沖縄旅日記2日目
2009年4月10日●4月4日(土)斎場御嶽と海の日
※この日から写真あり。mixiのフォトアルバムにあげてあります。
7:30起床。
朝食はバイキング。食べたいものだけ取っていたら、ソーセージ以外は菜食メニューっぽくなる。シリアルが5種類、ヨーグルト(苺ソース)、パパイヤのチャンプルー、パイン、シークワーサージュース。沖縄名物もいろいろあったが、もずくはいつも食べてるしな……。油味噌があったのでご飯を少し食べる。鯛味噌をより脂っぽくした感じでおいしい!
日焼け止めをよく塗って長袖に帽子をかぶり(※写真1)、8:45にホテルを出る。旭橋駅の那覇バスターミナルまで歩く。
複雑なバス路線図を見ると、斎場御嶽に行くには38番の志喜屋線に乗ればいいらしい。次に乗り場へ行って時刻表を見ると、9:11のバスが今行ったところで、次は10:38。1時間以上来ない。
もう一度バス路線図のあるところまで戻って(歩道橋渡らなきゃいけなくてけっこう遠い。途中に小さい神社があって、ちゃんとお供え物がしてあった。※写真2と3)よく見ると、馬天営業所というところまで行けば、138番の向陽高校行きというのが38番と同じ路線を走っているらしい。春休み中とはいえ高校に行く生徒はいるだろうから、この路線を使えば1時間待たなくてもすむんじゃないか?と予想する。
馬天営業所まで行くバスなら、9:37に来る。
バス停に戻ると、地元のお婆ちゃんと孫娘、さらに福岡から来たという母親と娘、という組み合わせがいて、みな38番を待っている模様。「1時間来ないんだよね」と言い合っている。ここで「馬天営業所まで行けば138番というのがあるみたいですよ」と伝えるかどうか迷ったが、言わなかった。というのも、行ってみて本当にそのバスが運行されているかどうか、私は確認したわけじゃない。単なる憶測にすぎないので、それに他人を巻き込んでも責任はとれない。だが、あとで考えてみると、自分の持っている情報だけを提示して、「その上でどうするかはあなたが選んでください」と言うほうが正しかったのかもしれない。
9:37のバスが来たので「これで馬天営業所まで行けますか?」と確認したうえで乗り込む。
景色を見ていると個性的な建物が多くて、時々びっくりするようなカッコいい建物があったりする。シーサーと石敢當(いしがんとう)もいろいろあって面白い。
590円で馬天営業所に到着。10:20ごろ。
営業所の人に138番について聞くと、「今は走ってない」とのこと。もう高校が存在しないのか、今は休みなのかはわからないが。新開のバス停から11:17の38番に乗るしかないとのことで、これはさっきの那覇を1時間後に出るバスのことだ。
まぁ、あそこのバスターミナルでボーッと1時間待つより、ここで1時間あったほうがまだいい。「時間もあるし、新開のバス停まで歩いて行きます」と言ったら、道を教えてくれた。農道をまっすぐ行けばすぐらしい。
自販機でさんぴん茶のペットボトルを買おうとしたら、間違って隣の爽健美茶のボタンを押してしまう。140円。
サトウキビやパパイヤの木などが生えている畑と、その脇の農業用水に沿ってぶらぶら歩く。(※写真4)
言われたとおりすぐにバス停が見つかるが、さらにその先の住宅街まで足をのばし、きれいな花が咲き乱れている家に見とれる。沖縄の街はほんとに花が多く、特にハイビスカスはそこらじゅうで咲きまくっている。あと、朝顔(なぜか青いものばかり)がまるで雑草のように生えているんだけど、上につるを伸ばすための棒なんかないから、地面を這って伸びたり、ほかの草に巻きついて伸びたりしている。(※写真5と6)
やや足も疲れたのでバス停の隣にあるコンビニに入り、「沖縄のマナー」なるムックを立ち読みする。具体的な生活密着情報があるかと期待したけど、ごく普通のマナー本の内容に、少しだけ沖縄ならではの行事などについて書き足したものだった。
11:17に少し遅れてやってきたバスに乗る。那覇のバスターミナルにいた4人が一番後ろの席にいて、久高島に行く港で降りて行った。久高島へ何しに行くんだろう?
