ニューヨーク日記その1
2007年3月31日
ニューヨーク旅記録
母親のコンサートに付き合って3泊5日の2人旅。
■3月23日(金)
●空港
朝7:10に家を出て、日暮里経由京成特急で成田へ。
卒業旅行シーズンらしいが、空港はすいていた。
先送しておいたスーツケースを受け取り、おにぎりで腹ごしらえ。
100ml以上の液体が持ち込めないことを昨夜まで忘れていたので、化粧水をスーツケースに詰め直し、それ以外の化粧品をジップロックにしまう。
2階の土産物屋をぶらつくと、富士山よりも高い東京タワーに桜吹雪が舞うスノードームがあった。
風邪はだいたい治ったはずなんだけど、昨夜から鼻水がひどく、飛行機の窓際の席に乗り込んで飛び立つまでの間に、ティッシュを一袋使いきってしまった。
●飛行機
機内食の昼ご飯は、鱈の味噌焼きと高菜ご飯。
「ナイト・ミュージアム」を見る。旅行前に見に行こうと思っていたので、ちょうど良かった。
非常にゲーマー向けの映画だと思った。小さいことをわざわざ大げさに見せるのが面白い。
それからなんとなく「シャーロットのおくりもの」を見る。子豚かわいー、ダコタ・ファニングかわいー、羊かわいー、に終始する映画。クモに綴りができる理由が結局説明されないのは、まぁ絵本だからいいや。
あと、北京オリンピックに向けて建設中の建物についてのドキュメントが、意外と面白かった。こんなすごいのをいろいろ建てているとは知らなかった。
映画音楽名場面集みたいな番組もあり、ネバーエンディングストーリーのリマールのビデオを初めて見た。
夜になり、外には星がいっぱい出ていた。
ティッシュを節約するため、ご飯のときに出た紙ナプキンを使って鼻をかんでいた。一生でこんなに鼻をかんだことはない、というくらいかんだ。摂った水分が全部鼻から出てそう。鼻が垂れてきて目が覚めるので、あまりよく寝られなかった。
夜中に桜餅あんぱんが出て、朝ご飯はパンケーキとクレープ。
着陸時、鼻詰まりのせいでうまく空気抜きができない。普通の耳の奥ではなくて、首の上・耳の付け根や、眼窩のあたりが激しく痛い。右眉の裏側の激痛なんて、生まれて初めての経験だった。
揺れるというアナウンスがあったがそんなには揺れず、マンハッタン島の上を通り過ぎて現地時間23日11時に着陸。時差はサマータイム込みで13時間。飛行機に乗っていた時間が、まるまるキャンセルされたような感じか。
降りぎわにビジネスクラスの席を通ると、ふわっとした使い捨てスリッパがビニール袋に入ったまま放置されていた。ちょっと手を伸ばして持って帰りたいが、さすがにあさましいのでやめておく。使い捨てスリッパって、ホテルに泊まるときに便利なんだよね。
●ニューヨーク入り
入国審査の窓口に母親と2人で行くと、「ファミリー?」と訊かれ、「Yes」と返事したのに、「あんたたちどうやって知り合ったの?」という質問をされる。「How do you know each other?」って、そういう意味だよね?
外は意外と暖かい。といっても寒い日はすごく寒いらしく、まだところどころ雪が残っていた。
空港からホテルまでは送迎つき。長髪の日本人ガイドに連れられ、3家族くらい一緒にバンに乗り込む。
高速道路を走り、だだっ広い墓地の間を抜け、クイーンズボロウ・ブリッジを渡って中心街に入る。正面に現れた摩天楼の景色は、書き割りみたいだった。ビル、細長すぎ。
ビルの谷間を走っていくが、道路がやたらデコボコしていて揺れまくる。ライフラインがみんな地下に埋めてあるので、何か工事するたびに掘り返さなければならないらしい。それにしても、街並みや景観に力を入れるならもう少し道路も平らにすればいいのにと思う。慣れの問題か。
セントラル・パークの近くを通ると、たくさんの観光用馬車がずらっと客を待っている。そういった馬車や自転車も、車の間をすいすいと抜けていく。
雨が降ってきた。
ガイドからいろいろな注意事項をきく。
いわく、パスポートに貼ってある緑の紙は絶対失くすな。ホテルの電話は(フリーダイヤルですら)めちゃめちゃ高いので使うな。冷蔵庫はセンサーが敏感なので飲まないものには触るな、など。
●ホテル着
タイムズスクエアの西端あたりに位置するホテル、ウェスティン・ニューヨークにチェックイン。
ロビーで小さいミネラルウォーターのペットボトルを配っていたので、いそいそともらう。
部屋は29階。外観やロビーは非常にモダンで、新しいこともあって立派なのだが、廊下は妙に古くさい。
部屋はそこまで広くはないが、まぁまぁ。スタバのインスタントコーヒーとティーバッグがタダで飲める。
部屋に入るとすぐにフロントから電話があって「万事OKか」と聞かれたので、バスローブが1つしかないと伝えたが、結局滞在の最後まで追加のバスローブが届くことはなかった。まぁいいけど。
「ヘブンリー・ベッド」と宣伝されていたベッドで、とりあえず昼寝。やや固めのマットレスの沈み具合はいい感じだが、はたしてヘブンリー……なのか?
