美瑛日記2

2007年8月2日
(1の続きです)

拓真館は写真館で、ここも庭にラベンダー畑がある。たまたまツアーバスでも来ていたのか、ここの庭ですれ違った2、30人の観光客が全員中国語を喋っていた。日本人はどこへ行ったんだ。
中の写真は相変わらず美しく、息子の記事や文章が増えていた。
12:30なので何か食べようと思うが、向かいの「四季の交流館」という土産物屋にはろくなものがなかったので、おやつを食べて先へ。「牧場レストラン」なる看板が出ていて心ひかれるが、そっちに行くと帰り道に近すぎるので、遠回りして「哲学の木」を見に行く。

拓真館で休みすぎたのか、なんだか妙に足が重く、日差しも強い。素直にレストランを目指せばよかったかなあと思いつつ進んで行くと、坂の上にすごく大きな木が見えてきた。広い畑の金色と緑色の境目にぽつんと立っていて、空と畑が広いからスケールがわかりにくいけれどもすごく立派な木。

近くで写真を撮っていた家族連れの、麦わら帽子をかぶって白いワンピースを着た小さい女の子が木の下に駆け寄っていく。どこの「大草原の小さな家」もしくは「ハウス名作劇場」かと思った。絵になりすぎる。

しばらく、前の道路を車が通っていってたけど、音が途切れて静かになって、しんとした中に大きな木の葉ずれの音だけが響いてきたとき、鳥肌が立った。
さらに坂を登っていくと遠くの丘まで見渡せて、とにかく空も大地も広く、晴れた青空に夏雲が浮かんでいて、今回の旅行代金のうち3万円くらいはここの分だなぁと思った。行ってよかった。

そこからすぐに左へ曲がっていけばさっきの牧場のほうへ出られるので、下っていく。このへんは車もあまり通らない下り坂で快適。大声でジターバグとか夏草の線路とか歌いながら走る。7年前も夏草の線路は歌っていたような気がするな。

広い敷地の、動物が飼われているほうから入り、砂利道を自転車を引いてレストランへ向かう。日差しが強くて暑いので牛は外に出ていない。羊もぐったりしている。自由に餌をやれるようになっていて、ヤギが餌をもらいに柵によじのぼっていた。目が横線。羊はなでようと近づくと逃げるイメージが強いが、1匹だけやたらとすり寄ってきて尻尾を振る羊がいた。餌付け効果恐るべし。

牧場付属の「千代田レストラン」は、待っている人の名前リストがすごく長くて驚いたが、近くにちゃんとしたものが食べられそうなところはないし、お腹もすいてるし、待つことにする。ただ、カウンター席みたいなのはなくて全席が4人がけテーブルなので、1人だとちょっと気がひける。

日記メモをつけながら外で待ち、13:30くらいに待ち始めて14時には入れた。メニューはこのあたりにしてはけっこう高くて、旭川市内でハンバーガー80円のマックの看板を見たけど、ここはハンバーグセット1300円など、東京っぽい物価。ステーキはもっと高かったけど、ここでビール酵母を与えて育てている牛らしい。「千代田ステーキ150g」セット1780円を頼む。脂身のないヘルシーなもも肉、ウェルダンで。6切れくらいの肉にステーキ醤油をかけて、付け合わせがしっかりした野菜で、ヴィシソワーズとライスつき。空腹スパイスもきいていたのでおいしかった。

出がけに帽子を忘れ、自転車の鍵を落とすもののすぐに気がついてよかった。
そこから「千代田の丘」なる見晴らし台へ、石ころ道の急坂を自転車を押して登る。けっこう急で車もどんどん来るのでしんどかった。太陽が雲に隠れて、その雲の影が落ちている範囲が見渡せる。牧場の、あっちの影からこっちの影までがあの雲の中で、その影の範囲がだんだん動いていく、というのもわかる。
上がると水谷ダムという小さい湖みたいのが見えて、たいへん美しい。

そこから三愛の丘へ続く舗装道路に出たあたりが絶景ポイント。左手に広々と色とりどりの丘がうねる。パノラマすぎて普通のカメラでは写せない。
三愛の丘の展望台から、林の中に小道が続いて「塔の見える丘」と道しるべが出ている。奥に喫茶店があるらしく、そのひなびた看板の風情が素晴らしい。行ってみると、残念ながらその店は定休日だったが、丘に面してベンチと二人乗りブランコがあった。しばらく座ってボーッとする。1人おばさんが来てやたら腕を突き出して写真を撮って帰っていった。そういや今どき使い捨てカメラを使っている老夫婦もいたな。
15:15にここを出て、この道中で一番楽なゆるやか下り坂を走る。自転車屋のおじさんも「登り2/3、下り1/3」と言っていた。ほとんど漕がない。

