6月30日(水)2日目

6時にモーニングコールの電話がかかってくる。返事して出るが、流れてくる声は録音。
シャワー浴びて服着て化粧してスーツケースを廊下に出して、6:30に朝食。
ビュッフェで、シリアルが何種類もあるだけでなく干し果物(アンズ、レーズン、イチジク)やナッツ(くるみ、アーモンド、ヘーゼルナッツ)にオリーブもいろいろとりそろえられ、ヨーグルトも3種類ある。ひゃーと嬉しくなって「このハムも取ろう」と、片手に持ったシリアルの皿を置いたところ、そのガラスがカーブしていて、ガッシャーンと床に飛び散るシリアル、二つに割れる皿、腕にかかる牛乳。これはひどい。近くに人がいなかったのが幸い。
謝って紙をもらってそのへんを拭き、何食わぬ顔でテーブルにつく。

グレープジュースかと思ってついだらまたチェリージュースだった。コーヒーはやたらうすいけど香ばしくて、ミルクいっぱい入れるとおいしい。

隣に座った一人客の男の人が、別の一人客の男の人に向かって、「昨日からすごい円高で、出がけにFXに補償金入れてこなかったら吹っ飛んでましたよ、ハッハッハ」的な話をしていた。

枕チップは2リラがマナーとの話だったが、ほとんど部屋きれいなままだしいいだろ、と思って1リラ置く。

7:30にバス集合。
昨日別のツアーに紛れ込んでたおじいさんが遅れてきて、さらに「カバン忘れた」と取りに行く。(あとで聞いたら、30分寝るつもりが1時間経っていたことに気づかず、食事に行こうと降りてきたら「早くバスに乗ってください!」と言われてあれ?という状態だったらしい)
20分遅れて出発。

席は前から4列までに座る人だけをローテーションで決めて、あとは自由席。
私は先に窓側に座ってたら、あとから一人客のおばさんが来ていろいろしゃべる。といっても私はあんまり他人に興味がないほうなので、聞かれたことに答えるのがメインで、あとはそのつど見たもの聞いたものに対して感想を言い合ったりする感じ。

出発が遅れたのでちょっと渋滞にはまる。
イスタンブールはなだらかな丘にびっしり集合住宅があって、どんなスラムにもモスクがある。
街を離れると畑になる。ひまわり畑が多いが今年は雨が多いらしくまだ咲いていないところも多い。あと小麦畑。

テキルダーという町のドライブイン(ガソリンスタンド+カフェ+土産屋)にトイレ休憩で止まり、ヘーゼルナッツのチョコバーを1.25リラで買う。
5リラ出したら、店員さんが日本語で「3.25」と言いながらおつりをくれた。また、干し果物を「これはアンズ、イチジク」とか日本語で説明してくれる。

ひたすらまっすぐな道をひた走る。
北海道みたいにゆるやかな起伏にパッチワーク状の黄色と緑の畑が続き、ところどころに木。
さっきのドライブインで添乗員さんが買ったらしく、ピスタチオのチョコバーを全員に配る。このあとも、毎日カントリーマァムとか味しらべとか、日本から持ってきたおやつを配ってくれたり、食事のたびにウェットティッシュを回してくれたりした。
あと、ツアーのおまけの、「ナザール・ボンジュウ」というトルコのお守りのごく小さいのを1つずつくれた。
これはお土産屋ならどこにでもある、青い目玉のお守りで、かつてトルコに黒髪黒目の民族しかいなかった時代、青い目の人種が入ってきたときに青い目を凶眼と恐れ、対抗するために青いガラスで目を模して子供に持たせたものらしい。

しばらく走ると、突然バツーン!!とすごい音がして、タイヤがパンク。めったにない事態らしい。
でもしばらくなんともなく走る。タイヤが6つあるから1つパンクしても大丈夫なのか。

昼ご飯を食べる町の手前のドライブインでチェックしたら「すぐに直したほうがいい、15分ですむから」と言われ、突如休憩となる。
このドライブインには小さい動物園が併設されているのだが、犬とかウサギとかニワトリとかが檻に入って展示されている。珍しいものではダチョウが2匹いた。

15分たってもタイヤ交換は終わらず、待ちながら客どうしでしゃべる。
私のカメラがでかいので、「写真の仕事してるの?」とかたくさん聞かれる。
また、私のよりは小さいがニコンの一眼レフを持ってる若い女の子がいて、カメラ話を少しする。その人はミラーレスの小さい一眼レフも持ってた。ソニーの新作か?パッと見ただけではわからない。旅行ならカメラは小さくて軽いほうがいい。まぁこういうバスツアーならそうでもないけど。

