メメント・モリ

2003年11月21日
●今日の芝居
燐光群「チャーリー・ビクター・ロミオ」下北沢ザ・スズナリ

衝撃と観劇後の余韻の重さは★★★★、
面白いか、また見たいかと言われれば★★くらい
3500円

珍しく社会派……というかシリアスな芝居を見に
行った。芝居はエンターテインメントが一番と
常日頃思ってはいるんだけど、この芝居の評判が
たいへんよくて興味を持ったので。

飛行機の墜落事故6件を取り上げ、それぞれの
ブラックボックスを忠実に再現した芝居である。
2羽の鳥がエンジンに飛びこんだ飛行機や、
整備士が養生テープをはがし忘れたために
あらゆる計器が異常な値を示し、操縦士が
パニックを起こした飛行機、それに私が小1の時
あの御巣鷹山に落ちた日航機123便も。

わりと感情移入して見るほうなので、最初から
とにかくめちゃくちゃ怖かった。いつ落ちるか
いつ落ちるかと、機長がのんきにトイレに立ったり
するともうはらはらして、警告音に竦みあがって。
こんな平和そうな、実直そうな、勤勉そうな
人たちもひとりのこらず死んでしまうんだと
思って泣きながら。

コントロールを失った飛行機をなだめすかして
いろいろなことを試みながら戦っているシーンは
専門用語だらけだし、普通の芝居ではありえない
くらいみんなが同時にしゃべるから、かなり
集中して状況を把握しようとしないとわからない。
そういう場面では、芝居が芝居として、決して
舞台は揺れたり衝撃を受けたりしないのにまるで
遊園地の乗り物みたいに揺れているように見える
俳優の演技に感心したり、日本語訳した台詞に
吹き替えの映画のようなかすかな違和感を
おぼえたりしているのだが、ひとたび警報が
鳴り出したとたん、それどころじゃない。

日航機の副機長が「フラップアップ!」と叫び、
機長が2,30回も「頭下げろ!」と繰り返すのを
確かに私は小1の夏のニュースで聞いた。
確かあのときの客席には、落ちていきながら
ずっと震える文字で手帳に妻と息子への遺書を
書きつづけた父親がいたはずだ。
最後にものすごい音がして(まるで観客に痛みと
衝撃を与えるような音響の技術がすごかった)、
全員の絶叫が吸いこまれるように消えるのと
一緒に照明が消えて、舞台上方に「生存者4名」と
静かにテロップが出る。

落ちるまでには、あんなに時間がかかるものなのだ。

参考までに:

http://www.mars.sphere.ne.jp/amearts/about%20CVR%20.htm

http://www4.justnet.ne.jp/~tohno/htm/cvr.html

ちなみに今日うちの両親が飛行機で札幌へ
祖父の法事に行ってたりする……

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