途中、「星の丘」という名前のペンションがあって、小さい星の観測所がついていた。次泊まるならここがいいな。
美瑛の町に入る直前、プレハブっぽい家が連なる区域があって全然今までの雰囲気とも美瑛の町の雰囲気ともそぐわない。避難所みたいな、密集した感じ。

行きは赤い橋を渡ったけど、帰りは緑の橋を渡って町に入り、四季の塔の前を曲がる。参院選の立て看板があって、開票速報見てた人は知ってると思うけど、「女ムネオ」って大きく書いた候補者がいるんだよね。「女ムネオ」ってそんな、ポスターに書くようなことなんだというのがカルチャーショック。一瞬写真とろうかと思ったけどさすがに怪しいのでやめた。といっても道路を歩いてる人は全然いないけど。

17:20発の旭川行きがノロッコ号という特別列車なので、それまで1時間くらい時間をつぶそうと思い、カフェか何かないか探す。観光センターの四季の交流館というところに入ったらただで使えるネットがあった。ほとんど壊れていて2台しか使えなかったけど、そこからmixiにログインしてサッカー韓国戦の結果を見る。昨夜はテレビがなかったから見られなかった。

その建物の奥に道の駅「丘のくら」というのがあるのを発見。こっちには客がやたらたくさんいた。軽食を売るカウンターがあるんだけど、奥にはレストランもある。窯を備えたピザ屋なんだけどメニューにはカレーとかシューマイもある。そこでミルクティーを頼むがなかなか来ない……。と思ったら牛乳をわかしていたかららしい。ちゃんとしたミルクティーが来た。おいしかったので調子に乗ってプリンも注文。男爵いもと有機卵のプリンにチョコレートで蓋をしたというもの。ミルクティー450円とプリン350円。

17時に自転車を返す。朝9時に借りて今まで返してないような客は私くらいのものらしい。荷物預かり場所にも私の荷物しかなかった。
とにかくここでもらった地図が正確だったので、道には全然迷わなかった。次は反対側の「パッチワークの路」コースを走りたいな。というか自転車に乗るのがすごく楽しかったのでもっと乗りたい。自宅前の急坂さえ押して登れば、会社まで自転車通勤できると思うんだけど……人と車が多すぎて無理だろうかな。

ノロッコ号に乗る改札がオープンすると(改札は電車の時間に合わせてしか開かない)、待ちかねた客が列を作る。日焼けしたくないからギリギリに行ったら、ホームにも日陰があった。
外国人観光客がノロッコ号の入ってくるところをカメラでねらっていたけど、撮るべきはその横で大きな葉っぱを手に手に掲げて列車に手を振っている子どもたちのほうだろうと思った。これ、なんて「ぼくのなつやすみ」?って感じの光景。線路まで走ってきて、手を振り終わったら帰っていく。

ノロッコ号は機関車に牽かれた窓があけっぱなしの列車で、天井に花が吊ってある。東側の席は窓のほうを向いていて、西側は四人がけの席。西日が強い。私は扉のわきに立っていた。530円。
17:45に旭川に着いて、そのまま18時にホテル入り。受付に市内食事どころのパンフレットがあって「おーこれは立派だなー」ともらって部屋で読んでいたら、裏に「300円」って書いてあった。でも、ほかの無料チラシと同じところに置いてあったし、ホテルの人にも何も言われなかったよ?

テレビをつけたらヒロシが旭山動物園を訪れていた。
少し部屋で休んで、19:30に晩ご飯を食べに近くの「一蔵」という店へ。旭川ラーメンでは「まつ田」というのも近かったんだけど、そこはスープが二種類ありますって書いてあってなんか優柔不断な気がしたので。
カウンターに案内され、置いてあるメニューを見て「一蔵ラーメン」のしょうゆ味850円を頼む。しかし、そのあとでカウンターの上を見ると、ふつうの「しょうゆ・しお・みそ」ラーメンが600円と出ている。一蔵って書いてあるから一番基本のラーメンかと思ったのに。
出てきたのは、スープが見えないくらい刻みあさつき(わけぎ?)が載り、さらにその上に白髪ねぎが載っているラーメン。中にはメンマとチャーシューと卵。チャーシューはちょっとマグロっぽい風味があったが、スープは魚っぽくなくておいしかった。ねぎはわりと苦手なんだけどさっぱりしてどんどん食べられた。唯一言うなら、卵が完全に負けていた。卵の食感がするだけ。

