはかなり穴場らしく、観光客が全然いないが、ブルーモスクも設計した有名建築家ミマール・スィナンが作ったところで、イズニック・タイルが非常に美しいことで知られる。

実際、ブルーモスクは一部にしかタイルを使っていないが、ここはほぼ全面が青いタイルに彩られ、こじんまりとして端正な建物。
絵葉書とかでよくある、タイルだけを接写した感じの写真を撮りまくる。
サーファーっぽいおじさんが、「床の中央にカメラを仰向けで置くと、天井がきれいに撮れる」ということをわざわざ呼びに来て教えてくれる。このおじさんも一人客で、前にもどこでだか忘れたけど、台車に積んだ素焼きの壺と赤い花と細い木がうまく配置されたすごくいい構図の場所を教えてくれたことがあった。

出口の横に電光掲示板があって、「今日の次のお祈りの時間」とクルアーンの一節を表示していた。

そこから昼ご飯の場所へ移動。
クムカピという名前の場所で、港からすぐ近くの魚を扱うレストランだけがずらっと並んだ地帯。居酒屋が多いとガイドさんは言っていたが、昼は団体客がいっぱい来るところっぽい。
排水口の蓋に魚の絵が描いてある。

魚のスープ(おいしい)、前菜はポテトとホウレンソウをやわらかく煮たのと豆の煮込みがテーブルごとに出てくる。メインはサバをトマトとチーズで煮た鍋……みたいな感じで、私はあまり好きではなかった。
デザートは甘いプディングで、全粒粉なのか、クスクスっぽさもある。
食べていると野良猫がやってきて、隣にいた猫大好きなおばあさんの足元に座りこみ、ずーっと待っている。パンは食べない。サバをちょっと落としてあげたら喜んで食べていた。二匹いた。

帰りに、トルコアイスの屋台があって、日本のテレビにも出たことがあるという有名なおじさんが売り子をやっている。3リラで買って食べる。
カメラを向けると隣にある絵看板と同じポーズをとってくれる。
アイスはすごく固いので、手にマメができている。
ガイドさんが「このおじさんはずっと昔からここに店を出していて、冬でも休まない」云々と宣伝して、一つサービスされていた。

次に新市街のイスティクラー通りというところで自由時間。
タクシン広場で青いトルコ国旗を持った人がいっぱい集まって何か叫び、デモをやっていた。

イスティクラー通りは歩行者天国で左右に服屋やファーストフード店が並び、人がいっぱいいて竹下通りみたいな感じだと思った。あれよりは道幅広いし真中を路面電車が走ってるけど。

バーゲン時期らしく、どの服屋もみんな50%オフになっている。「イリディリム%50」って書いてあったらそういう意味のはず。
見てみると確かにすごく安かったりするが、デザインはそこそこで、別に今ここで買わなくてもいいかなという感じ。ちょっといいなと思ったキャミソールは5000円もしてセールじゃなかった。

本とCDとおもちゃをまとめて扱う店に2軒入る。
マジックは7版のスターターの箱があって「トルコ語の説明書入り」的なことが書いてあった。
これを見る限りプロツアー・イスタンブールとかが開かれることはなさそうだ。あったら絶対行くんだけどなぁ。
あと、ジグソーパズルがけっこう盛んなようで、いろいろ置いてあったが、絵が微妙なのと、ピースが大きくて場所ふさぎなのが残念。
PCやPS3のゲームソフトはみんな英語のままで、あまりメジャーではなさそう。

ファーストフードは、今まで田舎だとバーガーキングを見かけたことがあるだけだったけど、ここまで来るとマックもケンタもスタバもある。ケバブのサンドイッチとかおいしそうなんで食べたかったけどお腹すいてない。

トルコの男性で髪が長い人って今まで一度も見たことなかったんだけど、ここで初めて長髪に四角い眼鏡をかけ、シタン先生みたいなタレ目にヒゲのイケメンを発見し、ガン見してしまった。イスティクラー通り最大の収穫と言ってもいい。

