| メイン |
パリ旅行記7日目
2006年12月13日■12月4日(月)
7:10起床。
荷物をまとめて、8時にチェックアウト。
一泊120ユーロ、金土だけ150ユーロで、計6泊780ユーロ。
あと1日だけ朝ご飯を食べたので、プラス12ユーロ。
792ユーロをカードで一括払い。
朝マックに行く。
今日はベーコンの入ってないパンケーキ2枚にしてみる。
写真を見て、チョコレートがかかっているのかと思った
けど、それは焦げ色で、イチゴジャムがついてきた。
コーヒーはやめて紅茶にする。ティーバッグの味は安心。
なんだか同じ歌をよく聞くなあ、と思う。
マクドナルドでかかっていた曲を、ホテルのテレビでも
昨日の夜のカフェでも聞いた。
食べているうちに、雨が降ってきた。
あまり傘をさしている人はいないが、けっこう大粒。
カメラをコートの内側に入れて、地下の逆さピラミッドの
広場まで急ぐ。
中国人観光客が、逆さピラミッドに抱きついたりして
はしゃいで写真を撮っているのを眺めながら、9時に
ルーブル美術館が開くのを待つ。
列に並ぶ日本人観光客が中国人たちを見て、「ああいう
人がスラれるのよねー」と言っていた。
パリはスリやひったくりが多いとガイドブックに書いて
あったので、私もけっこう警戒していたんだけど、道端で
立ち止まって地図を広げたり、ウエストポーチみたいな
バッグを平気でつけている観光客はいっぱいいた。
観光のため木曜まで延泊するという中修さんと、
9時すぎに待ち合わせてルーブル美術館へ。
郵便局で切手を買おうと思ったが、オープンは9:30から。
なかなか絵ハガキが出せない……。
中修さんは折り畳みではない大きな傘を持っていた。
「知らないうちにホテルの部屋に転がっていた」とのこと。
しかし入り口で「傘はクロークに預けなさい」と言われる。
クロークは混み合っているし、面倒だからと近くのゴミ箱に
捨てようとしたら、「違う違う!」とすごい剣幕で
止められた。しかたないので裏に回って、公衆電話の
横にそーっと「置き忘れて」きた。
先日見られなかったところを見て回ろうということで、
まずは「ナポレオン三世の居室」へ。全然客がいない。
あと前は行かなかった彫刻の反対側の吹き抜けとか、
古代エジプトコーナーとか、中世の堀にも行った。
墓標の彫像で、横たわる人の足元には犬やライオンを
配置するのが決まりらしいのだが、足蹴にしているように
見えてしかたがない。
有名な「ナポレオンの戴冠」の絵の前のソファに座ると、
中修さんが「教皇の足元に猫がいる」と言い出す。
えっ、猫なんてどこにもいないよ……?
近寄って見たら、マントの裾だった。
古代ローマの皇帝の彫像が並ぶところで、中修さんが
「この皇帝はこんな人で、こういう死に方をした」とか
詳しい解説をつけてくれるのが面白かった。
しかし途中でかなり足が痛くなってしまい、ルーブル
完全制覇はならず。
今回の旅においていくつか失敗をしたが、中でも大きいのは
爪切りを持ってこなかったこと。手の爪を切らないから
要らないと思っていたんだけど、足は切るじゃん!