斎場御嶽前のバス停で私1人だけが下車。金額は忘れた。交通標識のピクトグラムが、拝んでいるお婆さんの絵になっている(※写真7)。ファミマがあり、「ファミリーマート セーファウタキ店」と書いてあるのがちょっと面白いと思った。
斎場御嶽まで400メートルほど道を入る。鳥の鳴き声がうるさいほどよく聞こえる。池澤夏樹「マシアス・ギリの失脚」の冒頭は、鳥の鳴き声がうるさくて目を覚ます朝の情景だったけど、南の島ではほんとによく鳥が鳴いている。
斎場御嶽の駐車場まで行くとやや観光客が増える。子ども連れも多いけど、こんな岩しかないような遺跡、子どもにとって面白いのかなぁ。
入口に情報センターのようなところがあり、入場料200円を支払う。ここでちょうど12:00。
昔の儀式についての説明を読む。かいつまんでいえば、首里城に王がいたころ、王妃が神格にのぼるための儀式を行なう場所がこの聖地であり、今でも礼拝所となっている。
王妃(聞得大君)は首里城から籠を仕立ててやってきて、首里城の部屋と同じ名前がつけられているいくつかの拝所で、真夜中に儀式を行なうらしい。
入るとすぐ右側にウローカー(泉)への分かれ道があるのだが、そちらは完全にジャングルに覆われ、閉ざされている。
侵食によって穴だらけになった岩の石畳は滑りやすいので、杖の貸し出しを行なっていた。
階段の隅にある、風化してただの岩のように見える香炉に、「聖なるものなので手を触れないように」と注意書きがされている。
巨大な岩に気根でへばりつく大きな木の様子は、屋久島の雰囲気に近いと思った(※写真8)。天気が曇り時々晴れだったので、うっそうとした森の奥にさっと太陽光が差し込んで来ると神聖な感じがする。
途中、戦争の時に着弾してえぐれた地面にできた「砲弾池」というのがあり、のぞいてみるとおたまじゃくしがびっしりいた。
一番奥に、大きな岩の断層によって三角の門ができている三庫裏(さんぐーい)という場所があり(※写真9)、ここをくぐると木の葉でできた窓の中に聖なる島、久高島が望める(※写真10)。
ただ、この三角の門をきれいに写真におさめられる場所は、広場の一番端っこのごく狭い立ち位置しかない。大きな三脚を持ったプロカメラマンらしき女性と、編集者らしき女性がそこで写真を撮っていた。旅行ライターってのもいいな……とちょっと思ったけど、気の向くまま好きなところに行くわけにはいかないし、短い日程にさまざまなスケジュールを詰め込んだりするのはいやだな。
かなり位の高い聖地のはずなんだけど、人が多いとあまりそういう雰囲気にならないな、と思いつつ戻る。人がいなさすぎても怖くなるから、難しいけど。
このあと、タクシーで玉泉洞まで行ってもいいのだが、バスで来る途中に見かけた知念マリンレジャーセンターというところに行ってみることに決め、その途中に「ポランのひろば」というカフェがあるはずなので、寄り道することに。
車道沿いにあるのかと思ったが、道しるべに従うと車道を離れてどんどん海のほうに降りて行き、思ったより遠い。暑いし足も疲れてぐったりしてきたころ、到着。
「ポランの広場」はペンションになっている建物で、外に張り出した広いテラスを抜けて入る。中の席はいっぱいだが外には誰もいなかったので、テラスの8人くらい座れそうなテーブルを1人で占領する。
海に面した高台で、さわやかな風が吹き、ずっしりした木のテーブルと椅子、屋根からは浮き玉が吊られている(※写真11)。
お冷のコースターはシーサーが描かれた赤瓦製(※写真12)。
メニューには宮沢賢治にちなんだ菜食ご飯やカレーなどがあったが、もっともこの場所にふさわしくファンタジックなイメージで、つぼやきシチューのセットを頼む。ビーフシチューの上にビール酵母入りパンで蓋をし、海ぶどうが乗っかったサラダと、クルミと紅いも入りチョコケーキと、コーヒーつきで1,000円(※写真13、14、15)。