戻るときにデモとすれ違うが、さっきの青い旗の人たちとは違うようで、大きな犬を連れた女性が多く、手に手にプラカードを持っていた。

集合してバスに拾われ、ホテルへ。
最初の日に泊まったのと同じシェラトンで、あの時はよくわからなかったけど、今になってみると市内からすごく遠いところに位置しているということがわかる。

16時前にホテルに入り、18:25まで休憩。部屋でPCにネットをつないでみたら、今度は立ち上がったけど1時間8ユーロ、1日15ユーロと高いので、下のロビーにあるタダのPCを使う。
「@」の出し方がやっとわかった。左シフトと右シフトで違う字が出る仕様になってる。
ネットでさっそくマジック日本選手権の結果をチェック。
といってもあまりカバレージをしっかり読む気力はなかったので面白そうなところだけ拾い読みして、ツイッターも見てたら一気に日常生活気分がよみがえる。

眠いけど時間も半端なので写真を整理しつつ18;25に夜ご飯。バスに乗ってタクシン広場近くのレストランに行く。
メニューは挽割小麦?のスープ、千切り野菜のサラダ、おからみたいなチーズとひき肉が入った春巻、キョフテ(チキン系でやわらかい、串にさして焼いた細長いハンバーグのトマト煮込み)にピラフとフライドポテト添え。パンは今までどこもみんなフランスパンみたいのだったが、ここだけナンっぽい平たいパンだった。デザートはナッツがついたシロップ漬けケーキで、ちょっと和菓子っぽい風味も。

帰り道に、両脇がびっしり自転車屋になっているトンネルをくぐり、夕陽でシルエットになっているモスクの数々を見、ベシクタシュのスタジアム脇を通る。
このあと「ベリーダンスと民族舞踊のショー」というオプショナルツアーを取っている人を途中で下ろして、ホテルに戻る。
民族舞踊に興味はあったけど、8000円は高い。

ホテルで添乗員さんと明日の自由時間について相談。
明日の午前中はやはりオプショナルツアーでボスポラス海峡のフェリークルーズというのがあるのだが、それを取ってない人は昼にホテルの入り口に集合することになっている。それだと、午前中の自由時間にどこかへ行きたいと思っても、一度ホテルに戻ってこなければならない。
ただ、そのあとグランドバザールにみんなで行くので、グランドバザールでバスに拾ってもらうことができるそうだ。

そのときグランドバザールの地図を持ってなかったので、あとで添乗員さんが部屋に来て待ち合わせ場所を教えてくれるということになる。
添乗員さんは明日の帰りの飛行機の座席を確保するため、WEBチェックインをロビーのPCで頑張っていた。

添乗員さんが来るまで、日記メモを書いたりお湯を沸かして日本茶飲んだり、明日の予習をしたり。
財布を見ると、枕チップを2リラ置いたらもう残りが25リラしかない。
もうだいたいお土産は買ったからいいけど。

しばらく待って添乗員さんが来たので、待ち合わせをヌルオスマニエ門の前に12:30と決める。
その時、「実はお誕生日一緒なんですよ」と言われてびっくりする。なんと!「星占いだと相性最高なんですよね」と話す。織田裕二と妻夫木聡も一緒なんですよと教えてもらうが全然知らなかった。
あとで検索してみたら瑛太とかhideとか横峯さくらも一緒じゃん。マキシマムザ亮君は年も同じだった。へぇー。

風呂に入り、スペイン対パラグアイ戦とドイツ対アルゼンチン戦のハイライト番組を見る。シャビ・アロンソのPKがなんで蹴り直しになったのか、トルコ語では理解できなかった。
23:30に寝る。
7月3日(土)5日目

朝のスケジュールは変わらず。
朝食ビュッフェは円卓に2人しかいなくて、一緒になった一人客のおじいさん(なんか雰囲気が校長先生っぽい人)に勧められ、巣に入ったままのハチミツを切り取って食べる。蜜蝋の部分がやわらかくて食べやすく、味も濃厚。
皮つきリンゴなどを刻んだフルーツにベリーヨーグルトをかけて食べるとうまい。干しナツメも予想外においしく気に入った。
あと羊チーズや牛チーズなど、いろいろなチーズとチキンやターキーのハム。