●街探索
15時に活動開始。雨は上がった。
ホテルの3階に公衆電話があるとガイドに言われたので、さっそくかけようとしたが、うまくかからない。まずもってコインの投入口がない。
タイムズスクエアに出て、ブロードウェイを歩き回る。
よくテレビで見るタイムズスクエアの光景が広がる。曲面だったり、窓があったりする壁面を平気で液晶画面にして、じゃんじゃん映像を流しまくっている。
人通りが多くて芸人や呼び込みもいて、雰囲気は新宿東口っぽい。道路のど真ん中に交番と軍隊の宣伝施設?がある。
都会はだいたいどこも一緒なので、そんなに東京と違う雰囲気ではない。五番街のブティックが立ち並ぶあたりなんて銀座と変わらないし。タイムズスクエアのネオン・液晶画面の洪水はすごいけど、やや散漫なのでインパクトでいったら渋谷ハチ公前交差点のほうがすごいと思った。
まずはマジェスティック劇場のボックスオフィスに行って、明日夜の「オペラ座の怪人」のチケットを買う。
土曜の夜なのでどうかなとは思ったが、余裕で2枚買えた。S席(こっちではオーケストラ席というらしい)1人110ドル+税金1.25ドル。1階の後ろのほうと、2階の真ん中らへんがあったが、「2階のほうがいいよ」と窓口のおじさんが勧めてくれた。
ブロードウェイ沿いに大きなHERSHEYSとM&Mの店があり、土産を物色。ここにも5ポンドのチョコレートバーがあった。あと板チョコ枕とか、でっかいキスチョコ(メタルスライムに似ている)とか。
クリーム入りチョコクッキーの4個入りパックがあったので買って食べたら、すごいミント味だった。私はミントがダメなので、「パッケージにミントって書いとけよ!」とキレたのだが、パッケージには「York」という青いロゴがついており、この「York」というのはどうもフリスクなどのようにミントの登録商標のようなので、アメリカの人なら誰でも見ればわかるということなのだろう。
M&Mはラスベガス同様、色別のチューブから好きな色を好きなだけ自分で袋に詰める計り売りをやっていた。
MTVショップがあって、Tシャツやタンクトップがかっこよくていいなと思ったんだけど、値段もそれなりなので結局買わなかった。こういうものは日本で手に入らないわけじゃないだろうとも思ったし。
日本で手に入らないものを捜すのは難しい。というか、日本で何が売ってるかをよく知らないだけなんだが。
私は日曜の夜も暇なので、「美女と野獣」でも見ようかと思い劇場に行ってみるが、日曜は15時からの公演しかない。オペラ座も日曜は休演だったし、日曜の夜はあんまり芝居を見る習慣がないのかも、と思ってやめる。
公衆電話からHISニューヨーク支店に電話して、明日の半日観光を申し込む。集合場所はヒルトンホテルのレセプションカウンター前だと言われたので、そこまで歩いて行ってみることに。
途中、やや古い雰囲気のデリに入る。
ガラスケースにさまざまなおかずが並べてあって、サンドイッチやパニーニの中身をいろいろ選べて、いろんなケーキやクッキーが飾ってあって、コンビニみたいに食べ物や飲み物、日用雑貨も置いてあるような店をデリと総称するようだ。
炭焼きチキン胸肉のホットサンドイッチとコーヒー、それに「クリスピークリーム」のラベルつきドーナツを売っていたので、それを1つつけて、全部で10ドルちょっと。
コーヒーを頼むときに「milk?」と聞かれて「Yes」と答えたら、最初からミルクが入った状態で出てきた。コーヒーの味が薄まるくらい大量のミルク。私にはちょうどいいが。
ドーナツは冷めていたのでいまいちだったが、サンドイッチはおいしかった。
そういえば、ニューヨークにはスタバが大量にあって、グランデサイズ(いや、もう一段階上か?)を持って歩いている人がいっぱいいる。カップを持ったままで店に入るのも普通。
あと、デニム率が高い。私が見たかぎり、8割の人がデニムを履いているような気がする。
●MoMA
ヒルトンに寄ってからさらに東進し、現代美術館MoMAへ。
いつもなら20ドルもかかるが、金曜日は16時から入場無料なのだ。
17時ごろ到着。混み合ってはいたが、そんなに並ばず入れた。やる気のないお姉さんがカウンターで無料チケットを投げ渡していた。
人込みの中、まずは上の階から見て回る。
ピカソの「アビニョンの娘たち」が、ガラスの保護もロープも何もなく壁にかけてあるのは、なんだか見ていて恐ろしい。
これがたとえば日本に来たとしたら、ものすごい厳重な警備がつくだろう。荷物検査もなく誰でも入れるこんなところに放置しておいて大丈夫なのか。世の中にはいろんな人がいるわけだから、唯一無二の芸術作品を破壊することで歴史に名を残そうと考える人だっているだろうに……と、これはルーブル美術館でも同じことを考えたな。
ゴッホの「星月夜」にはガラスがかかっていた。
その他、有名なものをいろいろ見て、絵に関してはまぁ理解できるのだが、階を下るとだんだん現代アートになってくる。
スープ缶やコミックの拡大はまぁいいとしよう。しかし、ただロープを上から吊るしただけとか、ただキャンパスを白く塗っただけ、ただ切り裂いただけ、古タイヤとゴミの寄せ集め……みたいになってくると、どこがどう芸術作品なんだか本当にわからない。