歩くのがしんどかったのは、足の爪が伸びていたせい。
ほかのところに比べて、アポロンギャラリーやミロの
ヴィーナスのあたりの人の多さは段違いだった。
団体観光客が、あちこちで説明を受けている。
最後にラ・トゥールをもう一回見に行き、13時前に
ルーブルを出て、タクシーでフォションに行く
ことにする。タクシー乗り場が見つからず、
少しうろついているうちちょうど降車しているところに
出くわしたので、「乗れますか?」と訊いたらOK。
コンコルド広場を見つつ、マドレーヌ寺院へ。
フォションの大きな店が2つ並んでいるところに到着。
レストランがあるとガイドブックに書いてあるんだけど、
見つからない。
片方の店は土産屋で、もう片方ではケーキや惣菜を
売っている。土産屋の地下はワインショップ、2階は
倉庫のようになっていた。どうやらこの2階がレストラン
だったらしいのだが、閉店してしまったようだ……。
しかたないので、とにかくお土産だけ買い込む。
手当たりしだいかごに入れていくような感じで。
カリソンという葉っぱ型の練り物系お菓子があって、
パリによく行く日本人が書いた本に、「とてもおいしいん
だけど、あまり理解が得られない」と書いてあった。
試しにどんなものか買ってみることにした。
しかもフォション120周年記念ということで、特別に金銀の
コーティングがしてあるもの。(まだ食べてない)
あと、マドレーヌ寺院の形の缶に入ったマドレーヌとか、
紅茶だけじゃなくお菓子がいろいろあった。
レジの長い行列に並んでいたら別のところで袋詰め
してくれ、伝票だけ持たされてレジで会計した。
ガイドブックを見て、フォションの代わりに甘いものが
食べられそうな「アンジェリーナ」に行こうと決める。
ここはさっきタクシーでル・ムーリスの横を通ったときに
見たから、そのまま歩けば行ける。
どうせ帰り道でもあるので、けっこう遠かったが歩く。
ぎっしりテーブルが並ぶ店内に入り、メニューを見ると
「ケーキ(2なんとか)5.7ユーロ」と書いてある。
2なんとかのところはフランス語なのでわからないが、
もしかしてケーキを2つ選ばせてくれるってことかな、
と夢を見る。
ウェイトレスさんにケーキを注文したら、「何がいいの?
モンブラン? それともミルフィーユ?」とぞんざいに
訊かれる。ガイドブックには、「各種ケーキをテーブルに
並べて運んできて、選ばせてくれる」って写真つきで
載ってたのに!
まごまごしてたら「そこにあるから選んでよ」と言われ、
ガラスケースに並んだ実物の中から、モンブランを選ぶ。
一応アンジェリーナはモンブランが有名らしいし。
ケーキセットのようなものはなく、飲み物は別に頼む。
せっかくだからと欲をかいて、クリスマス・スペシャル
のホットチョコレートを頼む。
銀のポットに入っていて、どろっとしたのをカップに
注ぎ、生クリームを溶かして飲む。
覚悟はしていたが、死ぬほど甘い。
モンブランもこってりした味で、一番下にメレンゲ、
その上に生クリームを置き、外にマロンクリームを
かぶせた形になっている。スポンジ部分は存在しない。
当たり前だけど、これもすっごく甘い。
一週間分の糖分をまとめて摂取した感じ。
食べていると、隣のテーブルに、銀のお盆に各種ケーキを
並べたものが運ばれてきて、その中から選んでいた。
おいおい、日本人だから差別されたってことなのか?
プンスカしてチップを払わずに出る。
14:30にホテルに戻り、フロントに預けておいた荷物を
受け取って、空港行きのバス停目指しオペラ座前まで歩く。
タクシーに乗るほどの距離ではないと思ったんだけど、
道を間違え、さらにバス停の位置もよくわからなくて
焦ったが、なんとかたどりつけた。
チケットの自販機があったがよくわからなかったので、
乗り込んで直接運転手さんにお金を払う。
二両連結のバスで、狭い通路で苦労して荷物を運ぶ。
15:30にバスが出て、モンマルトル墓地の脇を通り、
来るときに見たマンション屋上の社名ネオンをまた横目に
見て、16:10くらいに空港に着く。
空港で最初に停まったバス停「ターミナル2A」で降りる。
私の乗る飛行機はターミナル2だということは確認して
あったので、やれやれと降りたら、ほかに降りる人が
全然いない……。
空港の中もなんだかがらーんとしている。
どうしよう、と思いつつゲートっぽいところに行くと、
「パスポートと搭乗券!」とぶっきらぼうに言われる。
搭乗券といってもeチケットの紙しかないので、それを
出したら「違う」と言われる。
確かに、ゲートの上には「スイス」って書いてあった。
今度はお姉さんのいるチケットカウンターのような
ところに行き、「このチケットを手に入れられますか?」
と言ってみる。すると「向こうに表示板があるから、
それを見てあなたの便がどこか確認しなさい」と返事。
表示板を見ると、私の便はF52と書いてある。
Fって……? ここ、Aじゃなかったっけ?