バスで出発、今日はおじいさん(初日に遅れた人)の隣。エジプトで買ったという白い刺繍入りの服を着ていて涼しそう。
歯が丈夫だからこの年になっても(いくつかはきかなかったけど)一人で旅ができてる、という話を聞く。歯が全部そろってて歯医者にかかったことがないらしい。その秘訣は、イオン歯ブラシと電動歯ブラシでよく磨くことらしい。

コンヤを出てカッパドキアへ。
今日は昨日と違って全然眠くない。
地平線まで続く原野で、たまに羊の群れがいる。
ぽつりぽつりと送電線があるほか、突然道路わきに柵が現れたりもするが、一面だだっ広い荒野の一部にだけ柵があってもいったい何の意味があるのか。

隊商宿キャラバンサライの門の前で降りて写真を撮る。中は別料金らしくて入れなかった。
ドライブインで刺繍入りの手帳7リラとトルコ音楽のCD15リラを買った。
「どんなCDがいいのか」と聞かれたので「トラディショナル、ボーカル、フィーメイル・アンド・メイル」と言ったら「これは有名だ」とお勧めされた、怪しげな絵の描いてあるコンピレーションCD。
帰って聞いたらいかにもなトルコ音楽がいっぱい入っていて、そんなに面白いものではないが聞くだけでトルコの空気を思い出すものだった。
かわいい織物のCD袋に入れてくれた。

カッパドキアの街を見渡す高台の上でまず降りて、写真を撮る。壺だらけになった木と鳩を入れて撮影。あとナザール・ボンジュウがびっしりくっついた木。
ガラクタにしか見えない古い日用品や、手作りで味のあるカエルの置物を売っている。

トルコの有名な伸びるアイスを売っている。「ドンドゥルマ」というのは単に「アイス」の意味で、あの伸びるアイスはマーラシュという土地の名産品なので、正しくは「マーラシュ・ドンドゥルマ」と呼ぶべきらしい。
2リラで小さいコーンにレモンとバニラとチョコが乗っているが、私はもともとそんなにアイス好きってわけでもないし、どうせ食べるなら伸びるアイスより普通のアイスのほうがいいので、買わなかった。
そしたら初日にバスで隣だったおばさんが一口くれた。みっちり固く詰まった食感。

次に大きな岩のふもとへ。三角形の岩にたくさん穴があって、かつてキリスト教徒たちが隠れ住んでいた。今でも昔から住んでいた人はここに住めるらしい。
ここも展望台のようなところで、一緒に写真を撮るとお金を取られるラクダがいる。やや遠くのほうからこっそりラクダの後ろ姿を入れて撮る。

ここの土産物屋ではストールにみんなが群がる。カシミヤの最上級素材であるパシュミナ100%のストールがいっぱいあって、日本で買ったら何万円もするのにここでは1枚1000円!安い!ということでみんなして買う。
まぁパシュミナ100%とは書いてあるけど……。
でも実際手触りはいいし軽くてあったかい。昔持ってた毛糸の黒いひざかけの代わりに1枚あってもいいなと思い、17リラで購入。

次に「スリー・シスターズ」と呼ばれる三つの岩の展望台へ行く。
土産物屋の並ぶ通路を抜けていくと、肩を寄せ合う三つの塔のような岩があって、白い坂道を歩いて行くとダイナミックに見える景色が変わる。

昼ご飯は洞窟風ホテルのレストラン。
古びた建物の間の階段をのぼるとおもむきのある建物に入り、眺めのいい2階に案内される。
木の重厚な建物で、エアコンがないので窓を開けると風が吹きぬける。眼下に町が一望できる。
ここのレストランはピアノの生演奏つきで、若者がそこまで上手ではないが得意げな顔で「さくらさくら」など弾いていた。

おじさんと日本代表ユニの人(社長のどら息子ってイメージ)と三人で同卓。
メニューは野菜のスープ、いんげんとタマネギとトマトの煮物、メインがマスの塩焼きにピラフと焼きトマト添え。デザートはスイカ。
テーブルに魚醤としょうゆと思われるものが用意してあった。
どら息子が飲み物を頼まなかったので遠慮した私は5リラもするチャイを頼んだのだが、そんなに喉乾いてなかったので余分だった気がする。
毎日ペットボトル一本ずつ水をくれるので、それを飲んでいれば本来は十分。