シチューのカップの取っ手を持つための小さいなべつかみがついてきて、かわいい布のパッチワークでできているんだけど、よくよく見るとそこに「EYE of the BEHOLDER」と書いてある……。このメルヘンななべつかみからは180度離れたこれはいったいなんなのか……。気になる。(※写真16)
海からの風に吹かれて、のんびり昼ごはん。海ぶどうを実は生まれて初めて食べたが、ちょっと塩味でプチプチで中はとろっとしていて、なかなか旨い。
食べ終えたサラダのドレッシングの中に小さい虫が飛びこんできて溺れ死んだり、向こうを飛んでいる蜂がこっちに来ませんようにと見張ったりするようなのはあるけど、暑くもなく寒くもなく、この開放感はなかなか得がたい。
この瞬間は今回の旅のハイライトと言ってもいいだろう。
今回は時計を持たない旅でもある。バスの時間だけはどうしても確認しないといけないので、カメラの内臓時計を使うんだけど……。
仕事場の風景、30分刻みのスケジュール表、メールと電話で確認・報告・催促、雨が降ってるかどうかもいったん外に出てみないとわからない座席、といったもろもろのことがらがすごく遠く感じられた。
しばらくぼーっとしてリフレッシュし、13:45くらいに出る。
このまま海まで下ったら海岸沿いに知念マリンレジャーセンターまで行けないかと思って店の人に聞いてみたが、「地元の中学生とかなら、道なき道をよじ登って行けるかも」という返事だったので、冒険はやめて上の車道まで戻り、暑い道を歩く。
知念マリンレジャーセンターに到着。やはりここにもほとんど人がいない。
ダイビングとかはまだやっていないので、グラスボートに乗ろうとするが、1人でボートを貸切状態にすると2,000円かかるとのこと。誰かほかの客が来るのを待つことにする。
海ぶどうの養殖を見物し、試食。
しばらく誰も来そうになかったので、少し先の「あさまさんさんビーチ」に行って、エメラルドブルーの海と透明な波を眺める(※写真17)。ここの海岸はもう海開きしているんだけど、あまり人はいない。
波打ち際できれいな貝殻を拾い集めて写真におさめる(※写真18)。よく見ると町並みのような模様が浮き出ているきれいな貝があったので、それだけ財布に入れて持ち帰る。
そうこうしているうちに客が来たらしいのだが、私が見当たらなかったので船を出してしまったとのこと。それはまったくもって仕方がない。近くで釣りをしている人を眺めていたら(透明度がすごく高いから、足元にすぐ魚が見える)また新たな客が来て、父・母・娘という3人家族とともにグラスボートに乗り込む。1割引のクーポンを使い、1,260円。
操縦の人はがんがんボートを飛ばして、魚のいるポイントまで来ると止めて説明してくれる仕組み。ガラス窓の下を青や黄色の魚の群れが通り、水族館みたいで感動する(※写真19)。また、別の場所ではヒトデや巨大なシャコ貝(ここまで育つのに40年くらいかかるという)も見える(※写真20)。そういうスポットはサンゴが大樹のようにそびえていて、木を中心にした街みたいなんだけど、それ以外の平地はずっと白化したサンゴの死骸のかけらで埋め尽くされている。
途中、「いつもここには寄らないんですけど、今たまたま魚が集まってるから」と寄り道してくれた場所があり、「魚がここに集まっている、っていうのはどうやって見つけるんですか?」と訊いたら、客を乗せないときにも時々海の見回りをして探しておくらしい。
ボートをとばすとけっこう揺れるので、ちょっと酔った。同乗していた家族の母親は完全に酔っていた。
展望台で少し涼んでから車道に戻り、バス停へ向かう。
道中、左手に「ウローカー入り口」という看板がある。斎場御嶽で道が閉ざされていた泉だ。薄暗い森の奥へと道が伸びており、せっかくなので行ってみる。花から花へ飛ぶ蝶を写真におさめようとするがうまくいかない(※写真21)。
ウローカーには水がなく、侘しい雰囲気になっていた。当然人っ子一人いない。