慌てて空港の地図を見る。すると、確かにAから順に
ターミナルビルがあって、Fはここから一番遠いところ。
これはどうしたものか、と地図の前でしばし考えていたら、
「タクシー?」と言いながらお兄さんが近づいて来た。
警戒しつつ、「Fに行きたい」と行ってみたら、「それなら
シャトルバスに乗ればいいんだよ。ついておいで」と
言われ、外に出て「あそこのバス停だよ」と教えてくれる。
親切だった。警戒してゴメン。
バスがなかなか来なくて焦るが、なんとか16:40くらいに
Fフロアに到着。しかし発券カウンターはさらに一番端の
13カウンターなのだった。
はるばる、という感じでやっと搭乗券にありつく。
カウンターのお姉さんに「メルシー」と言ったら、
「あなたフランス語できるの?」と(英語で)訊かれる。
「いえ、メルシーとボンジュールだけです」(実際には
あとシルヴプレとボンソワールも言ったけど)と
答えたら、「それでもナイスよ」と褒められた。
絵ハガキをまだ送っていないことを今さら思い出し、
そのお姉さんに「切手はどこで買えますか?」と
訊いたら、「この先に新聞と切手を売っている店がある」
と、店名わざわざ書いてくれた。
そこまで行ってレジに2枚の絵ハガキを見せ、「切手を
2枚下さい」と言ったら、「2枚ずつ貼らなきゃいけない
から、4枚必要だ」と言われる。
0.6ユーロの切手しか置いてないらしく、それを2枚ずつ
貼る。日本までのハガキはこないだの郵便局の自販機
では0.85ユーロだったから、切手だとちょっと損だ。
荷物検査ではネックレスとベルトを外し、靴を脱がされる。
日本のときとは段違いに厳しい。
トイレに入ったら、やたら便器に水がいっぱい溜まって
いて、不吉な予感がして水を流すボタンを押してみたら、
どっと水が溢れてきた。悪夢だ。
幸いほかに誰もいなかったので、黙って逃げ出した。
ゲートの中に入ると、鞄とか高級品の免税店しかない。
帰りの飛行機も窓際で、通路側には日本人の女性。
真ん中の座席はまた空いていて、ラッキー。
機内食をしっかり食べ、久々に栄養を取り込んだ気分。
しばらく寝てから、「ワールド・トレード・センター」
を見る。
本当は行きの飛行機で見逃した「パイレーツ・オブ・
カリビアン2」を見たかったんだけど、月が11月から
12月になったので映画のプログラムが入れ替わっていた。
帰りの便ではあまり見たい映画がなく、残念。
そういえば、「ターミナル」はマジックプレイヤーの
悲哀が感じられる映画だというのでちょっと見てみたい。
知らない土地へやってきて言葉は通じない、外には
出られない、俺こんなとこまで来て何やってんだろう……
みたいな。
「ワールド・トレード・センター」って、予告編を見た
だけだとニコラス・ケイジが救助隊員として大活躍して
感動の生還! みたいな内容に見えるんだけど、実際は
非常に抑制された地味な映画だった。画面が暗すぎて
なんだかよくわからないところもあったほど。
一番印象強いのは「これからこの国では兵士が必要に
なる、復讐のために」と言う男のまっすぐなまなざし。
成田から、荷物も多いし会社に直行しちゃおうという
ことで、贅沢して新宿行きリムジンバスに乗る。3000円。
寝ているだけで着くのはありがたいし、かなり早かった。
700通くらい来ていた会社のメール(といってもほとんど
迷惑メールだが)を整理して、お土産を置いて帰宅。
次の朝会社に行ったら、もうお土産はなくなっていた。
フォションのお菓子3種、私1個も食べてなかったのに!
