沖縄旅日記3日目
2009年4月12日●4月5日(日)美ら海水族館の日
7:30起床。朝食バイキングで昨日とほとんど同じメニューを選んでしまう。ソーセージとパパイヤの部分が、ベーコンと炒り卵に替わって、ご飯に鰆の塩焼きを足したくらい。
今日は水族館まで大移動をしなければならない。
フロントで訊いたら那覇バスターミナルから乗るのが一番近いとのことだったので、荷物をまとめて昨日と同様に歩いて出かける。
9:30発の名護ターミナル行きバスに乗り込む。ヘッドホンで音楽を聴きながらの長い旅が始まる。
ずっと続く基地の横を通ったり、看板が英語の店が増えたり、リゾートホテルが並んでいたり、見ていて思うのは、実際沖縄は「豊かな土地」ではないということ。
といっても、「豊かさ」って何?というのが問題なんだけど、たとえば「貧しさ」というのが、失業率が高いとか、シャッターを下ろしている店ばかりだとか、最低賃金が安いとか、そういうことだったら確かにそうだ。でもじゃあ「豊かさ」というのはどういうことか? 想像力が貧困で申し訳ないけど、私が思いつくのは海外旅行に行ってブランド品を買うとか、週末にレディースプランで高級ホテルに泊まってエステ三昧とか、百万円もする携帯電話を持つとか、そんなこと?
ヘンテコな理想論を言う気はないんだけど、「お金がなくても幸せ」なら豊かだと言えるよね。でも、きれいごとでなくお金がない生活は本当に幸せになれるか?
なんか自分でも何言ってるかよくわからなくなってきたけど、結局のところ、経済が無限に発展していく、毎年常にプラス成長する、なんてのはおかしな話で、今みたいに不況の時に、みんなちょっと足元を見直したほうがいいと思うんだよね。自給自足の生き方ってどういうものだったかとか、原始的な狩猟と農耕についてとか、まぁやろうとしてそうそうできることじゃないんだけど、地球から搾り取るだけじゃない生き方。パーマカルチャーはその道筋になりうるか?
あと、自分をいつも一個人としてではなく、たまに人類という動物の一種として考えてみるといいんじゃないかとか、そんなことをグルグルと考えていた。
恩納では駅伝を開催しており、バスの隣を若者たちが走っていた。1人ずつ後ろに軽トラックと応援人員を従えている。最初のランナーから最後尾まで、ものすごい距離が離れていたが、同時にスタートしたんじゃないのかな?
さらに琉球村などを通り過ぎ、11:50に名護バスターミナルに到着。1,850円もかかった。「バスはピンチです!」と率直な広告がついているバスがあったけど、4人家族とかだったら絶対に車で来たほうが安いので、どうしようもなさそう。私のような一人旅だとバスだけが頼りなのでがんばってほしいけど。
営業所の中で、空港行き高速バスの時刻表と、水族館行き路線バスの時刻表をゲットする。また、水族館の割引券1,620円も買う。次の水族館行きバスは12:30に出るとのこと。
お昼ご飯でも食べて待とうと思うが、周りに何もなくて、道路を渡ったところに唯一「やんばる食堂」というのがある。チャンプルーとご飯とみそ汁で650円のセットなどがあるようだが、そこまでお腹がすいてない。
なので、向かいのコンビニ「Coco」で塩むすびとチーズ蒸しパン(どちらも地元製、210円)を買って、バス停で食べる。
12:30のバスに乗り、行列のできている沖縄そば屋の横やジャングルめいた山道などを通る。途中、「クカルビ」などのバス停の前が焼き肉屋のメニューみたいだと思う。そういえば昨日、バスでぼーっとしてたら「つぎは海の入り口です」というアナウンスが聞こえ、なんてファンタジックなバス停なんだ!と感動したら、実際は「海野」という地名があるらしい。とはいえ、土地に入口と出口があるというのは面白いと思う。
石川入口のバス停で降りる。860円。そこから今日泊まるチサンリゾート美ら海ホテルまでは歩いてすぐ。まだチェックインの時間ではないので、荷物だけ預ける。
追加2,000円で、上の階のマリンビューの部屋に移れると言われたが、今日明日と天気が悪いはずだし、2,000円もかけて海を見てもしょうがないので断る。