そんなものをもったいぶって飾って、客がうなりながらその前でオーディオコメンタリーを聞いたりしてるのが滑稽。まぁ、「いったい何が芸術なのか?」を提起することこそが、たぶん目的なんだろうけどね。
あと、何もないただの部屋があって、5秒ごとに電気が点いたり消えたりするというだけの芸術作品もあった。
こういうものを誰が最初に芸術として評価し、ここへ陳列するのだろうか? つまり、たとえば私が、「じゃあ5秒ごとに音が出たり消えたりします」という作品を作ったとして、それをMoMAに置いてくれるのか?ということなんだが。
といっても別にバカにしているわけではなくて、現代美術はかなり好き。
下の階には映像作品がいくつかあり、何気なく部屋に入ってみたら、Bill Violaの「Stations」があった。
真っ暗な中に大きなスクリーンが5つあって、水中で首だけ出して立ち泳ぎしている5人の人間を水中からさかさまに映した映像がスローモーションで流れ、スクリーンの足元に敷かれた黒御影石に映像が反射しているというもの。
言葉で説明してもよくわからないと思うんだけど、さすがにこれは実物を見ないと伝わらない。けっこう衝撃的だった。
●帰り道
いいかげん疲れたので出て、向かいのMoMA土産物屋を見る。役に立たない芸術的なものがいろいろある。抱き合う塩と胡椒の入れ物はちょっと気に入った。
歩いてホテルまで戻り、近くにあったヨーロッパ・カフェという店(ハードロックカフェの向かい)で晩ご飯を買う。
まず、サラダの菜っぱの種類を選ぶ。ミックスとロメインとほうれん草だったかな。サイズも2種類ある。
我々はミックスのSサイズをまず選ぶ。3.25ドル。
次に具を選ぶ。ガラスケースにいっぱい食材が並んでいて、指差して菜っぱに加えてもらう。具によって値段が違い、50セント〜2ドル。スモーク・ターキー2ドルと、モッツァレラチーズ75セント、ロースト・ウォールナッツ75セントを入れる。これで6.75ドル。
最後にドレッシングを選ぶ。これもいろいろ種類があって、バジル・バルサミコ・ビネガーを選ぶ。混ぜてもらって、できあがり。
これがさっぱりとしておいしい。分量も2人で分けて食べるのにちょうどいいし、何よりいろいろ選べるのが楽しい。
日本でもこのスタイルがはやればいいのにと思うが、日本人はアメリカ人と違ってあまり幅広い選択肢から選ぶのが好きではないかもしれない。日本に同じシステムのサラダバーがあったら、みんな悩んでカウンターの前に滞留してしまいそうな気がする。
それと、ヨーグルト・マーブルチョコ・ロフト?という、要はしっとりしたパウンドケーキと、白黒のチョコで半々に塗り分けられたクッキーと、アーモンドスティック?というアーモンド粉を三日月の形にして外側に糖皮をつけたややスパイシーな焼き菓子を買う。
ホテルで晩ご飯を食べつつ、テレビで「WHAT NOT TO WEAR」という番組を見ていた。
やや太めの素人の女の子が出演していて、お店で自分なりに似合うと思う服を探してくると、ファッションご意見番の男女タレント2人が、それに駄目出しをする番組……だと思われる。
ハンガーにかかっている数々の服を「これは駄目、これも駄目」と言いながらゴミ箱に突っ込んでいき、最後には1つも残らない、というような感じなのだが、どういう趣旨の番組なのかはいまいちよくわからなかった。
女の子がちょっとチャイナ襟みたいな感じの服を選んでくると、女性ご意見番が「まぁなんて素敵なゲイシャ・ファッションかしら」とバカにして言っていたので、あんまりたいした内容ではなかろうと思われる。
シャワーを浴びて、22時に寝る。
「ヘブンリー・シャワー」と宣伝されていて、シャワーヘッドが2つ縦に並んでついている。湯量が多いのが良い。
■3月24日(土)
●半日観光
朝4時ごろ目が覚めたので、テレビをつけてフィギュアを見る。ショートプログラムをやっていたが、日本人選手の番は終わっていた。
6時起床。昨日ホテル近くのデリで買っておいた、1本1ドルの高級バナナとオレンジを、朝ご飯として食べる。
7:50にヒルトンの集合場所に行き、日本人10組くらいと一緒に半日観光スタート。1人で参加している客が2人いて、1人はずっとビデオを撮ってた。
いそいそと大型バスの一番前に乗る。
南下し、グリニッジビレッジを通り、フラットアイアン・ビルと市庁舎のあたりとワシントン門で下車して写真を撮る。
図書館がゴーストバスターズの舞台だったり、「恋愛小説家」「MIB」「スパイダーマン」など、さまざまな映画の舞台となった場所を通り過ぎる。
ウォール街のあたりでは金色の雄牛像に触る。株式が上がるお守りだそうで、角に触ると金運アップらしい。
日本人ガイドはテンション高め。「吉野家でアメリカ牛の牛丼を月に1回ずつ食べてますが、今のところ異常は見られません。言語障害は出てますけど」と言っていた。
●自由の女神
9時ごろ、マンハッタン島南端のバッテリー・パークに到着。自由の女神行きフェリーを待つ、長い行列ができている。ガイドがさらっと「これくらいなら、10時の便には乗れるでしょう」と言う。この寒いのに1時間待ち!?