みんなが「おいしかったよ」しか言わなくて悔しかった。
この日の支出:
朝マック2ユーロ
ルーブル入館料8.5ユーロ
タクシー5.5ユーロ
フォションお土産52ユーロ
ロワシーバス8.4ユーロ
切手2.4ユーロ
■蛇足
世界各国のグランプリを、隔週とかで旅して回る
生活に強い憧れを抱く。
理想は日本に戻らず、旅先から旅先へと向かうこと。
観光して、大会に出て、勝ったり負けたりして、
写真を撮って……。なんて素晴らしい生活だろう。
まあ、マジックが強ければ、ね。
私は計算できないしウッカリ型だし思い込みは激しいし
物事はすぐに忘れるし、てんでマジックに向いてない。
何より負けたときに「悔しい!」と思って次につなげる
気持ちが足りない。負けず嫌いは負けず嫌いなんだけど、
負けるのが嫌いだから初めから勝負しないのだ。
「どうせ下手だし」とか「別に詳しくないし」とか、
自分にも他人にも言い訳を用意している。
たとえば、「お稽古事」としてマジックを習うのは
どうだろう?とふと考えてみた。
マジックは究極的には運や勘も重要になるけれど、
ある程度のレベルまでは技術と練習が最重要だから。
たとえば、ちょっと見当つきにくいけど、半年後には
GP1日目で勝ち越すとか、1年後にはPTQベスト8とか、
そういう目標を立てて、誰かに師事する。
毎週、時間を決めてデュエルスペースに行き、徹底的に
見てもらい、教えてもらう。
手札を公開した状態でデュエルすれば、プレイングの
まずいところを教えてもらえるだろうし、ドラフトを
後ろで見ていてもらってもいいと思う。
師匠は必ずしも一人でなくてもいいんだけど、教える
ほうにも責任を持ってもらうため、教わる時間を決めて
ちゃんと代金を払う。
相場はよくわからないけど……トロンボーンのときは
確か2時間のレッスンで8千円だったかな。
ちゃんと教わろう、教えようという気持ちになるには
やっぱりそれくらい必要なのかもしれない。
まぁ家庭教師のバイトみたいなものと考えて、
自給2〜3千円ですめば習うほうとしてはありがたいけど。
そういうシステムってはたして成立するのかな?
そうやって「お稽古事」として続けてみて、それでも
上達しないんだったら本当に自分には向いてないんだろう。
7:10起床。
荷物をまとめて、8時にチェックアウト。
一泊120ユーロ、金土だけ150ユーロで、計6泊780ユーロ。
あと1日だけ朝ご飯を食べたので、プラス12ユーロ。
792ユーロをカードで一括払い。
朝マックに行く。
今日はベーコンの入ってないパンケーキ2枚にしてみる。
写真を見て、チョコレートがかかっているのかと思った
けど、それは焦げ色で、イチゴジャムがついてきた。
コーヒーはやめて紅茶にする。ティーバッグの味は安心。
なんだか同じ歌をよく聞くなあ、と思う。
マクドナルドでかかっていた曲を、ホテルのテレビでも
昨日の夜のカフェでも聞いた。
食べているうちに、雨が降ってきた。
あまり傘をさしている人はいないが、けっこう大粒。
カメラをコートの内側に入れて、地下の逆さピラミッドの
広場まで急ぐ。
中国人観光客が、逆さピラミッドに抱きついたりして
はしゃいで写真を撮っているのを眺めながら、9時に
ルーブル美術館が開くのを待つ。
列に並ぶ日本人観光客が中国人たちを見て、「ああいう
人がスラれるのよねー」と言っていた。
パリはスリやひったくりが多いとガイドブックに書いて
あったので、私もけっこう警戒していたんだけど、道端で
立ち止まって地図を広げたり、ウエストポーチみたいな
バッグを平気でつけている観光客はいっぱいいた。
観光のため木曜まで延泊するという中修さんと、
9時すぎに待ち合わせてルーブル美術館へ。
郵便局で切手を買おうと思ったが、オープンは9:30から。
なかなか絵ハガキが出せない……。
中修さんは折り畳みではない大きな傘を持っていた。
「知らないうちにホテルの部屋に転がっていた」とのこと。
しかし入り口で「傘はクロークに預けなさい」と言われる。
クロークは混み合っているし、面倒だからと近くのゴミ箱に
捨てようとしたら、「違う違う!」とすごい剣幕で
止められた。しかたないので裏に回って、公衆電話の
横にそーっと「置き忘れて」きた。
先日見られなかったところを見て回ろうということで、
まずは「ナポレオン三世の居室」へ。全然客がいない。
あと前は行かなかった彫刻の反対側の吹き抜けとか、
古代エジプトコーナーとか、中世の堀にも行った。
墓標の彫像で、横たわる人の足元には犬やライオンを
配置するのが決まりらしいのだが、足蹴にしているように
見えてしかたがない。
有名な「ナポレオンの戴冠」の絵の前のソファに座ると、
中修さんが「教皇の足元に猫がいる」と言い出す。
えっ、猫なんてどこにもいないよ……?