ホテルを出て水族館へ歩き出したところで雨が降り出したので、いったん戻って荷物から折り畳み傘を出す。
海洋博公園に入ると、正面に広がる海と手入れされた草木に噴水。天気が良かったらさぞかしきれいて気持ちがいいだろうが、今は雨雲垂れこめ、どんよりした雰囲気(※写真23)。
インフォメーションセンターで案内を見ると、この公園の中には水族館のほかに熱帯植物園や海洋博物館があるらしい。海洋博物館はおもしろそうだと思ってまずはそっちへ行く。
入場料170円を払って入ると、ちょうど「14時からプラネタリウムを放映します」とのアナウンスがあったので行く。
子どもにやさしい内容で、「星のかくれんぼ」みたいな説明のしかたで春の大曲線について紹介した後、獅子座とヘラクレスの神話についてのアニメが始まったが、そのへんからぐっすり寝ていた……。
20分後に終わって、展示をめぐるガイドツアーがあるとのことだったが、プラネタリウムから出てきた人たちがそのままなだれ込む雰囲気だったので、敬遠して一人で博物館の中へ。
もともと、海洋博での展示物をおさめるために作ったもののようで、写真のパネルとかがやや色あせている。
南の島をミクロネシア、ポリネシアなどの文化圏に分けてさまざまな民族の船や生活道具類を展示してある。
ここにしかない昔の儀式用の船とか、巨大な石貨とか、石と枝を組み合わせて作った海の地図とかはなかなか面白い(※写真24、25)けど、とにかく客がいないこともあり、呪術系の展示が怖い。「このお面のついた大きなかぶり物をかぶって踊ると、人々の目にはそれぞれ死んだ親族の顔に見えます」とか、怖いんですけど。貝殻のぎょろっと白い目がはまった人形とか、なんで南方系の人形ってコワイ顔なんだろう……。
あと、道具類を見るのは面白いけど、それらをどんなふうに使っていたか、という人との関わり方があまりないのが剤年だった。展示の板の前を通るたびに音声解説が始まるのも、丁寧なんだけどちょっとうざい。
1時間ほど見て、外に出ると大雨になっている。待っても弱くなる気配がまったくないので、頑張って風雨を横切り、水族館へ移動したのが15:20ごろ。
16:00以降に入場すると料金が割引になり、差額360円が返ってくる仕組みらしいのだが、レストランに入って待とうかと思ったら、16時まではバイキングランチをやっていて、そのあとアラカルトと書いてある。バイキングも困るので、中に入る。
最初の「イノーの海」こと「さわれるプール」でヒトデやナマコに触る。小樽水族館ではナマコに手が出なかったが、今回はちょっと指でつついてみた。ヒトデは硬くてごつごつしているが、ナマコはふにゃっとやわらかく、つかむともにょもにょしている。
次が「サンゴの海」で、昨日グラスボートで見たような風景が広がっている。スイミーみたいな小さな魚の群れと、ウミガメも1匹。
ちょうど餌やりの時間帯で、カゴから振りまかれる小エビのかけらに魚が群がったり群がらなかったり(※写真26)。
さまざまな水槽が並ぶ中、コブシメの前でかなりの時間を費やす。食べることもできるイカの一種で、眠そうな不思議な顔にひかれたんだけど(※写真27)、こいつはびっくりすると一瞬で体の色が変わる。ガラスの前で手をぱぱっと開いたり閉じたりすると、一瞬で色が黒くなり、口のあたりの垂れていたヒゲ触手みたいなのがくわっ!と広がって「キシャー」って怒り顔になり、体からトゲトゲが出てくる。しばらくするとまた元に戻る。この変化っぷりがあまりに激しい。
面白がって子どもがガラスをバンバン叩いたりするのは、見ていてかわいそうになるが、よく観察していると、特に驚かされなくてもちょこちょこ色が変わっていて、体の色を近くの岩と同じに合わせている。また、まるでネオンサインのようにすごいスピードで体の端から端まで、縞のラインがすばやく移動していったりもする。水面からの光の波紋が、海底に光の縞模様を作るけど、あれを再現しているのだろうか?