まぁしょうがないので待つ。そのへんの屋台で、お土産のチープなTシャツやプレッツェルを売っている。あと体中を銀色に塗りたくった人が一緒に写真を撮らせてチップを要求したり、行列の人を囃し立てながら歌う芸人なんかもいた。行列の客たちは大受けだったが、英語が聞き取れないのでさっぱりわからない。
飛行機に乗るときのような荷物チェックを受けて(ただし液体はOK)、フェリーに乗る。自由の女神が正面から見える、一番上のデッキの右側に陣取る。
朝方は曇っていたが晴れ上がり、すばらしい青空の下、自由の女神の松明が金色に輝き、摩天楼を背景に絵ハガキのような光景が広がる。
というか、船に乗ったときからずっと「アメリカ横断ウルトラクイズ」のテーマ曲が頭に流れっぱなしだった。
船上での決勝早押し、懐かしい……。しみじみ。
降りて島をぐるっと一回りする。冠のところまでは上れるらしいが、行列していた。
そんなに時間もなかったので、さくっとお土産屋に入り、キラキラ派手な絵はがきを買う。
自由の女神のゴム製お面が不気味。あとスポンジでできたヘアバンド状の冠を、アメリカの女子高生たちがこぞってつけて歩いていた。
ちなみに、正確にはあれは冠ではなくて後光らしい。7本のトゲは、七つの海と七つの大陸をあらわしているという。
帰りの船はエリス島に寄るが、ここはツアーに含まれてないので降りない。日本人が見てもあまりぴんと来なさそうだし。
●グラウンド・ゼロ
バッテリー・パークに戻り、バスに乗る前に「スフィア」の横を通る。これはワールド・トレード・センターの地下に置いてあった地球型のモニュメントで、9.11のあとに掘り返された。金属に穴が空いているものの形は留めており、原爆ドーム的な象徴としてここに飾ることになったらしい。
次はグラウンド・ゼロへ。
地下鉄の駅の上が観光客の訪れる場所になっている。全体が工事中で、柵で囲まれ掘り返されている。
正面向かいに小さな教会があり、9.11のときに連絡先がびっしり貼られたり花束を供えられたりしたあの黒い柵は、この教会の柵だった。
ああ、これがテレビにさんざん映っていた柵か、とちょっと感動。教会も消防隊の詰め所になっていたという。
9.11を偲ぶさまざまな写真が飾ってあり、死者の名前一覧と当日のタイムラインが掲げてあり、飛行機の離陸時間や市長の動向などが事務的に書いてある文字を追っていくと、だんだんつらくなってくる。
この跡地には、フリーダム・タワーというのを建てようとしているらしい。ツインタワーよりはるかに高いというのは、アメリカの気概を感じさせていかにもという感じだが、高さをフィートに直すと独立宣言にちなむ数字になるというトリビアは、なんというか、厨っぽい。
あと、フルートを吹いているおじさんがいた。自分の写真が載っている新聞を掲げていたので、たぶんあの時もここで吹いていたというアピールなんだろう。
●昼ご飯
サウスシーポートでバスを降りる。
ここで半日観光コースはおしまい。一日観光の人は昼食休憩をとり、このあとハーレムなどへ行く。
我々は地下鉄の駅へ向かいながら、シーフードレストランで昼ご飯にする。
サンフランシスコでの世界選手権のときに、毎晩のように食べていたカラマリのフライがあって、懐かしい。メニュー構成も似たような感じだった。
クラムチャウダーひと皿と、フォカッチャにはさんだ炭焼きチキンのサンドイッチ、あとツナサラダを頼んで、2人でシェアする。ツナサラダとはいうものの、出てきたのはマグロのたたきがどさどさ入った豪快なものだった。唇が乾燥で荒れまくっていたので、ドレッシングの酢がしみて激しく痛い。
サンドイッチについてるポテトがやたらとおいしかった。それに紅茶1杯つけて、全部で45ドルくらい。
レシートにチップも計上されていたので、税金の二倍をチップに、とかいう面倒な計算はいらなかった。
歩いてあちこち寄り道。
GAPに入ってみると、値段は日本と変わらない感じだが、なんだか服の丈が全部長いような気がする。裾がこんなに長いポロシャツは、日本じゃ売ってないような……。アメリカの人のほうが背が高いからか?