近寄って見たら、マントの裾だった。
古代ローマの皇帝の彫像が並ぶところで、中修さんが
「この皇帝はこんな人で、こういう死に方をした」とか
詳しい解説をつけてくれるのが面白かった。
しかし途中でかなり足が痛くなってしまい、ルーブル
完全制覇はならず。
今回の旅においていくつか失敗をしたが、中でも大きいのは
爪切りを持ってこなかったこと。手の爪を切らないから
要らないと思っていたんだけど、足は切るじゃん!
歩くのがしんどかったのは、足の爪が伸びていたせい。
ほかのところに比べて、アポロンギャラリーやミロの
ヴィーナスのあたりの人の多さは段違いだった。
団体観光客が、あちこちで説明を受けている。
最後にラ・トゥールをもう一回見に行き、13時前に
ルーブルを出て、タクシーでフォションに行く
ことにする。タクシー乗り場が見つからず、
少しうろついているうちちょうど降車しているところに
出くわしたので、「乗れますか?」と訊いたらOK。
コンコルド広場を見つつ、マドレーヌ寺院へ。
フォションの大きな店が2つ並んでいるところに到着。
レストランがあるとガイドブックに書いてあるんだけど、
見つからない。
片方の店は土産屋で、もう片方ではケーキや惣菜を
売っている。土産屋の地下はワインショップ、2階は
倉庫のようになっていた。どうやらこの2階がレストラン
だったらしいのだが、閉店してしまったようだ……。
しかたないので、とにかくお土産だけ買い込む。
手当たりしだいかごに入れていくような感じで。
カリソンという葉っぱ型の練り物系お菓子があって、
パリによく行く日本人が書いた本に、「とてもおいしいん
だけど、あまり理解が得られない」と書いてあった。
試しにどんなものか買ってみることにした。
しかもフォション120周年記念ということで、特別に金銀の
コーティングがしてあるもの。(まだ食べてない)
あと、マドレーヌ寺院の形の缶に入ったマドレーヌとか、
紅茶だけじゃなくお菓子がいろいろあった。
レジの長い行列に並んでいたら別のところで袋詰め
してくれ、伝票だけ持たされてレジで会計した。
ガイドブックを見て、フォションの代わりに甘いものが
食べられそうな「アンジェリーナ」に行こうと決める。
ここはさっきタクシーでル・ムーリスの横を通ったときに
見たから、そのまま歩けば行ける。
どうせ帰り道でもあるので、けっこう遠かったが歩く。
ぎっしりテーブルが並ぶ店内に入り、メニューを見ると
「ケーキ(2なんとか)5.7ユーロ」と書いてある。
2なんとかのところはフランス語なのでわからないが、
もしかしてケーキを2つ選ばせてくれるってことかな、
と夢を見る。
ウェイトレスさんにケーキを注文したら、「何がいいの?
モンブラン? それともミルフィーユ?」とぞんざいに
訊かれる。ガイドブックには、「各種ケーキをテーブルに
並べて運んできて、選ばせてくれる」って写真つきで
載ってたのに!