今夜は夜行列車に乗る予定なので、遅れるわけにはいかない。ちょっとスケジュールに遅れが出ているらしく、急がされる。

バスに乗ってまた一度降りて写真を撮り、トルコ絨毯の店に連れて行かれる。
ここも日本語が達者な店長がいて、いろいろ解説してくれる。
最初に女性が実際に絨毯を織っている織り機のそばで「トルコの絨毯だけが結び目が2つあるので、手間は二倍かかるけど二倍丈夫です」と説明。
次に蚕の繭から絹糸を作る機械のところで熟練の技術について説明。
最後に広い部屋に行き、壁沿いにあるベンチに座ってリンゴジュースをふるまわれる。
中央の広いスペースにたくさんの絨毯を広げ、結び目が多いと価値が高いとか、ウールとコットンとシルクの素材の違いとか、いろいろしゃべる。
靴を脱いで絨毯の上を歩いたり座ったりしていいとのことなので、座ったりなでさすったりする。こんな機会でもないとできない。
日本へ送る手順とか、免税の説明とかもするんだけど、「トルコリラ、円、ドル、ユーロ、なんでもOKです。現金、クレジットカード、トラベラーズチェック、なんでも使えます。クレジットカードはVISA、マスター、JCB、アメックス、なんでも使えます。でも、suicaだけはだめなんです」と言うので大ウケ。関西から来た客だったらicocaに変えるのかしら。

説明が終わると店員総出ですごい売り込みをかけてくる。
しかし私のところにはなぜか一人も来ず、放置。楽で嬉しい反面、「そんなに貧乏に見えますか、そうですか」と思ったりもする。
絶対買わなそうな夫婦のところに、95万円もする高級キリムを売ろうとしている店員がいて、相手にしてないのに必死に値段を下げて最後は「78万円でもダメですか!?」となっていた。そりゃ無理だろ。
ここでもけっこう買っている人がいて、1万円くらいの玄関マットくらいのものから、25万円の大きなものまで(よほど大きい家なんだろうな)。

バスの中で、隣のおじいさんの話をいろいろ聞く。
昔はインディカーレースを見るためにあちこちに行ったとか、ダラスでNASAのサンダーバードのエアショーを見たとか、パリの地下鉄で子どものスリに囲まれたとか、娘が国際特許の弁理士で、奥さんは定年間近だが会社の秘密を握っているので辞めさせられることがないのだ、とか。
あと娘の仕事関係でよくフランス人が家に来るが、お土産にチーズを持ってくるらしい。ただ、本当はチーズを持ち込んではいけないので、キャベツにくるんで持ってくる。そうすると空港にいる犬に嗅ぎつけられないし、税関で「これはなんですか」と言われても「キャベツです」と言えば通してもらえるのだとか。

トルコの首都、アンカラに到着。
急いだ甲斐あってか、かなり余裕を持ってついた。
昔の住人が許可を得ずに勝手に建てた家が残っているとかで、古くて倒れそうな家が斜面にいっぱい建っている。

アンカラ駅でスーツケースをホームにまとめ、ホームにあるレストランに入る。
改札は通らなかったが、電車に乗り込む直前に柵があるから、そこで検札するのかも。

レストランには我々のほかにも日本人団体客が入っていた。
また、我々と一緒に黒い猫がスルリと入ってきて人々の足元を移動しており、ときどきビックリしている人がいた。

メニューはトマトのスープと、トマト風味のケバブ(羊)とポテト、デザートにくるみパイのシロップ漬け。いつも思うけどシロップに漬けるのをやめたらそれぞれけっこうおいしいお菓子だと思うのに、全部シロップ漬けになると味がただ「甘さ」だけに均一化してしまってもったいない。
ちょっと量が少ない。飲み物は今回も頼まず。