バス停に着いて時刻表を見ると、30分待ち。
立って日記メモを書きながら待っていると、タクシーが目の前に止まり、「どこまで行くの?」と声をかけてくる。
「那覇市内ですけど、バスに乗りますので」と言ったら「バス乗っても800円だよ。2000円でいいよ」と言われたが、たとえばオススメの沖縄そば屋に連れてってもらうとかのオプションをつけても、追加で1,200円払うメリットが感じられないので断る。
16:30のバスに乗って17:30ごろバスターミナルに戻ってくる。810円。
また国際通りまで行き、真ん中へんからちょっと左に入ったところにある「てぃだ」という店に18:00ごろ入る。やや観光客向けの沖縄料理店なんだけど、なかなか古めかしい店構え。沖縄そば、じゅーしー、クーブイリチー、もずく酢、ゴーヤつきのソーキ、あと何かもちっとした豆腐?みたいなの(※写真22)。以上のセットで1,000円。
ひじきの炊き込みご飯に脂を加えた感じのじゅーしーは、初めて食べたけどすごくおいしい。これだけでおかずいらないくらい、どんどん食べられる。ソーキは軟骨がコリコリしている。クーブイリチーは家でよく食べてるのと似た健康食。
帰り道にまたわしたショップに行き、食べつくしてしまった携帯黒砂糖をもう1個買い、油味噌の小さいパックを買い、あと「七つの島の黒砂糖食べ比べセット」を悩んだ末自分用に買う。合計1,840円。クーポンを使ったら謎の豆菓子がついてきた。
水族館の割引チケットとポークおにぎりを買いたいので、帰り道にローソンがあったら行こうと思っていたのだが見つからず、そのままホテルに帰りつく。
首にストールを巻いて日焼け止めも塗ってたんだけど、服の襟ぐりとの間に隙間ができて、そこだけがすごい日焼けしてしまった。
そのうち見るテレビもなくなり、シャワー浴びて22:30には寝る。
※この日から写真あり。mixiのフォトアルバムにあげてあります。
7:30起床。
朝食はバイキング。食べたいものだけ取っていたら、ソーセージ以外は菜食メニューっぽくなる。シリアルが5種類、ヨーグルト(苺ソース)、パパイヤのチャンプルー、パイン、シークワーサージュース。沖縄名物もいろいろあったが、もずくはいつも食べてるしな……。油味噌があったのでご飯を少し食べる。鯛味噌をより脂っぽくした感じでおいしい!
日焼け止めをよく塗って長袖に帽子をかぶり(※写真1)、8:45にホテルを出る。旭橋駅の那覇バスターミナルまで歩く。
複雑なバス路線図を見ると、斎場御嶽に行くには38番の志喜屋線に乗ればいいらしい。次に乗り場へ行って時刻表を見ると、9:11のバスが今行ったところで、次は10:38。1時間以上来ない。
もう一度バス路線図のあるところまで戻って(歩道橋渡らなきゃいけなくてけっこう遠い。途中に小さい神社があって、ちゃんとお供え物がしてあった。※写真2と3)よく見ると、馬天営業所というところまで行けば、138番の向陽高校行きというのが38番と同じ路線を走っているらしい。春休み中とはいえ高校に行く生徒はいるだろうから、この路線を使えば1時間待たなくてもすむんじゃないか?と予想する。
馬天営業所まで行くバスなら、9:37に来る。
バス停に戻ると、地元のお婆ちゃんと孫娘、さらに福岡から来たという母親と娘、という組み合わせがいて、みな38番を待っている模様。「1時間来ないんだよね」と言い合っている。ここで「馬天営業所まで行けば138番というのがあるみたいですよ」と伝えるかどうか迷ったが、言わなかった。というのも、行ってみて本当にそのバスが運行されているかどうか、私は確認したわけじゃない。単なる憶測にすぎないので、それに他人を巻き込んでも責任はとれない。だが、あとで考えてみると、自分の持っている情報だけを提示して、「その上でどうするかはあなたが選んでください」と言うほうが正しかったのかもしれない。