まごまごしてたら「そこにあるから選んでよ」と言われ、
ガラスケースに並んだ実物の中から、モンブランを選ぶ。
一応アンジェリーナはモンブランが有名らしいし。
ケーキセットのようなものはなく、飲み物は別に頼む。
せっかくだからと欲をかいて、クリスマス・スペシャル
のホットチョコレートを頼む。
銀のポットに入っていて、どろっとしたのをカップに
注ぎ、生クリームを溶かして飲む。
覚悟はしていたが、死ぬほど甘い。
モンブランもこってりした味で、一番下にメレンゲ、
その上に生クリームを置き、外にマロンクリームを
かぶせた形になっている。スポンジ部分は存在しない。
当たり前だけど、これもすっごく甘い。
一週間分の糖分をまとめて摂取した感じ。
食べていると、隣のテーブルに、銀のお盆に各種ケーキを
並べたものが運ばれてきて、その中から選んでいた。
おいおい、日本人だから差別されたってことなのか?
プンスカしてチップを払わずに出る。
14:30にホテルに戻り、フロントに預けておいた荷物を
受け取って、空港行きのバス停目指しオペラ座前まで歩く。
タクシーに乗るほどの距離ではないと思ったんだけど、
道を間違え、さらにバス停の位置もよくわからなくて
焦ったが、なんとかたどりつけた。
チケットの自販機があったがよくわからなかったので、
乗り込んで直接運転手さんにお金を払う。
二両連結のバスで、狭い通路で苦労して荷物を運ぶ。
15:30にバスが出て、モンマルトル墓地の脇を通り、
来るときに見たマンション屋上の社名ネオンをまた横目に
見て、16:10くらいに空港に着く。
空港で最初に停まったバス停「ターミナル2A」で降りる。
私の乗る飛行機はターミナル2だということは確認して
あったので、やれやれと降りたら、ほかに降りる人が
全然いない……。
空港の中もなんだかがらーんとしている。
どうしよう、と思いつつゲートっぽいところに行くと、
「パスポートと搭乗券!」とぶっきらぼうに言われる。
搭乗券といってもeチケットの紙しかないので、それを
出したら「違う」と言われる。
確かに、ゲートの上には「スイス」って書いてあった。
今度はお姉さんのいるチケットカウンターのような
ところに行き、「このチケットを手に入れられますか?」
と言ってみる。すると「向こうに表示板があるから、
それを見てあなたの便がどこか確認しなさい」と返事。
表示板を見ると、私の便はF52と書いてある。
Fって……? ここ、Aじゃなかったっけ?
慌てて空港の地図を見る。すると、確かにAから順に
ターミナルビルがあって、Fはここから一番遠いところ。
これはどうしたものか、と地図の前でしばし考えていたら、
「タクシー?」と言いながらお兄さんが近づいて来た。
警戒しつつ、「Fに行きたい」と行ってみたら、「それなら
シャトルバスに乗ればいいんだよ。ついておいで」と
言われ、外に出て「あそこのバス停だよ」と教えてくれる。
親切だった。警戒してゴメン。
バスがなかなか来なくて焦るが、なんとか16:40くらいに
Fフロアに到着。しかし発券カウンターはさらに一番端の
13カウンターなのだった。
はるばる、という感じでやっと搭乗券にありつく。
カウンターのお姉さんに「メルシー」と言ったら、
「あなたフランス語できるの?」と(英語で)訊かれる。
「いえ、メルシーとボンジュールだけです」(実際には
あとシルヴプレとボンソワールも言ったけど)と
答えたら、「それでもナイスよ」と褒められた。
絵ハガキをまだ送っていないことを今さら思い出し、
そのお姉さんに「切手はどこで買えますか?」と
訊いたら、「この先に新聞と切手を売っている店がある」
と、店名わざわざ書いてくれた。
そこまで行ってレジに2枚の絵ハガキを見せ、「切手を
2枚下さい」と言ったら、「2枚ずつ貼らなきゃいけない
から、4枚必要だ」と言われる。
0.6ユーロの切手しか置いてないらしく、それを2枚ずつ
貼る。日本までのハガキはこないだの郵便局の自販機
では0.85ユーロだったから、切手だとちょっと損だ。
荷物検査ではネックレスとベルトを外し、靴を脱がされる。
日本のときとは段違いに厳しい。