コンビニで明日の朝ご飯を買って帰る。390円。動物園特製の「ペンギンパン」というのがあった。メロンパンの上の部分でペンギンの絵を描き、中にはこしあんが入っているというもの。
ホテルに戻って開票速報番組をザッピングしつつ、風呂に入る。なんか急に腕が赤くなってきた。かなり日焼け止めは塗ったし何度も塗りなおしていたんだけど、手の甲と手首がすっかり赤くなり、腕時計の跡もある。首すじもひどい。水で冷やす。

本を読みテレビ流しつつベッドに入るが、NHKの北海道情報を喋るアナウンサー(解説者?)のアクセントが変すぎて気になる。日本人だけど、日本人とは思えないアクセント……。
22:30就寝。

30日(月)

またもや5:30にいったん目が覚めるが、7:20の目覚ましで起きる。すぐに湯沸かしのスイッチを入れ、朝ご飯を食べて、駅のコインロッカーに荷物を預けようとチェックアウトするが、ホテルのエレベーターを待っているときにふと「動物園から空港に直行するつもりなんだから、駅のコインロッカーに預けちゃダメじゃね?」という基本的なことに気づく。時間に余裕ができたので、駅前の歩行者天国商店街のあたりを2ブロックほど歩き回る。丸井今井がセールだったので、昨日の18:00〜19:30の間に来てもよかった。

一回りして動物園行きのバス停に行くと、すごく行列ができている。グランプリ京都の朝の、大混雑流血バスのことを思い出してうえーと思うが、実際にバスに乗ってみたらあまり混んでなかった。400円。
バスの中から、動物園の入り口前にできた長蛇の列を見て、どよめきと「えーっ、なんでー?」という声。入り口がまだ開いてないから列ができてるのに決まってるじゃん!
駐車場をぐるっと取り囲む長い列につく。今日一日でツアーバスが200台くらい来るらしい。
10分早く入り口が開き、9:30には中に入る。心配していたコインロッカーが開きまくっていたので200円で預ける。

ペンギンは通り越し、一昨日見られなかったもうじゅう館に行く。このへんの檻にはみんな細い電線が張り巡らせてある。
アムールトラが目の前1メートルより近く来て、隣の男の子がおしっこを噴射されていた。光に模様が浮かび上がるクロヒョウが超カッコいい。ユキヒョウは高い網の上で毛づくろい。ライオンはグダグダしていたが、立ち上がって歩くだけでカリスマがある。オスはライラ、メスはレイラ、まだ一ヶ月の息子はアキラという名前らしい。お母さんとゴロゴロじゃれ合っていた。猫科の猛獣は美しいなぁ。
生茶ペット150円を買ったら旭山動物園限定ボトルで、四種類絵柄があるうちのペンギンを見事引き当てた。

次に猿のあたりへ。10時のサル山の餌やりを見る。
まず、氷漬けの果物を青いポリタンクに詰めたものが用意される。一生懸命齧っていた。それから、穀物のようなものを地面に撒いて土をかける。猿たちが一粒ずつそれを掘り出して食べる。猿には落ち葉をめくって虫を探す習性があるらしい。残りの穀物はドラム缶に流し込む。このドラム缶を転がすとこぼれ落ちてくる仕組み。あと、蓋の閉まった青いポリタンクをしきりに転がしている猿がいて、「はてしない物語」の元帝王たちの都っぽいなぁと思ってたけど、しばらくして気がついた。小さい穴が開いていて、転がすと中からひまわりの餌みたいのがこぼれるようになっているらしい。

次にチンパンジー館に行った。中でも外でも餌を食べている。以前のボスが息子に地位を奪われ、家族みんなから迫害されて重傷を負ったので、今では父親のグループと息子のグループに分けて収容しているという。
すごい目の前で子どもが食べている様子が見えるのはすごい。屋外の遊具の上でも目の前でジャガイモを齧っていたが、固いらしくて踏んづけてつぶしていた。
テナガザルがスイスイと天井を渡っていくのも面白いし、クモザルも「ロープをそんなふうに使って柱に飛び移るのか!」とか、コンクリ扉を器用によじ登ったり、動きが斬新で飽きない。ただ、見上げるから空がまぶしい。遊具が観客の頭上に張り出しているので、そこから飛び降りたら外に出られるし、柵も簡単に乗り越えられそうに見えるけど、出てこないものだな。

