プロットその1
2004年7月1日しばらく前に書いたマジックネタの小説プロットの話。
どこかで書いたかもしれないけど、私は大学のとき
「小説を書く学部」に在籍していて、卒論も100枚の
中篇小説だった。5人くらいのゼミで三田誠広という
小説家に添削してもらったりするんだけど、この人が
書いた「天気の好い日は小説を書こう」に始まる
何冊かの小説創作ノウハウ本はけっこう面白いのに、
授業はあまり面白くなかった。
でもってゼミでいろんな人の作品を見るうちに
小説というのも結局はスポーツや絵画などと同じ
才能の問題で、私にはどうしようもないなという
ことがわかったのですっぱりあきらめた。
でもって何が言いたいかというと、そんなわけで
ここでの経験が染み付いているために、私が書ける
小説というのは文藝新人賞とかJ文学とかあっち方面、
つまりは「蹴りたい背中」とかああいう感じのもので
なおかつ素人文章の出来の悪いものだということ。
それは自分でもよくわかっているので、恥を知り
小説を表に出すことはもうないと思われる。
ということでプロットだけ。
主人公はそこそこ上を目指すつもりのあるマジック
プレイヤー。男。大学生くらいかな。イベント前は
それなりに真面目に練習するんだが、あまり勝てない。
あるときPTQ予選を抜けたプレイヤーの名前と写真を
見てちょっと驚く。中学時代の先輩だった。
中学では田舎に住んでいて、その学校がかなりの
ブラバン進学校だった。田舎にはブラスバンドが
ものすごく熱心な学校というのがいくつかあって、
毎日朝練と昼練と放課後夕方までみっちり練習が
組んであって、基礎練とパート練と金管・木管練と
トゥッティと段階を踏んでさまざまな厳しいしごきや
乗り番争いなど、はっきり言ってスポ根の世界なのだ。
そういう学校で彼はそれなりにやっていたんだが、
その先輩はとてつもなくうまいトランペッターだった。
いるといないとでは音楽が大違いの花形プレイヤーで、
容姿とかすごく普通だったんだけどその音色だけで
後輩たちの憧れの的になっていた。あ、先輩も男ね。
で、その先輩は初めてのプロツアーで目覚ましく
勝ってベスト16くらいになり、それからどんどん
頭角を現して一気に強豪の仲間入り。というのも
レベルの高いプレイグループに入って練習を積んだ
ためらしい。
主人公はイベントで先輩と顔を合わせる。向こうも
こっちの顔くらいは覚えているけど、相手はとうに
プロプレイヤーたちとつるむ別世界の人間で、ただ
憧れのまなざしで見つめるしかない。
ちなみにトランペットはあっさりやめてしまって
いるだろう。あれだけの才能があったのに勿体ないと
思うのは凡人の考えなんだろうなと苦笑する主人公。
そんなある日、主人公は突然不思議な力に目覚める
……って書くといきなり陳腐なSFっぽくて萎えるが
わかりやすく書くとそういうことだからしかたない。
何かきっかけがあったほうがいいのかもしれないし、
ありきたりなきっかけがあるよりは何も原因が
見つからないほうがそれらしくていいかもしれない。
……突然ですが、ゲーム中にふっと世界がクリアに
見えるような瞬間が訪れて、相手の手札がはっきり
わかることってありませんか? 私がむかし一番
真面目にマジックをやっていたころは、ごくまれに
相手の手札や考えが急に鮮明になる瞬間がありました。
たぶん強い人なら推理や習慣で相手の手札を判断
してしまうのでしょうが、それよりもっと、試合に
のめりこんでいる瞬間に時々訪れるひらめきみたいな
ものです。……なんかすごいオカルトっぽいなぁ……
でもこの感覚をわかってくれる人はきっといるだろうと
思い、話を続けます。
主人公はある日突然、試合中に相手の手札がわかる
ようになる。透けて見えるとかそういうわけではなく、
上記の瞬間的なひらめき状態が長時間持続する感じ。
戸惑いながらも少し訓練すると、自分の次のドロー、
相手のドロー、さらに自分のデッキの続く数枚の