あと歯ブラシを忘れてきていたので(ホテルにはついてなかった)、スーパーで買った。ブラシ部分が巨大で、色とりどりにいろんな種類の毛が植え分けられたものばかり。
どうせだからと派手なものを3ドルくらいで買ったが、小回りがきかないので磨きにくいことこの上ない。一本ずつじゃなくて、何本もまとめて磨くのにはいいかもしれないけど。
(続きます)
母親のコンサートに付き合って3泊5日の2人旅。
■3月23日(金)
●空港
朝7:10に家を出て、日暮里経由京成特急で成田へ。
卒業旅行シーズンらしいが、空港はすいていた。
先送しておいたスーツケースを受け取り、おにぎりで腹ごしらえ。
100ml以上の液体が持ち込めないことを昨夜まで忘れていたので、化粧水をスーツケースに詰め直し、それ以外の化粧品をジップロックにしまう。
2階の土産物屋をぶらつくと、富士山よりも高い東京タワーに桜吹雪が舞うスノードームがあった。
風邪はだいたい治ったはずなんだけど、昨夜から鼻水がひどく、飛行機の窓際の席に乗り込んで飛び立つまでの間に、ティッシュを一袋使いきってしまった。
●飛行機
機内食の昼ご飯は、鱈の味噌焼きと高菜ご飯。
「ナイト・ミュージアム」を見る。旅行前に見に行こうと思っていたので、ちょうど良かった。
非常にゲーマー向けの映画だと思った。小さいことをわざわざ大げさに見せるのが面白い。
それからなんとなく「シャーロットのおくりもの」を見る。子豚かわいー、ダコタ・ファニングかわいー、羊かわいー、に終始する映画。クモに綴りができる理由が結局説明されないのは、まぁ絵本だからいいや。
あと、北京オリンピックに向けて建設中の建物についてのドキュメントが、意外と面白かった。こんなすごいのをいろいろ建てているとは知らなかった。
映画音楽名場面集みたいな番組もあり、ネバーエンディングストーリーのリマールのビデオを初めて見た。
夜になり、外には星がいっぱい出ていた。
ティッシュを節約するため、ご飯のときに出た紙ナプキンを使って鼻をかんでいた。一生でこんなに鼻をかんだことはない、というくらいかんだ。摂った水分が全部鼻から出てそう。鼻が垂れてきて目が覚めるので、あまりよく寝られなかった。
夜中に桜餅あんぱんが出て、朝ご飯はパンケーキとクレープ。
着陸時、鼻詰まりのせいでうまく空気抜きができない。普通の耳の奥ではなくて、首の上・耳の付け根や、眼窩のあたりが激しく痛い。右眉の裏側の激痛なんて、生まれて初めての経験だった。
揺れるというアナウンスがあったがそんなには揺れず、マンハッタン島の上を通り過ぎて現地時間23日11時に着陸。時差はサマータイム込みで13時間。飛行機に乗っていた時間が、まるまるキャンセルされたような感じか。
降りぎわにビジネスクラスの席を通ると、ふわっとした使い捨てスリッパがビニール袋に入ったまま放置されていた。ちょっと手を伸ばして持って帰りたいが、さすがにあさましいのでやめておく。使い捨てスリッパって、ホテルに泊まるときに便利なんだよね。
●ニューヨーク入り
入国審査の窓口に母親と2人で行くと、「ファミリー?」と訊かれ、「Yes」と返事したのに、「あんたたちどうやって知り合ったの?」という質問をされる。「How do you know each other?」って、そういう意味だよね?
外は意外と暖かい。といっても寒い日はすごく寒いらしく、まだところどころ雪が残っていた。
空港からホテルまでは送迎つき。長髪の日本人ガイドに連れられ、3家族くらい一緒にバンに乗り込む。
高速道路を走り、だだっ広い墓地の間を抜け、クイーンズボロウ・ブリッジを渡って中心街に入る。正面に現れた摩天楼の景色は、書き割りみたいだった。ビル、細長すぎ。
ビルの谷間を走っていくが、道路がやたらデコボコしていて揺れまくる。ライフラインがみんな地下に埋めてあるので、何か工事するたびに掘り返さなければならないらしい。それにしても、街並みや景観に力を入れるならもう少し道路も平らにすればいいのにと思う。慣れの問題か。
セントラル・パークの近くを通ると、たくさんの観光用馬車がずらっと客を待っている。そういった馬車や自転車も、車の間をすいすいと抜けていく。
雨が降ってきた。
ガイドからいろいろな注意事項をきく。
いわく、パスポートに貼ってある緑の紙は絶対失くすな。ホテルの電話は(フリーダイヤルですら)めちゃめちゃ高いので使うな。冷蔵庫はセンサーが敏感なので飲まないものには触るな、など。
●ホテル着
タイムズスクエアの西端あたりに位置するホテル、ウェスティン・ニューヨークにチェックイン。
ロビーで小さいミネラルウォーターのペットボトルを配っていたので、いそいそともらう。
部屋は29階。外観やロビーは非常にモダンで、新しいこともあって立派なのだが、廊下は妙に古くさい。
部屋はそこまで広くはないが、まぁまぁ。スタバのインスタントコーヒーとティーバッグがタダで飲める。
部屋に入るとすぐにフロントから電話があって「万事OKか」と聞かれたので、バスローブが1つしかないと伝えたが、結局滞在の最後まで追加のバスローブが届くことはなかった。まぁいいけど。
「ヘブンリー・ベッド」と宣伝されていたベッドで、とりあえず昼寝。やや固めのマットレスの沈み具合はいい感じだが、はたしてヘブンリー……なのか?