9:37のバスが来たので「これで馬天営業所まで行けますか?」と確認したうえで乗り込む。
景色を見ていると個性的な建物が多くて、時々びっくりするようなカッコいい建物があったりする。シーサーと石敢當(いしがんとう)もいろいろあって面白い。
590円で馬天営業所に到着。10:20ごろ。
営業所の人に138番について聞くと、「今は走ってない」とのこと。もう高校が存在しないのか、今は休みなのかはわからないが。新開のバス停から11:17の38番に乗るしかないとのことで、これはさっきの那覇を1時間後に出るバスのことだ。
まぁ、あそこのバスターミナルでボーッと1時間待つより、ここで1時間あったほうがまだいい。「時間もあるし、新開のバス停まで歩いて行きます」と言ったら、道を教えてくれた。農道をまっすぐ行けばすぐらしい。
自販機でさんぴん茶のペットボトルを買おうとしたら、間違って隣の爽健美茶のボタンを押してしまう。140円。
サトウキビやパパイヤの木などが生えている畑と、その脇の農業用水に沿ってぶらぶら歩く。(※写真4)
言われたとおりすぐにバス停が見つかるが、さらにその先の住宅街まで足をのばし、きれいな花が咲き乱れている家に見とれる。沖縄の街はほんとに花が多く、特にハイビスカスはそこらじゅうで咲きまくっている。あと、朝顔(なぜか青いものばかり)がまるで雑草のように生えているんだけど、上につるを伸ばすための棒なんかないから、地面を這って伸びたり、ほかの草に巻きついて伸びたりしている。(※写真5と6)
やや足も疲れたのでバス停の隣にあるコンビニに入り、「沖縄のマナー」なるムックを立ち読みする。具体的な生活密着情報があるかと期待したけど、ごく普通のマナー本の内容に、少しだけ沖縄ならではの行事などについて書き足したものだった。
11:17に少し遅れてやってきたバスに乗る。那覇のバスターミナルにいた4人が一番後ろの席にいて、久高島に行く港で降りて行った。久高島へ何しに行くんだろう?
斎場御嶽前のバス停で私1人だけが下車。金額は忘れた。交通標識のピクトグラムが、拝んでいるお婆さんの絵になっている(※写真7)。ファミマがあり、「ファミリーマート セーファウタキ店」と書いてあるのがちょっと面白いと思った。
斎場御嶽まで400メートルほど道を入る。鳥の鳴き声がうるさいほどよく聞こえる。池澤夏樹「マシアス・ギリの失脚」の冒頭は、鳥の鳴き声がうるさくて目を覚ます朝の情景だったけど、南の島ではほんとによく鳥が鳴いている。
斎場御嶽の駐車場まで行くとやや観光客が増える。子ども連れも多いけど、こんな岩しかないような遺跡、子どもにとって面白いのかなぁ。
入口に情報センターのようなところがあり、入場料200円を支払う。ここでちょうど12:00。
昔の儀式についての説明を読む。かいつまんでいえば、首里城に王がいたころ、王妃が神格にのぼるための儀式を行なう場所がこの聖地であり、今でも礼拝所となっている。
王妃(聞得大君)は首里城から籠を仕立ててやってきて、首里城の部屋と同じ名前がつけられているいくつかの拝所で、真夜中に儀式を行なうらしい。
入るとすぐ右側にウローカー(泉)への分かれ道があるのだが、そちらは完全にジャングルに覆われ、閉ざされている。
侵食によって穴だらけになった岩の石畳は滑りやすいので、杖の貸し出しを行なっていた。
階段の隅にある、風化してただの岩のように見える香炉に、「聖なるものなので手を触れないように」と注意書きがされている。
巨大な岩に気根でへばりつく大きな木の様子は、屋久島の雰囲気に近いと思った(※写真8)。天気が曇り時々晴れだったので、うっそうとした森の奥にさっと太陽光が差し込んで来ると神聖な感じがする。
途中、戦争の時に着弾してえぐれた地面にできた「砲弾池」というのがあり、のぞいてみるとおたまじゃくしがびっしりいた。
一番奥に、大きな岩の断層によって三角の門ができている三庫裏(さんぐーい)という場所があり(※写真9)、ここをくぐると木の葉でできた窓の中に聖なる島、久高島が望める(※写真10)。