私のカメラがでかいといってもレンズがでかいのが大きくて、それは室内イベントでもフラッシュをたかずに撮れるようF値が低くて明るいことを重視したからなんだけど、今回のような屋外がメインの旅行写真のときはF値が小さい必要はなくて、それよりもっと望遠のレンズがあったほうがいい。
でも、ほこりっぽい屋外で急いでレンズ交換するなんて恐ろしいので、明るくなくていいからもっと広角から望遠まで幅広くおさえられるレンズがあったらいいなー、と思った。

アクシデントもあり、13時前にゲリボルという港町に着く。
レストラン手前の道で渋滞にはまる。フェリーに乗り込む車が詰まっているらしい。なんかアクシデントが多い。
バスを降りて歩く。大砲の弾を飾った軍事博物館があり、壁に窓と老婆の絵を描いた謎の建物があり、青魚を並べた魚屋のショーウィンドーがある。

レストラン2階の部屋に通される。なんか日本の団体旅行で通されるような雰囲気の場所。
メニューは細い麺入りチキンスープ(うまい)、切ってビニール袋に入れてある大きな丸いパン、ピクルスと野菜の酸っぱいサラダ、サバの塩焼き+ピラフ+チーズ春巻き、あとライスプディングが出たんだっけかな。
サバの塩焼きはレモンがきいてるけど日本ふうだった。しゅうゆと大根おろしがほしい感じ。フォークとナイフで食べるのは大変。

飲み物はそれぞれ別に注文し、レストランに個別に払う仕組みなんだけど、明らかに割高価格なので「頼まなくてもバレないんじゃね?」ということで頼まないでみる。たぶんマナーとしては全員頼むべきなんだろうけど、まぁ頼まなくても許してもらえるらしい。
このあとの食事でも、レストランによって飲み物の価格はまちまちなので、頼んだり頼まなかったりした。
毎日水のペットボトルを1本ずつくれるので、そんなに水分いらないんだよね。

14時のフェリーに乗るというので、急いで乗り場へ移動。乗る直前にピスタチオの屋台があってみんなに試食させていた。でも買う暇はない。

マルマラ海とエーゲ海をつなぐダーダネルス海峡を渡るフェリーに乗り込み、三々五々好きな場所で海を見る。
乗っている時間は30分。静かな海で全然揺れない。
カモメがずっと周囲を飛び回っていたので、撮りまくる。カモメと船と背景の街を入れたいのだけど、うまくおさまらない。

フェリーを降りるときはバスに乗り込んでおろしてもらう。
着いたのはラプセキという町で、アジア側の大陸。今まではヨーロッパ側だった。
アジア側になると景色がちょっと日本っぽくなる。畑が減って荒れ地に木が増える。

まっすぐ行けばギリシャへ続く道を左へ折れて南下し、トロイの遺跡に向かう。
トロイの歴史と神話について説明を聞く。
隣のおばさんに、「いまどきの新入社員はやる気がなくて海外転勤になるとすぐ辞めてしまう。そんなんじゃ日本の産業が発展するわけがない、中国や韓国に抜かれて当たり前だ」という話をされる。

左右に果樹園が増え、道端でダークチェリーやモモ、トマトなどを並べて売っている。
ガイドさんがそこでダークチェリーを10キロ買ってくれる。10キロで2500円らしい。佐藤錦だったら100グラム500円くらいするから……10キロ買ったら50万円!?

トロイ遺跡に着き、一周する。
入り口に新しく作られた木馬以外は何もないところだと思っていたが、観光客がいるわりにはけっこう静かで、古い石垣やギリシャ文字の刻まれた柱のかけらなどの間を歩いて高台に風が吹き抜けていくと、聖地のおもむきでなかなか良い。あくまで何層にも重なった古い町であって聖地ではないんだけど、沖縄のウタキに行った時のような雰囲気があった。

しかし日差しが非常に強くて、サングラスがないと目を開けていられないほど。今回、見た目は悪いけど眼鏡の上からかけられるサングラスというのを買っておいてよかった。
長袖カーディガンに帽子をかぶり、首にストールを巻いてなおかつ日傘もさしていた。

最後に木馬に入って上の窓からのぞいてみるが、蒸し暑くて眺めはいまいち。
下では添乗員さんが「シャッター押しますよー」と言っていてみんな木馬と写真に収まっている。
私はいまいち自分のカメラを人に預ける勇気がないので撮らない。
例の日本代表ユニの男の人が添乗員さんを長時間占有して写真を撮らせている。

さっき買ったチェリーを洗ってくれたとのことで、トロイを見終わってバスに乗る前に食べる。大味だけどやわらかくておいしい。あまったのでバスに乗ってからも全員に配られ、結局20粒くらい食べた。

エーゲ海に沿って進む。
見渡す限りオリーブの木がびっしりの斜面もあるが、くねくねした登山道には針葉樹が生えていて日本とあまり変わらない。合歓の木に花が満開。
曇り空の下、海と空の境界線がなくなり、波もなく平ら。