●街探索
15時に活動開始。雨は上がった。
ホテルの3階に公衆電話があるとガイドに言われたので、さっそくかけようとしたが、うまくかからない。まずもってコインの投入口がない。
タイムズスクエアに出て、ブロードウェイを歩き回る。
よくテレビで見るタイムズスクエアの光景が広がる。曲面だったり、窓があったりする壁面を平気で液晶画面にして、じゃんじゃん映像を流しまくっている。
人通りが多くて芸人や呼び込みもいて、雰囲気は新宿東口っぽい。道路のど真ん中に交番と軍隊の宣伝施設?がある。
都会はだいたいどこも一緒なので、そんなに東京と違う雰囲気ではない。五番街のブティックが立ち並ぶあたりなんて銀座と変わらないし。タイムズスクエアのネオン・液晶画面の洪水はすごいけど、やや散漫なのでインパクトでいったら渋谷ハチ公前交差点のほうがすごいと思った。
まずはマジェスティック劇場のボックスオフィスに行って、明日夜の「オペラ座の怪人」のチケットを買う。
土曜の夜なのでどうかなとは思ったが、余裕で2枚買えた。S席(こっちではオーケストラ席というらしい)1人110ドル+税金1.25ドル。1階の後ろのほうと、2階の真ん中らへんがあったが、「2階のほうがいいよ」と窓口のおじさんが勧めてくれた。
ブロードウェイ沿いに大きなHERSHEYSとM&Mの店があり、土産を物色。ここにも5ポンドのチョコレートバーがあった。あと板チョコ枕とか、でっかいキスチョコ(メタルスライムに似ている)とか。
クリーム入りチョコクッキーの4個入りパックがあったので買って食べたら、すごいミント味だった。私はミントがダメなので、「パッケージにミントって書いとけよ!」とキレたのだが、パッケージには「York」という青いロゴがついており、この「York」というのはどうもフリスクなどのようにミントの登録商標のようなので、アメリカの人なら誰でも見ればわかるということなのだろう。
M&Mはラスベガス同様、色別のチューブから好きな色を好きなだけ自分で袋に詰める計り売りをやっていた。
MTVショップがあって、Tシャツやタンクトップがかっこよくていいなと思ったんだけど、値段もそれなりなので結局買わなかった。こういうものは日本で手に入らないわけじゃないだろうとも思ったし。
日本で手に入らないものを捜すのは難しい。というか、日本で何が売ってるかをよく知らないだけなんだが。
私は日曜の夜も暇なので、「美女と野獣」でも見ようかと思い劇場に行ってみるが、日曜は15時からの公演しかない。オペラ座も日曜は休演だったし、日曜の夜はあんまり芝居を見る習慣がないのかも、と思ってやめる。
公衆電話からHISニューヨーク支店に電話して、明日の半日観光を申し込む。集合場所はヒルトンホテルのレセプションカウンター前だと言われたので、そこまで歩いて行ってみることに。
途中、やや古い雰囲気のデリに入る。
ガラスケースにさまざまなおかずが並べてあって、サンドイッチやパニーニの中身をいろいろ選べて、いろんなケーキやクッキーが飾ってあって、コンビニみたいに食べ物や飲み物、日用雑貨も置いてあるような店をデリと総称するようだ。
炭焼きチキン胸肉のホットサンドイッチとコーヒー、それに「クリスピークリーム」のラベルつきドーナツを売っていたので、それを1つつけて、全部で10ドルちょっと。
コーヒーを頼むときに「milk?」と聞かれて「Yes」と答えたら、最初からミルクが入った状態で出てきた。コーヒーの味が薄まるくらい大量のミルク。私にはちょうどいいが。
ドーナツは冷めていたのでいまいちだったが、サンドイッチはおいしかった。
そういえば、ニューヨークにはスタバが大量にあって、グランデサイズ(いや、もう一段階上か?)を持って歩いている人がいっぱいいる。カップを持ったままで店に入るのも普通。
あと、デニム率が高い。私が見たかぎり、8割の人がデニムを履いているような気がする。
●MoMA
ヒルトンに寄ってからさらに東進し、現代美術館MoMAへ。
いつもなら20ドルもかかるが、金曜日は16時から入場無料なのだ。
17時ごろ到着。混み合ってはいたが、そんなに並ばず入れた。やる気のないお姉さんがカウンターで無料チケットを投げ渡していた。
人込みの中、まずは上の階から見て回る。
ピカソの「アビニョンの娘たち」が、ガラスの保護もロープも何もなく壁にかけてあるのは、なんだか見ていて恐ろしい。
これがたとえば日本に来たとしたら、ものすごい厳重な警備がつくだろう。荷物検査もなく誰でも入れるこんなところに放置しておいて大丈夫なのか。世の中にはいろんな人がいるわけだから、唯一無二の芸術作品を破壊することで歴史に名を残そうと考える人だっているだろうに……と、これはルーブル美術館でも同じことを考えたな。
ゴッホの「星月夜」にはガラスがかかっていた。
その他、有名なものをいろいろ見て、絵に関してはまぁ理解できるのだが、階を下るとだんだん現代アートになってくる。
スープ缶やコミックの拡大はまぁいいとしよう。しかし、ただロープを上から吊るしただけとか、ただキャンパスを白く塗っただけ、ただ切り裂いただけ、古タイヤとゴミの寄せ集め……みたいになってくると、どこがどう芸術作品なんだか本当にわからない。