トイレに入ったら、やたら便器に水がいっぱい溜まって
いて、不吉な予感がして水を流すボタンを押してみたら、
どっと水が溢れてきた。悪夢だ。
幸いほかに誰もいなかったので、黙って逃げ出した。
ゲートの中に入ると、鞄とか高級品の免税店しかない。
帰りの飛行機も窓際で、通路側には日本人の女性。
真ん中の座席はまた空いていて、ラッキー。
機内食をしっかり食べ、久々に栄養を取り込んだ気分。
しばらく寝てから、「ワールド・トレード・センター」
を見る。
本当は行きの飛行機で見逃した「パイレーツ・オブ・
カリビアン2」を見たかったんだけど、月が11月から
12月になったので映画のプログラムが入れ替わっていた。
帰りの便ではあまり見たい映画がなく、残念。
そういえば、「ターミナル」はマジックプレイヤーの
悲哀が感じられる映画だというのでちょっと見てみたい。
知らない土地へやってきて言葉は通じない、外には
出られない、俺こんなとこまで来て何やってんだろう……
みたいな。
「ワールド・トレード・センター」って、予告編を見た
だけだとニコラス・ケイジが救助隊員として大活躍して
感動の生還! みたいな内容に見えるんだけど、実際は
非常に抑制された地味な映画だった。画面が暗すぎて
なんだかよくわからないところもあったほど。
一番印象強いのは「これからこの国では兵士が必要に
なる、復讐のために」と言う男のまっすぐなまなざし。
成田から、荷物も多いし会社に直行しちゃおうという
ことで、贅沢して新宿行きリムジンバスに乗る。3000円。
寝ているだけで着くのはありがたいし、かなり早かった。
700通くらい来ていた会社のメール(といってもほとんど
迷惑メールだが)を整理して、お土産を置いて帰宅。
次の朝会社に行ったら、もうお土産はなくなっていた。
フォションのお菓子3種、私1個も食べてなかったのに!
みんなが「おいしかったよ」しか言わなくて悔しかった。
この日の支出:
朝マック2ユーロ
ルーブル入館料8.5ユーロ
タクシー5.5ユーロ
フォションお土産52ユーロ
ロワシーバス8.4ユーロ
切手2.4ユーロ
■蛇足
世界各国のグランプリを、隔週とかで旅して回る
生活に強い憧れを抱く。
理想は日本に戻らず、旅先から旅先へと向かうこと。
観光して、大会に出て、勝ったり負けたりして、
写真を撮って……。なんて素晴らしい生活だろう。
まあ、マジックが強ければ、ね。
私は計算できないしウッカリ型だし思い込みは激しいし
物事はすぐに忘れるし、てんでマジックに向いてない。
何より負けたときに「悔しい!」と思って次につなげる
気持ちが足りない。負けず嫌いは負けず嫌いなんだけど、
負けるのが嫌いだから初めから勝負しないのだ。
「どうせ下手だし」とか「別に詳しくないし」とか、
自分にも他人にも言い訳を用意している。
たとえば、「お稽古事」としてマジックを習うのは
どうだろう?とふと考えてみた。
マジックは究極的には運や勘も重要になるけれど、
ある程度のレベルまでは技術と練習が最重要だから。
たとえば、ちょっと見当つきにくいけど、半年後には
GP1日目で勝ち越すとか、1年後にはPTQベスト8とか、
そういう目標を立てて、誰かに師事する。
毎週、時間を決めてデュエルスペースに行き、徹底的に
見てもらい、教えてもらう。
手札を公開した状態でデュエルすれば、プレイングの
まずいところを教えてもらえるだろうし、ドラフトを
後ろで見ていてもらってもいいと思う。
師匠は必ずしも一人でなくてもいいんだけど、教える
ほうにも責任を持ってもらうため、教わる時間を決めて
ちゃんと代金を払う。
相場はよくわからないけど……トロンボーンのときは
確か2時間のレッスンで8千円だったかな。
ちゃんと教わろう、教えようという気持ちになるには
やっぱりそれくらい必要なのかもしれない。
まぁ家庭教師のバイトみたいなものと考えて、
自給2〜3千円ですめば習うほうとしてはありがたいけど。
そういうシステムってはたして成立するのかな?
そうやって「お稽古事」として続けてみて、それでも
上達しないんだったら本当に自分には向いてないんだろう。
| メイン |
コメント