ツアーの中に今日誕生日の人がいるとのことで、乾杯をする。添乗員さんがクッションカバーをあげていた。トルコ国旗よりは断然役に立つな。

電車が出るのは22:30で、21:45集合と言われ、時間が1時間くらいあったので、まずトイレに行き、有料トイレだったので75クルシュ払う。
駅舎の外に出ると近くに遊園地があって、キャーキャー言う声が響いていた。
待合室でこれを書くための日記メモを付けながら待つ。

部屋を割り当てられ、アンカラ・エクスプレスに乗る。
夜行列車に乗るのは初めてで、テンションあがる。
スーツケースはホームから車内に引っ張り上げるところだけポーターが手伝ってくれる。

部屋は二段ベッドのある二人用の一等寝台だが、一人で使うには十分広い。
入って右手脇に洗面台があって、ちゃんとお湯も出る。
左手に座席(降ろすとベッドになる)、正面に窓、右手に冷蔵庫とハンガーと物置台。
冷蔵庫の中には水とアンズジュースの紙パックとチョコバーとクラッカーが入っていて、これはサービス。
ほかにウェットティッシュと、電車マニアにはたまらない感じをかもしだす使い捨てスリッパもついていた。
廊下はせまく、車両の両脇にトイレがある。

乗ってしばらくすると車掌さんがそれぞれの部屋の座席をベッドにしに来て、2リラのチップを払う(本当は1.5リラでいいらしいがコインがなかった)。
ベッドは狭くて落っこちそう。赤い可愛い毛布がかかっている。

部屋の照明は3段階くらいに明るくできるが、一番暗い、非常灯だけの状態にしてカーテンを開け、窓によりかかって外の景色を眺めながら、ビュッフェでくすねてきたリンゴにかぶりつく。
よく外国映画とかでかじりついてる、小さい赤いリンゴ。
この瞬間ほど「私、いま旅してる!!」と思ったことはない。
今回の旅行のハイライトと言ってもいい。
でもリンゴはスカスカして見た目ほどおいしくない……。

普通の電車(そこそこ客が乗っている)を追い越したり、照明もなく真っ暗な駅のホームに待っている人がいてびっくりしたり、モスクをライトアップしていたり、街灯ひとつなくどこまでいっても真っ暗闇の道路を、ヘッドライトだけで疾走する一台の自動車としばらく併走したりした。
あの道路の真っ暗さにははかなり命の危険を感じる。

23:30には電気を全部消して寝る。かなり揺れるし、どこからの音だかわからないガタガタという音もするんだけど、その揺れがいい感じに眠気を誘い、よく寝た。

7月2日(金) 4日目

同じく6時起床、朝ご飯は円卓でビュッフェ、フレンチトーストが甘くなかったり、またジュースが人工甘味料の味だったりというのはあったが、コーンフレークにレーズンのジャムを入れたり、パンにあんずジャム(出来合いのじゃなくてちゃんと煮て作ったやつ)をつけてチャイを飲み。満足。

朝から近くのパムッカレへ向かう。山の斜面の一部が真っ白になっていて、遠目に見るとスキー場みたい。
ここはギリシャ時代の温泉保養地だが、病人がここにやってくるとまず審査があって、治りそうもない患者はネクロポリス(死の都)に送られそのまま死んで埋葬されたらしい。

タチアオイが群生しているヒエラポリス遺跡を抜けて、石灰棚のところへ。
石灰岩でできた、温泉が流れる白い段々畑みたいなもので、ずっと下の公園の池まで見通せる。温泉開発によってここには水があまり出なくなり、時間によって一部の場所に流しているだけらしい。

木の通路を通り、お湯につかれるほうまで行って、いったん解散。
そこらじゅうに犬がごろごろしていて、暑いので地面でグッタリ死んだようになっているのだが、みんな耳にマークがつけてある。

白い段々畑の間にお湯が流れる水路があり、日本人は裸足になってそこに座って足湯。白人たちは水着で寝そべったり、もっと奥の水につかったりと、リゾートを堪能している。日本人はみんな厚着で日傘をさしている。
水路はちょっとぬるっとしているがあったかくて水流が強く気持ちいい。段々畑のほうにたまった青色の水は冷たい。石灰岩のギザギザが一面にあって、裸足で歩くとけっこう痛い。しかも、段々畑からもし転がり落ちたら相当下まで落下すること必至。一応警備員がいて、あまりふちに近づくと笛をピピーと鳴らす。ずっと下を見ながら恐る恐る歩く。