そんなものをもったいぶって飾って、客がうなりながらその前でオーディオコメンタリーを聞いたりしてるのが滑稽。まぁ、「いったい何が芸術なのか?」を提起することこそが、たぶん目的なんだろうけどね。
あと、何もないただの部屋があって、5秒ごとに電気が点いたり消えたりするというだけの芸術作品もあった。
こういうものを誰が最初に芸術として評価し、ここへ陳列するのだろうか? つまり、たとえば私が、「じゃあ5秒ごとに音が出たり消えたりします」という作品を作ったとして、それをMoMAに置いてくれるのか?ということなんだが。
といっても別にバカにしているわけではなくて、現代美術はかなり好き。
下の階には映像作品がいくつかあり、何気なく部屋に入ってみたら、Bill Violaの「Stations」があった。
真っ暗な中に大きなスクリーンが5つあって、水中で首だけ出して立ち泳ぎしている5人の人間を水中からさかさまに映した映像がスローモーションで流れ、スクリーンの足元に敷かれた黒御影石に映像が反射しているというもの。
言葉で説明してもよくわからないと思うんだけど、さすがにこれは実物を見ないと伝わらない。けっこう衝撃的だった。
●帰り道
いいかげん疲れたので出て、向かいのMoMA土産物屋を見る。役に立たない芸術的なものがいろいろある。抱き合う塩と胡椒の入れ物はちょっと気に入った。
歩いてホテルまで戻り、近くにあったヨーロッパ・カフェという店(ハードロックカフェの向かい)で晩ご飯を買う。
まず、サラダの菜っぱの種類を選ぶ。ミックスとロメインとほうれん草だったかな。サイズも2種類ある。
我々はミックスのSサイズをまず選ぶ。3.25ドル。
次に具を選ぶ。ガラスケースにいっぱい食材が並んでいて、指差して菜っぱに加えてもらう。具によって値段が違い、50セント〜2ドル。スモーク・ターキー2ドルと、モッツァレラチーズ75セント、ロースト・ウォールナッツ75セントを入れる。これで6.75ドル。
最後にドレッシングを選ぶ。これもいろいろ種類があって、バジル・バルサミコ・ビネガーを選ぶ。混ぜてもらって、できあがり。
これがさっぱりとしておいしい。分量も2人で分けて食べるのにちょうどいいし、何よりいろいろ選べるのが楽しい。
日本でもこのスタイルがはやればいいのにと思うが、日本人はアメリカ人と違ってあまり幅広い選択肢から選ぶのが好きではないかもしれない。日本に同じシステムのサラダバーがあったら、みんな悩んでカウンターの前に滞留してしまいそうな気がする。
それと、ヨーグルト・マーブルチョコ・ロフト?という、要はしっとりしたパウンドケーキと、白黒のチョコで半々に塗り分けられたクッキーと、アーモンドスティック?というアーモンド粉を三日月の形にして外側に糖皮をつけたややスパイシーな焼き菓子を買う。
ホテルで晩ご飯を食べつつ、テレビで「WHAT NOT TO WEAR」という番組を見ていた。
やや太めの素人の女の子が出演していて、お店で自分なりに似合うと思う服を探してくると、ファッションご意見番の男女タレント2人が、それに駄目出しをする番組……だと思われる。
ハンガーにかかっている数々の服を「これは駄目、これも駄目」と言いながらゴミ箱に突っ込んでいき、最後には1つも残らない、というような感じなのだが、どういう趣旨の番組なのかはいまいちよくわからなかった。
女の子がちょっとチャイナ襟みたいな感じの服を選んでくると、女性ご意見番が「まぁなんて素敵なゲイシャ・ファッションかしら」とバカにして言っていたので、あんまりたいした内容ではなかろうと思われる。
シャワーを浴びて、22時に寝る。
「ヘブンリー・シャワー」と宣伝されていて、シャワーヘッドが2つ縦に並んでついている。湯量が多いのが良い。
■3月24日(土)
●半日観光
朝4時ごろ目が覚めたので、テレビをつけてフィギュアを見る。ショートプログラムをやっていたが、日本人選手の番は終わっていた。
6時起床。昨日ホテル近くのデリで買っておいた、1本1ドルの高級バナナとオレンジを、朝ご飯として食べる。
7:50にヒルトンの集合場所に行き、日本人10組くらいと一緒に半日観光スタート。1人で参加している客が2人いて、1人はずっとビデオを撮ってた。
いそいそと大型バスの一番前に乗る。
南下し、グリニッジビレッジを通り、フラットアイアン・ビルと市庁舎のあたりとワシントン門で下車して写真を撮る。
図書館がゴーストバスターズの舞台だったり、「恋愛小説家」「MIB」「スパイダーマン」など、さまざまな映画の舞台となった場所を通り過ぎる。
ウォール街のあたりでは金色の雄牛像に触る。株式が上がるお守りだそうで、角に触ると金運アップらしい。
日本人ガイドはテンション高め。「吉野家でアメリカ牛の牛丼を月に1回ずつ食べてますが、今のところ異常は見られません。言語障害は出てますけど」と言っていた。
●自由の女神
9時ごろ、マンハッタン島南端のバッテリー・パークに到着。自由の女神行きフェリーを待つ、長い行列ができている。ガイドがさらっと「これくらいなら、10時の便には乗れるでしょう」と言う。この寒いのに1時間待ち!?