ほんとにこいつは見ていて飽きない。
なんとかコブシメの前を離れて、毒を持つヒトデや魚の並ぶ恐ろしい展示を通り過ぎ、次はここの一番の見もの「黒潮の海」(※写真28)。ギネス記録の超特大1枚ガラスの向こうに、超巨大水槽があり、全長8メートルものジンベエザメが3匹泳いでいる。ほかにも巨大マンタやウミガメ、小さい魚もたくさん。ジンベエザメにはコバンザメがさかさまにくっついている。
水槽の前にいる人影が全部シルエットになるので、写真ばえする。
ここもちょうどエサやりのタイミングで、人がぎっしりいた。ジンベエザメがぶつかり合わないように1匹ずつ別の場所におびき寄せてからエサを与えると、立ち泳ぎしながら体の幅と同じくらいの大きな口をがばぁと開けて、何十リットルもの水ごとまとめて飲み込む。その後、水だけエラから放出するらしい。
ただ、上のほうから見ていたので口のあたりまではあまりよく見えなかった。
水槽の隣にカフェがあり、魚のすぐ隣でご飯を食べられるようになっている(※写真29)。ただ、フードメニューがパスタとタコライスくらいしかない。暗くて手元がよく見えないからか。
「コンビーフとゴーヤのサンドイッチ」を頼む。400円。期待とは違って、コンビーフが少しだけ混ざった卵がメインで、全体にケチャップ味だった。
横の「サメ博士の部屋」という展示室でサメについての知識を学ぶ。実際には、好んで人間を襲うサメなど存在しないとか。
メガロドンの口を再現した骨の中に入って写真を撮りたいなと思ったけど、家族連れがひっきりなしに入っていたのでやめた。
適当な家族連れを見つけて、「よろしければ撮りましょうか?」と声をかけ、そのあとで「私も撮ってもらっていいですか?」と言えばいいだけなんだけど、その間自分のカメラを完全に人に預けることになり、万一何かあったらどうするのか、と考えたのもある。
18時から外でオキゴンドウイルカのショーが始まるという案内があったので、後半の展示を全部素通りして外に出る。
座席が全部雨にぬれているので、傘をお尻の下に敷いて無理やり座っている人などもいたが、私は一番後ろで立ち見。まだ雨交じりの強風で寒くて、震えながら見た。
品川の水族館みたいに1つ1つの芸をじらさず、どんどん繰り出すが、そこまで複雑なことをするわけでもない。みんな片手に傘を持っていることもあり、ほとんど拍手が起きなくて寂しい。高いジャンプにはさすがに「おー」という声が上がる。
近くのウミガメ館は、昔まだ水族館がなかったころにもここにあって、見に来たことを覚えている。
いつだったか忘れたけど、家族でパックツアーで沖縄に来たことがあり、玉泉洞でハブとマングースのショーを見たり、ひめゆり記念館と戦争記念公園に行った。
そろそろレストランに行ってみるか、と思ったら、バイキング終了後はドリンクとデザートしかないらしい。近くにほかに店はないので、晩ご飯はホテルで食べるしかなさそうだ。
水族館の中に戻る。再入場になるのでまた入り口から入りなおすが、さっきのショーを最後にほとんどの客が帰ってしまったようで、さっきとは段違いにすいている。
最初のさわれるプールでもう一度じっくりナマコとたわむれる。ヒトデをひっくり返すと、体の形を少しずつ変えて元に戻れるらしいので、ためしにひっくり返してみた。星型の裏の切れ目から、吸盤状の赤い触手が伸びる。
しばらくしてからまた戻ってきて確かめようと思ったんだけど、出口から入り口までは遠いので結局確かめられなかったのが残念。
これこそ「頭が良くなる育て方」なのだな、と思う家族連れを見かけた。なんというか、子どもの好奇心に対して、係員のお姉さんに問いかけをして正しい答えを導き出し、さらなる興味につなげていくというような。