しばらくして足を水たまりで洗って乾かして靴を履いたらとても気持ちよかった。
奥の遺跡の壁を越えて別の木の道を歩くが、奥側の段々畑にはまったく水が流れていなくて真っ白いだけだった。

集合場所へ移動。建物の中に「アンティーク・プール」というのがあり、これはギリシャ時代の本物の遺跡が中に沈んでいるプール。入場料を25リラ(1500円)も取る観光客仕様で、むっちりと肥った白人たちがいっぱい入っていた。
そのまわりに売店があり、ここで飲むヨーグルトの「アイラン」を2リラで買う。まったく甘くなくてスッキリした味。

集合を待ちながらカメラ女子と話す。かわいいストラップをつけていたので聞いたら、自分で企画したものらしい。
今朝がたからの写真を見せると(昨日までのはPCに移してしまってもうない)、「レンズが明るいから光って見えますね、いい意味で」と言われる。うーん、そうなのか? よくわからない。「今までほとんどずっと明るいレンズだったからよくわからない」と答える。
また、彼女はレンズフードを持ってこなかったので、こういうまぶしいくらいの日には持ってくるべきだったと言っていた。それは確かにそうかも。
一緒にいた、一人客でカメラ女子と仲良くなっていた女の子に、二人してレンズフードの役割について説明する。

集合時間になっても二人見当たらない。添乗員さんが探しつつバスに戻ると、その二人はバスにいた。当初言われていた集合場所が建物の外だったのだが、みんななんとなく日陰を求めて中に入り、中で集合していたのだった。外にいたその人たちは迷いつつバスまで戻り、運転手さんから電話してもらって事なきを得た。

パムッカレを出てコンヤまで長い道のり。どのルートを通るのか地図を見てもよくわからないが、湖が見えれば見当がつくはず。
しかしほぼずっと寝ていて、湖はまったく気付かなかった。
その間、広い広い平野にオリーブ畑やさくらんぼなどの果樹園、はるか向こうに木の少ない山、という景色がかわりばえせずずっと続く。

休憩に止まったドライブインは、ハチミツヨーグルトが有名なところだという。水を切った固いヨーグルトに松の木のハチミツを入れてケシの実をふりかけるというもので、5リラ。ハチミツヨーグルトは普通に家でもよく食べるしなー、と思って食べない。
あと売店ではバラ水やバラ石鹸などを売っているが、とくにあげるあてもないので買わなかった。

昼ご飯は13:30ごろレストランの大きな円形ホールにて。
よく出てくる千切りにした野菜のサラダ(オリーブオイルとレモン)、いんげんとニンジンのオリーブ煮(味がないので塩をかけて食べる)、そして串からは抜いてある羊ミンチ肉のケバブに焼きトマト。
このケバブがおいしくて、「これこれ、この味をトルコ料理に求めていたんだよ! もっと早くこれを出してくれよ!」と思った。
それから、薄い生地にひき肉を乗せたトルコ風ピザ(トルコ語だとピデ)があって、これもおいしい。
デザートはビュッフェで、山積みにしたダークチェリーをたくさん食べた。あとはプディングとか甘いのばかり。

このへん寝てばかりいてあまりよく覚えてないんだけど、お土産用のターキッシュ・デライト(トルコ語ではロクムといい、ナッツ入りの求肥みたいな名産のお菓子。そこまで甘くはない。ナルニアでエドマンドが冬の魔女に頼んで出してもらってたのがこれ)をここらへんのドライブインでたくさん買い込んだはず。メモにも書いてないしレシートもないのでよくわからない……。

ひたすらバスで寝ていたら大きな町に入った。
やたらと新しくて道路幅が広くて路面電車が走りカラフルな集合住宅が整然と並んでいて、ここはどこだろう?と思っていたらもうコンヤの街だった。
まだ16:30くらいで、地図を見た限りもっとかかると思っていた。