ただ、この三角の門をきれいに写真におさめられる場所は、広場の一番端っこのごく狭い立ち位置しかない。大きな三脚を持ったプロカメラマンらしき女性と、編集者らしき女性がそこで写真を撮っていた。旅行ライターってのもいいな……とちょっと思ったけど、気の向くまま好きなところに行くわけにはいかないし、短い日程にさまざまなスケジュールを詰め込んだりするのはいやだな。
かなり位の高い聖地のはずなんだけど、人が多いとあまりそういう雰囲気にならないな、と思いつつ戻る。人がいなさすぎても怖くなるから、難しいけど。
このあと、タクシーで玉泉洞まで行ってもいいのだが、バスで来る途中に見かけた知念マリンレジャーセンターというところに行ってみることに決め、その途中に「ポランのひろば」というカフェがあるはずなので、寄り道することに。
車道沿いにあるのかと思ったが、道しるべに従うと車道を離れてどんどん海のほうに降りて行き、思ったより遠い。暑いし足も疲れてぐったりしてきたころ、到着。
「ポランの広場」はペンションになっている建物で、外に張り出した広いテラスを抜けて入る。中の席はいっぱいだが外には誰もいなかったので、テラスの8人くらい座れそうなテーブルを1人で占領する。
海に面した高台で、さわやかな風が吹き、ずっしりした木のテーブルと椅子、屋根からは浮き玉が吊られている(※写真11)。
お冷のコースターはシーサーが描かれた赤瓦製(※写真12)。
メニューには宮沢賢治にちなんだ菜食ご飯やカレーなどがあったが、もっともこの場所にふさわしくファンタジックなイメージで、つぼやきシチューのセットを頼む。ビーフシチューの上にビール酵母入りパンで蓋をし、海ぶどうが乗っかったサラダと、クルミと紅いも入りチョコケーキと、コーヒーつきで1,000円(※写真13、14、15)。
シチューのカップの取っ手を持つための小さいなべつかみがついてきて、かわいい布のパッチワークでできているんだけど、よくよく見るとそこに「EYE of the BEHOLDER」と書いてある……。このメルヘンななべつかみからは180度離れたこれはいったいなんなのか……。気になる。(※写真16)
海からの風に吹かれて、のんびり昼ごはん。海ぶどうを実は生まれて初めて食べたが、ちょっと塩味でプチプチで中はとろっとしていて、なかなか旨い。
食べ終えたサラダのドレッシングの中に小さい虫が飛びこんできて溺れ死んだり、向こうを飛んでいる蜂がこっちに来ませんようにと見張ったりするようなのはあるけど、暑くもなく寒くもなく、この開放感はなかなか得がたい。
この瞬間は今回の旅のハイライトと言ってもいいだろう。
今回は時計を持たない旅でもある。バスの時間だけはどうしても確認しないといけないので、カメラの内臓時計を使うんだけど……。
仕事場の風景、30分刻みのスケジュール表、メールと電話で確認・報告・催促、雨が降ってるかどうかもいったん外に出てみないとわからない座席、といったもろもろのことがらがすごく遠く感じられた。
しばらくぼーっとしてリフレッシュし、13:45くらいに出る。
このまま海まで下ったら海岸沿いに知念マリンレジャーセンターまで行けないかと思って店の人に聞いてみたが、「地元の中学生とかなら、道なき道をよじ登って行けるかも」という返事だったので、冒険はやめて上の車道まで戻り、暑い道を歩く。
知念マリンレジャーセンターに到着。やはりここにもほとんど人がいない。
ダイビングとかはまだやっていないので、グラスボートに乗ろうとするが、1人でボートを貸切状態にすると2,000円かかるとのこと。誰かほかの客が来るのを待つことにする。
海ぶどうの養殖を見物し、試食。
しばらく誰も来そうになかったので、少し先の「あさまさんさんビーチ」に行って、エメラルドブルーの海と透明な波を眺める(※写真17)。ここの海岸はもう海開きしているんだけど、あまり人はいない。