逆に、「ねーあの魚今ウンコしたでー」「そんなことどうでもいいでしょ、早く行くわよ」みたいな会話も水族館内でたびたび耳にしたが、これはまったくもって「頭が良くならない育て方」という気がする。
黒潮の海に、水槽下側に張り出したサンルームみたいな形のスペースがあり、「アクアルーム」といって水槽を下から見られるようになっている。ここに座ってぼーっと上を見ていると、なんともいえない浮遊感があり、最高に気持ちがいい。水面から差し込む光がゆらめき、真上を大きなマンタがゆっくり横切っていく(※写真30)。前からよく言ってるけど、生まれ変わったらマンタになってふわふわ泳いでいたい。D&D3版に、マンタ・レイに変身できるクロークがあったのが懐かしい。
こんな景色が見られるんだったら、一度ダイビングをやってみたいなぁ……と思うが、もしかしたらここにいるだけでも十分かも。
しばらくアクアルームでぼーっとする。ここも人が少なくてすごくよかった。
あとは、最後らへんに光る深海魚のコーナーがあって、蛍みたいに点滅しているのがすごくきれいだった。
どうでもいいけど、高校生くらいのオタカップルがいて、女の子のほうが「かわいいお魚なー?」というふうに常に語尾に「なー?」がつく。よつばの真似か?と思ったが、現実に聞くとうざいな……。
出口に土産物のコーナー。ステンドグラス風の折りたたみミラーがすごくきれいでいいなと思ったけど、手鏡は持ってるし……あげる人もいないし……(※写真31)
一気に人がいなくなってきたのでちょっと寂しくなって、19:30に外に出る。もう真っ暗。公園を出るとひと気はゼロ。徒歩5分でタクシーに乗るわけにもいかないが、相変わらず街灯が1つもなくてドキドキの車道を走ってホテルまで戻る。
ホテルの部屋に案内してもらう。ツインに加えてソファベッドもある。さすがにお風呂も広め。あとテレビがデジタルなのがよかった。
レストランが和洋2つあるのだが、メニューを見てその値段の高さにびっくり。ルームサービスかよってくらい高い。
おすすめコースが3,500円。アグー(沖縄豚)ステーキも食べたいけど4,000円かぁ……。自販機で売ってるペットボトルも200円と、さすがのリゾート価格。
結局、麩チャンプルー1,000円に、ご飯・香の物・あさりとアーサのお吸い物400円をつける。あと、ウェルカムドリンクサービスのシークワーサージュースも。和食レストランが貸切だったので、洋食レストランのほうで和食メニューも供された。
麩チャンプルーは麩・小松菜・ベーコン・細切りのニンジンだけからなり、大変おいしい! 米は微妙だったが、この麩チャンプルーは非常によかった。さすが1,000円。
21時に部屋に戻ってテレビをつけたら、N響アワーでチャイ5をやってたので、ノリノリで聴く。クラシックのコンサートって体を揺するとマナー違反なんだけど、カッコいい曲聴いてると指揮者のように腕を振り回したり、足を踏み鳴らしたり、拳を上げたりしたくてムズムズしてたまらない。1人のときに思う存分暴れる。
その後風呂に入って、机の中から出てきたるるぶのクーポン本を読んで23:30に寝る。
7:30起床。朝食バイキングで昨日とほとんど同じメニューを選んでしまう。ソーセージとパパイヤの部分が、ベーコンと炒り卵に替わって、ご飯に鰆の塩焼きを足したくらい。
今日は水族館まで大移動をしなければならない。
フロントで訊いたら那覇バスターミナルから乗るのが一番近いとのことだったので、荷物をまとめて昨日と同様に歩いて出かける。
9:30発の名護ターミナル行きバスに乗り込む。ヘッドホンで音楽を聴きながらの長い旅が始まる。