ここでメヴラーナ博物館に行く。
白い服を着てグルグル回り続ける「セマー」(俗に回教とも言う)の開祖であるメヴラーナのお墓がここにある。

入り口の上には美しいアラビア文字の額がかかっている。
今までのツアーではギリシャ遺跡ばかり見てきたので、いよいよイスラム文化が始まりテンションあがる。

入る前に、建物の外にあるお墓を撮っていたら、そこに祈る人がやってきた。立ったまま、両手を胸の前あたりで上に向け、軽くすぼめた姿勢で何かつぶやいている。
中に入るときにちょうど、一日五回のお祈りの時間になり、朗々とアザーンが響く。
今まで、あんなにモスクがいっぱいあるのにバスやホテルの中にいるとアザーンが聞こえなくて、トルコでは金曜しか放送しないとか決まりがあるのか?と思っていた。

入り口で靴にビニール袋をかぶせる。
中は写真撮影禁止とのことなので、必死に目を凝らす。
小さい字を連ねて大きい字を書いたり、文字の芸術作品がたくさんある。木でメッカの風景を浮き彫りにしたものや、とても古くて勝ちがつけられないほど立派なお祈り用の絨毯もある。

メヴラーナ本人と、父親と息子の大きなお墓があり、豪華な布で棺が覆われ、ターバンがついている。ほかにも棺はいっぱいあるが、ターバンの色や形で生前の職業などがわかるらしい。

メヴラーナが来ていたという服や当時の楽器が展示されている。バイオリンにそっくりの弦楽器があるが、指板や弦を巻くところなど、つまりバイオリンなら黒くなっている部分がみんな象牙細工でできていて、さらに「f」型の共鳴板の穴がアラビア文字のような不思議な形の切りこみになっている。美しい。
ほかにはシンバルや太鼓など。

ミフラーブ(メッカの方角を示す簡素な祭壇)の隣には、もっとも価値のある古いじゅうたんがかけられ、ムハンマドのあごひげ一本をおさめた黄金の箱が安置されている。
「ムハンマドのあごひげはバラの香りがする」と言われ、箱を入れたガラスケースには空気穴があけてあり、みんなそこに鼻をくっつけて匂いを嗅ぐ。
私も嗅いでみたら、箱の下に敷いてある織物に炊きしめてあるとおぼしき、お香の香りがした。

それから手書きの古いクルアーン(コーラン)の本がいっぱいある。
金銀色とりどりで緻密に飾り立てた豪華本、人差し指と親指をくっつけて作った丸くらいの大きさしかない八角形の豆本もあれば、両手でやっと抱えられるかどうかという巨大な本もあるし、ページ全体がぜんぶ金で塗られ、その上に羽根と花の装飾をちりばめたもの、黒地に金で文字を書いたものなどなど。
絵だけの本も巻き物も、米に聖句を書きこんだものもあり、見飽きない。

外に小さい部屋があって、文字がびっしり書かれた石の棺がおさめられ、中でその棺のあちこちにキスしたりぬかづいている信者がいるのを、外から観光客が眺めていた。

バラ園を抜けて土産物屋で集合。アッラーの名前を彫った石の飾りが欲しいなと思ったけど、汚し塗装があまりきれいじゃなかったので買わない。
写真入りの日本語版ガイドブックを買おうかと真剣に悩んでいたら集合時間が来てしまった。

そこを出て、神学校インジェ・ミナーレの門の前で降りて写真だけ撮る。
「デンマークから来た」という若者たちがたむろしていて、やたらと人懐こく一緒に写真を撮りたがっていた。

今日のホテル、「デデマン・コンヤ」に到着。
かなり早い時間にチェックインできた。
洗練された高級ホテルで、プールに入るのに25リラもとる。
部屋の窓から広場に立つ大きなトルコ国旗が見える。
今まで書き忘れてたけど、トルコにはあちこちに巨大な国旗がはためいている。街中にも未開の地にもどこにでもあり、色あせないあざやかな赤色で、風が強いのでよくはためいている。

テレビをつけたらちょうどオランダ対ポルトガル戦が終わろうというところだったので、最後まで見る。
その後、晩ご飯まで時間があるので、ホテルの向かいにある大きなスーパーへ行く。