まぁしょうがないので待つ。そのへんの屋台で、お土産のチープなTシャツやプレッツェルを売っている。あと体中を銀色に塗りたくった人が一緒に写真を撮らせてチップを要求したり、行列の人を囃し立てながら歌う芸人なんかもいた。行列の客たちは大受けだったが、英語が聞き取れないのでさっぱりわからない。
飛行機に乗るときのような荷物チェックを受けて(ただし液体はOK)、フェリーに乗る。自由の女神が正面から見える、一番上のデッキの右側に陣取る。
朝方は曇っていたが晴れ上がり、すばらしい青空の下、自由の女神の松明が金色に輝き、摩天楼を背景に絵ハガキのような光景が広がる。
というか、船に乗ったときからずっと「アメリカ横断ウルトラクイズ」のテーマ曲が頭に流れっぱなしだった。
船上での決勝早押し、懐かしい……。しみじみ。
降りて島をぐるっと一回りする。冠のところまでは上れるらしいが、行列していた。
そんなに時間もなかったので、さくっとお土産屋に入り、キラキラ派手な絵はがきを買う。
自由の女神のゴム製お面が不気味。あとスポンジでできたヘアバンド状の冠を、アメリカの女子高生たちがこぞってつけて歩いていた。
ちなみに、正確にはあれは冠ではなくて後光らしい。7本のトゲは、七つの海と七つの大陸をあらわしているという。
帰りの船はエリス島に寄るが、ここはツアーに含まれてないので降りない。日本人が見てもあまりぴんと来なさそうだし。
●グラウンド・ゼロ
バッテリー・パークに戻り、バスに乗る前に「スフィア」の横を通る。これはワールド・トレード・センターの地下に置いてあった地球型のモニュメントで、9.11のあとに掘り返された。金属に穴が空いているものの形は留めており、原爆ドーム的な象徴としてここに飾ることになったらしい。
次はグラウンド・ゼロへ。
地下鉄の駅の上が観光客の訪れる場所になっている。全体が工事中で、柵で囲まれ掘り返されている。
正面向かいに小さな教会があり、9.11のときに連絡先がびっしり貼られたり花束を供えられたりしたあの黒い柵は、この教会の柵だった。
ああ、これがテレビにさんざん映っていた柵か、とちょっと感動。教会も消防隊の詰め所になっていたという。
9.11を偲ぶさまざまな写真が飾ってあり、死者の名前一覧と当日のタイムラインが掲げてあり、飛行機の離陸時間や市長の動向などが事務的に書いてある文字を追っていくと、だんだんつらくなってくる。
この跡地には、フリーダム・タワーというのを建てようとしているらしい。ツインタワーよりはるかに高いというのは、アメリカの気概を感じさせていかにもという感じだが、高さをフィートに直すと独立宣言にちなむ数字になるというトリビアは、なんというか、厨っぽい。
あと、フルートを吹いているおじさんがいた。自分の写真が載っている新聞を掲げていたので、たぶんあの時もここで吹いていたというアピールなんだろう。
●昼ご飯
サウスシーポートでバスを降りる。
ここで半日観光コースはおしまい。一日観光の人は昼食休憩をとり、このあとハーレムなどへ行く。
我々は地下鉄の駅へ向かいながら、シーフードレストランで昼ご飯にする。
サンフランシスコでの世界選手権のときに、毎晩のように食べていたカラマリのフライがあって、懐かしい。メニュー構成も似たような感じだった。
クラムチャウダーひと皿と、フォカッチャにはさんだ炭焼きチキンのサンドイッチ、あとツナサラダを頼んで、2人でシェアする。ツナサラダとはいうものの、出てきたのはマグロのたたきがどさどさ入った豪快なものだった。唇が乾燥で荒れまくっていたので、ドレッシングの酢がしみて激しく痛い。
サンドイッチについてるポテトがやたらとおいしかった。それに紅茶1杯つけて、全部で45ドルくらい。
レシートにチップも計上されていたので、税金の二倍をチップに、とかいう面倒な計算はいらなかった。
歩いてあちこち寄り道。
GAPに入ってみると、値段は日本と変わらない感じだが、なんだか服の丈が全部長いような気がする。裾がこんなに長いポロシャツは、日本じゃ売ってないような……。アメリカの人のほうが背が高いからか?
あと歯ブラシを忘れてきていたので(ホテルにはついてなかった)、スーパーで買った。ブラシ部分が巨大で、色とりどりにいろんな種類の毛が植え分けられたものばかり。
どうせだからと派手なものを3ドルくらいで買ったが、小回りがきかないので磨きにくいことこの上ない。一本ずつじゃなくて、何本もまとめて磨くのにはいいかもしれないけど。
(続きます)
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