ずっと続く基地の横を通ったり、看板が英語の店が増えたり、リゾートホテルが並んでいたり、見ていて思うのは、実際沖縄は「豊かな土地」ではないということ。
といっても、「豊かさ」って何?というのが問題なんだけど、たとえば「貧しさ」というのが、失業率が高いとか、シャッターを下ろしている店ばかりだとか、最低賃金が安いとか、そういうことだったら確かにそうだ。でもじゃあ「豊かさ」というのはどういうことか? 想像力が貧困で申し訳ないけど、私が思いつくのは海外旅行に行ってブランド品を買うとか、週末にレディースプランで高級ホテルに泊まってエステ三昧とか、百万円もする携帯電話を持つとか、そんなこと?
ヘンテコな理想論を言う気はないんだけど、「お金がなくても幸せ」なら豊かだと言えるよね。でも、きれいごとでなくお金がない生活は本当に幸せになれるか?
なんか自分でも何言ってるかよくわからなくなってきたけど、結局のところ、経済が無限に発展していく、毎年常にプラス成長する、なんてのはおかしな話で、今みたいに不況の時に、みんなちょっと足元を見直したほうがいいと思うんだよね。自給自足の生き方ってどういうものだったかとか、原始的な狩猟と農耕についてとか、まぁやろうとしてそうそうできることじゃないんだけど、地球から搾り取るだけじゃない生き方。パーマカルチャーはその道筋になりうるか?
あと、自分をいつも一個人としてではなく、たまに人類という動物の一種として考えてみるといいんじゃないかとか、そんなことをグルグルと考えていた。
恩納では駅伝を開催しており、バスの隣を若者たちが走っていた。1人ずつ後ろに軽トラックと応援人員を従えている。最初のランナーから最後尾まで、ものすごい距離が離れていたが、同時にスタートしたんじゃないのかな?
さらに琉球村などを通り過ぎ、11:50に名護バスターミナルに到着。1,850円もかかった。「バスはピンチです!」と率直な広告がついているバスがあったけど、4人家族とかだったら絶対に車で来たほうが安いので、どうしようもなさそう。私のような一人旅だとバスだけが頼りなのでがんばってほしいけど。
営業所の中で、空港行き高速バスの時刻表と、水族館行き路線バスの時刻表をゲットする。また、水族館の割引券1,620円も買う。次の水族館行きバスは12:30に出るとのこと。
お昼ご飯でも食べて待とうと思うが、周りに何もなくて、道路を渡ったところに唯一「やんばる食堂」というのがある。チャンプルーとご飯とみそ汁で650円のセットなどがあるようだが、そこまでお腹がすいてない。
なので、向かいのコンビニ「Coco」で塩むすびとチーズ蒸しパン(どちらも地元製、210円)を買って、バス停で食べる。
12:30のバスに乗り、行列のできている沖縄そば屋の横やジャングルめいた山道などを通る。途中、「クカルビ」などのバス停の前が焼き肉屋のメニューみたいだと思う。そういえば昨日、バスでぼーっとしてたら「つぎは海の入り口です」というアナウンスが聞こえ、なんてファンタジックなバス停なんだ!と感動したら、実際は「海野」という地名があるらしい。とはいえ、土地に入口と出口があるというのは面白いと思う。
石川入口のバス停で降りる。860円。そこから今日泊まるチサンリゾート美ら海ホテルまでは歩いてすぐ。まだチェックインの時間ではないので、荷物だけ預ける。
追加2,000円で、上の階のマリンビューの部屋に移れると言われたが、今日明日と天気が悪いはずだし、2,000円もかけて海を見てもしょうがないので断る。
ホテルを出て水族館へ歩き出したところで雨が降り出したので、いったん戻って荷物から折り畳み傘を出す。
海洋博公園に入ると、正面に広がる海と手入れされた草木に噴水。天気が良かったらさぞかしきれいて気持ちがいいだろうが、今は雨雲垂れこめ、どんよりした雰囲気(※写真23)。