波打ち際できれいな貝殻を拾い集めて写真におさめる(※写真18)。よく見ると町並みのような模様が浮き出ているきれいな貝があったので、それだけ財布に入れて持ち帰る。
そうこうしているうちに客が来たらしいのだが、私が見当たらなかったので船を出してしまったとのこと。それはまったくもって仕方がない。近くで釣りをしている人を眺めていたら(透明度がすごく高いから、足元にすぐ魚が見える)また新たな客が来て、父・母・娘という3人家族とともにグラスボートに乗り込む。1割引のクーポンを使い、1,260円。
操縦の人はがんがんボートを飛ばして、魚のいるポイントまで来ると止めて説明してくれる仕組み。ガラス窓の下を青や黄色の魚の群れが通り、水族館みたいで感動する(※写真19)。また、別の場所ではヒトデや巨大なシャコ貝(ここまで育つのに40年くらいかかるという)も見える(※写真20)。そういうスポットはサンゴが大樹のようにそびえていて、木を中心にした街みたいなんだけど、それ以外の平地はずっと白化したサンゴの死骸のかけらで埋め尽くされている。
途中、「いつもここには寄らないんですけど、今たまたま魚が集まってるから」と寄り道してくれた場所があり、「魚がここに集まっている、っていうのはどうやって見つけるんですか?」と訊いたら、客を乗せないときにも時々海の見回りをして探しておくらしい。
ボートをとばすとけっこう揺れるので、ちょっと酔った。同乗していた家族の母親は完全に酔っていた。
展望台で少し涼んでから車道に戻り、バス停へ向かう。
道中、左手に「ウローカー入り口」という看板がある。斎場御嶽で道が閉ざされていた泉だ。薄暗い森の奥へと道が伸びており、せっかくなので行ってみる。花から花へ飛ぶ蝶を写真におさめようとするがうまくいかない(※写真21)。
ウローカーには水がなく、侘しい雰囲気になっていた。当然人っ子一人いない。
バス停に着いて時刻表を見ると、30分待ち。
立って日記メモを書きながら待っていると、タクシーが目の前に止まり、「どこまで行くの?」と声をかけてくる。
「那覇市内ですけど、バスに乗りますので」と言ったら「バス乗っても800円だよ。2000円でいいよ」と言われたが、たとえばオススメの沖縄そば屋に連れてってもらうとかのオプションをつけても、追加で1,200円払うメリットが感じられないので断る。
16:30のバスに乗って17:30ごろバスターミナルに戻ってくる。810円。
また国際通りまで行き、真ん中へんからちょっと左に入ったところにある「てぃだ」という店に18:00ごろ入る。やや観光客向けの沖縄料理店なんだけど、なかなか古めかしい店構え。沖縄そば、じゅーしー、クーブイリチー、もずく酢、ゴーヤつきのソーキ、あと何かもちっとした豆腐?みたいなの(※写真22)。以上のセットで1,000円。
ひじきの炊き込みご飯に脂を加えた感じのじゅーしーは、初めて食べたけどすごくおいしい。これだけでおかずいらないくらい、どんどん食べられる。ソーキは軟骨がコリコリしている。クーブイリチーは家でよく食べてるのと似た健康食。
帰り道にまたわしたショップに行き、食べつくしてしまった携帯黒砂糖をもう1個買い、油味噌の小さいパックを買い、あと「七つの島の黒砂糖食べ比べセット」を悩んだ末自分用に買う。合計1,840円。クーポンを使ったら謎の豆菓子がついてきた。
水族館の割引チケットとポークおにぎりを買いたいので、帰り道にローソンがあったら行こうと思っていたのだが見つからず、そのままホテルに帰りつく。
首にストールを巻いて日焼け止めも塗ってたんだけど、服の襟ぐりとの間に隙間ができて、そこだけがすごい日焼けしてしまった。
そのうち見るテレビもなくなり、シャワー浴びて22:30には寝る。
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