18:30、海沿いのリゾート地、エイドレミットに到着。ギュレ・サルハンというホテルに泊まる。
ロビーが金ぴかで吹き抜けが豪華だが、よく見ると噴水にカエルやアヒルの置物を節操なく置いてあるのがちょっと成金趣味。
部屋も金ぴかの装飾で、小さいベッドが2つ。タオルを貝殻のような形に広げて置いてある。バスタブにはシャワーカーテンの代わりにカーブした半透明のドアがついていて、密閉できるようになっている。
あとホテルの軒下にツバメがびっしり巣をつくっていた。

19:00にホテルのレストランで夕食。
ディナー用にちょっときれいな服に着替えてきた人もいる。
ビュッフェで、なんだかよくわからないヨーグルトペースト的なものが多い。
ビーフの煮込みと味のないフライドチキンみたいなものを配ってくれる。チーズマカロニグラタンみたいのはおいしかった。
生野菜は水道水で洗って万一当たるといやだから取らなかった。
パンは大きいのから自分で好きなだけ切り取る。

トルココーヒーを4リラで注文。カップの底に1センチくらい粉がたまってて、なんか損した気分に。
デザートのスイカで水分補給。
また、ハチミツ漬けのだ円形の焼き菓子が、ただ甘いだけじゃなくちょっと懐かしい味でおいしかった。
調子に乗ってほかのシロップ漬けのお菓子も食べたら、それはただ甘いだけでココアの味とか消えていた。気合いで食べるしかない。

一人客×4のテーブルで、私のほかは女性2人とおじいさん1人。「今までの旅行でなんか危ない目にあったことある?」という話で「バリで行った初エステのマッサージ担当が黒人男性でびびった」などと盛り上がっていたら、「前情報は調べていかなかったの?」とややズレた反応を示したり、さっきの話を蒸し返したりするおじいさんだった。

食事の後、すぐ近くの海辺に散歩に行く。
なんか夜になっても異常に明るいなと思っていたら、サマータイムが導入されていたかららしい。
20時前だけどようやく日が沈もうかというところ。

道路を渡るための地下道もあったけど、そっちのほうが恐そうだったので車が走り抜ける広い通りを横断して、海辺の遊歩道へ。
スカーフを髪に巻いたイスラムスタイルの女性と子供がいっぱいいる。

ちなみにここ十年くらいでトルコにはスカーフやブルカの女性が一気に増えたらしい。もともと宗教には寛容なお国柄だったんだけど、今の与党が厳格なのだそうだ。
ガイドさんが言うには「スカーフをしている女性たちのうち半分くらいは、本当はしたくないと思っているけど、みんながしているから仕方なくしている」。
まぁ暑そうではあるが、髪型に凝る代わりにスカーフでおしゃれをしたり、服と合わせたりしている人もいるので、これはこれで。

「ジャポーン!」って声をかけられて、子どもが手を振っていたので振り返したら、しばらくして近寄ってきた。
ウェンディ・ジョン・マイケルくらいの年頃の三きょうだいで、水着姿で、三人とも超美形。
でもついさっきホテルを出るときに、自転車に乗った子どもに「マネーマネー!」と叫んで近寄ってこられてちょっとびっくりしたので、警戒心が先に立つ。
子どもがかわいいからと写真撮ったりしてると、どっかに親が隠れてて金をせびられたりするんじゃないの?みたいな。
何を言ってるかわからない、という顔をしてたら行ってしまった。実際言葉がわからなかったんだけど。

その後も15分くらいの間に3、4回は呼びかけられた。大人も含めて。遭難したトルコの船を日本人が助けた「エルトゥールル号」の話はトルコでは有名だというし、親日派が多いとはよく言われるので、実際はただの善意なのかもしれない。そうだとすると貴重なチャンスをふいにしたかもしれないけど、旅先ではいつも警戒心を忘れないようにしないと。

海岸にはオープンカフェがいっぱい並んでいて、焼きトウモロコシの屋台、バレーボールをする子どもたち(女の子はちゃんとスカーフして長そで長ズボン)、簡易シャワー、草屋根のパラソル、砂浜はなくて砂利っぽい波打ち際。桟橋が海にのびていて、そこから海に飛び込んだり釣りをしたりするようだ。
しずかで吸い込まれそうな海面で、夕陽に光る雲と照り返しがきれい。

20時には道路に戻って、薪を積み上げたパン屋や浮き輪の店を過ぎ、ホテルに戻って風呂。
深さはないが幅のあるバスタブで気持ちいい。
トルコポップスのPV(けっこうエロチック)が流れるテレビをBGMに、23時前に寝る。

枕チップは2リラ。

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