インフォメーションセンターで案内を見ると、この公園の中には水族館のほかに熱帯植物園や海洋博物館があるらしい。海洋博物館はおもしろそうだと思ってまずはそっちへ行く。
入場料170円を払って入ると、ちょうど「14時からプラネタリウムを放映します」とのアナウンスがあったので行く。
子どもにやさしい内容で、「星のかくれんぼ」みたいな説明のしかたで春の大曲線について紹介した後、獅子座とヘラクレスの神話についてのアニメが始まったが、そのへんからぐっすり寝ていた……。
20分後に終わって、展示をめぐるガイドツアーがあるとのことだったが、プラネタリウムから出てきた人たちがそのままなだれ込む雰囲気だったので、敬遠して一人で博物館の中へ。
もともと、海洋博での展示物をおさめるために作ったもののようで、写真のパネルとかがやや色あせている。
南の島をミクロネシア、ポリネシアなどの文化圏に分けてさまざまな民族の船や生活道具類を展示してある。
ここにしかない昔の儀式用の船とか、巨大な石貨とか、石と枝を組み合わせて作った海の地図とかはなかなか面白い(※写真24、25)けど、とにかく客がいないこともあり、呪術系の展示が怖い。「このお面のついた大きなかぶり物をかぶって踊ると、人々の目にはそれぞれ死んだ親族の顔に見えます」とか、怖いんですけど。貝殻のぎょろっと白い目がはまった人形とか、なんで南方系の人形ってコワイ顔なんだろう……。
あと、道具類を見るのは面白いけど、それらをどんなふうに使っていたか、という人との関わり方があまりないのが剤年だった。展示の板の前を通るたびに音声解説が始まるのも、丁寧なんだけどちょっとうざい。
1時間ほど見て、外に出ると大雨になっている。待っても弱くなる気配がまったくないので、頑張って風雨を横切り、水族館へ移動したのが15:20ごろ。
16:00以降に入場すると料金が割引になり、差額360円が返ってくる仕組みらしいのだが、レストランに入って待とうかと思ったら、16時まではバイキングランチをやっていて、そのあとアラカルトと書いてある。バイキングも困るので、中に入る。
最初の「イノーの海」こと「さわれるプール」でヒトデやナマコに触る。小樽水族館ではナマコに手が出なかったが、今回はちょっと指でつついてみた。ヒトデは硬くてごつごつしているが、ナマコはふにゃっとやわらかく、つかむともにょもにょしている。
次が「サンゴの海」で、昨日グラスボートで見たような風景が広がっている。スイミーみたいな小さな魚の群れと、ウミガメも1匹。
ちょうど餌やりの時間帯で、カゴから振りまかれる小エビのかけらに魚が群がったり群がらなかったり(※写真26)。
さまざまな水槽が並ぶ中、コブシメの前でかなりの時間を費やす。食べることもできるイカの一種で、眠そうな不思議な顔にひかれたんだけど(※写真27)、こいつはびっくりすると一瞬で体の色が変わる。ガラスの前で手をぱぱっと開いたり閉じたりすると、一瞬で色が黒くなり、口のあたりの垂れていたヒゲ触手みたいなのがくわっ!と広がって「キシャー」って怒り顔になり、体からトゲトゲが出てくる。しばらくするとまた元に戻る。この変化っぷりがあまりに激しい。
面白がって子どもがガラスをバンバン叩いたりするのは、見ていてかわいそうになるが、よく観察していると、特に驚かされなくてもちょこちょこ色が変わっていて、体の色を近くの岩と同じに合わせている。また、まるでネオンサインのようにすごいスピードで体の端から端まで、縞のラインがすばやく移動していったりもする。水面からの光の波紋が、海底に光の縞模様を作るけど、あれを再現しているのだろうか?