最初に入った建物はがらんとしたホームセンターだった。
その隣がスーパーだった。スーパーの手前には服のアウトレットや携帯電話の店が並んでいる。

スーパーは巨大で、出来合いのお惣菜を売っている一角を通ると、すごくおいしそうに見える。今まで食べてきた料理よりずっとおいしそう。
目立つところにはお試し、というかプロモーション商品のお菓子や飲み物が積み上げてあって、べらぼうに安い。
よくイベント会場に設置してある、タンクに入った水が1つ60円だったり、スイカが1キロあたり30円だったりする。

外国で魚売り場を見るのは珍しいなと思う。
お湯で作るカップパスタを発見したが辛そう。
お湯を注いで作るトルコ風のスープ(59クルシュ)を2つ買った。
あとヘーゼルナッツペーストの小瓶が3個セットになってるやつ(9.49リラ)。ヌテラとかよりヘーゼルナッツだけのほうがだいぶ高いが、おいしそう。
ハリボーのグミの、日本だと300円くらいするピーチの袋が1リラだったのでカッとなって買う。
あとお土産のガム7.4リラ、歯みがき粉1リラ、ビスケット50クルシュなど、小さくて軽いものを探す。

親にピクルスを買おうかなと思ったけど、万一瓶が割れたりしたら目も当てられないからやめる。紅茶はいっぱい家にあるからチャイの大袋とかは意味がないし。
合計20.57リラをレジで払う。
トルコではウェイトレスという職業がないようで、飲食店のウェイターや店の売り子は全員男性なんだけど、レジ打ち係は女性だった。

20時からホテルのレストランで晩ご飯。
今回はビュッフェじゃない。高級ホテルだけあって飲み物の単価もだいぶ高くなっていたので、頼まなかった。
まずマッシュルームのスープ(うまい)が出てきて、次にペンネアラビアータ、それからローストビーフ。肉が赤くなくて大味。マッシュポテトはおいしい。でもこれってトルコ料理じゃない……。

同卓の夫婦は浦和レッズの年間シートを持っているサポーターらしいが、旦那さんのほうが仕事で台湾の行きつけのホテルで、「日本人が立てこもって包丁持って暴れてるから何とかしてよ」と支配人に言われ、「同じ日本人なんだしここはひとつ」などとよくわからない説得をさせられて生きた心地がしなかったとか、北京発イラン行きの飛行機がオイル漏れを起こしてスチュワーデスがお祈りを始め、もうだめかと思ったがウルムチに不時着し、北朝鮮から積んでいたミサイルの可能性もある謎の荷物を積み替えるまで36時間ホテルに缶詰めにされたとか、面白い話を聞かせてくれた。

近くに別の日本人の団体客がいて、「お誕生日おめでとうございまーす!」と拍手していた。トルコ国旗をプレゼントされていた。

部屋に戻り、ウルグアイ対ガーナ戦をテレビで流しつつ風呂に入る。バスルームのスピーカーからテレビの音声が流れる仕様になっている。
サッカー中継ももちろんトルコ語なんだけど、ボールを持っている選手の名前を連呼し、ゴールに近づくと呼び声が熱を帯びるので、ゴールしたことは最低わかる。あと「オフサイド」とか「ファウル」もそのままなのでわかる。
幅は狭いが長くて足がすっかり伸ばせるバスタブでリラックス。

あと部屋にインターネットのジャックがあり「ワイヤレスでもケーブルでもインターネットは無料」とホテルのパンフレットに書いてあったので、さすが高級ホテルだぜラッキーと喜んでケーブルをPCにつないだが、「サーバが見つかりません」と言われる。
フロントに言うと、「ユーザーネームとパスワードが必要なんですよ」的なことを言われて印刷してくれるが、どうやらそういう問題じゃない。それ以前に、ケーブルがつながってない状態。
でもまぁ、今絶対にネットをつながないといけないってわけでもないし、またフロントに行ったりするのも面倒くさいのであきらめて、写真だけ整理して23:30に寝る。
枕チップ2リラ。

全体的にこの日はやや中休みっぽい日だった。ちょっと疲れがたまってきたころだったのでちょうどよかった。

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