ドローくらいまではわかるようになる。
理由は全然わからない。もちろんオカルトの怪しげな
透視術について調べてみたりもするがわからない。
親しい友達に笑い話に混ぜて相談してみるがとりあって
もらえず、それから他人に相談するのはやめてしまう。
親との関係はどう設定しようかな……要検討。
奇妙に思いつつも、真剣勝負の試合中にしか相手の
手札がわかるようにはならず、ほかの目的には全然
使えないというあいまいな能力のため、主人公は
そのままマジックを続け、当然のごとく見違えるほど
勝つようになっていく。相手の手札やドローが
わかるんだから、たぶんカウンターの多いデッキを
使ったほうが強いだろう。不確定要素のない最善手を
常にうてるということだから。引きは左右できないので
コンボデッキは向いてない。プレミアイベントで勝ち
始め、一躍青白使いとして名を馳せていく主人公。
例の先輩はもちろん声をかけてくれ、一緒にやろうと
言ってくれるんだけど、いわゆる神がかりだとは
とても言えない後ろめたい思いがあって断ってしまう。
その態度が「図に乗っている」と思われてそのプレイ
グループの人たちに反感を持たれたりもする。
強くなれば自然にファンもできて、主人公には
マジックプレイヤーの彼女ができる。見限られる怖さに
自分の力のことはずっと隠しつづける……と思うが、
何かきっかけがあってダメもとで打ち明けるというのも
ありだろう。彼女はけっこう親身に相談にのって
くれるんだけど、彼女相手に証明しようとしても
真剣勝負じゃないから発動しなくて、気まずいばかり。
たぶん以前グランプリでそこそこ勝ったことがあって
アマチュアではないためルーキーレースには絡めない
けど、構築のレーティングはどんどん上がっていき、
グランプリのベスト4くらいから始まってプロツアーも
どんどん勝って、日本選手権のベスト8で権利が降って
きて世界選手権に行けるくらいになる。
どこかで書いたかもしれないけど、私は大学のとき
「小説を書く学部」に在籍していて、卒論も100枚の
中篇小説だった。5人くらいのゼミで三田誠広という
小説家に添削してもらったりするんだけど、この人が
書いた「天気の好い日は小説を書こう」に始まる
何冊かの小説創作ノウハウ本はけっこう面白いのに、
授業はあまり面白くなかった。
でもってゼミでいろんな人の作品を見るうちに
小説というのも結局はスポーツや絵画などと同じ
才能の問題で、私にはどうしようもないなという
ことがわかったのですっぱりあきらめた。
でもって何が言いたいかというと、そんなわけで
ここでの経験が染み付いているために、私が書ける
小説というのは文藝新人賞とかJ文学とかあっち方面、
つまりは「蹴りたい背中」とかああいう感じのもので
なおかつ素人文章の出来の悪いものだということ。
それは自分でもよくわかっているので、恥を知り
小説を表に出すことはもうないと思われる。
ということでプロットだけ。
主人公はそこそこ上を目指すつもりのあるマジック
プレイヤー。男。大学生くらいかな。イベント前は
それなりに真面目に練習するんだが、あまり勝てない。
あるときPTQ予選を抜けたプレイヤーの名前と写真を
見てちょっと驚く。中学時代の先輩だった。
中学では田舎に住んでいて、その学校がかなりの
ブラバン進学校だった。田舎にはブラスバンドが
ものすごく熱心な学校というのがいくつかあって、
毎日朝練と昼練と放課後夕方までみっちり練習が
組んであって、基礎練とパート練と金管・木管練と
トゥッティと段階を踏んでさまざまな厳しいしごきや
乗り番争いなど、はっきり言ってスポ根の世界なのだ。
そういう学校で彼はそれなりにやっていたんだが、
その先輩はとてつもなくうまいトランペッターだった。
いるといないとでは音楽が大違いの花形プレイヤーで、
容姿とかすごく普通だったんだけどその音色だけで
後輩たちの憧れの的になっていた。あ、先輩も男ね。