ほんとにこいつは見ていて飽きない。
なんとかコブシメの前を離れて、毒を持つヒトデや魚の並ぶ恐ろしい展示を通り過ぎ、次はここの一番の見もの「黒潮の海」(※写真28)。ギネス記録の超特大1枚ガラスの向こうに、超巨大水槽があり、全長8メートルものジンベエザメが3匹泳いでいる。ほかにも巨大マンタやウミガメ、小さい魚もたくさん。ジンベエザメにはコバンザメがさかさまにくっついている。
水槽の前にいる人影が全部シルエットになるので、写真ばえする。
ここもちょうどエサやりのタイミングで、人がぎっしりいた。ジンベエザメがぶつかり合わないように1匹ずつ別の場所におびき寄せてからエサを与えると、立ち泳ぎしながら体の幅と同じくらいの大きな口をがばぁと開けて、何十リットルもの水ごとまとめて飲み込む。その後、水だけエラから放出するらしい。
ただ、上のほうから見ていたので口のあたりまではあまりよく見えなかった。
水槽の隣にカフェがあり、魚のすぐ隣でご飯を食べられるようになっている(※写真29)。ただ、フードメニューがパスタとタコライスくらいしかない。暗くて手元がよく見えないからか。
「コンビーフとゴーヤのサンドイッチ」を頼む。400円。期待とは違って、コンビーフが少しだけ混ざった卵がメインで、全体にケチャップ味だった。
横の「サメ博士の部屋」という展示室でサメについての知識を学ぶ。実際には、好んで人間を襲うサメなど存在しないとか。
メガロドンの口を再現した骨の中に入って写真を撮りたいなと思ったけど、家族連れがひっきりなしに入っていたのでやめた。
適当な家族連れを見つけて、「よろしければ撮りましょうか?」と声をかけ、そのあとで「私も撮ってもらっていいですか?」と言えばいいだけなんだけど、その間自分のカメラを完全に人に預けることになり、万一何かあったらどうするのか、と考えたのもある。
18時から外でオキゴンドウイルカのショーが始まるという案内があったので、後半の展示を全部素通りして外に出る。
座席が全部雨にぬれているので、傘をお尻の下に敷いて無理やり座っている人などもいたが、私は一番後ろで立ち見。まだ雨交じりの強風で寒くて、震えながら見た。
品川の水族館みたいに1つ1つの芸をじらさず、どんどん繰り出すが、そこまで複雑なことをするわけでもない。みんな片手に傘を持っていることもあり、ほとんど拍手が起きなくて寂しい。高いジャンプにはさすがに「おー」という声が上がる。
近くのウミガメ館は、昔まだ水族館がなかったころにもここにあって、見に来たことを覚えている。
いつだったか忘れたけど、家族でパックツアーで沖縄に来たことがあり、玉泉洞でハブとマングースのショーを見たり、ひめゆり記念館と戦争記念公園に行った。
そろそろレストランに行ってみるか、と思ったら、バイキング終了後はドリンクとデザートしかないらしい。近くにほかに店はないので、晩ご飯はホテルで食べるしかなさそうだ。
水族館の中に戻る。再入場になるのでまた入り口から入りなおすが、さっきのショーを最後にほとんどの客が帰ってしまったようで、さっきとは段違いにすいている。
最初のさわれるプールでもう一度じっくりナマコとたわむれる。ヒトデをひっくり返すと、体の形を少しずつ変えて元に戻れるらしいので、ためしにひっくり返してみた。星型の裏の切れ目から、吸盤状の赤い触手が伸びる。
しばらくしてからまた戻ってきて確かめようと思ったんだけど、出口から入り口までは遠いので結局確かめられなかったのが残念。