次に10:30のペンギン餌やりを見に行く。キングペンギンには小さいホッケ、それ以外にはイカナゴを与える。横取りする奴もいる。お姉さんが解説を喋りながら餌をやっているので、手に持った魚をひょいと上げて喋ると、それを受け取ろうとしていたペンギンが「それ、それがほしいのに」と首を伸ばすのが可愛い。でもフンボルトペンギンはあまり外見が好きじゃない……。
次にようやくペンギン館の中に入る。水中トンネルの上を泳ぐペンギンは空を飛んでいるように見えてとてもきれいだが、行列ができているので立ち止まれない。ガラス越しに5センチくらいのところでペンギンと目をあわせたりも。

土産を買いに行き、目をつけていたペンギンストラップと、動物園特製「き花」と、かなり悩んだ末ペンギンぬいぐるみを買う。4540円。もっと手触りのいいのがありそうだけど……意外と探しても見つからないから、今買っておくべきだと思った。

残り少しの時間で猿のほうをもう少し回って、出口で海洋堂のヴィネットのガチャガチャをしげしげと見ていたら、バスガイドっぽい人に「ペンギンいりませんか?」と声をかけられる。ペンギン持ってるのに引いちゃったらしい。300円払って譲り受ける。なんかペンギンづくし。
私は「アッラーフ・アクバル!」という文句を聞くと気分が高揚するので前世はムスリムじゃないかと思っているんだけど(笑)、ここまで寒い場所と寒い土地の動物と南極探検の物語が好きだと、前世は南極探検員じゃなかろうかとも思う。たぶんペンギンが好きなのは、本当は「おいしそう」だと思っているのかもしれない。

コインロッカーから荷物を出して、11:45発空港行きのバスに乗ろうとバス停に行ったら、なんとこの便だけなくなっている! ホームページには出てたのに。客がいなかったんだろうなぁ。
タクシーで空港までの値段を聞いたら4000円とのことだが(バスは500円)、なんにしろ間に合わないからタクシーで行くしかない。しかし財布の中に2300円しかなくて、カードを使えるタクシーを呼んでもらう。旅行中はもっとカードを使うつもりだったんだけど、動物園の土産屋でカードが使えなかったのが響いた。普段から2000円以上の買い物はほとんどカードだけど、それ以外、カードを使えそうな場所には全然行かなかったしなぁ。
そうこうしていたら、私と同様、11:45のバスをあてにしていたらしい人がいて、乗り合いましょうということになる。母親と、小学校低学年くらいの女の子と中学年くらいの男の子の3人。その人も手持ちが全然なくて、2千円もないからカードで払いたいと言っていた。でも、子ども2人連れてバスに乗ったら最低1000円はかかるわけで、そしたら財布にもうお札が入ってないことになるよ? 大丈夫なのか? 私も人のことは言えないけど、あとはsuicaで会社行くだけだし。

動物園では、普段の自分の生活には入ってこない子どもをたくさん見た……というか、子どもを扱う親をたくさん見た。ただ、この子ども2人はタクシーに乗る前も乗ってるときも降りたあとも、全然喋らなかった。子どもってもう少しうるさいものだと思うんだけど、私がいたから遠慮していたのかな? まあ、私は子どもが苦手なので、子どもも私が苦手なのだろう。今日記を書いている時になって、普通の人なら「動物園、おもしろかった?」などと子どもに声をかけて仲良くなったりするものなのかなあ、と思った。そんなことその時は思いつきもしなかった。

12:15に空港に着き、半分より少し少ない2000円を払う。財布の中身は残り300円(笑)
千歳空港に比べてすごく小さい土産売り場で自宅用にロイスのポテトチップチョコと、おにぎり空弁をカードで買う。1380円。そんなに見るところもない空港だったのですぐ待合室に入ったが、羽田空港の雷雨のせいで出発時間が遅れている。中で売っている空弁は寿司系ばかりだったので、外で買っておいてよかった。

席は通路側で、隣の人はずっと寝ていた。アイスコーヒーを頼んでそれをテーブルに置いたまま着陸態勢に入るまで寝てしまったので、揺れてこぼれるんじゃないかと心配になった。おにぎり弁当はおいしかった。湿気の多い東京に15:30に着いて、そのまま会社へ。終わり。

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