で、その先輩は初めてのプロツアーで目覚ましく
勝ってベスト16くらいになり、それからどんどん
頭角を現して一気に強豪の仲間入り。というのも
レベルの高いプレイグループに入って練習を積んだ
ためらしい。
主人公はイベントで先輩と顔を合わせる。向こうも
こっちの顔くらいは覚えているけど、相手はとうに
プロプレイヤーたちとつるむ別世界の人間で、ただ
憧れのまなざしで見つめるしかない。
ちなみにトランペットはあっさりやめてしまって
いるだろう。あれだけの才能があったのに勿体ないと
思うのは凡人の考えなんだろうなと苦笑する主人公。
そんなある日、主人公は突然不思議な力に目覚める
……って書くといきなり陳腐なSFっぽくて萎えるが
わかりやすく書くとそういうことだからしかたない。
何かきっかけがあったほうがいいのかもしれないし、
ありきたりなきっかけがあるよりは何も原因が
見つからないほうがそれらしくていいかもしれない。
……突然ですが、ゲーム中にふっと世界がクリアに
見えるような瞬間が訪れて、相手の手札がはっきり
わかることってありませんか? 私がむかし一番
真面目にマジックをやっていたころは、ごくまれに
相手の手札や考えが急に鮮明になる瞬間がありました。
たぶん強い人なら推理や習慣で相手の手札を判断
してしまうのでしょうが、それよりもっと、試合に
のめりこんでいる瞬間に時々訪れるひらめきみたいな
ものです。……なんかすごいオカルトっぽいなぁ……
でもこの感覚をわかってくれる人はきっといるだろうと
思い、話を続けます。
主人公はある日突然、試合中に相手の手札がわかる
ようになる。透けて見えるとかそういうわけではなく、
上記の瞬間的なひらめき状態が長時間持続する感じ。
戸惑いながらも少し訓練すると、自分の次のドロー、
相手のドロー、さらに自分のデッキの続く数枚の
ドローくらいまではわかるようになる。
理由は全然わからない。もちろんオカルトの怪しげな
透視術について調べてみたりもするがわからない。
親しい友達に笑い話に混ぜて相談してみるがとりあって
もらえず、それから他人に相談するのはやめてしまう。
親との関係はどう設定しようかな……要検討。
奇妙に思いつつも、真剣勝負の試合中にしか相手の
手札がわかるようにはならず、ほかの目的には全然
使えないというあいまいな能力のため、主人公は
そのままマジックを続け、当然のごとく見違えるほど
勝つようになっていく。相手の手札やドローが
わかるんだから、たぶんカウンターの多いデッキを
使ったほうが強いだろう。不確定要素のない最善手を
常にうてるということだから。引きは左右できないので
コンボデッキは向いてない。プレミアイベントで勝ち
始め、一躍青白使いとして名を馳せていく主人公。
例の先輩はもちろん声をかけてくれ、一緒にやろうと
言ってくれるんだけど、いわゆる神がかりだとは
とても言えない後ろめたい思いがあって断ってしまう。
その態度が「図に乗っている」と思われてそのプレイ
グループの人たちに反感を持たれたりもする。
強くなれば自然にファンもできて、主人公には
マジックプレイヤーの彼女ができる。見限られる怖さに
自分の力のことはずっと隠しつづける……と思うが、
何かきっかけがあってダメもとで打ち明けるというのも
ありだろう。彼女はけっこう親身に相談にのって
くれるんだけど、彼女相手に証明しようとしても
真剣勝負じゃないから発動しなくて、気まずいばかり。
たぶん以前グランプリでそこそこ勝ったことがあって
アマチュアではないためルーキーレースには絡めない
けど、構築のレーティングはどんどん上がっていき、
グランプリのベスト4くらいから始まってプロツアーも
どんどん勝って、日本選手権のベスト8で権利が降って
きて世界選手権に行けるくらいになる。
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