これこそ「頭が良くなる育て方」なのだな、と思う家族連れを見かけた。なんというか、子どもの好奇心に対して、係員のお姉さんに問いかけをして正しい答えを導き出し、さらなる興味につなげていくというような。
逆に、「ねーあの魚今ウンコしたでー」「そんなことどうでもいいでしょ、早く行くわよ」みたいな会話も水族館内でたびたび耳にしたが、これはまったくもって「頭が良くならない育て方」という気がする。
黒潮の海に、水槽下側に張り出したサンルームみたいな形のスペースがあり、「アクアルーム」といって水槽を下から見られるようになっている。ここに座ってぼーっと上を見ていると、なんともいえない浮遊感があり、最高に気持ちがいい。水面から差し込む光がゆらめき、真上を大きなマンタがゆっくり横切っていく(※写真30)。前からよく言ってるけど、生まれ変わったらマンタになってふわふわ泳いでいたい。D&D3版に、マンタ・レイに変身できるクロークがあったのが懐かしい。
こんな景色が見られるんだったら、一度ダイビングをやってみたいなぁ……と思うが、もしかしたらここにいるだけでも十分かも。
しばらくアクアルームでぼーっとする。ここも人が少なくてすごくよかった。
あとは、最後らへんに光る深海魚のコーナーがあって、蛍みたいに点滅しているのがすごくきれいだった。
どうでもいいけど、高校生くらいのオタカップルがいて、女の子のほうが「かわいいお魚なー?」というふうに常に語尾に「なー?」がつく。よつばの真似か?と思ったが、現実に聞くとうざいな……。
出口に土産物のコーナー。ステンドグラス風の折りたたみミラーがすごくきれいでいいなと思ったけど、手鏡は持ってるし……あげる人もいないし……(※写真31)
一気に人がいなくなってきたのでちょっと寂しくなって、19:30に外に出る。もう真っ暗。公園を出るとひと気はゼロ。徒歩5分でタクシーに乗るわけにもいかないが、相変わらず街灯が1つもなくてドキドキの車道を走ってホテルまで戻る。
ホテルの部屋に案内してもらう。ツインに加えてソファベッドもある。さすがにお風呂も広め。あとテレビがデジタルなのがよかった。
レストランが和洋2つあるのだが、メニューを見てその値段の高さにびっくり。ルームサービスかよってくらい高い。
おすすめコースが3,500円。アグー(沖縄豚)ステーキも食べたいけど4,000円かぁ……。自販機で売ってるペットボトルも200円と、さすがのリゾート価格。
結局、麩チャンプルー1,000円に、ご飯・香の物・あさりとアーサのお吸い物400円をつける。あと、ウェルカムドリンクサービスのシークワーサージュースも。和食レストランが貸切だったので、洋食レストランのほうで和食メニューも供された。
麩チャンプルーは麩・小松菜・ベーコン・細切りのニンジンだけからなり、大変おいしい! 米は微妙だったが、この麩チャンプルーは非常によかった。さすが1,000円。
21時に部屋に戻ってテレビをつけたら、N響アワーでチャイ5をやってたので、ノリノリで聴く。クラシックのコンサートって体を揺するとマナー違反なんだけど、カッコいい曲聴いてると指揮者のように腕を振り回したり、足を踏み鳴らしたり、拳を上げたりしたくてムズムズしてたまらない。1人のときに思う存分暴れる。
その後風呂に入って、机の中から出てきたるるぶのクーポン本を読んで23:30に寝る。
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